IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社松井製作所の特許一覧

特許7090876バランスウェイト、バランスウェイト付き回転シャフト及びバランスウェイト付き回転シャフトの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】バランスウェイト、バランスウェイト付き回転シャフト及びバランスウェイト付き回転シャフトの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/32 20060101AFI20220620BHJP
   B60K 17/22 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
F16F15/32 D
B60K17/22 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018017657
(22)【出願日】2018-02-02
(65)【公開番号】P2019132413
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000146076
【氏名又は名称】株式会社松井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 光
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第3011824(DE,A1)
【文献】英国特許出願公開第02228553(GB,A)
【文献】特開2011-073525(JP,A)
【文献】特開平06-246439(JP,A)
【文献】実開平04-071842(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/32
B60K 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転シャフトの外面に溶接されるバランスウェイトであって、
本体部と、平面視において、前記本体部の輪郭線の一部を突出させてなる、少なくとも1つの張出部と、を有し、
前記張出部が溶接部であり、
前記本体部は、互いに直交する方向に延びる2種類の輪郭線で区画された矩形状に形作られており、
前記張出部は、平面視において、前記2種類の輪郭線の一方の輪郭線から、前記2種類の輪郭線の他方が延在する方向に沿って突出しており、
さらに、前記本体部の内面は、前記張出部を前記回転シャフトに溶接させた状態で、前記張出部の内面とともに、前記回転シャフトの外面に合わさる合わせ面で構成されている、バランスウェイト。
【請求項2】
請求項1において、前記少なくとも1つの張出部は、2つの張出部である、バランスウェイト。
【請求項3】
請求項2において、前記本体部に、2つのセグメントを連結する連結部を有し、前記本体部に伝わる力を逃がす逃げ構造を有する、バランスウェイト。
【請求項4】
請求項1において、前記少なくとも1つの張出部は、1つの張出部である、バランスウェイト。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、前記本体部は、板状のセグメントである、バランスウェイト。
【請求項6】
回転シャフトと、前記回転シャフトの外面に溶接された、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のバランスウェイトと、を有する、バランスウェイト付き回転シャフト。
【請求項7】
回転シャフトの外面にバランスウェイトを溶接することにより、バランスウェイト付き回転シャフトを製造する方法であって、
前記バランスウェイトとして、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のバランスウェイトを用い、
前記バランスウェイトの前記張出部を前記回転シャフトの前記外面に溶接する、バランスウェイト付き回転シャフトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランスウェイト、バランスウェイト付き回転シャフト及びバランスウェイト付き回転シャフトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバランスウェイトには、長方形のバランスウェイトの四隅を回転シャフトの外面に各々スポット溶接し、当該溶接部の相互間に、回転シャフトの外面に発生する捩り荷重に対応した応力緩和手段を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。これにより、前記特許文献1のバランスウェイトでは、前記溶接部の間に生じる剪断力が前記応力緩和手段にて吸収され、前記溶接部の破断が防止される。また従来のバランスウェイトには、矩形のバランスウェイトの上縁部及び下縁部のそれぞれの中央位置が溶接部(接合部)とされ、当該溶接部の間に孔を形成したものもある(例えば、特許文献2参照。)。これにより、前記特許文献2のバランスウェイトでは、2つの溶接部の間が前記孔によって断ち切られることにより、捻れに対する剛性が低下し、捻り疲労寿命が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平4-71842号公報
【文献】特開2005-214335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載のバランスウェイトを回転シャフトに溶接した場合であっても、捻れ等に起因する応力が、前記溶接部に集中することがある。これは、バランスウェイト付き回転シャフトの製品寿命に影響を与える。
【0005】
本発明の目的は、回転シャフトとの溶接部に集中する応力を緩和させることができる、バランスウェイトを提供することである。また本発明の他の目的は、製品寿命の向上が図られた、バランスウェイト付き回転シャフトを提供することである。更に本発明の他の目的は、製品寿命の向上が図られたバランスウェイト付き回転シャフトを得ることができる、バランスウェイト付き回転シャフトの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るバランスウェイトは、回転シャフトの外面に溶接されるバランスウェイトであって、本体部と、平面視において、前記本体部の輪郭線の一部を突出させてなる、少なくとも1つの張出部と、を有し、前記張出部が溶接部である。
本発明に係るバランスウェイトによれば、回転シャフトとの溶接部に集中する応力を緩和させることができる。
【0007】
本発明に係るバランスウェイトにおいて、前記少なくとも1つの張出部は、2つの張出部であるものとすることができる。
この場合、バランスウェイトを安定的に溶接しつつ、回転シャフトとの溶接部に集中する応力を緩和させることができる。
【0008】
本発明に係るバランスウェイトは、前記本体部に、2つのセグメントを連結する連結部を有し、前記本体部に伝わる力を逃がす逃げ構造を有することが好ましい。
この場合、回転シャフトとの溶接部に集中する応力をより緩和させることができる。
【0009】
本発明に係るバランスウェイトにおいて、前記少なくとも1つの張出部は、1つの張出部であるものとすることができる。
この場合、回転シャフトとの溶接部に集中する応力をより緩和させることができる。
【0010】
本発明に係るバランスウェイトにおいて、前記本体部は、板状のセグメントであることが好ましい。
この場合、バランスウェイトは、例えば、1枚の板状部材を用いたプレス加工等により、一体物として容易に製造することができる。
【0011】
本発明に係るバランスウェイト付き回転シャフトは、回転シャフトと、前記回転シャフトの外面に溶接された、上記のいずれか1つのバランスウェイトと、を有する。
本発明に係るバランスウェイト付き回転シャフトによれば、製品寿命の向上が図られる。
【0012】
本発明に係る、バランスウェイト付き回転シャフトの製造方法は、回転シャフトの外面にバランスウェイトを溶接することにより、バランスウェイト付き回転シャフトを製造する方法であって、前記バランスウェイトとして、上記のいずれか1つのバランスウェイトを用い、前記バランスウェイトの前記張出部を前記回転シャフトの前記外面に溶接する。
本発明に係る、バランスウェイト付き回転シャフトの製造方法によれば、製品寿命の向上が図られたバランスウェイト付き回転シャフトを得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転シャフトとの溶接部に集中する応力を緩和させることができる、バランスウェイトを提供することができる。また本発明によれば、製品寿命の向上が図られた、バランスウェイト付き回転シャフトを提供することができる。更に本発明によれば、製品寿命の向上が図られたバランスウェイト付き回転シャフトを得ることができる、バランスウェイト付き回転シャフトの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態に係るバランスウェイトを適用した、本発明の第一の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトを示す平面図である。
図2A図1のバランスウェイト付き回転シャフトの要部を示す平面図である。
図2B図2Aを示す正面図である。
図3A】本発明の第二の実施形態に係るバランスウェイトを図1の回転シャフトに適用した、本発明の第二の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトの要部を示す平面図である。
図3B図3Aを示す正面図である。
図4A】本発明の第三の実施形態に係るバランスウェイトを図1の回転シャフトに適用した、本発明の第三の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトの要部を示す平面図である。
図4B図4Aを示す正面図である。
図5A】本発明の第四の実施形態に係るバランスウェイトを図1の回転シャフトに適用した、本発明の第四の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトの要部を示す平面図である。
図5B図5Aを示す正面図である。
図6A】本発明の第五の実施形態に係るバランスウェイトを図1の回転シャフトに適用した、本発明の第五の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトの要部を示す平面図である。
図6B図6Aを示す正面図である。
図7A】参考例に係るバランスウェイトを図1の回転シャフトに適用した、参考例に係るバランスウェイト付き回転シャフトの要部を示す平面図である。
図7B図7Aを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の様々な実施形態について説明する。
【0016】
図1中、符号100は、本発明の第一の実施形態に係るバランスウェイト10を適用した、本発明の第一の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトである。バランスウェイト付き回転シャフト100は、回転シャフト110と、回転シャフト110の外面に溶接(固定)されたバランスウェイト10と、を有している。回転シャフト110は、軸線Oに沿って延在している。回転シャフト110は、軸線Oの周りに回転可能である。回転シャフト110は、軸線O周りに回転させたとき、バランスウェイト10によって、回転バランスが安定的に保たれる。
【0017】
本実施形態では、回転シャフト110は、車両の動力伝達系に採用可能なプロペラシャフトである。本実施形態では、回転シャフト110は、円筒形のシャフト本体111と、シャフト本体111の一端に固定された端部112と、シャフト本体111の他端に固定された端部113と、で構成されている。本実施形態では、回転シャフト110の端部112及び113が自在継手の一部を構成している。回転シャフト110の端部112及び113の構成は、動力伝達系内に回転シャフト110を接続する方法に応じて、適宜変更することができる。
【0018】
本実施形態では、図1に示すように、回転シャフト110のシャフト本体111の一方の側(本実施形態では、図面手前側)には、2つのバランスウェイト10が固定されている。2つのバランスウェイト10は、軸線Oの方向に間隔を置いて固定されている。本実施形態では、シャフト本体111の他方の側(本実施形態では、図面裏側)にも、図示の一方の側と同様に、2つのバランスウェイト10が溶接されている(図示省略。)。即ち、本実施形態では、回転シャフト110に対して、合計4つのバランスウェイト10が固定されている。
【0019】
図1に示すバランスウェイト10は、本発明の第一の実施形態に係るバランスウェイトである。図2A及び図2Bに示すように、本実施形態に係るバランスウェイト10は、本体部Aと、平面視において、本体部Aの輪郭線の一部を突出させてなる、少なくとも1つの張出部Bと、を有している。張出部Bは、溶接部である。符号70は、溶接後の溶接部を示す。
【0020】
図2A及び図2Bに示すように、本実施形態に係るバランスウェイト10では、本体部Aは、1つのセグメント11で構成されている。セグメント11は、図2Bに示すように、外面12と内面13とを有している。本実施形態において、セグメント11は、図2Bに示すように、外面12と内面13との間の厚みが薄い、板状のセグメントである。本実施形態では、セグメント11は、図2Aに示すように、平面視で、短手方向に延びる輪郭線L1と、当該輪郭線L1に対して直交して長手方向に延びる輪郭線L2とで区画された、矩形状に形作られている。
【0021】
本実施形態では、セグメント11は、図2Bに示すように、軸線方向視で、回転シャフト110(本実施形態では、シャフト本体111)の外面Fに合わさるように、湾曲している。本実施形態では、セグメント11の内面13は、回転シャフト110の外面Fと合わさる、合わせ面13aで構成されている。セグメント11の合わせ面13aは、例えば、図2Bに示すように、軸線方向視で、バランスウェイト10を回転シャフト110に溶接させた状態で、回転シャフト110の外面Fに一致させることができる。
【0022】
また、本実施形態に係るバランスウェイト10では、少なくとも1つの張出部Bは、2つの張出部14である。2つの張出部14は、本体部Aを挟んで対向する位置に配置されている。図2Aに示すように、平面視において、2つの張出部14は、セグメント11の輪郭線L1の一部を突出させてなる。
【0023】
張出部14は、図2Aに示すように、平面視で、セグメント11の輪郭線L1から、セグメント11の輪郭線L2が延在する方向に沿って突出している。本実施形態では、張出部14は、図2Aに示すように、平面視で、セグメント11の輪郭線L1から矩形状をなして突出している。本実施形態のように、2つの張出部14それぞれを矩形状に突出させれば、溶接領域(溶接面積)を広く確保することができる。なお、張出部14の形状は、適宜選択することができる。例えば、張出部14は、平面視で、半円形状、ドーム形状等の曲線形状等に突出させることができる。
【0024】
本実施形態に係るバランスウェイト10は、セグメント11に2つの張出部14を設け、当該張出部14それぞれを溶接部としている。この場合、バランスウェイト10の溶接幅(溶接長さ)は、張出部14の輪郭線L1方向における幅W14となる。張出部14の幅W14は、バランスウェイト10の輪郭線L1方向における全体幅W10に比べて短く制限される。即ち、セグメント11の平面視における輪郭線L1の一部を突出させて溶接部70とすることにより、溶接幅が短く制限される。このように、バランスウェイト10の溶接幅を短く制限すれば、回転シャフト110に対してバランスウェイト10を溶接した状態では、回転シャフト110からの力が2つのセグメント11それぞれの溶接部70に対して相対的に加わったとき、具体的には、溶接部70の相互間に、捻り力等が加わったときの、当該バランスウェイト10に対する回転シャフト110の拘束力が弱まる。従って、本実施形態に係るバランスウェイト10によれば、溶接部70に集中する応力を緩和させることができる。
【0025】
また、本実施形態に係るバランスウェイト10において、張出部Bは、上述のとおり、2つの張出部14である。この場合、バランスウェイト10を安定的に溶接しつつ、回転シャフト110との溶接部70に集中する応力を緩和させることができる。
【0026】
ところで、本発明に係るバランスウェイトによれば、後述するように、本体部Aに、当該本体部Aに伝わる力を逃がす逃げ構造Cを設けることができる。
【0027】
図3A及び図3B中、符号200は、本発明の第二の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトである。バランスウェイト付き回転シャフト200は、図3Bに示すように、図1の回転シャフト110の外面Fにバランスウェイト20を溶接したものである。バランスウェイト20は、本発明の第二の実施形態に係るバランスウェイトである。バランスウェイト20は、バランスウェイト10の変形例である。以下、図1図2A及びBと実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0028】
図3A及び図3Bに示すように、バランスウェイト20では、本体部Aは、2つのセグメント11を有している。2つのセグメント11は、互いに間隔を置いて配置されている。セグメント11は、それぞれ、図3Bに示すように、外面12と内面13とを有している。本実施形態において、セグメント11は、それぞれ、図3Bに示すように、外面12と内面13との間の厚みが薄い、板状のセグメントである。本実施形態では、セグメント11は、それぞれ、図3Aに示すように、平面視で、長手方向に延びる輪郭線(バランスウェイト20の短手方向)L3と、当該輪郭線L3に対して直交して短手方向に延びる輪郭線(バランスウェイト20の長手方向)L4とで区画された、矩形状の形状に形作られている。
【0029】
本実施形態に係るバランスウェイト20では、各セグメント11は、図3Bに示すように、軸線方向視で、回転シャフト110(本実施形態では、シャフト本体111)の外面Fに合わさるように、湾曲した合わせ部11aを有している。各セグメント11の合わせ部11aでは、当該セグメント11の内面13は、回転シャフト110の外面Fと合わさる、合わせ面13aで構成されている。各セグメント11の合わせ面13aは、例えば、図3Bに示すように、軸線方向視で、バランスウェイト20を回転シャフト110に溶接させた状態で、回転シャフト110の外面Fに一致させることができる。
【0030】
また、本実施形態に係るバランスウェイト20では、本体部Aは、2つのセグメント11を連結する、少なくとも1つの連結部21を有している。本実施形態では、本体部Aは、2つのセグメント11と、1つの連結部21とで構成されている。また、本実施形態では、逃げ構造Cとして、連結部21を有している。連結部21は、図3Bに示すように、各セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出する連結部である。ここで、「外側」とは、セグメント11の内面13から外面12に向かう側である。
【0031】
連結部21は、図3Bに示すように、2つのセグメント11の間からアーチ状に突出し、回転シャフト110との間に空間Sを形成している。詳細には、連結部21の内面22は、例えば、図3Bに示すように、軸線方向視で、バランスウェイト20を回転シャフト110に溶接させた状態で、回転シャフト110の外面Fとの間に、空間Sを形成している。即ち、「セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出する連結部21」とは、図2Bに示すように、バランスウェイト20を回転シャフト110に溶接した状態で、バランスウェイト20と回転シャフト110との間に空間Sが形成されるような形状の連結部である。
【0032】
更に、本実施形態に係るバランスウェイト20では、セグメント11は、図3Bに示すように、軸線方向視で、前記アーチ状の一部を形作るように、連結部21と共に突出する、突出部11bを有している。
【0033】
突出部11bは、各セグメント11の連結部21側に設けられている。突出部11bは、連結部21に繋がっている。これによって、本実施形態では、連結部21は、2つのセグメント11の突出部11bと共に、セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出している。言い換えれば、セグメント11の突出部11bでは、当該セグメント11の内面13は、セグメント11の合わせ面13aと連結部21の内面22とを繋ぐ、立ち上り面13bで構成されている。セグメント11の立ち上り面13bは、例えば、図3Bに示すように、軸線方向視で、セグメント11の合わせ面13aから連結部21の内面22に向かって立ち上がっている。セグメント11の立ち上り面13bは、例えば、図3Bに示すように、軸線方向視で、バランスウェイト20を回転シャフト110に溶接させた状態で、連結部21の内面22と共に、空間Sを形成している。
【0034】
更に、本実施形態に係るバランスウェイト20では、図3A及び図3Bに示すように、連結部21は、2つのセグメント11と共に隙間Gを区画し、前記隙間Gは、切り込み23である。即ち、本実施形態では、逃げ構造Cは、少なくとも1つの切り込み23によって形作られた連結部21で構成されている。切り込み23は、2つのセグメント11それぞれの外面12から内面13まで至っている。言い換えれば、切り込み23は、バランスウェイト20を貫通している。
【0035】
本実施形態に係るバランスウェイト20では、図3Aに示すように、平面視で、2つの切り込み23は、連結部21を挟んだ二箇所の位置に配置されている。2つの切り込み23は、図3Aに示すように、平面視で、バランスウェイト20の両側に、互いの切り込み23の先端23eが向かい合わせになるように配置されている。本実施形態では、連結部21は、2つの切り込み23の先端23e側の相互間に位置し、セグメント11の輪郭線L3方向における全体幅W20よりも狭幅の連結部である。この場合、連結部21は、図3Aに示すように、平面視で、2つの切り込み23の先端23e側の形状によって、その外縁が輪郭付けられた連結部となる。連結部21は、図3Aに示すように、平面視で、互いに接近する2つの曲線(切り込み23の先端23e側の形状を描く線)によって、その外縁が輪郭付けられている。このため、連結部21は、図3Aに示すように、平面視で、当該連結部21の幅がアーチ状の上部に向かうに従って、両側から均等に狭くなるような、立体形状を有している。
【0036】
また、本実施形態に係るバランスウェイト20では、2つの切り込み23は、セグメント11の輪郭線L4の方向の、バランスウェイト20の中心の位置に配置されている。ただし、2つの切り込み23は、セグメント11の輪郭線L4の方向の、バランスウェイト10の任意の位置に配置することができる。また、2つの切り込み23の先端23eは、セグメント11の輪郭線L4を基点に任意の位置に配置することができる。切り込み23の長さ(切り込み23の先端23eとセグメント11の輪郭線L4との間の長さ)Lも、適宜調整することができる。更に、本実態形態に係るバランスウェイト20では、切り込み23の長さLは、2つの切り込み23の長さLが等しくなるように設定されている。ただし、切り込み23の幅d、長さL及びバランスウェイト20全体における位置は、適宜選択することができる。2つの切り込み23は、輪郭線L3に沿う方向に延在している。ただし、切り込み23は、平面視で、輪郭線L3及びL4に対し、斜めであってもよい。
【0037】
ところで、本実態形態に係るバランスウェイト20では、切り込み23の先端23e側の輪郭形状は、図3Aに示すように、平面視で、半円形状である。切り込み23は、図3Aに示すように、同一の幅dで延在する切り込み本体部23aと、切り込み本体部23aと繋がる切り込み先端部23bと、を有している。切り込み23の先端23e側の輪郭形状は、切り込み先端部23bの輪郭形状で形作られている。本実施形態では、切り込み先端部23bの輪郭形状は、半径r=d/2の半円形状となっている。
【0038】
本実施形態に係るバランスウェイト20でも、張出部Bは、2つの張出部14である。本実施形態では、張出部14は、平面視において、各セグメント11の輪郭線L3の一部を突出させてなる。本実施形態でも、バランスウェイト20の溶接幅(溶接長さ)は、セグメント11の輪郭線L3方向における張出部14の幅W14となる。張出部14の幅W14は、バランスウェイト20の輪郭線L3方向における全体幅W20に比べて短く制限される。即ち、平面視において、セグメント11の輪郭線L3の一部を突出させて溶接部70とすることにより、溶接幅が短く制限される。このように、バランスウェイト20の溶接幅を短く制限すれば、回転シャフト110に対してバランスウェイト20を溶接した状態では、回転シャフト110からの力が2つのセグメント11それぞれの溶接部70に対して相対的に加わったとき、具体的には、溶接部70の相互間に、捻り力等が加わったときの、当該バランスウェイト20に対する回転シャフト110の拘束力が弱まる。従って、本実施形態に係るバランスウェイト20によっても、溶接部70に集中する応力を緩和させることができる。
【0039】
また、本実施形態に係るバランスウェイト20では、2つのセグメント11を連結する連結部21を有し、本体部Aに伝わる力を逃がす、逃げ構造Cを有している。連結部21は、図3Aに示すように、平面視で、2つのセグメント11と共に隙間Gを区画し、前記隙間Gは、切り込み23である。この場合、回転シャフト110からの力が2つのセグメント11それぞれの溶接部70に対して相対的に加わる場合も、1つの連結部21を主な可動域として、連結部21が可動し易くなることにより、溶接部70に集中する応力をより緩和させることができる。
【0040】
特に、本実施形態に係るバランスウェイト20では、上述のとおり、連結部21は、各セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出する連結部である。本実施形態に係るバランスウェイト20によれば、回転シャフト110からの力が2つのセグメント11それぞれの溶接部70に対して相対的に加わる場合も、図3Bに示すように、連結部21がアーチ状に突出した分、当該連結部21の領域が広く大きな可動域となることにより、溶接部70に集中する応力を更に緩和させることができる。
【0041】
更に、本実施形態に係るバランスウェイト20では、セグメント11は、前記アーチ状の一部を形作るように、連結部21と共に突出する突出部11bを有している。この場合、可動域が増加することにより、回転シャフト110との溶接部70に集中する応力を更に緩和させることができる。
【0042】
加えて、本実施形態に係るバランスウェイト20では、切り込み23は、連結部21を挟んだ二箇所の位置に配置されている。この場合、1つの連結部21を主な可動域として、複数の溶接部70に集中する応力を当該溶接部70のそれぞれに対してバランスよく分散させつつ、前記応力の集中を緩和させることができる。
【0043】
更に、本実施形態に係るバランスウェイト20では、切り込み23の先端23e側の輪郭形状は、図3Aに示すように、平面視で、半円形状である。この場合、連結部21と切り込み23との応力の集中を緩和することができる。
【0044】
次いで、図4A及び図4B中、符号300は、本発明の第三の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトである。バランスウェイト付き回転シャフト300は、図4Bに示すように、図1の回転シャフト110の外面Fにバランスウェイト30を溶接したものである。バランスウェイト30は、本発明の第三の実施形態に係るバランスウェイトである。バランスウェイト30は、本発明の第二の実施形態に係るバランスウェイト20の変形例である。以下、図1図2A及びB、図3A及びBと実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0045】
本実施形態に係るバランスウェイト30では、本体部Aは、2つのセグメント11を連結する、少なくとも1つの連結部31を有している。本実施形態では、本体部Aは、2つのセグメント11と、1つの連結部31とで構成されている。また、本実施形態では、逃げ構造Cとして、連結部31を有している。連結部31は、第一の実施形態に係る連結部21と同様、図4Bに示すように、各セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出する連結部である。
【0046】
本実施形態に係るバランスウェイト30も、バランスウェイト20と同様、連結部31は、2つのセグメント11の間からアーチ状に突出し、回転シャフト110との間に空間Sを形成している。詳細には、連結部31の内面32は、例えば、図4Bに示すように、軸線方向視で、バランスウェイト30を回転シャフト110に溶接させた状態で、回転シャフト110の外面Fとの間に、空間Sを形成している。
【0047】
更に、本実施形態に係るバランスウェイト30でも、図4A及び図4Bに示すように、連結部31は、2つのセグメント11と共に隙間Gを区画し、前記隙間Gは、切り込み23である。即ち、本実施形態もまた、逃げ構造Cは、少なくとも1つの切り込み23によって形作られた連結部31で構成されている。
【0048】
本実施形態に係るバランスウェイト30も、バランスウェイト20と同様、2つの切り込み23は、図4Aに示すように、連結部31を挟んだ二箇所の位置に配置されている。即ち、本実施形態においても、連結部31は、バランスウェイト30の輪郭線L3方向における全体幅W30よりも狭幅の連結部である。この場合も、連結部31は、図4Aに示すように、平面視で、2つの切り込み23の先端23e側の形状によって、その外縁が輪郭付けられた連結部となる。連結部31は、図4Aに示すように、平面視で、互いに接近する2つの曲線(切り込み23の先端23e側の形状を描く線)によって、その外縁が輪郭付けられている。このため、連結部31は、図4Aに示すように、平面視で、当該連結部31の幅がアーチ状の上部に向かうに従って、両側から均等に狭くなるような、立体形状を有している。但し、本実施形態では、以下の点が、バランスウェイト20と異なる。
【0049】
本実態形態に係るバランスウェイト30では、切り込み23の先端23e側の輪郭形状は、図4Aに示すように、平面視で、円形状である。切り込み23は、図4Aに示すように、平面視で、同一の幅dで延在する切り込み本体部23aと、切り込み本体部23aと繋がる切り込み先端部23cと、を有している。切り込み23の先端23e側の輪郭形状は、切り込み先端部23cで形作られている。切り込み先端部23cの輪郭形状は、切り込み本体部23a側の一部を除き、d/2よりも大きな半径Rの円形状となっている。
【0050】
本実施形態に係るバランスウェイト30も、2つのセグメント11を連結する連結部31を有し、バランスウェイト30に伝わる力を逃がす、逃げ構造Cを有している。本実施形態でも、連結部31は、図4Aに示すように、平面視で、2つのセグメント11と共に隙間Gを区画し、前記隙間Gは、切り込み23である。この場合、回転シャフト110からの力が2つのセグメント11それぞれの溶接部70に対して相対的に加わったとき、具体的には、溶接部70の相互間に、捻り力等が加わったときも、1つの連結部31を主な可動域として、連結部31が可動し易くなることにより、溶接部70に集中する応力をより緩和させることができる。
【0051】
特に、本実施形態に係るバランスウェイト30も、連結部31は、各セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出する連結部である。本実施形態に係るバランスウェイト30によれば、回転シャフト110からの力が2つのセグメント11それぞれの溶接部70に対して相対的に加わったとき、具体的には、溶接部70の相互間に、捻り力等が加わったときも、図4Bに示すように、連結部31がアーチ状に突出した分、当該連結部31の領域が広く大きな可動域となる。これにより、溶接部70に集中する応力を緩和させることができる。
【0052】
更に、本実施形態に係るバランスウェイト30では、切り込み23の先端23e側の輪郭形状は、図4Aに示すように、平面視で、円形状である。この場合、連結部31と切り込み23との応力の集中を緩和することができる。
【0053】
次いで、図5A及び図5B中、符号400は、本発明の第四の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトである。バランスウェイト付き回転シャフト400は、図5Bに示すように、図1の回転シャフト110の外面Fにバランスウェイト40を溶接したものである。バランスウェイト40は、本発明の第四の実施形態に係るバランスウェイトである。バランスウェイト40は、バランスウェイト20の他の変形例である。以下、図1図2A及びB、図3A及びB、図4A及びBと実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0054】
本発明によれば、前記連結部は、少なくとも1つとすることができる。本実施形態に係るバランスウェイト40では、本体部Aは、2つのセグメント11を連結する、少なくとも1つの連結部41を有している。本実施形態では、本体部Aは、2つのセグメント11と、2つの連結部41とで構成されている。また、本実施形態では、逃げ構造Cとして、連結部41を有している。連結部41は、他の実施形態に係る連結部21及び31と同様、図5Bに示すように、各セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出する連結部である。
【0055】
本実施形態に係るバランスウェイト40もまた、図5Bに示すように、連結部41は、2つのセグメント11の間からアーチ状に突出し、回転シャフト110との間に空間Sを形成している。詳細には、連結部41の内面42は、例えば、図5Bに示すように、軸線方向視で、バランスウェイト40を回転シャフト110に溶接させた状態で、回転シャフト110の外面Fとの間に、空間Sを形成している。
【0056】
更に、本実施形態に係るバランスウェイト40では、図5A及び図5Bに示すように、2つの連結部41は、図5Aに示すように、平面視で、2つのセグメント11と共に隙間Gを区画し、隙間Gは、孔43である。即ち、本実施形態では、逃げ構造Cは、少なくとも1つの孔43によって形作られた複数の連結部41で構成されている。このように、複数の連結部41は、少なくとも1つの孔43によって形作ることができる。孔43は、2つのセグメント11それぞれの外面12から内面13まで至っている。言い換えれば、孔43は、バランスウェイト40を貫通している。
【0057】
本実施形態に係るバランスウェイト40では、図5Aに示すように、平面視で、孔43は、2つのセグメント11の間に配置されている。本実施形態では、バランスウェイト40の中心に配置されている。また、本実施形態でも、連結部41は、セグメント11の輪郭線L4と孔43との相互間に位置し、セグメント11の輪郭線L3方向における全体幅W40よりも狭幅の連結部である。この場合、連結部41は、セグメント11の輪郭線L4と孔43の先端43e側の形状とによって、その外縁が輪郭付けられた連結部となる。連結部41は、図5Aに示すように、平面視で、一方が他方に接近する、曲線(本実施形態では、孔43の先端43e側の形状を描く線)及び直線(本実施形態では、セグメント11の輪郭線L4)によって、その外縁が輪郭付けられている。このため、連結部41は、図5Aに示すように、平面視で、当該連結部41の幅がアーチ状の上部に向かうに従って、片側に偏って狭くなるような、立体形状を有している。
【0058】
また、本実施形態に係るバランスウェイト40では、孔43は、セグメント11の輪郭線L4の方向の、当該輪郭線L4の中心の位置に配置されている。ただし、孔43は、セグメント11の輪郭線L4の方向の、任意の位置に配置することができる。また、孔43のそれぞれの先端43eは、セグメント11の輪郭線L4に向かって、任意の位置に配置することができる。孔43の長さ(2つの先端43eの間の長さ)Lも、適宜調整することができる。更に、本実態形態に係るバランスウェイト40では、孔43は、セグメント11の輪郭線L3の中心を通り、セグメント11の輪郭線L4に沿って伸びる線に対して線対称となっている。言い換えれば、孔43は、2つの連結部41の幅が等しくなるように配置されている。孔43の幅d、長さL及びバランスウェイト40全体における位置は、適宜選択することができる。2つの孔43は、輪郭線L3に沿う方向に延在している。ただし、孔43は、平面視で、セグメント11の輪郭線L3及びL4に対し、斜めであってもよい。
【0059】
特に、本実施形態では、孔43は、図5Aに示すように、平面視で、長孔である。より具体的には、孔43は、図5Aに示すように、同一の幅dで延在する孔本体部43aと、孔本体部43aと繋がる孔先端部43bと、を有している。孔43の両方の先端43e側の輪郭形状は、孔先端部43bの輪郭形状で形作られている。本実施形態では、孔先端部43bの輪郭形状は、半径r=d/2の半円形状となっている。
【0060】
本実施形態に係るバランスウェイト40では、2つのセグメント11を連結する連結部41を有し、バランスウェイト40に伝わる力を逃がす、逃げ構造Cを有している。2つの連結部41は、孔43で形作られている。2つの連結部41は、2つのセグメント11と共に隙間Gを区画し、前記隙間Gは、孔43としている。この場合も、回転シャフト110からの力が2つのセグメント11それぞれの溶接部70に対して相対的に加わったとき、具体的には、溶接部70の相互間に、捻り力等が加わったときも、バランスウェイト40の剛性を十分に確保しつつ、回転シャフト110との溶接部70に集中する応力を緩和させることができる。
【0061】
特に、本実施形態に係るバランスウェイト40も、連結部41は、各セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出する連結部である。本実施形態に係るバランスウェイト40によれば、回転シャフト110からの力が2つのセグメント11それぞれの溶接部70に対して相対的に加わったとき、具体的には、溶接部70の相互間に、捻り力等が加わったときも、図5Bに示すように、連結部41がアーチ状に突出した分、当該連結部41の領域が広く大きな可動域となる。これにより、溶接部70に集中する応力を緩和させることができる。
【0062】
更に、本実施形態に係るバランスウェイト40では、孔43は長孔である。この場合、連結部41と孔43との応力の集中を緩和することができる。
【0063】
なお、本発明によれば、孔43の形状は、特に限定されない。例えば、楕円形孔、長方形孔等の多角形長孔等とすることができる。また、孔43は、長孔ではなく、円形孔、正方形孔等の正多角形孔等とすることができる。
【0064】
更に、図6A及び図6B中、符号500は、本発明の第五の実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフトである。バランスウェイト付き回転シャフト500は、図6Bに示すように、図1の回転シャフト110の外面Fにバランスウェイト50を溶接したものである。バランスウェイト50は、本発明の第五の実施形態に係るバランスウェイトである。バランスウェイト50は、第一の実施形態に係るバランスウェイト10の変形例である。以下、図1図2A及びB、図3A及びB、図4A及びB、図5A及びBと実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0065】
本実施形態に係るバランスウェイト50では、本体部Aは、1つのセグメント11で構成されている。セグメント11は、図6Aに示すように、平面視で、セグメント11の輪郭線L3及びL4で区画された矩形状に形作られている。また、本実施形態では、少なくとも1つの張出部Bは、1つの張出部15である。本実施形態では、1つの張出部15は、セグメント11の平面視における、2つの輪郭線L3のうちの一方の輪郭線L3の一部を突出させてなる。張出部15は、図6Aに示すように、平面視で、上述の張出部14と同様に構成することができる。
【0066】
本実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフト500では、2つのバランスウェイト50を、軸線O周りに間隔を置いて溶接している。詳細には、図6A等に示すように、2つのバランスウェイト50は、互いの張出部15が軸線O周り(周方向)で逆向きに延在して配置されるように、回転シャフト110に対して溶接されている。従って、2つのバランスウェイト50は、張出部15によって一方の輪郭線L3側が回転シャフト110に対して溶接されている一方、互いに向かい合う他方の輪郭線L3側が回転シャフト110に対して開放された状態に構成されている。
【0067】
本実施形態でも、バランスウェイト50の溶接幅は、張出部15の輪郭線L3方向における幅W15となる。張出部15の幅W15は、バランスウェイト10の輪郭線L3方向における全体幅W50に比べて短く制限される。即ち、セグメント11の平面視における輪郭線L3の一部を突出させて溶接部70とすることにより、溶接幅が短く制限される。このように、バランスウェイト50の溶接幅を短く制限すれば、回転シャフト110に対してバランスウェイト50を溶接した状態では、回転シャフト110からの力が2つのセグメント11それぞれの溶接部70に対して相対的に加わったとき、具体的には、溶接部70の相互間に、捻り力等が加わったときの、当該バランスウェイト50に対する回転シャフト110の拘束力が弱まる。従って、本実施形態に係るバランスウェイト50によっても、溶接部70に集中する応力を緩和させることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、2つのバランスウェイト50を軸線Oの周りに並列に溶接させたが、バランスウェイト50は、2つ以上の組み合わせることなく、1つのバランスウェイト50で使用することも可能である。
【0069】
上述した各実施形態に係るバランスウェイト10~50ではいずれも、本体部Aは、板状のセグメント11で構成されている。この場合、バランスウェイト10~50は、例えば、1枚の板状部材を用いたプレス加工等により、一体物として容易に製造することができる。
【0070】
また、上述した各実施形態では、本体部Aの基本形状は、平面視で、矩形の形状としているが、矩形の形状以外の多角形状、円形状、楕円形状等、様々な形状とすることができる。即ち、バランスウェイト10~50全体の輪郭形状は、平面視で、矩形の形状を基本としているが、本発明に係るバランスウェイトの基本的な輪郭形状は、矩形の形状に限定されるものではない。本発明に係るバランスウェイトの基本的な輪郭形状も、矩形の形状以外の多角形状、円形状、楕円形状等、様々な形状とすることができる。
【0071】
また、上述した各実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフト100~500は、回転シャフト110と、回転シャフト110の外面Fに固定された、バランスウェイト10~50のいずれかと、を有している。上述した各実施形態に係るバランスウェイト付き回転シャフト100~500によれば、溶接部70に集中する応力を緩和させることにより、製品寿命の向上が図られる。
【0072】
更に、上述した各実施形態に係る、バランスウェイト付き回転シャフト100~500は、回転シャフト110の外面Fに、上述したいずれかのバランスウェイト10~50を溶接することにより、製造することができる。
【0073】
本発明の一実施形態に係る、バランスウェイト付き回転シャフトの製造方法では、バランスウェイトとして、上記のいずれか1つのバランスウェイト10~50を用い、当該バランスウェイト10~50の張出部14、15を回転シャフト110の外面Fに溶接する。本実施形態に係る、バランスウェイト付き回転シャフトの製造方法によれば、製品寿命の向上が図られた、バランスウェイト付き回転シャフト100~500を得ることができる。
【0074】
なお、図7A及び図7Bは、参考例に係るバランスウェイト60を図1の回転シャフト110に適用した、参考例に係るバランスウェイト付き回転シャフト600である。バランスウェイト付き回転シャフト600は、図7Bに示すように、図1の回転シャフト110の外面Fにバランスウェイト60を溶接したものである。以下、図1図2A及びB、図3A及びB、図4A及びB、図5A及びB、図6A及びBと実質的に同一の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0075】
バランスウェイト付き回転シャフト600は、バランスウェイト60の中心部で、当該バランスウェイト60を回転シャフト110に対してスポット溶接したものである。この例では、符号61は、スポット溶接部である。また、符号70は、スポット溶接後の溶接部である。このように、バランスウェイト60を1箇所のみで溶接すれば、溶接部70に集中する応力を緩和させることができる。
【0076】
上述したところは、本発明の様々な実施形態の一例であって、特許請求の範囲の記載によれば、種々の変更が可能である。例えば、上述の実施形態のように、連結部21,31及び41は、各セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出させることが好ましい。ただし、連結部21、31及び41は、各セグメント11の合わせ面13aよりも外側にアーチ状に突出させなくともよい。即ち、連結部21の内面22、連結部31の内面32及び連結部41の内面42はそれぞれ、軸線方向視で、各バランスウェイト20,30及び40を回転シャフト110に溶接させた状態で、回転シャフト110の外面Fに一致させることができる。
【0077】
また上述した実施形態に係るバランスウェイト20~40では、連結部21,31,41は、それぞれ、セグメント11の突出部11bに接続されているが、セグメント11の合わせ部11aに直結することができる。即ち、本発明によれば、セグメント11の突出部11b(立ち上り面13b)は省略することができる。
【0078】
また、上述した各実施形態に係るバランスウェイト10~50は、セグメント11の輪郭線L1(輪郭線L3)が軸線Oに対して平行に配置されるように、回転シャフト110の外面Fに対して溶接されている。しかしながら、本発明に係るバランスウェイトは、例えば、セグメント11の輪郭線L2(輪郭線L4)が軸線Oに対して平行に配置されるように、回転シャフト110の外面Fに対して溶接することもできる。
【0079】
また、上述した実施形態に係るバランスウェイト20~40では、隙間Gは、それぞれの平面視で、セグメント11の輪郭線L1(輪郭線L3)に沿って延在している。しかしながら、隙間Gの延在方向は、回転シャフト110に対して固定されるバランスウェイト20~40の向きに応じて適宜変更することができる。また、隙間Gの形状、個数及び配置も、連結部21,31.41の形状、個数及び配置に応じて、適宜変更することができる。
【0080】
更に上述した各実施形態に係る、バランスウェイト及びバランスウェイト付き回転シャフトの各構成は、互いに適宜に置き換えて、又は、組み合わせて使用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10:バランスウェイト(第一の実施形態), 11:セグメント, 11a:合わせ部, 11b:突出部, 12:セグメントの外面, 13:セグメントの内面, 13a:合わせ面, 13b:立ち上り面, 14:張出部, 15:張出部, 20:バランスウェイト(第二の実施形態), 21:連結部, 22:連結部の内面, 23:切り込み, 23a:切り込み本体部, 23b:切り込み先端部(切り込みの先端側), 23c:切り込み先端部(切り込みの先端側), 23e:切り込みの先端, 30:バランスウェイト(第三の実施形態), 31:連結部, 32:連結部の内面, 40:バランスウェイト(第四の実施形態), 41:連結部, 42:連結部の内面, 43:孔, 43a:孔本体部, 43b:孔先端部(孔の片側端側), 43e:孔の先端, 50:バランスウェイト(第五の実施形態), 60:バランスウェイト, 61:溶接部, 100:バランスウェイト付き回転シャフト(第一の実施形態), 110:回転シャフト, 200:バランスウェイト付き回転シャフト(第二の実施形態), 300:バランスウェイト付き回転シャフト(第三の実施形態), 400:バランスウェイト付き回転シャフト(第四の実施形態), 500:バランスウェイト付き回転シャフト(第五の実施形態), 600:バランスウェイト付き回転シャフト, A:本体部, B:張出部, C:逃げ構造, d:切り込み(孔)の幅, F:回転シャフトの外面, G:隙間, L:切り込み(孔)の長さ, L1:セグメントの(短辺側の)輪郭線, L2:セグメントの(長辺側の)輪郭線, L3:セグメントの(長辺側の)輪郭線, L4:セグメントの(短辺側の)輪郭線, O:軸線, R:切り込み先端部の半径, r:切り込み先端部(孔先端部)の半径, S:空間, 70:溶接部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B