(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】呼出確認動作制御装置
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20220620BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20220620BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20220620BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
A61G12/00 E
H04M9/00 Z
G08B25/04 K
G08B21/02
(21)【出願番号】P 2018141657
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】橘 太
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-067822(JP,A)
【文献】特開2010-238189(JP,A)
【文献】特開2010-233629(JP,A)
【文献】特表2000-517114(JP,A)
【文献】国際公開第98/008203(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
H04M 9/00
G08B 25/04
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコールの呼び出しが行われた際に、呼び出しが行われていることを確認できるようにするための呼出確認動作を制御する装置であって、
患者の状態に応じて医療従事者を呼び出すための患者状態検出機器が
、ナースコールシステム
が備える壁埋込形子機または当該壁埋込形子機に接続された分配器に対して電気的に接続されたことを検出する接続検出部と、
上記接続検出部により上記患者状態検出機器が上記
壁埋込形子機または上記分配器に接続されたことが検出された後、上記患者状態検出機器からの呼び出しが発生した場合に、その呼び出しが上記
壁埋込形子機または上記分配器に対する上記患者状態検出機器の接続後の最初の呼び出しか否かを判定する呼出判定部と、
上記呼出判定部により上記最初の呼び出しであると判定された場合には上記呼出確認動作を行う一方、上記呼出判定部により上記最初の呼び出しではないと判定された場合には上記呼出確認動作を行わないように制御する呼出確認動作制御部とを備えたことを特徴とする呼出確認動作制御装置。
【請求項2】
上記呼出確認動作制御部は、患者の意思に基づく操作によって医療従事者を呼び出すためのナースコール子機からの呼び出しが発生した場合には、その呼び出しが上記
壁埋込形子機または上記分配器に対する上記ナースコール子機の接続後の何回目の呼び出しであるかにかかわらず、上記呼出確認動作を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の呼出確認動作制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼出確認動作制御装置に関し、特に、ナースコールの呼び出しが行われたときに、呼び出しが行われていることを確認できるようにするための呼出確認動作を制御する装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院などで用いられているナースコールシステムでは、患者がナースコール子機の呼出ボタンを押下することによって医療従事者を呼び出したときに、呼び出しが確かに行われていることを患者が確認できるように、ベッドサイドの壁面等に設置された呼出確認灯(呼出表示器ともいう)を点灯または点滅(以下、単に点灯という)させることが行われている。
【0003】
なお、ナースコール子機の中には、患者の意思で医療従事者を呼び出すためのものとは異なり、患者の状態に応じて医療従事者を呼び出すためのもの(以下、患者状態検出機器という)が存在する。その一例として、患者の離床や徘徊などを検出するためのマットセンサがある。このような患者状態検出機器を用いる場合、呼び出しが行われたときに、呼出確認灯を点灯させるのは好ましくない。患者が呼び出しを行ってしまったと萎縮したり、それ以降は患者がマットセンサを避けるような行動を取ったりするケースが生じてしまうからである。
【0004】
このような事態を解消するために、患者状態検出機器から呼び出しが行われたときに、呼出確認灯を点灯させないようにする技術が考案されている(例えば、特許文献1の段落[0011]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、患者状態検出機器から呼び出しが行われたときに、呼出確認灯を点灯させないようにした場合には、以下のような問題があった。すなわち、患者状態検出機器の使用を開始する際の動作確認を医療従事者が行うとき、患者状態検出機器を検出状態にしつつ、呼び出しが行われていることを、室外の廊下灯に設けられた表示器の動作で確認したり、ナースセンタに設置されたナースコール親機の動作で確認したりしなければならず、非常に面倒であった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、患者状態検出機器から呼び出しが行われたことを患者に悟られないようにするとともに、患者状態検出機器の使用を開始する際の動作確認を簡単に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、患者の状態に応じて医療従事者を呼び出すための患者状態検出機器が、ナースコールシステムが備える壁埋込形子機または当該壁埋込形子機に接続された分配器に対して電気的に接続されたことを検出した後、患者状態検出機器からの呼び出しが発生した場合に、その呼び出しが壁埋込形子機または分配器に対する患者状態検出機器の接続後の最初の呼び出しか否かを判定し、最初の呼び出しである場合には呼出確認動作を行う一方、最初の呼び出しではない場合には呼出確認動作を行わないようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、ナースコールシステムに接続して患者状態検出機器の使用を開始する際に、動作確認を行うために医療従事者が患者状態検出機器を検出状態にすると、患者状態検出機器から呼び出しが行われる。このとき行われる呼び出しは、患者状態検出機器をナースコールシステムに接続した後の最初の呼び出しであるため、呼出確認動作が行われる。このため、医療従事者は、呼出確認動作の状態により、患者状態検出機器の動作確認を簡単に行うことができる。一方、患者状態検出機器の使用を開始した後に、患者が患者状態検出機器を検出状態にしたときに行われる呼び出しは、患者状態検出機器をナースコールシステムに接続した後の最初の呼び出しではないため、呼出確認動作が行われない。このため、患者状態検出機器から呼び出しが行われたことが患者に認識されることはない。以上のように、本発明によれば、患者状態検出機器から呼び出しが行われたことを患者に悟られないようにするとともに、患者状態検出機器の使用を開始する際の動作確認を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態による呼出確認動作制御装置を適用したナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態によるナースコール親機(呼出確認動作制御装置)の機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】ナースコール親機の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】ナースコール親機の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による呼出確認動作制御装置を適用したナースコールシステムの全体構成例を示す図である。なお、ここでは病院に設置されるナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態のナースコールシステムは、ナースコール親機1、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4、ハンド形子機5およびマットセンサ6を備えて構成されている。
【0013】
ナースコール親機1は、ハンド形子機5およびマットセンサ6からの呼び出しを医療従事者に報知し、医療従事者がその呼び出しに対する応答の操作を行うためのものであり、例えばナースセンタに設置される。また、ナースコール親機1は、本実施形態の呼出確認動作制御装置に相当するものであり、壁埋込形子機4が備える呼出確認灯4cに対する呼出確認動作の制御も行う。
【0014】
制御機2は、ナースコール親機1と廊下灯3との間に接続され、通話やデータの送受信に関する制御を行う。
【0015】
廊下灯3は、病院の各病室の入口付近外部に設置される。この廊下灯3は、表示装置を備え、病室内の患者名が表示装置に表示されるとともに、病室内の患者がハンド形子機5を用いて医療従事者の呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが表示装置に表示されるようになっている。また、患者の所定の状態がマットセンサ6により検出されて呼び出しが行われた場合も、呼び出しが行われたことが表示装置に表示されるようになっている。
【0016】
壁埋込形子機4は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機4は、廊下灯3に接続されている。また、壁埋込形子機4は、ハンド形子機5を接続するための第1接続端子4aと、マットセンサ6を接続するための第2接続端子4bと、LEDなどを用いた呼出確認灯4cとを備えている。呼出確認灯4cは、ハンド形子機5およびマットセンサ6から呼び出しが行われた際に、呼び出しが行われていることを確認できるようにするために点灯または点滅(以下、単に点灯という)する。
【0017】
本実施形態では、呼出確認灯4cの動作は、ハンド形子機5から呼び出しが行われた場合と、マットセンサ6から呼び出しが行われた場合とで異なる。すなわち、ハンド形子機5から呼び出しが行われた場合は、呼び出しが行われる毎に呼出確認灯4cが点灯する。一方、マットセンサ6から呼び出しが行われた場合については、マットセンサ6が壁埋込形子機4に接続された後で最初の呼び出しが行われたときは呼出確認灯4cが点灯する一方、2回目以降の呼び出しが行われたときは呼出確認灯4cが点灯しない。つまり、呼出確認灯4cは消灯したままである。
【0018】
マットセンサ6が壁埋込形子機4に接続された後の最初の呼び出し時に呼出確認灯4cを点灯させるのは、マットセンサ6を接続した医療従事者がマットセンサ6の動作確認をする際に、呼び出しが正常に行われているか否かをその場で簡単に確認できるようにするためである。一方、2回目以降の呼び出し時に呼出確認灯4cを消灯したままにしておくのは、動作確認後にマットセンサ6を実使用する際に、患者の所定の状態が検出されて呼び出しが行われていることを患者に悟られないようにするためである。この呼出確認灯4cの表示は、ナースコール親機1からの指令によって制御される。
【0019】
なお、図示はしていないが、壁埋込形子機4は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が医療従事者と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカを備えていてもよい。また、壁埋込形子機4は、呼び出しに応じて行われている報知処理を停止するための復旧ボタンを備えていてもよい。
【0020】
ハンド形子機5は、壁埋込形子機4の第1接続端子4aに接続される。ハンド形子機5は、患者の意思に基づく操作によって医療従事者を呼び出すためのナースコール子機であり、患者が医療従事者を呼び出すための呼出ボタンと、患者が医療従事者と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカとを備えている。なお、壁埋込形子機4がマイクおよびスピーカを備える場合、ハンド形子機5に代えて、マイクおよびスピーカを備えないもの(例えば、握り押しボタン)を用いてもよい。
【0021】
患者がハンド形子機5の呼出ボタンを押下すると、医療従事者に対する呼び出しが発生し、その呼出信号が壁埋込形子機4、廊下灯3および制御機2を介してナースコール親機1に送信される。この呼出信号の中には、呼び出しを行ったハンド形子機5の子機IDと、当該ハンド形子機5が接続されている壁埋込形子機4の子機IDとが含まれている。そして、医療従事者がナースコール親機1において応答の操作を行うと、ナースコール親機1とハンド形子機5との間で通話を行うことが可能となる。
【0022】
なお、医療従事者が所持する携帯端末を携帯型ナースコール親機として用いるようになされたナースコールシステムの場合、ナースコール親機1から携帯端末に呼出信号が転送されて、携帯端末に対する呼び出しも行われる。そして、医療従事者が携帯端末において応答の操作を行うと、携帯端末とハンド形子機5との間で通話を行うことが可能となる。
【0023】
マットセンサ6は、壁埋込形子機4の第2接続端子4bに接続される。マットセンサ6は、患者の意思とは関係なく、患者の状態に応じて医療従事者を呼び出すための患者状態検出機器の一例である。例えば、マットセンサ6は、重量センサを備えて構成され、患者が使用するベッドの周辺の床に敷いて使用される。そして、患者がマットセンサ6に乗ったことを検知すると、患者の徘徊、離床またはベッドからの転落を知らせるための呼び出しが発生し、その呼出信号が壁埋込形子機4、廊下灯3および制御機2を介してナースコール親機1に送信される。この呼出信号の中には、呼び出しを行ったマットセンサ6の子機IDと、当該マットセンサ6が接続されている壁埋込形子機4の子機IDとが含まれている。
【0024】
また、マットセンサ6は、患者が使用するベッドのマットレス(または敷布団)の上に敷いて使用されることもある。この場合、患者がマットセンサ6に乗らなくなったことを検知すると、患者の徘徊、離床またはベッドからの転落を知らせるための呼び出しが発生し、その呼出信号が壁埋込形子機4、廊下灯3および制御機2を介してナースコール親機1に送信される。この呼出信号の中には、呼び出しを行ったマットセンサ6の子機IDと、当該マットセンサ6が接続されている壁埋込形子機4の子機IDとが含まれている。
【0025】
図2は、本実施形態によるナースコール親機1(呼出確認動作制御装置)の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態によるナースコール親機1は、呼出受付部11、呼出実行部12、応答受付部13、接続検出部14、呼出状況管理部15、呼出判定部16および呼出確認動作制御部17を備えている。
【0026】
なお、上記各機能ブロック11~17は、ハードウェア構成、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、上記各機能ブロック11~17は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0027】
呼出受付部11は、ハンド形子機5およびマットセンサ6からの呼び出しを受け付ける。すなわち、呼出受付部11は、ハンド形子機5およびマットセンサ6から壁埋込形子機4、廊下灯3および制御機2を介して送られてくる呼出信号を受信する。そして、受信した呼出信号によって伝えられる子機情報(呼び出しを行ったハンド形子機5またはマットセンサ6を特定するための子機IDなど)を呼出実行部12に通知する。
【0028】
また、呼出受付部11は、呼び出しがハンド形子機5からのものであった場合(呼出信号の中にハンド形子機5の子機IDが含まれる場合)は、ハンド形子機5からの呼び出しが行われたことを呼出確認動作制御部17に通知する。また、呼出受付部11は、呼び出しがマットセンサ6からのものであった場合(呼出信号の中にマットセンサ6の子機IDが含まれる場合)は、そのマットセンサ6が接続されている壁埋込形子機4の子機IDを呼出状況管理部15および呼出判定部16に通知する。
【0029】
呼出実行部12は、呼出受付部11がハンド形子機5またはマットセンサ6からの呼び出しを受け付けたときに、所定の呼出動作を実行する。すなわち、呼出実行部12は、呼出受付部11から通知される子機情報に基づいて、患者情報記憶部(図示せず)を参照することにより、呼び出しが行われたハンド形子機5またはマットセンサ6に対応する患者を特定する。そして、特定した患者の患者情報(例えば、氏名、部屋番号、ベッド番号など)のポップアップ画面を生成してナースコール親機1のディスプレイに表示させるとともに、呼出音をスピーカから出力する。なお、医療従事者が所持する携帯端末を携帯型ナースコール親機として用いるようになされたナースコールシステムの場合、呼出実行部12は、携帯端末に対する呼び出しも実行する。
【0030】
呼出受付部11がハンド形子機5またはマットセンサ6からの呼び出しを受け付けた場合、呼出確認動作制御部17により壁埋込形子機4の呼出確認灯4cの表示制御(呼出確認動作)も行われる。なお、これについての詳細は後述する。
【0031】
応答受付部13は、ナースコール親機1からの応答を受け付けて、所定の応答動作を実行する。例えば、医療従事者が呼び出しに応答するためにナースコール親機1のハンドセットをオフフックすると、オフフックされたことを応答受付部13が受け付けて、上述した呼出実行部12による呼出動作および呼出確認動作制御部17による呼出確認動作を停止させる。
【0032】
なお、医療従事者の携帯端末に呼び出しを行うナースコールシステムの場合、応答受付部13は携帯端末からの応答も受け付けて、上記と同様の応答動作を行う。また、壁埋込形子機4が復旧ボタンを備える場合、応答受付部13は、壁埋込形子機4から送られてくる復旧信号を受け付けて、上記の応答動作と同様に呼出実行部12による呼出動作および呼出確認動作制御部17による呼出確認動作を停止させる。
【0033】
接続検出部14は、マットセンサ6がナースコールシステムに接続されたこと、つまり壁埋込形子機4に接続されたことを検出する。壁埋込形子機4の第2接続端子4bには、これにプラグが接続されたか否かを電気的に検出するセンサが備えられている。第2接続端子4bにマットセンサ6のプラグが接続されると、そのことが壁埋込形子機4のセンサにより検出され、接続信号が廊下灯3および制御機2を介してナースコール親機1に送信される。この接続信号の中には、マットセンサ6の子機IDと、当該マットセンサ6が接続された壁埋込形子機4の子機IDとが含まれている。ナースコール親機1の接続検出部14は、この接続信号を受信することにより、マットセンサ6が壁埋込形子機4に接続されたことを検出する。
【0034】
一方、第2接続端子4bからマットセンサ6のプラグが抜かれると、そのことが壁埋込形子機4のセンサにより検出され、離脱信号が廊下灯3および制御機2を介してナースコール親機1に送信される。この離脱信号の中には、マットセンサ6の子機IDと、当該マットセンサ6が接続された壁埋込形子機4の子機IDとが含まれている。ナースコール親機1の接続検出部14は、この離脱信号を受信することにより、マットセンサ6の壁埋込形子機4に対する接続が解除されたことを検出する。
【0035】
呼出状況管理部15は、壁埋込形子機4の子機IDごとに、マットセンサ6からの呼出状況を管理する。例えば、呼出状況管理部15は、マットセンサ6からの呼び出しが行われたか否かを示すフラグ情報(呼び出しが既に行われた場合は値が“1”、呼び出しがまだ行われていない場合は値が“0”の情報)を記憶する。そして、呼出状況管理部15は、マットセンサ6からの呼び出しの有無に応じて、フラグ情報の値を更新する。
【0036】
具体的には、呼出状況管理部15は、接続検出部14が接続信号を受信したときに、その接続信号に含まれる壁埋込形子機4の子機IDに関連づけてフラグ情報を記憶部にセットし、その初期値として“0”を記憶させる。その後、呼出受付部11がマットセンサ6からの呼出信号を受信したときに、その呼出信号に含まれる壁埋込形子機4の子機IDに対応するフラグ情報の値を“1”に更新する。それ以降、フラグ情報の値は“1”に維持される。なお、接続検出部14が離脱信号を受信した場合、その離脱信号に含まれる壁埋込形子機4の子機IDに対応するフラグ情報を記憶部から消去する。
【0037】
なお、ここでは、マットセンサ6が接続された壁埋込形子機4についてのみフラグ情報を呼出状況管理部15にて管理する例について説明したが、マットセンサ6が接続されていない壁埋込形子機4も含めて全ての壁埋込形子機4に関するフラグ情報を呼出状況管理部15にて管理するようにしてもよい。この場合、呼出状況管理部15は、全ての壁埋込形子機4の子機IDに関連付けてフラグ情報を記憶部に記憶し、全てのフラグ情報に初期値として“0”を記憶させておく。そして、呼出受付部11がマットセンサ6からの呼出信号を受信したときに、その呼出信号に含まれる壁埋込形子機4の子機IDに対応するフラグ情報の値を“1”に更新する。そして、接続検出部14が離脱信号を受信したときに、その離脱信号に含まれる壁埋込形子機4の子機IDに対応するフラグ情報の値を“0”に更新する。
【0038】
呼出判定部16は、接続検出部14によりマットセンサ6が壁埋込形子機4に接続されたことが検出された後、マットセンサ6からの呼び出しが発生した場合に、その呼び出しが壁埋込形子機4に対するマットセンサ6の接続後の最初の呼び出しか否かを判定する。すなわち、呼出判定部16は、壁埋込形子機4の子機IDが呼出受付部11から通知されることにより、マットセンサ6からの呼び出しが発生したことを検知した場合、その壁埋込形子機4の子機IDに対応して呼出状況管理部15により記憶されているフラグ情報の値を確認することにより、壁埋込形子機4に対するマットセンサ6の接続後の最初の呼び出しか否かを判定する。ここで、呼出判定部16は、フラグ情報の値が“0”であれば最初の呼び出しであると判定し、フラグ情報の値が“1”であれば最初の呼び出しではないと判定する。
【0039】
呼出確認動作制御部17は、マットセンサ6からの呼び出しが発生した場合において、呼出判定部16により最初の呼び出しであると判定された場合には、壁埋込形子機4の呼出確認灯4cに対する呼出確認動作(呼出確認灯4cの点灯)を行うように制御する。すなわち、呼出確認動作制御部17は、呼出発生元の壁埋込形子機4に点灯指令信号を送信することにより、呼出確認灯4cを点灯させる。一方、呼出判定部16により最初の呼び出しではないと判定された場合には、呼出確認動作制御部17は、呼出確認灯4cに対する呼出確認動作を行わないように制御する。すなわち、呼出確認動作制御部17は、壁埋込形子機4に点灯指令信号は送信せず、呼出確認灯4cの消灯状態を維持する。
【0040】
また、呼出確認動作制御部17は、ハンド形子機5からの呼び出しが発生した場合には、その呼び出しが壁埋込形子機4に対するハンド形子機5の接続後の何回目の呼び出しであるかにかかわらず、呼出確認灯4cに対する呼出確認動作を行うように制御する。すなわち、呼出確認動作制御部17は、ハンド形子機5からの呼び出しが発生したことが呼出受付部11から通知された場合には、呼出発生元の壁埋込形子機4に点灯指令信号を送信することにより、呼出確認灯4cを点灯させる。
【0041】
また、呼出確認動作制御部17は、応答受付部13がナースコール親機1からの応答を受け付けた場合、呼出発生元の壁埋込形子機4に消灯指令信号を送信して、呼出確認灯4cを消灯させる。医療従事者の携帯端末に呼び出しを行うナースコールシステムにおいて応答受付部13が携帯端末からの応答も受け付けた場合や、壁埋込形子機4が復旧ボタンを備える場合において応答受付部13が壁埋込形子機4から復旧信号を受信した場合も同様である。
【0042】
図3および
図4は、上記のように構成したナースコール親機1の動作例を示すフローチャートである。
図3は、主に接続検出部14および呼出状況管理部15により実行される動作例を示すものであり、ナースコール親機1の動作中は常時実行されている。
図4は、主に呼出状況管理部15、呼出判定部16および呼出確認動作制御部17により実行される動作例を示すものであり、ハンド形子機5またはマットセンサ6からの呼び出しが発生するごとに実行される。
【0043】
図3において、まず、接続検出部14は、マットセンサ6の接続信号を受信したか否かを判定する(ステップS1)。接続検出部14がマットセンサ6の接続信号を受信していない場合(ステップS1にてNo)、処理はステップS3に遷移する。一方、接続検出部14は、マットセンサ6の接続信号を受信した場合(ステップS1にてYes)、当該接続信号に含まれる子機IDで示される壁埋込形子機4にマットセンサ6が接続されたことを検出し、その子機IDを呼出状況管理部15に通知する。この場合、呼出状況管理部15は、接続検出部14から通知された壁埋込形子機4の子機IDに関連づけてフラグ情報を記憶部にセットし、その初期値として“0”を記憶させる(ステップS2)。
【0044】
その後、接続検出部14は、マットセンサ6の離脱信号を受信したか否かを判定する(ステップS3)。接続検出部14がマットセンサ6の離脱信号を受信していない場合(ステップS3にてNo)、処理はステップS1に戻る。一方、接続検出部14は、マットセンサ6の離脱信号を受信した場合(ステップS3にてYes)、当該離脱信号に含まれる子機IDで示される壁埋込形子機4からマットセンサ6が外されたことを検出し、その子機IDを呼出状況管理部15に通知する。この場合、呼出状況管理部15は、接続検出部14から通知された壁埋込形子機4の子機IDに対応するフラグ情報を記憶部から消去する(ステップS4)。その後、処理はステップS1に戻る。
【0045】
図4において、まず、呼出受付部11は、呼出信号を受信したか否かを判定する(ステップS11)。呼出信号を受信していない場合は(ステップS11にてNo)、ステップS11の判定を繰り返す。一方、呼出受付部11は、呼出信号を受信した場合(ステップS11にてYes)、それがマットセンサ6からの呼び出しであるか否かを判定する(ステップS12)。
【0046】
ここで、マットセンサ6からの呼び出しではない、つまりハンド形子機5からの呼び出しであると呼出受付部11にて判定した場合(ステップS12にてNo)、呼出受付部11はそのことを呼出確認動作制御部17に通知する。呼出確認動作制御部17は、この通知を受けて、呼出発生元の壁埋込形子機4に点灯指令信号を送信することにより、呼出確認灯4cを点灯させる(ステップS15)。
【0047】
一方、マットセンサ6からの呼び出しであると呼出受付部11にて判定した場合(ステップS12にてYes)、呼出受付部11は、呼出信号に含まれている壁埋込形子機4の子機IDを呼出状況管理部15および呼出判定部16に通知する。呼出判定部16は、通知された壁埋込形子機4の子機IDに対応して呼出状況管理部15により記憶されているフラグ情報の値を確認することにより、壁埋込形子機4に対するマットセンサ6の接続後の最初の呼び出しか否かを判定する(ステップS13)。
【0048】
最初の呼び出しではないと呼出判定部16により判定された場合(ステップS13にてNo)、
図4に示すフローチャートの処理は終了する。一方、最初の呼び出しであると呼出判定部16により判定された場合(ステップS13にてYes)、呼出状況管理部15は、呼出受付部11より通知された壁埋込形子機4の子機IDに対応するフラグ情報の値を“1”に更新する(ステップS14)。また、呼出確認動作制御部17は、呼出発生元の壁埋込形子機4に点灯指令信号を送信することにより、呼出確認灯4cを点灯させる(ステップS15)。
【0049】
その後、応答受付部13がナースコール親機1での応答を受け付けたか否かを判定する(ステップS16)。応答を受け付けていない場合は(ステップS16にてNo)、ステップS16の判定を繰り返す。一方、応答受付部13がナースコール親機1での応答を受け付けた場合(ステップS16にてYes)、呼出確認動作制御部17は、呼出発生元の壁埋込形子機4に消灯指令信号を送信して、呼出確認灯4cを消灯させる(ステップS17)。これにより、
図4に示すフローチャートの処理は終了する。
【0050】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、マットセンサ6が壁埋込形子機4に接続されたことを検出した後、マットセンサ6からの呼び出しが発生した場合に、その呼び出しが壁埋込形子機4に対するマットセンサ6の接続後の最初の呼び出しか否かを判定する。そして、最初の呼び出しである場合には壁埋込形子機4の呼出確認灯4cに対する呼出確認動作を行う一方、最初の呼び出しではない場合には呼出確認灯4cに対する呼出確認動作を行わないようにしている。
【0051】
このように構成した本実施形態によれば、壁埋込形子機4に接続してマットセンサ6の使用を開始する際に、動作確認を行うために医療従事者がマットセンサ6を検出状態にすると、マットセンサ6からの呼び出しが行われる。このとき行われる呼び出しは、マットセンサ6を壁埋込形子機4に接続した後の最初の呼び出しであるため、壁埋込形子機4の呼出確認灯4cに対する呼出確認動作が行われる。このため、医療従事者は、呼出確認灯4cの動作状態により、マットセンサ6の動作確認を簡単に行うことができる。
【0052】
一方、マットセンサ6の使用を開始した後に、患者がマットセンサ6を検出状態にしたときに行われる呼び出しは、マットセンサ6を壁埋込形子機4に接続した後の最初の呼び出しではないため、呼出確認灯4cに対する呼出確認動作が行われない。このため、マットセンサ6から呼び出しが行われたことが患者に認識されることはない。以上のように、本実施形態によれば、マットセンサ6から呼び出しが行われたことを患者に悟られないようにするとともに、マットセンサ6の使用を開始する際の動作確認を簡単に行うことができる。
【0053】
なお、上記実施形態では、ハンド形子機5からの呼び出しまたはマットセンサ6からの最初の呼び出しが発生したときに、呼出確認動作制御部17が呼出確認灯4cの点灯を行うように制御する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、呼出確認灯4cに変えてスピーカを壁埋込形子機4に設け、呼出確認動作制御部17は、ハンド形子機5からの呼び出しまたはマットセンサ6からの最初の呼び出しが発生したときに、呼出確認音の出力を行うように壁埋込形子機4を制御するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、接続検出部14、呼出状況管理部15、呼出判定部16および呼出確認動作制御部17の機能をナースコール親機1が備える例について説明したが、制御機2または壁埋込形子機4が備えるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、患者状態検出機器としてマットセンサ6を用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、患者の離床や徘徊などを検出するための赤外線センサを用いることも可能である。その他、患者の意思による操作によって呼び出しを行うものではなく、患者の状態に応じて呼び出し行うものであれば、何れもマットセンサ6に代えて適用することが可能である。
【0056】
また、上記実施形態では、壁埋込形子機4が2つの接続端子4a,4bを備え、それぞれに対してハンド形子機5およびマットセンサ6を接続する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、壁埋込形子機4が1つの接続端子を備え、これに分配器を接続し、分配器が備える2つの接続端子に対してハンド形子機5およびマットセンサ6を接続するようにしてもよい。
【0057】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ナースコール親機(呼出確認動作制御装置)
4 壁埋込形子機
4c 呼出確認灯
5 ハンド形子機(ナースコール子機)
6 マットセンサ(患者状態検出機器)
11 呼出受付部
14 接続検出部
15 呼出状況管理部
16 呼出判定部
17 呼出確認動作制御部