(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】おりん及びりん棒付きおりん
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
A47G33/00 L
(21)【出願番号】P 2021125950
(22)【出願日】2021-07-30
【審査請求日】2021-08-05
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】392031790
【氏名又は名称】株式会社小泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊博
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-130305(JP,A)
【文献】特開2017-121527(JP,A)
【文献】特開2012-011190(JP,A)
【文献】特開2011-177492(JP,A)
【文献】特開2012-055708(JP,A)
【文献】特開2014-039844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
りん本体部と、支持部材と、前記支持部材を立設した台座部とを備え、
前記りん本体部は前記支持部材の先端側にて揺動可能又は/及び回転可能に支持され、
前記りん本体部はりん棒の載置部を有し、
前記りん本体部は下側が開口した逆さお椀形状であり、
前記りん本体部に設けたりん棒の載置部は前記りん本体部の内面中央部が前記支持部材にて支持されている位置に対応した前記りん本体部の上面に設けてあり、
りん棒は指で摘まむためのつまみ部と、りん本体部を打りんするための打撃部とを有し、前記りん棒の重心がりん棒の全長方向の中心よりも前記打撃部側に有し、
前記りん棒は前記打撃部にて前記りん本体部に起立載置可能であり、前記りん本体部に設けた載置部にりん棒を載置した状態で揺動可能又は/及び回転可能で
あり、前記りん棒を用いてりん本体部を打りんした後に前記りん本体部の載置部に前記りん棒を載置すると揺動又は回転が変化するものであることを特徴とするりん棒付きおりん。
【請求項2】
前記りん棒の打撃部は底部が凸面形状であり、前記りん本体部の載置部には前記打撃部が納まる凹部を有していることを特徴とする請求項1記載のりん棒付きおりん。
【請求項3】
前記りん棒の打撃部は底部が凹面形状であり、前記りん本体部の載置部には前記打撃部の凹面に対応した凸部を有していることを特徴とする請求項1記載のりん棒付きおりん。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏壇,祭壇あるいは墓前等にて、葬祭用具として使用される仏りんとも称されるおりんに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先にりん本体部をりん棒で打りんすると、音の響きがよく、余韻が長くなるように、下側が開口した略お椀形状のりん部を揺動可能に支持部材にて支持した仏りんを提案している(特許文献1)。
本発明は、りん棒と組み合せることで、さらにりん本体部が揺動しやすく、音の変化を楽しむことができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、揺動・回転型おりんにおいて、りん棒とおりんとをセットにすることもでき、おりんの揺動に変化を与えることができるおりん及びりん棒付きおりんの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るおりんは、りん本体と、支持部材と、前記支持部材を立設した台座部とを備え、前記りん本体部は前記支持部材の先端側にて揺動可能又は/及び回転可能に支持され、前記りん本体部はりん棒の載置部を有していることを特徴とする。
【0006】
ここで、りん本体部は、支持部材に支持され、りん棒等で打りんすると音が鳴る部分をいう。
この場合に、りん本体部を支持部材で支持する構造としては、弾性部材を用いてりん本体部と支持部材の先端側を連結する態様、りん本体部と支持部材との間に弾性部材を介在させて嵌合又は螺合連結する態様、りん本体部の中央の内面をやじろべえのように支持部材の先端で支持させる態様等、りん本体部が左右,前後に揺動可能になっていればよい。
また、さらにりん本体部が支持部材にて回転可能に支持されていてもよい。
本発明においては、さらにりん本体部にりん棒の載置部を設けた点に特徴がある。
【0007】
本発明において、りん本体部は下側が開口した逆さお椀形状であり、前記りん本体部に設けたりん棒の載置部は前記りん本体部の内面中央部が前記支持部材にて支持されている位置に対応した前記りん本体部の上面に設けてあってもよい。
りん本体部を下側が開口した逆さお椀形状にし、その内面中央部を支持部材の先端側で支持させた状態で、りん本体部をりん棒で打りんすると、りん本体部が揺動したり、あるいはこのりん本体部を回転させながら音が鳴るので、音の響きがよい。
りん本体部の内面中央部が支持部材で支持された状態では、このりん本体部の内面中央部の被支持部は、りん本体部の振動の節となる。
したがって、りん棒をりん本体部の内面中央部に対応するりん本体部の上面に載置部を設けてりん棒を載置しても、りん本体部の振動に大きな影響を与えないが、りん棒をりん本体部の上面に載置することで、りん本体部の揺動が大きくなり、その変化を楽しむことができる。
【0008】
そこで本発明は、りん棒は指で摘まむためのつまみ部と、りん本体部を打りんするための打撃部とを有し、前記りん棒の重心がりん棒の全長方向の中心よりも前記打撃部側に有し、前記りん棒は前記打撃部にて前記りん本体部に起立載置可能にすることができる。
具体的な形態例では、りん棒の打撃部は底部が凸面形状であり、前記りん本体部の上面には前記打撃部が納まる凹部を有している態様や、りん棒の打撃部は底部が凹面形状であり、前記りん本体部の上面には前記打撃部の凹面に対応した凸面になっている態様が例として挙げられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、りん本体部の上面に設けた載置部に、りん棒を起立載置しておくことができるので、つまみ部を指等で摘まみ上げ、そのままりん棒の打撃部を振り子のように軽く振り、りん本体部の打りんすることができる。
打りん後には、りん棒をそのままりん本体部の上面に起立載置すると、りん本体部の振動の節部にりん棒を載置することになり、音の響きに与える影響は少なく、りん棒の重量によりりん本体部が大きく揺れることになり、その変化を楽しむことができる。
このように、りん本体部が揺動もしくは回転する動きに、りん棒の動きが加わることで、特に支持部から離れている端部が大きく振れたり、回転の動きが目で見えやすく、ユーモラスな揺動,回転を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るおりんの例として実施例1を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るおりん及びりん棒付きおりんの例を以下図に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0012】
図1に実施例1を示す。
本発明に係るおりん10は、下側が開口した逆さお椀形状のりん本体部11を有し、このりん本体部11の内面中央部に設けた凹面状の被支持部11bを台座部13から立設した支持部材12の先端部側に設けた支持部12aにて支持させてある。
りん本体部11の下側の開口端部と台座部13との間には、所定の隙間dを有している。
本実施例1にては、支持部12aの形状を円錐状の突部形状にし、りん本体部をやじろべえのように、1点支持させた例になっている。
これにより、りん本体部11は、左右,前後に揺動可能で、且つ回転可能に支持されている。
【0013】
りん棒20は、細長い棒状のつまみ部22と、その下側に打撃部21を有する。
打撃部21は、外径がつまみ部の外径よりも大きい略球形状の形状をした例になっていて、打撃部21の底部21aが曲面形状になっている。
りん棒20の重心20aは、りん棒20の全長の長手方向中心20bよりも打撃部21側になるように設定されている。
りん棒20は、つまみ部22と打撃部21とが同一材料にて一体的に形成されていてもよく、別体の打撃部21につまみ部を嵌着,螺合等にて連結してあってもよい。
また、打撃部21の底部や内部に重り部材を設けてもよい。
このりん棒20の打撃部21が、りん本体部11の上面に設けた凹部形状の載置部11aに納まるようになっていて、起立状態で載置できる。
【0014】
これにより、りん棒20のつまみ部22を指等にて摘まみ上げ、打撃部21を振り子のように軽く振り、りん本体部11の側面を打りんし、そのままりん本体部11の上面に起立収容させることができる。
この際に、りん本体部11が左右,前後に揺動し、りん棒20を起立載置したことにより、りん本体部11の揺動重心がりん棒20により上方に移動することになるので、りん本体部11がりん棒20とともに、大きく揺れる。
【0015】
図2に実施例2を示す。
実施例2は、りん本体部11の上面中央部に設けた載置部11aの凹部の深さを実施例1の深さより浅くすることで、揺動重心が高くなるようにした例である。
【0016】
図3に実施例3を示す。
本実施例3は、りん棒20の打撃部21の底部21aが平面状に形成した自立型の例になっている。
りん本体部11の上面中央部に設けた載置部111aは、平坦面に形成された例になっている。
平坦面の載置部111aは、りん本体部11の上面にそのまま形成してもよく、
図3に示したように凹部形状の底面を平坦にしてもよい。
【0017】
図4に実施例4を示す。
実施例4は、りん本体部11の上面を球面形状の載置部211aにし、この凸面に納まるようにりん棒20の打撃部21の底面21bを凹面形状にした例である。
【0018】
図5に実施例5を示す。
実施例5は、りん本体部11の上面中央部に凸部とその周囲に凹部を形成した載置部311aを形成し、これに対応するようにりん棒20の打撃部21の底部に凹部(凹面)21cを形成した例になっている。
【0019】
図1~
図5に示した実施例はいずれも断面図にて説明しているが、いずれも点対称形状となっている。
より具体的に説明すると、りん本体部11は下側が円形状に開口し、外形が球面形状で上面中央部に平面視で円形状の凹部形状からなる載置部や凸部形状の載置部になっている。
支持部材12は、外形が円形状で台座部13は、底面視で外形(断面形状)が円形状になっている。
りん棒20は、断面円形状で、打撃部は、球形状あるいは断面が円形状になっている。
【0020】
図1~
図5は、いずれも支持部材12の先端側の支持部12aに、りん本体部11の内面中央部を載置支持した例になっているが、弾性体を用いてあるいは弾性体を介して連結してあってもよい。
【0021】
本実施例は、おりん本体部の上面にりん棒を載置する構造で説明したが、このおりんの替わりにベルであってもよい。
例えば、おりん本体部11の替わりにベル本体部11Aにし、打子にてベル本体部の内側から、あるいは外側から打ち鳴らしてもよい。
ベルの場合には、りん棒20の替わりに小物等を載置してもよい。
【符号の説明】
【0022】
10 おりん
11 りん本体部
11a 載置部
11b 被支持部
12 支持部材
12a 支持部
13 台座部
20 りん棒
20a 重心
20b 中心
21 打撃部
21a 底部
22 つまみ部
【要約】
【課題】揺動・回転型おりんにおいて、りん棒とおりんとをセットにすることもでき、おりんの揺動に変化を与えることができるおりん及びりん棒付きおりんの提供を目的とする。
【解決手段】りん本体と、支持部材と、前記支持部材を立設した台座部とを備え、前記りん本体部は前記支持部材の先端側にて揺動可能又は/及び回転可能に支持され、前記りん本体部はりん棒の載置部を有していることを特徴とする。
【選択図】
図1