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  • 特許-透保水性舗装構造およびその工法 図1
  • 特許-透保水性舗装構造およびその工法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】透保水性舗装構造およびその工法
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/24 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
E01C11/24
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022068346
(22)【出願日】2022-04-18
【審査請求日】2022-04-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597104053
【氏名又は名称】日本建設技術株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】原 裕
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-19557(JP,A)
【文献】特開2007-22872(JP,A)
【文献】実開平5-16809(JP,U)
【文献】特開2014-152469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路床上に形成された舗装であり、その上面から路床に至る貫通孔が形成された舗装と、
前記貫通孔内に充填された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスと、
前記貫通孔内に前記発泡ガラスが充填された舗装上に形成された透水性舗装と
を含む透保水性舗装構造。
【請求項2】
前記透水性舗装上に敷均された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを含む請求項1記載の透保水性舗装構造。
【請求項3】
前記貫通孔の内径が50mm~100mmである請求項1または2に記載の透保水性舗装構造。
【請求項4】
前記貫通孔の形成ピッチが500mm~1000mmである請求項1または2のいずれか1項に記載の透保水性舗装構造。
【請求項5】
路床上に形成された舗装の上面から前記路床に至る貫通孔を掘削すること、
前記貫通孔内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを充填すること、
前記貫通孔内に前記発泡ガラスが充填された舗装上に透水性舗装を形成すること
を含む透保水性舗装工法。
【請求項6】
前記透水性舗装上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷均すことを含む請求項5記載の透保水性舗装工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透水性および保水性を備えた透保水性舗装構造およびその工法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化に対する関心が高まり様々な方式の地球温暖化防止技術が開発されている。その一つとして、夏場における舗装道路の温度上昇を抑制することによって沿道の環境改善を図り、地球温暖化を防止しようとするものがある。例えば、特許文献1には、砂質土等を埋め立てて形成された路床上に設けられる透水性アスファルト舗装構造であり、保水性骨材を主材料とする路盤材料によって形成された保水性路盤と、この保水性路盤の上方に敷設された透水性アスファルト舗装とからなる透水性アスファルト舗装構造が開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、連続空孔を有する粒状乃至塊状の発泡ガラスを路床上に敷設して形成した保水層と、保水層上に形成した下層路盤と、下層路盤と保水層との間に敷設された透水性を有する土木工事用シート材と、下層路盤上に形成した上層路盤と、上層路盤上に形成した透水性アスファルト層とを備えた道路舗装構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-120010号公報
【文献】特許第3888978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記舗装構造は舗装を新設する場合には路床の形成から順に形成していけば良いが、既設の舗装がある場合には、一旦既存の舗装を除去し、再度路床の形成から順に形成していく必要がある。このように舗装を除去した場合、舗装のアスファルトやコンクリート等の廃棄物が大量に発生してしまう。
【0006】
そこで、本発明においては、既設の舗装を利用して透保水性舗装を実現することが可能な透保水性舗装構造およびその工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の透保水性舗装構造は、路床上に形成された舗装であり、その上面から路床に至る貫通孔が形成された舗装と、貫通孔内に充填された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスと、貫通孔内に発泡ガラスが充填された舗装上に形成された透水性舗装とを含むことを特徴とする。透水性舗装は、透水性を有するアスファルト舗装、コンクリート舗装やインターロッキングブロックなどである。
【0008】
本発明の透保水性舗装構造によれば、降雨や打ち水などによって供給された水分は、透水性舗装を通過し、舗装に形成された貫通孔を通じて路床へ浸透し、地下へ還元される。貫通孔内に充填された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスは、透水係数が1×10-1[m/s]程度と非常に大きく、透水性が清浄な礫程度に高いため、水分を容易に路床へと通過させる。また、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが貫通孔内に充填されることにより毛細管現象が発現し、貫通孔内において路床から地下水を吸い上げて、保水機能を発揮する。
【0009】
なお、粒径1.0mm未満の連続間隙構造の発泡ガラスでは、路床から地下水を吸い上げる力は強くなるが、保水量は少なくなる。粒径2.0mm超の連続間隙構造の発泡ガラスでは、間隙が大きすぎるため、路床から地下水を吸い上げる力が弱くなり、保水量が少なくなる。
【0010】
本発明の透保水性舗装構造は、透水性舗装上に敷均された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを含む構成とすることができる。これにより、透水性舗装表面の間隙に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが充填され、透水性舗装表面の間隙において毛細管現象が発現し、この透水性舗装表面の間隙においても保水機能を発揮する。
【0011】
貫通孔の内径は50mm~100mmであることが望ましい。内径が50mm~100mmであることにより、貫通孔を通じて路床から路盤まで常に地下水を吸い上げておくことが可能となる。なお、内径が50mm未満では、地下水を常に路盤まで吸い上げておく量が極端に減少する。一方、内径が100mm超では、水分が横方向に分散されるため、路盤に水分を保持する効果が薄くなってしまう。
【0012】
貫通孔の形成ピッチは500mm~1000mmであることが望ましい。貫通孔の形成ピッチが500mm~1000mmであることにより、貫通孔を通じて路床から路盤まで常に適切な量の地下水を吸い上げておくことが可能となる。なお、形成ピッチが500mm未満では、隣り合う貫通孔の距離が近すぎて水を吸い上げる力が干渉し、吸い上げる水の量が減る可能性がある。一方、形成ピッチが1000mm超では、路盤に達した地下水の量が少なく、路面の温度低下に時間を要することになる。
【0013】
本発明の透保水性舗装工法は、路床上に形成された舗装の上面から路床に至る貫通孔を掘削すること、貫通孔内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを充填すること、貫通孔内に発泡ガラスが充填された舗装上に透水性舗装を形成することを特徴とする。これにより、路床上に形成された舗装であり、その上面から路床に至る貫通孔が形成された舗装と、貫通孔内に充填された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスと、貫通孔内に発泡ガラスが充填された舗装上に形成された透水性舗装とを含む透保水性舗装構造が得られる。
【0014】
さらに、本発明の透保水性舗装工法は、透水性舗装上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷均すことを含むことを特徴とする。これにより、透水性舗装表面の間隙に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスが充填された透保水性舗装構造が得られる。
【発明の効果】
【0015】
(1)路床上に形成された舗装であり、その上面から路床に至る貫通孔が形成された舗装と、貫通孔内に充填された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスと、貫通孔内に発泡ガラスが充填された舗装上に形成された透水性舗装とを含む透保水性舗装構造によれば、降雨や打ち水などによって供給された水分は、透水性舗装を通過し、舗装に形成された貫通孔を通じて路床へ浸透し、地下へ還元されるとともに、貫通孔内において路床から地下水が吸い上げられ、保水されるので、既設の舗装を利用して透保水性舗装を実現することが可能となる。
【0016】
(2)さらに、透水性舗装上に敷均された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを含む透保水性舗装構造によれば、透水性舗装表面の間隙において毛細管現象が発現し、この透水性舗装表面の間隙においても保水機能を発揮する透保水性舗装構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態における透保水性舗装構造を示す切欠き断面斜視図である。
図2】本発明の第2実施形態における透保水性舗装構造を示す切欠き断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態1>
図1は本発明の第1実施形態における透保水性舗装構造を示す切欠き断面斜視図である。
図1において、本発明の第1実施形態における透保水性舗装構造1Aでは、路床2上にアスファルトにより舗装3が形成され、この舗装3上に透水性舗装4が形成されている。舗装3は、舗装内部へ水が浸透しない通常の(不透水性の)舗装である。透水性舗装4は、透水性を有するアスファルト舗装、コンクリート舗装やインターロッキングブロックなどにより構成される。舗装3には、その上面3Aから路床2に至る貫通孔5が所定間隔で複数形成され、各貫通孔5には、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス6が充填されている。
【0019】
透保水性舗装構造1Aは以下の手順により形成する。
(1)路床2上に形成された既設の舗装3の上面から路床2に至る貫通孔5を掘削する。貫通孔5は円孔であり、その形成ピッチPは500mm~1000mmとし、その内径dは50mm~100mmとする。
【0020】
(2)貫通孔5内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス6を充填する。
(3)舗装3上に透水性舗装4を形成する。
(4)透水性舗装4上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて敷均す。
【0021】
上記構成の透保水性舗装構造1Aでは、降雨や打ち水などによって供給された水分は、透水性舗装4を通過し、既設の舗装3に形成された貫通孔5を通じて路床2へ浸透し、地下へ還元される。また、この貫通孔5内に充填された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス6により毛細管現象が発現し、貫通孔5内において路床2から地下水が吸い上げられ、保水される。
【0022】
すなわち、工法によれば、既設の舗装3を利用して透保水機能を発揮する透保水性舗装構造1Aを実現することが可能となる。また、透保水性舗装構造1Aでは、既設の舗装3を除去することなく、貫通孔5を掘削するのみであるため、舗装3のアスファルトの廃棄物が少なくて済み、既設の舗装3を利用して透保水性舗装を実現することが可能となっている。
【0023】
<実施の形態2>
図2は本発明の第2実施形態における透保水性舗装構造を示す切欠き断面斜視図である。
図2において、本発明の第2実施形態における透保水性舗装構造1Bでは、路床2上にコンクリートにより舗装7が形成され、舗装7上に透水性舗装としての透保水性インターロッキングブロック8が敷設されている。舗装7は、舗装内部へ水が浸透しない通常の(不透水性の)舗装である。路床2と舗装7との間には、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス9が充填されている。
【0024】
舗装7と透保水性インターロッキングブロック8との間には、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスにより透保水層10が形成されている。舗装7には、その上面7Aから路床2に至る貫通孔5が所定間隔で複数形成され、各貫通孔5には、粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス6が充填されている。
【0025】
透保水性舗装構造1Bは以下の手順により形成する。
(1)路床2上に形成された既設の舗装7の上面から路床2に至る貫通孔5を掘削する。貫通孔5の形成ピッチPは500mm~1000mmとし、その内径dは50mm~100mmとする。
(2)貫通孔5内に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス6を充填する。
【0026】
(3)舗装7上に粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスを撒いて締固め、透保水層10を形成する。粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラスの嵩比重は0.3~0.6であることが望ましい。これによって、保水機能と圧縮強度とが適切にバランスした透保水層10を形成することができる。なお、嵩比重が0.3より小であると発泡ガラス中の連続気孔の割合が増大することにより保水率は増大するが圧縮強度は低下するため、通行車両の車輪荷重に対する強度が低下する傾向がある。一方、嵩比重が0.6より大であると、発泡ガラス中の連続気孔の割合が減少し、保水率が90%以下に低下する傾向がある。このため、発泡ガラスの嵩比重は前記範囲が好適である。
【0027】
(4)透保水層10上に透保水性インターロッキングブロック8を施工する。
【0028】
上記構成の透保水性舗装構造1Bでは、降雨や打ち水などによって供給された水分は、インターロッキングブロック8および透保水層10を通過し、既設の舗装7に形成された貫通孔5を通じて路床2へ浸透し、地下へ還元される。また、この貫通孔5内に充填された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス6により毛細管現象が発現し、貫通孔5内において路床2から地下水が吸い上げられ、保水される。
【0029】
すなわち、工法によれば、既設の舗装3を利用して透保水機能を発揮する透保水性舗装構造1Bを実現することが可能となる。また、透保水性舗装構造1Bでは、既設の舗装7を除去することなく、貫通孔5を掘削するのみであるため、舗装7のコンクリートの廃棄物が少なくて済み、既設の舗装7を利用して透保水性舗装を実現することが可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の透保水性舗装構造およびその工法は、既設の舗装を利用して透保水性舗装を実現することが可能な透保水性舗装構造およびその工法として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1A,1B 透保水性舗装構造
2 路床
3,7 舗装
4 透水性舗装
5 貫通孔
6,9 発泡ガラス
8 透保水性インターロッキングブロック
10 透保水層
【要約】
【課題】既設の舗装を利用して透保水性舗装を実現することが可能な透保水性舗装構造およびその工法の提供。
【解決手段】路床2上に形成された舗装3であり、その上面3Aから路床2に至る貫通孔5が形成された舗装3と、貫通孔5内に充填された粒径1.0mm~2.0mmの連続間隙構造の発泡ガラス6と、貫通孔5内に発泡ガラス6が充填された舗装3上に形成された透水性舗装4とを含む透保水性舗装構造1Aであり、降雨や打ち水などによって供給された水分は、透水性舗装4を通過し、舗装3に形成された貫通孔5を通じて路床2へ浸透し、地下へ還元されるとともに、貫通孔5内において路床2から地下水が吸い上げられ、保水されるので、既設の舗装3を利用して透保水性舗装を実現することが可能となる。
【選択図】図1
図1
図2