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特許7090973建築壁材用の固定構造及びJ字形固定工法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】建築壁材用の固定構造及びJ字形固定工法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
E04F13/08 101F
E04F13/08 101B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021570774
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-31
(86)【国際出願番号】 IB2020054600
(87)【国際公開番号】W WO2020240325
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】108118566
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521517832
【氏名又は名称】陳 ▲睿▼齊
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲睿▼齊
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-331839(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107893518(CN,A)
【文献】特開平06-093701(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0108258(KR,A)
【文献】実開昭63-081137(JP,U)
【文献】実開昭59-181153(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第103291040(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104895281(CN,A)
【文献】米国特許第05447005(US,A)
【文献】TW338457(TW,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1緊締部と、当接部と、第1定着部とを備え、前記当接部は、前記第1緊締部と前記第1定着部との間を連結し、建築壁材の固定面を支えるために用いられ、前記第1緊締部が前記建築壁材から離れる方向に延在し、前記第1定着部と前記当接部とのなす角が90°以下の夾角であり、かつ前記第1定着部が前記建築壁材の第1溝に嵌設するために用いられる第1定着ユニットと、
第2緊締部と、第2定着部とを備え、前記第2緊締部は、前記第1緊締部との機械的接合を形成するために用いられ、前記第2定着部が前記第2緊締部に接続され、かつ前記第2定着部が前記建築壁材の第2溝に嵌設又は前記建築壁材の周縁面に当接するために用いられる第2定着ユニットと、
を備える建築壁材用の固定構造であって、
前記建築壁材用の固定構造は、キャリッジボルトセットをさらに備え、前記第1、第2緊締部は、前記キャリッジボルトセットを介して機械的接合を形成し、前記第1、第2緊締部は、互いに平行ではないが支点上で互に当接し、前記キャリッジボルトセットが前記支点と前記建築壁材との間の位置で緊締される、
建築壁材用の固定構造。
【請求項2】
固定ユニットをさらに備え、前記第1、第2緊締部の少なくとも1つは、さらに前記固定ユニットとの機械的接合を形成するために用いられ、かつ前記固定ユニットが建物の壁面に固定するために用いられる請求項1に記載の建築壁材用の固定構造。
【請求項3】
前記第2定着部は、前記当接部に垂直である請求項1に記載の建築壁材用の固定構造。
【請求項4】
前記第2定着ユニットは、前記第2定着部の前記第2緊締部から離れる端に連結されるフック部をさらに備え、前記フック部が前記第1定着部に向かって延び、前記建築壁材の周縁面の第3溝に嵌設するために用いられる請求項1に記載の建築壁材用の固定構造。
【請求項5】
前記建築壁材の周縁面上の挿入孔に挿設するためのピンをさらに備え、前記第2定着部は前記ピンを挿通させるための中空部を有する請求項1に記載の建築壁材用の固定構造。
【請求項6】
第2キャリッジボルトセットをさらに備え、前記固定ユニットは、前記第2キャリッジボルトセットを介して前記第1、第2緊締部の少なくとも1つと機械的接合を形成する請求項2に記載の建築壁材用の固定構造。
【請求項7】
請求項2に記載の少なくとも1つの建築壁材用の固定構造に応用される建築壁材のJ字形固定工法であって、前記建築壁材は装飾面と、前記固定面と、前記装飾面と前記固定面との間を連結する複数の周縁面とを備え、前記J字形固定工法は、
前記固定面に少なくとも1つの第1溝を形成するステップと、
前記第1定着部を前記第1溝内に嵌設させ、前記第2定着部を前記周縁面のいずれかに当接させ、前記第1、第2緊締部の機械的接合を形成させるステップと、
前記第1、第2緊締部の少なくとも1つと前記固定ユニットとの機械的接合を形成させるステップと、
前記固定ユニットを前記建物の壁面に固定させるステップと、
を含む建築壁材のJ字形固定工法。
【請求項8】
請求項2に記載の少なくとも1つの建築壁材用の固定構造に応用される建築壁材のJ字形固定工法であって、前記建築壁材は装飾面と、前記固定面と、前記装飾面と前記固定面との間を連結する複数の周縁面とを備え、前記J字形固定工法は、
前記固定面に少なくとも1つの第1溝及び少なくとも1つの第2溝を形成するステップと、
前記第1定着部を前記第1溝内に嵌設させ、第2定着部を前記第2溝に嵌設させ、前記第1、第2緊締部の機械的接合を形成させるステップと、
前記第1、第2緊締部の少なくとも1つと前記固定ユニットとの機械的接合を形成させるステップと、
前記固定ユニットを前記建物の壁面に固定させるステップと、
を含む建築壁材のJ字形固定工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築壁材乾式引っ掛け技術に関し、特に、前記乾式引っ掛け技術の固定構造及び固定工法に関する。
【背景技術】
【0002】
石材、比較的厚いタイル等の建築壁材は、乾式引っ掛け技術で建物の壁面に固定することができ、現在一般暦な乾式引っ掛け技術が石張りカーテンウォールの引っ掛け式固定金具が開示されている特許文献1に見出すことができる。引っ掛け式固定金具は、水平翼と、垂直翼とを備え、どちらも穴又は溝が設けられ、石張りカーテンウォールの裏面に貫通孔して、拡底式アンカーを取り付け、拡底式アンカー上のスクリューが垂直翼上の穴に接続され、水平翼を介して建物の壁面に固結定される。
【0003】
言い換えると、従来の乾式引っ掛け技術において、引っ掛け式固定金具は、拡底式アンカーを介してのみ1点で建築壁材(即ち、石張りカーテンウォール)と固定され、このような固定方法は静的な状態で十分な支持性を提供できるが、地震時の揺れ過程で、応力が建築壁材と拡底式アンカーとの境界面に集中し、境界面の面積が大きくないため、激しい揺れにおいて、高度集中の応力により建築壁材が容易に前記境界面にひび割れることで建築壁材の脱落が発生し、財物の損失が生じるだけでなく、人身の安全にも危害を及ぼしてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特開第102733521号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、固定強度を増強できる固定構造及び固定工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的及び他の目的を達成するため、本発明は、建築壁材用の固定構造を提供する。建築壁材用の固定構造は、第1定着ユニットと、第2定着ユニットとを備え、第1定着ユニットは第1緊締部と、当接部と、第1定着部とを備え、当接部が第1緊締部と第1定着部との間を連結し、第1緊締部が建築壁材から離れる方向に延在し、第1定着部と当接部とのなす角が90°以下の夾角であり、かつ第1定着部が建築壁材の第1溝に嵌設するために用いられ;第2定着ユニットは、第2緊締部と、第2定着部とを備え、第2緊締部が第1緊締部との機械的接合を形成するために用いられ、第2定着部が第2緊締部に接続され、かつ第2定着部が建築壁材の第2溝に嵌設又は建築壁材の周縁面に当接するために用いられる。
【0007】
本発明の固定構造の1つにおいて、固定ユニットをさらに備え、第1、第2緊締部の少なくとも1つは、さらに固定ユニットとの機械的接合を形成するために用いられ、かつ固定ユニットが建物の壁面に固定するために用いられる。
【0008】
本発明の固定構造の1つにおいて、第2定着部は、当接部に垂直である。
【0009】
本発明の固定構造の1つにおいて、第2定着ユニットは、第2定着部の第2緊締部から離れる端に連結されるフック部をさらに備え、フック部が第1定着部に向かって延び、建築壁材の周縁面の第3溝に嵌設するために用いられる。
【0010】
本発明の固定構造の1つにおいて、建築壁材の周縁面上の挿入孔に挿設するためのピンをさらに備え、第2定着部はピンを挿通させるための中空部を有し、ピンがフック部と建築壁材との間に介設される。
【0011】
本発明の固定構造の1つにおいて、キャリッジボルトセットと、第2キャリッジボルトセットとをさらに備え、第1、第2緊締部は、キャリッジボルトセットを介して機械的接合を形成し、固定ユニットが第2キャリッジボルトセットを介して第1、第2緊締部の少なくとも1つと機械的接合を形成する。
【0012】
本発明の固定構造の1つにおいて、第1、第2緊締部は、互いに平行ではないが支点上で互に当接し、キャリッジボルトセットが支点と建築壁材との間の位置で緊締される。
【0013】
本発明の固定構造の1つにおいて、第1定着部と当接部とのなす夾角は、45°~80°の範囲である。
【0014】
上記目的及び他の目的を達成するため、本発明は、少なくとも1つの前記固定構造に応用される建築壁材のJ字形固定工法も提供する。建築壁材は、装飾面と、固定面と、装飾面と固定面との間を連結する複数の周縁面とを備え、前記J字形固定工法は、以下のステップを含む。すなわち、
固定面に少なくとも1つの前記第1溝を形成するステップ、
第1定着部を第1溝内に嵌設させ、第2定着部を前記周縁面のいずれかに当接させ、第1、第2緊締部の機械的接合を形成させるステップ、
第1、第2緊締部の少なくとも1つかと固定ユニットとの機械的接合を形成させステップ、
固定ユニットを建物の壁面に固定させるステップ。
【0015】
上記目的及び他の目的を達成するため、本発明は、少なくとも1つの前記固定構造に応用される建築壁材のJ字形固定工法も提供する。建築壁材は、装飾面と、固定面と、装飾面と固定面との間を連結する複数の周縁面とを備え、前記J字形固定工法は、以下のステップを含む。すなわち、
固定面に少なくとも1つの前記第1溝及び少なくとも1つの前記第2溝を形成するステップ、
第1定着部を第1溝内に嵌設させ、第2定着部を第2溝に嵌設させ、第1、第2緊締部の機械的接合を形成させるステップ、
第1、第2緊締部の少なくとも1つと固定ユニットとの機械的接合を形成させステップ、
固定ユニットを建物の壁面に固定させるステップ。
【0016】
上記の新型乾式引っ掛け技術を介して、建築壁材を固定構造にしっかりと固定させることができ、かつ第1、第2定着部は2つの位置に建築壁材に把持力を提供できるため、動的振動の環境において、建築壁材が受ける応力は一箇所に集中するだけでなく、第1、第2定着部の間の構造面全体に分散できることで、建築壁材の耐震性を大幅に向上し、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1に係る固定構造の立体図である。
図2】本発明の実施例1に係る固定構造の分解図である。
図3】本発明の実施例1に係る固定構造の使用状態を示す模式図である。
図4】本発明の実施例1に係る固定構造の使用状態を示す断面図である。
図5】本発明の実施例2に係る固定構造の立体図である。
図6】本発明の実施例2に係る固定構造の使用状態を示す断面図である。
図7】本発明の実施例3に係る固定構造の立体図である。
図8】本発明の実施例3に係る固定構造の使用状態を示す模式図である。
図9】本発明の実施例3に係る固定構造の使用状態を示す断面図である。
図10】本発明の実施例4に係る固定構造の使用状態を示す模式図である。
図11】本発明の実施例5に係る固定構造の使用状態を示す断面図である。
図12】本発明の実施例5に係る固定構造の使用状態を示す模式図である。
図13】本発明の実施例6に係る固定構造の使用状態を示す断面図である。
図14】本発明の実施例7に係る固定構造の使用状態を示す断面図である。
図15A】本発明の実施例8に係る固定構造の使用状態を示す断面図である。
図15B】本発明の実施例8に係る固定構造の使用状態を示す断面図である。
図16】本発明の実施例9に係る固定構造の使用状態を示す断面図である。
図17】本発明の固定構造の使用状態を示す模式図である。
図18】本発明の固定構造の使用状態を示す模式図である。
図19A】本発明の実施例1に係るJ字形固定工法の流れを示す模式図である。
図19B】本発明の実施例1に係るJ字形固定工法の流れを示す模式図である。
図19C】本発明の実施例1に係るJ字形固定工法の流れを示す模式図である。
図20A】本発明の実施例2に係るJ字形固定工法の流れを示す模式図である。
図20B】本発明の実施例2に係るJ字形固定工法の流れを示す模式図である。
図20C】本発明の実施例2に係るJ字形固定工法の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例1)
本発明の実施例1に係る固定構造を示す図1図4を参照すると、前記固定構造は、第1定着ユニット10と、第2定着ユニット20と、固定ユニット30と、キャリッジボルトセット40と、第2キャリッジボルトセット50とを備える。本発明の固定構造は、建築壁材1を建物の壁面に固定するために用いられ、前記建築壁材1が例えばスレート、人工スレート、タイル、複合板又はこれらに類する壁材で、乾式引っ掛け技術に適用され、かつ建築壁材1が装飾面3と、固定面4と、装飾面3と固定面4との間を連結する周縁面5とを備える。
【0019】
第1定着ユニット10は、第1緊締部11と、当接部12と、第1定着部13とを備え、当接部12が第1緊締部11と第1定着部13との間を連結し、第1緊締部11が建築壁材1から離れる方向に延在し、かつ第1緊締部11が第1長溝111を有する。第1定着部13は、建築壁材の固定面4の第1溝1Aに嵌設するために用いられ、第1定着部13と当接部12とのなす夾角が90°以下で、可能な実施形態において、前記夾角が45°~80°の範囲(例えば60°)であり、これにより建築壁材1をよりしっかりと固定する。可能な実施形態において、第1定着部13が第1溝1Aに嵌設された後、両者間の隙間にエポキシパテをさらに充填することで、両者の結合強度を高める。
【0020】
第2定着ユニット20は、第2緊締部21と、第2定着部22とを備え、第2緊締部21が第2長溝211を有し、キャリッジボルトセット40を介して第1緊締部11と機械的接合を形成し、キャリッジボルトセット40はキャリッジボルト41と、ナット42とを備え、キャリッジボルト41が頭部411と、角首部412と、ねじ部413とを有し、ナット42とねじ部413とが螺合し、ナット42と第1、第2緊締部11、21との間にワッシャを有し、角首部412が第1、第2長溝111、211内に位置することで、キャリッジボルトセット40が回転するのを防止できる。第2定着部22は、第2緊締部21の一端に連結され、かつ本実施例において、第2定着部22が建築壁材の固定面4の第2溝1Bに嵌設され、当接部12に垂直であるため、第1、第2定着部13、22が2方向から建築壁材1を挟んで当接することができ、当接部12が建築壁材の固定面4を支えるように当接でき、三者は建築壁材1に対し安定な挟持を形成し、側面から見た輪郭が「J」字形に似ている。本実施例において、第1、第2緊締部は緊締接合を形成し、その他の可能な実施形態において、第1、第2緊締部が溶接接合、同時緊締及び溶接接合、又は先に緊締してから溶接し、緊締を緩める方法で接合することができる。
【0021】
固定ユニット30は、水平部31と、垂直部32とを有し、水平部31が第3長溝311を有し、かつ固定ユニット30が第2キャリッジボルトセット50を介して第1、第2緊締部11、21と機械的接合を形成し、第2キャリッジボルトセット50がキャリッジボルトセット40と近似し、同様にキャリッジボルトと、ナットとを有する。垂直部32も長溝を有し、拡孔固定アンカーボルト又はセルフタップネジを介して建物の壁面に固定されることができる。
【0022】
図4に示すように、本発明の固定構造は、2つの定着ユニットを介して、建築壁材を2方向から挟持でき、揺動などの動的環境においてさえ、応力も2つの定着ユニット間の応力領域に分散でき、すなわち応力が特定の点にあまり集中していないため、本発明の固定構造は施工が簡単でコストも低くいだけではなく、より大きな揺動に耐えられ、大幅に耐震性能及び安全性を向上させることができる。
【0023】
(実施例2)
本発明の実施例2に係る固定構造を示す図5図6を参照すると、実施例1と大まかに似ているが、相違点は、第2定着部22と第2緊締部21とのなす角が鈍角で、すなわち第1、第2定着部13、22の両者が対向して建築壁材1を挟持し、建築壁材1をしっかりと挟持することである。
【0024】
(実施例3)
本発明の実施例3に係る固定構造を示す図7図9を参照すると、実施例1と大まかに似ているが、相違点は、第2定着部22が建築壁材の周縁面5に当接され、かつフック部23をさらに備え、フック部23が第2定着部22の第2緊締部21から離れる端に連結され、第1定着部13に向かって延在し、かつ建築壁材の周縁面5上の第3溝1Cに嵌設されることができることで、建築壁材1をより堅固に固定できることである。なお、本実施例の固定ユニット30の垂直部32の長溝321は、垂直方向に開放状態となるため、固定ユニット30を垂直方向に拡孔固定アンカーボルト8に掛着することができ、施工にも便利である。
【0025】
(実施例4)
本発明の実施例4に係る固定構造を示す図10図11を参照する、実施例3と大まかに似ているが、相違点は、建築壁材1の周縁面5上の挿入孔6に挿設するためのピン60をさらに備え、第2定着部22はピン60を挿通させるための中空部221を有し、ピン60がフック部23と建築壁材1との間に介設されることである。なお、ピン60の頂端の周縁面5から露出する部分も上にある別の建築壁材(図示せず)の底部を差し込んで位置決めするために用いられる。
【0026】
(実施例5)
本発明の実施例4に係る固定構造を示す図12を参照する、実施例1と大まかに似ているが、相違点は、第1、第2緊締部11、21は互いに平行ではないが支点P上で互に当接し、キャリッジボルトセット40が支点Pと建築壁材1との間の位置で緊締されることである。これにより、第1、第2定着ユニット10、20が梃子システムを形成させ、キャリッジボルトセット40が前記梃子システムに力を加えるために用いられ、加えられる力はナット42の螺合の深さによって調整できる。このような梃子システムは、第1、第2定着部の対向に挟持する力を大幅に高め、極めて安定した挟持性能を提供できる。
【0027】
(実施例6)
本発明の実施例6に係る固定構造を示す図13を参照する、実施例3と大まかに似ているが、相違点は、固定ユニット30の垂直部32がセルフタップネジを介して建物の壁面に固定されることである。
【0028】
(実施例7)
本発明の実施例7に係る固定構造を示す図14を参照する、実施例1と大まかに似ているが、相違点は、固定ユニット30は、延長部材35と垂直部32と機械的接合を形成し、建物の壁面に固定されることができる延長部材35をさらに備えることである。ここで、垂直部32の高さは、建築壁材1の頂部の周縁面5よりも高くなるように延びて、施工者が建築壁材1の頂部の隙間からキャリッジボルトセット70のナット71を締緩できるようにさせ、建築壁材1を取り外して交換させることができ、点検に便利で、施工や取り付けもより容易にする。
【0029】
(実施例8)
本発明の実施例8に係る固定構造を示す図15A図15Bを参照する、実施例1と大まかに似ているが、相違点は、当接部12が貫通孔121を有し、第2定着ユニット20がボルト24と、第2定着部25とを備え、ボルト24が貫通孔121を貫設し、第2定着部25が大径部を有することである。本実施例において、前記大径部は、拡孔リング251で、ボルト24が第2定着部25と螺合して内側から外側に拡孔リング251を拡開するために用いられ、この時第2定着ユニット20が当接部12と機械的接合を形成でき、第2定着部25が建築壁材1の内拡孔7に嵌設でき、内拡孔7の奥部の直径が開口部の直径より大きく、かつ大径部の輪郭が前記開口部(すなわち、内拡孔7の横断面が最小になる位置)の横断面より大きい。これにより、第1、第2定着部は、同様に2つの位置で建築壁材に把持力を提供することができる。その他の可能な実施形態において、第2定着部の大径部は、前記ボルトと直接螺合するか、一体的に形成し、内拡孔が前記貫通孔の軸方向に垂直な窓部を有し、第2定着部が前記窓部を経由して側面方向から内拡孔内に摺設される。
【0030】
(実施例9)
本発明の実施例9に係る固定構造を示す図16を参照する、実施例2と大まかに似ているが、相違点は、第1緊締部の一端が垂直部14として直性形成し、建物の壁面に直接固定するために用いられることができることである。
【0031】
図17図18を参照すると、建築壁材の固定面4は、ニーズに応じて異なる位置に無制限の数の固定構造を取り付けることができる。その他の可能な実施形態において、本発明の固定構造も他の形式の固定構造と組み合わせて使用することができる。
【0032】
次にいくつかの実施例を通じて本発明の建築壁材のJ字形固定工法を説明する。
【0033】
まず、図19Aを参照すると、固定面4に第1溝1A及び第2溝1Bをそれぞれ形成し、ここで、第1、第2溝の数が固定構造の取り付けの数によって調整でき;
次に、図19Bに示すように、第1定着部13を第1溝1A内に嵌設させ、第2定着部22を第2溝1B内に嵌設させ、そしてキャリッジボルトセット40で第1、第2緊締部11、21の機械的接合を形成させ;
更に、図19Cに示すように、第2キャリッジボルトセット50で第1、第2緊締部11、21と固定ユニット30の水平部31との機械的接合を形成させ;
最後に、図4に示すように、拡孔固定アンカーボルト8で固定ユニット30を建物の壁面に固定することで、建築壁材の乾式引っ掛け作業を完了する。
【0034】
また図20Aを参照すると、別の可能な実施形態において、施工時に先に固定面4に第1溝1Aを形成してから頂部の周縁面5に第3溝1Cを形成し;
次に、図20Bに示すように、第1定着部13を第1溝1A内に嵌設させ、第2定着部22を頂部の周縁面5に当接させ、フック部23を第3溝1C内に嵌設させ、次にキャリッジボルトセット40で第1、第2緊締部11、21の機械的接合を形成させ;
次に、図20Cに示すように、第2キャリッジボルトセット50で第1、第2緊締部11、21と固定ユニット30の水平部31との機械的接合を形成し;
最後に、拡孔固定アンカーボルトで固定ユニットを建物の壁面に固定することで、建築壁材の乾式引っ掛け作業を完了する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
上記の新型乾式引っ掛け技術を介して、建築壁材を固定構造にしっかりと固定させることができ、かつ第1、第2定着部は2つの位置に建築壁材に把持力を提供できるため、動的振動の環境において、建築壁材が受ける応力は一箇所に集中するだけでなく、第1、第2定着部の間の構造面全体に分散できることで、建築壁材の耐震性を大幅に向上し、安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0036】
10 第1定着ユニット
1 建築壁材
1A 第1溝
1B 第2溝
1C 第3溝
11 第1緊締部
111 第1長溝
12 当接部
121 貫通孔
13 定着部
14 垂直部
20 第2定着ユニット
21 第2緊締部
211 第2長溝
22 第2定着部
221 中空部
23 フック部
24 ボルト
25 第2定着部
251 拡孔リング
30 固定ユニット
3 装飾面3
31 水平部
311 第3長溝
32 垂直部
321 長溝
35 延長部材
40 キャリッジボルトセット
4 固定面
41 キャリッジボルト
411 頭部
412 角首部
413 ねじ部
42 ナット
50 第2キャリッジボルトセット
5 周縁面
60 ピン
6 挿入孔
70 キャリッジボルトセット
7 内拡孔
71 ナット
8 拡孔固定アンカーボルト
P 支点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図20C