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  • 特許-携帯情報端末操作判別装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】携帯情報端末操作判別装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20220620BHJP
   H04M 1/72 20210101ALI20220620BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
H04M11/00 302
H04M1/72
B60R11/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018097359
(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公開番号】P2019205008
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】520124084
【氏名又は名称】ジェネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176256
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 隆敬
(72)【発明者】
【氏名】笠原 一
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-192707(JP,A)
【文献】特開2002-247642(JP,A)
【文献】特開2005-128005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M1/72
H04M3/00
H04M3/16-3/20
H04M3/38-3/58
H04M7/00-7/16
H04M11/00-11/10
B60R11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の車両の複数の時刻における複数の第1の位置情報と、所定の携帯情報端末の前記複数の時刻における第2の位置情報と、前記所定の携帯情報端末の前記複数の時刻における通信記録と、を取得可能な取得部と、
前記取得された複数の第1の位置情報及び複数の第2の位置情報のうち、同時刻における第1の位置情報と第2の位置情報を抽出し、前記抽出された第1の位置情報と第2の位置情報との位置の差が所定以内の場合に、前記携帯情報端末が前記車両に搭載された搭載状態であると判別し、前記搭載状態の時間帯のうち前記車両の速度が0km以外の走行時間帯を抽出し、前記取得された複数の通信記録のうち、前記走行時間帯における通信記録に応じて、前記車両のドライバーの運転中の携帯情報端末の操作を判別する判別部と、
を備え、
前記判別部は、前記搭載状態であると判別しなかった場合には、続いて他の前記同時刻において取得された第1の位置情報と第2の位置情報に関して前記搭載状態であるか否かの判別を行うことを特徴とする携帯情報端末操作判別装置。
【請求項2】
前記通信記録は、通話情報、荷電情報、データ送信情報、及び、操作履歴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末操作判別装置。
【請求項3】
前記判別部は、前記搭載状態と判別しなかった非搭載状態の時間帯において、前記取得された前記複数の第1の位置情報に変化があった場合には、前記所定の車両の盗難を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯情報端末操作判別装置。
【請求項4】
所定の車両の複数の時刻における複数の第1の位置情報と、所定の携帯情報端末の前記複数の時刻における第2の位置情報と、前記所定の携帯情報端末の前記複数の時刻における通信記録と、を取得するステップと、
前記取得された複数の第1の位置情報及び複数の第2の位置情報のうち、同時刻における第1の位置情報と第2の位置情報を抽出し、前記抽出された第1の位置情報と第2の位置情報との位置の差が所定以内の場合に、前記携帯情報端末が前記車両に搭載された搭載状態であると判別し、前記搭載状態の時間帯のうち前記車両の速度が0km以外の走行時間帯を抽出し、前記取得された複数の通信記録のうち、前記走行時間帯における通信記録に応じて、前記車両のドライバーの運転中の携帯情報端末の操作を判別するステップと、
を備え、
前記判別するステップでは、前記搭載状態であると判別しなかった場合には、続いて他の前記同時刻において取得された第1の位置情報と第2の位置情報に関して前記搭載状態であるか否かの判別を行うことを特徴とする携帯情報端末操作判別プログラム。
【請求項5】
前記通信記録は、通話情報、荷電情報、データ送信情報、及び、操作履歴のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4に記載の携帯情報端末操作判別プログラム。
【請求項6】
前記判別するステップでは、前記搭載状態と判別しなかった非搭載状態の時間帯において、前記取得された前記複数の第1の位置情報に変化があった場合には、前記所定の車両の盗難を推定することを特徴とする請求項4又は5に記載の携帯情報端末操作判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転中の携帯情報端末の操作を判別するための携帯情報端末操作判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の運転中に携帯電話、スマートフォン等の携帯情報端末で通話することが可能な、いわゆるハンズフリーの技術が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-136083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くの都市の交通安全に関する条例では、車両運転中の携帯情報端末での通話は、ハンズフリーであっても禁止されており、携帯情報端末を保持しての通話・操作はもちろんのこと、ハンズフリーでの通話も控えることが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、車両運転中の携帯情報端末の操作を判別することのできる携帯情報端末操作判別装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の車両の複数の時刻における複数の第1の位置情報と、所定の携帯情報端末の前記複数の時刻における第2の位置情報と、前記所定の携帯情報端末の前記複数の時刻における通信記録と、を取得可能な取得部と、前記取得された複数の第1の位置情報及び複数の第2の位置情報のうち、同時刻における第1の位置情報と第2の位置情報との位置の差が所定以内の場合に、前記携帯情報端末が前記車両に搭載された搭載状態である判別し、前記搭載状態の時間帯のうち前記車両の速度が0km以外の走行時間帯を抽出し、前記取得された複数の通信記録のうち、前記走行時間帯における通信記録に応じて、前記車両のドライバーの運転中の携帯情報端末の操作を判別する判別部と、を備えたことを特徴とする携帯情報端末操作判別装置を提供している。
【0007】
このような構成によれば、車両のドライバーが運転中に携帯情報端末の操作を行ったか否かを高精度に判別することが可能となる。
【0008】
また、前記通信記録は、通話情報、荷電情報、データ送信情報、及び、操作履歴のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、例えば、通信記録に“通話記録”が記録されていれば、「通話を行った」、“荷電記録”が記録されていれば、「電話をかけた」、“データ送信記録”が記録されていれば、「メール送信、又は、インターネット操作を行った」、“操作履歴”が残っていれば、「受信メールを見た、タッチパネルを操作した、電源をオン・オフした」のように、操作の内容を詳細に判別することが可能となる。
【0010】
また、前記判別部は、前記搭載状態と判別しなかった非搭載状態の時間帯において、前記取得された前記複数の第1の位置情報に変化があった場合には、前記所定の車両の盗難を推定することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、登録された携帯情報端末3の所有者以外が車両を運転していることとなるので、車両2の盗難を推定することも可能となる。
【0012】
また、本発明の別の観点によれば、所定の車両の複数の時刻における複数の第1の位置情報と、所定の携帯情報端末の前記複数の時刻における第2の位置情報と、前記所定の携帯情報端末の前記複数の時刻における通信記録と、を取得するステップと、前記取得された複数の第1の位置情報及び複数の第2の位置情報のうち、同時刻における第1の位置情報と第2の位置情報との位置の差が所定以内の場合に、前記携帯情報端末が前記車両に搭載された搭載状態である判別し、前記搭載状態の時間帯のうち前記車両の速度が0km以外の走行時間帯を抽出し、前記取得された複数の通信記録のうち、前記走行時間帯における通信記録に応じて、前記車両のドライバーの運転中の携帯情報端末の操作を判別するステップと、を備えたことを特徴とする携帯情報端末操作判別プログラムを提供している。
【0013】
また、前記通信記録は、通話情報、荷電情報、データ送信情報、及び、操作履歴のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0014】
また、前記判別するステップでは、前記搭載状態と判別しなかった非搭載状態の時間帯において、前記取得された前記複数の第1の位置情報に変化があった場合には、前記所定の車両の盗難を推定することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の携帯情報端末操作判別装置によれば、車両運転中の携帯情報端末の操作を判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態による携帯情報端末操作判別装置の使用環境を示した模式図
図2】本発明の実施の形態による判別の動作のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態による携帯情報端末操作判別装置1について、図1図2を参照して説明する。
【0018】
携帯情報端末操作判別装置1は、図1に示すように、GPS衛星XからのGPS信号(電波)を用いて、車両2のドライバーの運転中の携帯情報端末3の操作を判別するためのものである。
【0019】
車両2には、第1のGPS装置21が搭載されており、GPS装置21は、GPS衛星XからのGPS信号(電波)に基づき自らの位置(緯度・経度)を算出し、算出した位置を時刻と関連付けた第1の位置情報22を携帯情報端末操作判別装置1に送信可能な構成となっている。また、第1の位置情報22には、どの車両2に関する位置情報であるかを識別するための識別情報も含まれている。
【0020】
携帯情報端末3は、第1のGPS装置31を備えており、GPS衛星XからのGPS信号(電波)に基づき自らの位置(緯度・経度)を算出し、算出した位置を時刻と関連付けた第2の位置情報32を携帯情報端末操作判別装置1に送信可能な構成となっている。また、第2の位置情報32には、どの携帯情報端末3に関する位置情報であるかを識別するための識別情報も含まれている。
【0021】
また、携帯情報端末3は、自らの通信記録33を通信センターYに送信する。通信記録33としては、通話記録、荷電記録、及び、データ送信記録、操作履歴等が考えられる。通信記録33には、どの携帯情報端末3に関する通信記録であるかを識別するための識別情報も含まれている。
【0022】
なお、携帯情報端末3としては、携帯電話、スマートフォン、タブレット等が考えられる。
【0023】
携帯情報端末操作判別装置1は、図1に示すように、記憶部4と、取得部5と、判別部6と、を備えている。
【0024】
記憶部4には、登録された車両2(第1のGPS装置21)の識別情報と、登録された携帯情報端末3(第2のGPS装置31)の識別情報と、が記憶されている。
【0025】
取得部5は、車両2から送信された第1の位置情報22と、携帯情報端末3から送信された第2の位置情報32と、通信センターYに送信された携帯情報端末3の通信記録33と、を取得可能な構成となっている。本実施の形態では、複数の時刻における複数の第1の位置情報22、複数の第2の位置情報32、及び、複数の通信記録33をそれぞれ取得するものとする。なお、本実施の形態では、携帯情報端末3による通信を行っていなかった場合には、通信記録33は存在せず、取得されないものとする。
【0026】
取得された第1の位置情報22は、記憶部4に記憶された識別情報を参照することで、どの車両2に関する位置情報であるかを識別することができる。同様に、取得された第2の位置情報32及び通信記録33は、記憶部4に記憶された識別情報を参照することで、どの携帯情報端末3に関する位置情報及び通信記録であるかを識別することができる。
【0027】
判別部6は、取得部5により取得された複数の第1の位置情報22及び複数の第2の位置情報32のうち、同時刻における第1の位置情報22及び第2の位置情報32を抽出し、これらの位置の差(距離)が所定以内の場合に、携帯情報端末3が車両2に搭載された“搭載状態”であると判別する。所定以内の距離は、車両2の内部の広さや、GPS信号の誤差等を考慮して設定すればよい。
【0028】
また、判別部6は、上記“搭載状態”の時間帯における複数の第1の位置情報22から車両2の速度を算出し、“搭載状態”の時間帯のうち、速度が0km以外の(0kmを除いた)“走行時間帯”を抽出する。そして、取得部5により取得された複数の通信記録33のうち、“走行時間帯”における通信記録33に応じて、車両2のドライバーの運転中の携帯情報端末3の操作を判別する。
【0029】
例えば、通信記録33に“通話記録”が記録されていれば、「通話を行った」、“荷電記録”が記録されていれば、「電話をかけた」、“データ送信記録”が記録されていれば、「メール送信、又は、インターネット操作を行った」、“操作履歴”が残っていれば、「受信メールを見た、タッチパネルを操作した、電源をオン・オフした」等の判別を行うことが考えられる。
【0030】
以下で、図2のフローチャートを用いて、本実施の形態による判別部6の動作について説明する。本実施の形態では、図2のフローチャートは、取得部5により、複数の時刻における第1の位置情報22、第2の位置情報32、及び、通信記録33がそれぞれ取得された状態で開始するものとする。
【0031】
まず、取得部5により取得された複数の第1の位置情報22及び複数の第2の位置情報32のうち、同時刻における第1の位置情報22及び第2の位置情報32を抽出する(S1)。
【0032】
続いて、抽出された第1の位置情報22と第2の位置情報32との位置の差(距離)が所定以内の場合に(S2:YES)、携帯情報端末3が車両2に搭載された“搭載状態”であると判別する(S3)。S1-S3は、対象とする時間帯における複数の時刻に関して行い、“搭載状態”の時間帯を決定することが好ましい。
【0033】
続いて、“搭載状態”の時間帯における複数の第1の位置情報22から算出される車両2の速度に基づき、“搭載状態”の時間帯のうち、速度が0km以外の“走行時間帯”を抽出する(S4)。
【0034】
最後に、取得部5により取得された通信記録33のうち、“走行時間帯”における通信記録33に応じて、車両2のドライバーの運転中の携帯情報端末3の操作を判別する(S5)。
【0035】
以上、説明したように、本実施の形態による携帯情報端末操作判別装置1では、同時刻における車両2の第1の位置情報22と携帯情報端末3の第2の位置情報32との位置の差が所定以内の場合に、携帯情報端末3が車両2に搭載された“搭載状態”であると判別し、“搭載状態”の時間帯のうち、車両2の速度が0km以外の“走行時間帯”における通信記録33に応じて、車両2のドライバーの運転中の携帯情報端末3の操作を判別する。
【0036】
このような構成によれば、車両2のドライバーが運転中に携帯情報端末3の操作を行ったか否かを高精度に判別することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態による携帯情報端末操作判別装置1では、通信記録33は、通話情報、荷電情報、データ送信情報、及び、操作履歴のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【0038】
このような構成によれば、例えば、通信記録33に“通話記録”が記録されていれば、「通話を行った」、“荷電記録”が記録されていれば、「電話をかけた」、“データ送信記録”が記録されていれば、「メール送信、又は、インターネット操作を行った」、“操作履歴”が残っていれば、「受信メールを見た、タッチパネルを操作した、電源をオン・オフした」のように、操作の内容を詳細に判別することが可能となる。
【0039】
尚、本発明の携帯情報端末操作判別装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0040】
例えば、上記実施の形態では、GPS衛星XからのGPS信号に基づき、車両2及び携帯情報端末3の位置を特定したが、“みちびき”等の補完衛星からの補完信号を更に用いて、位置特定の精度を向上させてもよい。
【0041】
また、上記実施の形態における車両2のドライバーの運転中の携帯情報端末3の操作の判別は、リアルタイムで行ってもよいし、後から行ってもよい。後から行う場合には、取得部5は、送信されたものでなく、記録媒体等に記録された第1の位置情報22、第2の位置情報32、及び、通信記録33を取得してもよい。
【0042】
また、上記実施の形態では、判別部6は、“搭載状態”の時間帯における複数の第1の位置情報22から車両2の速度を算出したが、搭載状態”の時間帯における複数の第2の位置情報32から車両2の速度を算出してもよい。
【0043】
また、車両2の速度は、第1の位置情報22や第2の位置情報32から算出されたもの以外を用いてもよい。例えば、車両2に搭載された速度記録計により記録された速度を用いる等が考えられる。
【0044】
また、通信記録33は、必ずしも通信センターYから取得する必要がなく、例えば、携帯情報端末3から直接取得してもよい。また、通信記録33として、無線接続の記録を採用すれば、ハンズフリーでの通話等も判別することが可能となる。
【0045】
また、上記実施の形態に加えて、判別部6は、“搭載状態”と判別しなかった“非搭載状態”の時間帯において、取得部5により取得された複数の第1の位置情報22に変化があった場合には、登録された携帯情報端末3の所有者以外が車両2を運転していることとなるので、車両2の盗難を推定することもできる。
【0046】
また、本発明は、判別部6が行う処理に相当するプログラムや、当該プログラムを記憶した記録媒体にも応用可能である。記録媒体の場合、コンピュータ等に当該プログラムがインストールされることとなる。ここで、当該プログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であっても良い。非一過性の記録媒体としては、CD-ROM等が考えられるが、それに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯情報端末操作判別装置
2 車両
3 携帯情報端末
4 記憶部
5 取得部
6 判別部
21 第1のGPS装置
22 第1の位置情報
31 第2のGPS装置
32 第2の位置情報
33 通信記録
X 衛星
Y 通信センター
図1
図2