(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車の変速支援方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B60W 10/08 20060101AFI20220620BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20220620BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20220620BHJP
B60W 20/30 20160101ALI20220620BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20220620BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20220620BHJP
F16H 59/46 20060101ALI20220620BHJP
F16H 61/02 20060101ALI20220620BHJP
F16H 61/682 20060101ALI20220620BHJP
F16H 63/50 20060101ALI20220620BHJP
F16H 59/48 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B60W10/08 900
B60K6/48 ZHV
B60K6/54
B60W20/30
B60L50/16
B60L15/20 K
F16H59/46
F16H61/02
F16H61/682
F16H63/50
F16H59/48
(21)【出願番号】P 2018121489
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 優輝
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-011075(JP,A)
【文献】特開2000-220734(JP,A)
【文献】特開2015-077044(JP,A)
【文献】特開2011-098679(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068584(WO,A1)
【文献】特開2016-113039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0365093(US,A1)
【文献】特開2000-225858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 10/30
B60W 20/00 - 20/50
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
F16H 59/00 - 61/12
F16H 61/16 - 61/24
F16H 61/66 - 61/70
F16H 63/40 - 63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに対しクラッチを介してモータジェネレータと機械式変速機を順次連結し、該機械式変速機の変速時に該機械式変速機のインプットシャフトとアウトプットシャフトとの回転合わせを前記モータジェネレータにより助勢するようにしたハイブリッド自動車の変速支援方法であって、
アウトプットシャフトの回転数に基づきギヤ入れ可能な目標回転数を求め、該目標回転数を前記モータジェネレータへの指示値として該モータジェネレータの回転数を制御するにあたり、前記
機械式変速機におけるギヤ抜き後のアウトプットシャフトの回転数が所定の変化率を超えて
下降又は上昇した時に急減速又は急加速であると判定し、急減速
であると判定された時に前記モータジェネレータの回転数が目標回転数より高い条件下で該モータジェネレータへの指示値を目標回転数より低いオフセット回転数に切り替え且つ急加速
であると判定された時には前記モータジェネレータの回転数が目標回転数より低い条件下で該モータジェネレータへの指示値を目標回転数より高いオフセット回転数に切り替えて前記モータジェネレータの回転数を制御し、該モータジェネレータの回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたらオフセット回転数から目標回転数に指示値を戻して該目標回転数に前記モータジェネレータの回転数を収束させることを特徴とするハイブリッド自動車の変速支援方法。
【請求項2】
エンジンに対しクラッチを介してモータジェネレータと機械式変速機を順次連結し、該機械式変速機の変速時に該機械式変速機のインプットシャフトとアウトプットシャフトとの回転合わせを前記モータジェネレータにより助勢するようにしたハイブリッド自動車の変速支援装置であって、
アウトプットシャフトの回転数を検出する回転センサと、該回転センサの検出値に基づきギヤ入れ可能なインプットシャフトの目標回転数を求め且つ該目標回転数を前記モータジェネレータへの指示値として該モータジェネレータの回転数を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記回転センサの検出値に基づき
前記機械式変速機におけるギヤ抜き後のアウトプットシャフトの回転数が所定の変化率を超えて下降又は上昇した時に急減速又は急加速であると判定し、急減速
であると判定された時に前記モータジェネレータの回転数が目標回転数より高い条件下で該モータジェネレータへの指示値を目標回転数より低いオフセット回転数に切り替え且つ急加速
であると判定された時には前記モータジェネレータの回転数が目標回転数より低い条件下で該モータジェネレータへの指示値を目標回転数より高いオフセット回転数に切り替えて前記モータジェネレータの回転数を制御し、該モータジェネレータの回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたらオフセット回転数から目標回転数に指示値を戻して該目標回転数に前記モータジェネレータの回転数を収束させるよう構成されていることを特徴とするハイブリッド自動車の変速支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車の変速支援方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンとモータジェネレータを併用したハイブリッド自動車の台頭が著しいが、この種のハイブリッド自動車には、エンジンとモータジェネレータとの間に動力を断接可能なクラッチを介装したパラレル型と称されるものがあり、車両の減速時に発生するエネルギーをモータジェネレータの充電制御により回収して蓄電すると共に、エンジンの動力をモータジェネレータの放電制御によりトルクアシストすることでエンジンの負担を軽減するようになっている。
【0003】
斯かるパラレル型のハイブリッド自動車にあっては、モータジェネレータの後段に機械式変速機が接続されており、この機械式変速機の作動をクラッチ操作と共に自動化して運転者のアクセル操作だけで自動変速が成されるようにしてあるが、このようなパラレル型のハイブリッド自動車にあっては、機械式変速機におけるシフトアップ又はシフトダウンの変速を行うに際し、前記機械式変速機におけるギヤ抜き後のアウトプットシャフトの回転数を検出し、これに基づきインプットシャフトのギヤ入れ可能な目標回転数を制御装置にて求め、前記モータジェネレータによりインプットシャフトの回転数を前記目標回転数に合わせるよう助勢することが提案されている。
【0004】
尚、本発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、下記の特許文献1や特許文献2等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-241300号公報
【文献】特開2007-69787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、急登坂や急降坂等といった走行条件における変速では、ギヤニュートラル状態となってトルク伝達が無くなることで車両速度が急減速又は急加速し、アウトプットシャフトにおける回転数の変化率が大きくなってしまうため、モータジェネレータによるインプットシャフトの回転制御(回転合わせ)が目標回転数に到達するまでの間にアウトプットシャフトの回転数も時々刻々大きく変化し、前記モータジェネレータの回転数と目標回転数との間に一定の定常偏差が生じて相互の収束が図れなくなり、変速を完了することができなくなる虞れがあった。
【0007】
例えば、
図5のグラフにより急登坂での変速における回転合わせの制御について説明すると、機械式変速機のアウトプットシャフトの回転数の変化率に基づき目標回転数が制御装置にて時々刻々求められて低下していく一方、ある時点での目標回転数を目指してモータジェネレータの回転制御が実施されるが、先行して低下していく目標回転数に対し応答性の悪いモータジェネレータの回転数が追いつかず、目標回転数とモータジェネレータの回転数とが一定の定常偏差を生じたまま低下していくことになって変速を完了できなくなる事態が起こり得る。
【0008】
このため、従来においては、急登坂や急降坂等といった走行条件で変速が成されないように制御することで対応しているのが実情であるが、このような急登坂や急降坂等といった走行条件でも迅速に変速を完了することが可能な技術的対策が求められていることは勿論である。
【0009】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、急登坂や急降坂等といった変速中に車両速度が急減速又は急加速するような走行条件であっても、機械式変速機のインプットシャフトとアウトプットシャフトとの回転合わせを短時間のうちに成し遂げて迅速に変速を完了し得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、エンジンに対しクラッチを介してモータジェネレータと機械式変速機を順次連結し、該機械式変速機の変速時に該機械式変速機のインプットシャフトとアウトプットシャフトとの回転合わせを前記モータジェネレータにより助勢するようにしたハイブリッド自動車の変速支援方法であって、アウトプットシャフトの回転数に基づきギヤ入れ可能な目標回転数を求め、該目標回転数を前記モータジェネレータへの指示値として該モータジェネレータの回転数を制御するにあたり、前記機械式変速機におけるギヤ抜き後のアウトプットシャフトの回転数が所定の変化率を超えて下降又は上昇した時に急減速又は急加速であると判定し、急減速であると判定された時に前記モータジェネレータの回転数が目標回転数より高い条件下で該モータジェネレータへの指示値を目標回転数より低いオフセット回転数に切り替え且つ急加速であると判定された時には前記モータジェネレータの回転数が目標回転数より低い条件下で該モータジェネレータへの指示値を目標回転数より高いオフセット回転数に切り替えて前記モータジェネレータの回転数を制御し、該モータジェネレータの回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたらオフセット回転数から目標回転数に指示値を戻して該目標回転数に前記モータジェネレータの回転数を収束させることを特徴とするものである。
【0011】
而して、このようにすれば、急登坂や急降坂等といった変速中に車両速度が急減速又は急加速するような走行条件において、アウトプットシャフトの回転数の変化率に基づいて急減速であることが判定された場合に、モータジェネレータの回転数が目標回転数より低いオフセット回転数に切り替えられ、これとは反対に急加速であることが判定された場合には、モータジェネレータの回転数が目標回転数より高いオフセット回転数に切り替えられるので、何れの場合もアウトプットシャフトの回転数が変化する方向へモータジェネレータが余分に回転指示されて目標回転数への収束が早められることになる。
【0012】
この際、モータジェネレータの回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたところでオフセット回転数から目標回転数に指示値を戻すと、該目標回転数に前記モータジェネレータの回転数が収束し、機械式変速機のインプットシャフトとアウトプットシャフトとの回転合わせが成されてギヤ入れにより変速を完了することが可能となる。
【0013】
尚、前述の如きオフセット回転数への切り替えを、急減速時にモータジェネレータの回転数が目標回転数より高い条件下でのみ行い、急加速時にはモータジェネレータの回転数が目標回転数より低い条件下でのみ行うようにしているのは、モータジェネレータの回転数がオフセット回転数に収束してしまって回転合わせができなくなるからである。
【0014】
また、前述の本発明の方法を具体的に実施する装置としては、エンジンに対しクラッチを介してモータジェネレータと機械式変速機を順次連結し、該機械式変速機の変速時に該機械式変速機のインプットシャフトとアウトプットシャフトとの回転合わせを前記モータジェネレータにより助勢するようにしたハイブリッド自動車の変速支援装置であって、アウトプットシャフトの回転数を検出する回転センサと、該回転センサの検出値に基づきギヤ入れ可能なインプットシャフトの目標回転数を求め且つ該目標回転数を前記モータジェネレータへの指示値として該モータジェネレータの回転数を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記回転センサの検出値に基づき前記機械式変速機におけるギヤ抜き後のアウトプットシャフトの回転数が所定の変化率を超えて下降又は上昇した時に急減速又は急加速であると判定し、急減速であると判定された時に前記モータジェネレータの回転数が目標回転数より高い条件下で該モータジェネレータへの指示値を目標回転数より低いオフセット回転数に切り替え且つ急加速であると判定された時には前記モータジェネレータの回転数が目標回転数より低い条件下で該モータジェネレータへの指示値を目標回転数より高いオフセット回転数に切り替えて前記モータジェネレータの回転数を制御し、該モータジェネレータの回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたらオフセット回転数から目標回転数に指示値を戻して該目標回転数に前記モータジェネレータの回転数を収束させるよう構成されているものを採用することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上記した本発明のハイブリッド自動車の変速支援方法及び装置によれば、急登坂や急降坂等といった変速中に車両速度が急減速又は急加速するような走行条件であっても、アウトプットシャフトの回転数が変化する方向へモータジェネレータを余分に回転指示することで目標回転数への収束を早めることができ、これにより機械式変速機のインプットシャフトとアウトプットシャフトとの回転合わせを短時間のうちに成し遂げて迅速に変速を完了することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【
図2】
図1の制御装置における具体的な制御手順を示すフローチャートである。
【
図3】急減速時の指示値の切り替えイメージを示すグラフである。
【
図4】急加速時の指示値の切り替えイメージを示すグラフである。
【
図5】急登坂での変速における回転合わせの制御を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、エンジン1に対しクラッチ2を介してモータジェネレータ3と機械式変速機4を順次連結し、該機械式変速機4の変速時に該機械式変速機4のインプットシャフト5とアウトプットシャフト6との回転合わせを前記モータジェネレータ3により助勢するようにしたハイブリッド自動車を概略的に示しており、前記アウトプットシャフト6の出力がディファレンシャルギア7を介して駆動輪8に伝達されるようになっている。
【0019】
ここで、前記ハイブリッド自動車には、前記アウトプットシャフト6の回転数を検出する回転センサ9と、該回転センサ9の検出値に基づきギヤ入れ可能なインプットシャフト5の目標回転数を求め且つ該目標回転数を前記モータジェネレータ3への指示値として該モータジェネレータ3の回転数を制御する制御装置10とが備えられている。
【0020】
そして、前記制御装置10は、前記回転センサ9の検出値に基づき前記機械式変速機4におけるギヤ抜き後のアウトプットシャフト6の回転数が所定の変化率を超えて下降又は上昇した時に急減速又は急加速であると判定し、急減速であると判定された時に前記モータジェネレータ3の回転数が目標回転数より高い条件下で該モータジェネレータ3への指示値を目標回転数より低いオフセット回転数に切り替えるようにしてある。
【0021】
また、急加速であると判定された時には前記モータジェネレータ3の回転数が目標回転数より低い条件下で該モータジェネレータ3への指示値を目標回転数より高いオフセット回転数に切り替えて前記モータジェネレータ3の回転数を制御するようになっている。
【0022】
しかも、前記モータジェネレータ3の回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたらオフセット回転数から目標回転数に指示値を戻して該目標回転数に前記モータジェネレータ3の回転数を収束させるようにしてある。
【0023】
図2は前記制御装置10における具体的な制御手順をフローチャートで示したものであり、先ずステップS1で回転センサ9の検出値に基づき所定の変化率を超えた急減速又は急加速であるか否かが判定され、急減速であると判定された際にはステップS2に進んで急減速時の回転合わせが開始され、急加速であると判定された際にはステップS3に進んで急加速時の回転合わせが開始され、急減速又は急加速の何れでもなければステップS4に進んで通常時の回転合わせが開始される。
【0024】
ここで、ステップS1における回転センサ9の検出値に基づく急減速又は急加速の判定には適当なヒステリシスを設定して、その判定に用いる変化率の閾値に幅を持たせておき、アウトプットシャフト6の回転数の変化率が閾値近辺で推移することで頻繁に判定が覆るような現象を回避し得るようにしておくと良い。
【0025】
そして、ステップS2で急減速時の回転合わせが開始されると、次のステップS5にてモータジェネレータ3の回転数が目標回転数より高いか否かが判定され、高い場合に限りステップS6に進んで前記モータジェネレータ3への指示値が目標回転数より低いオフセット回転数に切り替えられる。
【0026】
この結果、モータジェネレータ3への指示値をオフセット回転数とした制御が実行されて前記モータジェネレータ3の回転数が急速に下降して目標回転数に近づくので、次のステップS7でモータジェネレータ3の回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたか否かが判定され、規定範囲内まで近づいていると判定されたらステップS8へ進んでオフセット回転数から目標回転数に指示値が戻され、ステップS9にて前記モータジェネレータ3の回転数が目標回転数に収束してギヤ入れが可能となる。尚、ステップS7の判定でモータジェネレータ3の回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づかないうちは前記ステップS7における判定が繰り返されることになる。
【0027】
また、ステップS3で急加速時の回転合わせが開始されると、次のステップS10にてモータジェネレータ3の回転数が目標回転数より低いか否かが判定され、低い場合に限りステップS11に進んで前記モータジェネレータ3への指示値が目標回転数より高いオフセット回転数に切り替えられる。
【0028】
この結果、モータジェネレータ3への指示値をオフセット回転数とした制御が実行されて前記モータジェネレータ3の回転数が急速に上昇して目標回転数に近づくので、次のステップS12でモータジェネレータ3の回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたか否かが判定され、規定範囲内まで近づいていると判定されたらステップS13へ進んでオフセット回転数から目標回転数に指示値が戻され、ステップS9にて前記モータジェネレータ3の回転数が目標回転数に収束してギヤ入れが可能となる。尚、ステップS12の判定でモータジェネレータ3の回転数が目標回転数に対し規定範囲内まで近づかないうちは前記ステップS12における判定が繰り返されることになる。
【0029】
一方、ステップS4に進んで通常時の回転合わせが開始されると、ステップS14にて従前通り回転センサ9で検出されるアウトプットシャフト6の回転数に基づきギヤ入れ可能なインプットシャフト5の目標回転数が制御装置10で求められて該目標回転数を前記モータジェネレータ3への指示値とした該モータジェネレータ3の回転数の制御が実行され、ステップS9にて前記モータジェネレータ3の回転数が目標回転数に収束してギヤ入れが可能となるが、前述した急減速時のステップS5や急加速時のステップS10でNO判定が出た場合にもステップS14へ進んで通常時の制御となる。
【0030】
尚、前述のステップS5やステップS10において、オフセット回転数への切り替えを、急減速時にモータジェネレータ3の回転数が目標回転数より高い条件下でのみ行い、急加速時にはモータジェネレータ3の回転数が目標回転数より低い条件下でのみ行うようにしているのは、このような条件下でのみ行うようにしないと、モータジェネレータ3の回転数がオフセット回転数に収束してしまって回転合わせができなくなるからである。
【0031】
また、
図3は急減速時の指示値の切り替えイメージを示すグラフであり、例えば、急登坂中に変速が成されると、勾配により車両速度が急激に下降してアウトプットシャフト6の回転数も大幅に下降してくるため、このアウトプットシャフト6の回転数に基づき制御装置10で時々刻々算出されるギヤ入れ可能な目標回転数も大幅に下降することになるが、制御装置10にて急減速であると判定されてモータジェネレータ3への指示値が目標回転数より低いオフセット回転数に切り替えられて前記モータジェネレータ3の回転数が制御されるので、該モータジェネレータ3の回転数が本来の目標回転数より低いオフセット回転数を目指して急激に下降して目標回転数に近づき、該目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたところでオフセット回転数から目標回転数に指示値が戻され、前記モータジェネレータ3の回転数が短時間のうちに目標回転数に収束することになる。
【0032】
更に、
図4は急加速時の指示値の切り替えイメージを示すグラフであり、例えば、急降坂中に変速が成されると、勾配により車両速度が急激に上昇してアウトプットシャフト6の回転数も大幅に上昇してくるため、このアウトプットシャフト6の回転数に基づき制御装置10で時々刻々算出されるギヤ入れ可能な目標回転数も大幅に上昇することになるが、制御装置10にて急加速であると判定されてモータジェネレータ3への指示値が目標回転数より高いオフセット回転数に切り替えられて前記モータジェネレータ3の回転数が制御されるので、該モータジェネレータ3の回転数が本来の目標回転数より高いオフセット回転数を目指して急激に上昇して目標回転数に近づき、該目標回転数に対し規定範囲内まで近づいたところでオフセット回転数から目標回転数に指示値が戻され、前記モータジェネレータ3の回転数が短時間のうちに目標回転数に収束することになる。
【0033】
以上に説明した通り、本形態例によれば、急登坂や急降坂等といった変速中に車両速度が急減速又は急加速するような走行条件であっても、アウトプットシャフト6の回転数の変化率に基づいて急減速であることが判定された場合に、モータジェネレータ3の回転数を目標回転数より低いオフセット回転数に切り替え、これとは反対に急加速であることが判定された場合には、モータジェネレータ3の回転数を目標回転数より高いオフセット回転数に切り替えて回転合わせを行うことができ、何れの場合もアウトプットシャフト6の回転数が変化する方向へモータジェネレータ3を余分に回転指示することで目標回転数への収束を早めることができるので、これにより機械式変速機4のインプットシャフト5とアウトプットシャフト6との回転合わせを短時間のうちに成し遂げて迅速に変速を完了することができる。
【0034】
尚、本発明のハイブリッド自動車の変速支援方法及び装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
1 エンジン
2 クラッチ
3 モータジェネレータ
4 機械式変速機
5 インプットシャフト
6 アウトプットシャフト
9 回転センサ
10 制御装置