(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】多色LED照明装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20220620BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220620BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20220620BHJP
F21V 23/06 20060101ALI20220620BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20220620BHJP
F21V 13/02 20060101ALI20220620BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20220620BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220620BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20220620BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20220620BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220620BHJP
【FI】
H01L33/62
F21V23/00 200
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V23/06
F21V29/70
F21V23/00 140
F21V23/00 160
F21V13/02 400
F21V29/503 100
F21S2/00 100
F21Y105:10
F21Y113:13
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2017154072
(22)【出願日】2017-08-09
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2016158486
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年2月17日~18日にマツダ株式会社本社1号館3階講堂(広島県安芸郡府中町新地3-1)において、香川県・公益財団法人かがわ産業支援財団主催で開催された、香川県 新技術・新工法 展示商談会 in MAZDAで公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】000180313
【氏名又は名称】四国計測工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(72)【発明者】
【氏名】村上 昭二
(72)【発明者】
【氏名】福田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】正岡 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】安野 朋樹
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-103261(JP,A)
【文献】特開2013-118292(JP,A)
【文献】特開2014-187284(JP,A)
【文献】特開2016-031951(JP,A)
【文献】特開2016-119171(JP,A)
【文献】特開平10-229221(JP,A)
【文献】特開2005-136224(JP,A)
【文献】特開2008-258356(JP,A)
【文献】特開2003-168305(JP,A)
【文献】特開2016-119381(JP,A)
【文献】特開2015-005501(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0099303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
F21V 19/00 - 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光面を有する実装基板と、前記発光面を露出させるようにくり抜かれた開口部を有し、前記実装基板の上方に配置されるプリント配線基板と、前記発光面に実装された多数個のLEDチップと、を備える多色LED照明装置であって、
前記多数個のLEDチップが、2個以上の赤色LEDチップを第一の直線方向に沿って配置し、直列接続してなる赤色ライン、
2個以上の緑色LEDチップを
前記第一の直線方向に沿って配置し、直列接続してなる緑色ライン、および、
2個以上の青色LEDチップを
前記第一の直線方向に沿って配置し、直列接続してなる青色ライン、をそれぞれ複数組備えてなり、
前記プリント配線基板が、前記赤色ラインを接続する配線パターンが形成された基材、前記緑色ラインを接続する配線パターンが形成された基材、および、前記青色ラインを接続する配線パターンが形成された基材を積層して構成されることを特徴とする多色LED照明装置。
【請求項2】
さらに、前記多数個のLEDチップが、2個以上の白色LEDチップを
前記第一の直線方向に沿って配置し、直列接続してなる白色ラインを複数組備えてなり、
前記プリント配線基板が、前記白色ラインを接続する配線パターンが形成された基材を備えることを特徴とする請求項1に記載の多色LED照明装置。
【請求項3】
前記赤色ラインが、4個以上の赤色LEDチップからなり、
前記緑色ラインが、4個以上の緑色LEDチップからなり、
前記青色ラインが、4個以上の青色LEDチップからなり、
前記白色ラインが、4個以上の白色LEDチップからなり、
前記発光面が、平行四辺形の頂点を構成するように配置された前記赤色LEDチップ、前記緑色LEDチップ、前記青色LEDチップおよび前記白色LEDチップからなる単位LEDチップ群を、前記第一の直線方向および前記第一の直線方向と直交する第二の直線方向に連続配置して構成されることを特徴とする請求項2に記載の多色LED照明装置。
【請求項4】
前記赤色LEDチップと前記青色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置され、前記緑色LEDチップと前記白色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置されること、
前記赤色LEDチップと前記緑色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置され、前記青色LEDチップと前記白色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置されること、または、
前記赤色LEDチップと前記白色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置され、前記緑色LEDチップと前記青色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置されることを特徴とする請求項3に記載の多色LED照明装置。
【請求項5】
放熱性要件により定まる前記多数個のLEDチップの最小チップ間距離がAである場合に、隣り合う色ラインのピッチがA/√2であることを特徴とする請求項4に記載の多色LED照明装置。
【請求項6】
前記白色LEDチップの色温度の範囲が、1700K~6500Kであることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の多色LED照明装置。
【請求項7】
前記複数組の赤色ラインが、それぞれ同一個数のLEDチップを備え、並列接続されていること、
前記複数組の緑色ラインが、それぞれ同一個数のLEDチップを備え、並列接続されていること、
前記複数組の青色ラインが、それぞれ同一個数のLEDチップを備え、並列接続されていること、
前記複数組の白色ラインが、それぞれ同一個数のLEDチップを備え、並列接続されていることことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の多色LED照明装置。
【請求項8】
前記発光面が、角数が偶数個の多角形であり、
前記第一の直線が、前記発光面の最右辺および最左辺、または、前記発光面の最上辺および最下辺と平行な直線であることを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の多色LED照明装置。
【請求項9】
前記プリント配線基板が、前記LEDチップの色数と同数設けられたカソード電極およびアノード電極を備え、同一の色ラインは同一のカソード電極およびアノード電極に接続されることを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の多色LED照明装置。
【請求項10】
さらに、前記プリント配線基板と前記実装基板を連結するコネクタを備え、
前記コネクタが、前記実装基板に形成された配線パターンと前記プリント配線基板に形成された配線パターンとを接続する配線を備えることを特徴とする請求項9に記載の多色LED照明装置。
【請求項11】
前記実装基板は、少なくとも表面が金属により構成されており、
前記プリント配線基板を構成する各基材は、絶縁性材料により構成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の多色LED照明装置。
【請求項12】
前記プリント配線基板が、配線パターンが両面に形成された基材を含むことを特徴とする請求項11に記載の多色LED照明装置。
【請求項13】
前記多数個のLEDチップが、COB実装されたLEDベアチップからなることを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の多色LED照明装置。
【請求項14】
前記発光面が、投入電力が100W以上であり、平均演色評価数Raを65以上に調整可能な発光面からなることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の多色LED照明装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の多色LED照明装置と、
リフレクタと、
ヒートシンクと、
電源装置と、
前記発光面の色を制御する制御装置と、を備える多色LED照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、COB(Chip On Board)構造の多色LED照明装置および照明器具に関し、全光束が、例えば1~5万ルーメン(lm)の大光量かつ高輝度の多色LED照明装置および照明器具に関する。本明細書における「白色」には、色温度の範囲が1700K~6500Kのもの(一般にアンバーと呼ばれるもの)も含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、発光部をLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)に代替した照明器具が多数提案されている。LEDの実装方法としては、COB実装と、パッケージ実装とが知られている。COB実装は、例えば、表面にリード電極のパターンが金属膜で形成された平板形状の基板に、半導体素子を搭載してリード電極に電気的に接続し、樹脂で封止することにより行われる。
【0003】
COB構造のLED照明装置は、実装基板に搭載したLED素子と実装基板上の配線とをワイヤボンディングあるいはフリップチップ実装で電気的に接続し、LED素子実装領域を透光性樹脂で封止して製造される。樹脂封止の前に、基板上の実装領域の周囲に環状の枠体を設けて、この枠体の内側に透光性樹脂を充填して封止した製造手法も知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
昨今、LED照明装置の大光量化の要請がある。しかし、多数のLEDチップを基板にCOB実装するに際し、ガラスエポキシ樹脂のような熱伝導性が低い材料からなる基板を用いると、放熱性の悪くなる発光中心部の光量が特に低下するドーナツ化現象が生じるという課題がある。そこで、出願人等は、特許文献2において、少なくとも表面が金属である基板の表面に平均粒径が数nm~数百nmであるSiO2粒子及び白色無機顔料を含む液材を塗布し、焼成することにより、白色絶縁層と金属層の積層構造を形成することにより、ドーナツ化現象を解決することができる半導体装置を提案した。
【0005】
また、狭小空間においても実装ができるように、封入された冷媒の気化および凝縮によって発熱体を冷却するヒートパイプ(ヒートスプレッダ)も提案されている。特許文献3では、上板及び下板のうちいずれか一方に被冷却装置を設けるための配置部を有し、前記上板と前記下板との間に1又は複数の中板を設けた冷却部本体を備え、前記冷却部本体の内部には、冷媒が蒸気となって前記被冷却装置で発生する熱を前記冷却部本体の周辺部に伝達する蒸気拡散流路と、前記中板に設けられ、前記周辺部で凝縮した冷媒が前記配置部側に戻るように構成された毛細管流路とが設けられており、前記配置部には、他の領域よりも厚みが薄く形成され、前記被冷却装置を搭載させるための凹部を備えるヒートパイプが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-164157号公報
【文献】特許第5456209号公報
【文献】特許第4119944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多色LED照明装置を大光量化するにあたり、マルチ光源を採用すると色ムラが生じ、輝度も低下するという課題がある。
多色LED照明装置の大光量化を単一光源で実現する場合、LEDチップの高密度実装により配線パターンが複雑化したり、狭ピッチ配線にするとショートが生じやすくなるという課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題が解消された多数個のLEDを備える多色LED照明装置および照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の多色LED照明装置は、 発光面を有する実装基板と、前記発光面を露出させるようにくり抜かれた開口部を有し、前記実装基板の上方に配置されるプリント配線基板と、前記発光面に実装された多数個のLEDチップと、を備える多色LED照明装置であって、前記多数個のLEDチップが、2個以上の赤色LEDチップを第一の直線方向に沿って配置し、直列接続してなる赤色ライン、2個以上の緑色LEDチップを前記第一の直線方向に沿って配置し、直列接続してなる緑色ライン、および、2個以上の青色LEDチップを前記第一の直線方向に沿って配置し、直列接続してなる青色ライン、をそれぞれ複数組備えてなり、前記プリント配線基板が、前記赤色ラインを接続する配線パターンが形成された基材、前記緑色ラインを接続する配線パターンが形成された基材、および、前記青色ラインを接続する配線パターンが形成された基材を積層して構成されることを特徴とする。
上記LED照明装置において、さらに、前記多数個のLEDチップが、2個以上の白色LEDチップを前記第一の直線方向に沿って配置し、直列接続してなる白色ラインを複数組備えてなり、前記プリント配線基板が、前記白色ラインを接続する配線パターンが形成された基材を備えることを特徴としてもよい。
【0010】
上記LED照明装置において、前記赤色ラインが、4個以上の赤色LEDチップからなり、前記緑色ラインが、4個以上の緑色LEDチップからなり、前記青色ラインが、4個以上の青色LEDチップからなり、前記白色ラインが、4個以上の白色LEDチップからなり、前記発光面が、平行四辺形の頂点を構成するように配置された前記赤色LEDチップ、前記緑色LEDチップ、前記青色LEDチップおよび前記白色LEDチップからなる単位LEDチップ群を、前記第一の直線方向および前記第一の直線方向と直交する第二の直線方向に連続配置して構成されることを特徴としてもよい。
【0011】
上記LED照明装置において、前記赤色LEDチップと前記青色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置され、前記緑色LEDチップと前記白色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置されること、前記赤色LEDチップと前記緑色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置され、前記青色LEDチップと前記白色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置されること、または、前記赤色LEDチップと前記白色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置され、前記緑色LEDチップと前記青色LEDチップが、前記第二の直線方向に並列するように配置されることを特徴としてもよく、この場合、放熱性要件により定まる前記多数個のLEDチップの最小チップ間距離がAである場合に、隣り合う色ラインのピッチがA/√2であることを特徴としてもよい。
【0012】
上記の白色ラインを備える多色LED照明装置において、前記白色LEDチップの色温度の範囲が、1700K~6500Kであることを特徴としてもよい。
上記の多色LED照明装置において、前記複数組の赤色ラインが、それぞれ同一個数のLEDチップを備え、並列接続されていること、前記複数組の緑色ラインが、それぞれ同一個数のLEDチップを備え、並列接続されていること、前記複数組の青色ラインが、それぞれ同一個数のLEDチップを備え、並列接続されていること、前記複数組の白色ラインが、それぞれ同一個数のLEDチップを備え、並列接続されていることことを特徴してもよい。
上記の多色LED照明装置において、前記発光面が、角数が偶数個の多角形であり、前記第一の直線が、前記発光面の最右辺および最左辺、または、前記発光面の最上辺および最下辺と平行な直線であることを特徴としてもよい。
【0013】
上記のプリント配線基板を備える多色LED照明装置において、前記配線パターンのいずれもが、各色ラインを並列接続する配線パターンであることを特徴としてもよい。
上記の各色ラインを並列接続する配線パターンを備える多色LED照明装置において、前記プリント配線基板が、前記LEDチップの色数と同数設けられたカソード電極およびアノード電極を備え、同一の色ラインは同一のカソード電極およびアノード電極に接続されることを特徴としてもよい。
上記の各色ラインを並列接続する配線パターンを備える多色LED照明装置において、前記プリント配線基板と前記実装基板を連結するコネクタを備え、前記コネクタが、前記実装基板に形成された配線パターンと前記プリント配線基板に形成された配線パターンとを接続する配線を備えることを特徴としもよい。
【0014】
上記の各色ラインを並列接続する配線パターンを備える多色LED照明装置において、さらに、前記実装基板は、少なくとも表面が金属により構成されており、前記プリント配線基板を構成する各基材は、絶縁性材料により構成されていることを特徴としてもよい。
上記の絶縁性材料により構成された基材を備える多色LED照明装置において、前記プリント配線基板が、配線パターンが両面に形成された基材を含むことを特徴としてもよい。
上記のプリント配線基板を備える多色LED照明装置において、前記多数個のLEDチップが、COB実装されたLEDベアチップからなることを特徴としてもよい。
上記の多色LED照明装置において、前記発光面が、投入電力が100W以上であり、平均演色評価数Raを65以上に調整可能な発光面からなることを特徴としてもよい。
【0015】
本発明の多色LED照明器具は、上記の多色LED照明装置と、リフレクタと、ヒートシンクと、電源装置と、前記発光面の色を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、色ムラの課題を解決した大光量かつ高輝度の多色LED照明装置および照明器具を提供することができる。
また、開口部を有するプリント配線基板を備える本発明によれば、LEDチップの高密度実装時に生じる配線パターンの複雑化の課題や狭ピッチ配線によるショートの課題を解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第一実施形態例に係るLED照明装置の平面図である。
【
図2】(a)四色LEDチップの整列配置例、(b)第一実施形態例に係る四色LEDチップの千鳥配置、(c)四色LEDチップの千鳥配置の変形例である。
【
図3】第一実施形態例に係るLED照明装置の側面断面図である。
【
図4】(a)表面電極LED素子を実装したモジュールの一例を示す側面断面図であり、(b)垂直電極LED素子を実装したモジュールの一例を示す側面断面図である。
【
図5】(a)晴天下のスペクトルと、(b)第一実施形態例に係るLED照明装置のスペクトルである。
【
図6】第二実施形態例に係るLED照明装置の要部側面断面図である。
【
図7】第三実施形態例に係るLED照明装置の平面図である。
【
図8】(a)第四実施形態例に係るLED照明装置の平面図、(b)側面図である。
【
図9】連結コネクタを透過的に図示した第四実施形態例に係るLED照明装置の平面図である。
【
図10】第一実施形態例に係るLED照明装置を搭載したLED照明器具の側面断面図である。
【
図11】第五実施形態例に係るLED照明装置の平面図である。
【
図12】第五実施形態例に係るLEDチップの配置を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のLED照明装置は、多数個(例えば100~2000個または200~2000個)の数Wクラス(例えば、0.5~4W)のLEDチップを備え、数百W以上(例えば、100~1000Wまたは200~1000W)の多色光源を構成するものである。
発光面は、四色のLEDチップをアレイ状に配置してなる面状光源であり、同一直線上に配置され、直列接続される複数個の赤色LEDチップからなる赤色ラインと、同一直線上に配置され、直列接続される複数個の緑色LEDチップからなる緑色ラインと、同一直線上に配置され、直列接続される複数個の青色LEDチップからなる青色ラインとを、それぞれ複数ライン備えており、好ましくは、同一直線上に配置され、直列接続される複数個の白色LEDチップからなる白色ラインを備えている。白色LEDチップには、色温度の範囲が1700K~6500KのLEDチップ(一般にアンバーと呼ばれるもの)も含まれる。本発明のLED照明装置の色温度は例えば3000K~7000Kの範囲で調整可能であり、演色性は例えば平均演色評価数Ra65以上(好ましくはRa70以上、より好ましくはRa75以上、さらに好ましくはRa80以上)に調整可能である。
【0019】
各色ラインを構成するLEDチップの個数は任意の個数(例えば2~50個、好ましくは4~50個)とすることができ、各色ラインを並列接続する数も任意の数(例えば2~40、好ましくは4~40)とすることができる。色ムラを防ぐ観点からは、各色ラインを構成するLEDチップの個数および並列接続数は同一とすることが好ましい。
【0020】
好ましい形態の本発明のLED照明装置は、LEDベアチップ(LEDダイス)がCOB実装される実装基板と、発光面を露出させる開口部を有し、実装基板上に配置されるプリント配線基板を備えており、当該プリント配線基板が、赤色ラインを並列接続する配線パターンが形成された基材(配線層)、緑色ラインを並列接続する配線パターンが形成された基材(配線層)、青色ラインを並列接続する配線パターンが形成された基材(配線層)、および、白色ラインを並列接続する配線パターンが形成された基材(配線層)を積層して構成されることを特徴とする。
【0021】
上記LED照明装置は、後述するように、実装基板の裏面からヒートシンクに放熱する構造を設け、リフクレタ(および/またはレンズ)を取り付けてLED照明器具を構成する。以下、例示に基づき本発明を説明する。
【0022】
[第一実施形態例]
図1は本発明の第一実施形態例に係るLED照明装置1の平面図である。LED照明装置1は、発光面2と、実装基板3と、プリント配線基板4と、カソード電極5と、アノード電極6と、を主に備えて構成されたLED照明装置である。
【0023】
発光面2は、416個のLEDチップをアレイ状に配置してなる面状光源であり、
図1の上下方向(以下、「縦方向」という)に伸びる赤色ラインを8組と、縦方向に伸びる緑色ラインを8組と、縦方向に伸びる青色ラインを8組と、縦方向に伸びる白色ラインを8組とを備えている。各色ラインは、
図1の左右方向(以下、「横方向」という)に、左から赤緑青白赤緑青白・・・の順で平行して配置されている。
赤色ラインは同一直線上に配置され、直列接続される13個の赤色LEDチップ11からなり、緑色ラインは同一直線上に配置され、直列接続される13個の緑色LEDチップ12からなり、青色ラインは同一直線上に配置され、直列接続される13個の青色LEDチップ13からなり、白色ラインは同一直線上に配置され、直列接続される13個の白色LEDチップ14からなる。各色ラインは並列接続されて色モジュールを構成し、各色モジュールは同一仕様の4つの電源装置とそれぞれ一対一で接続されている(各色13直列×8並列)。
【0024】
横方向に配置されるLEDチップの行において、上下方向に隣り合う行のLEDチップは千鳥状となるように配置されている。縦方向に配置されるLEDチップの列(色ライン)において、左右方向に隣り合う列のLEDチップは千鳥状となるように配置されている。別の言い方をすれば、赤色LEDチップ11、緑色LEDチップ12、青色LEDチップ13および白色LEDチップ14により構成される単位LEDチップ群は、実質的にひし形ないし平行四辺形の4つの頂点を構成するように配置されている。このような配置とすることにより、実質的に均等間隔での高密度配置(整列配置の√2倍)を実現するのと共に色ムラの問題を解消している。
図2(a)に四色LEDチップの整列配置例を示し、
図2(b)に第一実施形態例に係る四色LEDチップの千鳥配置を示し、
図2(c)に四色LEDチップの千鳥配置の変形例を示す。LEDチップの放熱性を考慮してチップ間距離をAとすることが必要である場合、
図2(a)に比べ
図2(b)および
図2(c)の列ピッチは1/√2に短縮することができる(ただし、Aは各LEDチップの縦横幅のいずれよりも大きい。)。
【0025】
図3は、第一実施形態例に係るLED照明装置1の側面断面図である。
実装基板3は、ドーナツ化現象が生じない熱伝導性に優れる材料からなる基板であり、例えば、銅板またはアルミ板により構成される。実装基板3は少なくとも表面が金属材料からなるものであれば足り、例えば表面が銅からなる水冷構造のヒートスプレッダ(上板、中板、下板の3種類の銅板からなる積層構造体。特許文献3参照)を用いてもよい。
第一実施形態例に係る実装基板3の裏面は、接着層を介してヒートシンク(図示せず)と接着される。接着層は、絶縁性を有する高熱伝導接着材あるいはボンディングシートを用いることができる。
【0026】
実装基板3の上面には、中央部が略正方形にくり抜かれたプリント配線基板4が固着されており、発光面2を構成する略正方形のLED実装領域が露出している。平面であるLED実装領域の表面には、LEDチップ11~14からの発光を反射する反射層7が形成されている。反射層7は、例えば、銀めっき層、或いは、白色無機粉末(白色無機顔料)と二酸化珪素(SiO2)を主要な成分とし、有機リン酸を含むジエチレングリコールモノブチルエーテルの溶剤でこれらを混ぜたインクをスクリーン印刷などで塗布し、焼成して形成される無機系白色絶縁層である。なお、LEDチップ11~14の載置場所に反射層7が形成されない凹部を設け、実装基板3の上面にLEDチップ11~14を直接ダイボンドしてもよい。いずれにせよ、熱伝導性に劣る後述のプリント配線基板4には、LEDチップ11~14は載置されないため、上述のドーナツ化現象の問題が生じることはない。
【0027】
プリント配線基板4は、樹脂基板である四枚の片面基板4a~4dにより構成されており、中央部に略正方形の開口部を有している。第一実施形態例にかかる片面基板4a~4dは、いずれもガラスエポキシ基板からなり、一枚の片面基板には一色のLEDチップの配線パターンが形成されている。本実施形態例では、RGBWの各色ラインをそれぞれ8組備えているので、片面基板4a~4dには8経路を1経路にまとめる配線パターンが形成されている。なお、第二実施形態例で後述するように、配線パターンが両面に形成された両面基板を組み合わせてなる多層基板によりプリント配線基板を構成してもよい。
どの片面基板にどの色のLEDチップを対応させるかは設計事項であるが、例えば、片面基板4aに赤色LEDチップ11の配線パターンを形成し、片面基板4bに緑色LEDチップ12の配線パターンを形成し、片面基板4cに青色LEDチップ13の配線パターンを形成し、片面基板4dに白色LEDチップ14の配線パターンを形成することが開示される。
なお、プリント配線基板4に形成する開口部は、略正方形に限定されず、例えば、円形、楕円形、四角形、五角形、六角形、八角形であってもよい。
【0028】
プリント配線基板4の上面には、カソード電極5、アノード電極6、保護ダイオード装置(図示せず)および温度センサ15が配置される。
カソード電極5は、電極パッド5a~5dからなり、スルーホール(図示せず)を介して片面基板4a~4dの配線パターンと電気的に接続されている。アノード電極6は、電極パッド6a~6dからなり、スルーホール(図示せず)を介して片面基板4a~4dの配線パターンと電気的に接続されている。各電極パッドには、電源コネクタやソケットを装着してもよい。図示しない保護ダイオード装置は、ペアとなる電極パッド5および6を電気的に接続する逆流防止装置であり、1または複数のツェナーダイオードにより構成される。
温度センサ15aおよび15bは、基板温度を監視するための温度センサであり、例えば、薄膜測温抵抗体素子により構成される。
【0029】
LEDチップ11~14は、例えば窒化ガリウム系半導体を用いたLEDベアチップであり、同一色のLEDチップは全て同一仕様である。LEDチップ11~13は金ワイヤのワイヤボンディングにより結線される表面電極LED素子であり(
図4(a)参照)、LEDチップ14は上部電極が金ワイヤのワイヤボンディングにより結線され、底面電極がダイボンディングにより結線される垂直電極LED素子である(
図4(b)参照)。LEDチップ11~13はダイアタッチ剤(シリコン系)を底面に塗布して接着され、LEDチップ14は銀ペーストまたは半田ペーストを底面に塗布して接着される。終端のLEDチップ11~14に接続される金ワイヤは、金パッドからなる接続パッド10に接続される。
【0030】
LEDチップ11~14の結線方法は例示の組み合わせに限定されるものではなく、例えば全てのLEDチップを表面電極LED素子により構成し、或いは、全てのLEDチップを垂直電極LED素子により構成することもできる。本実施形態例では、市販されるLEDチップの種類に限りがあることから、例示のLEDチップの組み合わせを採用している。
LEDチップ11~14は実装基板3のLED実装領域内に高密度実装される。より詳細には、縦横1.15mm以下のLEDチップ11~14が、50mm×50mmのLED実装領域内で横方向に1.6mm以下のピッチで32列実装され、縦方向に2.0mm以下のピッチで13行実装されており、実装面積密度は474mm2/2500mm2である。LEDチップ11~14の最大定格電流はいずれも350mAであり、総発光出力は425.88Wである。
【0031】
LEDチップ11~14が実装される領域は、少なくとも表面に光反射性が付与されたダム材8により囲まれている。ダム材8は、製造時において封止樹脂の流動を防ぐもので、樹脂や金属材料などで構成する。プリント配線基板4の内側面とLED実装領域(または反射層7)の境界部は、接続パッド10も含めてダム材でコーティングされている。ダム材8の内側には、透光性樹脂(例えば、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂)を充填および硬化してなる透光性樹脂部9が設けられている。本実施形態例の実装基板3はφ80mmであり、LED実装領域を囲繞するダム材8の外寸は54mm×54mmである。
【0032】
以上に説明した第一実施形態例のLED照明装置1は、マルチ光源のような色ムラが生じない、単一光源である多色光源を提供することが可能である。また、同じ個数のLEDチップからなる四色のLEDチップ群を千鳥配置で高密度配置することにより色ムラの問題を解消している。また、プリント配線基板4に多層配線を形成するので、単層狭ピッチ配線によるショートの問題も生じず、外部接続用電極の数を減らすことでシンプルな配線を実現することが可能となる。
また、RGBWの波長を自由に組み合わせて所望の色を大光量かつ高輝度で実現することができるので種々の用途へ適用することができ、例えば、車体や車内の検査用光源として使用した場合には、従来の照明では見つけることができなかったキズ、凹み、異物などを検出することも可能となる。
さらには、太陽光に近いスペクトルを実現することもできるので、屋外光環境でのシミュレーションを実施することも可能となる。
図5(a)に晴天下のスペクトルを、(b)実施形態例に係るLED照明装置のスペクトルを示す。
【0033】
[第二実施形態例]
第二実施形態例に係るLED照明装置20は、発光面2と、実装基板3と、プリント配線基板21と、カソード電極5と、アノード電極6と、を主に備えて構成されたLED照明装置である。発光面2、実装基板3、カソード電極5とおよびアノード電極6は、第一実施形態例と同様であるので、説明を割愛する。
【0034】
図6は、実装基板3およびプリント配線基板21の積層部を示す、第二実施形態例に係るLED照明装置20の要部側面断面図である。
第二実施形態例のプリント配線基板21は、基材23a~23cと、絶縁層24a~24cとを備えて構成され、実装基板3に接着シート22を介して積層されている。基材23aは下面に配線25aが形成された片面基板であり、基材23bは下面に配線25bが形成され、上面に配線25cが形成された両面基板であり、基材23cは上面に配線25dが形成された片面基板であり、これらは例えばガラスエポキシ機材により構成される。絶縁層24a~24cは、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、配線25a~25d間の絶縁性を確保している。
なお、第二実施形態例では、一枚の両面基板と二枚の片面基板によりプリント配線基板21を構成したが、二枚の両面基板によりプリント配線基板21を構成してもよい。
【0035】
最上層に形成された配線25dの上面には半田などで接続するため表面処理(例えば、半田めっき、金めっき)が施されている。プリント配線基板21の表面は、外部との接続が必要な部分を除き、レジスト27が形成されている。レジスト27は、スクリーン印刷や写真法などの公知の手法により形成することができる。
第二実施形態例のプリント配線基板21も、第一実施形態例と同様、中央部に発光面2を露出させる略正方形の開口部を有している。
以上に説明した第二実施形態例のLED照明装置20においても、第一実施形態例と同様の作用効果が奏される。
【0036】
[第三実施形態例]
図7に示す第三実施形態例は、第一実施形態例に係るLED照明装置1と同一の発光面2を備えるLED照明装置30である。すなわち、第三実施形態例のLED照明装置30の発光面も、104個の赤色LEDチップ31、104個の緑色LEDチップ32、104個の青色LEDチップ33および104個の白色LEDチップ34により構成されている(各色13直列×8並列)。第三実施形態例のLED照明装置30も、四色のLEDチップ群を千鳥配置で高密度配置することにより色ムラの問題を解消している。温度センサ38aおよび38bは、基板温度を監視するための温度センサであり、第一実施形態例と同様である。
【0037】
第三実施形態例のLED照明装置30は、配線パターンが実装基板37の上面に形成されている点で、第一実施形態例のLED照明装置と大きく相違する。実装基板37は、第一実施形態例と同様、少なくとも表面が金属材料からなる放熱性に優れた基板により構成されている。
第三実施形態例では、色ラインごとに電極パッドを設ける設計のため、32個のカソード電極35と32個のアノード電極36が必要となっている。このような設計の場合、接続するケーブル数が多くなり、筐体が大きくなったり組立コストが嵩むという課題がある。
この点、第一実施形態例では、カソード電極5およびアノード電極6の組を色数の倍数の範囲で減らすことができ(最小4組)、各色に対応する基材に配線パターンを形成することができるので、上述した筐体サイズや組立コストの課題を解決することが可能である。
【0038】
以上に説明した第三実施形態例のLED照明装置30においては、マルチ光源のような色ムラが生じない、単一光源である多色光源を提供することが可能である。また、同じ個数のLEDチップからなる四色のLEDチップ群を千鳥配置で高密度配置することにより色ムラの問題を解消している。
【0039】
[第四実施形態例]
第四実施形態例に係るLED照明装置40は、発光面2と、実装基板47と、プリント配線基板48と、カソード電極45と、アノード電極46と、を主に備えて構成されたLED照明装置である。発光面2は、第一実施形態例と同様であり、千鳥配置された104個の赤色LEDチップ41、104個の緑色LEDチップ42、104個の青色LEDチップ43および104個の白色LEDチップ44により構成されている(各色13直列×8並列)。温度センサ49aおよび49bは、基板温度を監視するための温度センサであり、第一実施形態例と同様である。
【0040】
図8に示す第四実施形態例のLED照明装置40は、雌コネクタお51および雄コネクタ52で連結される実装基板47およびプリント配線基板48を備える点で、第一実施形態例のLED照明装置と大きく相違する。
実装基板47は、第一実施形態例と同様、少なくとも表面が金属材料からなる放熱性に優れた基板により構成されている。実装基板47の上面には、32本の正極配線50と32本の負極配線50がスクリーン印刷などにより形成されている。正極32本および負極32本につながる配線50は、
図9に示すように、4組の連結コネクタ(51a~51d,52a~52d)を介してプリント配線基板48に交わること無く接続され、プリント配線基板48で色単位に並列接続され、各色に対応する電極45,46に集約される。すなわち、1組の雌雄コネクタ51,52が、16本の配線をプリント配線基板48に連絡している。雌雄コネクタ51,52は、カソード側またはアノード側に引き出される32本の配線50を平行して配置するのに十分な幅W(例えば、発光面2の配線が引き出される辺の70%以上、好ましくは80%以上の幅)を有しており、実装基板47の上面とプリント配線基板48の底面を連結する柱の役割も有している。本実施形態例では、4組の連結コネクタ(51a~51d,52a~52d)の幅を全て同一幅Wに設定しているが、各コネクタの幅を異ならせることも当然可能である。
【0041】
本実施形態例では、発光面2からの出射光をプリント配線基板48が遮ることがないように、発光面2よりも充分に大きい四角形の開口縁53を有する開口部をプリント配線基板48に形成している。開口縁53の各辺は、好ましくは近接する発光面2の辺の長さの1.1倍以上(好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.3倍以上)に設定する。開口部を大きく形成するためには、4組の連結コネクタ(51a~51d,52a~52d)を発光面2から充分に離れた位置に配置する必要がある。
なお、本実施形態例では、雌コネクタ51および雄コネクタ52により連結コネクタを構成したが、コネクタの雌雄は逆配置としてもよく、また連結コネクタの数も雌雄4組に限定されるものではない。ただし、配線の自由度を高める観点からは、連結コネクタを少なくともカソード側およびアノード側のそれぞれに配置し、かつ、LEDチップの色数以上の組数の連結コネクタを設けることが好ましい。
【0042】
以上に説明した第四実施形態例のLED照明装置40においては、マルチ光源のような色ムラが生じない、単一光源である多色光源を提供することが可能である。また、同じ個数のLEDチップからなる四色のLEDチップ群を千鳥配置で高密度配置することにより色ムラの問題を解消している。また、外部接続用電極の数を減らすことでシンプルな配線を実現することが可能となる。
【0043】
[第五実施形態例]
第五実施形態例に係るLED照明装置60は、
図11に示すように、発光面2と、実装基板67と、プリント配線基板68と、カソード電極65と、アノード電極66と、を主に備えて構成されたLED照明装置である。温度センサ69aおよび69bは、基板温度を監視するための温度センサであり、第一実施形態例と同様である。実装基板67およびプリント配線基板68の実装形態は、第四実施形態例と同様であり、下層の実装基板67に設けられた発光面2からの出射光を、上層のプリント配線基板68が遮ることがないように、発光面2よりも充分に大きい四角形の開口縁70を有する開口部をプリント配線基板68に形成している。なお、プリント配線基板68に形成する開口部は、発光面2と相似形(すなわち、八角形)に構成してもよい。
【0044】
発光面2は、八角形の領域に千鳥配置された36個の赤色LEDチップ61、32個の緑色LEDチップ62、32個の青色LEDチップ63および36個の白色LEDチップ64により構成されている。全光束は14,481ルーメン(lm)、平均演色評価数Raは80を超えている。第五実施形態例では、投入電力の合計値が226Wであるのに対し、白色LEDチップ64への投入電力が74.25Wと最も大きくなっている。
実装基板67の上面には、17本の負極配線67と17本の正極配線68がスクリーン印刷などにより形成されており、17列の色別LEDチップラインに接続されている。
図12に示すように、赤色LEDチップ61、緑色LEDチップ62、青色LEDチップ63および白色LEDチップ64は、発光面2内で上下方向中心線および左右方向中心線に対して線対称に配置されている。発光面2の上下方向中心線上には、9個の白色LEDチップ64が等間隔に配置されている。
【0045】
本実施形態例では、発光面2の左辺および右辺に沿って上下方向に延びる白色LEDチップ64の列を配置することにより、照射領域(明部)と非照射領域(暗部)の左右の境界部分が白色になるようにしている。これとは異なり、例えば、発光面2の左辺および右辺に沿って上下方向に延びる赤色LEDチップ61の列を配置すると、明部と暗部の左右の境界部分が赤色となり、明部全体が赤っぽい光であるように感じられることが判明したからである(最左列および最右列を青色または緑色の列とした場合も同様)。好ましくは、発光面2の上辺および下辺に沿って配置されたLEDチップのうち過半数を白色LEDチップ64にすることで、明部と暗部の上下の境界部分を白LEDチップの発光色に近い色にする(本実施形態例では上辺および下辺に沿って配置された各5個のLEDチップのうち3個が白色LEDチップ64である。)。より好ましくは上から2行に配置されたLEDチップの半数以上が白色LEDチップであり、かつ、下から2行に配置されたLEDチップの半数以上が白色LEDチップであるようにする。別の観点からは、八角形の発光面2の外縁(八辺)に沿って配置された複数個のLEDチップの過半数が白LEDチップであるようにする。本実施形態では、八角形の発光面2の外縁(八辺)に沿って配置された36個のLEDチップのうち、20個が白色LEDチップ64となるように構成されている。
【0046】
以上に説明した第五実施形態例のLED照明装置60においても、マルチ光源のような色ムラが生じない、単一光源である多色光源を提供することが可能である。また、明部と暗部の境界部分が白色LEDチップの発光色またはそれに近い色となるので、柔らかい印象の照射光を実現することが可能となる。色ムラが生じない、単一光源である多色光源を提供することが可能であることは、第一実施形態例と同様である。
第五実施形態例では、八角形の発光面2を例示したが、発光面2が四角形、六角形などの多角形である場合や円形または楕円形である場合にも明部と暗部の境界部分を白色LEDチップの発光色またはそれに近い色とすることは効果的である。発光面2が角数が偶数個の多角形の場合において、赤色LEDチップ61、緑色LEDチップ62、青色LEDチップ63および白色LEDチップ64を、発光面2内で上下方向中心線および左右方向中心線に対して線対称に配置し、発光面2の外縁に沿って配置された複数個のLEDチップの過半数が白LEDチップであるようにすることで、本実施形態例と同様の作用効果が奏される。
【0047】
[LED照明器具]
図10は、第一実施形態例に係るLED照明装置1を搭載したLED照明器具100の側面断面図である。このLED照明器具100は、LED照明装置1と、リフレクタ121と、ヒートシンク122と、拡散板123と、モジュール保持具124と、4つの電源装置(図示せず)と、制御装置(図示せず)とを備えて構成される。なお、LED照明器具100には、第二ないし第四実施形態例に係るLED照明装置を搭載することも当然に可能である。
LED照明装置1は、その裏面に接着されたヒートスプレッダ(図示せず)の裏面がモジュール保持具124の当接面と接触する状態で、ねじ等の固定具により固定される。ヒートスプレッダの裏面とモジュール保持具124の当接面の間には、必要に応じて放熱グリス、放熱シート等の熱伝達部材を介在させる。モジュール保持具124は、熱伝導性に優れた銅、アルミ等の金属材により構成される。モジュール保持具124を介してLED照明装置1からの熱がヒートシンク122に熱伝導される。
【0048】
ヒートシンク122は、自然空冷式のもの、水冷式のもの、電動ファンを備えるものを用いることができる。モジュール保持具124の光を照射する側にはリフレクタ121および透明の保護カバー125が接合される。保護カバー125は、Oリング126を介してモジュール保持具124に押圧されており、防水カバーとしての役割をも奏する。例示のLED照明器具100は、リフレクタ121の開口部に拡散板123を設けている。
【0049】
電源装置は、同一仕様の4つの単位電源装置により構成され、各電源装置は各色のLEDチップにより構成される色モジュールと一対一で接続される。各単位電源装置の電圧は54Vmax、電流は3Amaxである。これとは異なり、1つの電源装置から複数経路出力する構成(例えば、2台の単位電源装置から4経路出力する構成)を採用してもよい。
制御装置は単位電源装置を制御して、各色のLEDチップに印加する電流値を色単位で制御し、或いは、パルス幅変調(PWM)により光量を制御することにより、発光面2の色を制御する。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 LED照明装置
2 発光面
3 実装基板
4 プリント配線基板
5 カソード電極
6 アノード電極
7 反射層
8 ダム材
9 透光性樹脂部
10 接続パッド
11 赤色LEDチップ
12 緑色LEDチップ
13 青色LEDチップ
14 白色LEDチップ
15 温度センサ
20 LED照明装置
21 プリント配線基板
22 接着シート
23 基材
24 絶縁層
25 配線
26 めっき層
27 レジスト
30 LED照明装置
31 赤色LEDチップ
32 緑色LEDチップ
33 青色LEDチップ
34 白色LEDチップ
35 カソード電極
36 アノード電極
37 実装基板
38 温度センサ
40 LED照明装置
41 赤色LEDチップ
42 緑色LEDチップ
43 青色LEDチップ
44 白色LEDチップ
45 カソード電極
46 アノード電極
47 実装基板
48 プリント配線基板
49 温度センサ
50 配線
51 雌コネクタ
52 雄コネクタ
53 開口縁
60 LED照明装置
61 赤色LEDチップ
62 緑色LEDチップ
63 青色LEDチップ
64 白色LEDチップ
65 カソード電極
66 アノード電極
67 負極配線
68 正極配線
69 温度センサ
70 開口縁
100 LED照明器具
121 リフレクタ
122 ヒートシンク
123 拡散板
124 モジュール保持具
125 保護カバー
126 Oリング