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特許7091060電圧レギュレータシステムおよびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】電圧レギュレータシステムおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/12 20060101AFI20220620BHJP
   H01F 29/06 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
H02M5/12 B
H01F29/06
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017233001
(22)【出願日】2017-12-05
(65)【公開番号】P2018108015
(43)【公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】15/385,437
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH-5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・アンブローズ・ドーザット
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02004792(US,A)
【文献】米国特許第03619764(US,A)
【文献】米国特許第04384247(US,A)
【文献】米国特許第04185177(US,A)
【文献】特開2003-102128(JP,A)
【文献】特開2014-033492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/00- 5/48
H01F 29/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧レギュレータシステであって、
電圧検出素を含む電圧調整コントローと、
前記電圧調整コントローに結合された変圧器アセンブと、を含み、前記変圧器アセンブは、
コイル巻線と、
前記コイル巻線に接続され、第1の組の接点を含む第1の多接点タップ構と、
前記コイル巻線に接続され、第2の組の接点を含む第2の多接点タップ構成と、
多分岐タップ切換器システと、を含み、前記多分岐タップ切換器システは、
前記電圧調整コントローが前記変圧器アセンブに対して前記電圧レギュレータシステの公称出力電圧からの第1の電圧偏差を前記電圧検出素が検出することに少なくとも部分的に基づく第1の位置決め刺激を提供した場合に前記第1の組の接点の第1の接点と接触し、前記公称出力電圧からの第2の電圧偏差を前記電圧検出素子が検出した場合に前記第2の組の接点の第1の接点と接触する第1の接触子要を含む第1のタップ切換と、
前記第1のタップ切換に機械的に連結された第2のタップ切換と、を含み、前記第2のタップ切換は、前記電圧調整コントローラが前記変圧器アセンブリに対して前記第1の位置決め刺激を提供した場合に第1の接点セットの第2の接点と自動的に接触し、前記第1の接触子要が前記第の組の接点の前記第1の接点と接触する場合に、前記第の組の接点の第2の接点と自動的に接触するように構成された第2の接触子要を含む、電圧レギュレータシステ
【請求項2】
前記電圧検出素は、前記電圧レギュレータシステの1つまたは複数の出力端子に電気的に結合されたモーを含み、前記モーは、前記モーが前記公称出力電圧からの前記第1の電圧偏差を検出した場合に第1の角度位置まで回転し、前記モーが前記公称出力電圧からの前記第2の電圧偏差を検出した場合に第2の角度位置まで回転するロータシャフを含む、請求項に記載の電圧レギュレータシステ
【請求項3】
前記多分岐タップ切換器システは、前記モーの前記ロータシャフを挿入するために設けられた中央開口部を有する少なくとも1つの円形プレートを含む、請求項に記載の電圧レギュレータシステ
【請求項4】
前記公称出力電圧からの前記第1の電圧偏差は、前記公称出力電圧からの正または負の偏差のいずれかであり、前記公称出力電圧からの前記第2の電圧偏差は、前記公称出力電圧からの負または正の偏差のいずれかである、請求項2または3に記載の電圧レギュレータシステ
【請求項5】
前記変圧器アセンブは、
前記コイル巻線に接続された反転スイッをさらに含み、前記反転スイッは、前記コイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を前記電圧レギュレータシステの出力端子に電気的に結合するように動作する、請求項1乃至4のいずれかに記載の電圧レギュレータシステ
【請求項6】
電圧レギュレータシステを用いて電圧を調整する方法であって、
電圧検出素を含む電圧調整コントローを提供するステップと、
前記電圧調整コントローに結合された変圧器アセンブを提供するステップであって、前記変圧器アセンブは、
コイル巻線と、
前記コイル巻線に接続され、第1の組の接点を有する第1の多接点タップ構と、
前記コイル巻線に接続され、第2の組の接点を有する第2の多接点タップ構成と、
第1の接触子要を有する第1のタップ切換と、前記第1のタップ切換に機械的に連結され、第2の接触子要を有する第2のタップ切換と、を含む多分岐タップ切換器システと、を含む、ステップと、
前記電圧レギュレータシステの公称出力電圧からの第1の電圧偏差を検出するステップと、
前記第1の電圧偏差を検出するステップに応答して、前記第1の接触子要を前記第1の組の接点の第1の接点と接触させ、前記第2の接触子要が前記第1の組の接点の第2の接点と自動的にかつ同時に接触するステップと
前記電圧レギュレータシステムの前記公称出力電圧からの第2の電圧偏差を検出するステップと、
前記第2の電圧偏差を検出するステップに応答して、前記第1の接触子要素を前記第2の組の接点の第1の接点と接触させ、前記第2の接触子要素が前記第2の組の接点の第2の接点と自動的にかつ同時に接触するステップと、
を含む方法。
【請求項7】
前記第1の電圧偏差および前記第2の電圧偏差の各々を検出するステップは、前記電圧レギュレータシステの1つまたは複数の出力端子に電気的に結合されたモーを使用するステップを含み、前記モーは、前記モーが前記公称出力電圧からの前記第1の電圧偏差を検出した場合に第1の角度位置まで回転し、前記モーが前記公称出力電圧からの前記第2の電圧偏差を検出した場合に第2の角度位置まで回転するロータシャフを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記多分岐タップ切換器システは、前記モーの前記ロータシャフを挿入するために設けられた中央開口部を有する少なくとも1つの円形プレートを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記公称出力電圧からの前記第1の電圧偏差は、前記公称出力電圧からの正または負の偏差のいずれかであり、前記公称出力電圧からの前記第2の電圧偏差は、前記公称出力電圧からの負または正の偏差のいずれかである、請求項6乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記正の偏差および前記負の偏差の各々は、前記公称出力電圧に対する百分率基準で定義される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記変圧器アセンブは、
前記コイル巻線に接続された反転スイッをさらに含み、前記反転スイッは、前記コイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を前記電圧レギュレータシステの出力端子に電気的に結合するように動作する、請求項6乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
電圧レギュレータシステであって、
変圧器アセンブを含み、前記変圧器アセンブは、
コイル巻線と、
前記コイル巻線に接続され、第1の組の接点を有する第1の多接点タップ構と、
前記コイル巻線に接続され、第2の組の接点を有する第2の多接点タップ構と、
記第1の組の接点の第1の接点と接触し、記第2の組の接点の第1の接点と接触するように構成された第1の接触子要を含む第1のタップ切換と、
前記第1のタップ切換の前記第1の接触子要に機械的に連結された第2の接触子要を含む第2のタップ切換であって、前記第2の接触子要は、記第1の組の接点の第2の接点と自動的に接触し、記第2の組の接点の第2の接点と自動的に接触するように構成される、第2のタップ切換と、
前記コイル巻線に接続された反転スイッをさらに含み、前記反転スイッは、前記電圧レギュレータシステムの出力端子に結合されたときに。前記電圧レギュレータシステムを通り、負荷に流れる負荷電流の巻線検知の反転を示すように前記コイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を前記電圧レギュレータシステの出力端子に電気的に結合するように動作し、
前記電圧レギュレータシステムの公称出力電圧を検出するように構成された電圧検出コイルをさらに含み、前記電圧検出コイルは、前記第1の接触子要素を前記第1の組の接点の前記第1の接点に接触させるための第1の位置決め刺激と、前記第1の接触子要素を前記第1の組の接点の前記第2の接点に接触させるように選択された第2の位置決め刺激と、を提供するように構成され、
前記電圧検出コイルは、モータの一次巻線または二次巻線の少なくとも一方の少なくとも一部を含み、前記モータは、前記公称出力電圧からの第1の電圧偏差が存在する場合に第1の角度位置まで回転し、前記公称出力電圧からの第2の電圧偏差が存在する場合に第2の角度位置まで回転するロータシャフトを含む、電圧レギュレータシステ
【請求項13】
前記公称出力電圧からの前記第1の電圧偏差は、前記公称出力電圧からの正または負の偏差のいずれかであり、前記公称出力電圧からの前記第2の電圧偏差は、前記公称出力電圧からの負または正の偏差のいずれかである、請求項1に記載の電圧レギュレータシステ
【請求項14】
前記正の偏差および前記負の偏差の各々は、前記公称出力電圧に対する百分率基準で定義される、請求項1に記載の電圧レギュレータシステ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電圧レギュレータシステムに関し、より詳細には、電力線変電所のための電圧レギュレータシステム、用途および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力線は、多くの消費者に電力を供給するためにしばしば使用される。これらの消費者の一部は居住消費者であり、他の消費者は商業消費者である。理解できるように、これらの2種類の消費者が消費する電力量は、季節だけでなく1日の間でも変化する可能性がある。例えば、昼間の商業消費者によって消費される電力量は、夜間の商業消費者によって消費される電力量よりも高くなることがあり得るが、居住地域の夕方時間に居住消費者によって消費される電力量は、勤務時間中に消費される電力量よりも多くなり得る。公益事業会社は、通常、様々な従来の装置を使用することによって、変動する電力要件に対応している。これらの様々な従来の装置のうちの1つは、電力線を流れる電流の量が増加したときに電力線の電圧レベルの上昇をもたらし、逆もまた同様である電圧レギュレータである。
【0003】
場合によっては、ある期間にわたって電力線を流れる電流量は、従来の電圧レギュレータの変圧器コイルまたは他の要素の電流定格を超えることがあり、それによって電圧レギュレータの様々な部品にストレスを与え、および/または損傷を与える可能性がある。これらの部品のうちの1つは、業界ではタップ切換器として知られており、変圧器コイル内の種々のタップ点のうちの1つに接触するために使用される。タップ切換器の過剰な動作は、タップ切換器の接点の摩耗や断裂を招くだけでなく、場合によってはアーク放電を引き起こすこともある。アーク放電は、多くの理由で望ましくないものであり、それは、特に、アーク放電が危険なことがあり、機器の損傷、機器の寿命の短縮、および場合によっては壊滅的な故障につながるおそれがあるためである。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、電圧レギュレータシステムに関し、より詳細には、電力線変電所、フィーダ、および産業用(すなわち、石油およびガス、工業、風力、灌漑、鉱業、太陽光など)用途のための電圧レギュレータシステムならびに使用方法に関する。本開示の特定の実施形態は、互いに並列に結合された2つ以上の直列巻線を有し、各巻線が複数のタップを有する変圧器アセンブリを含むことができる電圧レギュレータシステムに関する技術的効果および/または解決策を提供することができる。2つ以上の直列巻線の並列結合は、2つ以上の直列巻線間で電力線負荷電流を自動的に分割し、それにより、電力線負荷電流の一部だけで各直列巻線に負担をかける。変圧器アセンブリはまた、互いに連結された2つ以上の可動接触子要素の同時作動を可能にするように協働する2つ以上のタップ切換器アセンブリを有する。直列巻線の並列結合の結果としての各直列巻線を通る電流の減少は、可動接触子要素が起動したときに発生するアークの量を低減または排除し、それによって、ある場合には、電圧レギュレータシステムの動作寿命を延ばし、様々な他の利点を提供する。
【0005】
本開示の特定の他の実施形態は、電圧調整コントローラおよび変圧器アセンブリを含むことができる電圧レギュレータシステムに関する技術的効果および/または解決策を提供することができる。変圧器アセンブリは、コイル巻線と、コイル巻線に接続された多接点タップ構成と、電圧調整コントローラが電圧レギュレータシステムの公称出力電圧からの電圧偏差を検出することに基づいて位置決め刺激を提供した場合に多接点タップ構成の第1の接点に接触する接触子要素を有する第1のタップ切換器を含む多分岐タップ切換器システムと、を含むことができる。多分岐タップ切換器システムは、第1のタップ切換器に機械的に連結され、かつ、第1のタップ切換器の接触子要素が多接点タップ構成の第1の接点と接触する場合に多接点タップ構成の第2の接点と自動的に接触するように構成された別の接触子要素を含む第2のタップ切換器をさらに含む。
【0006】
本開示の1つの例示的な実施形態によれば、電圧レギュレータシステムは、変圧器アセンブリと、電圧検出素子を有する電圧調整コントローラと、を含む。電圧調整コントローラに結合された変圧器アセンブリは、コイル巻線と、第1の多接点タップ構成と、多分岐タップ切換器システムと、を含むことができる。コイル巻線に接続された第1の多接点タップ構成は、第1の組の接点を含む。多分岐タップ切換器システムは、第1のタップ切換器および第2のタップ切換器を含む。第1のタップ切換器は、電圧調整コントローラが変圧器アセンブリに対して電圧レギュレータシステムの公称出力電圧からの第1の電圧偏差を電圧検出素子が検出することに少なくとも部分的に基づく第1の位置決め刺激を提供した場合に第1の組の接点の第1の接点と接触する第1の接触子要素を有する。第2のタップ切換器は、第1のタップ切換器に機械的に連結され、第1の接触子要素が第1の組の接点の第1の接点と接触する場合に、第1の組の接点の第2の接点と自動的に接触するように構成された第2の接触子要素を有する。
【0007】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、電圧レギュレータシステムを使用して電圧を調整する方法は、電圧調整コントローラと、電圧調整コントローラに結合された変圧器アセンブリと、を提供するステップを含む。電圧調整コントローラは、電圧検出素子を含む。変圧器アセンブリは、コイル巻線と、第1の多接点タップ構成と、多分岐タップ切換器システムと、を含む。コイル巻線に接続された第1の多接点タップ構成は、第1の組の接点を有する。多分岐タップ切換器システムは、第1の接触子要素を有する第1のタップ切換器と、第1のタップ切換器に機械的に連結された第2の接触子要素と、を含み、第2のタップ切換器は第2の接触子要素を有する。本方法は、電圧レギュレータシステムの公称出力電圧からの第1の電圧偏差を検出するステップと、第1の電圧偏差を検出するステップに応答して、第1の接触子要素を第1の組の接点の第1の接点と接触させ、第2の接触子要素が第1の組の接点の第2の接点と自動的に接触するステップと、をさらに含む。
【0008】
本開示のさらに別の例示的な実施形態によれば、電圧レギュレータシステムは、変圧器アセンブリを含む。変圧器アセンブリは、コイル巻線と、第1の多接点タップ構成と、第2の多接点タップ構成と、第1のタップ切換器と、第2のタップ切換器と、反転スイッチと、を含む。コイル巻線に接続された第1の多接点タップ構成は、第1の組の接点を有する。コイル巻線にも接続されている第2の多接点タップ構成は、第2の組の接点を有する。第1のタップ切換器は、第1の期間にわたって第1の組の接点の第1の接点と接触し、第2の期間にわたって第2の組の接点の第1の接点と接触するように構成された第1の接触子要素を含む。第2のタップ切換器は、第1のタップ切換器の第1の接触子要素に機械的に連結された第2の接触子要素を含み、第2の接触子要素は、第1の期間にわたって第1の組の接点の第2の接点と自動的に接触し、第2の期間にわたって第2の組の接点の第2の接点と自動的に接触するように構成される。コイル巻線にも接続された反転スイッチは、コイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合するように動作する。
【0009】
本開示の他の実施形態および態様は、添付図面と関連付けた以下の説明から明らかになるであろう。
【0010】
一般的な用語で本開示を説明し、ここで添付図面を参照するが、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、類似する番号は、全体を通じて類似する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の1つの例示的な実施形態による例示的な電圧レギュレータシステムを示す図である。
図2図1に示す電圧レギュレータシステムの第1の例示的な実施態様を示す図である。
図3】本開示の1つの例示的な実施形態による例示的な変圧器アセンブリのいくつかの要素を示す図であり、要素は記号形式で示してある。
図4図1に示す変圧器アセンブリを動作させるための例示的な機械的構成を示す図である。
図5】本開示の1つの例示的な実施形態による、単一コイル巻線と、動作中に損傷を受けやすい単一タップ切換器と、を有する例示的な電圧レギュレータシステムを示す図である。
図6】本開示の例示的な実施形態による、単一コイル巻線および多分岐タップ切換器を有する電圧レギュレータシステムを示す図である。
図7図6に示す変圧器アセンブリを動作させるための例示的な機械的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の例示的な実施形態を示す添付図面を参照しながら、本開示についてより完全に説明する。しかし、本開示は多くの異なる形式で具現化することができ、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されるものと解釈してはならない。むしろ、本開示が適用可能な法的要件を満たすように、これらの実施形態が提供される。より具体的には、本明細書で使用する「例示的」という語は、いくつかの例のうちの1つを示し、記載している特定の例を不当に強調したり、優先的に扱うものではないことを理解されたい。さらに、本明細書で使用される「例」という単語は、本質的に非排他的であり、非限定的であることが意図されている
本明細書では、便宜上のためだけで特定の単語および用語を用いており、そのような単語および用語は、当業者によって様々な形態および等価物で一般的に理解される様々な目的および行為を指すものとして解釈すべきであることも理解されたい。したがって、本明細書で使用される「接触子」、「接点」、「タップ」、「タップ切換器」、「巻線」、および「コイル」などの単語は、様々な方法で実施することができる様々な要素を指すと理解されるべきである。より一般的には、タップは、巻線上に設けられた複数の接点のうちの1つを指し、タップ切換器は、複数のタップのうちの選択された1つのタップとの接触を提供するために移動可能なワイパまたはスライダのような可動接触子要素を含むことができる。可動接触子要素は、本開示の1つまたは複数の実施形態による電圧調整コントローラによって提供される位置決め刺激を使用して移動させることができる。
【0013】
次に、図1に注目すると、図1は、本開示の1つの例示的な実施形態による例示的な電圧レギュレータシステム100を示す。電圧レギュレータシステム100は、電圧源105を電圧レギュレータシステム100に結合するために使用することができる一対の入力端子101、102を有する。電圧源105は、発電機(例えば、ガスタービン発電プラント)または交流(AC)発電機に結合された電力変圧器などの、発電プラントに関連する1つまたは複数の構成要素であってもよい。電圧レギュレータシステム100はまた、電圧レギュレータシステム100を負荷120に結合するために使用することができる一対の出力端子103、104を有する。
【0014】
負荷120は、電圧レギュレータシステム100に結合された電力消費構成要素をシンボリックに表す。電力消費構成要素は、居住消費者および商業消費者などの様々な電力消費者に関連付けることができる。居住消費者に関連する電力消費構成要素のいくつかの例には、照明要素、加熱要素、冷却要素、および家庭用電化製品が含まれてもよく、商業および産業消費者に関連する電力消費構成要素のいくつかの例には、コンピュータ、モータ、機械、およびオフィス機器が含まれてもよい。
【0015】
負荷120による電力消費の増加は、電圧源105から電圧レギュレータシステム100を通って流れる電流量の増加によって特徴付けることができる。電圧レギュレータシステム100は、変圧器アセンブリ110および電圧調整コントローラ115を含むことができる。電圧調整コントローラ115は、電圧レギュレータシステム100の出力端子103、104の両端に存在する出力電圧の振幅を検出するように構成された電圧検出素子117と、電圧検出素子117に結合されたドライバ116と、を有する。ドライバ116は、電圧検出素子117の制御下で変圧器アセンブリ110に位置決め刺激を供給する。
【0016】
電圧調整コントローラ115は、様々な方法で実現することができる。第1の例示的な実施態様では、電圧検出素子117は、出力端子103、104に接続された降圧変圧器の一次コイルと、ドライバ116に結合された二次コイルと、を有する降圧変圧器であってもよい。この実施態様では、ドライバ116は、結合リンク111(例えば、ワイヤ)を介して運ばれ、変圧器アセンブリ110内の適切なタップ切換器要素に結合される電気信号の形態の位置決め刺激を、変圧器アセンブリ110に提供することができる。
【0017】
以下でより詳細に説明する第2の例示的な実施態様では、電圧調整コントローラ115は、同期電気モータの形態で実現することができる。同期電気モータの巻線は、電圧検出素子117として動作することができ、同期電気モータのロータシャフトは、ドライバ116を構成する。この第2の例示的な実施態様における結合リンク111は、位置決め刺激(ロータシャフトの回転動作)を変圧器アセンブリ110内の2つ以上のタップ切換器アセンブリに伝達する機械的結合システムである。
【0018】
電圧調整コントローラ115が実現される方法にかかわらず、電圧レギュレータシステム100は、負荷120に流れる電流の変化によって生じ得る出力電圧の任意の変化を補償することによって出力電圧調整を提供するように動作する。より詳細には、負荷120に流れる電流が増加すると、電圧調整コントローラ115内の電圧検出素子117が、電圧レギュレータシステム100の出力端子103、104の両端の出力電圧の低下を検出する。次いで、電圧調整コントローラ115は、電流の直列経路における電圧降下を低減するように変圧器アセンブリ110を構成する。逆に、負荷120に流れる電流が減少すると、電圧調整コントローラ115内の電圧検出素子117が、電圧レギュレータシステム100の出力端子103、104の両端の出力電圧の上昇を検出する。次に、電圧調整コントローラ115は、電流の直列経路におけるより大きな電圧降下を導入するように変圧器アセンブリ110を構成する。
【0019】
したがって、負荷120に流れる電流が増加することによって、電圧レギュレータシステム100によって提供される440Vの公称出力電圧が約10%減少すると、出力端子103、104の両端に存在する電圧は約396V(440V-44V)になる。電圧調整コントローラ115は、電圧降下を検出し、出力端子103、104の両端に存在する電圧を440Vに向かって上昇させるために、変圧器アセンブリ110の電圧降下を適切な量だけ減少させることによって応答する。
【0020】
一方、負荷120の変化によって電圧レギュレータシステム100から流れる電流量が(例えば)約10%減少すると、出力端子103、104の両端に存在する電圧は、484V(440V+44V)まで約10%上昇することができる。電圧調整コントローラ115は、電圧上昇を検出し、出力端子103、104の両端に存在する電圧を440Vに向かって調整するために、変圧器アセンブリ110の電圧降下を適切な量だけ増加させることによって応答する。
【0021】
上述したように、他の例示的な実施態様では、電圧検出素子117は同期電気モータの巻線であり、同期電気モータのロータシャフトは、タップ切換器の少なくとも1つの接触子要素を1つのタップから別のタップに移動させて変圧器アセンブリ110の電圧降下を選択的に増加または減少させるための、位置決め刺激を変圧器アセンブリ110に提供するように動作する。
【0022】
図2は、電圧レギュレータシステム100の例示的な実施態様による、電圧調整コントローラ115および変圧器アセンブリ110に含まれ得る、いくつかの例示的な構成要素を示す。この例示的な実施態様では、変圧器アセンブリ110は、スプリットコイル変圧器アセンブリ200の形態で実施されている。スプリットコイル変圧器アセンブリ200は、負荷120に流れる高電流に起因する特定のストレスに関連するおよび/または損傷に関連する問題に対処するだけでなく、タップ変更動作中のいくつかのアークに関連する問題にも対処する。この例示的な実施形態では、電圧調整コントローラ115内の電圧検出素子117は、降圧変圧器250である。降圧変圧器の一次コイルは出力端子103、104に接続され、出力端子103、104は例えば440Vになり得る。降圧変圧器の動作は、ドライバ116に結合されるより低い電圧を提供する。ドライバ116は、電子部品を含む回路基板を含むことができ、このより低い電圧を使用して、結合リンク111を介してスプリットコイル変圧器アセンブリ200に運ばれる電気信号の形態の位置決め刺激を生成することができる。
【0023】
別の例示的な実施形態では、上に示したように、電圧検出素子117は、同期電気モータの単一巻線であってもよい。この実施態様では、同期電気モータのロータシャフトは、出力端子103、104における公称出力電圧が1つの方向に変化すると(例えば、公称電圧より高くなると)、時計回りにステップし、出力端子103、104における公称出力電圧が反対方向に変化すると(例えば、公称電圧より低くなると)、反時計回りにステップする。ロータシャフトはドライバ116と協働して、スプリットコイル変圧器アセンブリ200によって提供される電圧降下を変化させるために、スプリットコイル変圧器アセンブリ200内のタップ切換器を移動させる。この例示的な実施態様のさらなる詳細は、別の図を用いて以下で説明する。
【0024】
ここでスプリットコイル変圧器アセンブリ200を見ると、この例示的な実施形態では、一対のタップ切換器240、245は互いに機械的に連結されている。他の例示的な実施形態では、3つ以上の機械的に連結されたタップ切換器を使用することができる。第1のタップ切換器240は、第1のコイル巻線215Aと接触する接触子要素205(例えば、ワイパまたは摺動接触子)を含む。接触子要素205は、一端が入力端子101に接続され、他端が電圧調整コントローラ115によって提供される位置決め刺激の制御下で、第1のコイル巻線215Aに設けられた複数のタップのいずれか1つに接触するように配置される。第1のコイル巻線215Aは、第1の端部が正端子で終端し、第2の端部が負端子で終端されている。第1の反転スイッチ225は、正端子または負端子の一方との間で選択可能な接触を提供し、コイル巻線215Aの第1の端部または第2の端部を出力端子103に結合し、それによって巻線の向きの反転を可能にするように構成される。
【0025】
第2のタップ切換器245は、第1のタップ切換器240と実質的に同一である(但し、他の実施態様では異なってもよい)。したがって、第2のタップ切換器245は、同様に、第2のコイル巻線215Bと接触する接触子要素210(例えば、ワイパまたは摺動接触子)を含む。接触子要素210は、一端が入力端子101に接続され、他端が、他の接触子要素205に提供されるのと同じ位置決め刺激の制御下で、第2のコイル巻線215Bに設けられたいくつかのタップのうちのいずれか1つに接触するように配置される。第2のコイル巻線215Bは、第1の端部が正端子で終端し、第2の端部が負端子で終端されている。反転スイッチ230は、正端子または負端子の一方との間で選択可能な接触を提供し、第2のコイル巻線215Bの第1の端部または第2の端部を出力端子103に結合し、それによって、第2のコイル巻線215Bの巻線の向きの反転を可能にするように構成される。反転スイッチ230は、反転スイッチ225と機械的に連結されている。
【0026】
上述したように、接触子要素205と接触子要素210は共に入力端子101に結合され、反転スイッチ225と反転スイッチ230は共に出力端子103に結合される。この構成は、第1のタップ切換器240と第2のタップ切換器245との並列結合、および第1のコイル巻線215Aと第2のコイル巻線215Bとの並列結合を提供する。
【0027】
図3は、スプリットコイル変圧器アセンブリ200のいくつかの要素を、第1のコイル巻線215Aと第2のコイル巻線215Bとの並列結合によって提供される特定の特徴を具体的に説明するためにシンボリックな形式で示す。スプリットコイル変圧器アセンブリ200がスプリットコイル形式ではなく単一コイル巻線の形式で実施される場合であれば、負荷120に流れる負荷電流(Iload)は、単一のコイル巻線を通して全体として伝播する。この態様を詳述するために、図2に示すスプリットコイル変圧器アセンブリ200は、タップ切換器240と第1のコイル巻線215Aのみを使用する(タップ切換器245および第2のコイル巻線215Bを除外する)ことによって実現されると仮定することができる。この構成の結果として、負荷電流(Iload)は第1のコイル巻線215Aのみを通って流れるので、第1のコイル巻線215Aは全負荷電流(Iload)を処理するための電力消費能力を有する必要がある。さらに、単一のタップ切換器240は、電圧調整中に接触子要素205が1つのタップから別のタップに移動するときに大量のアーク放電に耐えなければならない。いくつかの場合には、アーク放電は、タップ切換器240の部品を容易に損傷させるほど深刻であり得るが、他の場合には、一定期間にわたる多数のアーク放電事象は、タップ切換器240の平均故障間隔(MTBF)を減少させる累積的な影響を有することがある。
【0028】
したがって、本開示によれば、互いに並列に結合された「n」(n≧2)個のコイル巻線を含むスプリットコイル巻線構成300を使用することができる。したがって、図3に示す例示的な実施形態では、第1のコイル巻線215Aと第2のコイル巻線215Bとの並列結合は、負荷電流の分割に適応し、第1のコイル巻線215Aおよび第2のコイル巻線215Bの各々は、負荷電流の振幅の半分のみを伝搬させる。理解できるように、第1のコイル巻線215Aが第2のコイル巻線215Bと同一である場合にのみ、負荷電流が正確に半分に分割される。しかし、いくつかの他の例示的な実施形態では、第1のコイル巻線215Aと第2のコイル巻線215Bとは、同一でなくてもよく、負荷電流は、第1のコイル巻線215Aおよび第2のコイル巻線215Bの各々によって与えられるACインピーダンスの差に基づいて第1のコイル巻線215Aと第2のコイル巻線215Bとの間で比例して分割されてもよい。
【0029】
第1のコイル巻線215Aおよび第2のコイル巻線215Bのそれぞれによって運ばれる負荷電流の振幅は、第1のコイル巻線215Aおよび第2のコイル巻線215Bと並列に1つまたは複数の追加のコイル巻線(破線形式で示す)を追加することによって、いくつかの例示的な実施態様ではさらに低減することができる。したがって、4つの同一のコイル巻線が互いに並列に設けられている場合には、個々のコイル巻線を流れる負荷電流(Iload)の量は、負荷120に供給される負荷電流の4分の1に等しい。同様に、単一のタップ切換器の代わりに「n」(n≧2)個のタップ切換器を使用することにより、負荷電流の分担、アーク放電の低減、ならびに接点の摩耗および破損の低減がもたらされる。
【0030】
本開示による「n」個のコイル巻線および/または「n」個のタップ切換器を使用することによって流れる負荷電流の減少は、「n」個のコイル巻線および/または「n」個のタップ切換器のそれぞれにおける定常状態の電力消費を低減するだけでなく(単一コイル巻線および/または単一タップ切換器と比較して)、電圧調整中にそれぞれの接触子要素が1つのタップから別のタップに同時に移動するときにアーク放電を大幅に低減することもできる。次に、図4に示す例示的な実施態様を使用して、複数の接触子要素のこの並行動作について説明する。
【0031】
図4は、図2に示すスプリットコイル変圧器アセンブリ200の接触子要素205および接触子要素210を同時に動作させるための例示的な機械的構成を示す。この例示的な機械的構成では、電圧調整コントローラ115は、電圧検出素子117に結合された同期電気モータ420を含む。電圧検出素子117は、電圧レギュレータシステム100の出力端子103、104に接続された一次コイルと、同期電気モータ420を動作させるための電力を供給する二次コイルと、を有する降圧変圧器である。この例示的な実施態様では、結合リンク251(図2に示す)は、位置決め刺激(同期電気モータ420のロータシャフト404の回転動作)をタップ切換器240およびタップ切換器245のそれぞれに伝達する機械的結合システム415である。より詳細には、機械的結合システム415は、位置決め刺激を、第1のシャフト416を介してタップ切換器240に伝達し、第2のシャフト418を介してタップ切換器245に伝達する。
【0032】
第1のシャフト416は、円形要素417を保持し回転させるために円形要素417の中央開口部に挿入され、第2のシャフト418は、円形要素419を保持し回転させるために円形要素419の中央開口部に挿入される。接触子要素205は円形要素417に取り付けられ、接触子要素210は円形要素419に取り付けられる。実際には、機械的結合システム415は、円形要素417と円形要素419の機械的連結を提供し、それによって円形要素417の回転運動が円形要素419によって自動的に複製される。円形要素417を円形要素419と機械的に連結することによって、接触子要素210に対する接触子要素205の調整された機械的連結動作を自動的に提供する。機械的結合システム415は、上述の方法でロータシャフト404を円形要素417および円形要素419に結合するために使用することができる、シャフト、ギア、プーリー、およびベルトなどの1つまたは複数の様々な部品を含むことができる。
【0033】
例示的な一実施形態では、同期電気モータ420は、出力電圧が1つの方向に変化する(例えば、公称電圧より高くなる)と、ロータシャフト404を時計回りの方向に第1の角度位置まで回転させ、出力電圧が反対方向に変化する(例えば、公称電圧より低くなる)と、ロータシャフト404を反時計回りの方向に第2の角度位置まで回転させる。
【0034】
接触子要素205は、様々な方法(例えば、バネフィンガまたはバネ付勢ピンの形態など)で実現することができ、スプリットコイル変圧器アセンブリ200(図2に示す)の一部である円形タップハウジング421上に位置する複数のタップのうちの1つまたは複数に接触する。より具体的には、この例示的な実施態様では、負荷120の両端の出力電圧が公称電圧、例えば440Vである場合に、接触要素205は、同期電気モータ420の制御下で、円形タップハウジング421上のタップ401と接触するように構成される。出力電圧が公称電圧より第1の量だけ低くずれると、機械的結合システム415を介して同期電気モータ420のロータシャフト404によって第1のシャフト416に提供される位置決め刺激(例えば、反時計回りの回転)が、接触要素205をタップ401から離れるように回転させ、円形タップハウジング421の別のタップ403と接触させる。出力電圧がさらにずれると、同期電気モータ420のロータシャフト404によって第1のシャフト416に提供される位置決め刺激(例えば、反時計回りの回転)が、接触要素205をタップ403から離れて次の隣接するタップに接触させ、以下同様にする。同様に、出力電圧が公称電圧より第1の量だけ高くずれると、機械的結合システム415を介して同期電気モータ420のロータシャフト404によって第1のシャフト416に提供される位置決め刺激(例えば、時計回りの回転)が、接触要素205をタップ401から離れるように回転させ、円形タップハウジング421の別のタップ402と接触させる。
【0035】
理解することができるように、機械的結合システム415を介して同期電気モータ420のロータシャフト404によってシャフト416に提供される位置決め刺激は、同様に第2のシャフト418にも同時に提供される。第2のシャフト418の回転は、接触子要素210を接触子要素205と同期して回転させ、スプリットコイル変圧器アセンブリ200(図2に示す)の一部でもある円形タップハウジング422のいくつかのタップのうちの1つまたは複数と接触させる。
【0036】
さらに、図2に関して上述したように、2つのコイル巻線の並列結合の結果としての第1のコイル巻線215Aおよび第2のコイル巻線215Bのそれぞれによって運ばれる電流の量は、(単一コイル巻線のみを使用する場合に)単一コイル巻線によって運ばれる量の半分である。電流の減少は、電圧調整中に各接触子要素が1つのタップから別のタップに同時に移動するときのアーク放電を著しく低減させるだけでなく、アーク放電および関連する熱放出を2つの別個の場所に空間的に分配する。2つの別個の場所は、電圧レギュレータシステム100内の第1のコイル巻線215Aと第2のコイル巻線215Bとの間の間隔に対応する。拡張領域にわたるアーク放電の低減および熱放出の分布は、電圧レギュレータシステム100の動作寿命を延ばすことができ、様々な他の利益をもたらすことができる。
【0037】
図5は、単一コイル巻線515および単一タップ切換器510を有する例示的な電圧レギュレータシステム500を示す。タップ切換器510は、タップ切換器510に位置決め刺激(図示せず)が提供された場合に、単一コイル巻線515の第1のタップ511から第2のタップ512に接触するように移動する接触子要素513(例えば、ワイパまたは摺動接触子)を含む。負荷電流(Iload)全体が接触子要素513および第1のタップ511もしくは第2のタップ512の一方を通って伝搬する、この構成の結果として、接触子要素513を介して行われるタップ接触動作は、負荷電流が大きな振幅を有する場合には、過度のアーク放電(および関連する加熱)を伴うことがある。さらに、この大きな電流のためにタップ接点に望ましくない量の摩耗および断裂が生じる可能性がある。
【0038】
図6は、本開示の別の例示的な実施形態による電圧レギュレータシステム600を示す。電圧レギュレータシステム600は、図2および他の図を参照して上述したのと同様の方法で、電圧調整コントローラ115に結合された変圧器アセンブリ650を含む。変圧器アセンブリ650は、単一コイル巻線625と、多分岐タップ切換器システム605と、を含む。いくつかの多接点タップ構成を組み込んだ単一コイル巻線625は、正端子で終端された第1の端部と、負端子で終端された第2の端部と、を有する。反転スイッチ635は、正端子または負端子の一方との間で選択可能な接触を提供し、単一コイル巻線625の第1の端部または第2の端部を出力端子103に結合し、それによって巻線の向きの反転を可能にするように構成される。
【0039】
多分岐タップ切換器システム605は、上述した電圧レギュレータシステム500内の単一タップ切換器510を使用することによって遭遇する問題の少なくともいくつかに対処する。この例示的な実施形態では、一対のタップ切換器610、615は、互いに機械的に連結されている。このような「n」(n≧2)個のタップ切換器は、本開示の1つまたは複数の実施形態により、共に連結することができることを理解されたい。単一コイル巻線625には、いくつかの多接点タップ構成(第1の多接点タップ構成620および第2の多接点タップ構成630など)が設けられている。第1のタップ切換器610は、入力端子101に接続された第1の端部と、電圧調整コントローラ115によって第1の位置決め刺激が多分岐タップ切換器システム605に提供された場合に、第1の多接点タップ構成620に設けられた第1の組の接点のうちの第1の接点621と接触するように配置された第2の端部と、を有する接触子要素611(例えば、ワイパまたは摺動接触子)を含む。接触子要素611の第2の端部は、電圧調整コントローラ115によって第2の位置決め刺激が多分岐タップ切換器システム605に提供された場合に、第2の多接点タップ構成630に設けられた第2の組の接点のうちの第1の接点631と接触するようにさらに配置される。
【0040】
第2のタップ切換器615は、入力端子101に接続された第1の端部と、電圧調整コントローラ115によって第1の位置決め刺激が多分岐タップ切換器システム605に提供された場合に、第1の多接点タップ構成620に設けられた第1の組の接点のうちの第2の接点622と自動的に接触するように配置された第2の端部と、を有する接触子要素616(例えば、ワイパまたは摺動接触子)を含む。接触子要素616は、電圧調整コントローラ115によって第2の位置決め刺激が多分岐タップ切換器システム605に提供された場合に、単一コイル巻線625上の第2の多接点タップ構成630に設けられた第2の組の接点のうちの第2の接点632と接触するようにさらに構成される。
【0041】
第1のタップ切換器610および第2のタップ切換器615によって提供される連結動作および接続の結果として、多分岐タップ切換器システム605を流れる負荷電流(Iload)は、2つの並列経路(「n」個のタップ切換アセンブリが共に結合された場合の「n」個の並列経路)に自動的に分割され、それによってアーク放電および熱放散に関連する少なくともいくつかの態様に対処する。単一コイル巻線625上に設けられた多接点タップ構成はさらに、負荷電流が大きな振幅を有する場合に、接触抵抗を低減させ、アーク放電および発熱の量を減少させる。
【0042】
図7は、図6に示す変圧器アセンブリ650の接触子要素611と接触子要素616とを同時に動作させるための例示的な機械的構成を示す。この機械的構成の動作のいくつかの態様は、図4に示す機械的構成に関して上述した説明を考慮して理解することができる。しかしながら、第1の多接点タップ構成620の一部を構成する接点621と接点622との間に設けられた配線接続705に注意を向けることが適切であろう。接点631と接点632との間に設けられた配線接続710は、第2の多接点タップ構成630の一部を構成する。
【0043】
図1図4および関連する説明に戻ると、本開示の一実施形態による1つの例示的な実施態様では、電圧レギュレータシステムは、電圧調整コントローラおよびスプリットコイル変圧器アセンブリを含むことができる。電圧調整コントローラは、電圧検出素子を有することができる。スプリットコイル変圧器アセンブリは、電圧調整コントローラに結合され、第1のコイル巻線、第1のタップ切換器、第2のコイル巻線、および第2のタップ切換器を含むことができる。第1のコイル巻線は、第1の組のタップを含むことができる。第1のタップ切換器は、電圧調整コントローラがスプリットコイル変圧器アセンブリに対して電圧レギュレータシステムの公称出力電圧からの第1の電圧偏差を電圧検出素子が検出することに少なくとも部分的に基づく第1の位置決め刺激を提供した場合に第1の組のタップの第1のタップと接触する第1の接触子要素を含むことができる。第2のコイル巻線は、第1のコイル巻線と並列に電気的に結合され、第2の組のタップを含むことができる。第2のタップ切換器は、第1のタップ切換器に機械的に連結され、第1の接触子要素が第1の組のタップの第1のタップと接触する場合に、第2の組のタップの第1のタップと接触するように構成される第2の接触子要素を含むことができる。
【0044】
本開示の実施形態の特定の態様では、電圧レギュレータシステムの第1の接触子要素は、電圧検出素子が公称出力電圧からの第2の電圧偏差を検出した場合に第1の組のタップの第2のタップと接触し、第2の接触子要素は、第1の接触子要素が第1の組のタップの第2のタップと接触する場合に第2の組のタップの第2のタップと接触するようにさらに構成されている。
【0045】
本開示の実施形態の特定の態様では、電圧レギュレータシステムの電圧検出素子は、電圧レギュレータシステムの1つまたは複数の出力端子に電気的に結合されたモータを含むことができ、モータは、モータが公称出力電圧からの第1の電圧偏差を検出した場合に第1の角度位置まで回転し、モータが公称出力電圧からの第2の電圧偏差を検出した場合に第2の角度位置まで回転するロータシャフトを含む。
【0046】
本開示の実施形態の特定の態様では、電圧レギュレータシステムの第1のタップ切換器および第2のタップ切換器の各々は、モータのロータシャフトを挿入するために設けられた中央開口部を有する円形プレートを含むことができる。
【0047】
本開示の実施形態の特定の態様では、公称出力電圧からの第1の電圧偏差は公称出力電圧からの正の偏差であり、公称出力電圧からの第2の電圧偏差は公称出力電圧からの負の偏差である。
【0048】
本開示の実施形態の特定の態様では、正の偏差および負の偏差の各々は、公称出力電圧に対する百分率基準で定義される。
【0049】
本開示の実施形態の特定の態様では、スプリットコイル変圧器アセンブリは、第1の反転スイッチおよび第2の反転スイッチをさらに含むことができる。第1の反転スイッチは、第1のコイル巻線に接続され、第1のコイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合するように動作する。第2の反転スイッチは、第1の反転スイッチと機械的に連結され、第2のコイル巻線に接続され、第1の反転スイッチが第1のコイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合する場合に、第2のコイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合するように動作する。
【0050】
本開示のさらに別の実施形態では、電圧を調整するための方法は、スプリットコイル変圧器アセンブリを有する電圧レギュレータシステムを提供するステップを含むことができる。スプリットコイル変圧器アセンブリは、第1のコイル巻線、第2のコイル巻線、第1のタップ切換器、および第2のタップ切換器を含むことができる。第1のコイル巻線は、第1の組のタップを有する。第2のコイル巻線は、第1のコイル巻線と並列に電気的に結合され、第2の組のタップを有する。第1のタップ切換器は、第1の接触子要素を含むことができる。第2のタップ切換器は、第1のタップ切換器の第1の接触子要素に機械的に連結された第2の接触子要素を含むことができる。本方法はまた、電圧レギュレータシステムの公称出力電圧からの第1の電圧偏差を検出するステップと、第1の電圧偏差を検出するステップに応答して、第1の接触子要素を第1の組のタップの第1のタップと接触させ、第2の接触子要素を第2の組のタップの第1のタップと接触させるステップと、を含むことができる。
【0051】
本開示の実施形態の特定の態様では、本方法は、電圧レギュレータシステムの公称出力電圧からの第2の電圧偏差を検出するステップと、第2の電圧偏差を検出するステップに応答して、第1の接触子要素を第1の組のタップの第2のタップと接触させ、第2の接触子要素を第2の組のタップの第2のタップと接触させるステップと、を含むことができる。
【0052】
本開示の実施形態の特定の態様では、本方法は、電圧レギュレータシステムの1つまたは複数の出力端子に電気的に結合されたモータを使用することによって第1の電圧偏差および第2の電圧偏差のそれぞれを検出するステップをさらに含むことができ、モータは、モータが公称出力電圧からの第1の電圧偏差を検出した場合に第1の角度位置まで回転し、モータが公称出力電圧からの第2の電圧偏差を検出した場合に第2の角度位置まで回転するロータシャフトを含む。
【0053】
本開示の実施形態の特定の態様では、本方法はさらに、第1のタップ切換器および第2のタップ切換器のそれぞれをモータのロータシャフトに直接的にまたは間接的に機械的に結合するための中央開口部を有する円形プレートを有する第1のタップ切換器および第2のタップ切換器にさらに関連してもよい。
【0054】
本開示の実施形態の特定の態様では、本方法は、公称出力電圧からの正の偏差である公称出力電圧からの第1の電圧偏差と、公称出力電圧からの負の偏差である公称出力電圧からの第2の電圧偏差と、にさらに関連してもよい。
【0055】
本開示の実施形態の特定の態様では、正の偏差および負の偏差の各々は、公称出力電圧に対する百分率基準で定義される。
【0056】
本開示の実施形態の特定の態様では、本方法は、第1の反転スイッチおよび第2の反転スイッチを含むスプリットコイル変圧器アセンブリにさらに関連してもよい。第1の反転スイッチは、第1のコイル巻線に接続され、第1のコイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合するように動作する。第2の反転スイッチは、第1の反転スイッチと機械的に連結され、第2のコイル巻線に接続され、第1の反転スイッチが第1のコイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合する場合に、第2のコイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合するように動作する。
【0057】
本開示の一実施形態による1つの例示的な実施態様では、電圧レギュレータシステムは、電圧調整コントローラおよびスプリットコイル変圧器アセンブリを含むことができる。スプリットコイル変圧器アセンブリは、第1のコイル巻線、第1のタップ切換器、第1の反転スイッチ、第2のコイル巻線、第2のタップ切換器、および第2の反転スイッチを含むことができる。第1のコイル巻線は、第1の組のタップを有する。第1のタップ切換器は、第1の期間にわたって第1の組のタップの1つのタップと接触するように構成され、第2の期間にわたって第1の組のタップの別のタップと接触するように構成される第1の接触子要素を含む。第1の反転スイッチは、第1のコイル巻線に接続され、第1のコイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合するように動作する。第2のコイル巻線は、第1のコイル巻線と並列に電気的に結合され、第2の組のタップを有する。第2のタップ切換器は、第1のタップ切換器の第1の接触子要素に機械的に連結された第2の接触子要素を含む。第2の接触子要素は、第1の期間にわたって第2の組のタップの1つのタップと接触し、第2の期間にわたって第2の組のタップの別のタップと接触するように構成される。第2の反転スイッチは、第2のコイル巻線に接続される。第2の反転スイッチは、第1の反転スイッチと機械的に連結され、第1の反転スイッチが第1のコイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合する場合に、第2のコイル巻線の第1の端部または第2の端部の一方を電圧レギュレータシステムの出力端子に電気的に結合するように動作する。
【0058】
本開示の実施形態の特定の態様では、電圧レギュレータシステムは、電圧レギュレータシステムの出力電圧を検出するための電圧検出素子を含むことができる。電圧検出素子は、第1の期間にわたって第1の接触子要素を第1の組のタップの1つのタップに接触させるための第1の位置決め刺激と、第2の期間にわたって第1の接触子要素を第1の組のタップの別のタップに接触させるように選択された第2の位置決め刺激と、を提供するように構成される。
【0059】
本開示の実施形態の特定の態様では、電圧検出素子は、電圧レギュレータシステムの公称出力電圧を検出するように構成された検出コイルを含むことができる。
【0060】
本開示の実施形態の特定の態様では、検出コイルは、モータの一次巻線または二次巻線の少なくとも一方を含むことができる。モータは、公称出力電圧からの第1の電圧偏差が存在する場合に第1の角度位置まで回転し、公称出力電圧からの第2の電圧偏差が存在する場合に第2の角度位置まで回転するロータシャフトを含む。さらに、第1のタップ切換器および第2のタップ切換器のそれぞれは、第1のタップ切換器および第2のタップ切換器のそれぞれをモータのロータシャフトに直接的にまたは間接的に機械的に結合するための中央開口部を有する円形プレートを含むことができる。
【0061】
本開示の実施形態の特定の態様では、公称出力電圧からの第1の電圧偏差は公称出力電圧からの正の偏差であり、公称出力電圧からの第2の電圧偏差は公称出力電圧からの負の偏差である。
【0062】
本開示の実施形態の特定の態様では、正の偏差および負の偏差の各々は、公称出力電圧に対する百分率基準で定義される。
【0063】
これらの説明が関係する本明細書に記載された例示的な記述の多くの変形例および他の実施形態が、前述の説明および関連する図面で提供された教示の助けを借りて、想到されるであろう。このように、本開示は多くの形態で実施することができ、上述した例示的な実施形態に限定されるものではないことが理解されよう。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変形例および他の実施形態が添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されていると理解すべきである。本明細書では特定の用語を用いているが、それらは限定のためではなく、包括的および説明的な意味で用いている。
【符号の説明】
【0064】
100 システム
101、102 入力端子
103、104 出力端子
105 電圧源
110 変圧器アセンブリ
111 結合リンク
115 電圧調整コントローラ
116 ドライバ
117 電圧検出素子
120 負荷
200 スプリットコイル変圧器アセンブリ
205 接触子要素
210 接触子要素
215A 第1のコイル巻線
215B 第2のコイル巻線
225 反転スイッチ
230 反転スイッチ
240、245 タップ切換器
250 降圧変圧器
300 スプリットコイル巻線構成
403 タップ
404 ロータシャフト
415 機械的結合システム
416 第1のシャフト
417 円形要素
418 第2のシャフト
419 円形要素
420 同期電気モータ
421 円形タップハウジング
422 円形タップハウジング
500 電圧レギュレータシステム
510 単一タップ切換器
511 第1のタップ
512 第2のタップ
513 接触子要素
515 単一コイル巻線
600 電圧レギュレータシステム
605 多分岐タップ切換器システム
610、615 タップ切換器
611 接触子要素
616 接触子要素
620 第1の多接点タップ構成
621 第1の接点
622 第2の接点
625 単一コイル巻線
630 第2の多接点タップ構成
631 第1の接点
632 第2の接点
635 反転スイッチ
650 変圧器アセンブリ
705 配線接続
710 配線接続
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7