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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】油圧式作業車
(51)【国際特許分類】
   B60K 25/06 20060101AFI20220620BHJP
   B60K 25/04 20060101ALI20220620BHJP
   B66C 23/40 20060101ALI20220620BHJP
   B66F 9/22 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B60K25/06
B60K25/04
B66C23/40
B66F9/22 X
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017249541
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019112034
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】日比 利行
【審査官】岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0227410(US,A1)
【文献】特開平06-016063(JP,A)
【文献】特開2014-187973(JP,A)
【文献】特開2016-098112(JP,A)
【文献】特開2016-047770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/10-17/26,25/00-25/06
B60P 3/00
B62D 17/00-25/08,25/14-29/04
B66C 19/00-23/94
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に沿って延設される走行車体であって、幅方向の外側を向く側面前記幅方向に沿って延設され、前記前後方向に沿って並設される複数のアクスルを備える走行車体と、
トランスファを備えるとともに、前記走行車体に設けられる走行用パワーラインであって、エンジンの動力を前記トランスファを介して前記アクスルの少なくとも1つに伝達する走行用パワーラインと、
前記走行車体の前記側面の外側に設けられ、作業用の油圧を発生させる油圧ポンプと、
前記トランスファに接続されるとともに、前記トランスファから取り出した前記エンジンの前記動力を前記油圧ポンプに伝達するポンプ用パワーラインであって、前記走行車体の前記幅方向について前記油圧ポンプまで外側に向かって延設される駆動軸を備えるポンプ用パワーラインと、
を備える、油圧式作業車。
【請求項2】
前記油圧ポンプは、前記前後方向について互いに対して隣接する前記アクスルの間に位置し、かつ、前記アクスルよりも上側に位置する、請求項1の油圧式作業車。
【請求項3】
前記走行車体の前記側面の外側に設けられるとともに、前記前後方向について互いに対して隣接する前記アクスルの間に位置し、前記油圧ポンプの駆動によって供給される作動油が貯められるオイルタンクをさらに備える、請求項1の油圧式作業車。
【請求項4】
前記走行車体の前記側面には、前記走行車体の内側と外側とを連通させる貫通孔が形成され、
前記ポンプ用パワーラインの前記駆動軸は、前記貫通孔に挿通される、請求項1の油圧式作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧式作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油圧式作業車として、下部走行体に対して回転可能な上部旋回体を備える移動式クレーンが開示されている。この移動式クレーンは、エンジンの動力をアクスル(車軸)に伝達する走行用パワーラインと、油圧ポンプとを備える。油圧ポンプは、走行用パワーラインに接続されている。油圧ポンプは、エンジンの動力を走行用パワーラインから取出すことにより、駆動される。油圧ポンプが駆動されることにより、作業用の油圧駆動装置に作動油が供給され、油圧駆動装置に供給される作動油に油圧が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-012489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の油圧式作業車では、油圧ポンプは、下部走行体のフレームの内部において、アクスルの真上に配置されている。この場合、油圧ポンプの真下にアクスルが位置することにより、油圧ポンプのメンテナンス性に影響を及ぼす。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、油圧ポンプのメンテナンス性が確保された油圧式作業車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のある態様の油圧式作業車は、前後方向に沿って延設される走行車体であって、幅方向の外側を向く側面と、前記幅方向に沿って延設され、前記前後方向に沿って並設される複数のアクスルと、を備える走行車体を備える。前記油圧式作業車は、トランスファを備えるとともに、前記走行車体に設けられる走行用パワーラインであって、エンジンの動力を前記トランスファを介して前記アクスルの少なくとも1つに伝達する走行用パワーラインと、前記走行車体の前記側面の外側に設けられ、作業用の油圧を発生させる油圧ポンプと、前記トランスファに接続されるとともに、前記トランスファから取り出した前記エンジンの前記動力を前記油圧ポンプに伝達するポンプ用パワーラインであって、前記走行車体の前記幅方向について前記油圧ポンプまで外側に向かって延設される駆動軸を備えるポンプ用パワーラインと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、油圧ポンプのメンテナンス性が確保された油圧式作業車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るクレーンを幅方向の一方側から視た概略図である。
図2図2は、実施形態に係るクレーンの走行車体を上側から視た概略図である。
図3図3は、実施形態に係るクレーンのシャシフレームを概略的に示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るクレーンに設けられるオイルタンクを幅方向の一方側から視た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の油圧式作業車であるクレーン1の一例を示す。クレーン1は、移動式クレーンである。図1に示すように、クレーン1は、走行車体(下部走行体)2と、走行車体2上に配置される旋回体(上部旋回体)3と、を備える。本実施形態のクレーン1は、走行車体2と旋回体3とを分離せずに公道を走行可能なオルテレンクレーンである。旋回体3は、走行車体2に対して旋回軸(回転軸)Rを中心として旋回可能である。
【0011】
走行車体2は、運転室4を備える。走行車体2では、運転室4が設けられる側が前方側となり、前方側とは反対側が後方側となる。また、前後方向に対して垂直又は略垂直で、かつ、上下方向に対して垂直又は略垂直な方向を走行車体2の幅方向とする。
【0012】
走行車体2には、アウトリガ5が設けられている。アウトリガ5は、走行車体2において、前方側方部位の左右両側、及び、後方側方部位の左右両側に1つずつ収納されている。クレーン1の作業時には、アウトリガ5のそれぞれを走行車体2の幅方向について外側へ張り出す。そして、アウトリガ5のそれぞれを地盤に接地させることにより、走行車体2を支持する。なお、図1では、走行車体2の左側方部位のアウトリガ5のみを示し、走行車体2の右側方部位のアウトリガ5は省略する。
【0013】
旋回体3には、ブーム7の基端部が連結される。ブーム7は、その軸方向に伸縮可能であるとともに、旋回体3に対して起伏可能である。ブーム7の先端には、ジブやフック等が取付けられる。また、旋回体3は、ウインチ8を備える。ブーム7の先端に設けられたフックは、ウインチ8から延出されるワイヤロープがウインチ8から繰出される又はウインチ8に巻取られることにより、操作される。旋回体3は、操作室6を備える。操作室6では、作業時において、旋回体3の走行車体2に対する回転操作、ブーム7の伸縮操作及びウインチ8から延設されるワイヤロープの繰り出し及び巻き取り操作等が行われる。旋回体3が旋回すると、操作室6及びブーム7は、旋回体3と一緒に旋回する。
【0014】
図2は、走行車体2を上側から視た図である。図1及び図2に示すように、走行車体2は、4つのアクスル(車軸)29A~29Dを備える。アクスル29A~29Dのそれぞれは、幅方向に沿って延設されている。アクスル29A~29Dのそれぞれは、走行車体2のフレーム(シャシフレーム)11の下側に配置されている。アクスル29A~29Dは、前後方向に沿って並設され、前後方向について互いに対して離間して配置されている。本実施形態では、走行車体2には、後方側から順に、第1アクスル29A、第2アクスル29B、第3アクスル29C、第4アクスル29Dが設けられている。アクスル29A~29Dのそれぞれの車軸は、フレーム11に対して回転する。
【0015】
アクスル29Aは、アクスル29A~29Dのうち最も後方側に位置する。アクスル29Aは、アクスル29A~29Dのうち後方側から数えて1番目の車軸である。アクスル29Aは、後方側のアウトリガ5よりも前方側に配置されている。アクスル29Bは、アクスル29Aの前方側に位置する。アクスル29Bは、アクスル29A~29Dのうち後方側から数えて2番目の車軸である。アクスル29Cは、アクスル29Bの前方側に位置し、アクスル29A~29Dのうち後方側から数えて3番目の車軸である。アクスル29Dは、アクスル29Cの前方側に位置し、かつ、前方側のアウトリガ5よりも後方側に配置されている。アクスル29Dは、アクスル29A~29Dのうち最も前方側に位置する。
【0016】
本実施形態では、旋回体3の走行車体2に対する旋回軸(回転軸)Rは、前後方向について、第1アクスル29Aと第2アクスル29Bとの間に位置する。
【0017】
ある実施例では、走行車体2には、5つのアクスル29A~29Eが設けられる。この場合、アクスル29Dの前方側には、アクスル29Eが設けられる。アクスル29Eは、前方側方部位に設けられるアウトリガ5よりも前方側に配置される。アクスル29Eは、アクスル29A~29Eのうち最も前方側の車軸となる。
【0018】
アクスル29A~29Dのそれぞれには、一対のタイヤ(30A~30Dうちの対応する1組)が取付けられている。一対のタイヤ(車輪)30A~30Dは、走行車体2のフレーム11の外側に配置されている。タイヤ30A~30Dのそれぞれは、対応するアクスル(29A~29Dのうち対応する1つ)が走行車体2に対して回転することにより、対応するアクスル(29A~29Dのうち対応する1つ)と一緒に回転する。
【0019】
本実施形態のクレーン1では、アクスル29A~29Dのうちの複数(2つ以上)が、走行時に駆動される。したがって、アクスル29A~29Dのうちの複数(2つ以上)が、駆動アクスル(29A~29Dのうちの複数)となる。そして、駆動アクスル(29A~29Dのうちの複数)のそれぞれに設けられたタイヤ(30A~30Dのうちの対応する複数)が、駆動タイヤとなる。
【0020】
図3は、走行車体2のフレーム11を示す斜視図である。図3に示すように、フレーム11は、上側を向く上面12と、幅方向について外側を向く側面13及び側面14とを備える。側面13及び側面14は、幅方向について互いに対して反対側を向く。
【0021】
フレーム11は、切欠き部15を備える。切欠き部15は、フレーム11の上面12に設けられ、上面12から下側に向かって凹んだ溝である。切欠き部15は、運転室4よりも後方側において、運転室4の近傍に設けられている。
【0022】
フレーム11の上面12には、旋回ベアリング17が設置されている。旋回ベアリング17は、前後方向について第2アクスル29Bの近傍に位置する。フレーム11の内部には、旋回ベアリング17の下側に空間部18が形成されている。旋回ベアリング17に旋回体3のセンタジョイント(図示しない)が挿入されることにより、旋回体3が走行車体2に接続される、センタジョイントの内部には、作動油が通る油圧通路や、電気配線等が配置される。センタジョイントは、旋回体3の走行車体2に対する旋回軸(回転軸)となる。
【0023】
図1及び図2に示すように、クレーン1は、エンジン21と、トランスミッション(変速機)23と、トランスファ25と、ポンプ(油圧ポンプ)31と、オイルタンク33とを備える。
【0024】
エンジン21は、フレーム11の切欠き部15内に配置されている。本実施形態のクレーン1では、軽量化のため、走行車体2にのみエンジン21が設けられ、旋回体3にはエンジンは設けられていない。
【0025】
トランスミッション23は、フレーム11の内側において、エンジン21の後方側に配置されている。トランスミッション23は、エンジン21に接続されている。トランスミッション23は、エンジン21の動力をドライブシャフト24の回転駆動力に変換し、ドライブシャフト24を回転させる。
【0026】
トランスファ25は、フレーム11の内側において、前後方向について走行車体2の中央付近に配置される。トランスファ25は、前後方向について第2アクスル29B及び第2タイヤ30Bの近傍に配置されている。トランスファ25は、ドライブシャフト24を介して、トランスミッション23と接続されている。ドライブシャフト24は、フレーム11の内側において、前方側から後方側に向かって延設されている。
【0027】
トランスファ25は、ドライブシャフト26を介して、駆動アクスル(29A~29Dのうちの複数)のそれぞれに接続されている。トランスファ25は、ドライブシャフト24の回転駆動力をドライブシャフト26の回転駆動力に変換し、ドライブシャフト26を回転駆動させる。これにより、トランスファ25は、ドライブシャフト24を介してトランスミッション23から伝達されたエンジン21の動力を、ドライブシャフト26を介して、駆動アクスル(29A~29Dのうちの複数)のそれぞれに伝達する。駆動アクスル(29A~29Dのうちの複数)のそれぞれは、動力が伝達されることにより、対応する駆動タイヤ(30A~30Dのうちの対応する複数)と一緒に、回転する。
【0028】
前述のように、エンジン21の動力は、トランスミッション23、ドライブシャフト24、トランスファ25、ドライブシャフト26を介して、駆動アクスル(29A~29Dのうちの複数)のそれぞれに伝達され、対応する駆動タイヤ(30A~30Dのうちの対応する複数)が回転する。このため、トランスミッション23、ドライブシャフト24、トランスファ25、ドライブシャフト26及び駆動アクスル(29A~29Dのうちの複数)は、エンジン21の動力を走行のための駆動力として駆動タイヤ(30A~30Dのうちの対応する複数)に伝達する走行用パワーライン(パワートレイン)を形成する。
【0029】
ポンプ31は、フレーム11の外側において、側面14に取付けられている。ポンプ31は、隣接するタイヤ間に配置されている。ポンプ31は、側面14の外側において、第1タイヤ30Aと第2タイヤ30Bとの間に配置されている。したがって、ポンプ31は、前後方向について、第1アクスル29Aと第2アクスル29Bとの間に位置する。すなわち、ポンプ31は、前後方向について、第1アクスル29Aよりも前方側で、かつ、第2アクスル29Bよりも後方側に位置する。また、ポンプ31は、旋回体3の旋回軸Rよりも後方側に配置されている。
【0030】
また、ポンプ31は、第1アクスル29A及び第2アクスル29Bよりも上側に配置されている。すなわち、ポンプ31は、第1タイヤ30Aの回転中心(29A)及び第2タイヤ30Bの回転中心(29B)よりも上側に位置する。
【0031】
オイルタンク33は、フレーム11の外側において、側面14に取付けられている。このため、オイルタンク33は、フレーム11において、ポンプ31が取付けられる側面と同じ側面に配置される。オイルタンク33には、ポンプ31の駆動によって供給される作業用の作動油が貯められている。ポンプ31とオイルタンク33とは、例えば配管を介して接続されている。ポンプ31及びオイルタンク33が互いに対して同一の側面14に設けられることにより、ポンプ31とオイルタンク33との間に配設される配管を短くすることができる。
【0032】
オイルタンク33は、前後方向について走行車体2の中央部において、隣接するタイヤ間に取付けられる。このため、オイルタンク33は、側面14の外側において、第2タイヤ30Bと第3タイヤ30Cとの間に配置されている。したがって、オイルタンク33は、前後方向について、第2アクスル29Bと第3アクスル29Cとの間に位置する。
【0033】
ポンプ31は、オイルタンク33に貯められた作動油を油圧駆動装置に供給し、油圧駆動装置に供給する作動油において油圧を発生させる。油圧駆動装置は、走行車体2及び旋回体3のそれぞれに設けられている。油圧駆動装置は、ポンプ31から供給された作動油の油圧によって駆動され、例えば、旋回体3の走行車体2に対する回転、ブーム7の伸縮及び起伏、ウインチ8から延設されるワイヤロープの巻き上げ及び巻き下げ、アウトリガ5の張出し及び格納等を行う。すなわち、油圧駆動装置としては、旋回モータ、ブーム伸縮シリンダー及びブーム起伏シリンダー等が挙げられる。
【0034】
ポンプ31は、駆動ユニット(油圧ポンプ駆動軸)35を介して、トランスファ25に接続されている。駆動ユニット35は、第1駆動軸36、ギアボックス37及び第2駆動軸38を備える。第1駆動軸36及び第2駆動軸38は、例えば、プロペラシャフトである。
【0035】
ギアボックス37は、フレーム11の空間部18に配置されている。したがって、ギアボックス37は、前後方向について、第1アクスル29Aと第2アクスル29Bとの間に位置する。
【0036】
第1駆動軸36は、前方側から後方側に向かって延設され、前方側の端部がトランスファ25に接続されている。トランスファ25は、ドライブシャフト24の回転駆動力を第1駆動軸36に伝達し、第1駆動軸36を回転させる。第1駆動軸36の後方側の端部は、ギアボックス37の内部に挿入されている。
【0037】
また、フレーム11は、貫通孔(挿通孔)20を備える。貫通孔20は、フレーム11の側面14に設けられ、側面14を幅方向について貫通している。このため、貫通孔20は、側面14の内側と外側との間を連通させている。貫通孔20は、側面14において、前後方向について第1タイヤ30Aと第2タイヤ30Bとの間に設けられている。したがって、貫通孔20は、前後方向について、第1アクスル29Aと第2アクスル29Bとの間に位置する。貫通孔20の大きさは、第2駆動軸38の太さ(外径)よりも大きく形成されている。
【0038】
第2駆動軸38は、フレーム11の内側から側面14側へ幅方向の外側に向かって延設されている。本実施形態では、第2駆動軸38は、第1駆動軸36に対して略直角(略垂直)に設けられている。第2駆動軸38は、貫通孔20に挿通されている。第2駆動軸38は、貫通孔20を通って、側面14の外側へ延出している。第2駆動軸38は、外側の端部がポンプ31に接続されている。第2駆動軸38の内側の端部は、ギアボックス37の内部に挿入されている。
【0039】
ギアボックス37の内部では、第1駆動軸36の後方側の端部と、第2駆動軸38の内側の端部とが、接続されている。例えば、第1駆動軸36の後方側の端部及び第2駆動軸38の内側の端部のそれぞれにベベルギアが形成され、ベベルギア同士が係合することにより、第1駆動軸36と第2駆動軸38とが接続される。これにより、ギアボックス37内部において、第1駆動軸36の軸回りの回転駆動力が第2駆動軸38の軸回りの回転駆動力に変換される。
【0040】
エンジン21での動力は、トランスファ25及び駆動ユニット35を介して、ポンプ31に伝達される。ポンプ31は、伝達されたエンジン21の動力によって駆動され、油圧駆動装置に供給する作動油において油圧を発生させる。したがって、ポンプ31を駆動させる駆動力は、駆動ユニット35を介して、走行用パワーラインのトランスファ25から取り出される。すなわち、駆動ユニット35は、トランスファ25から取り出したエンジン21の動力をポンプ31に伝達するポンプ用パワーラインである。
【0041】
図4は、オイルタンク33を幅方向の外側から視た図である。図4に示すように、オイルタンク33は、側面14に取付けられた状態で幅方向の外側を向く外向面41と、幅方向の内側を向く内向面42と、上側を向く上面43と、下側を向く下面44と、前方側を向く前側面45と、後方側を向く後側面46とを備える。外向面41は、側面14に取付けられた状態で幅方向の外側を向く。内向面42は、側面14に取付けられた状態では、フレーム11の側面14と対向する。内向面42における下側の部分には、ポンプ31とオイルタンク33との間を接続する配管等が接続される。上面43には、コントロールバルブ等からの戻り油が通る配管等が接続される。
【0042】
また、オイルタンク33は、大幅部48と、中継部49と、小幅部50とを備える。中継部49は、大幅部48の下側に位置し、小幅部50は、中継部49の下側に位置する。大幅部48及び中継部49は、第2タイヤ30B、第3タイヤ30Cの中心、すなわち、第2アクスル29B及び第3アクスル29Cよりも上側に位置する。小幅部50は、上下方向について第2アクスル29B及び第3アクスル29Cを含む範囲に配置されている。
【0043】
大幅部48では、前側面45及び後側面46は、前後方向に対して垂直又は略垂直に(鉛直又は略鉛直に)延設されている。中継部49では、前側面45は、上側から下側に向かうにつれて後方側へ向かう状態に形成されている。また、中継部49では、後側面46は、上側から下側に向かうにつれて前方側へ向かう状態に形成されている。このため、中継部49では、オイルタンク33の前後方向についての長さ(寸法)は、上側から下側に向かうにつれて小さくなる。
【0044】
小幅部50では、前側面45及び後側面46は、前後方向に対して垂直又は略垂直に(鉛直又は略鉛直に)延設されている。小幅部50の前側面45は、大幅部48の前側面45及び中継部49の前側面45のそれぞれに対して後方側に位置する。また、小幅部50の後側面46は、大幅部48の後側面46及び中継部49の後側面46のそれぞれに対して前方側に位置する。このため、小幅部50では、オイルタンク33の前後方向についての長さ(寸法)が大幅部48よりも小さくなる。
【0045】
このように、オイルタンク33は、上下方向について、第2アクスル29B及び第3アクスル29Cの近傍に配置される小幅部50では、前後方向についての長さ(寸法)が小さく形成され、第2アクスル29B及び第3アクスル29Cから離れた位置に配置される大幅部48では、前後方向についての長さ(寸法)が大きく形成されている。
【0046】
次に、本実施形態のクレーン1の作用及び効果について説明する。本実施形態のクレーン1は、旋回体3を走行車体2から取り外さずに、公道を走行可能である。軽量化のため、エンジン、ポンプ及びオイルタンクは、走行車体2にのみ設けられ、旋回体3には設けられない。
【0047】
本実施形態では、ポンプ31は、トランスファ25よりも後方側において、切欠き部15の外側に配置されている。したがって、切欠き部15の内部には、エンジン21のみが設置され、ポンプ31は配置されない。このため、エンジン21に加えてポンプ31が切欠き部15の内部に配置される場合に比べて、切欠き部15を形成する範囲を小さくすることができる。これにより、切欠き部15が大きく形成されることによるフレーム11の強度の低下を抑制することができる。
【0048】
また、例えば、フレーム11の内側において、前後方向についてアクスル29A~29Dのうちのいずれか(例えば29B)と略同じ位置にポンプ31が配置された場合には、ポンプ31はアクスル(例えば29B)の真上に位置する。アクスル(例えば29B)の真上にポンプ31が位置する場合、メンテナンスの際にポンプ31を走行車体2の下側から取り外すことが難しくなる。このため、ポンプ31のメンテナンス性が低下する。
【0049】
一方、本実施形態では、ポンプ31は、前後方向について第1アクスル29Aと第2アクスル29Bとの間に配置されている。したがって、ポンプ31は、前後方向について第1アクスル29A及び第2アクスル29Bとのそれぞれから離れた位置に配置されている。このため、メンテナンスの際にポンプ31がアクスル(例えば29B)に干渉することなく、ポンプ31をフレーム11から容易に取り外すことができる。これにより、ポンプ31のメンテナンス性が向上する。
【0050】
また、ポンプ31は、フレーム11の外側に配置されている。このため、ポンプ31は、旋回体3の旋回軸R(センタジョイント)から離れた位置に位置する。このため、ポンプ31と旋回体3のセンタジョイントとの間に油圧配管を配設するための十分な空間を確保することができる。
【0051】
また、ポンプ31に接続される駆動ユニット35は、フレーム11の内側から外側に向かって延設される第2駆動軸38を備える。また、フレーム11の側面14には、フレーム11の内側と外側とを連通させる貫通孔20が設けられ、第2駆動軸38は、貫通孔20を介して、フレーム11の内側から外側へ延設される。このため、駆動ユニット35は、フレーム11の側面14の外側に配置されたポンプ31に、走行用パワーラインの動力を伝達することができる。
【0052】
また、旋回ベアリング17上には、旋回体3が設置される。また、空間部18は、旋回ベアリング17の下側に位置する。このため、フレーム11は、空間部18の近傍では、他の部分に比べて、フレーム11の強度が高く形成されている。本実施形態では、第2駆動軸38が挿通される貫通孔20は、旋回ベアリング17の近傍に配置されている。すなわち、貫通孔20は、強度が高く形成された部分の近傍に形成されている。これにより、貫通孔20が形成されることによるフレーム11の強度への影響を抑制することができる。
【0053】
また、ポンプ31は、第1アクスル29A及び第2アクスル29Bよりも上側に設けられている。すなわち、ポンプ31は、第1タイヤ30Aの回転軸(29A)及び第2タイヤ30Bの回転軸(29B)よりも上側に設けられている。このため、第1タイヤ30A及び第2タイヤ30Bの間において、第1タイヤ30A及び第2タイヤ30Bの間の距離が大きくなる部分に、ポンプ31が配置される。これにより、ポンプ31が上下方向について第1タイヤ30Aの回転軸(29A)及び第2タイヤ30Bの回転軸(29B)の近傍に配置される場合に比べて、第1タイヤ30A及び第2タイヤ30Bの間の距離を延ばすことなく、ポンプ31を配置することができる。このため、走行車体2の前後方向についての長さ(全長)を大きくすることなく、ポンプ31をフレーム11の外側に配置することができる。
【0054】
前述のように、本実施形態のクレーン1では、エンジン21、ポンプ31及びオイルタンク33は、走行車体2のみに設けられ、旋回体3には設けられない。このため、ポンプ31は、走行車体2に設けられる油圧駆動装置及び旋回体3に設けられる油圧駆動装置の両方に、作動油を供給する。したがって、ポンプ31の駆動によって供給される作動油が貯められるオイルタンク33には、走行車体2の油圧駆動装置の駆動で使用される作動油と旋回体3の油圧駆動装置の駆動で使用される作動油との両方が貯められる。このため、エンジンが走行車体2及び旋回体3のそれぞれに設けられる場合に比べて、オイルタンク33を大きく形成する必要がある。
【0055】
前述のように、オイルタンク33は、上下方向について、第2アクスル29B及び第3アクスル29Cの近傍に配置される小幅部50では、前後方向についての長さ(寸法)が小さく形成され、第2アクスル29B及び第3アクスル29Cから離れた位置に配置される大幅部48では、前後方向についての長さ(寸法)が大きく形成されている。このため、オイルタンク33は、第2タイヤ30B及び第3タイヤ30C間の距離が小さい部分において、前後方向についての長さ(寸法)が小さく形成され、第2タイヤ30B及び第3タイヤ30C間の距離が大きい部分において、前後方向についての長さ(寸法)が大きく形成されている。したがって、本実施形態では、同容量のオイルタンク33を例えば直方体形状に形成した場合に比べて、第2タイヤ30B及び第3タイヤ30C間の距離を小さくすることができる。オイルタンク33が設けられる部分においてタイヤ間の距離を小さくすることにより、走行車体2の前後方向についての長さ(全長)を小さくすることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、ポンプ31は、側面14に設けられているが、側面13に設けられてもよい。この場合、オイルタンク33も、側面13に設けられる。また、ポンプ31及びオイルタンク33の両方が、側面13及び側面14のそれぞれに設けられてもよい。
【0057】
また、本実施形態の構成は、高所作業車や穴掘り建柱車等の油圧式作業車にも適用することができる。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0059】
1…クレーン、2…走行車体、3…旋回体、11…フレーム、13…側面、14…側面、20…貫通孔、21…エンジン、23…トランスミッション、25…トランスファ、29A~29D…アクスル、30A~30D…タイヤ、31…ポンプ、33…オイルタンク、35…駆動ユニット。
図1
図2
図3
図4