(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】低電磁放射のスイッチドキャパシタDC-DCコンバータを備える聴覚装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20220620BHJP
H04R 25/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
H02M3/07
H04R25/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018054695
(22)【出願日】2018-03-22
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デニス オーランド ラーセン
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン リース ニールセン
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-97385(JP,A)
【文献】特表2007-513600(JP,A)
【文献】特開2009-81984(JP,A)
【文献】特開2005-128902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
H04R 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に着用可能な聴覚装置であって、
所定の共振周期を示し、無線通信チャンネルを介して無線データ信号を受信するための磁気インダクタンスアンテナと、
クロック信号に従って、DC入力電圧をより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するように構成されたスイッチドキャパシタDC-DCコンバータを備え、
前記スイッチドキャパシタDC-DCコンバータが、出力電流パルスによって出力キャパシタを充電するように構成されたチャージポンプ回路を備え、
前記チャージポンプ回路が、第1の状態では、前記DC入力電圧から前記出力キャパシタとフライングキャパシタを充電し、第2の状態では、前記フライングキャパシタから前記出力キャパシタに放電するように構成されており、
前記出力電流パルスが、前記磁気インダクタンスアンテナの前記所定の共振周期の実質的に半分に対応する相互パルス遅延を有する、第1および第2の連続する出力電流パルスを少なくとも含む、頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項2】
前記チャージポンプ回路が、前記クロック信号から導出される第1および第2の重なり合わないクロック位相によって駆動するスイッチアレイを備えており、
前記第1および第2の重なり合わないクロック位相は、それぞれ、前記チャージポンプ回路の前記第1の状態と前記第2の状態を規定する、請求項1に記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項3】
前記クロック信号が、複数の連続するクロックパルスを含み、前記クロックパルスのそれぞれが、前記所定の共振周期の半分と実質的に等しい長さを有し、
前記チャージポンプ回路が、
前記第1のクロック位相のオン状態の遷移に応答して、前記出力電流パルスの前記第1の出力電流パルスを生成し、
前記第2のクロック位相のオン状態の遷移に応答して、連続する前記出力電流パルスの前記第2の出力電流パルスを生成するように構成されている、請求項2に記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項4】
前記クロック信号の周波数が、前記所定の共振周期の半分
に対応する周波数より小さく、
前記チャージポンプ回路が、
前記第1のクロック位相のオン状態の遷移に応答して、前記出力電流パルスの前記第1の出力電流パルスを生成して、前記フライングキャパシタを少なくとも部分的に充電し、
前記第1のクロック位相の前記オン状態の遷移に対して前記相互パルス遅延だけ遅延して、前記出力電流パルスの前記第2の連続する出力電流パルスを生成して、前記フライングキャパシタの充電を増加させ、
前記第2のクロック位相のオン状態の遷移に応答して、前記出力電流パルスの第3の出力電流パルスを生成して、前記フライングキャパシタを部分的に放電し、
前記第2のクロック位相の前記オン状態の遷移に対して前記相互パルス遅延だけ遅延して、前記出力電流パルスの第4の出力電流パルスを、前記第3の出力電流パルスに連続して生成して、前記フライングキャパシタをさらに放電するように構成されている、請求項
2に記載の聴覚装置。
【請求項5】
前記スイッチアレイが、少なくとも、
前記第1のクロック位相の間に、前記フライングキャパシタを前記DC入力電圧と前記出力キャパシタの間に接続するための、前記第1のクロック位相によって駆動する第1および第2の制御可能な半導体スイッチと、
前記第2のクロック位相の間に、前記フライングキャパシタを前記出力キャパシタに接続するための、前記第2のクロック位相によって駆動する第3および第4の制御可能な半導体スイッチを備える、請求項
4に記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項6】
前記第1および第2の制御可能な半導体スイッチは、それぞれ個々に、前記第1のクロック位相から導出される第1および第2のセグメント位相によって制御される、
並列に接続されており個々に制御可能な第1および第2のスイッチセグメントを含み、前記第1および第2の連続する
出力電流パルスを生成し、前記第2のセグメント位相の開始または遷移は、前記第1のセグメント位相の開始または遷移に対して前記相互パルス遅延だけ遅延しており、
前記第3および第4の制御可能な半導体スイッチは、それぞれ個々に、前記第2のクロック位相から導出される第3および第4のセグメント位相によって制御される、
並列に接続されており個々に制御可能な第1および第2のスイッチセグメントを含み、前記第3および第4の連続する出力電流パルスを生成し、前記第4のセグメント位相の開始または遷移は、前記第3のセグメント位相の開始または遷移に対して前記相互パルス遅延だけ遅延している、請求項
5に記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項7】
前記スイッチドキャパシタDC-DCコンバータの前記クロック信号の周波数が、250kHz~4MH
zにある、請求項4から6の何れか一項に記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項8】
前記チャージポンプ回路が、同一の極性と実質的に同一のピーク電流である前記第1および第2の連続する出力電流パルスを生成するように構成されて
いる、請求項1から7の何れか一項に記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項9】
前記第1および第2の制御可能な半導体スイッチそれぞれの前記第1および第2の個々に制御可能なスイッチセグメントのそれぞれのオン抵抗が、実質的に同一のピーク電流の前記出力電流パルスの前記第1および第2の連続する出力電流パルスを生成するように選択されており、
前記第3および第4の制御可能な半導体スイッチそれぞれの前記第1および第2の個々に制御可能なスイッチセグメントのそれぞれのオン抵抗が、実質的に同一のピーク電流の前記出力電流パルスの前記第3および第4の連続する出力電流パルスを生成するように選択されている、請求項6に従属する請求項8に記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項10】
前記磁気インダクタンスアンテナの前記所定の共振周期は、20ns~200nsの間であり、5MHz~50MHzの所定の共振周波数に対応する、請求項1から9のいずれかに記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項11】
制御処理回路をさらに備えており、
前記制御処理回路は、
第1のオーディオ信号を受信するための第1のオーディオ入力チャンネルと、
ユーザの難聴に従って補償されたマイクロフォン信号を生成するための、前記第1のオーディオ信号を受信し、処理するための信号プロセッサと、
前記補償されたマイクロフォン信号を受信し、所定の変調周波数で変調された出力信号を生成するためのクラスD出力増幅器と、
前記変調された出力信号を受信し、ユーザの耳に適用するための出力音信号を生成するための小型レシーバまたはラウドスピーカを備えている、請求項1から10の何れか一項に記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項12】
前記スイッチドキャパシタDC-DCコンバータに対する前記DC入力電圧を生成するための、再充電可能な電池電
源を備える、請求項1から11のいずれかに記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項13】
前記相互パルス遅延が、±50%以内
の公差で、前記磁気インダクタンスアンテナの前記所定の共振周期の半分に等しい、請求項1から12の何れか一項に記載の頭部に着用可能な聴覚装置。
【請求項14】
頭部に着用可能な聴覚装置のスイッチドキャパシタDC-DCコンバータによって生じる磁気インダクタンスアンテナの電磁ノイズによる外乱を減らす方法であって、この方法は、
(a)クロック信号を生成するステップと、
(b)前記クロック信号を前記スイッチドキャパシタDC-DCコンバータに適用し、DC入力電圧を、出力キャパシタでのより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するステップと、
(c)前記出力キャパシタを充電するために、
前記スイッチドキャパシタDC-DCコンバータのチャージポンプ回路からの出力電流パルスを前記出力キャパシタに供給するステップと;
(e)前記出力電流パルスの少なくとも第1および第2の連続する出力電流パルスの間の時間遅延を、前記磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の実質的に半分に等しい値に設定するステップと;
(f)前記クロック信号に従って、前記ステップ(e)を複数回繰り返し、時間経過に伴って、連続する出力電流パルスの複数の対を前記出力キャパシタに適用し、前記出力キャパシタを繰り返し充電するステップを含む、方法。
【請求項15】
(g)第1および第2の重なり合わないクロック位相を前記クロック信号から導出するステップと、
(h)前記第1のクロック位相の間に、前記DC入力電圧によって、フライングキャパシタと前記出力キャパシタを充電するステップと、
(i)前記第2のクロック位相の間に、前記フライングキャパシタから前記出力キャパシタに放電するステップをさらに含む、請求項14に記載の磁気インダクタンスアンテナの電磁ノイズによる外乱を減らす方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の共振周期を有し、無線データ信号を受信するための磁気インダクタンスアンテナと、クロック信号に従って、DC入力電圧をより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するように構成されたスイッチドキャパシタDC-DCコンバータとを備える、頭部に着用可能な聴覚装置に関する。チャージポンプ回路は、出力電流パルスによって出力キャパシタを充電するように構成されており、出力電流パルスは、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の実質的に半分に対応する相互パルス遅延を有する、第1および第2の連続する出力電流パルスを少なくとも含む。
【背景技術】
【0002】
スイッチドキャパシタDC-DC電力コンバータは、当該技術分野で知られており、補聴器および補聴装置のようなさまざまな種類の頭部に着用可能な聴覚装置に以前から利用されてきた。スイッチドキャパシタDC-DC電力コンバータは、多くは、聴覚装置のエネルギー源または電力源(例えば、再充電可能な電池)によって伝送されるDC入力電圧を、聴覚装置のさまざまな種類の能動部品に適する、より高いまたはより低いDC出力電圧に変換するために利用される。スイッチドキャパシタDC-DC電力コンバータは、インダクタ型の電力コンバータと比較して、魅力的な特性(例えば、インダクタの磁場の中に蓄えられるエネルギーがないため、電磁放射が比較的低レベルである)を有する。スイッチドキャパシタDC-DC電力コンバータの寸法は、小型であり、そのエネルギー変換効率は比較的高いであろう。異なるトポロジのスイッチドキャパシタDC-DC電力コンバータは、トポロジに依存する最適電圧変換比、例えば、1:2または1:3のステップアップ変換および2:1および3:1のステップダウン変換で、DC電圧のステップアップ(すなわち、昇圧)およびDC電圧のステップダウン(降圧)を提供することができる。
【0003】
頭部に着用可能な聴覚装置は、さらに、無線通信チャンネルまたはリンクを介し、磁気的にカップリングした無線データ信号を受信および/または送信するための磁気インダクタンスアンテナを備えていてもよい。無線通信チャンネルは、頭部に着用可能な聴覚装置と、ユーザの反対の耳に、またはユーザの反対の耳の中に取り付けられた、別の頭部に着用可能な聴覚装置との間で、データ信号とデジタルオーディオ信号をやり取りすることが可能な、両耳用補聴器システムの耳から耳への通信システムの一部を形成していてもよい。頭部に着用可能な聴覚装置のハウジングが非常に小さな寸法を有するため、磁気インダクタンスアンテナと、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータが一緒に存在することには、顕著な問題があることが多い。小さな寸法のハウジングは、磁気インダクタンスアンテナとDC-DC電力コンバータおよびその関連する配線および外部要素の物理的な最大距離を制限する。したがって、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータのフライングキャパシタと出力キャパシタを流れる充電電流パルスによって生じるパルス状の電磁気ノイズのバーストが、干渉するノイズパルスとして磁気インダクタンスアンテナの中で実効的にカップリングされ、望ましい無線デジタルデータ信号の受信を悪化させる。
【0004】
したがって、補聴器およびヘッドセットのような頭部に着用可能な聴覚装置の磁気インダクタンスアンテナの電磁ノイズによる外乱を低減するためのスイッチドキャパシタDC-DCコンバータの改良が当該技術分野で依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様は、頭部に着用可能な聴覚装置であって、所定の共振周期を示し、無線通信チャンネルを介して無線データ信号を受信するための磁気インダクタンスアンテナと、クロック信号に従って、DC入力電圧をより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するように構成されたスイッチドキャパシタDC-DCコンバータとを備える、頭部に着用可能な聴覚装置に関する。スイッチドキャパシタDC-DCコンバータは、出力電流パルスによって出力キャパシタを充電するような構成のチャージポンプ回路を備える。チャージポンプ回路は、第1の状態では、DC入力電圧から出力キャパシタとフライングキャパシタを充電し、第2の状態では、フライングキャパシタから出力キャパシタに放電するように構成されている。出力電流パルスは、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の実質的に半分に対応する相互パルス遅延を有する、第1および第2の連続する出力電流パルスを少なくとも含む。
【0006】
頭部に着用可能な聴覚装置は、補聴器、例えば、BTE、RIE、ITE、ITCまたはCICなどの補聴器であってもよい。補聴器は、聴覚装置の外部環境からの音を検知し、これに応答して第1のオーディオ信号を作成するための1個または数個のマイクロフォンを備えていてもよい。または、頭部に着用可能な聴覚装置は、ヘッドセット、ヘッドホン、イヤホン、イヤディフェンダまたはイヤマフなど、例えば、イヤフック、インイヤ、オンイヤ、オーバーイヤ、ビハインドネック、ヘルメットまたはヘッドガードなどであってもよい。
【0007】
フライングキャパシタは、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータが、頭部に着用可能な聴覚装置の他の能動回路ブロックと共に集積される集積回路に対して外部のキャパシタを備えていてもよい。フライングキャパシタは、代替例において、集積回路に完全に集積されていてもよく、すなわち、集積回路の半導体ダイまたは基板の上に一体的に形成されたオンチップキャパシタであってもよい。両方の場合に、当業者は、出力キャパシタ、フライングキャパシタおよび関連する配線を通って流れる出力電流パルスによって、干渉するスイッチングノイズとして磁気インダクタンスアンテナでカップリングされる、既に記載した磁気または電磁気のノイズパルスまたはスイッチングノイズが発生することを理解するだろう。しかし、第1および第2の連続する出力(または充電)電流パルスの間に、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の実質的に半分に等しい相互パルス遅延を設定することによって、磁気インダクタンスアンテナ中で誘発されるスイッチングノイズのレベルを顕著に下げることができる。このスイッチングノイズのレベル低下は、添付の図面を参照しつつ以下にさらに詳細に記載されるように、それぞれ第1および第2の連続する出力電流パルスによって磁気インダクタンスアンテナ中で誘発される第1および第2の連続するスイッチングノイズパルスの間の弱め合う干渉によって達成される。当業者は、動作中に、チャージポンプ回路が繰り返し出力電流パルスを生成し、繰り返し出力キャパシタを充電し、DC出力電圧を制御することを理解するだろう。したがって、出力電流パルスは、典型的には、連続する出力電流パルスの複数の対を含み、それぞれの対が、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の実質的に半分の相互パルス遅延を有することになる。
【0008】
当業者は、同様に、第1および第2の出力電流パルスの間の相互パルス遅延が、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の実質的に半分に等しい場合に、磁気インダクタンスアンテナ中の干渉するスイッチングノイズの打ち消しまたは抑制が、一般的に最も効果的であるか、または最適であることを理解するだろう。しかし、この最適値から相互パルス遅延をわずかに変動させても、干渉するスイッチングノイズのかなりの抑制が達成されるため、これも本発明の範囲内に含まれる。したがって、本明細書において、相互パルス遅延に関して「実質的に」という修飾語句は、好ましくは、公差が±50%以内、より好ましくは±25%以内、またはさらにより好ましくは±10%以内で、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の半分に等しい相互パルス遅延を意味する。したがって、磁気インダクタンスアンテナの100nsの共振周期(10MHzのアンテナ同調周波数に対応する)では、最適な相互パルス遅延は50nsであり、すなわち、100nsの共振周期の半分に等しく、一方、磁気インダクタンスアンテナ中の干渉するスイッチングノイズの顕著な抑制は、25ns~75ns(すなわち、50ns±50%)の相互パルス遅延でも達成される。相互パルス遅延が37.5ns~62.5ns(すなわち、50ns±25%)だと、干渉するスイッチングノイズのさらにより良い抑制が達成される。その結果、添付の図面を参照しつつ以下にさらに詳細に記載されるように、上述の好ましい上限および下限の範囲内で最適値から相互パルス遅延が逸脱した条件でさえ、干渉するスイッチングノイズの顕著な抑制が達成される。この特性により、例えば、構成部品の公差、経年劣化の影響、温度ドリフトなどによって生じるクロック信号の周波数およびアンテナの同調周波数の実際の変動に対し、干渉するスイッチングノイズの抑制が安定する。
【0009】
チャージポンプ回路は、クロック信号から導出される第1および第2の重なり合わないクロック位相によって駆動するスイッチアレイを備えていてもよく、上述の第1および第2の重なり合わないクロック位相は、それぞれ、チャージポンプ回路の第1の状態と第2の状態を規定する。添付の図面を参照しつつ、以下にさらに詳細に記載するように、チャージポンプ回路の第1の状態は、フライングキャパシタと出力キャパシタを充電することを含んでいてもよく、チャージポンプ回路の第2の状態は、フライングキャパシタから出力キャパシタへと放電することを含んでいてもよい。スイッチアレイは、第1のクロック位相の間に、フライングキャパシタをDC入力電圧と出力キャパシタの間に接続するための、第1のクロック位相によって駆動する第1および第2の制御可能な半導体スイッチを少なくともさらに備えていてもよい。スイッチアレイは、第2のクロック位相の間に、フライングキャパシタを出力キャパシタに接続するための、第2のクロック位相によって駆動する第3および第4の制御可能な半導体スイッチをさらに備えていてもよい。
【0010】
磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期は、20ns~200nsの間にあってもよい。これらの期間は、それぞれ50MHz~5MHzの磁気インダクタンスアンテナの共振周波数または同調周波数に対応する。
【0011】
スイッチドキャパシタDC-DCコンバータのクロック信号の周波数は、250kHz~4MHz、例えば、500kHz~2.0MHzの間にあってもよい。第1および第2のクロック位相がクロック信号から導出されるため、クロック信号の周波数は、チャージポンプ回路のスイッチング周波数を設定してもよい。
【0012】
スイッチドキャパシタDC-DCコンバータのいくつかの実施形態は、DC出力電圧の制御を達成するために、いわゆるパルス-スキッピング機構を利用してもよい。この実施形態において、クロック信号の連続するクロックパルスの間のタイムスパンは、負荷に依存して変動する。この実施形態によれば、連続するクロックパルスのそれぞれは、所定の共振周期の半分に実質的に等しい長さを有し、ここで、実質的にとは、ここでも好ましくは±50%の公差の範囲内であることを意味する。これに加え、チャージポンプ回路は、第1のクロック位相のオン状態の遷移に応答して、出力電流パルスの第1の出力電流パルスを生成し、第2のクロック位相のオン状態の遷移に応答して、出力電流パルスの第2の連続する出力電流パルスを生成するように構成されている。
【0013】
スイッチドキャパシタDC-DCコンバータの別の実施形態によれば、クロック信号のサイクル時間は、チャージポンプ回路のスイッチング周波数を低減し、その電力消費を低減するために、所定の共振周期の半分より長く、例えば、5倍~20倍長い。この実施形態によれば、チャージポンプ回路は、第1のクロック位相の間に一対の連続する出力電流パルスを生成し、第2のクロック位相の間に一対の連続する出力電流パルスを生成するように構成されている。したがって、チャージポンプ回路は、第1のクロック位相のオン状態の遷移に応答して、出力電流パルスの第1の出力電流パルスを生成して、フライングキャパシタを少なくとも部分的に充電し、第1のクロック位相のオン状態の遷移に対して相互パルス遅延だけ遅延して、出力電流パルスの第2の連続する出力電流パルスを生成して、フライングキャパシタの充電を増加させ、第2のクロック位相のオン状態の遷移に応答して、出力電流パルスの第3の出力電流パルスを生成して、フライングキャパシタを部分的に放電し、第2のクロック位相のオン状態の遷移に対して相互パルス遅延だけ遅延して、出力電流パルスの第4の出力電流パルスを、第3の出力電流パルスに連続して生成して、フライングキャパシタをさらに放電するように構成されていてもよい。
【0014】
本発明の特定の実施形態によれば、第1および第2の制御可能な半導体スイッチは、それぞれ個々に、少なくとも2つの個々に制御可能なスイッチセグメントをオンにすることによって、第1および第2の出力電流パルスを選択的に生成するための少なくとも2つの個々に制御可能なスイッチセグメントを備えている。このような1つの実施形態によれば、第1および第2の制御可能な半導体スイッチは、それぞれ個々に、第1のクロック位相から導出される第1および第2のセグメント位相によって制御される個々に制御可能な第1および第2のスイッチセグメントを含み、第1および第2の連続的な充電電流パルスを生成し、第2のセグメント位相の開始または遷移は、第1のセグメント位相の開始または遷移に対して、相互パルス遅延だけ遅延している。同様に、第3および第4の制御可能な半導体スイッチは、それぞれ、好ましくは、第2のクロック位相から導出される第3および第4のセグメント位相によって制御される個々に制御可能な第1および第2のスイッチセグメントを含み、第3および第4の連続的な出力電流パルスを生成し、第4のセグメント位相の開始または遷移は、第3のセグメント位相の開始または遷移に対して、相互パルス遅延だけ遅延する。
【0015】
当業者は、第1および第2の出力電流パルスの波形が同一であるか、または少なくとも大部分が同一である場合に、磁気インダクタンスアンテナにおいて干渉するスイッチングノイズの打ち消しまたは抑制が、一般的に最も効果的であることを理解するだろう。同じ制約は、通常、連続する出力電流パルスの全ての対に適用される。したがって、チャージポンプ回路のいくつかの実施形態は、同一の極性と実質的に同一のピーク電流の第1および第2の連続する出力電流パルスを生成するように構成されている。第1の出力電流パルスと第2の出力電流パルスとの間のピーク電流差が、±50%未満、より好ましくは±25%未満、さらにより好ましくは±10%未満であるとき、実質的に同一のピーク電流は、達成されるだろう。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、第1および第2の連続する出力電流パルスのそれぞれのピーク電流は、チャージポンプ回路のそれぞれの制御可能な半導体スイッチの第1および第2の個々に制御可能なスイッチセグメントの適切なオン抵抗を選択することによって制御される。このような1つの実施形態において、第1および第2の制御可能な半導体スイッチそれぞれの第1および第2の個々に制御可能なスイッチセグメントのそれぞれのオン抵抗は、実質的に同一のピーク電流の出力電流パルスの第1および第2の連続的な出力電流パルスを生成するように選択され、第3および第4の制御可能な半導体スイッチそれぞれの第1および第2の個々に制御可能なスイッチセグメントのそれぞれのオン抵抗は、実質的に同一のピーク電流の第3および第4の連続的な出力電流パルスを生成するように選択される。
【0017】
スイッチドキャパシタDC-DC電力変換器のDC入力電圧は、1つ以上の再充電可能な電池セルまたは1つ以上の使い捨て電池セルによって供給されてもよい。1つ以上の電池セルは、例えば、使い捨て空気亜鉛電池を含んでいてもよく、または少なくとも1つの再充電可能なリチウムイオン電池セルを含んでいてもよい。後者の実施形態において、少なくとも1つの再充電可能なリチウムイオン電池セルは、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータに公称でほぼ4.0VのDC入力電圧を伝送してもよい。スイッチドキャパシタDC-DCコンバータは、後者の実施形態において、リチウムイオン電池セルの充電状態に依存して、受け取ったDC入力電圧を約2:1および/または3:1の係数でステップダウンし、約1.2VのDC出力電圧レベルを供給するように構成されていてもよい。
【0018】
しかし、当業者は、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータが、公称で1.2V未満の電池電圧を伝送する他の種類の再充電可能な電池電源について、電池供給電圧を特定の比率、例えば、1:2および/または1:3でステップアップするような構成であってもよいことを理解するだろう。
【0019】
頭部に着用可能な聴覚装置は、入ってくる会話および他の音信号を受信し、受信した音信号を処理し、処理した音信号を、ユーザの耳に適用するための対応する出力音信号に変換し、および/または遠隔の聞き手に送信するための種々の能動要素とオーディオトランスデューサとを備えていてもよい。頭部に着用可能な聴覚装置は、補聴器を備えていてもよい。補聴器は、制御処理回路を備えてもよい。制御処理回路は、第1のオーディオ信号を受信するための第1のオーディオ入力チャンネルと、ユーザの難聴に従って補償されたマイクロフォン信号を生成するための、第1のオーディオ信号を受信し、処理するための信号プロセッサと、補償されたマイクロフォン信号を受信し、所定の変調周波数で変調された出力信号を生成するためのクラスD出力増幅器と、変調された出力信号を受信し、ユーザの耳に適用するための出力音信号を生成するための小型レシーバまたはラウドスピーカを備えていてもよい。補償されたマイクロフォン信号は、磁気インダクタンスアンテナによって送信される無線データ信号に埋め込まれていてもよく、または符号化されていてもよい。補償されたマイクロフォン信号は、対応する磁気インダクタンスアンテナと、符号化された無線データ信号に適合する受信復号回路とを備える別の補聴器に送信されてもよい。
【0020】
第1のオーディオ信号は、補聴器のマイクロフォンから導出されてもよく、適切な復号によって、磁気インダクタンスアンテナによって供給される無線データ信号から導出されてもよい。したがって、無線データ信号は、携帯型マイクロフォン、別の聴覚装置または携帯電話などの遠隔のオーディオ信号源によって供給されてもよい。クラスD出力増幅器は、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータによって供給されるDC出力電圧によって直接的に電力を供給されてもよい。
【0021】
信号プロセッサは、専用のデジタル論理回路、ソフトウェアのプログラミング可能なプロセッサ、またはこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」などの用語は、マイクロプロセッサまたはCPUに関連するエンティティ、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、実行時のソフトウェアのいずれかを指すことを意図している。例えば、「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」などは、限定されないが、プロセッサで実行するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能なファイル、実行のスレッドおよび/またはプログラムであってもよい。実例として、「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」などの用語は、プロセッサで動くアプリケーションおよびハードウェアプロセッサの両方を示す。1つ以上の「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」など、またはこれらの任意の組み合わせは、プロセスおよび/または実行のスレッドの中に存在していてもよく、1つ以上の「プロセッサ」、「信号プロセッサ」、「コントローラ」、「システム」など、またはこれらの任意の組み合わせは、可能ならば他のハードウェア回路と組み合わせて、1つのハードウェアプロセッサに集中していてもよく、および/または可能ならば他のハードウェア回路と組み合わせて、2つ以上のハードウェアプロセッサに分配されていてもよい。また、プロセッサ(または同様の用語)は、信号処理を行うことができる任意の構成要素または構成要素の任意の組み合わせであってもよい。例えば、信号プロセッサは、ASICプロセッサ、FPGAプロセッサ、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路構成要素または集積回路であってもよい。
【0022】
本発明の第2の態様は、頭部に着用可能な聴覚装置のスイッチドキャパシタDC-DCコンバータによって生じる磁気インダクタンスアンテナの電磁ノイズによる外乱を減らす方法である。この方法は、(a)クロック信号を生成するステップと、(b)クロック信号をスイッチドキャパシタDC-DCコンバータに適用し、DC入力電圧を、出力キャパシタでより高いまたはより低いDC出力電圧に変換するステップと、(c)出力キャパシタを充電するために、出力電流パルスを出力キャパシタに供給するステップと、(e)出力電流パルスの少なくとも第1および第2の連続する出力電流パルスの間の時間遅延を、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の実質的に半分に等しい値に設定するステップと、(f)クロック信号に従って、ステップ(e)を複数回繰り返し、時間経過に伴って、連続する出力電流パルスの複数の対を出力キャパシタに適用し、出力キャパシタを繰り返し充電するステップを含む。
【0023】
この方法の1つの実施形態は、さらに、(g)第1および第2の重なり合わないクロック位相をクロック信号から導出するステップと、(h)第1のクロック位相の間に、DC入力電圧によって、フライングキャパシタと出力キャパシタを充電するステップと、(i)第2のクロック位相の間に、フライングキャパシタから出力キャパシタに放電するステップを含む。
【0024】
添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態を以下にさらに詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る例示的なスイッチドキャパシタDC-DCコンバータと磁気インダクタンスアンテナとを備える、頭部に着用可能な聴覚装置の単純化された模式的なブロック図を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係る例示的なスイッチドキャパシタDC-DCコンバータのための第1および第2の例示的なチャージポンプ回路の単純化された模式的なブロック図を示す。
【
図3A】スイッチドキャパシタDC-DCコンバータの一般的に適用可能な電気モデルを示す。
【
図3B】複数のマルチセグメント化された半導体スイッチを含む例示的なチャージポンプ回路の損失抵抗R
eqのモデルを示す。
【
図4】本発明の種々の実施形態に係る例示的なスイッチドキャパシタ(SC)DC-DCコンバータのブロック図を示す。
【
図5】例示的なチャージポンプ回路の充電状態および放電状態および対応する入力電流パルスと出力電流パルスの単純化されたブロック図を示す。
【
図6】例示的なスイッチドキャパシタDC-DCコンバータのチャージポンプ回路の中を流れる出力充電電流パルスによって磁気インダクタンスアンテナに誘発されるノイズまたは外乱信号を模式的に示す。
【
図7】チャージポンプ回路の動作に関連する種々の信号波形と、出力電流パルスによって磁気インダクタンスアンテナ中で誘発されるノイズまたは外乱信号の抑制が、本発明の一実施形態によってどのように達成されるかを示す。
【
図8】チャージポンプ回路の動作に関連する種々の信号波形と、従来技術のSC DC-DCコンバータと、本発明の実施形態のSC DC-DCコンバータの出力充電電流パルスによって磁気インダクタンスアンテナ中で誘発される対応する電磁気ノイズ信号を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータと磁気インダクタンスアンテナとを備える、頭部に着用可能な聴覚装置(例えば、補聴器)の種々の例示的な実施形態を、添付の図面を参照しつつ記載する。当業者は、添付の図面が模式図であり、明確さのために単純化されており、したがって、単に本発明の理解に必須の詳細を示すものであり、一方、他の詳細は省略されていることを理解するだろう。同様の参照番号は、全体として同様の要素または構成要素を指す。したがって、同様の要素または構成要素は、それぞれの図面において、必ずしも詳細には記載されていないだろう。当業者は、特定の作用および/または工程が、特定の発生順序で記載され、または図示され得ることをさらに理解するだろうが、当業者は、順序に関するこのような特定が、実際に必要とされないことを理解するだろう。
【0027】
図1は、以下に記載する実施形態のいずれかに係るスイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100を備える、例示的な補聴器またはヘッドセット10の単純化された模式的なブロック図を示す。補聴器10は、ユーザの耳の中、またはユーザの耳に配置するための任意の種類の補聴器のハウジングスタイル、例えば、耳かけ型(BTE)、外耳道挿入型(ITC)、完全外耳道挿入型(CIC)、RIC型などを備えていてもよい。スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100のDC入力電圧入力V
inは、1つ以上の再充電可能な電池セルまたは通常の使い捨て空気亜鉛電池セル(V
DD)によって供給されてもよい。いずれの場合でも、電池電源は、正の電源端子19を介し、聴覚装置の回路に接続してもよい。当業者は、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100が、電池電源V
DDによって供給されるDC電圧レベルを、補聴器10の能動回路または回路ブロックのために、能動回路により良く適合させた(例えば、電力消費を下げる)、より高いDC電圧レベルまたはより低いDC電圧レベルにステップアップまたはステップダウンするように機能し得ることを理解するだろう。電池電源は、例えば、少なくとも1つの再充電可能なリチウムイオン電池セルを含んでいてもよく、したがって、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100にほぼ4.0Vの公称DC入力電圧V
inを供給してもよい。スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100は、この実施形態において、リチウムイオン電池セルの充電状態に依存して、受け取ったDC入力電圧を約2:1および/または3:1の係数でステップダウンし、約1.2VのDC出力電圧V
outを供給するような構成であってもよい。出力/平滑キャパシタC
outは、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100の出力に接続し、DC出力電圧V
outを供給し、平滑化する。スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100は、さらに、少なくとも1つのフライングキャパシタC
flyを備えており、このフライングキャパシタC
flyが、以下にさらに詳細に記載するように、コンバータ100のチャージポンプ回路(図示せず)およびスイッチアレイに接続する。出力/平滑キャパシタC
outの静電容量は、500nFより大きくてもよく、例えば、1~10μFであってもよく、一方、フライングキャパシタC
flyの静電容量は、フライングキャパシタが外部の構成要素である場合には、10nF~500nFであってもよい。出力/平滑キャパシタおよびフライングキャパシタは、両方とも、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100が聴覚装置の他の能動回路ブロックと共に形成される集積回路に対して外部にあってもよい。スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100の代替的な実施形態において、フライングキャパシタC
flyは、集積回路に集積されていてもよい。スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100によって供給されるDC出力電圧V
outは、補聴器10の特定の実施形態において、示される補聴器のクラスD出力増幅器113に直接的に電力を供給するために利用されてもよい。
【0028】
補聴器10は、さらに、補聴器10に入ってくる音に応答して第1のオーディオ信号を生成するような構成の少なくとも1つのマイクロフォンM1を備えていてもよい。第1のオーディオ信号は、入力チャンネル120、例えば、マイクロフォンの前置増幅器とアナログ-デジタルコンバータとを備える入力チャンネル120(ΣΔ1)で増幅/バッファリングされ、デジタル化され、デジタルマイクロフォン信号を、制御処理回路109の適切な入力ポートまたはチャンネルに与える。制御処理回路109は、ソフトウェアのプログラミング可能なDSPコアを備えていてもよく、一連の実行可能なプログラム命令またはコードの制御下、デジタルマイクロフォン信号に1つ以上の信号処理関数を適用するように構成されてもよい。1つ以上の信号処理関数は、好ましくは、適切に補償されたマイクロフォン信号が小型ラウドスピーカ119を介してユーザまたは患者に供給されるように、補聴器10のユーザの難聴に従って、デジタルマイクロフォン信号を処理するように構成される。これらの信号処理関数は、非線形増幅、ノイズリダクション、周波数応答整形などの関数の異なる処理パラメータを含んでいてもよい。したがって、1つ以上の信号処理関数の種々の処理パラメータは、オーディオロジストのオフィスでのユーザに対する事前の補聴器フィッティングセッションの間に決定され、DSPの不揮発性データメモリ空間にロードされてもよい。制御処理回路109は、マスター/システムクロックジェネレータ115によって供給されるマスタークロック信号によってクロックが供給され、クロック周波数は、2MHzより大きく、例えば、2~40MHzであってもよい。スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100は、制御処理回路109によって供給され、例えば、マスタークロック周波数の分割によって、おそらくマスター/システムクロックジェネレータ115から導出されるクロック信号117によって、クロックが供給されてもよい。したがって、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100のチャージポンプ回路は、例えば、以下に記載するクロック信号から適切な重なり合わないクロック位相を導出することによって、クロック信号117に従ってスイッチングされる。
【0029】
補聴器10は、さらに、無線通信チャンネルまたはリンクを介して無線データ信号を受信するための磁気インダクタンスアンテナ105を備えている。無線通信チャンネルは、本発明の補聴器10と、ユーザの反対の耳に、またはユーザの反対の耳の中に取り付けられた別の補聴器(図示せず)との間でデジタルデータ信号とデジタルオーディオ信号を交換することが可能な、両耳用補聴器システムの耳から耳への通信リンクの一部を形成していてもよい。磁気インダクタンスアンテナ105は、磁気インダクタンスアンテナ105のインダクタンス成分Lantおよび静電容量成分Cantによって形成されるLC時定数によって設定された、共振周波数に同調されており、すなわち、所定の共振周期を示している。インダクタンス成分Lantは、コイルまたはインダクタによって提供されてもよい。磁気インダクタンスアンテナ105は、当該特定の用途の要求に応じて、5~20MHzの共振周波数に同調されてもよい。磁気インダクタンスアンテナ105のQファクターは、寄生回路抵抗として(例えば、コイルLantの巻線の抵抗として)または別個の抵抗器として、インダクタンス成分Lantおよび/または静電容量成分Cantに対して直列または並列に配置された抵抗によって決定されてもよい。Qファクターは、例えば、10~50、例えば、16~32であってもよい。アンテナ信号中の帯域外の環境の電磁気ノイズを抑制するために、比較的大きなQファクターを有する磁気インダクタンスアンテナ105を設計することが一般的に望ましい。磁気インダクタンスアンテナ105は、通信リンクを介して受信した無線データ信号を復号するための、無線受信復号器104に連結している。無線データ信号は、マイクロフォンM1によって伝送される第1のオーディオ信号に対する代替的なオーディオ入力経路として制御処理回路109に連結するか、または補助的なオーディオ経路として、第2のオーディオ信号を含んでいてもよい。
【0030】
しかし、磁気インダクタンスアンテナ105は、動作中にスイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100によって発せられる電磁気スイッチングノイズによって影響を受けやすい。電磁気スイッチングノイズは、例えば、フライングキャパシタCflyおよびその関連するパッドおよび配線を介して流れる充電電流Ioutの出力電流パルスまたは充電電流パルスと、出力/平滑キャパシタCoutを介して流れる充電電流によって生じる。充電電流Ioutから磁気インダクタンスアンテナ105への電磁気スイッチングノイズのカップリングは、磁気カップリングの矢印108によって模式的に示される。磁気インダクタンスアンテナ105のノイズの影響の受けやすさは、チャージポンプ回路のスイッチング周波数と磁気インダクタンスアンテナ105の共振周波数または共振周期が比較的近接していることによって強まることが多い。DC-DCコンバータ100のスイッチング周波数は、典型的には、250kHz~4MHz、例えば、500kHz~2.0MHzの範囲内のいずれかにあればよく、DC-DCコンバータの電力消費を最小限にするのに最適であろう。磁気インダクタンスアンテナ105の共振周波数は、10MHz~50MHz、例えば、20MHzであってもよい。充電電流パルスの複数の対を含み、それぞれのパルスが大きなdI/dt比を有する出力電流または充電電流Ioutのパルス状の性質は、発せられるスイッチングノイズの周波数成分を、磁気インダクタンスアンテナ105の共振周波数範囲または共振周期全体に広げる。したがって、磁気インダクタンスアンテナ105で、所望な無線データ信号の受信と干渉し、妨害する。本発明は、以下にさらに詳細に記載されるように、チャージポンプ回路の出力電流パルスのそれぞれの対の個々の出力電流パルス間の相互遅延時間を調節することによって、磁気インダクタンスアンテナ105のアンテナ信号中で誘発されるスイッチングノイズのレベルを下げる。
【0031】
図2の一番上の部分は、本発明の第1の実施形態に係る、既に記載したスイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100の第1の例示的なチャージポンプ回路200の単純化された模式的なブロック図を示す。この例示的なスイッチドキャパシタDC-DCコンバータは、DC入力電圧V
inを、DC入力電圧の約半分のDC出力電圧V
outに変換するためのステップダウントポロジを有する。チャージポンプ回路200は、既に記載した内部または外部のフライングキャパシタC
flyと、出力/平滑キャパシタC
outと、スイッチアレイとを備えており、スイッチアレイは、第1の制御可能な半導体スイッチSW1と、第2の制御可能な半導体スイッチSW2と、第3の制御可能な半導体スイッチSW3と、第4の制御可能な半導体スイッチSW4とを含む。図に模式的に示すように、スイッチSW1およびSW2は、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100に適用される既に記載したクロック信号から導出される第1のクロック位相p1によって駆動し、スイッチSW3およびSW4は、当該クロック信号から導出される第2のクロック位相p2によって駆動する。第1のクロック位相p1および第2のクロック位相p2は、相補的であり、重なり合わない。チャージポンプ回路200に対するDC入力電圧V
inは、スイッチSW1の入力に印加され、DC出力電圧V
outは、出力/平滑キャパシタC
outに伝達される。チャージポンプ回路200の負荷(図示せず)は、出力/平滑キャパシタC
outを跨いで接続されてもよく、当業者は、後者が、状態
図200a、200bに示されるチャージポンプ回路の充電状態および放電状態の間、負荷にエネルギーを供給することを理解するだろう。状態
図200aにおいて、フライングキャパシタC
flyは、DC入力電圧から、またはDC入力電圧によって充電され、出力キャパシタC
outは、同様に、DC入力電圧から充電される。当業者は、小型であり、大きなオフ抵抗と小さなオン抵抗を有するMOSFETスイッチが、チャージポンプ回路200の数多くの用途において有利な特性を有するため、それぞれの制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4が、1個または数個の並列なMOSFET(例えば、NMOSトランジスタまたはPMOSトランジスタ、またはMOSFETの組み合わせ)を含んでいてもよいことを理解するだろう。
【0032】
チャージポンプ回路200のこのステップダウントポロジにおいて、SW1は、DC入力電圧と、フライングキャパシタの正の端子との間に接続される。SW2は、フライングキャパシタの負の端子と、DC出力電圧との間に接続される。代替的な1:2のステップアップの実施形態において、SW2は、フライングキャパシタの負の端子と、負のDC供給レール(例えば、GND)との間に接続される。SW3は、フライングキャパシタの負の端子と、負のDC供給レール(例えば、GND)との間に接続される。代替的な1:2のステップアップの実施形態において、SW3は、フライングキャパシタの負の端子と、DC入力電圧との間に接続される。SW4は、フライングキャパシタの正の端子と、DC出力電圧との間に接続される。チャージポンプ回路200の動作中に、第1のスイッチSW1および第2のスイッチSW2は、第1のクロック位相p1に従って、それぞれのオン状態とオフ状態を切り替え、第3のスイッチSW3および第4のスイッチSW4は、第2のクロック位相p2に従って、それぞれのオン状態とオフ状態を切り替える。したがって、スイッチアレイは、第1のクロック位相の中または間に、SW1およびSW2のオン抵抗を介し、DC入力電圧V
inからフライングキャパシタC
flyを充電するような構成である。SW1およびSW2のオン抵抗の組み合わせは、抵抗器2*R
SWによって模式的に表される。さらに、第1のクロック位相の間、スイッチSW3およびSW4は、オフであるか、または非導通状態であり、等価な模式的な回路
図200aが導かれる。図示されるように、フライングキャパシタC
flyと、出力キャパシタC
outは、DC入力電圧V
inとGNDとの間に実効的に直列に接続している。この様式で、出力キャパシタは、チャージポンプ回路200のDC出力電圧からの負荷電流がゼロである場合、定常状態の動作で第1のクロック位相と第2のクロック位相を周期的に切り替えることによって、出力電流パルスI
outによってDC入力電圧の約半分まで充電される。フライングキャパシタC
flyは、同様の入力電流パルスによって、SW1を介し、DC入力電圧V
inによって供給される入力電流I
inによって同時に充電される。スイッチアレイは、第2のクロック位相p2の間、導通状態であるスイッチSW3およびSW4のオン抵抗を介して流れる出力電流パルスI
outによるフライングキャパシタおよび出力キャパシタの並列接続に起因する電荷共有メカニズムを用い、フライングキャパシタC
flyから出力キャパシタC
outに放電するような構成である。第2のクロック位相の間、スイッチSW1およびSW2がオフであり、すなわち、または非導通状態であり、等価な模式的な回路
図200bが導かれる。図示されるように、フライングキャパシタC
flyと、出力キャパシタC
outは、実効的に並列に接続しており、DC入力電圧V
inから切断されている。しかし、このとき、出力電流I
outは、導通状態であるスイッチSW3およびSW4のオン抵抗を介して流れている。当業者は、制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4が、それぞれ、制御端子(図示せず)、例えばMOSFETのためのゲート端子を含んでいてもよく、これに対して第1のクロック位相p1または第2のクロック位相p2が適用され、当該制御可能な半導体スイッチをオン状態とオフ状態に選択的に切り替えることを理解するだろう。
【0033】
図2の下側部分は、本発明の第2の実施形態に係る、既に記載したスイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100の第1の例示的なチャージポンプ回路200-1の単純化された模式的なブロック図を示す。この実施形態のスイッチドキャパシタDC-DCコンバータ200-1は、DC入力電圧V
inを、DC入力電圧の約3分の1のDC出力電圧V
outに変換するような構成の3:1のステップダウントポロジを有する。このチャージポンプ回路200-1は、既に記載したポンプ回路200とは対照的に、2つの別個のフライングキャパシタ(第1のフライングキャパシタC
fly1および第2のフライングキャパシタC
fly2)を備えている。図示されるように、チャージポンプ回路200-1は、さらに、出力/平滑キャパシタC
outと、第1および第2の重なり合わないクロック位相p1、p2のそれぞれのクロック位相によって制御される合計7個の制御可能な半導体スイッチを含むスイッチアレイとを備えている。チャージポンプ回路200-1の動作中に、合計7個の制御可能な半導体スイッチを含むスイッチアレイは、第1のクロック位相の中または間に、アクティブなスイッチのオン抵抗を介し、DC入力電圧V
inから第1のフライングキャパシタC
fly1および第2のフライングキャパシタC
fly2を同時に充電するような構成である。さらに、第1のクロック位相の間、第2のクロック位相p2によって動作するスイッチは、オフであるか、または非導通状態であり、等価な模式的な回路
図200-1aが導かれる。図示されるように、第1および第2のフライングキャパシタと、出力キャパシタC
outは、DC入力電圧V
inおよびGNDまたは別の負の電源レールと実効的に直列に接続しており、その結果、出力電圧は、第1のチャージポンプ回路200に関連して上に述べた理由のために、ポンプ回路の定常状態の動作でDC入力電圧の約3分の1まで充電される。スイッチアレイは、第2のクロック位相p2の間、スイッチアレイのアクティブ/導通状態であるスイッチのそれぞれのオン抵抗を介し、第1および第2のフライングキャパシタおよび出力キャパシタの並列接続によって生じる電荷共有メカニズムを用い、第1および第2のフライングキャパシタから出力キャパシタC
outに放電するような構成である。第2のクロック位相の間、第1のクロック位相p1によって動作するスイッチがオフであるか、または非導通状態であり、一方、第2のクロック位相p2によって動作するスイッチがオンであるか、または導通状態であり、チャージポンプ回路200-1の等価な模式的な回路
図200-1bが導かれる。図示されるように、第1のフライングキャパシタC
fly1および第2のフライングキャパシタC
fly2と、出力キャパシタC
outは、実効的に並列に接続しており、DC入力電圧V
inから切断されている。
【0034】
図3Aは、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータの一般的に適用可能なモデル300を示し、このモデルは、本発明のスイッチドキャパシタDC-DCコンバータの特性のいくつかを強調するために以下に記載される。DC入力電圧V
inは、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータに入力電力または入力エネルギーを供給し、動作中に、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータは、DC出力電圧V
outを生成し、DC出力電圧V
outは、上述のスイッチドキャパシタDC-DCコンバータのトポロジに依存して、DC入力電圧より高くてもよく、またはDC入力電圧より低くてもよい。公称のDC入力電圧とDC出力電圧が、VCRによって示される特定の比率(例えば、1/3または1/2または2/3または2、または3または5など)によって関連付けられている場合、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータは、特に効果的である。したがって、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータのモデル300は、VCRによって設定される可変巻線比を有する理想的な変圧器302と、変圧器302の二次側巻線と直列に接続する等価な損失抵抗R
eqとを備えている。
【0035】
損失抵抗Reqは、2つの別個の抵抗要素を含む。
(1)第1および第2のクロック位相を駆動するクロック信号のクロック周波数で、1つ以上のフライングキャパシタのスイッチングに関連する等価な出力抵抗を表す、第1の抵抗要素。当業者は、この等価な出力抵抗が、クロック周波数の増加によって等価な出力抵抗が低下するように、クロック周波数に反比例することを理解するだろう。
(2)任意の特定のクロック位相でのアクティブな半導体スイッチのオン抵抗(例えば、既に記載した例示的な2:1のステップダウンチャージポンプ回路200の第1のクロック位相p1でのスイッチSW1およびSW2のオン抵抗)を合わせたものを表す、第2の抵抗要素。
【0036】
後者の抵抗要素(2)は、主に、当該半導体スイッチのサイズ、半導体プロセス技術、印加される制御電圧のレベルによって決定される。しかし、本発明の特定の実施形態において、チャージポンプ回路のスイッチマトリックスの制御可能な半導体スイッチのそれぞれ、または少なくとも一部の集合が、適切な制御デバイスおよびメカニズムが、対応する半導体スイッチのアクティブ化/オンにすることと関連する時間遅延で、個々に制御可能なスイッチセグメントの異なる一部の集合をアクティブ化し得るように、2つ以上の個々に制御可能なスイッチセグメントによって作られる。
【0037】
図3Bのグラフ350は、2つのセグメント半導体スイッチの損失抵抗R
eqが、個々に制御可能な2つの別個の抵抗要素をどのように含むかを示す。y軸は、任意の対数目盛りでの損失抵抗R
eqを示し、x軸は、対数目盛りでのクロック信号のクロック周波数F
Sを示す。クロック周波数F
Sは、第1および第2のクロック位相によって設定されるフライングキャパシタのスイッチング周波数に等しい。グラフ350の損失抵抗R
eqのプロット356および364は、2つのセグメントスイッチの抵抗を示す。したがって、本発明の実施形態の特定の制御可能な半導体スイッチのオン抵抗および等価なコンダクタンスは、2つのスイッチセグメントのそれぞれの制御端子(例えば、ゲート端子)に適用される一連の適切なセグメント位相またはスイッチセグメント制御信号を介し、1つのスイッチセグメントまたは両方のスイッチセグメントをアクティブ化することによって、2段階で制御可能である。プロット358は、半導体スイッチの両方のスイッチセグメントがアクティブ化されるか、または導通状態になったときのクロック周波数F
Sに対する損失抵抗R
eqの漸近的近似を示す。漸近的なプロット358は、2つの本質的に直線の部分を含んでおり、第1のプロット部分360は、損失抵抗R
eqを示し、損失抵抗R
eqは、フライングキャパシタのスイッチングに関連する等価な出力抵抗を表す第1の抵抗要素によって支配される。予想されるように、損失抵抗R
eqは、第1のプロット部分360において、クロック周波数F
Sに反比例する。第2のプロット部分364は、半導体スイッチの2つの並列に接続したスイッチセグメントのオン抵抗の組み合わせを表す第2の抵抗要素によって支配される場合の損失抵抗R
eqの漸近線を示す。予想されるように、損失抵抗R
eqは、第1の抵抗要素の抵抗が減るため、部分364に沿って、クロック周波数F
Sに依存せずに実質的に一定である。最後に、折れ点362は、損失抵抗R
eqの第1の抵抗要素と第2の抵抗要素が本質的に等しい場合のクロック周波数F
Sを示す。損失抵抗のプロット356は、半導体スイッチの1個の導通状態のスイッチセグメントの影響を模式的に示す。予想されるように、半導体スイッチの損失抵抗R
eqは、損失抵抗R
eqの第2の抵抗要素の影響が支配的になるため、大きなクロック周波数またはスイッチング周波数F
Sでは、1個だけの導通状態のスイッチセグメントでは漸進的に増加する。さらに、半導体スイッチの損失抵抗R
eqは、非常に小さなクロック周波数またはスイッチング周波数F
Sでは、損失抵抗R
eqの第1の抵抗要素の影響が支配的になるため、大部分はアクティブなスイッチセグメントの数には依存しないままである。
【0038】
図4は、本発明の種々の例示的な実施形態に係る、既に記載したスイッチドキャパシタ(SC)DC-DCコンバータ100の単純化された模式的なブロック図である。SC DC-DCコンバータ100は、例えば、図示されているフライングキャパシタC
fly1およびC
fly2のうち、1個だけを使用することによって、DC入力電圧V
inを、DC入力電圧の約半分のDC出力電圧V
outに変換(すなわち、2:1のステップダウン)し、したがって、
図1に示される実施形態に達するような構成であってもよい。当業者は、チャージポンプ回路200に対する、そしておそらくはゲートドライバ410のためのDC供給電圧は、後者の実施形態において、より高いDC出力電圧V
outから導出され、チャージポンプ回路200の制御可能な半導体スイッチの制御端子のために十分に大きな電圧を与えてもよいことを理解するだろう。当業者は、図面が、チャージポンプ回路200に入力される4個だけの別個の第1および第2の相補的で重なり合わないクロック位相を示していることを理解するだろう。4個の別個の第1および第2の相補的で重なり合わないクロック位相は、
図1~3を参照しつつ、上に記載した2:1のステップダウンSCコンバータの4個のセグメント化された制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4を駆動するための適した構造である。しかし、代替的な実施形態は、
図2のチャージポンプ回路200-1の記載と合わせて既に示したように、さらなる制御可能な半導体スイッチを駆動するために、さらなるクロック位相信号を含んでいてもよい。両方の場合において、4個、7個またはもっと多数の制御可能な半導体スイッチは、チャージポンプ回路が、代替的に、第1のクロック位相の間に、第1および第2のフライングキャパシタおよび出力キャパシタC
outの少なくとも1つを、DC入力電圧によって充電し、第2のクロック位相の間に、フライングキャパシタから出力キャパシタC
outへと放電するように、第1および第2の重なり合わないクロック位相によって駆動されるスイッチアレイを形成する。したがって、出力キャパシタを充電し、DC出力電圧を増加させる。当業者は、さらに、いくつかの実施形態のチャージポンプ回路100が、トポロジスイッチングスキームと組み合わせて、2つ以上の異なるコンバータのトポロジを合わせた、いわゆる「ギアボックス」を含んでいてもよいことを理解するだろう。チャージポンプ回路100のこのような複数のトポロジの実施形態は、2:1のステップダウンSCコンバータと、3:1のステップダウンSCコンバータを含んでいてもよく、ここで、デジタルスイッチアレイコントローラは、DC入力電圧V
inとDC出力電圧V
outとの間の電圧差に応じて、2:1のステップダウンSCコンバータと3:1のステップダウンSCコンバータを選択するような構成である。この特徴は、例えば、SC DC-DCコンバータ100にDC入力電圧を供給する、既に記載した再充電可能な電池電源の異なる充電状態によって生じるさまざまなレベルのDC入力電圧V
inで、チャージポンプ回路200の電力変換効率を最適化するのに有利であろう。
【0039】
SC DC-DCコンバータ100は、出力電圧レギュレータ401を備えている。以下に記載されるデジタルスイッチアレイコントローラを介し、第1および第2の重なり合わないクロック位相p1、p2が、出力電圧レギュレータ401によって作られるクロック信号sw_clkから導出されるため、出力電圧レギュレータ401は、チャージポンプ回路200のクロック周波数を決定する。出力電圧レギュレータ401は、固定されたクロック周波数で、または調節可能なクロック周波数でクロック信号を生成するような構成のクロックジェネレータを備えていてもよい。固定されたクロック周波数は、本発明の特定の実施形態において、磁気インダクタンスアンテナの共振/同調周波数の約2倍に対応していてもよい。クロック信号の周波数は、SC DC-DCコンバータ100の代替的な実施形態において、クロック信号の周波数が、磁気インダクタンスアンテナの公称の同調周波数または測定された同調周波数に適合し得るか、または較正され得るように調節可能またはプログラミング可能であってもよい。したがって、例えば、磁気インダクタンスアンテナのインダクタンス成分Lantおよび静電容量成分Cantの部品公差によって生じる磁気インダクタンスアンテナの共振/同調周波数の製造上の変動を打ち消すための較正機構が提供される。
【0040】
レギュレータ401は、DC出力電圧から延び、フィードバック配線または導体425を介して出力電圧レギュレータ401の第1の入力(Sense)に戻るフィードバックループを介して、DC出力電圧を制御するために、クロック信号の周波数を、多くは特定の上限および下限の範囲内で調節してもよい。出力電圧レギュレータ401は、さらに、所望なDC出力電圧または目標となるDC出力電圧を示すDC基準電圧Vrefを受信するためのDC基準電圧入力(Ref)を含む。フィードバックループは、第1および第2の重なり合わないクロック位相p1、p2を介してチャージポンプ回路100に適用されるクロック周波数またはスイッチング周波数を調節することによって、Ref入力でのDC基準電圧Vrefと、実際のDC出力電圧との電圧差または変動を最小限にするように動作可能である。
【0041】
デジタルスイッチアレイコントローラは、例えば、デジタルステートマシンとして実装される、4個のセグメント化された制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4のそれぞれのスイッチセグメントを駆動するためのそれぞれの一連の制御信号を生成するような構成の、組み合わせかつ順序的なデジタルロジックを含んでいてもよい。デジタルスイッチアレイコントローラは、出力電圧レギュレータ401によって供給されるクロック信号sw_clkから既に記載した第1および第2の重なり合わないクロック信号を導出するような構成の重なり合わないクロックジェネレータ403を含む。デジタルスイッチアレイコントローラの第1のスイッチエンコーダ405aは、
図7を参照しつつ、以下にさらに詳細に記載されるように、第1のクロック位相p1と、選択バス404を介して供給されるスイッチ選択データを利用し、それぞれ、第1および第2の制御可能な半導体スイッチSW1、SW2の第1および第2の個々に制御可能なスイッチセグメントのための第1および第2のセグメント位相を生成する。同様に、第2のスイッチエンコーダ405bは、第2のクロック位相p2と、選択バス404を介して供給されるスイッチ選択データを利用し、それぞれ、第3および第4の制御可能な半導体スイッチSW3、SW4の第1および第2の個々に制御可能なスイッチセグメントのための第1および第2のセグメント位相を生成する。デジタルスイッチアレイコントローラは、簡便のために、別個の回路として示されるゲートドライバブロック410を備えている。ゲートドライバブロック410は、第1のクロック位相p1に従って、第1および第2の制御可能な半導体スイッチSW1、SW2それぞれの個々に制御可能なスイッチセグメントのそれぞれ1つのために、必要な第1および第2の(しかし一般的にはn個の)セグメント位相またはセグメント制御信号409aを生成し、同様に、第2のクロック位相p2に従って、第3および第4の制御可能な半導体スイッチSW3、SW4それぞれの第1および第2の個々に制御可能なスイッチセグメントのそれぞれ1つのために、n個のスイッチセグメント制御信号409bを生成するような構成である。ゲートドライバブロック410は、例えば、個々に制御可能なスイッチセグメントのそれぞれの制御入力によって示される負荷を駆動するために十分な駆動電圧および駆動電流を供給するために、複数のデジタルバッファ、複数のレベルシフタまたは電圧トランスレータを備えていてもよい。SC DC-DCコンバータ100は、チャージポンプ回路200、200-1の制御可能な半導体スイッチのセグメント化されていない態様およびセグメント化された態様のために異なるスイッチングスキームを与える、異なる設計の出力電圧レギュレータ401を備えていてもよい。出力電圧レギュレータの異なる設計および機能は、本出願人の同時係属中の欧州特許出願第16197041.3号に開示されており、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
図5の一番上の部分は、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100の例示的なチャージポンプ回路200の既に記載した充電状態と放電状態を再び示している。
図5の一番下の部分は、例示的なチャージポンプ回路200の動作に関連する信号波形のグラフ400を示す。一番上の波形は、クロック信号clkを示し、一方、それより下側の波形p1およびp2は、クロック信号clkから導出され、それぞれ、第1および第2の制御可能な半導体スイッチSW1、SW2および第3および第4の制御可能な半導体スイッチSW3およびSW4を駆動する、第1のクロック位相p1および第2のクロック位相p2の信号波形を示す。第1のクロック位相p1と第2のクロック位相p2は、重なり合わず、相補的であり、この重なり合わない特性は、第1のクロック位相p1および第2のクロック位相p2の状態遷移の間に小さなデッドタイムt
dが存在することによって生じる。I
out波形は、フライングキャパシタC
flyおよび出力キャパシタを介して流れる出力充電電流を示す。当業者は、出力充電電流I
outが、それぞれが大きなスルーレートまたはdI/dt値を有する複数の出力電流パルスを含み、チャージポンプ回路から既に記載した広いスペクトルの電磁気ノイズを発することを理解するだろう。充電電流I
outの充電電流パルスの反復周波数は、1つの出力充電電流パルスが、第1および第2のクロック位相p1およびp2それぞれのオン状態の遷移で生成するため、クロック信号clkの周波数の2倍である。一方、入力充電電流I
inの波形は、DC入力電圧からフライングキャパシタC
flyに流れる入力電流が、クロック信号と同じ周波数を有することを示し、このことは、チャージポンプ回路200の放電状態の間にDC入力電圧から、SW1のオフ状態によって、フライングキャパシタC
flyが切断されるという事実の結果である。しかし、当業者は、充電電流I
inも、それぞれが大きなスルーレートまたはdI/dt値を有する複数の入力充電電流パルスを含み、このことが、これらの入力充電電流パルスが、磁気インダクタンスアンテナ105中の信号の別個の電磁気外乱源を表すことを意味していることを理解するだろう。出力電流パルスの第1および第2の連続する出力電流パルス(例えば、p1-1とp1-2)の間の相互時間遅延は、好ましくは、以下にさらに詳細に記載されるように、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータのスイッチング動作によって生じる磁気インダクタンスアンテナ中の電磁ノイズによる外乱の望ましい抑制を達成するために、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の半分に実質的に等しいように設定される。同じ相互時間遅延が、第3および第4の連続する出力電流パルスp2-1、p2-2の間、および同様に出力電流パルスのその後の全ての対または組にも設定される。
【0042】
図6の一番上の部分は、グラフ400に示される例示的なチャージポンプ回路200、200-1の動作に関連する信号波形を示す。アンテナ信号波形500は、充電電流I
outの出力充電電流パルスによって引き起こされ、したがって、所望な無線データ信号に重なる、磁気インダクタンスアンテナ105中で誘発される電磁気ノイズ信号または外乱(すなわち、アンテナノイズ信号)を示す。このシミュレーションでは、充電電流パルスの反復周波数は、磁気インダクタンスアンテナ105の同調周波数より顕著に小さい(例えば、10倍小さい)。それぞれの出力充電電流パルスの開始は、スイッチ位相p1、p2のいずれかのオン遷移に応じており、アンテナノイズ信号の中の長時間にわたって減衰していく正弦曲線の共鳴パルス501a~501d(すなわち、スイッチングノイズパルス)を生成する。スイッチングノイズパルスは、アンテナの共振周波数で周期的に振動する。スイッチングノイズパルスの長時間にわたって共鳴する大きな振幅は、磁気インダクタンスアンテナ105の高いQ値によって生じる。一対の連続的な出力充電電流パルス間のパルス間時間遅延を、本発明の一実施形態に係る磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の約半分まで低減することによって、磁気インダクタンスアンテナの電磁ノイズによる外乱の望ましい抑制が達成される。しかし、特定の用途において、このパルス間時間遅延を必要とされる比較的短い時間まで低減することは現実的ではないだろう。なぜなら、そのようなパルス間時間遅延は、対応してスイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100の高いスイッチング周波数(例えば、磁気インダクタンスアンテナの10MHzの同調周波数について、10MHzのスイッチング周波数)を伴うからである。スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100のこのような高いスイッチング周波数によって、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータのいくつかの実施形態において、受け入れられない電力消費が生じる場合がある。
【0043】
図7の一番上の部分は、本発明の第2の実施形態のスイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100に係る例示的なチャージポンプ回路200、200-1の動作に関連する信号波形を示す。この実施形態において、チャージポンプ回路を駆動する、グラフ600の一番上の波形のクロック信号(clk)の周波数は、典型的には、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の半分よりもかなり小さい(例えば、5~20倍小さい)。クロック信号の周波数は、250kHz~4MHzであってもよい。チャージポンプ回路の電力消費は、比較的低い周波数のクロック信号clkを用いることによって減少する。クロック波形p11およびp21は、クロック信号clkから導出される第1および第2の重なり合わないクロック位相である。位相間の遅延時間t
dは、正および負のDC供給電圧の間のクロスバー電流の生成を防ぐために、確実にクロック位相が重なり合わないようにする。既に記載した制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4は、それぞれの半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4が、最初に、第1のセグメントがオンになり、次いで、十分に制御された時間遅延を有し、第2のスイッチがさらにオンになることによって、段階的な様式でオンになるように、それぞれ、それぞれのセグメント位相によって制御される2つの別個の個々に制御可能な第1および第2のスイッチセグメントに分割される。この第1および第2のスイッチセグメントを遅延してオンすること、またはアクティブ化することは、波形のグラフ600に示されており、ここで、p21、p22は、それぞれ、第2のクロック位相から導出される第3および第4のセグメント位相を示し、第3の半導体スイッチSW3および第4の半導体スイッチSW4の第1および第2のスイッチセグメントのそれぞれの制御端子に適用される。充電電流I
outの波形によって示されるように、連続する出力電流パルスの複数の対p1-1、p1-2;p2-1、p2-2;p3-1、p3-2などは、クロック信号clkに従って動作中にチャージポンプ回路によって生成される。第1の対の第1の出力電流パルスp1-1は、SW3およびSW4の第1のスイッチセグメントをオンにしたことに応じて生成される。SW3およびSW4の第1のスイッチセグメントは、オン状態の遷移602(すなわち、第3のセグメント位相p21の上昇縁部)でオンにされ、この作用は、既に記載したように、チャージポンプ回路のSW3およびSW4の第1のスイッチセグメントのそれぞれのオン抵抗を介し、フライングキャパシタおよび出力キャパシタを部分的に充電する。SW3およびSW4の第2のスイッチセグメントは、第4のセグメント位相p21のオン状態の遷移604でオンにされる。第4のセグメント位相p22のオン状態の遷移604は、第3のセグメント位相602の開始に対し、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の約半分である相互パルス遅延t
gswだけ遅延している。すなわち、相互パルス遅延t
gsw、またはパルス間時間遅延は、磁気インダクタンスアンテナの10MHzの同調周波数について、約50nsであり、他の場合も同様である。第1および第2のスイッチセグメントが並列に並んでいる場合、第4のセグメント位相p22のオン状態の遷移604により、SW3およびSW4の第2のスイッチセグメントが、それぞれのオン状態に切り替わり、それぞれのスイッチ抵抗が減少する。この作用によって、出力電流パルスの第2の出力電流パルスp2-1が生成する。第2の出力電流パルスp2-1は、出力キャパシタにさらなる電荷を供給し、電荷と電圧が上昇する。
【0044】
その後の一連の出力電流パルスの第1の出力電流パルスp2-1および第2の出力電流パルスp2-2は、第1のセグメント位相p11のオン状態の遷移によって制御され、SW1およびSW2の第1のスイッチセグメントをオンにし、第2のセグメント位相p12の遅延したオン状態の遷移によって制御され、SW1およびSW2の第2のスイッチセグメントを遅れてオンにすることに対応する様式で生成する。この作用は、既に記載したように、チャージポンプ回路のSW3およびSW4の第1のスイッチセグメントのそれぞれのオン抵抗を介し、フライングキャパシタおよび出力キャパシタを部分的に充電する。SW3およびSW4の第2のスイッチセグメントは、第4のセグメント位相p21のオン状態の遷移604でオンにされる。当業者は、第2のセグメント位相p12のオン状態の遷移が、第1のセグメント位相の開始に対し、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の約半分である相互パルス遅延tgswだけ遅延していることを理解するだろう。その後、チャージポンプ回路の動作を繰り返し、連続する出力電流パルスの複数の対p1-1、p1-2;p2-1,p2-2;p3-1、p3-2などを生成する。したがって、当業者は、第1および第2の連続する出力電流パルスが、本発明のこの実施形態において、出力電流パルスまたは充電電流パルスの基本周波数がクロック信号の周波数の2倍になるように、第1および第2のそれぞれのクロック位相の間に生成することを理解するだろう。
【0045】
上記した理由のために、第1のスイッチングノイズパルスまたは外乱MI1は、第1の出力充電電流パルスp1-1によって、磁気インダクタンスアンテナ中で誘発され、第2のスイッチングノイズパルスまたは外乱MI2は、第2の出力充電電流パルスp1-2によって、磁気インダクタンスアンテナ中で誘発される。第1および第2の連続する出力電流パルスの間の相互パルス遅延tgswは、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の約半分になるように選択され、このことは、スイッチングノイズパルスMI1およびMI2が、約180°ずれた位相を有するため、信号の重ね合わせによって少なくとも部分的に打ち消され、磁気インダクタンスアンテナの電磁ノイズによる外乱の望ましい抑制が達成される。このメカニズムは、グラフ700に示されており、磁気インダクタンスアンテナ105中で誘発された結果として生じるスイッチングノイズパルス702の合計電圧を示す。結果として生じるスイッチングノイズパルス702は、単に、SW3およびSW4の第1のスイッチセグメントが、オン状態の遷移602でオンにされたときの小さな一時的なパルスと、セグメント位相p11、p21のその後の遷移での小さな一時的なノイズ(図示せず)を含む。
【0046】
当業者は、磁気インダクタンスアンテナ中のスイッチングノイズパルスの最も効果的な抑制が、第1および第2の連続する出力充電電流パルスp1-1、p1-2などが、ピーク電流値を含め、実質的に同一の波形を有する(すなわち、第1および第2の連続する出力電流パルスp1-1、p1-2が、本質的に互いに遅延した複製である)ときに起こり得ることを理解するだろう。このことは、既に記載した制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4それぞれの第1および第2のスイッチセグメントのオン抵抗を適切にスケーリングすることによって達成されるだろう。いくつかの実施形態において、第1および第2のスイッチセグメントのオン抵抗は、実質的に同一であってもよく、一方、第1および第2のスイッチセグメントのオン抵抗は、他の実施形態において、異なっていてもよい。第1および第2のスイッチセグメントのオン抵抗の最適な、または少なくともほぼ最適なスケーリングは、実験的に決定されてもよく、ここで、磁気インダクタンスアンテナ中のスイッチングノイズパルスのレベルは、直接的に測定されるか、または頭部に着用可能な聴覚装置およびスイッチドキャパシタDC-DCコンバータの動作中に測定されるか、またはモニタリングされ、一方、制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4の第1および第2のスイッチセグメントのオン抵抗は、磁気インダクタンスアンテナ中のスイッチングノイズ信号の最小レベルが達成されるまで、適切な様式で変動させる。この手順は、連続する出力電流パルスまたは充電電流パルスに関連する磁気ノイズ発生と、磁気インダクタンスアンテナ中で誘発されるスイッチングノイズパルスとの間の関係を見出すために、直接的な手法をとる。物理的なカップリング機構は、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータおよび磁気インダクタンスアンテナの、電磁場、物理的な寸法、関連する導電性の経路および要素の向きの相互作用のために、理論的に概算または計算することが困難な場合がある。
【0047】
当業者は、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータが、デジタルスイッチアレイコントローラを備えていてもよく、デジタルスイッチアレイコントローラが、例えば、デジタルステートマシンとして実装される、チャージポンプ回路の4個のセグメント化された制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4のそれぞれのスイッチセグメントを駆動するために、上述の第1および第2のクロック位相、スイッチセグメント位相および他の制御信号を適切なタイミングで生成するような構成の、組み合わせかつ順序的なデジタルロジックを含むことを理解するだろう。
【0048】
スイッチドキャパシタDC-DCコンバータの他の実施形態において、第1および第2の連続する出力電流パルスの間の相互パルス遅延tgswは、磁気インダクタンスアンテナの共振周期の約1.5倍、2.5倍または3.5倍などに設定してもよく、それでも磁気インダクタンスアンテナの電磁ノイズによる外乱の顕著な抑制を達成する。
【0049】
図8は、スイッチドキャパシタDC-DCコンバータ100の第3の実施形態に係る例示的なチャージポンプ回路200、200-1の動作に関連する種々の信号波形を含むグラフ800を示す。このSC DC-DCコンバータの出力電圧レギュレータは、いわゆるパルス-スキッピング機構を適用し、コンバータのDC出力電圧の制御を達成し、このことは、クロック信号の連続するクロックパルス間のタイムスパンが、負荷に依存して変わることを意味している。出力電圧レギュレータは、
図4に模式的に示されるように、DC出力電圧から延び、レギュレータの制御入力に戻るフィードバックループを備えていてもよい。簡単に記載すると、出力電圧レギュレータは、電圧制御を目的としてパルススキッピング機構を適用するような構成であり、コンバータのDC出力電圧Voutでさらなる充電が必要な場合、例えば、DC出力電圧が目標とする電圧Vrefより下に低下したとき、1個のクロックパルスを伝送する、すなわち、クロック信号を低から高へ遷移させた後、高から低へ遷移させるように、チャージポンプ回路を制御する。しかし、本発明によれば、クロックパルスの幅は、K*t
gswである(ここで、Kは、正の奇数である[1,3,5…])。グラフ800に示されるクロック信号の波形clkのそれぞれのクロックパルスの幅は、好ましくは、既に記載した公差の範囲内で、磁気インダクタンスアンテナの所定の共振周期の約半分である相互パルス遅延t
gswにほぼ等しくなるように設定される。第1および第2の重なり合わないクロック位相p1、p2は、上述の対応する様式で、クロック信号clkから導出される。位相間の遅延時間t
dは、上述の第1および第2のクロック位相が確実に重なり合わないようにする。この実施形態は、好ましくは、チャージポンプ回路の既に記載した制御可能な半導体スイッチSW1、SW2、SW3およびSW4それぞれについて、セグメント化されていないスイッチを使用する。したがって、第1および第2の半導体スイッチSW1、SW2は、第1のクロック位相p1によって駆動し、第3および第4の半導体スイッチSW3、SW4は、第2のクロック位相p2によって駆動する。あるいはこの逆である。充電電流I
outの波形によって示されるように、連続する出力充電電流パルスの対p1-1、p1-2;p2-1、p2-2などは、本発明の既に記載した実施形態と同様に、SC DC-DCコンバータの動作中に、時間経過に伴って繰り返し生成される。第1の出力電流パルスまたは充電電流パルスp1-1は、第2のクロック位相p2の上昇縁部に応答して生成され、一方、そのすぐ後(すなわち、連続して)、第2の出力電流パルスp1-2が、第1のクロック位相p1の上昇縁部に応答して生成され、その後も第1および第2のクロック位相p1、p2のそれぞれの上昇縁部、または開始時に、同様のことが行われる。それぞれのパルス対(例えば、出力電流パルスp1-1およびp1-2によって形成されるパルス対)の第1の出力電流パルスと第2の出力電流パルスとの間の相互パルス遅延は、t
gswに実質的に等しくなるように設定され、磁気インダクタンスアンテナ中に誘発される既に記載した電磁気ノイズ信号の有利な抑制をもたらす。この電磁気ノイズ信号の抑制または減衰は、第1および第2の出力充電電流パルスに関連するアンテナノイズ信号の対の間の弱め合う干渉によって生じる。
【0050】
最適な相互パルス遅延を選択することによって得られる、磁気インダクタンスアンテナ中で誘発される電磁気ノイズ信号の抑制を、グラフ802に示す。下のグラフ812は、±50%で列挙した公差を参照しつつ既に記載したように、最適な相互パルス遅延には満たなくても、磁気インダクタンスアンテナ中で誘発される電磁気ノイズ信号のかなりの抑制が可能であることを示す。
【0051】
グラフ802の磁気インダクタンスアンテナ中で誘発されるスイッチングノイズパルス805(実線)は、磁気インダクタンスアンテナのRLCモデルの電気回路シミュレーションを用いてシミュレーションしたものである。磁気インダクタンスアンテナの電気RLCモデルは、以下の値を有する。
Lant=4μH
Cant=63.3pF
等価抵抗(Rant)=8kΩ
【0052】
したがって、磁気インダクタンスアンテナは、10MHzの共振周波数を有し、Qファクター=32である。アンテナの上述のRLC回路モデルの中に、SC DC-DCコンバータから流れ出る、すなわち、出力キャパシタを充電する、スケーリングした態様の充電電流Ioutを注入し、充電電流Ioutとアンテナとの間の任意ではあるが十分に規定された磁気カップリングを模倣することによって、電気的なシミュレーションを行う。スイッチングノイズパルス805は、このSC DC-DCコンバータの連続する出力充電電流パルスp1-1、p1-2によって誘発される電磁気ノイズ電圧を示し、ここで、相互パルス遅延tgswは、磁気インダクタンスアンテナの共振周期の半分に対応する50nsに設定される。スイッチングノイズパルス810(点線)は、対応する様式で作られるが、アンテナ共振周期の半分が、最適値の50nsから約+70%ずれた約85nsである。スイッチングノイズパルス810のピークの振幅およびエネルギーは、明らかに、スイッチングノイズパルス805の振幅およびエネルギーより両方とも顕著に大きい。
【0053】
グラフ812のスイッチングノイズパルス815は、50nsの相互パルス遅延tgswが、実際の磁気インダクタンスアンテナの共振周期の半分と合っていないときの対応する電磁気ノイズ電圧を示す。スイッチングノイズパルス815は、相互パルス遅延tgswが上述の最適な時間遅延から25%ずれるように、磁気インダクタンスアンテナの共振周期の半分を62.5nsに設定することによって得られる。グラフ802のスイッチングノイズパルス805を、グラフ812のスイッチングノイズパルス815と比較することによって、後者の相互パルス遅延が最適値に満たない値だと、最適値と比較して、電磁気ノイズ電圧の抑制に顕著な悪化が生じることが容易に明らかである。一方、スイッチングノイズパルス815を、以前のグラフ800で作成したスイッチングノイズパルス810(点線)と比較することによって、62.5nsの最適値に満たない相互パルス遅延値であっても、磁気インダクタンスアンテナ中で誘発される電磁気ノイズ電圧がある程度抑制されることが容易に明らかである。