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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20220620BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018056375
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019169614
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(74)【代理人】
【識別番号】100194467
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 健文
(72)【発明者】
【氏名】田村 忍
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-184349(JP,A)
【文献】米国特許第05005640(US,A)
【文献】特開2012-222333(JP,A)
【文献】特開2015-153799(JP,A)
【文献】特表2005-524814(JP,A)
【文献】特開2009-090286(JP,A)
【文献】特開2012-060040(JP,A)
【文献】特開2014-220452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂壁、底壁および周壁からなるとともに一定の長さおよび幅を有し、かつ頂壁および底壁のうちいずれか一方が、外面に発熱体が取り付けられる発熱体取付壁となっている扁平状ケーシングを備えており、ケーシング内に、発熱体取付壁側に位置する第1冷却液通路と、これとは反対側に位置する第2冷却液通路とが、仕切壁を介して上下方向に並ぶように積層状に形成され、ケーシングの長手方向の一端側に、第1冷却液通路に通じかつ第1冷却液通路内から冷却液を排出する冷却液出口、および第2冷却液通路に通じかつ第2冷却液通路内に冷却液を供給する冷却液入口が形成され、ケーシングの長手方向の他端側に両冷却液通路を通じさせる連通部が形成され、第1冷却液通路内に、発熱体取付壁の外面に取り付けられる発熱体から発せられる熱を受けて第1冷却液通路内を流れる冷却液に放熱する放熱具が設けられている冷却装置であって、
冷却液入口および冷却液出口の両者が、ケーシングの上面および下面のうちいずれか一方に開口するように形成され、連通部が仕切壁に形成され、放熱具が、第1冷却液通路の長手方向両端寄りの一定長さ部分を除いた部分に設けられており、放熱具が、長手方向を第1冷却液通路の長手方向に向けるとともに幅方向を上下方向に向けた状態で第1冷却液通路の幅方向に間隔をおいて配置され、かつ一方の側縁部が仕切壁に接合されるとともに他方の側縁部が発熱体取付壁に接合されている複数の帯板状プレートフィンを備えており、放熱具の隣り合うプレートフィン間に分割通路が形成され
仕切壁の連通部が、仕切壁に形成されかつ長手方向をケーシングの幅方向に向けるとともに幅方向をケーシングの長手方向に向けた貫通穴からなり、放熱具のプレートフィンの冷却液入口および冷却液出口側とは反対側の端部が、連通部の幅方向の範囲内に位置し、
放熱具の全プレートフィンの隣り合うものどうしが、連結部を介して上下交互に一体に連結されており、放熱具全体がコルゲート状となっている冷却装置。
【請求項2】
ケーシングの第2冷却液通路内に、ケーシングの長手方向に延び、かつ頂壁および底壁のうち発熱体取付壁とならない壁と仕切壁との間の間隔を維持する複数のスペーサが、ケーシングの幅方向に間隔をおいて設けられており、スペーサの長さが放熱具のプレートフィンの長さより短くなっているとともに、平面から見てスペーサが放熱具の範囲内に位置しており、隣り合うスペーサ間およびケーシングの幅方向両端に位置するスペーサとケーシングの幅方向の両側壁との間に、放熱具の複数の分割通路が位置している請求項に記載の冷却装置。
【請求項3】
仕切壁に、第1冷却液通路における隣り合うプレートフィン間の分割通路よりも下流側の部分を第2冷却液通路に通じさせ、かつ冷却液入口を通って第2冷却液通路内に供給された冷却液の一部を、連通部および第1冷却液通路を通ることなく第1冷却液通路における分割通路よりも下流側の部分に直接流入させる連通穴が形成されている請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
ケーシングが、頂壁を形成する頂壁形成部および周壁の上部を形成する周壁形成部からなる上構成部材と、底壁を形成する底壁形成部および周壁の下部を形成する周壁形成部からなる下構成部材と、仕切壁を形成する中間板とからなり、中間板が上下両構成部材の周壁形成部に接合されている請求項1~のうちのいずれかに記載の冷却装置。
【請求項5】
ケーシングの頂壁が発熱体取付壁となり、上構成部材と中間板との間に第1冷却液通路が形成されるとともに下構成部材と中間板との間に第2冷却液通路が形成され、ケーシングの上構成部材の前記一端寄りの部分に一定長さを有する幅狭部が設けられ、上構成部材の頂壁形成部における当該幅狭部に存在する部分に、ケーシング上面に開口した冷却液出口が形成され、中間板における前記幅狭部に対してケーシングの幅方向に並んだ部分に、上面が上方に露出させられた上側被露出部が設けられ、中間板の上側被露出部に、ケーシング上面に開口した冷却液入口が、冷却液出口に対してケーシングの幅方向に並ぶように形成されている請求項記載の冷却装置。
【請求項6】
ケーシングの頂壁が発熱体取付壁となり、上構成部材と中間板との間に第1冷却液通路が形成されるとともに下構成部材と中間板との間に第2冷却液通路が形成され、ケーシングの下構成部材の前記一端寄りの部分に一定の長さを有する幅狭部が設けられ、下構成部材の底壁形成部における当該幅狭部に存在する部分に、ケーシング下面に開口した冷却液入口が形成され、中間板における前記幅狭部に対してケーシングの幅方向に並んだ部分に、下面が下方に露出させられた下側被露出部が設けられ、中間板の下側被露出部に、ケーシング下面に開口した冷却液出口が形成され、冷却液入口に対してケーシングの幅方向に並ぶように形成されている請求項記載の冷却装置。
【請求項7】
ケーシングの中間板の下側被露出部に、下方に凹み、かつ底壁下面が下構成部材の底壁形成部の下面と同一水平面内に位置する凹陥部が設けられ、凹陥部の底壁に冷却液出口が形成されている請求項記載の冷却装置。
【請求項8】
ケーシングが、頂壁を形成する上構成部材と、底壁を形成する底壁形成部および周壁を形成する周壁形成部からなる下構成部材と、下構成部材内に配置されて仕切壁を形成する中間板とからなり、中間板が下構成部材の周壁形成部に接合されている請求項1~のうちのいずれかに記載の冷却装置。
【請求項9】
中間板の周縁部が、下構成部材の周壁形成部の内面に設けられた内方突出状の支持部により支持され、この状態で中間板と下構成部材の支持部とが接合されている請求項記載の冷却装置。
【請求項10】
ケーシングの頂壁が発熱体取付壁となり、上構成部材と中間板との間に第1冷却液通路が形成されるとともに下構成部材と中間板との間に第2冷却液通路が形成され、ケーシングの下構成部材の底壁形成部に、ケーシング下面に開口した冷却液出口および冷却液入口が、ケーシングの幅方向に並んで形成され、中間板における冷却液出口に対応した部分に下方に凹みかつ底壁に貫通穴が形成された凹陥部が設けられ、貫通穴が冷却液出口と通じるように、凹陥部の底壁下面が下構成部材の底壁形成部の上面に接合されている請求項8または9記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば半導体素子などの電子部品からなる発熱体を冷却する冷却装置に関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図3および図4の上下を上下というもとのとする。
【背景技術】
【0003】
たとえば、電気自動車、ハイブリッド自動車、電車などに搭載される電力変換装置に用いられるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワーデバイス(半導体素子)を冷却する冷却装置として、本出願人は、先に、頂壁、底壁および周壁からなるとともに一定の長さおよび幅を有し、かつ頂壁および底壁のうちいずれか一方が、外面に発熱体が取り付けられる発熱体取付壁となっている扁平状ケーシングを備えており、ケーシング内に、発熱体取付壁側に位置する第1冷却液通路と、これとは反対側に位置する第2冷却液通路とが、仕切壁を介して上下方向に並ぶように積層状に形成され、ケーシングの周壁における長手方向一端壁となる部分に、第1冷却液通路に通じかつ第1冷却液通路内から冷却液を排出するケーシングの幅方向に長い冷却液出口、および第2冷却液通路内に冷却液を供給するケーシングの幅方向に長い冷却液入口が形成され、ケーシングの周壁における長手方向他端壁となる部分に、両冷却液通路を通じさせるケーシングの幅方向に長い連通部が形成され、第1および第2冷却液通路内に、発熱体取付壁の外面に取り付けられる発熱体から発せられる熱を受けて両冷却液通路内を流れる冷却液に放熱する放熱具が設けられており、各放熱具が、仕切壁の両面に一体に設けられ、かつ長手方向を両冷却液通路の長手方向に向けるとともに幅方向を上下方向に向けた状態で両冷却液通路の幅方向に間隔をおいて配置された複数の帯板状プレートフィンを有するとともに、隣り合うプレートフィン間が分割通路となっており、第2冷却液通路内の放熱具のプレートフィンの冷却液入口側端部が切除されることにより冷却液分流用の入口ヘッダが形成され、第1冷却液通路内の放熱具のプレートフィンの冷却液出口側端部が切除されることにより冷却液合流用の出口ヘッダが形成されている冷却装置を提案した(特許文献1、図7および図8参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の冷却装置においては、冷却液入口および冷却液出口が、それぞれケーシングの幅方向に長いので、冷却液入口を通して第2冷却液通路内に冷却液を供給する冷却液供給用の入口パイプを冷却液入口に通じるようにケーシングに接続する作業、および冷却液出口を通して第1冷却液通路内から冷却液を排出する冷却液排出用の出口パイプを冷却液出口に通じるようにケーシングに接続する作業が面倒になるという問題がある。また、冷却液分流用の入口ヘッダが、第2冷却液通路内の放熱具のプレートフィンの冷却液入口側端部が切除されることにより形成されているので、第2冷却液通路の全分割通路への冷却液の分流を均一にするためには、入口ヘッダのケーシング長手方向の寸法を大きくする必要があり、装置全体が大型化する。しかも、入口ヘッダのケーシング長手方向の寸法を大きくすることなく、第2冷却液通路の全分割通路への冷却液の分流を均一にするためには、別途分流均一化部材を設ける必要があり、部品点数が増えてコストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-60040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、冷却液供給用の入口パイプおよび冷却液排出用の出口パイプをケーシングに接続する作業を簡単に行いうるとともに、冷却液入口を通してケーシング内に流入した冷却液の第2冷却液通路の全分割通路への分流を均一化しうる冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)頂壁、底壁および周壁からなるとともに一定の長さおよび幅を有し、かつ頂壁および底壁のうちいずれか一方が、外面に発熱体が取り付けられる発熱体取付壁となっている扁平状ケーシングを備えており、ケーシング内に、発熱体取付壁側に位置する第1冷却液通路と、これとは反対側に位置する第2冷却液通路とが、仕切壁を介して上下方向に並ぶように積層状に形成され、ケーシングの長手方向の一端側に、第1冷却液通路に通じかつ第1冷却液通路内から冷却液を排出する冷却液出口、および第2冷却液通路に通じかつ第2冷却液通路内に冷却液を供給する冷却液入口が形成され、ケーシングの長手方向の他端側に両冷却液通路を通じさせる連通部が形成され、第1冷却液通路内に、発熱体取付壁の外面に取り付けられる発熱体から発せられる熱を受けて第1冷却液通路内を流れる冷却液に放熱する放熱具が設けられている冷却装置であって、
冷却液入口および冷却液出口の両者が、ケーシングの上面および下面のうちいずれか一方に開口するように形成され、連通部が仕切壁に形成され、放熱具が、第1冷却液通路の長手方向両端寄りの一定長さ部分を除いた部分に設けられており、放熱具が、長手方向を第1冷却液通路の長手方向に向けるとともに幅方向を上下方向に向けた状態で第1冷却液通路の幅方向に間隔をおいて配置され、かつ一方の側縁部が仕切壁に接合されるとともに他方の側縁部が発熱体取付壁に接合されている複数の帯板状プレートフィンを備えており、放熱具の隣り合うプレートフィン間に分割通路が形成されている冷却装置。
【0009】
2)仕切壁の連通部が、仕切壁に形成されかつ長手方向をケーシングの幅方向に向けるとともに幅方向をケーシングの長手方向に向けた貫通穴からなり、放熱具のプレートフィンの冷却液入口および冷却液出口側とは反対側の端部が、連通部の幅方向の範囲内に位置している上記1)記載の冷却装置。
【0010】
3)放熱具の全プレートフィンの隣り合うものどうしが、連結部を介して上下交互に一体に連結されており、放熱具全体がコルゲート状となっている上記2)記載の冷却装置。
【0011】
4)ケーシングの第2冷却液通路内に、ケーシングの長手方向に延び、かつ頂壁および底壁のうち発熱体取付壁とならない壁と仕切壁との間の間隔を維持する複数のスペーサが、ケーシングの幅方向に間隔をおいて設けられており、スペーサの長さが放熱具のプレートフィンの長さより短くなっているとともに、平面から見てスペーサが放熱具の範囲内に位置しており、隣り合うスペーサ間およびケーシングの幅方向両端に位置するスペーサとケーシングの幅方向の両側壁との間に、放熱具の複数の分割通路が位置している上記1)~3)のうちのいずれかに記載の冷却装置。
【0012】
5)仕切壁に、第1冷却液通路における隣り合うプレートフィン間の分割通路よりも下流側の部分を第2冷却液通路に通じさせ、かつ冷却液入口を通って第2冷却液通路内に供給された冷却液の一部を、連通部および第1冷却液通路を通ることなく第1冷却液通路における分割通路よりも下流側の部分に直接流入させる連通穴が形成されている上記1)~4)のうちのいずれかに記載の冷却装置。
【0013】
6)ケーシングが、頂壁を形成する頂壁形成部および周壁の上部を形成する周壁形成部からなる上構成部材と、底壁を形成する底壁形成部および周壁の下部を形成する周壁形成部からなる下構成部材と、仕切壁を形成する中間板とからなり、中間板が上下両構成部材の周壁形成部に接合されている上記1)~5)のうちのいずれかに記載の冷却装置。
【0014】
7)ケーシングの頂壁が発熱体取付壁となり、上構成部材と中間板との間に第1冷却液通路が形成されるとともに下構成部材と中間板との間に第2冷却液通路が形成され、ケーシングの上構成部材の前記一端寄りの部分に一定長さを有する幅狭部が設けられ、上構成部材の頂壁形成部における当該幅狭部に存在する部分に、ケーシング上面に開口した冷却液出口が形成され、中間板における前記幅狭部に対してケーシングの幅方向に並んだ部分に、上面が上方に露出させられた上側被露出部が設けられ、中間板の上側被露出部に、ケーシング上面に開口した冷却液入口が、冷却液出口に対してケーシングの幅方向に並ぶように形成されている上記6)記載の冷却装置。
【0015】
8)ケーシングの頂壁が発熱体取付壁となり、上構成部材と中間板との間に第1冷却液通路が形成されるとともに下構成部材と中間板との間に第2冷却液通路が形成され、ケーシングの下構成部材の前記一端寄りの部分に一定の長さを有する幅狭部が設けられ、下構成部材の底壁形成部における当該幅狭部に存在する部分に、ケーシング下面に開口した冷却液入口が形成され、中間板における前記幅狭部に対してケーシングの幅方向に並んだ部分に、下面が下方に露出させられた下側被露出部が設けられ、中間板の下側被露出部に、ケーシング下面に開口した冷却液出口が形成され、冷却液入口に対してケーシングの幅方向に並ぶように形成されている上記6)記載の冷却装置。
【0016】
9)ケーシングの中間板の下側被露出部に、下方に凹み、かつ底壁下面が下構成部材の底壁形成部の下面と同一水平面内に位置する凹陥部が設けられ、凹陥部の底壁に冷却液出口が形成されている上記8)記載の冷却装置。
【0017】
10)ケーシングが、頂壁を形成する上構成部材と、底壁を形成する底壁形成部および周壁を形成する周壁形成部からなる下構成部材と、下構成部材内に配置されて仕切壁を形成する中間板とからなり、中間板が下構成部材の周壁形成部に接合されている上記1)~5)のうちのいずれかに記載の冷却装置。
【0018】
11)中間板の周縁部が、下構成部材の周壁形成部の内面に設けられた内方突出状の支持部により支持され、この状態で中間板と下構成部材の支持部とが接合されている上記10)記載の冷却装置。
【0019】
12)ケーシングの頂壁が発熱体取付壁となり、上構成部材と中間板との間に第1冷却液通路が形成されるとともに下構成部材と中間板との間に第2冷却液通路が形成され、ケーシングの下構成部材の底壁形成部に、ケーシング下面に開口した冷却液出口および冷却液入口が、ケーシングの幅方向に並んで形成され、中間板における冷却液出口に対応した部分に下方に凹みかつ底壁に貫通穴が形成された凹陥部が設けられ、貫通穴が冷却液出口と通じるように、凹陥部の底壁下面が下構成部材の底壁形成部の上面に接合されている上記10)または11)記載の冷却装置。
【発明の効果】
【0020】
上記1)~12)の冷却装置によれば、冷却液入口を通して第2冷却液通路内へ流入した冷却液は、第2冷却液通路の幅方向の全体に分流しながら連通部側に向かって流れ、連通部を通って第1冷却液通路の全分割通路内に入り、第1冷却液通路内の分割通路内を冷却液出口側に向かって流れて冷却液出口を通って外部に流出する。発熱体取付壁の外面に取り付けられた発熱体から発せられる熱は、発熱体取付壁を経て分割通路内を流れる冷却液に直接放熱されるとともに、発熱体取付壁および放熱具のプレートフィンを経て分割通路内を流れる冷却液に放熱される。
【0021】
そして、冷却液入口および冷却液出口の両者が、ケーシングの上面および下面のうちいずれか一方に開口しているので、冷却液入口および冷却液出口を円形貫通穴などの単純な構成のものにすることが可能になり、冷却液供給用の入口パイプを冷却液入口に通じるようにケーシングに接続する作業、および冷却液排出用の出口パイプを冷却液出口に通じるようにケーシングに接続する作業が簡単になる。
【0022】
また、第2冷却液通路が、第1冷却液通路の全分割通路への冷却液分流用の入口ヘッダとして働くことになるので、ケーシングの長手方向の寸法を大きくする必要がなく、装置全体の小型化を図ることが可能になる。しかも、別途分流均一化部材を設ける必要がなく、部品点数を低減することが可能になってコストが安くなる。
【0023】
さらに、放熱具の各プレートフィンの一方の側縁部が仕切壁に接合されるとともに他方の側縁部が発熱体取付壁に接合されているので、隣り合う分割通路間での冷却液のバイパスが防止される。しかも、発熱体取付壁外面に取り付けられた発熱体から発せられた熱を、プレートフィンを介して第1冷却液通路の分割通路内を流れる冷却液に放熱する効果が優れたものになる。
【0024】
上記2)の冷却装置によれば,放熱具のプレートフィンの冷却液入口および冷却液出口側とは反対側の端部が、連通部の幅方向の範囲内に位置している部分において、全分割通路の少なくとも一部の一定長さ部分が、連通部を通して第2冷却液通路側に開口することになるので、第2冷却液通路から連通部を通ってきた冷却液は、放熱具の分割通路の端部から分割通路内に流入するだけではなく、放熱具における連通部の幅方向の範囲内に位置している部分においても、少なくとも一部の分割通路内に流入する。したがって、連通部のケーシング長手方向の寸法を大きくすることなく、圧損低減を図ることができる。
【0025】
上記3)の冷却装置によれば、全分割通路のうち略半分の分割通路の一定長さ部分が、放熱具における連通部の幅方向の範囲内に位置する部分において第2冷却液通路側に開口するので、連通部のケーシング長手方向の寸法を大きくすることなく、圧損低減を図ることができる。また、全分割通路のうちの残りの分割通路内には放熱具の端部だけから流入するので、放熱具の伝熱性能の低下を抑制することができる。
【0026】
上記4)の冷却装置によれば、スペーサの働きにより仕切壁の変形が防止される。しかも、平面から見てスペーサが放熱具の範囲内に位置しており、隣り合うスペーサ間およびケーシングの幅方向両端に位置するスペーサとケーシングの幅方向の両側壁との間に、放熱具の複数の分割通路が位置しているので、圧損の上昇、および第1冷却液通路の全分割通路内への分流均一化性能の低下を抑制することができる。
【0027】
上記5)の冷却装置によれば、次の効果を奏する。すなわち、この発明による冷却装置が、他の少なくとも1つの冷却装置と直列状に組み合わされて用いられる場合、この発明による冷却装置の第1および第2冷却液通路内には、発熱体取付壁の外面に取り付けられる発熱体を冷却するには過剰量の冷却液が流れて圧損が上昇するおそれがあるが、この場合であっても、上記5)のように構成されていると、冷却液入口から第2冷却液通路内に流入した冷却液の一部が、連通穴を通って第1冷却液通路における隣り合うプレートフィン間の分割通路よりも下流側の部分に流れ込むので、両冷却液通路を流れる冷却液の量を低減することができ、圧損の上昇を抑制することが可能になる。
【0028】
上記6)の冷却装置によれば、ケーシングを比較的簡単に組み立てることができる。
【0029】
上記7)の冷却装置によれば、比較的簡単に、冷却液入口および冷却液出口の両者をケーシングの上面に開口させることができる。
【0030】
上記8)の冷却装置によれば、比較的簡単に、冷却液入口および冷却液出口の両者をケーシングの下面に開口させることができる。
【0031】
上記9)の冷却装置によれば、ケーシングの底壁外面における冷却液入口が形成された部分の周囲と、冷却液出口が形成された凹陥部の底壁外面とが同一面内に位置するので、冷却液供給用の入口パイプを冷却液入口に通じるようにケーシングに接続する作業、および冷却液排出用の出口パイプを冷却液出口に通じるようにケーシングに接続する作業が簡単になる。
【0032】
上記10)の冷却装置によれば、ケーシングを比較的簡単に組み立てることができる。しかも、ケーシング内から外部への冷却液の漏れが発生するおそれのある接合部の数を減らすことができ、冷却液の漏れに対する製造安定性を向上させることができる。
【0033】
上記11)の冷却装置によれば、比較的簡単に中間板を下構成部材内の決められた位置に配置することができる。
【0034】
上記12)の冷却装置によれば、比較的簡単に、冷却液入口および冷却液出口の両者をケーシングの下面に開口させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】この発明の冷却装置を示す斜視図である。
図2図1の冷却装置を示す分解斜視図である。
図3図1のA-A線拡大断面図である。
図4図1のB-B線拡大断面図である。
図5】この発明の冷却装置に用いられるケーシングの第1の変形例の一部を示す分解斜視図である。
図6】この発明の冷却装置に用いられるケーシングの第2の変形例の一部を示す分解斜視図である。
図7】この発明の冷却装置に用いられるケーシングの第3の変形例の一部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0037】
この明細書において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0038】
また、以下の説明において、図1に矢印Xで示す方向(図4の右側)を前、これと反対側を後といい、図1に矢印Yで示す方向(図3の左側)を左、これと反対側を右というものとする。
【0039】
さらに、全図面を通じて同一物および同一部分には同一符号を付す。
【0040】
図1および図2は冷却装置の全体構成を示し、図3および図4は冷却装置の要部の構成を示す。
【0041】
図1図4において、冷却装置(1)は、頂壁(2a)、底壁(2b)および周壁(2c)からなるとともに一定の長さおよび幅を有し、かつ頂壁(2a)および底壁(2b)のうちいずれか一方、ここでは頂壁(2a)が、外面に発熱体が取り付けられる発熱体取付壁(3)となっている前後方向に長い方形の扁平状ケーシング(2)を備えている。
【0042】
ケーシング(2)内に、発熱体取付壁(3)側(上側)に位置する第1冷却液通路(4)と、これとは反対側(下側)に位置する第2冷却液通路(5)とが、仕切壁(6)を介して上下方向に並ぶように積層状に形成されている。ケーシング(2)の後端部(一端部)に、第1冷却液通路(4)に通じかつ第1冷却液通路(4)内から冷却液を排出する冷却液出口(7)、および第2冷却液通路(5)に通じかつ第2冷却液通路(5)内に冷却液を供給する冷却液入口(8)が形成されている。冷却液出口(7)および冷却液入口(8)の両者は、ケーシング(2)の上面および下面のうちいずれか一方、ここでは上面に開口している。ケーシング(2)の仕切壁(6)の前端部(他端部)に両冷却液通路(4)(5)を通じさせる連通部(9)が形成されている。ケーシング(2)内の第1冷却液通路(4)に、発熱体取付壁(3)の外面に取り付けられる発熱体(P)から発せられる熱を受けて第1冷却液通路(4)内を流れる冷却液に放熱する放熱具(11)が設けられている。放熱具(11)は、第1冷却液通路(4)の長手方向両端寄りの一定長さ部分を除いた部分に設けられている。
【0043】
IGBTなどのパワーデバイスや、IGBTが制御回路と一体化されて同一パッケージに収納されたIGBTモジュールや、IGBTモジュールにさらに保護回路が一体化されて同一パッケージに収納されたインテリジェントパワーモジュールなどからなる発熱体(P)は、発熱体取付壁(3)である頂壁(2a)外面に取り付けられるようになっている。
【0044】
ケーシング(2)は、頂壁(2a)を形成する頂壁形成部(12a)および周壁(2c)の上部を形成する周壁形成部(12b)からなる下方に開口した箱状のアルミニウム製上構成部材(12)と、底壁(2b)を形成する底壁形成部(13a)および周壁(2c)の下部を形成する周壁形成部(13b)からなる上方に開口した箱状のアルミニウム製下構成部材(13)と、周縁部が両構成部材(12)(13)の周壁形成部(12b)(13b)により挟まれた状態で両周壁形成部(12b)(13b)にろう材により接合され、かつ仕切壁(6)を形成する平坦なアルミニウム製中間板(14)とからなり、上構成部材(12)と中間板(14)との間に第1冷却液通路(4)が形成されるとともに、下構成部材(13)と中間板(14)との間に第2冷却液通路(5)が形成されている。以下、ろう材による接合をろう付というものとする。上構成部材(12)および下構成部材(13)は、アルミニウム製ブランクにプレス加工を施すことにより成形される。
【0045】
ケーシング(2)の上構成部材(12)の後端寄りでかつ幅方向の左側部分に、前後方向の一定の長さを有する幅狭部(15)が設けられている。ケーシング(2)の中間板(14)における幅狭部(15)に対してケーシング(2)の幅方向の右側に並んだ部分に、上面が上方に露出させられた上側被露出部(16)が設けられている。そして、ケーシング(2)の上構成部材(12)の頂壁形成部(12a)における幅狭部(15)に存在する部分にケーシング(2)上面に開口した冷却液出口(7)が形成され、中間板(14)の上側被露出部(16)に、ケーシング(2)上面に開口した冷却液入口(8)が、冷却液出口(7)に対してケーシング(2)の幅方向に並ぶように形成されている。冷却液出口(7)および冷却液入口(8)は、いずれも円形貫通穴からなる。
【0046】
ケーシング(2)の下構成部材(13)の後端寄りの部分に、後端に向かって徐々に幅の狭くなった下側幅狭部(17)が設けられている。周壁形成部(13b)の下側幅狭部(17)の左側縁となる部分は後方に向かって右方に傾斜しており、同じく右側縁となる部分は前後方向に真っ直ぐになっている。
【0047】
ケーシング(2)の中間板(14)の前端部に、長手方向を左右方向に向けるとともに幅方向を前後方向に向けた長方形状の貫通穴からなり、かつ第1冷却液通路(4)と第2冷却液通路(5)とを通じさせる連通部(9)が形成されている。
【0048】
また、ケーシング(2)の下構成部材(13)の底壁形成部(13a)に、ケーシング(2)の長手方向に延び、かつ底壁(2b)と仕切壁(4)との間の間隔を維持する複数のスペーサ(18)が、底壁形成部(13a)を変形させることによりケーシング(2)の幅方向に間隔をおいて一体に設けられている。すなわち、ケーシング(2)の頂壁(2a)および底壁(2b)のうち発熱体取付壁(3)とならない壁と仕切壁(6)との間に、ケーシング(2)の長手方向に延び、かつ発熱体取付壁(3)とならない壁と仕切壁(6)との間隔を維持する複数のスペーサ(18)がケーシング(2)の幅方向に間隔をおいて一体に設けられている。スペーサ(18)の長さは放熱具(11)の前後方向の長さより短くなっており、スペーサ(18)が平面から見て放熱具(11)の範囲内に位置している。
【0049】
放熱具(11)はアルミニウム板を用いて全体にコルゲート状に形成されており、長手方向を前後方向(第1冷却液通路(4)の長手方向)に向けるとともに幅方向を上下方向に向けた状態で第1冷却液通路(4)の幅方向(左右方向)に間隔をおいて配置された複数の帯板状プレートフィン(19)と、すべてのプレートフィン(19)を上下交互に一体に連結する連結部(21)とよりなる。各プレートフィン(19)の下側縁部および下側連結部(21)が中間板(14)にろう付されるとともに、上側縁部および上側連結部(21)が上構成部材(12)の頂壁形成部(12a)にろう付されており、放熱具(11)の隣り合うプレートフィン(19)間に、第1冷却液通路(5)の複数の分割通路(22)が形成されている。そして、隣り合うスペーサ(18)間およびケーシング(2)の幅方向両端に位置するスペーサ(18)とケーシング(2)の周壁(2c)における左右両側壁部分との間に、放熱具(11)の複数のプレートフィン(19)および複数の分割通路(22)が位置している。放熱具(11)は平面から見て前後方向に長い長方形状であり、前端部が連通部(9)の幅方向(前後方向)の中間部に位置するとともに、後端部が両幅狭部(16)(17)よりも前方に位置している。放熱具(11)の前端部が連通部(9)の幅方向の中間部に位置することから、全分割通路(22)のほぼ半数の前端寄りの一定長さ部分が連通部(9)を介して第2冷却液通路(5)に開口することになる。
【0050】
上述した冷却装置(1)において、ケーシング(2)の冷却液入口(8)に横断面円形の入口パイプ(図示略)が接続され、同じく冷却液出口(7)に横断面円形の出口パイプ(図示略)が接続される。そして、入口パイプから冷却液入口(8)を通してケーシング(2)の第2冷却液通路(5)内に流入した冷却液は、第2冷却液通路(5)内を前方に分流しつつ流れて連通部(9)に至る。第2冷却液通路(5)内を前方に流れて連通部(9)に至った冷却液のうちのほぼ半分が、放熱具(11)の前端に至る前に、連通部(9)を介して第2冷却液通路(5)に開口している分割通路(22)内に流入する。また、第2冷却液通路(5)内を前方に流れて連通部(9)に至った冷却液のうちの残部は、残りの分割通路(22)の前端開口から分割通路(22)内に流入する。全分割流路内に流入した冷却液は、全分割通路(22)内を後方に流れ、第1冷却液通路(4)における放熱具(11)よりも後方の部分で合流した後に、冷却液出口(7)から出口パイプを通して流出する。
【0051】
ケーシング(2)の頂壁(2a)外面に取り付けられた発熱体(P)から発せられる熱は、頂壁(2a)に伝わった後、冷却液通路(3)の分割通路(22)内を流れる冷却液に直接伝わるとともに、頂壁(2a)から放熱具(11)のプレートフィン(19)に伝わった後に、プレートフィン(19)から冷却液通路(3)の分割通路(22)内を流れる冷却液に直接放熱される。こうして発熱体(P)が冷却される。
【0052】
図5図7はこの発明による冷却装置のケーシングの変形例を示す。
【0053】
図5において、ケーシング(30)は前後方向に長い方形の扁平状であり、頂壁(30a)、底壁(30b)および周壁(30c)からなるとともに一定の長さおよび幅を有し、かつ頂壁(30a)が、外面に発熱体(P)が取り付けられる発熱体取付壁(3)となっている。ケーシング(30)の仕切壁(6)となる中間板(14)に、第1冷却液通路(4)における隣り合うプレートフィン(19)間の分割通路(22)よりも下流側の部分を第2冷却液通路(5)に通じさせ、かつ冷却液入口(8)を通って第2冷却液通路(5)内に供給された冷却液の一部を、連通部(9)および第1冷却液通路(4)を通ることなく第1冷却液通路(4)における分割通路(22)よりも下流側の部分に直接流入させる貫通状連通穴(31)が形成されている。
【0054】
したがって、冷却液入口(8)から流入した冷却液の一部が、連通穴(31)を通って第1冷却液通路(4)における隣り合うプレートフィン(19)間の分割通路(22)よりも下流側の部分に流れ込むので、両冷却液通路(4)(5)を流れる冷却液の量を低減することができ、圧損の上昇を抑制することが可能になる。
【0055】
図6において、ケーシング(40)は前後方向に長い方形の扁平状であり、頂壁(40a)、底壁(40b)および周壁(40c)からなるとともに一定の長さおよび幅を有し、かつ頂壁(40a)が、外面に発熱体(P)が取り付けられる発熱体取付壁(3)となっており、ケーシング(40)の冷却液入口(8)および冷却液出口(7)の両者は、ケーシング(40)の上面および下面のうちいずれか一方、ここでは下面に開口している。
【0056】
ケーシング(40)の上構成部材(12)は、頂壁形成部(12a)に冷却液出口(7)となる円形貫通穴が形成されていないことを除いては、上述した実施形態の上構成部材(12)と同様な構成である。
【0057】
ケーシング(40)の下構成部材(13)の後端寄りでかつ幅方向の右側部分に、前後方向の一定の長さを有する幅狭部(41)が設けられている。ケーシング(40)の中間板(14)における幅狭部(41)に対してケーシング(40)の幅方向の左側に並んだ部分に、下面が下方に露出させられた下側被露出部(42)が設けられている。ケーシング(40)の中間板(14)における下構成部材(13)の下側被露出部(42)に、下方に凹みかつ底壁(43a)下面が下構成部材(13)の底壁形成部(13a)の下面と同一水平面内に位置する凹陥部(43)が設けられている。
【0058】
そして、ケーシング(40)の中間板(14)の凹陥部(43)の底壁(43a)にケーシング(40)下面に開口した冷却液出口(7)が形成され、ケーシング(40)の下構成部材(13)の底壁形成部(13a)における幅狭部(41)に存在する部分にケーシング(40)下面に開口した冷却液入口(8)が、冷却液出口(7)に対してケーシング(2)の幅方向に並ぶように形成されている。冷却液出口(7)および冷却液入口(8)は、いずれも円形貫通穴からなる。
【0059】
ケーシング(40)のその他の構成は、上述した実施形態のケーシング(40)と同様である。
【0060】
図7において、ケーシング(50)は前後方向に長い方形の扁平状であり、頂壁(50a)、底壁(50b)および周壁(50c)からなるとともに一定の長さおよび幅を有し、かつ頂壁(50a)が、外面に発熱体(P)が取り付けられる発熱体取付壁(3)となっており、ケーシング(50)の冷却液入口(8)および冷却液出口(7)の両者は、ケーシング(50)の上面および下面のうちいずれか一方、ここでは下面に開口している。
【0061】
ケーシング(50)は、頂壁(50a)を形成する平板状のアルミニウム製上構成部材(51)と、底壁(50b)を形成する底壁形成部(13a)および周壁(50c)を形成する周壁形成部(13b)からなる上方に開口した箱状のアルミニウム製下構成部材(13)と、下構成部材(13)内に配置された状態で下構成部材(13)にろう付され、かつ仕切壁(6)を形成する平坦なアルミニウム製中間板(14)とからなり、上構成部材(51)と中間板(14)との間に第1冷却液通路(4)が形成されるとともに、下構成部材(13)と中間板(14)との間に第2冷却液通路(5)が形成されている。
【0062】
ケーシング(50)の下構成部材(13)の底壁形成部(13a)に、後側縁部の左右方向の中央部から前方に延びた切り欠き部(52)が形成されている。下構成部材(13)の周壁形成部(13b)は、切り欠き部(52)を含んで底壁形成部(13a)の周縁部全体に一体に設けられている。また、下構成部材(13)の周壁形成部(13b)の全体の内面に内方突出状の支持部(53)が一体に設けられている。
【0063】
ケーシング(50)の下構成部材(13)の底壁形成部(13a)における切り欠き部(52)よりも右側の部分に、円形貫通穴からなりかつケーシング(50)下面に開口した冷却液入口(8)が形成されている。また、ケーシング(50)の下構成部材(13)の底壁形成部(13a)における切り欠き部(52)よりも左側の部分に、円形貫通穴からなりかつケーシング(50)下面に開口した冷却液出口(7)が形成されている。したがって、冷却液出口(7)は、冷却液入口(8)に対してケーシング(50)の幅方向に並ぶように形成されている。
【0064】
ケーシング(50)の中間板(14)に、後側縁部の左右方向の中央部から前方に延び、かつ下構成部材(13)の周壁形成部(13b)における切り欠き部(52)の周囲に存在する部分が嵌る切り欠き部(54)が形成されている。中間板(14)は、周縁部が下構成部材(13)の周壁形成部(50b)の支持部(53)により支持されるように下構成部材(13)内に配置され、この状態で中間板(14)と下構成部材(13)の内方突出部(53)とがろう付されている。
【0065】
ケーシング(50)の中間板(14)における切り欠き部(54)よりも左側の冷却液出口(7)に対応した部分に、下方に凹みかつ底壁(55a)に円形貫通穴(56)が形成された凹陥部(55)が設けられており、貫通穴(56)が冷却液出口(7)と通じるように、凹陥部(55)の底壁(55a)下面が下構成部材(13)の底壁形成部(13a)の上面にろう付されている。
【0066】
ケーシング(50)のその他の構成は、上述した実施形態のケーシング(50)と同様である。
【0067】
上述した実施形態のケーシング(2)および変形例のケーシング(30)(40)(50)においては、ケーシング(2)(30)(40)(50)の頂壁(2a)(30a)(40a)(50a)が、外面に発熱体(P)が取り付けられる発熱体取付壁(3)となっているが、これに限定されるものではなく、頂壁(2a)(30a)(40a)(50a)に代えて、底壁(2b)(30b)(40b)(50b)が、外面に発熱体(P)が取り付けられる発熱体取付壁(3)となる場合がある。この場合、ケーシングの構成は、上述したケーシング(2)(30)(40)(50)とは上下逆向きの構成となる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明による冷却装置は、電気自動車、ハイブリッド自動車、電車などに搭載される電力変換装置に用いられるIGBTなどのパワーデバイスを冷却するのに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0069】
(1):冷却装置
(2)(30)(40)(50):ケーシング
(2a)(30a)(40a)(50a):頂壁
(2b)(30b)(40b)(50b):底壁
(3):発熱体取付壁
(4):第1冷却液通路
(5):第2冷却液通路
(6):仕切壁
(7):冷却液出口
(8):冷却液入口
(9):連通部
(11):放熱具
(12):上構成部材
(12a):頂壁形成部
(12b):周壁形成部
(13):下構成部材
(13a):底壁形成部
(13b):周壁形成部
(14):中間板
(15):幅狭部
(16):上側被露出部
(18):スペーサ
(19):プレートフィン
(21):連結部
(22):分割通路
(31):連通穴
(41):幅狭部
(42):下側被露出部
(43):凹陥部
(43a):底壁
(51):上構成部材
(53):支持部
(55):凹陥部
(55a):底壁
(56):貫通穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7