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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20220620BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20220620BHJP
   F25D 23/12 20060101ALN20220620BHJP
   A47B 31/02 20060101ALN20220620BHJP
【FI】
A47B31/00 H
F25D23/00 302M
F25D23/12 P
A47B31/02 B
A47B31/02 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018073147
(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公開番号】P2019180633
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深谷 学
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-201527(JP,A)
【文献】特開平09-135731(JP,A)
【文献】特開2002-286356(JP,A)
【文献】特開2008-131872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00
F25D 23/00
F25D 23/12
A47B 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の内気を循環させるファンと、
オゾンを発生させるオゾン発生部、及び、前記ファンの下流側に配され、前記オゾン発生部で発生させたオゾンを排出する排出口を有するオゾン発生装置と、を備え
前記オゾン発生部で発生させたオゾンを、前記排出口から前記貯蔵庫本体内に送風するための送風手段を備え、
前記送風手段は、前記オゾン発生部に空気を圧送するエアポンプとされる貯蔵庫。
【請求項2】
箱状の貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の内気を循環させるファンと、
オゾンを発生させるオゾン発生部、及び、前記ファンの下流側に配され、前記オゾン発生部で発生させたオゾンを排出する排出口を有するオゾン発生装置と、を備え、
前記オゾン発生装置は、前記オゾン発生部と前記ファンの下流側とを連通するパイプを備え、
前記パイプの前記ファンの下流側の開口が、前記排出口とされる貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫として、例えば、特許文献1に記載の配膳車に搭載されている収容室が知られている。この収容室は、温蔵室及び冷蔵室から構成されており、収容室の天井部には、オゾンを発生させるオゾン発生器が設けられている。オゾン発生器には、オゾンを収納室内へ強制的に送り込むためのオゾン送り用ファンが設けられており、また、収納室内には、内気を循環させる空気撹拌ファンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-135731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オゾン発生器で発生されたオゾンが収納室内に到達する前に、オゾンが酸化反応し、オゾン濃度が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、オゾンが収納室内に到達する前に酸化反応することを抑制する貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の貯蔵庫は、箱状の貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体の内気を循環させるファンと、オゾンを発生させるオゾン発生部、及び、前記ファンの下流側に配され、前記オゾン発生部で発生させたオゾンを排出する排出口を有するオゾン発生装置と、を備える。
【0007】
オゾン発生装置の排出口がファンの下流側に配されているため、オゾンがファンの下流側に到達する前に酸化反応してしまうことが抑制され、貯蔵庫本体内に安定した濃度のオゾンを供給することができる。また、オゾン発生装置の部品以外でオゾンに直接触れる部品はファンのみとなるため、耐オゾン性を有する部品の点数を削減することができる。
【0008】
また、前記オゾン発生部で発生させたオゾンを、前記排出口から前記貯蔵庫本体内に送風するための送風手段を備える構成としても良い。
【0009】
送風手段によりオゾンが排出口から送風されることで、オゾンがオゾン発生部に滞留することがなくなり、貯蔵庫本体内に安定した濃度のオゾンを供給することができる。
【0010】
また、前記送風手段は、前記オゾン発生部に空気を圧送するエアポンプとされる構成としても良い。
【0011】
エアポンプがオゾン発生部に空気を圧送することで、排出口にオゾンが圧送されるため、貯蔵庫本体内にオゾンを送風することができる。
【0012】
また、前記オゾン発生装置は、前記オゾン発生部と前記ファンの下流側とを連通するパイプを備え、前記パイプの前記ファンの下流側の開口が、前記排出口とされる構成としても良い。
【0013】
オゾン発生部とファンの下流側とを連通するパイプを設けることで、オゾンをファンの下流側に排出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オゾンが貯蔵庫本体内に到達する前に酸化反応することを抑制する貯蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における温冷カートの斜視図
図2】温冷カートの側断面図
図3図2におけるオゾン発生装置付近の拡大図
図4】オゾンの流れを示す概略図
図5】前側の温蔵室及び前側の冷蔵室の扉を省いた状態の温冷カートの斜視図
図6図5におけるセパレータ付近の拡大図
図7図6においてトレイを省略した状態の図
図8図7においてセパレータを省略した状態の図
図9】セパレータの斜視図
図10】セパレータの平面図
図11】セパレータ及びトレイの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1から図4を参照しつつ説明する。本実施形態の貯蔵庫として、温冷カート10を例示し、以降の説明では、図1から図3のX方向を前方、Z方向を上方、Y方向を左方とする。
【0017】
温冷カート10は、図1図2に示すように、冷蔵機能と温蔵機能とを兼ね備えた配膳車であり、左面が開口する箱状の貯蔵庫本体12と、貯蔵庫本体12の上部に設けられた機械室14と、を備えている。貯蔵庫本体12の前面及び後面には、温冷カート10を引いて操作するためのハンドル16がそれぞれ設けられている。また、貯蔵庫本体12の下面には、複数の車輪18と、温冷カート10を制動する踏圧式のペダルロック20が設けられている。
【0018】
貯蔵庫本体12は、冷蔵室22と温蔵室24とから構成されている。冷蔵室22は、前後方向に2つ並べて配されており、温蔵室24は、冷蔵室22の両隣にそれぞれ配されており、温蔵室24と冷蔵室22とは、セパレータ26により仕切られている。また、冷蔵室22及び冷蔵室22の開口部には、それぞれ扉28が設けられている。
【0019】
温蔵室24内には、室内を加熱するヒータパネル30が設けられている。ヒータパネル30は、後側の温蔵室24の後壁付近(図2に示す)、及び、前側の温蔵室24の前壁付近にそれぞれ設けられている。
【0020】
機械室14には、冷蔵室22を冷却する冷凍機器類32、温蔵室24の内気を循環させるファン34、及び、温蔵室24内の脱臭を行うためのオゾンを発生させるオゾン発生装置36が設けられている。冷凍機器類32は、圧縮機38、凝縮器40、凝縮器ファン42、及び、冷却器46から構成されており、それぞれが冷媒管を介して循環接続され、冷凍回路を構成している。冷却器46は、箱状の冷却器室44内に収容されている。また、機械室14には、第1の電装箱47及び第2の電装箱48が設けられている。第1の電装箱47内には、温冷カート10全体の制御を行う制御部が収容されており、第2の電装箱48内には、オゾン発生装置36、及び、後述するエアポンプ54を制御する制御部が収容されている。
【0021】
ファン34は、箱状のファンカバー50内に収容されており、図2に示すように、後側の温蔵室24の上部、及び、前側の温蔵室24の上部にそれぞれ配されており、ファンカバー50の内部と温蔵室24の内部とは連通している。後側の温蔵室24の上部に配されたファン34は、図3に示すように、温蔵室24の内気を取込み(送風経路A)、後側の温蔵室24の後壁とヒータパネル30との間に送風を行う(送風経路B)。これにより、ファン34から送風された風は、ヒータパネル30の熱により温められる。さらに、ファン34から送風された風は、温蔵室24の底壁に当たり、室内に拡散される。これにより、温蔵室24の内気はファン34により循環される。同様に、前側の温蔵室24の内気も、前側の温蔵室24の上部に配されたファン34により、循環される。
【0022】
図1に示すように、機械室14には、ファンカバー50の上面を覆うようにブラケット52が取付けられており、オゾン発生装置36は、ブラケット52の上面に設けられている。また、ブラケット52の上面には、エアポンプ54が設けられている。なお、図示しないものの、前側のファンカバー50の上部にも同様に、ブラケット、オゾン発生装置、及びエアポンプが設けられている。
【0023】
オゾン発生装置36は、図3図4に示すように、オゾンを発生させるオゾン発生部56と、オゾン発生部56内とエアポンプ54の送風口とを連通するホース58と、オゾン発生部56内とファンカバー50内とを連通するパイプ60と、を備えている。
【0024】
ブラケット52の上面には、図3に示すように、第1の挿通孔62が開口して設けられ、また、ファンカバー50の上面には、第2の挿通孔64が開口して設けられており、パイプ60は、第1の挿通孔62及び第2の挿通孔64に挿通されている。パイプ60の先端の排出口66は、ファン34の直下まで延びており、ファン34の風の下流側に位置している。ここで、ファン34は、オゾンに直接触れることから、耐オゾン性を有する材質により形成されているものの、オゾン発生装置36(パイプ60等)の部品以外で耐オゾン性を有する部品は、ファン34のみとなっている。一方、従来の構成では、オゾン発生装置36で発生させたオゾンを、ファンカバー50に設けられた開口部から、ファン34とは別のオゾン送風ファンによって、ファンカバー50内に送り込む構成だったことから、少なくとも、ファン34、オゾン送風ファン、及び、ファンカバー50を、耐オゾン性を有する材質で形成する必要があったため、本実施形態の構成にすることで、耐オゾン性を有する材質の部品点数を削減することができる。
【0025】
エアポンプ54が稼働すると、図4に示すように、エアポンプ54から、ホース58を介して、オゾン発生部56内に空気が圧送される(送風経路C)。これにより、図3図4に示すように、オゾン発生部56内で発生させたオゾンは、エアポンプ54から圧送された空気と共に、パイプ60に流れ、パイプ60の排出口66から排出される(送風経路D)。パイプ60の排出口66は、ファン34の下流の直下に位置していることから、排出されたオゾンは、ファン34により、温蔵室24内に送風される。このように、パイプ60の排出口66は、ファン34の下流に位置しているため、オゾンがファン34の下流に到達する前に酸化してしまうことが抑制され、温蔵室24内に安定した濃度のオゾンを供給することができる。
【0026】
次に、セパレータ26の構造について、説明する。
セパレータ26は、図5に示すように、温蔵室24と冷蔵室22との間に設けられ、上下方向に複数並べて配されており、図9に示すように、セパレータ本体68と、一対のアーム部70と、一対のトレイガイド72と、一対の左側トレイ支持部74と、一対の右側トレイ支持部76と、を備えている。複数のセパレータ26の間には、トレイ78が左方から収容される。
【0027】
セパレータ本体68は、左右方向に長い方形板状をなしており、セパレータ本体68の上部は、上方に向かって傾斜する凸部80とされる。一対のアーム部70は、前後方向に長い方形板状をなし、セパレータ本体68の前後の面から前後方向にそれぞれ突出して設けられている。
【0028】
一対のトレイガイド72は、板状の金属部品であって、一対のアーム部70の先端の上面にそれぞれ設けられている。一対のトレイガイド72の左右の幅は、一対のアーム部70の左右の幅と略同じ幅となっている。
【0029】
一対のトレイガイド72には、前端及び後端から下方にそれぞれ突出する一対の保持板82が設けられている。一対の保持板82のうち、前側の保持板82Aの左右の幅は、アーム部70の左右の幅よりも長くなっており、後側の保持板82Bの左右の幅は、アーム部70の左右の幅と略同じ幅となっている。前側の保持板82Aの下端には、貯蔵庫本体12内に引っ掛けるための2つの溝84Aが設けられている。同様に、左側の保持板82Bの下端には、貯蔵庫本体12内に引っ掛けるための2つの溝84Bが設けられている。
【0030】
一対の左側トレイ支持部74は、一対のアーム部70の左側に位置しており、セパレータ本体68の前後の面から前後方向に突出して設けられている。一対の左側トレイ支持部74は、一対のアーム部70の右側に位置しており、セパレータ本体68の前後の面から前後方向に突出して設けられている。一対の左側トレイ支持部74、及び、一対の右側トレイ支持部76の前後の長さは、一対のアーム部70の前後の長さよりも短くなっている。
【0031】
前側の温蔵室24内の前壁には、図8に示すように、セパレータ26を保持するための、前後一対の突起部86が設けられており、前後一対の突起部86は、上下方向に複数設けられている。同様に、前側の冷蔵室22の後壁にも、前側の温蔵室24内の突起部86と対応する位置に、突起部(図示せず)が設けられている。また、後側の温蔵室24の後壁、及び、後側の冷蔵室22の前壁にも同様に突起部が設けられている。
【0032】
セパレータ26を前側の温蔵室24及び前側の冷蔵室22の間に取付ける際は、セパレータ26の前側の保持板82Aの2つの溝84Aを、前側の温蔵室24内の前後一対の突起部86に嵌め込み(図7に示す)、さらに、後側の保持板82Aの2つの溝84Bを、冷蔵室22内の前後一対の突起部に嵌め込むことで取付けられる。
【0033】
トレイ78は、図11に示すように、温蔵室24に収容される第1トレイ88と、冷蔵室22に収容される第2トレイ90と、第1トレイ88及び第2トレイ90を連結する連結部92と、を備えている。トレイ78を上下のセパレータ26の間に収容する際は、図5に示すように、連結部22の下面をセパレータ26の凸部80の上面に合わせて収容する。トレイ78が貯蔵庫本体12内に収容されると、第1トレイ88及び第2トレイ90の下面が、一対のトレイガイド72の上面、一対の左側トレイ支持部74の上面、及び、一対の右側トレイ支持部76の上面に当接する。これにより、トレイ78は、トレイガイド72、左側トレイ支持部74、及び、右側トレイ支持部76に支持される。
【0034】
本実施形態のセパレータ26と、従来のセパレータとは、図10に示すように、トレイガイド72の左右方向の長さが異なる。図10に示す点線部は、従来のセパレータのトレイガイド72Aの大きさを示しており、本実施形態のトレイガイド72の左右の幅W1は、従来のトレイガイド72Aの左右の幅W2の約1/4の長さとなっている。また、本実施形態のセパレータ26には、一対の左側トレイ支持部74、及び、一対の右側トレイ支持部76が備えられているが、従来のセパレータには設けられていない。このように、本実施形態のセパレータ26は、一対の左側トレイ支持部74、及び、一対の右側トレイ支持部76を設けることで、金属部品のトレイガイド72の左右方向の幅を短くしている。これにより、セパレータ26の軽量化を図ることができ、セパレータ26の取外しが容易なものとなる。また、セパレータ26が取付けられた状態であっても、貯蔵庫本体12内の清掃がし易くなる。
【0035】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
本実施形態の温冷カート(貯蔵庫)10は、箱状の貯蔵庫本体12と、貯蔵庫本体12の内気を循環させるファン34と、オゾンを発生させるオゾン発生部56、及び、ファン34の下流側に配され、オゾン発生部56で発生させたオゾンを排出する排出口66を有するオゾン発生装置36と、を備える。
【0036】
本実施形態によれば、オゾン発生装置36の排出口66がファン34の下流側に配されているため、オゾンがファン34の下流側に到達する前に酸化反応してしまうことが抑制され、貯蔵庫本体12内に安定した濃度のオゾンを供給することができる。また、オゾン発生装置36の部品以外でオゾンに直接触れる部品はファン34のみとなるため、耐オゾン性を有する部品の点数を削減することができる。
【0037】
また、オゾン発生部56で発生させたオゾンを、排出口66から貯蔵庫本体12内に送風するための送風手段を備える構成としても良い。
【0038】
送風手段によりオゾンが排出口66から送風されることで、オゾンがオゾン発生部56に滞留することがなくなり、貯蔵庫本体12内に安定した濃度のオゾンを供給することができる。
【0039】
また、送風手段は、オゾン発生部56に空気を圧送するエアポンプ54とされる構成としても良い。
【0040】
エアポンプ54がオゾン発生部56に空気を圧送することで、排出口66にオゾンが圧送されるため、貯蔵庫本体12内にオゾンを送風することができる。
【0041】
また、オゾン発生装置36は、オゾン発生部56とファン34の下流側とを連通するパイプ60を備え、パイプ60のファン34の下流側の開口が、排出口66とされる構成としても良い。
【0042】
オゾン発生部56とファン34の下流側とを連通するパイプ60を設けることで、オゾンをファン34の下流側に排出することができる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、貯蔵庫の一例として温冷カート10を例示したが、例えば、移動式でない一般的な貯蔵庫に適用しても良い。
(2)本実施形態では、温冷カート10は、2つの冷蔵室22、及び、2つの温蔵室24を有する構成としたが、例えば、冷蔵室を有さない温温カートに適用しても良い。
【符号の説明】
【0044】
10:温冷カート(貯蔵庫)
12:貯蔵庫本体
34:ファン
54:エアポンプ(送風手段)
36:オゾン発生装置
56:オゾン発生部
60:パイプ
66:排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11