(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】建物用ドアユニット及びパネルユニット
(51)【国際特許分類】
E06B 1/04 20060101AFI20220620BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
E06B1/04 A
E04B1/00 503
(21)【出願番号】P 2018083958
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391016886
【氏名又は名称】日本フネン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】新居 耕治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智成
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-006921(JP,A)
【文献】特開2017-096055(JP,A)
【文献】特開2005-282147(JP,A)
【文献】特開2006-070523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 - 3/02
E04B 1/00
E04F 13/00 -13/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物用ドアユニットであって、
ドア本体と、
前記ドア本体の一方の側方に配置される縦枠と、
前記縦枠の長さ方向に沿って離間して固定される、前記ドア本体と反対側に突出するように延長された複数の横桟と、
前記横桟に固定されるエントランスパネルと
を備え、
前記複数の横桟は、互いに略平行な姿勢に前記縦枠に固定されており、各横桟は
長手方向の一端側に、前記縦枠に固定する縦枠固定部と、
長手方向の他端側に、前記エントランスパネルの一端を連結するパネル連結部と、
長手方向の中間に、背面に固定するための壁面固定部と
を設けており、
前記縦枠は、前記エントランスパネルの他端を固定するためのパネル固定部を備えてなる建物用ドアユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の建物用ドアユニットであって、
前記複数の横桟は、前記縦枠の長さ方向の上端側と、下端側と、前記上端と下端の間の中間に、それぞれ固定されてなる建物用ドアユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建物用ドアユニットであって、
前記縦枠が、該縦枠に前記エントランスパネルを固定するための縦枠側面側開口を前記縦枠の側面側に開口してなる建物用ドアユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の建物用ドアユニットであって、
前記エントランスパネルが、前記縦枠の正面側と当接する位置にパネル側突起を設けており、
前記縦枠の正面側の、前記パネル側突起と当接する部位に、縦枠正面側開口を開口しており、
前記パネル側突起には、突起側ねじ穴を開口しており、
前記パネル側突起を前記縦枠正面側開口に挿入した状態で、前記縦枠側面側開口
から前記突起側ねじ穴が
視認可能となるように構成してなる建物用ドアユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の建物用ドアユニットであって、
前記パネル連結部が、前記エントランスパネルの一端を、前記横桟の長手方向の他端側において軸支するよう構成してなる建物用ドアユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の建物用ドアユニットであって、
前記エントランスパネルが、その裏面側であって前記ドア本体と面する側の反対側において、パネル回転軸を鉛直下方に突出させており、
前記パネル連結部が、前記横桟の他端側において、水平姿勢に折曲された桟折曲片に開口された、前記パネル回転軸を挿入して回転自在に支承するための回転軸穴である建物用ドアユニット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の建物用ドアユニットであって、
前記壁面固定部は、前記横桟の長手方向の中間であって、前記縦枠固定部よりも前記パネル連結部側に近接する位置に配置されてなる建物用ドアユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の建物用ドアユニットであって、
前記壁面固定部及び前記縦枠固定部が、それぞれねじ穴を形成しており、
前記エントランスパネルで前記壁面固定部及び前記縦枠固定部を被覆してなる建物用ドアユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の建物用ドアユニットであって、
前記エントランスパネルは、該エントランスパネルの側面であって、前記縦枠と面する側を折曲させたパネル折曲部を有しており、
前記パネル折曲部は、その端面を、前記縦枠の正面の中間と当接させて、水平断面視において前記縦枠の中間に段差を形成してなる建物用ドアユニット。
【請求項10】
建物用ドアの側面に固定されるパネルユニットであって、
ドア本体の側方に配置される縦枠と、
前記縦枠の長さ方向に沿って離間して固定される、前記ドア本体と反対側に突出するように延長された複数の横桟と、
前記横桟に固定されるエントランスパネルと
を備え、
前記複数の横桟は、互いに略平行な姿勢に前記縦枠に固定されており、各横桟は
長手方向の一端側に、前記縦枠に固定する縦枠固定部と、
長手方向の他端側に、前記エントランスパネルの一端を連結するパネル連結部と、
長手方向の中間に、背面に固定するための壁面固定部と
を設けており、
前記縦枠は、前記エントランスパネルの他端を固定するためのパネル固定部を備えてなるパネルユニット。
【請求項11】
建物の壁面に固定されるパネルユニットであって、
建物の壁面に固定される縦枠と、
前記縦枠の長さ方向に沿って互いに平行に離間して突出するよう固定された複数の横桟と、
前記横桟に固定されるパネルと
を備え、
前記複数の横桟は、互いに略平行な姿勢に前記縦枠に固定されており、各横桟は
長手方向の一端側に、前記縦枠に固定する縦枠固定部と、
長手方向の他端側に、前記パネルの一端を連結するパネル連結部と、
長手方向の中間に、背面に固定するための壁面固定部と
を設けており、
前記縦枠は、前記パネルの他端を固定するためのパネル固定部を備えてなるパネルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物用ドアユニット及びパネルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マンション等の中、高層建築物の各戸における玄関にはドアが設けられ、そのドアの周りに、インターホン、室名札、照明灯、新聞受け等の各種の玄関備品を取付けるようにしている。
【0003】
ここで、上記各種の玄関備品を個別に取付ける構成であると、取付けに非常に手間がかかるため、近年では、各種の玄関備品をエントランスパネルに取付けてユニット化し、そのエントランスユニットをドアの一側方に設けられた袖壁にねじ止めする取付けが広く採用されるようになってきている。
【0004】
ところで、上記のようなエントランスユニットの取付けに際し、袖壁表面にエントランスユニットのエントランスパネルに設けられた複数のねじ挿入孔と対応する位置に中心線をけがき、その中心線にアンカを埋め込み、各アンカにねじ込まれるねじの締付けによってエントランスパネルの固定化を図るようにしているが、複数のねじ挿入孔と対応する位置に中心線をけがく際にはエントランスパネルを袖壁に押し付けて位置決めし、その位置決め状態を保持してけがきを行なう必要があるため、けがき作業に手間がかかり、エントランスパネルの取付けに時間を要するという不都合があった。
【0005】
これに対し、本願出願人らは玄関備品を支持するエントランスパネルの取付けの作業性の向上を図ること、および体裁の良好な取付けが得られるようにした玄関備品の取付装置を開発した(特許文献1)。この玄関備品の取付装置は、
図12~
図14に示すように、ドア枠92の戸先側たて枠に突出部93を一体に形成し、玄関備品を支持するエントランスパネル94の一側には上記突出部93の内側面に係合可能な係合片95を設ける。係合片95を突出部93の内側面に係合してエントランスパネル94を位置決めし、その位置決め状態で袖壁96にエントランスパネル94に設けられたねじ挿入孔97の位置をけがく。そのけがき位置にアンカ98を埋め込み、ねじ挿入孔97からアンカ98にねじ係合されるねじ99の締付けによってエントランスパネル94を固定する。これらの図において、
図12は従来の玄関備品の取付装置を示す正面図、
図13は
図12のXIII-XIII線に沿った断面図、
図14は
図12の分解斜視図を、それぞれ示している。
【0006】
この構成により、ドア枠の戸先側たて枠に突出部を設け、エントランスパネルの一側に係合片を設けることにより、その係合片を突出部に係合することによってエントランスパネルを位置決めすることができ、その位置決め状態で袖壁96表面にエントランスパネルに形成された複数のねじ挿入孔の位置をけがくことができる。このため、けがき作業が容易であり、エントランスパネルの取付けの作業性を向上させることができる。
【0007】
この玄関備品の取付装置では、
図13及び
図14に示すように、エントランスパネル94の上下端部には幅方向に長く延びる一対の抜孔81が形成されている。そして抜孔81は、その抜孔81に嵌合されるプレート82によって閉塞される。抜孔81に嵌合されたプレート82は、永久磁石83の吸着によって嵌合状態に保持される。
【0008】
しかしながら、この構成ではエントランスパネル94の設置時にエントランスパネル94の位置決めのため、袖壁96表面にエントランスパネル94を固定するための複数のねじ挿入孔97の位置をけがくけがき作業が必要であった。位置決めが不十分であると、設置後のエントランスパネル94が傾くなど、見栄えが悪くなってしまうため、慎重に行う必要があり、手間がかかっていた。また、エントランスパネル94にプレート82を嵌め込む抜孔81を形成する必要があり、抜孔81にプレート82と嵌め込んだ状態でもエントランスパネル94との境界部分が目立ち、外観を損ねる問題があった。さらに、プレート82は磁力で保持されているため、外れることも考えられ、この場合は一層見栄えが悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、エントランスパネルの固定部分を目立たないようにした建物用ドアユニット及パネルユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
本発明の第1の形態に係る建物用ドアユニットによれば、建物用ドアユニットであって、ドア本体と、前記ドア本体の一方の側方に配置される縦枠と、前記縦枠の長さ方向に沿って離間して固定される、前記ドア本体と反対側に突出するように延長された複数の横桟と、前記横桟に固定されるエントランスパネルとを備え、前記複数の横桟は、互いに略平行な姿勢に前記縦枠に固定されており、各横桟は、長手方向の一端側に、前記縦枠に固定する縦枠固定部と、長手方向の他端側に、前記エントランスパネルの一端を連結するパネル連結部と、長手方向の中間に、背面に固定するための壁面固定部とを設けており、前記縦枠は、前記エントランスパネルの他端を固定するためのパネル固定部を備えることができる。上記構成により、縦枠を利用して複数の横桟を延伸させた上でエントランスパネルを固定できるので、エントランスパネルの位置決め作業を施工現場で容易に行える利点が得られる。
【0012】
また、本発明の第2の形態に係る建物用ドアユニットによれば、上記構成に加えて、前記複数の横桟を、前記縦枠の長さ方向の上端側と、下端側と、前記上端と下端の間の中間に、それぞれ固定することができる。上記構成により、少なくとも3箇所でエントランスパネルを保持できるので、強度を高めて安定的に固定できる。
【0013】
さらに、本発明の第3の形態に係る建物用ドアユニットによれば、上記何れかの構成に加えて、前記縦枠が、該縦枠に前記エントランスパネルを固定するための縦枠側面側開口を前記縦枠の側面側に開口させることができる。上記構成により、パネル固定部として、縦枠側面側開口を建物用ドアユニットの正面側でなく側面側に開口させることで、正面からの見栄えを良くして意匠性を高めることができる。
【0014】
さらにまた、本発明の第4の形態に係る建物用ドアユニットによれば、上記何れかの構成に加えて、前記エントランスパネルが、前記縦枠の正面側と当接する位置にパネル側突起を設けており、前記縦枠の正面側の、前記パネル側突起と当接する部位に、縦枠正面側開口を開口しており、前記パネル側突起には、突起側ねじ穴を開口しており、前記パネル側突起を前記縦枠正面側開口に挿入した状態で、前記縦枠側面側開口から前記突起側ねじ穴が視認可能となるように構成することができる。上記構成により、縦枠の側面側から、縦枠側面側開口から突起側ねじ穴を螺合することが可能となり、エントランスパネルを固定するための開口部を目立たない位置に設けて施工後の見栄えを改善できる。
【0015】
さらにまた、本発明の第5の形態に係る建物用ドアユニットによれば、上記何れかの構成に加えて、前記パネル連結部が、前記エントランスパネルの一端を、前記横桟の長手方向の他端側において軸支するよう構成することができる。上記構成により、エントランスパネルの他端側はパネル固定部で固定しつつ、一端側の固定作業を簡素化できる。
【0016】
さらにまた、本発明の第6の形態に係る建物用ドアユニットによれば、上記何れかの構成に加えて、前記エントランスパネルが、その裏面側であって前記ドア本体と面する側の反対側において、パネル回転軸を鉛直下方に突出させており、前記パネル連結部を、前記横桟の他端側において、水平姿勢に折曲された桟折曲片に開口された、前記パネル回転軸を挿入して回転自在に支承するための回転軸穴とすることができる。上記構成により、エントランスパネルを一端側で旋回自在に支承しつつ、他端側をパネル固定部で固定することができ、エントランスパネルの固定作業をスムーズに行える利点が得られる。
【0017】
さらにまた、本発明の第7の形態に係る建物用ドアユニットによれば、上記何れかの構成に加えて、前記壁面固定部は、前記横桟の長手方向の中間であって、前記縦枠固定部よりも前記パネル連結部側に近接する位置に配置させることができる。上記構成により、壁面固定部を、負荷のかかるエントランスパネルを固定するパネル連結部側に偏在させることで、より安定的にエントランスパネルを保持可能な構造を実現する。
【0018】
さらにまた、本発明の第8の形態に係る建物用ドアユニットによれば、上記何れかの構成に加えて、前記壁面固定部及び前記縦枠固定部が、それぞれねじ穴を形成しており、前記エントランスパネルで前記壁面固定部及び前記縦枠固定部を被覆することができる。上記構成により、横桟を介してエントランスパネルを固定すると共に、横桟を壁面や縦枠に固定するねじ穴をエントランスパネルで覆うことによって、これらを外部に表出させず、外観の見栄えを良くすることが可能となる。
【0019】
さらにまた、本発明の第9の形態に係る建物用ドアユニットによれば、上記何れかの構成に加えて、前記エントランスパネルは、該エントランスパネルの側面であって、前記縦枠と面する側を折曲させたパネル折曲部を有しており、前記パネル折曲部は、その端面を、前記縦枠の正面の中間と当接させて、水平断面視において前記縦枠の中間に段差を形成することができる。上記構成により、縦枠からエントランスパネルにかけて階段状に形成することで、ドア本体のデッドボルトを正面から視認し難くして防犯上有利な形状とできる。
【0020】
さらにまた、本発明の第10の形態に係るパネルユニットによれば、建物用ドアの側面に固定されるパネルユニットであって、ドア本体の側方に配置される縦枠と、前記縦枠の長さ方向に沿って離間して固定される、前記ドア本体と反対側に突出するように延長された複数の横桟と、前記横桟に固定されるエントランスパネルとを備え、前記複数の横桟は、互いに略平行な姿勢に前記縦枠に固定されており、各横桟は、長手方向の一端側に、前記縦枠に固定する縦枠固定部と、長手方向の他端側に、前記エントランスパネルの一端を連結するパネル連結部と、長手方向の中間に、背面に固定するための壁面固定部とを設けており、前記縦枠は、前記エントランスパネルの他端を固定するためのパネル固定部を備えることができる。上記構成により、縦枠を利用して複数横桟を延伸させた上でエントランスパネルを固定できるので、エントランスパネルの位置決め作業を施工現場で容易に行える利点が得られる。
【0021】
さらにまた、本発明の第11の形態に係るパネルユニットによれば、建物の壁面に固定されるパネルユニットであって、建物の壁面に固定される縦枠と、前記縦枠の長さ方向に沿って互いに平行に離間して突出するよう固定された複数の横桟と、前記横桟に固定されるパネルとを備え、前記複数の横桟は、互いに略平行な姿勢に前記縦枠に固定されており、各横桟は、長手方向の一端側に、前記縦枠に固定する縦枠固定部と、長手方向の他端側に、前記パネルの一端を連結するパネル連結部と、長手方向の中間に、背面に固定するための壁面固定部とを設けており、前記縦枠は、前記パネルの他端を固定するためのパネル固定部を備えることができる。上記構成により、縦枠を利用して複数の横桟を延伸させた上でパネルを固定できるので、パネルの位置決め作業を施工現場で容易に行える利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る建物用ドアユニットを示す正面図である。
【
図3】
図1の建物用ドアユニットのIII-III線における断面図である。
【
図5】
図1の建物用ドアユニットのV-V線における断面図である。
【
図6】
図1の建物用ドアユニットからエントランスパネルを外した状態を示す正面図である。
【
図7】
図1の建物用ドアユニットを展開した状態を示す斜視図である。
【
図8】パネル固定部の一例を示す分解斜視図である。
【
図10】
図7の横桟を縦枠に固定する部分を示す拡大図である。
【
図11】
図10の横桟とエントランスパネルの連結部分を示す拡大図である。
【
図12】従来の玄関備品の取付装置を示す正面図である。
【
図13】
図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。
【
図15】実施形態2に係るパネルユニットを示す水平断面図である。
【
図16】
図15のパネルを展開した状態を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態及び実施例を、図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態及び実施例は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに限定されるものでない。また各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明に係る実施形態及び実施例を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
[実施形態1]
【0024】
本発明の実施形態1に係る建物用ドアユニットを
図1~
図11に示す。これらの図において、
図1は本発明の一実施形態に係る建物用ドアユニット100を示す正面図、
図2は
図1のエントランスパネル10の正面図、
図3は
図1の建物用ドアユニット100のIII-III線における断面図、
図4は
図3の要部拡大断面図、
図5は
図1の建物用ドアユニット100のV-V線における断面図、
図6は
図1の建物用ドアユニット100からエントランスパネル10を外した状態を示す正面図、
図7は
図1の建物用ドアユニット100を展開した状態を示す斜視図、
図8はパネル固定部の一例を示す分解斜視図、
図9は
図8の水平断面図、
図10は
図7の横桟30を縦枠20に固定する部分を示す拡大図、
図11は
図10の横桟30とエントランスパネル10の連結部分を示す拡大図を、それぞれ示している。
【0025】
建物用ドアユニット100は、
図1に示すように、ドア本体1と、ドア枠2と、エントランスパネル10を備える。ドア枠2は、ドア本体1の周囲を囲むように、矩形状に形成される。ドア枠2は矩形状としている。ドア枠2の内側の出入口2にはドア本体1が配置される。ドア本体1は、一方の側部が蝶番25によってドア枠2に支持されており、ドア枠2の出入口を開閉自在としている。ここではドア枠2の内、ドアの上下に面する部分をそれぞれ上枠23と下枠24と呼び、ドアの左右に面する部分を縦枠20と呼ぶ。また左右の縦枠20の内、ドアのストライク側に位置する縦枠をストライク側縦枠21、ドアの蝶板側に位置する縦枠を蝶板側縦枠22と呼ぶ。この建物用ドアユニット100は、ドア本体1の側方に位置する壁面にエントランスパネル10を固定している。エントランスパネル10は縦枠20と一体化された印象を与えることができ、体裁の良好な取付け状態を得ることができる。
【0026】
エントランスパネル10は、
図2~
図7に示すように、エントランスパネル10の裏側に位置する複数の横桟30と、ストライク側縦枠21に固定されている。ここで、エントランスパネル10と、複数の横桟30と、ストライク側縦枠21をパネルユニットと呼ぶ。これらストライク側縦枠21と横桟30を用いて、エントランスパネル10が固定される。なお
図3~
図5において、右側を屋外、左側を屋内としている。
(エントランスパネル10)
【0027】
エントランスパネル10は、
図1及び
図2の正面図に示すように、縦長の矩形状に形成されて、ドア本体1の側面に配置される。エントランスパネル10の上下端には、それぞれ
図7の斜視図に示すように、袖壁4に向けて折れ曲がる上折曲片13及び下折曲片14が設けられている。また、エントランスパネル10には、
図2に示すように、透光性を有する照明カバー、室番札、名札、インターホン、新聞受け等を適宜設けることができる。また照明カバー内に設けられたソケットに照明灯を支持してもよい。
【0028】
さらにエントランスパネル10は、
図3~
図4、
図8~
図9に示すように、両側の側面を折曲させてパネル折曲部11、12を形成している。パネル折曲部11、12の内、縦枠20と面する側のパネル折曲部11の端面を、縦枠20の正面の中間と当接させている。これにより、縦枠20の中間に段差を形成している。このように、エントランスパネル10と縦枠20を階段状に形成することで、ドア本体1のストライク側を案内し易くなる。
図4の例では、ドア本体1の表面板を、この段差部に案内することができる。
(パネル固定部)
【0029】
縦枠20は、エントランスパネル10の他端を固定するためのパネル固定部を備えている。これにより、縦枠20を利用して複数の横桟30を延伸させた上でエントランスパネル10を固定できるので、エントランスパネル10の位置決め作業を施工現場で容易に行える利点が得られる。
(縦枠側面側開口26)
【0030】
パネル固定部として、
図7~
図9に示すストライク側縦枠21は、その側面側に縦枠側面側開口26を開口している。縦枠側面側開口26は、このストライク側縦枠21にエントランスパネル10を固定するための部材である。このように縦枠側面側開口26を建物用ドアユニット100の正面側でなく側面側に開口させることで、正面からの見栄えを良くして意匠性を高めることができる。このようなストライク側縦枠21と横桟30に、エントランスパネル10が固定される。またストライク側縦枠21は、ストライク用開口28を形成している。
(横桟30)
【0031】
複数の横桟30は、ストライク側縦枠21の長さ方向に沿って離間して固定される。各横桟30は、ストライク側縦枠21から、ドア本体1と反対側に向かって突出するように延長されている。また複数の横桟30は、互いに略平行な姿勢で、ストライク側縦枠21に固定されている。
【0032】
図7の例では、縦枠20の長さ方向に沿って3つの横桟30が固定されている。ここでは、上端側の上横桟31と、下端側の下横桟33と、これらの中間の中横桟32を備えている。このように3箇所でエントランスパネル10を保持することで、固定の強度を高めて信頼性を向上できる。
(縦枠固定部34)
【0033】
各横桟30は、
図10に示すように、縦枠固定部34と、壁面固定部35と、パネル連結部36を備える。縦枠固定部34は、横桟30の長手方向の一端側で、ストライク側縦枠21に固定する。
図7や
図10に示す例では、縦枠固定部34として横桟30の右端にねじ穴を開口し、縦桟に設けたねじ穴と芯合させて螺合により固定している。
(壁面固定部35)
【0034】
壁面固定部35は、横桟30の長手方向の中間で、横桟30を壁面に固定する。壁面固定部35は、好適には壁面固定用ねじ穴である。例えば
図4に示すように、壁面固定用ねじ穴にアンカーボルト50を通して、袖壁4の壁面に固定する。また袖壁4には、アンカーボルト50の固定に先立ち、壁面固定用ねじ穴と対応する位置に、予め穿孔しておくことが好ましい。
【0035】
また壁面固定部35は、横桟30の長手方向の中間の内、縦枠固定部34よりもパネル連結部36側に近接する位置に配置することが好ましい。これにより、壁面固定部35を、負荷のかかるエントランスパネル10を固定するパネル連結部36側に偏在させることで、より安定的にエントランスパネル10を保持可能な構造を実現する。
【0036】
さらに、横桟30を壁面に固定する際には、
図4の断面図に示すように、横桟30と壁面との間を離間させることが好ましい。一般にストライク側縦枠21は、袖壁4の壁面よりも高く突出されているため、このストライク側縦枠21の正面に固定した横桟30を、袖壁4とほぼ平行姿勢となるように離間させることで、横桟30の上面に固定されるエントランスパネル10の正面をドア枠2やドア本体1と平行姿勢に維持できる。
(高さ調整機構37)
【0037】
横桟30と袖壁4の壁面との間の距離d1を調整するため、高さ調整機構37を付加してもよい。高さ調整機構37は、横桟30の壁面固定部35の近傍に形成される。高さ調整機構37としては、高さ調整ねじが利用できる。
図10の例では、壁面固定部35である壁面固定用ねじ穴に隣接して、高さ調整用ねじ穴が開口される。高さ調整用ねじ穴に螺合される高さ調整ねじは、ねじ頭とねじ部の間に、ねじ山を有しない胴部を形成しており、胴部の太さを高さ調整用ねじ穴より大きくしている。またねじ部の長さを、横桟30と壁面との間隔に横桟30の厚さを加えた長さとしている。これによって、高さ調整ねじを横桟30の高さ調整用ねじ穴に螺合することで、
図4に示すように、ねじ部の先端が壁面に当接して、横桟30と袖壁4との距離を所定の間隔に保持することができる。
【0038】
このように横桟30に、壁面固定部35や縦枠固定部34として、それぞれねじ穴を形成すると共に、これらを螺合して横桟30を壁面に固定した後、エントランスパネル10を横桟30に固定して、壁面固定部35や縦枠固定部34をエントランスパネル10で覆って隠すことができる。この結果、エントランスパネル10を直接壁面に固定する構成と比べ、ねじ穴がエントランスパネル10の正面側に表出する事態を避けることができる。またエントランスパネル10のねじ穴をネームプレート等で隠す構成と比べ、ネームプレートのような部材を不要とでき、またネームプレートが意図しないで外れた際でも、ねじ穴の表出を避け、外観意匠の改善が図られる。
【0039】
また、
図4の断面図に示すように、横桟30を壁面から距離d1離して固定した結果、横桟30に固定されたエントランスパネル10も、距離d2離間して固定される。この例では、エントランスパネル10の側面を折曲させてパネル折曲部12を形成しており、パネル折曲部12の端面と壁面との間に距離d2が離間されるように設計される。このようにパネル折曲部12と袖壁4との間に意図的に隙間を設けたことで、製造公差や現場での施工時の誤差を吸収して、エントランスパネル10の表面を袖壁4と平行な姿勢で固定することができる。
(パネル連結部36)
【0040】
パネル連結部36は、横桟30の長手方向の他端側で、エントランスパネル10の一端を連結する。パネル連結部36は、エントランスパネル10の一端を、横桟30の長手方向の他端側において軸支するよう構成している。これにより、エントランスパネル10の他端側は縦枠固定部34で固定しつつ、一端側の固定作業を簡素化できる。
(パネル回転軸15)
【0041】
図11の例では、エントランスパネル10が、その裏面側であってドア本体1と面する側の反対側において、パネル回転軸15を鉛直下方に突出させている。
(桟折曲片38)
【0042】
またパネル連結部36は、横桟30の他端側において、水平姿勢に折曲された桟折曲片38を有している。さらに桟折曲片38は、回転軸穴39を開口している。回転軸穴39にパネル回転軸15を挿入して、これを回転自在に支承することができる。これにより、エントランスパネル10を一端側で旋回自在に支承しつつ、他端側をパネル固定部で固定することができ、エントランスパネル10の固定作業をスムーズに行える。
【0043】
図8に示す例では、エントランスパネル10は、ストライク側縦枠21の正面側と当接する位置にパネル側突起17を設けている。またパネル側突起17には、突起側ねじ穴18を開口している。
【0044】
さらに
図9の断面図に示すように、縦枠
20の内部には、L字アングル部材19を設けている。L字アングル部材19には、パネル側突起17を縦枠正面側開口27に挿入した状態で、突起側ねじ穴18と同一直線上となるようにねじ穴19bを開口している。またL字アングル部材19は、
図5、
図8、
図9に示すように、縦枠側面側開口26の部位と、ストライク用開口28の部位とで、形状を異ならせている。
図9に示すL字アングル部材19は、パネル側突起17の手前側に設けている。この結果、ねじ40は、縦枠側面側開口26、ねじ穴19b、突起側ねじ穴18の順に挿入される。一方、
図5の断面図に示すように、ストライク用開口28の部位においては、ストライクを配置するため、干渉を避けるためL字アングル部材19’をパネル側突起17の背面側に配置している。この結果、ねじ40は、ストライク用開口28、突起側ねじ穴18、ねじ穴19b’の順に挿入される。
【0045】
一方ストライク側縦枠21は、正面側のパネル側突起17と当接する部位に、縦枠正面側開口27を開口している。パネル側突起17を縦枠正面側開口27に挿入した状態で、縦枠側面側開口26に突起側ねじ穴18を表出させる。これにより、ストライク側縦枠21の側面側から、縦枠側面側開口26から突起側ねじ穴18をねじ40で螺合することが可能となり、エントランスパネル10を固定するための開口部を目立たない位置に設けて施工後の見栄えを改善できる。
【0046】
なお、以上の例ではドア枠2の内、ストライク側縦枠21にエントランスパネル10を固定する例を示したが、この構成に限らず、ドア枠の内、蝶板側縦枠にエントランスパネルを固定してもよい。さらに、ドア枠はドア本体の四方を完全に囲む形態のみならず、例えば下枠のない、三方のみを囲むドア枠や、いずれか一方の縦枠のみのドア枠に対しても本願発明を適用できる。
[実施形態2]
【0047】
加えて、本発明はドアやドア枠のないパネルユニットのみで構成することもできる。この場合のパネルユニットは、建物の壁面に固定される。このような例を実施形態2に係るパネルユニット200として、
図15及び
図16に示す。これらの図において
図15はパネルユニット200の水平断面図、
図16は
図15のパネル10Bを展開した状態の水平断面図を、それぞれ示している。なお、上述した実施形態1と同じ部材については、同じ符号にBを付して詳細説明を省略する。これらの図に示すパネルユニット200は、建物の壁面に固定される縦枠20Bと、縦枠20Bの長さ方向に沿って互いに平行に離間して突出するよう固定された複数の横桟30Bと、横桟30Bに固定されるパネル10Bとを備える。縦枠20Bは、パネル10Bの固定用に設けられ、パネル10Bの側面の一方(
図15等においては右側)のみに設けられる。縦枠20Bは、アンカーボルト50B等を利用して壁面に固定される。また、横桟30Bと壁面との間の距離を調整するための高さ調整機構37bも、
図4等と同様に設けている。複数の横桟30Bは、
図6等と同様、互いに略平行な姿勢で縦枠20Bに固定されている。各横桟30Bは、長手方向の一端側に、縦枠20Bに固定する縦枠固定部34Bと、長手方向の他端側に、パネル10Bの一端を連結するパネル連結部36Bと、長手方向の中間に、背面に固定するための壁面固定部35Bを設けている。一方、縦枠20Bは、パネル10Bの他端を固定するためのパネル固定部を備える。このような構成により、縦枠20Bを利用して複数の横桟30Bを延伸させた上でパネル10Bを固定できるので、パネル10Bの位置決め作業を施工現場で容易に行える利点が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る建物用ドアユニット及びパネルユニットは、マンションなどのドアの脇に設けられる、インターホン、室名札、照明灯、新聞受け等を設けたエントランスパネルや袖パネル等に好適に利用できる。また本発明に係る建物用ドアユニット及びパネルユニットは、玄関枠に設置する構成に限らず、四方を囲んだ枠のない壁面においても、一方の縦枠を利用して設置することができる。加えて、本発明はドアのないパネルユニット単独としても用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
100…建物用ドアユニット;200…パネルユニット
1…ドア本体
2…ドア枠
4…袖壁
10…エントランスパネル;10B…パネル
11…パネル折曲部
12…パネル折曲部
13…上折曲片
14…下折曲片
15…パネル回転軸
17…パネル側突起
18…突起側ねじ穴
19、19’…L字アングル部材;19b、19b’…ねじ穴
20、20B…縦枠
21…ストライク側縦枠
22…蝶板側縦枠
23…上枠
24…下枠
25…蝶番
26…縦枠側面側開口
27…縦枠正面側開口
28…ストライク用開口
30、30B…横桟
31…上横桟
32…中横桟
33…下横桟
34、34B…縦枠固定部
35、35B…壁面固定部
36、36B…パネル連結部
37、37b…高さ調整機構
38…桟折曲片
39…回転軸穴
40…ねじ
50、50B…アンカーボルト
81…抜孔
82…プレート
83…永久磁石
92…ドア枠
93…突出部
94…エントランスパネル
95…係合片
96…袖壁
97…ねじ挿入孔
98…アンカ
99…ねじ