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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】水栓用カバー及び水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20220620BHJP
   E03C 1/044 20060101ALN20220620BHJP
【FI】
E03C1/042 E
E03C1/044
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018131461
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2020007843
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢口 翔平
(72)【発明者】
【氏名】国枝 秀樹
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-33676(JP,A)
【文献】特開2013-181301(JP,A)
【文献】特開平11-286978(JP,A)
【文献】特開2000-297445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/042
E03C 1/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み付けることによって筒状をなす半割管状の第1カバー及び半割管状の第2カバーからなるカバー本体と、前記カバー本体の端部に挿入するサイドカバーを備えた水栓用カバーであって、
前記第1カバー及び前記サイドカバーには、前記第1カバーに対する前記第2カバーの組み付け方向と反対方向に、前記第1カバーから前記サイドカバーが移動することを規制する第1規制部が設けられ、
前記第2カバー及び前記サイドカバーには、前記第2カバーに対する前記第1カバーの組み付け方向と反対方向に、前記第2カバーから前記サイドカバーが移動することを規制する第2規制部が設けられていることを特徴とする水栓用カバー。
【請求項2】
前記第1規制部は、前記サイドカバー及び前記第1カバーの一方に設けられた第1凸部と他方に設けられた第1凹部で構成され、
前記第2規制部は、前記サイドカバー及び前記第2カバーの一方に設けられた第2凸部と他方に設けられた第2凹部で構成され、
前記第1凸部には、前記第1凹部の内面に当接するとともに前記第1カバーに対する前記第2カバーの組み付け方向と交差する方向に延びる斜面が形成されており、
前記第2凸部には、前記第2凹部の内面に当接するとともに前記第2カバーに対する前記第1カバーの組み付け方向に交差する方向に延びる斜面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水栓用カバー。
【請求項3】
前記カバー本体の内周面は断面円形状に形成され、
前記サイドカバーは、前記カバー本体の内周面に当接する円筒状部を備えており、前記第1凸部及び前記第2凸部は、前記円筒状部の外周面から径方向外方へ突出していることを特徴とする請求項2に記載の水栓用カバー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の水栓用カバーを備えた水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓用カバー及び水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水栓本体を被覆する水栓用カバーを備えたカバー水栓に係る発明が記載されている。ここに記載される水栓用カバーは、水栓本体の略全体を被覆する前側カバー体と、壁側に取り付けられて水栓本体の背面を被覆する後側カバー体と、前側カバー体及び後側カバー体の側面を封止するサイドキャップを備えている。水栓用カバーは、後側カバー体の上下の端縁部に前側カバー体の上下の後端縁部を係合し、前側カバー体及び後側カバー体の両側縁部にサイドキャップを挿入して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-131546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載される前側カバー体及び後側カバー体の上記係合関係では水栓用カバーの剛性が十分でなく、例えば、前側カバー体に荷重をかけたような場合に、前側カバー体が後側カバー体から外れやすいといった問題があった。本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、剛性に優れた水栓用カバー、及びこの水栓用カバーを備えた水栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の水栓用カバーは、互いに組み付けることによって筒状をなす半割管状の第1カバー及び半割管状の第2カバーからなるカバー本体と、前記カバー本体の端部に挿入するサイドカバーを備えた水栓用カバーであって、前記第1カバー及び前記サイドカバーには、前記第1カバーに対する前記第2カバーの組み付け方向と反対方向に、前記第1カバーから前記サイドカバーが移動することを規制する第1規制部が設けられ、前記第2カバー及び前記サイドカバーには、前記第2カバーに対する前記第1カバーの組み付け方向と反対方向に、前記第2カバーから前記サイドカバーが移動することを規制する第2規制部が設けられている。
【0006】
上記の構成によれば、水栓用カバーは、半割管状の第1カバーと半割管状の第2カバーからなる筒状のカバー本体と、カバー本体の端部に挿入されるサイドカバーを備えている。第1カバー及びサイドカバーに設けられた第1規制部により、第2カバーの組み付け方向とは反対方向へのサイドカバーの移動が規制され、第2カバー及びサイドカバーに設けられた第2規制部により、第1カバーの組み付け方向とは反対方向へのサイドカバーの移動が規制されている。つまり、サイドカバーは、第1規制部及び第2規制部により、第1カバー及び第2カバーがそれぞれの抜け方向へ移動することを規制している。したがって、第1カバー及び第2カバーは、サイドカバーを介して抜け方向への移動が規制され、サイドカバーを介して第1カバー及び第2カバーが強固に組み付けられている。剛性に優れた水栓用カバーが得られる。
【0007】
上記の構成において、前記第1規制部は、前記サイドカバー及び前記第1カバーの一方に設けられた第1凸部と他方に設けられた第1凹部で構成され、前記第2規制部は、前記サイドカバー及び前記第2カバーの一方に設けられた第2凸部と他方に設けられた第2凹部で構成され、前記第1凸部には、前記第1凹部の内面に当接するとともに前記第1カバーに対する前記第2カバーの組み付け方向と交差する方向に延びる斜面が形成されており、前記第2凸部には、前記第2凹部の内面に当接するとともに前記第2カバーに対する前記第1カバーの組み付け方向に交差する方向に延びる斜面が形成されている。
【0008】
上記構成によれば、第1凸部と第1凹部との係合、第2凸部と第2凹部との係合により、第1カバー及び第2カバーのサイドカバーからの移動が規制される。第1凸部と第1凹部の係合、第2凸部と第2凹部との係合は、それぞれ第2カバーの組み付け方向と交差する方向に延びる斜面、第1カバーの組み付け方向と交差する方向に延びる斜面により構成されている。簡単な構成により剛性に優れた水栓用カバーが得られる。
【0009】
上記構成において、前記カバー本体の内周面は断面円形状に形成され、前記サイドカバーは、前記カバー本体の内周面に当接する円筒状部を備えており、前記第1凸部及び前記第2凸部は、前記円筒状部の外周面から径方向外方へ突出している。
【0010】
上記構成によれば、第1カバーと第2カバーとの相対回転がサイドカバーを介して規制される。抜け方向への移動のみならず、回転方向への移動も規制される。また、各カバーが外力を受けて変形することが抑制される。より剛性に優れた水栓用カバーが得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、剛性に優れた水栓用カバーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の水栓の斜視図。
図2】水栓用カバーの分解斜視図。
図3】水栓用カバーの組み付け方法について説明する図。
図4】水栓用カバーの側面図。
図5】(a)、(b)は規制部の変更例について説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、浴室のシャワー付き混合水栓に適用される水栓用カバーの一実施形態について説明する。以下の説明では、水栓10の上下左右前後を、図1に示すように規定する。
図1に示すように、本実施形態の水栓10は、浴室の壁面11に取り付けられている。浴室には、壁面11から突出するように水用及び湯用の一対の配管15が設けられている。水栓10は、内部に図示しない水栓本体が収容された合成樹脂製で筒状の水栓用カバー12を備えており、一対の配管15からの湯水は水栓用カバー12内の水栓本体に供給される。また、水栓本体からの湯水は、水栓用カバー12の後側から突出するエルボ管を介して接続されたシャワーホース17、或いは、水栓用カバー12の下側から突出する吐水管16のいずれかから吐出されるように構成されている。水栓用カバー12の左側には温調ハンドル13が回動可能に取り付けられ、右側には切換ハンドル14が回動可能に取り付けられている。
【0014】
図2に示すように、水栓用カバー12は、互いに組み付けることによって筒状をなす半割管状の後側カバー20及び半割管状の前側カバー30からなるカバー本体と、筒状のカバー本体の両端部にそれぞれ挿入される一対のサイドカバー40を備えている。
【0015】
後側カバー20は、水栓10の後側で図示しない水栓本体の略後半側を被覆している。図2及び図3に示すように、後側カバー20は上面20a、後面20b及び下面20cを有する側断面視略C字状に形成されており、左右方向側端縁には、上面20aの前端縁と下面20cの前端縁を連結するような形状の一対の側面20dが形成されている。後面20bには、一対の配管15がそれぞれ挿通する一対の配管用開口21と、シャワーホース17を接続するエルボ管が挿通する第1吐出口22が形成されている。下面20cには、前側カバー30を組み付けたときに前側カバー30とともに吐水管16が挿通する第2吐出口を形成するための第2吐出部23が形成されている。また、上面20aの前端縁には、後に説明する前側カバー30の係止凸部32が係止する被係止凹部24が左右方向に3箇所形成されている。さらに、下面20cの前端縁には、後に説明する前側カバー30の被係止凹部33に係止する係止凸部25が左右方向に2箇所形成されている。
【0016】
図3に示すように、後側カバー20の側面20dの前端縁は、後方へ凹む略円弧状に形成されており、側面20dの他の部分に比べて肉厚の肉厚部26が上下方向に伸びるように形成されている。図2及び図3に示すように、肉厚部26には、前方に開口し側面20dの前端縁から後方へ凹む被係合凹部27、28が上下方向に並設されている。被係合凹部27、28の内面形状は、後に説明するサイドカバー40の係合凸部42、43の外面形状と同形状であり、僅かに大きく形成されている。
【0017】
図3に示すように、被係合凹部27、28は、上下方向の高さ寸法が後方に行くほど大きくなるように凹設されている。そして、被係合凹部27、28において上下方向に対向する上面27a、28aと下面27b、28bは互いに非平行に延びている。上面27a、28a及び下面27b、28bの少なくとも一方は、後側カバー20に対する前側カバー30の組み付け方向(図3に矢印Aで示す方向)に対して交差する方向に延びている。本実施形態では、上側の被係合凹部27の上面27a及び下側の被係合凹部28の下面28bが、矢印Aに対して交差する方向に延びている。上側の被係合凹部27の下面27b及び下側の被係合凹部28の上面28aは、矢印Aと略同一方向に延びている。
【0018】
図2に示すように、前側カバー30は、水栓10の前側で水栓本体の略前半側を被覆している。図2及び図3に示すように、前側カバー30は全体が曲面形状の側断面視略C字状に形成されている。ここでは便宜上、前側カバー30の上方側の面を上面30a、前方側の面を前面30b、下方側の面を下面30cと言うものとする。下面30cには、後側カバー20の第2吐出部23とともに第2吐出口を形成するための第2吐出部31が形成されている。上面30aの後端縁には、後側カバー20の被係止凹部24に係止する係止凸部32が左右方向に3箇所形成されている。また、下面30cの後端縁には、後側カバー20の係止凸部25が係止する被係止凹部33が左右方向に2箇所形成されている。
【0019】
図2及び図3に示すように、前面30bの左右方向両端部には、左右方向両端縁から左右方向に一定幅で切り欠かれた形状の被係合凹部34が形成されている。被係合凹部34が形成された部分の形状は、後に説明するサイドカバー40の係合凸部44と同形状であり、僅かに大きく形成されている。
【0020】
図3に示すように、被係合凹部34は、上下方向の高さ寸法が後方へ行くほど小さくなるように形成されている。そして、被係合凹部34において上下方向に対向する上面34a及び下面34bは、前側カバー30に対する後側カバー20の組み付け方向(図3に矢印Bで示す方向)に対して交差する方向に延びている。具体的には、上面34aは後方へ行くほど下方へ傾斜する斜面として形成され、下面34bは後方へ行くほど上方へ傾斜する斜面として形成されている。
【0021】
図2に示すように、サイドカバー40は略円筒形状に形成されている。カバー本体に取り付けられる左右一対のサイドカバー40は、互いに左右反転した同形状の部材であるため、ここでは右側のサイドカバー40について説明する。右側のサイドカバー40には、左側から順に、略半円筒形状の挿入部45、略円筒形状の筒状部41、切換ハンドル14が回動可能に取り付けられる円筒形状の取着部46が形成されている。挿入部45の前面には、前側カバー30の内周面に形成された図示しない被係止部に係止する係止部45aが形成されている。
【0022】
図2及び図3に示すように、筒状部41における後方側外周面には、後側カバー20の被係合凹部27、28に係合する係合凸部42、43が外方(後方)に向けて突出形成されている。また、筒状部41における前方側外周面には、前側カバー30の被係合凹部34に係合する係合凸部44が外方(前方)に向けて突出形成されている。
【0023】
図3に示すように、係合凸部42、43は、上下方向の高さ寸法が後方に行くほど大きくなるように突設されており、上下方向に対向する上面42a、43aと下面42b、43bは互いに非平行に延びている。上面42a、43a及び下面42b、43bの少なくとも一方は、矢印A方向に対して交差する方向に延びている。本実施形態では、上側の係合凸部42の上面42a及び下側の係合凸部43の下面43bが、矢印Aに対して交差する方向に延び、上側の係合凸部42の下面42b及び下側の係合凸部43の上面43aは、矢印Aと略同一方向に延びている。サイドカバー40が後側カバー20に組み付けられた状態では、係合凸部42、43の上面42a、43a及び下面42b、43bが、被係合凹部27、28の上面27a、28a及び下面27b、28bに当接する。
【0024】
図3に示すように、筒状部41の前方側外周面に突出形成された係合凸部44の上面44a及び下面44bは、矢印B方向に対して交差する方向に延びている。具体的には、上面44aは後方へ行くほど下方へ傾斜する斜面として形成され、下面44bは後方へ行くほど上方へ傾斜する斜面として形成されている。サイドカバー40が前側カバー30に組み付けられた状態では、係合凸部44の上面44a及び下面44bが被係合凹部34の上面34a及び下面34bに当接する。
【0025】
次に、水栓用カバー12の作用を、その組み付け方法とともに説明する。
図3に示すように、壁面11側に取り付けられた後側カバー20に対して前側カバー30を矢印A方向に組み付ける。このとき、後側カバー20の係止凸部25を、前側カバー30の被係止凹部33に係止し、後側カバー20の被係止凹部24に、前側カバー30の係止凸部32を係止する。これにより、後側カバー20に対して前側カバー30が組み付けられて位置決めされた筒状のカバー本体が形成される。
【0026】
続いて、筒状のカバー本体の両端部側方から、それぞれサイドカバー40を挿入する。挿入されたサイドカバー40は、挿入部45に形成された係止部45aが、前側カバー30の内周面の図示しない被係止部に係止され、挿入部45及び筒状部41がカバー本体に被覆されるとともに取着部46がカバー本体から外部に突出した形状に組み付けられる。そして、図4に示すように、サイドカバー40の筒状部41に形成された係合凸部42、43が、後側カバー20の肉厚部26に形成された被係合凹部27、28に対して側方から挿入されて係合する。また、サイドカバー40の筒状部41に形成された係合凸部44が、前側カバー30に形成された被係合凹部34に対して側方から挿入されて係合する。このとき、筒状部41の外周面は、カバー本体の内周面に当接している。
【0027】
図3に示すように、後側カバー20の上側の被係合凹部27の上面27a及び下側の被係合凹部28の下面28bは、前側カバー30の組み付け方向と交差する方向に延びている。そして、図4に示すように、サイドカバー40の上側の係合凸部42の上面42aは、被係合凹部27の上面27aに当接し、下側の係合凸部43の下面43bは、被係合凹部28の下面28bに当接している。そのため、サイドカバー40は、係合凸部42、43と被係合凹部27、28との係合により、前側カバー30の組み付け方向とは反対方向への移動が規制される。係合凸部42、43と被係合凹部27、28により、後側カバー20からサイドカバー40が移動することを規制する規制部が構成されている。
【0028】
また、前側カバー30の被係合凹部34の上面34a及びサイドカバー40の係合凸部44の上面44a、前側カバー30の被係合凹部34の下面34b及びサイドカバー40の係合凸部44の下面44bは、後側カバー20の組み付け方向と交差する方向に延びて互いに当接している。そのため、前側カバー30は、被係合凹部34と係合凸部44との係合により、後側カバー20の組み付け方向とは反対方向への移動が規制される。係合凸部44と被係合凹部34により、前側カバー30からサイドカバー40が移動することを規制する規制部が構成されている。
【0029】
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)後側カバー20とサイドカバー40は、被係合凹部27、28に対する係合凸部42、43の係合により、後側カバー20に対する前側カバー30の抜け方向への移動が規制されている。また、前側カバー30とサイドカバー40は、被係合凹部34に対する係合凸部44の係合により、前側カバー30に対する後側カバー20の抜け方向への移動が規制されている。
【0030】
そのため、後側カバー20及び前側カバー30は、サイドカバー40を介して抜け方向への移動が規制され、サイドカバー40を介して後側カバー20及び前側カバー30が強固に組み付けられている。剛性に優れた水栓用カバーが得られる。
【0031】
(2)係合凸部42の上面42aは、後側カバー20及び前側カバー30の組み付け方向と交差する方向に延びる斜面として形成されて被係合凹部27の上面27aと当接している。係合凸部43の下面43bと被係合凹部28の下面28bも同様である。
【0032】
そのため、後側カバー20及び前側カバー30は、凹部と凸部の係合といった簡単な構成で、組み付け方向と反対方向である抜け方向への移動が規制されている。サイドカバー40との間に複雑な係合構造やビス等の固定用の別部品が不要となる。
【0033】
(3)規制部を構成する係合凸部42、43、44は、サイドカバー40の筒状部41から外方に向けて突出形成されている。そのため、カバー本体側方からのサイドカバー40の組み付けが容易である。
【0034】
(4)サイドカバー40は、後側カバー20と前側カバー30が組み付けられてなるカバー本体の内周面に、筒状部41の外周面が当接して固定されている。そのため、後側カバー20及び前側カバー30とサイドカバー40との組み付け状態が安定する。
【0035】
(5)後側カバー20に前側カバー30を組み付けると、係止凸部32、25と被係止凹部24、33とが係止される。そのため、サイドカバー40を挿入する前に、後側カバー20及び前側カバー30が位置決めされて組み付け作業性が向上する。
【0036】
(6)前側カバー30とサイドカバー40との間に形成された規制部は、前側カバー30を切り欠いた形状の被係合凹部34を備えて構成されており、被係合凹部34に係合する係合凸部44は、水栓用カバー12の前方から視認可能とされている。そのため、係合凸部44の前面を、切換ハンドル14の操作方向を示す表示部等として活用することができる。また、規制部が設けられていても、その分の厚みの増加を抑制することができ、水栓用カバー12の大型化を抑制することができる。
【0037】
上記実施形態は、次のように変更できる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・上記実施形態のカバー本体は略円筒状に形成され、サイドカバー40の略円筒状の筒状部41と当接している。カバー本体及び筒状部41の形状はこれに限定されず、いずれも円筒状に形成されていてもよい。また、カバー本体の内周面のみが断面円形状に形成されていてもよい。このようにカバー本体の内周面とサイドカバー40の筒状部41の外周面が円形状であると、係合凸部42、43と被係合凹部27、28との係合、及び係合凸部44と被係合凹部34との係合により、後側カバー20及び前側カバー30の回転がサイドカバー40を介して規制される。後側カバー20及び前側カバー30の抜け方向への移動が規制されるのみならず回転方向への移動も規制される。
【0038】
・規制部の構成は凹凸関係のものに限定されない。例えば、後側カバー20及び前側カバー30がそれぞれサイドカバー40に対してビス止め等で固定されて抜け方向への移動が規制されていてもよい。
【0039】
・サイドカバー40の係合凸部42の上面42a及び下面42b、係合凸部43の上面43a及び下面43bの延びる方向は上記実施形態に限定されない。図5(a)に示すように、係合凸部42の下面42b及び係合凸部43の上面43aが、矢印A方向に対して交差する方向に延びており、上面42a及び下面43bが矢印Aと略同一方向に延びていてもよい。また、上面42a、43a及び下面42b、43bがすべて矢印Aと交差する方向に延びていてもよく、いずれか一つの面のみが交差する方向に延びていてもよい。この場合、対応する被係合凹部27、28の上面27a、28a及び下面27b、28bも同じ方向に延びて互いに当接していればよい。なお、図5ではサイドカバー40のみを示している。
【0040】
図5(a)に示すように、サイドカバー40の係合凸部44の上面44a及び下面44bのいずれか一方のみが矢印Bで示す方向に対して交差する方向に延びていてもよい。この場合、対応する被係合凹部34の上面34a及び下面34bも同様である。
【0041】
・係合凸部42、43及び被係合凹部27、28の形成位置及び個数は特に限定されない。1箇所であってもよく3箇所以上であってもよい。いずれの場合も、後側カバー20及び前側カバー30の抜け方向と交差する方向に延びる斜面が形成されていればよい。係合凸部44及び被係合凹部34についても同様に、形成位置及び個数は特に限定されない。例えば、図5(b)に示すように、係合凸部44がサイドカバー40の前方側ではなく、上下方向に1箇所ずつ形成されていてもよい。この場合、係合凸部44には、後側カバー20及び前側カバー30の抜け方向への移動を規制する斜面が、抜け方向に直交するように形成されていてもよい。
【0042】
・係合凸部42、43、44の少なくともいずれかは、上下方向の高さ寸法が前後方向に同じであってもよい。図5(b)には、係合凸部42、43の変更例について示す。この場合、対応する係合凸部42、43、44の形状も同様である。
【0043】
・後側カバー20及びサイドカバー40に設けられた規制部の凹凸関係が逆であってもよい。つまり、後側カバー20に係合凸部が形成され、サイドカバー40に当該係合凸部が係合する被係合凹部が形成されていてもよい。前側カバー30及びサイドカバー40に設けられた規制部についても同様である。
【0044】
・上記実施形態では、係合凸部42、43の上面42a、43a及び下面42b、43bが、被係合凹部27、28の上面27a、28a及び下面27b、28bに当接されているが、係合凸部42、43の外周面全体と被係合凹部27、28の内周面全体が当接していてもよい。また、係合凸部42、43の外周面の一部と被係合凹部27、28の内周面の一部が当接していてもよい。この場合、少なくとも、後側カバー20及び前側カバー30の抜け方向と交差する方向に延びる斜面が当接していればよい。
【0045】
・係合凸部42の上面42a、係合凸部43の下面43b、係合凸部44の上面44a及び下面44b、被係合凹部27の上面27a、被係合凹部28の下面28b、及び被係合凹部34の上面34a及び下面34bは、平坦面でなく、曲面状に形成されたり、凹凸形状に形成されたりしていてもよい。各面が、後側カバー20及び前側カバー30の抜け方向に規制する形状であればよい。
【0046】
・水栓用カバー12の外形状は、水栓本体を収容可能な筒状であれば特に限定されない。
・水栓用カバー12は、壁面11に対して後方の後側カバー20と前方の前側カバー30に分割された形状でなくてもよい。例えば、上下に分割された上側カバーと下側カバーで構成されていてもよい。この場合も、係合凸部42、43、44及び被係合凹部27、28、34に、上側カバー及び下側カバーの組み付け方向と反対方向への移動を規制する斜面が形成されていればよい。
【0047】
・後側カバー20及び前側カバー30を係止する係止凸部25、32、被係止凹部24、33の形成位置、形成個数は上記実施形態に限定されない。また、後側カバー20及び前側カバー30の左右方向全体に延びるように係止構造が形成されていてもよい。
【0048】
上記実施形態から把握される技術思想について以下に記載する。
(イ)サイドカバーはカバー本体の内周面に当接する筒状部を備えており、前記係合凸部は、前記筒状部の外周面から径方向外方へ突出している。
【符号の説明】
【0049】
12…水栓用カバー、20…後側カバー、27、28…被係合凹部(規制部)、27a…上面(斜面)、28b…下面(斜面)、30…前側カバー、34…被係合凹部(規制部)、34a…上面(斜面)、34b…下面(斜面)、40…サイドカバー、41…筒状部、42、43、44…係合凸部(規制部)。
図1
図2
図3
図4
図5