IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マブチモーター株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-減速機付きモータ 図1
  • 特許-減速機付きモータ 図2
  • 特許-減速機付きモータ 図3
  • 特許-減速機付きモータ 図4
  • 特許-減速機付きモータ 図5
  • 特許-減速機付きモータ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】減速機付きモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20220620BHJP
   F16H 57/039 20120101ALI20220620BHJP
   F16H 1/16 20060101ALN20220620BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H57/039
F16H1/16 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018177599
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020048388
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000113791
【氏名又は名称】マブチモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】菊地 悟志
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-188571(JP,A)
【文献】特開2005-231397(JP,A)
【文献】特開平9-201003(JP,A)
【文献】特開2003-056674(JP,A)
【文献】特開2017-158431(JP,A)
【文献】特開2011-033096(JP,A)
【文献】特開2012-111445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
F16H 57/039
F16H 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを有するモータと、
前記シャフトの外周面に固定された第1ギヤと、
前記モータの少なくとも一部及び前記第1ギヤをそれぞれ収容し、前記シャフトの先端を支持する支持面を有するケースと、
前記ケース内に配置され、前記第1ギヤを前記シャフトの基端側から支持する支持部材と、
前ケース及び前記支持部材内にそれぞれ配置された軸部材と、
を備える減速機付きモータ。
【請求項2】
前記ケースには、前記ケースの内部に連通し、内部に前記軸部材が配置された穴部が形成されている請求項1に記載の減速機付きモータ。
【請求項3】
前記支持部材における前記第1ギヤを支持する外面には、潤滑材を保持する保持部が形成されている請求項1又は2に記載の減速機付きモータ。
【請求項4】
前記支持部材には、内部に前記軸部材が配置された貫通孔が形成され、
前記支持部材における前記貫通孔の端部には、前記貫通孔の端に向かうに従い漸次、内径が大きくなる案内部が形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の減速機付きモータ。
【請求項5】
前記支持部材には、前記シャフトを前記シャフトの軸線に交差する方向に付勢する付勢部が設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の減速機付きモータ。
【請求項6】
前記支持部材の外面から突出し、前記ケースの内面に接触する突出部を備える請求項1から5のいずれか一項に記載の減速機付きモータ。
【請求項7】
前記第1ギヤは、ウォームであり、
前記ケースに対して、前記シャフトの軸線に交差する方向に沿う支持軸周りに回転可能に支持され、前記ウォームに噛み合うウォームホイールを備え、
前記ウォームと前記ウォームホイールとが噛み合う位置は、前記シャフトを挟んで前記軸部材とは反対側であって、前記軸部材よりも前記シャフトの先端側に位置している請求項1から6のいずれか一項に記載の減速機付きモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機付きモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ギヤケーシングにモータが接合された減速機付きモータが知られている。
例えば、特許文献1に開示された減速機付きモータでは、ギヤケーシング(ケース)のモータ取付け部に雌ネジ溝が形成されている。一方で、モータのモータケーシング外周面に雄ネジ溝が形成されている。ギヤケーシングの雌ネジ溝とモータケーシングの雄ネジ溝とを嵌め込むことにより、ギヤケーシングとモータとが接続される。
【0003】
一方で、特許文献2に開示された減速機付きモータでは、ヘリカルギヤを収容する円形の開口部を有するギヤケーシングと、ギヤケーシングの開口部を塞ぐ蓋と、を備えている。モータには嵌合部が設けられ、ギヤケーシングには被嵌合部が設けられている。ギヤケーシングの被嵌合部にモータの嵌合部を嵌め込むと、ギヤケーシングにモータが組み込まれる。そして、ギヤケーシングにモータを組み込んだときに、被嵌合部のギヤケーシング側非係合部と、嵌合部のモータ側被嵌合部とで形成される空間に、蓋に設けた係合突起を挿入する。これにより、モータ側被嵌合部とギヤケーシング側非係合部とが固定され、ギヤケーシングにモータが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-218922号公報
【文献】特許第5267372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータを駆動するとき等には、モータが備えるシャフトに、シャフトに沿う方向(スラスト方向)の両側の荷重が作用する。このスラスト方向の荷重のうち、シャフトの先端側の荷重はケース等で支持するが、シャフトの基端側の荷重は、モータが備えるモータケーシングで支持する。このため、ギヤケーシングとモータのモータケーシングとを強固に接続する必要がある。
この場合、ギヤケーシングとモータとの接続構造が複雑になり、減速機付きモータの製造に要するコストが高くなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、シャフトに作用するスラスト方向の両側の荷重を簡単な構成でケースに支持させて、ケースとモータとの接続を簡素化することができる減速機付きモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の減速機付きモータは、シャフトを有するモータと、前記シャフトの外周面に固定された第1ギヤと、前記モータの少なくとも一部及び前記第1ギヤをそれぞれ収容し、前記シャフトの先端を支持する支持面を有するケースと、前記ケース内に配置され、前記第1ギヤを前記シャフトの基端側から支持する支持部材と、前記ケース及び前記支持部材内にそれぞれ配置された軸部材と、を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明によれば、軸部材により、ケースに対して支持部材が固定されている。従って、ケースに対して支持部材を確実に固定することができる。そしてこの支持部材により、ケースに対して第1ギヤ及びシャフトがシャフトの基端側に移動するのが規制され、ケースの支持面により、ケースに対してシャフトがシャフトの先端側に移動するのが規制されている。このように、支持部材、軸部材、及びケースの支持面という簡単な構成で、シャフトにスラスト方向の両側に作用する荷重をケースにより支持することができる。
そして、モータはシャフトの基端側に向かって作用する荷重を支持する必要が無いため、ケースとモータとの接続を簡素化することができる。
【0009】
また、上記の減速機付きモータにおいて、前記ケースには、前記ケースの内部に連通し、内部に前記軸部材が配置された穴部が形成されていてもよい。
この発明によれば、ケースの内部の圧力を調節するための穴部を用いて、ケースに軸部材を介して支持部材を支持させることができる。
【0010】
また、上記の減速機付きモータにおいて、前記支持部材における前記第1ギヤを支持する外面には、潤滑材を保持する保持部が形成されていてもよい。
この発明によれば、支持部材に対して第1ギヤを滑りやすくする潤滑材を、保持部により保持することができる。
【0011】
また、上記の減速機付きモータにおいて、前記支持部材には、内部に前記軸部材が配置された貫通孔が形成され、前記支持部材における前記貫通孔の端部には、前記貫通孔の端に向かうに従い漸次、内径が大きくなる案内部が形成されていてもよい。
この発明によれば、減速機付きモータの製造時において、案内部により軸部材を貫通孔内に案内し、軸部材を貫通孔内に挿入しやすくすることができる。
【0012】
また、上記の減速機付きモータにおいて、前記支持部材には、前記シャフトを前記シャフトの軸線に交差する方向に付勢する付勢部が設けられていてもよい。
この発明によれば、前記交差する方向に付勢された状態でシャフトが回転するため、シャフトが回転するときにシャフトが振動したりシャフトから異音が発生するのを抑制することができる。
【0013】
また、上記の減速機付きモータにおいて、前記支持部材の外面から突出し、前記ケースの内面に接触する突出部を備えてもよい。
この発明によれば、第1ギヤにより荷重を受けた支持部材が軸部材周りに回転するのを抑えることができる。
【0014】
また、上記の減速機付きモータにおいて、前記第1ギヤは、ウォームであり、前記ケースに対して、前記シャフトの軸線に交差する方向に沿う支持軸周りに回転可能に支持され、前記ウォームに噛み合うウォームホイールを備え、前記ウォームと前記ウォームホイールとが噛み合う位置は、前記シャフトを挟んで前記軸部材とは反対側であって、前記軸部材よりも前記シャフトの先端側に位置していてもよい。
この発明によれば、ウォームホイールから入力される荷重の向きが、前記位置から軸部材に向かう向きにほぼ等しいため、ウォームホイールから入力される荷重を軸部材により効果的に支持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の減速機付きモータによれば、シャフトに作用するスラスト方向の両側の荷重を簡単な構成でケースに支持させて、ケースとモータとの接続を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の減速機付きモータの正面図である。
図2】同減速機付きモータの平面図である。
図3】同減速機付きモータの縦断面図である。
図4】同減速機付きモータの軸穴周辺の斜視図である。
図5】同減速機付きモータのスラスト受け及び固定軸の斜視図である。
図6】同スラスト受けの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る減速機付きモータの一実施形態を、図1から図6を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の減速機付きモータ1は、モータ11と、減速機21と、を備えている。
【0018】
図3に示すように、モータ11は、シャフト12と、モータケース13と、図示しないマグネットと、ロータと、を備えている。
シャフト12は、軸線が第1方向X(スラスト方向)に延びる棒状に形成されている。シャフト12の第1方向Xの第1の側(一方側)X1(先端側)の端部の外周面には、ウォーム(第1ギヤ)15が固定されている。ウォーム15の歯部は、第1方向Xに平行な軸を中心とする螺線状に形成されている。
モータケース13は、有底の円筒状に形成されている。モータケース13の外周面には、この外周面のうちの他の部分よりも外径が大きい係合部13aが形成されている。モータケース13内には、シャフト12の第1方向Xにおける第1の側とは反対の第2の側(他方側)X2(基端側)の端部が収容されている。
マグネットは、モータケース13の内周面に固定されている。ロータは、シャフト12の第2の側X2の端部に固定され、マグネットに対向している。
モータ11では、ロータに電流を流すと、マグネットに対してロータが回転することにより、モータケース13に対してシャフト12が軸線周りに回転する。
【0019】
図3に示すように、減速機21は、ギヤケーシング(ケース)22と、スラスト受け23と、固定軸(軸部材)24と、ウォームホイールユニット25と、カバー26(図1参照)と、を備えている。
ギヤケーシング22には、シャフト穴29、軸穴(穴部)30、及びギヤ穴31がそれぞれ形成されている。
シャフト穴29は、ギヤケーシング22の第2の側X2の外面に形成されている。シャフト穴29は、この外面から、第1方向Xの第1の側X1に延びている。シャフト穴29は、ギヤケーシング22を第1方向Xに貫通していない。シャフト穴29の底面(支持面)29aには、弾性、耐摩耗性、及び自己潤滑性を有する樹脂で形成された軸受け33が配置されている。
【0020】
ギヤケーシング22におけるシャフト穴29の開口周縁部には、モータ11の係合部13aに対して第1方向Xに係合する被係合部34が一対形成されている。被係合部34は、ギヤケーシング22に形成された爪である。なお、被係合部34は、ギヤケーシング22におけるシャフト穴29の開口周縁部に3つ以上形成されていてもよい。
一対の被係合部34は、第1方向Xに直交する第3方向Zにシャフト穴29を挟んで対向するように配置されている。モータ11は、前記開口周縁部との間に防水パッキン35を介在させた状態で(図1参照)、一対の被係合部34が係合部13aに係合することにより、ギヤケーシング22に取付けられている。モータ11の一部は、ギヤケーシング22に収容されている。なお、モータ11の全体がギヤケーシング22に収容されているとしてもよい。
【0021】
ギヤケーシング22のシャフト穴29内には、シャフト12の第1の側X1の端部及びウォーム15が収容されている。シャフト穴29の底面29aは、軸受け33を介してシャフト12の第1の側X1の端を支持している。
【0022】
なお、第1収容部であるシャフト穴29はギヤケーシング22を第1方向Xに貫通していないとしたが、第1収容部の内面にシャフト12を支持可能な支持面が形成されていれば、第1収容部はギヤケーシング22を貫通していてもよい。
【0023】
軸穴30は、ギヤケーシング22の外面から、第1方向X及び第3方向Zにそれぞれ直交(交差)する第2方向Yに延びるように形成されている。図1に示すように、この例では、軸穴30はギヤケーシング22を貫通していない。
図4に示すように、軸穴30は、軸穴30の内周面に形成された連通孔36を介して、ギヤ穴31内等のギヤケーシング22の内部に連通している。連通孔36は、軸穴30における第2方向Yの中間部に開口している。軸穴30及び連通孔36は、ギヤケーシング22の内部の圧力を調節するための穴である。
なお、軸穴30はギヤケーシング22を貫通していないとしたが、軸穴はギヤケーシング22を第2方向Yに貫通していてもよい。軸穴30に、空気は透過させるが水は透過させない半透膜を取付けてもよい。
【0024】
図3に示すように、ギヤ穴31は、ウォームホイールユニット25を収容するための凹部である。ギヤ穴31は、シャフト穴29の中心軸に対して軸穴30とは反対側に形成されている。ギヤ穴31は、シャフト穴29の第1の側X1の端部において、シャフト穴29に連通している。
ギヤ穴31の底面における中央部には、ウォームホイールユニット25を支持するための支持軸38が固定されている。支持軸38は、ギヤ穴31の底面から第2方向Yに延びている。
【0025】
図5及び図6に示すように、スラスト受け23は、支持部材41と、グリース溝(保持部)42と、付勢部43と、突出部44と、を備えている。
支持部材41は、直方体状に形成されている。図6に示す第2方向Yに見たときに、支持部材41の第3方向Zの第1の側は半円状を呈している。
図5及び図6に示すように、支持部材41の第3方向Zの第1の側には、切欠き41aが形成されている。切欠き41aは、支持部材41を第1方向Xに貫通している。切欠き41aは、支持部材41の第3方向Zの第1の側に開口している。
図5に示すように、支持部材41の第3方向Zの第2の側の端部には、貫通孔41bが形成されている。貫通孔41bは、第2方向Yに延び、支持部材41を第2方向Yに貫通する。
支持部材41における貫通孔41bの第2方向Yの端部には、案内部41cが形成されている。案内部41cは、貫通孔41bの前記端部における第2方向Yの端に向かうに従い漸次、内径が大きくなるように形成されている。
【0026】
図5及び図6に示すように、グリース溝42は、支持部材41の第1方向Xの第1の側X1を向く外面に形成されている。グリース溝42は、支持部材41の外面における貫通孔41bの縁部に配置されている。グリース溝42は、貫通孔41bよりも第3方向Zの第1の側に配置されている。グリース溝42内には、グリース等の潤滑材(不図示)が保持されている。なお、保持部は、潤滑材を吸着すること等により潤滑材を保持してもよい。
図6に示すように、付勢部43は支持部材41の切欠き41a内に、互いに第2方向Yに離間して一対配置されている。なお、図6中にシャフト12を二点鎖線で示している。
一対の付勢部43は、支持部材41の切欠き41a内の第3方向Zの第2の側の端に固定されている。一対の付勢部43は、第3方向Zの第1の側に向かうに従い漸次、互いに離間するように配置されている。
なお、スラスト受け23が備える付勢部43の数は特に限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0027】
図5に示すように、突出部44は、第3方向Zを厚さ方向とする板状に形成されている。突出部44は、支持部材41の第1方向Xの第2の側X2を向く外面から第2の側X2に向かって突出している。突出部44及び支持部材41は、第3方向Zの第2の側において互いに面一である。
スラスト受け23を構成する支持部材41、グリース溝42、付勢部43、及び一対の突出部44は、軸受け33と同一の材料で一体に形成されている。
図3に示すように、スラスト受け23は、ギヤケーシング22のシャフト穴29内に配置されている。
【0028】
図5に示すように、固定軸24は、ステンレス鋼等の金属により円柱状に形成されている。図6に示すように、シャフト12の外径、及びスラスト受け23の切欠き41aの第2方向Yの幅は、互いに同程度である。
図3に示すように、固定軸24は、ギヤケーシング22及びスラスト受け23の支持部材41内にそれぞれ配置されている。より具体的には、固定軸24は、ギヤケーシング22の軸穴30内、及び支持部材41の貫通孔41b内にそれぞれ配置されている。このため、スラスト受け23は、軸部材24によりギヤケーシング22に対して第1方向Xに固定されている。
図4に示すように、ギヤケーシング22の軸穴30内に配置された固定軸24が、ギヤケーシング22の連通孔36を塞がないように、固定軸24の長さが決められている。
【0029】
図3に示すように、スラスト受け23の支持部材41における第1の側X1を向く外面は、グリース溝42を介してウォーム15の第1方向Xの第2の側X2の端面に接触して、この端面を第2の側X2側から支持している。軸部材24によりギヤケーシング22に固定されたスラスト受け23の支持部材41は、ギヤケーシング22に対してウォーム15が第2の側X2に移動するのを規制している。突出部44は、シャフト穴29の第3方向Zの第2の側の内面(ギヤケーシング22の内面)に接触している。
支持部材41の切欠き41a内には、モータ11のシャフト12が配置されている(図6も参照)。一対の付勢部43は、シャフト12を第3方向Zの第1の側に付勢する。
【0030】
ウォームホイールユニット25では、大径ギヤ25aと小径ギヤ25bとが同軸に形成されている。大径ギヤ25aは、ウォームホイールである。小径ギヤ25bの種類は、特に限定されない。
ウォームホイールユニット25は、ギヤ穴31内に配置され、支持軸38によりギヤケーシング22に対して支持軸38周りに回転可能に支持されている。大径ギヤ25aの歯部は、支持軸38周りに複数形成されている。大径ギヤ25aの歯部は、ウォーム15の歯部に、位置P1で噛み合っている。位置P1は、シャフト12を挟んで固定軸24とは反対側であって、固定軸24よりも第1方向Xの第1の側X1に位置している。
なお、大径ギヤ25aとウォーム15とが噛み合う位置P1と、固定軸24と、の位置関係は、これに限定されない。
【0031】
図1に示すように、カバー26は円環状に形成されている。カバー26は、ギヤケーシング22におけるギヤ穴31の開口周縁部を覆っている。図1及び図2に示すように、カバー26の中心に形成された孔から、ウォームホイールユニット25の小径ギヤ25bが外部に突出している。
【0032】
なお、以上のように構成された減速機付きモータ1を製造する際に、スラスト受け23に固定軸24を挿入する工程について説明する。
ギヤケーシング22を第1方向Xの第1の側X1が下方となるように保持する。ギヤケーシング22のシャフト穴29内に、スラスト受け23を挿入する。この際に、シャフト穴29に対してスラスト受け23が下方に落ちていく。
ギヤケーシング22の軸穴30の位置まで、スラスト受け23の貫通孔41bが充分に落ち切らない場合がある。この場合であっても、貫通孔41bに案内部41cが形成されているため、案内部41cにより固定軸24が貫通孔41b内に案内される。
【0033】
次に、以上のように構成された減速機付きモータ1の動作について説明する。
モータ11を駆動してシャフト12を所定の向きに回転させると、シャフト12とともにウォーム15が回転する。ウォーム15に噛み合うウォームホイールユニット25の大径ギヤ25aが支持軸38周りに回転し、カバー26から外部に突出する小径ギヤ25bからトルクが出力される。この際に、大径ギヤ25aから入力される荷重の向きが、図3に示すように、位置P1から固定軸24に向かう向きAにほぼ等しい。
【0034】
ウォーム15により支持部材41が第1方向Xの第2の側X2の荷重を受けると、グリース溝42は、貫通孔41bよりも第3方向Zの第1の側に配置されているため、突出部44は固定軸24周りに第3方向Zの第2の側に移動するように回転しようとする。しかし、突出部44は、シャフト穴29の第3方向Zの第2の側の内面に接触しているため、この内面により回転するのが規制される。
スラスト受け23が弾性を有する材料で形成されているため、スラスト受け23が荷重を受けたときに、荷重による衝撃を吸収することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の減速機付きモータ1によれば、固定軸24により、ギヤケーシング22に対して支持部材41が固定されている。従って、ギヤケーシング22に対して支持部材41を確実に固定することができる。そしてこの支持部材41により、ギヤケーシング22に対してウォーム15及びシャフト12が第2の側X2に移動するのが規制され、ギヤケーシング22のシャフト穴29の底面29aにより、ギヤケーシング22に対してシャフト12が第1の側X1に移動するのが規制されている。このように、支持部材41、固定軸24、及びギヤケーシング22のシャフト穴29の底面29aという簡単な構成で、シャフト12に第1の側Xの両側に作用する荷重をギヤケーシング22により支持することができる。
そして、モータ11はシャフト12の第2の側X2に向かって作用する荷重を支持する必要が無いため、ギヤケーシング22とモータ11との接続を簡素化することができる。そして、減速機付きモータ1の製造コストを低減させ、減速機付きモータ1を軽量化することができる。
【0036】
ギヤケーシング22には、軸穴30が形成されている。このため、ギヤケーシング22の内部の圧力を調節するための軸穴30を用いて、ギヤケーシング22に固定軸24を介して支持部材41を支持させることができる。
支持部材41の第1の側X1を向く外面には、グリース溝42が形成されている。これにより、支持部材41に対してウォーム15を滑りやすくする潤滑材を、グリース溝42により保持することができる。
【0037】
支持部材41における貫通孔41bの端部には、案内部41cが形成されている。従って、減速機付きモータ1の製造時において、案内部41cにより固定軸24を貫通孔41b内に案内し、固定軸24を貫通孔41b内に挿入しやすくすることができる。
支持部材41には、一対の付勢部43が設けられている。第3方向Zの第1の側に付勢された状態でシャフト12が回転するため、シャフト12が回転するときにシャフト12が振動したりシャフト12から異音が発生するのを抑制することができる。
【0038】
スラスト受け23は、突出部44を備えている。従って、ウォーム15により荷重を受けた支持部材41が固定軸24周りに回転するのを抑えることができる。
大径ギヤ25aとウォーム15とが噛み合う位置P1は、シャフト12を挟んで固定軸24とは反対側であって、固定軸24よりも第1の側X1に位置している。大径ギヤ25aから入力される荷重の向きが、位置P1から固定軸24に向かう向きにほぼ等しいため、大径ギヤ25aから入力される荷重を固定軸24により効果的に支持することができる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、スラスト受け23は、グリース溝42、付勢部43、及び突出部44を備えなくてもよい。スラスト受け23の貫通孔41bに案内部41cが形成されなくてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 減速機付きモータ
11 モータ
12 シャフト
15 ウォーム(第1ギヤ)
22 ギヤケーシング(ケース)
24 固定軸(軸部材)
25a 大径ギヤ(ウォームホイール)
29a 底面(支持面)
30 軸穴(収容部)
38 支持軸
41 支持部材
41b 貫通孔
41c 案内部
43 付勢部
44 突出部
P1 位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6