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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】電解水生成装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 15/02 20210101AFI20220620BHJP
   C25B 1/26 20060101ALI20220620BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20220620BHJP
   C02F 1/461 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
C25B15/02
C25B1/26 C
C25B9/00 F
C02F1/461 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018177628
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020045551
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 義之
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-080687(JP,A)
【文献】特開平10-330981(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141329(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46-1/48
C25B 1/00-9/77,13/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極を配設した電解槽と、前記電解槽に被電解水を供給する被電解水供給管路と、前記電極に直流電圧を印加する電源装置と、前記電源装置の作動を制御する制御装置とを有した複数の電解水生成ユニットと、
前記複数の電解水生成ユニットを電解運転させて電解水を生成させる運転スイッチとを備え、
前記運転スイッチのオン操作によって、前記各制御装置は、各々の前記被電解水供給管路から各々の前記電解槽に供給される被電解水を、各々の前記電源装置によって前記電極に直流電圧を印加することで電気分解して電解水を生成するように制御した電解水生成装置であって、
前記複数の電解水生成ユニットの各々は、電解水を生成する電解条件の設定操作と電解状態の確認操作との少なくとも一方の操作をするための複数の操作スイッチを備え、前記複数の操作スイッチは前記設定操作と前記確認操作との少なくとも一方の操作開始時に前記設定操作と前記確認操作の少なくとも一方と関係の有る第1スイッチと、操作開始時の前記設定操作と前記確認操作とに無関係な第2スイッチとを備え、
前記複数のうちの1つの電解水生成ユニットの第2スイッチを操作したときに、前記第2スイッチを操作した前記1つの電解水生成ユニットが指定され、前記運転スイッチを操作したときにこの指定された前記1つの電解水生成ユニットだけを電解運転させて電解水を生成するように制御したことを特徴とする電解水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水を生成する電解水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、微酸性電解水を生成する電解水生成装置の発明が開示されている。この電解水生成装置は、一対の電極を配設した電解槽と、水道等の給水源から供給される原水を電解槽に供給する原水供給管路と、電解槽に供給される原水に塩酸を含む電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管路と、一対の電極に直流電圧を印加する電源装置とを備えている。この電解水生成装置は電解運転をさせて電解水を生成する運転スイッチを備え、運転スイッチのオン操作により、原水供給管路から供給される原水に電解質水溶液供給管路から供給される電解質水溶液を混合した被電解水が電解槽に供給され、被電解水は電源装置から一対の電極に印加された直流電圧によって電気分解されて微酸性電解水となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-237478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電解水生成装置では、一対の電極を配設した電解槽と、原水供給管路と、電解質水溶液供給管路と、一対の電極に直流電圧を印加する電源装置とを有した電解水生成ユニットを2つ備えるようにし、2つの電解水生成ユニットを用いることで電解水の生成量を増加させるようにしたものがある。2つの電解水生成ユニットを備えた電解水生成装置で運転スイッチのオン操作をすると、2つの電解水生成ユニットを同時に電解運転させて電解水を生成するように制御している。2つの電解水生成ユニットを備えた電解水生成装置で、各々の電解水生成ユニットで生成される電解水の性質を点検する必要があるときに、運転スイッチをオン操作しても2つの電解水生成ユニットの両方で電解水が生成され、各々の電解水生成ユニットで生成される電解水の性質を点検することができなかった。これに対し、各々の電解水生成ユニットに運転スイッチを設ければ、1つの電解水生成ユニットで電解水を生成させることができるものの、電解水生成装置のコストが高くなる問題があった。本発明は、複数の電解水生成ユニットを備えた電解水生成装置で、コストを高くすることなく、各々の電解水生成ユニットを個別に電解運転させて電解水を生成させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、一対の電極を配設した電解槽と、電解槽に被電解水を供給する被電解水供給管路と、電極に直流電圧を印加する電源装置と、電源装置の作動を制御する制御装置とを有した複数の電解水生成ユニットと、複数の電解水生成ユニットを電解運転させて電解水を生成させる運転スイッチとを備え、運転スイッチのオン操作によって、各制御装置は、各々の被電解水供給管路から各々の電解槽に供給される被電解水を、各々の電源装置によって電極に直流電圧を印加することで電気分解して電解水を生成するように制御した電解水生成装置であって、複数の電解水生成ユニットの各々は、電解水を生成する電解条件の設定操作と電解状態の確認操作との少なくとも一方の操作をするための複数の操作スイッチを備え、複数の操作スイッチは設定操作と確認操作との少なくとも一方の操作開始時に設定操作と確認操作の少なくとも一方と関係の有る第1スイッチと、操作開始時の設定操作と確認操作とに無関係な第2スイッチとを備え、複数のうちの1つの電解水生成ユニットの第2スイッチを操作したときに、第2スイッチを操作した1つの電解水生成ユニットが指定され、運転スイッチを操作したときにこの指定された1つの電解水生成ユニットだけを電解運転させて電解水を生成するように制御したことを特徴とする電解水生成装置を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した電解水生成装置においては、複数の電解水生成ユニットの各々は、電解水を生成する電解条件の設定操作と電解状態の確認操作との少なくとも一方の操作をするための複数の操作スイッチを備え、複数の操作スイッチは設定操作と確認操作との少なくとも一方の操作開始時に設定操作と確認操作の少なくとも一方と関係の有る第1スイッチと、操作開始時に設定操作と確認操作とに無関係な第2スイッチとを備え、複数のうちの1つの電解水生成ユニットの第2スイッチを操作したときに、第2スイッチを操作した1つの電解水生成ユニットが指定され、運転スイッチを操作したときにこの指定された1つの電解水生成ユニットだけを電解運転させて電解水を生成するように制御した。このように、操作開始時に設定操作と確認操作とに無関係な既存の第2スイッチを操作することで、第2スイッチを操作した1つの電解水生成ユニットを指定して、この指定した1つの電解水ユニットだけを電解運転させて電解水を生成させることができるようになるので、複数の電解水生成ユニットの1つだけを電解運転させるために、個別の運転スイッチを設けてコストが高くなるのを防ぐことができた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の電解水生成装置の概略図である。
図2】電解条件設定パネルを示す図である。
図3】運転操作パネルを示す図である。
図4】制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の電解水生成装置の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の電解水生成装置10は、被電解水を無隔膜の電解槽21A,21B内で電気分解することによって微酸性電解水を生成するものであり、特にpH5.0~6.5、有効塩素濃度10~80ppmの微酸性電解水を生成するものである。図1に示したように、電解水生成装置10は、ハウジング11内に第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bを備えている。第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bは、電解槽21A,21Bと、原水を供給する原水供給管路30A,30Bと、各原水供給管路30A,30Bから供給される原水に塩酸を含む電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管路40A,40Bと、各電解槽21A,21Bの電極22Aa,22Ab、22Ba,22Bbに直流電圧を印加する電源装置50A,50Bとを備えている。第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bは互いに同じ構成であるので、以後の説明では、第1電解水生成ユニット20Aについて説明し、第2電解水生成ユニット20Bについては第1電解水生成ユニット20Aの符号の後に括弧書きで記載する。
【0009】
電解槽21A(21B)は被電解水を電気分解するものである。電解槽21A(21B)は一室型の無隔膜電解槽であり、電解槽21A(21B)には一対の電極22Aa,22Ab(22Ba,22Bb)が配設されている。電解槽21A(21B)には水道等の給水源から原水を供給する原水供給管路30A(30B)と、電解槽21A(21B)で生成された微酸性電解水を注出する注出管路23A(23B)とが接続されている。
【0010】
原水供給管路30A(30B)には減圧弁31と通水弁32A(32B)が介装されている。給水源から送られる原水は減圧弁31によって圧力が下げられ、通水弁32A(32B)の開放によって電解槽21A(21B)に供給される。また、原水供給管路30A(30B)には温度センサ33A(33B)と流量計34A(34B)が介装されており、温度センサ33A(33B)は原水供給管路30A(30B)を通過する原水の温度を検出し、流量計34A(34B)は原水供給管路30A(30B)を通過する原水の流量を検出する。なお、この原水供給管路30A(30B)にはアルカリ度測定器を設け、アルカリ度測定器により原水のMアルカリ度を計測するようにしてもよい。
【0011】
原水供給管路30A(30B)には電解質水溶液供給管路40A(40B)が接続されている。電解質水溶液供給管路40A(40B)は電解質水溶液タンク41から電解質水溶液を原水供給管路30A(30B)に供給するものである。電解質水溶液タンク41内に貯えた電解質水溶液は少なくとも塩酸を含むものであり、この実施形態では飽和塩化ナトリウム水溶液に塩酸を所定濃度となるように調製したものである。なお、この実施形態では、電解水生成ユニット20A,20Bは共通の電解質水溶液タンク41から電解質水溶液が供給されるようになっているが、これに限られるものでなく、電解水生成ユニット20A,20Bの各々が電解質水溶液タンクを備えるようにし、電解水生成ユニット20A,20Bは各々の電解質水溶液タンクから電解質水溶液を供給されるようにしたものであってもよい。この特許請求の範囲に記載の被電解水供給管路は、この実施形態では原水供給管路30A(30B)と電解質水溶液供給管路40A(40B)とから構成されている。
【0012】
電解質水溶液供給管路40A(40B)には送出ポンプ(送出手段)42A(42B)が介装されており、電解質水溶液タンク41内の電解質水溶液は送出ポンプ42A(42B)の作動によって電解質水溶液供給管路40A(40B)を通って原水供給管路30A(30B)に送られる。送出ポンプ42A(42B)は流量可変型のポンプであり、パルス信号によるポンプのストローク数によって流量が調節されるようになっている。電解質水溶液タンク41内の電解質水溶液は原水のMアルカリ度によって異なる塩酸濃度の電解質水溶液が用いられる。具体的には、原水のMアルカリ度が20~40ppmのときには塩酸濃度が0.8wt%の電解質水溶液を用い、原水のMアルカリ度が40~60ppmのときには塩酸濃度が1.0wt%の電解質水溶液を用い、原水のMアルカリ度が60~80ppmのときには塩酸濃度が1.2wt%の電解質水溶液を用いるようにしている。
【0013】
電源装置50A(50B)は電解槽21A(21B)内の電極22Aa,22Ab(22Ba,22Bb)に直流電圧を印加して、電解槽21A(21B)内の被電解水を電気分解するものである。電源装置50A(50B)と電極22Ab(22Bb)との間には電流計51A(51B)が接続されており、電流計51A(51B)は電源装置50A(50B)から電極22Ab(22Bb)を接続する配線を流れる電流を計測することで、電解槽21A(21B)を流れる電解電流を計測するものである。電極22Aa,22Ab(22Ba,22Bb)の間には電圧計52A(52B)が接続されており、電圧計52A(52B)は電極22Aa,22Ab(22Ba,22Bb)に印加される電圧を計測することで、電解槽21A(21B)の電解電圧を計測するものである。
【0014】
図2に示したように、電解水生成装置10の第1電解水生成ユニット20(20B)は主として電解水を生成する条件を設定する電解条件設定パネル60A(60B)を備えており、電解条件設定パネル60A(60B)には表示部61A(61B)と操作スイッチ62A(62B)が設けられている。表示部61A(61B)は、電流値、電圧値または水温を表示させる表示パネル61Aa(61Ba)と、表示パネル61Aa(61Ba)に表示されている数値の種類を示す表示ランプ61Ab(61Bb)とを備えている。表示パネル61Aa(61Ba)には温度センサ33A(33B)により検出した原水の水温、電流計51A(51B)により計測した電流、電圧計52A(52B)により計測した電圧、設定した電流または電圧等を表示可能としている。表示ランプ61Ab(61Bb)は電圧、電流及び水温を表示させるランプを備え、表示ランプ61Ab(61Bb)で点灯している電圧、電流または水温が表示パネル61Aa(61Ba)に表示されるようになっている。
【0015】
操作スイッチ62A(62B)は電解水を生成する電解条件の設定操作と、電解状態の確認操作とに用いられるものであり、設定スイッチ62Aa(62Ba)と、表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)と、アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)とを備えている。設定スイッチ62Aa(62Ba)は設定電圧、設定電流等を変更する電解条件の設定操作に用いるスイッチであり、電解条件の設定操作の操作開始時に操作に関係のあるスイッチ、すなわち設定操作の操作開始時に操作機能を有しているスイッチである。
【0016】
表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)は主として電解状態の確認操作に用いられるスイッチであり、電解状態の確認操作の操作開始時に操作に関係のあるスイッチ、すなわち確認操作の操作開始時に操作機能を有しているスイッチである。
【0017】
アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)は、電解条件の設定操作の操作開始時と電解状態の確認操作の操作開始時に、設定操作と確認操作に無関係なスイッチ、すなわち設定操作の操作開始時と確認操作の操作開始時とに操作機能を有していないスイッチである。アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)は、電解条件の設定操作の操作開始時に設定スイッチ62Aa(62Ba)を押した状態とした後で操作に関係のあるスイッチ、すなわち操作機能を有するようになるスイッチである。また、このアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)は、第1電解水生成ユニット10Aまたは第2電解水生成ユニット10Bだけで電解運転をさせて電解水を生成するのに指定するスイッチに用いられている。
【0018】
電解条件の設定操作をするときに、設定スイッチ62Aa(62Ba)を押した状態とすると、表示パネル61Aa(61Ba)に電圧または電流の設定値が表示され、その時に表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)を押すと電圧または電流の設定値が増加し、アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)を押すと電圧または電流の設定値が減少する。また、設定スイッチ62Aa(62Ba)を押していないときには、表示ランプ61Ab(61Bb)には選択されている電圧、電流または水温が点灯表示され、表示パネル61Aa(61Ba)には選択されている電圧、電流または水温の計測値が表示されている。電解状態を確認する操作をするときには、表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)を押すと、表示ランプ61Ab(61Bb)に選択されている電圧、電流または水温が切り替えられ、表示パネル61Aa(61Ba)には切り替えられた電圧、電流または水温の計測値が表示される。
【0019】
図3に示したように、電解水生成装置10はハウジング11の前面に運転操作パネル70を備え、運転操作パネル70には運転スイッチ71が設けられている。運転スイッチ71は第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bを電解運転させて電解水を生成させるものである。上述したアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Acまたは62Bcを押してから運転スイッチ71をオン操作したときには、アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Acまたは62Bcを押して指定した第1または第2電解水生成ユニット20A,20Bを電解運転させて電解水を生成させるものである。
【0020】
図4に示したように、第1電解水生成ユニット20Aは制御装置80A(80B)を備えており、制御装置80A(80B)は、通水弁32A(32B)、温度センサ33A(33B)、流量計34A(34B)、送出ポンプ42A(42B)、電源装置50A(50B)、電流計51A(51B)、電圧計52A(52B)、電解条件設定パネル60A(60B)及び運転操作パネル70に接続されている。制御装置80A(80B)はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置80A(80B)は、ROMに微酸性電解水を生成する際の電解制御プログラムを備えており、電解制御プログラムは被電解水を電気分解するときの設定電流と設定電圧が微酸性電解水の要求特性を満たすように原水のMアルカリ度(アルカリ度)と電解質水溶液の塩酸濃度とに応じて設定されている。また、電解制御プログラムの設定電流と設定電圧は、原水のアルカリ度と電解質水溶液の塩酸濃度だけでなく、原水の温度にも応じて設定されている。
【0021】
この電解水生成装置10における電解制御プログラムを用いた微酸性電解水の生成について説明する。電解水生成装置10を設置したときには、制御装置80A及び80Bの電解制御プログラムに設置場所で測定した原水のMアルカリ度と、原水のMアルカリ度に対応した電解質水溶液の塩酸濃度を電解条件設定パネル60A(60B)の操作スイッチ62A(62B)の操作によって入力しておく。運転操作パネル70の運転スイッチ71を押動動作したときには、図示しない微酸性電解水の貯水タンク内の水位が低下したときに、第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bで電解運転をさせて微酸性電解水を生成するように制御している。
【0022】
第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bで電解運転をして微酸性電解水を生成するときには、制御装置80A(80B)は通水弁32A及び32Bを開放させ、給水源の原水が原水供給管路30A,30Bを通って電解槽21A,21Bに供給される。また、上述したように、微酸性電解水の要求特性を満たすために、予め入力した原水のMアルカリ度と電解質水溶液の塩酸濃度と、温度センサ33A,33Bによる検出水温に基づいて設定された設定電流と設定電圧となるように、制御装置80A,80Bは電圧計52A,52Bにより計測される電圧が設定電圧となるように電源装置50A,50Bによる電極22Aa,22Baに対する電圧の印可を制御するとともに、電流計51A,51Bにより計測される電流が設定電流となるように送出ポンプ42A,42Bによる電解質水溶液の流量を制御している。
【0023】
電解槽21A,21B内に供給される被電解水は電源装置50A,50Bから電極22Aaと22Ab、22Baと22Bbの間を流れる直流電流により電気分解され、アノード側で塩素イオンが次亜塩素酸となり、カソード側ではナトリウムイオンと水の反応で水酸化ナトリウムと水素ガスが発生する。また、カソード側で発生した水酸化ナトリウムは被電解水に含まれる塩酸によって中和され、生成された電解水は全体としてpHが5.0~6.5となる。このように、電解水生成装置10で生成される電解水は、pHが5.0~6.5で有効塩素濃度が10~80ppmの要求特性を満たした微酸性電解水となっている。
【0024】
電解制御プログラムの設定電流と設定電圧で被電解水を電気分解しても、電解槽21A及び21Bに配設される電極22Aaと22Ab、電極22Baと22Bbの電極特性により、生成される微酸性電解水の性質が上述した要求特性を満たさないときがある。この場合には、生成される微酸性電解水の性質が上述した要求特性を満たすように、電解条件設定パネル60A,60Bの操作スイッチ62A,62Bにより設定電流と設定電圧を変更する必要がある。
【0025】
第1電解水生成ユニット20Aの設定電圧、設定電流等の電解条件を変更するときには、必要に応じて表示切替/UPスイッチ62Abを押す操作をして電圧または電流を選択して、表示ランプ61Abの電圧ランプまたは電流ランプを点灯させた状態とし、設定スイッチ62Aaを押した状態を維持し、表示切替/UPスイッチ62Abまたはアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Acを押す操作をして、設定電圧及び/または設定電流を変更する。第2電解水生成ユニット20Bの設定電圧、設定電流等の電解条件を変更するときも第1電解水生成ユニット20Aと同様である。
【0026】
第1または第2電解水生成ユニット20A,20Bの設定電流と設定電圧を変更後に、第1または第2電解水生成ユニット20A,20Bで生成された微酸性電解水の性質を個別に確認する必要がある。このとき、運転操作パネル70の運転スイッチ71を押動動作しても、第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bの両方で電解運転をして微酸性電解水を生成することになり、第1電解水生成ユニット20Aまたは第2電解水生成ユニット20Bだけで電解運転して一方だけの微酸性電解水を生成することができない。
【0027】
この実施形態の電解水生成装置10においては、2つ(複数)の電解水生成ユニット20A,20Bの各々は、電解水を生成する電解条件の設定操作と電解状態の確認操作とのための操作スイッチ62A(62Aa~62Ac),62B(62Ba~62Bc)を備えている。操作スイッチ62Aa(62Aa~62Ac),62Ba(62Ba~62Bc)は電解水を生成する電解条件を設定する設定操作の操作開始時に設定操作に関係を有している設定スイッチ62Aa(62Ba)と、電解状態の確認をする確認操作の操作開始時に確認操作に関係を有している表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)と、電解条件の設定操作と電解状態の確認操作との操作開始時に設定操作と確認操作とに無関係なアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)とを備えている(設定スイッチと表示切替/UPスイッチが特許請求の範囲の第1スイッチに相当し、アスタリスクマーク/DOWNスイッチが特許請求の範囲の第2スイッチに相当する)。
【0028】
この電解水生成装置10においては、電解条件の設定操作と電解状態の確認操作の操作開始時に設定操作と確認操作とに無関係な既存の第1電解水生成ユニット20Aのアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Acを押す操作をしたときに、アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Acを押す操作をした第1電解水生成ユニット20Aが指定され、運転スイッチ71をオン操作したときにこの指定された第1電解水生成ユニット20Aだけを電解運転させて電解水を生成させるように制御している。同様に、第2電解水生成ユニット20Bのアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Bcを押す操作をしたときに、アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Bcを押す操作をした第2電解水生成ユニット20Bが指定され、運転スイッチ71をオン操作したときにこの指定された第2電解水生成ユニット20Bだけを電解運転させて電解水を生成させるように制御した。
【0029】
このように、電解状態の設定操作と電解状態の確認操作とに用いられている既存の操作スイッチ62A(62Aa~62Ac),62B(62Ba~62Bc)で、電解状態の設定操作の操作開始時と電解状態の確認操作の操作開始時にこれらの操作と無関係となっている既存のアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Acまたはアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Bcを第1電解水生成ユニット10Aまたは第2電解水生成ユニット10Bの単独の電解運転の指定に用いることができるので、各々の電解水生成ユニットに新たなスイッチを設けることなく、電解水生成装置10のコストアップとなるのを防ぐことができた。また、電解水生成ユニット20Aと電解水生成ユニット20Bとの一方だけを電解運転させて電解水を生成させることができるため、消費電力を抑えるようにして電解水生成装置10により微酸性電解水を生成させることができるようになった。
【0030】
この実施形態の電解水生成装置10は、複数の電解水生成ユニットとして、2つの電解水生成ユニット20A,20Bを備えているが、本発明はこれに限られるものでなく、複数の電解水生成ユニットとして、3つ以上の電解水生成ユニットを備えたものであってもよい。
【0031】
この実施形態の電解水生成装置10は、設定操作スイッチの第1スイッチとして設定スイッチ62Aa(62Ba)と表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)とを用い、設定操作スイッチの第2スイッチとしてアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)を用いたが、本発明はこれに限られるものでなく、第1スイッチには電解水を生成する電解条件の設定操作開始時と電解状態の確認操作開始時との少なくとも一方で関係を有している、すなわち操作機能を有していて、第2スイッチには電解水を生成する電解条件の設定操作の操作開始時と電解状態の確認操作の操作開始時とで無関係な、すなわち操作機能を有していないものを用いればよい。
【0032】
この実施形態の電解水生成装置10は微酸性電解水を生成するものであるが、本発明はこれに限られるものでなく、弱酸性電解水(弱アルカリ性電解水)、強酸性電解水(強アルカリ性電解水)を生成するものであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…電解水生成装置、20A,20B…電解水生成ユニット(第1または第2電解水生成ユニット)、21A,21B…電解槽、22Aa,22Ab,22Ba,22Bb…電極、30A,30B…原水供給管路、40A,40B…電解質水溶液供給管路、50A,50B…電源装置、62A,62B…操作スイッチ、62Aa,62Ab,62Ba,62Bb…第1スイッチ、62Ac,62Bc…第2スイッチ、80A,80B…制御装置。
図1
図2
図3
図4