(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】電解水生成装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20060101AFI20220620BHJP
C25B 9/00 20210101ALN20220620BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C25B9/00 C
(21)【出願番号】P 2018190720
(22)【出願日】2018-10-09
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 義之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 卓哉
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064595(JP,A)
【文献】特開平09-038652(JP,A)
【文献】特開平09-038651(JP,A)
【文献】特開平09-029256(JP,A)
【文献】特開2005-288424(JP,A)
【文献】米国特許第5445722(US,A)
【文献】特開2020-076117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/46-1/48
C25B1/00-9/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極を配設した電解槽と、給水源から供給される原水を前記電解槽に供給する原水供給管路と、前記電解槽に供給される原水に電解質水溶液タンクから電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管路と、前記電解質水溶液供給管路に介装されて電解質水溶液を送り出す送出ポンプと、前記電極に直流電圧を印加する電源装置と、前記電源装置の作動を制御する制御装置と、前記制御装置に操作信号を出力する操作スイッチとを有し、
前記制御装置は、前記送出ポンプを作動させることで前記電解質水溶液タンク内の電解質水溶液を前記電解質水溶液供給管路を通して前記原水供給管路を通る原水に混合させ、この原水に電解質水溶液を混合した被電解水を前記電解槽内にて前記電源装置によって前記直流電圧を印加することで電気分解して電解水を生成するように制御した電解水生成ユニットを複数備えた電解水生成装置であって、
前記複数の電解水生成ユニットの各々の前記電解質水溶液供給管路は共通の前記電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給され、
前記複数の電解水生成ユニットの各々の操作スイッチの1つから前記電解質水溶液供給管路内に残るエア抜きの操作信号が出力されたときに、全ての前記電解水生成ユニットで前記制御装置が前記送出ポンプを作動させるように制御したことを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
一対の電極を配設した電解槽と、給水源から供給される原水を前記電解槽に供給する原水供給管路と、前記電解槽に供給される原水に電解質水溶液タンクから電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管路と、前記電解質水溶液供給管路に介装されて電解質水溶液を送り出す送出ポンプと、前記電極に直流電圧を印加する電源装置と、前記電源装置の作動を制御する制御装置と、前記制御装置に操作信号を出力する操作スイッチとを有し、
前記制御装置は、前記送出ポンプを作動させることで前記電解質水溶液タンク内の電解質水溶液を前記電解質水溶液供給管路を通して前記原水供給管路を通る原水に混合させ、この原水に電解質水溶液を混合した被電解水を前記電解槽内にて前記電源装置によって前記直流電圧を印加することで電気分解して電解水を生成するように制御した電解水生成ユニットを複数備えた電解水生成装置であって、
前記複数の電解水生成ユニットの各々の前記電解質水溶液供給管路は互いに異なる前記電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給され、
前記複数の電解水生成ユニットの各々の操作スイッチの1つから前記電解質水溶液供給管路内に残るエア抜きの操作信号が出力されたときに、前記操作信号が出力されなかった前記電解水生成ユニットの制御装置はこれに対応した送出ポンプを作動させないように制御するとともに、前記操作信号が出力された前記電解水生成ユニットの制御装置はこれに対応した送出ポンプを作動させるように制御したことを特徴とする電解水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水を生成する電解水生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、微酸性電解水を生成する電解水生成装置の発明が開示されている。この電解水生成装置は、一対の電極を配設した電解槽と、水道等の給水源から供給される原水を電解槽に供給する原水供給管路と、電解槽に供給される原水に電解質水溶液タンクから電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管路と、電解質水溶液供給管路に介装されて電解質水溶液を送り出す送出ポンプと、一対の電極に直流電圧を印加する電源装置とを備えている。この電解水生成装置は電解運転をさせて電解水を生成する運転スイッチを備え、運転スイッチのオン操作により、原水供給管路から供給される原水に電解質水溶液供給管路から供給される電解質水溶液を混合した被電解水が電解槽に供給され、被電解水は電源装置から一対の電極に印加された直流電圧によって電気分解されて微酸性電解水となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電解水生成装置では、一対の電極を配設した電解槽と、原水供給管路と、電解質水溶液供給管路と、一対の電極に直流電圧を印加する電源装置とを有した電解水生成ユニットを2つ備えるようにし、2つの電解水生成ユニットを用いることで電解水の生成量を増加させるようにしたものがある。2つの電解水生成ユニットを備えた電解水生成装置では、2つの電解水生成ユニットの各電解質水溶液供給管路は共通の電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給されるようにしたものや、2つの電解水生成ユニットの各電解質水溶液供給管路は互いに異なる電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給されるようにしたものがある。電解質水溶液タンク内の電解質水溶液が空となると、電解質水溶液供給管路内に空気が流入するため、電解質水溶液タンクを交換した後で、送出ポンプを作動させて電解質水溶液供給管路内に溜まる空気を抜く必要がある。上記のように、2つの電解水生成ユニットの各電解質水溶液供給管路が共通の電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給されているもので、各電解質水溶液供給管路に介装されている各々の送出ポンプを個別に作動させるように操作したのでは、電解質水溶液供給管路内の空気抜きの操作が面倒であり、2つの電解水生成ユニットの各電解質水溶液供給管路が互いに異なる電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給されているもので、各電解質水溶液供給管路に介装されている各々の送出ポンプを同時に作動させるようにしたものでは、空気抜きをする必要のない電解質水溶液供給管路に介装した送出ポンプを無駄に作動させることになるおそれがあった。本発明は、複数の電解水生成ユニットを備えた電解水生成装置において、複数の電解水生成ユニットの各電解水供給管路の空気抜きを適切に実行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、一対の電極を配設した電解槽と、給水源から供給される原水を電解槽に供給する原水供給管路と、電解槽に供給される原水に電解質水溶液タンクから電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管路と、電解質水溶液供給管路に介装されて電解質水溶液を送り出す送出ポンプと、電極に直流電圧を印加する電源装置と、電源装置の作動を制御する制御装置と、制御装置に操作信号を出力する操作スイッチとを有し、制御装置は、送出ポンプを作動させることで電解質水溶液タンク内の電解質水溶液を電解質水溶液供給管路を通して原水供給管路を通る原水に混合させ、この原水に電解質水溶液を混合した被電解水を電解槽内にて電源装置によって直流電圧を印加することで電気分解して電解水を生成するように制御した電解水生成ユニットを複数備えた電解水生成装置であって、複数の電解水生成ユニットの各々の電解質水溶液供給管路は共通の電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給され、複数の電解水生成ユニットの各々の操作スイッチの1つから電解質水溶液供給管路内に残るエア抜きの操作信号が出力されたときに、全ての電解水生成ユニットで制御装置は送出ポンプを作動させるように制御したことを特徴とする電解水生成装置を提供するものである。
【0006】
複数の電解水生成ユニットの各々の電解質水溶液供給管路は共通の電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給されるようにした電解水生成装置においては、複数の電解水生成ユニットの各操作スイッチの何れか1つを操作するだけで、全ての電解水生成ユニットの送出ポンプを作動させることができ、複数の電解水生成ユニットの各電解質水溶液供給管路内の空気抜きの操作を面倒でないようにすることができた。
【0007】
また、本発明の他の実施形態では、一対の電極を配設した電解槽と、給水源から供給される原水を電解槽に供給する原水供給管路と、電解槽に供給される原水に電解質水溶液タンクから電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管路と、電解質水溶液供給管路に介装されて電解質水溶液を送り出す送出ポンプと、電極に直流電圧を印加する電源装置と、電源装置の作動を制御する制御装置と、制御装置に操作信号を出力する操作スイッチとを有し、制御装置は、送出ポンプを作動させることで電解質水溶液タンク内の電解質水溶液を電解質水溶液供給管路を通して原水供給管路を通る原水に混合させ、この原水に電解質水溶液を混合した被電解水を電解槽内にて電源装置によって直流電圧を印加することで電気分解して電解水を生成するように制御した電解水生成ユニットを複数備えた電解水生成装置であって、複数の電解水生成ユニットの各々の電解質水溶液供給管路は互いに異なる電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給され、複数の電解水生成ユニットの各々の操作スイッチの1つから電解質水溶液供給管路内に残るエア抜きの操作信号が出力されたときに、操作信号が出力されなかった電解水生成ユニットの制御装置はこれに対応した送出ポンプを作動させないように制御するとともに、操作信号が出力された電解水生成ユニットの制御装置はこれに対応した送出ポンプを作動させるように制御したことを特徴とする電解水生成装置を提供するものである。
【0008】
複数の電解水生成ユニットの各々の電解質水溶液供給管路は互いに異なる電解質水溶液タンクから電解質水溶液が供給されるようにした電解水生成装置においては、複数の電解水生成ユニットの各操作スイッチの何れか1つで電解質水溶液供給管路内に残るエア抜きの操作をすることで、操作スイッチによりエア抜きの操作をしてない電解水生成ユニットの送出ポンプを作動させることなく、操作スイッチによりエア抜きの操作をした電解水生成ユニットの送出ポンプだけを作動させることができ、エア抜きの不必要な電解水生成ユニットで送出ポンプを無駄に作動させるのを防ぐことができた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態の電解水生成装置の概略図である。
【
図5】本発明の第2実施形態の電解水生成装置の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の電解水生成装置の実施形態を添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の電解水生成装置10は、被電解水を無隔膜の電解槽21A,21B内で電気分解することによって微酸性電解水を生成するものであり、特にpH5.0~6.5、有効塩素濃度10~80ppmの微酸性電解水を生成するものである。
図1に示したように、第1実施形態の電解水生成装置10は、ハウジング11内に第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bを備え、第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bの各電解質水溶液供給管路40A,40Bは共通の電解質水溶液タンク41から電解質水溶液が供給されるようにしたものである。第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bは、電解槽21A,21Bと、原水を供給する原水供給管路30A,30Bと、各原水供給管路30A,30Bから供給される原水に塩酸を含む電解質水溶液を供給する電解質水溶液供給管路40A,40Bと、各電解槽21A,21Bの電極22Aa,22Ab、22Ba,22Bbに直流電圧を印加する電源装置50A,50Bとを備えている。第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bは同じ構成であるので、以後の説明では、第1電解水生成ユニット20Aについて説明し、第2電解水生成ユニット20Bについては第1電解水生成ユニット20Aの符号の後に括弧書きで記載する。
【0011】
電解槽21A(21B)は被電解水を電気分解するものである。電解槽21A(21B)は一室型の無隔膜電解槽であり、電解槽21A(21B)には一対の電極22Aa,22Ab(22Ba,22Bb)が配設されている。電解槽21A(21B)には水道等の給水源から原水を供給する原水供給管路30A(30B)と、電解槽21A(21B)で生成された微酸性電解水を注出する注出管路23A(23B)とが接続されている。
【0012】
原水供給管路30A(30B)には減圧弁31と通水弁32A(32B)が介装されている。給水源から送られる原水は減圧弁31によって圧力が下げられ、通水弁32A(32B)の開放によって電解槽21A(21B)に供給される。また、原水供給管路30A(30B)には温度センサ33A(33B)と流量計34A(34B)が介装されており、温度センサ33A(33B)は原水供給管路30A(30B)を通過する原水の温度を検出し、流量計34A(34B)は原水供給管路30A(30B)を通過する原水の流量を検出する。なお、この原水供給管路30A(30B)にはアルカリ度測定器を設け、アルカリ度測定器により原水のMアルカリ度を計測するようにしてもよい。
【0013】
原水供給管路30A(30B)には電解質水溶液供給管路40A(40B)が接続されている。電解質水溶液供給管路40A(40B)は電解質水溶液タンク41から電解質水溶液を原水供給管路30A(30B)に供給するものである。電解質水溶液タンク41内に貯えた電解質水溶液は少なくとも塩酸を含むものであり、この実施形態では飽和塩化ナトリウム水溶液に塩酸を所定濃度となるように調製したものである。この実施形態の電解水生成装置10では、第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bの各々の電解質水溶液供給管路40A(40B)は共通の電解質水溶液タンク41から電解質水溶液が供給されている。
【0014】
電解質水溶液供給管路40A(40B)には送出ポンプ(送出手段)42A(42B)が介装されており、電解質水溶液タンク41内の電解質水溶液は送出ポンプ42A(42B)の作動によって電解質水溶液供給管路40A(40B)を通って原水供給管路30A(30B)に送られる。送出ポンプ42A(42B)は流量可変型のポンプであり、パルス信号によるポンプのストローク数によって流量が調節されるようになっている。電解質水溶液タンク41内の電解質水溶液は原水のMアルカリ度によって異なる塩酸濃度の電解質水溶液が用いられる。具体的には、原水のMアルカリ度が20~40ppmのときには塩酸濃度が0.8wt%の電解質水溶液を用い、原水のMアルカリ度が40~60ppmのときには塩酸濃度が1.0wt%の電解質水溶液を用い、原水のMアルカリ度が60~80ppmのときには塩酸濃度が1.2wt%の電解質水溶液を用いるようにしている。
【0015】
電源装置50A(50B)は電解槽21A(21B)内の電極22Aa,22Ab(22Ba,22Bb)に直流電圧を印加して、電解槽21A(21B)内の被電解水を電気分解するものである。電源装置50A(50B)と電極22Ab(22Bb)との間には電流計51A(51B)が接続されており、電流計51A(51B)は電源装置50A(50B)から電極22Ab(22Bb)を接続する配線を流れる電流を計測することで、電解槽21A(21B)を流れる電解電流を計測するものである。電極22Aa,22Ab(22Ba,22Bb)の間には電圧計52A(52B)が接続されており、電圧計52A(52B)は電極22Aa,22Ab(22Ba,22Bb)に印加される電圧を計測することで、電解槽21A(21B)の電解電圧を計測するものである。
【0016】
図2に示したように、電解水生成装置10の第1電解水生成ユニット20(20B)は主として電解水を生成する電解条件を設定する設定操作パネル60A(60B)を備えており、設定操作パネル60A(60B)には表示部61A(61B)と操作スイッチ62A(62B)が設けられている。表示部61A(61B)は、電流値、電圧値または水温を表示させる表示パネル61Aa(61Ba)と、表示パネル61Aa(61Ba)に表示されている数値の種類を示す表示ランプ61Ab(61Bb)とを備えている。表示パネル61Aa(61Ba)には温度センサ33A(33B)により検出した原水の水温、電流計51A(51B)により計測した電流、電圧計52A(52B)により計測した電圧、設定した電流または電圧等を表示可能としている。表示ランプ61Ab(61Bb)は電圧、電流及び水温を表示させるランプを備え、表示ランプ61Ab(61Bb)で点灯している電圧、電流及び水温が表示パネル61Aa(61Ba)に表示されるようになっている。
【0017】
操作スイッチ62A(62B)は設定スイッチ62Aa(62Ba)と、表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)と、アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)とを備えている。設定スイッチ62Aa(62Ba)は設定電圧、設定電流等を変更するために用いるスイッチである。表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)は主として表示パネル61Aa(61Ba)に表示される計測電圧(設定電圧)、計測電流(設定電流)または計測水温を切り替え操作するためのスイッチである。また、表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)は、電解質水溶液供給管路40A,40Bに残る空気を抜くエア抜きを実行する操作スイッチとしても用いられている。アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)は、設定スイッチ62Aa(62Ba)を押したときに設定電圧または設定電流を減少させるのに用いられるスイッチである。
【0018】
図3に示したように、電解水生成装置10はハウジング11の前面に運転操作パネル70を備え、運転操作パネル70には運転スイッチ71が設けられている。運転スイッチ71は第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bを電解運転させて電解水を生成させるものである。
【0019】
電解条件の設定操作をするときに、設定スイッチ62Aa(62Ba)を押した状態とすると、表示パネル61Aa(61Ba)に電圧または電流の設定値が表示され、その時に表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)を押すと電圧または電流の設定値が増加し、アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Ac(62Bc)を押すと電圧または電流の設定値が減少する。また、設定スイッチ62Aa(62Ba)を押していないときには、表示ランプ61Ab(61Bb)には選択されている電圧、電流または水温が点灯表示され、表示パネル61Aa(61Ba)には選択されている電圧、電流または水温の計測値が表示されている。電解状態を確認する操作をするときには、表示切替/UPスイッチ62Ab(62Bb)を押すと、表示ランプ61Ab(61Bb)に選択されている電圧、電流または水温が切り替えられ、表示パネル61Aa(61Ba)には切り替えられた電圧、電流または水温の計測値が表示される。
【0020】
また、電解質水溶液供給管路40A,40Bに残る空気を抜くエア抜きを実行するときには、運転操作パネル70の運転スイッチ71を操作して、第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bの運転を停止させ、アスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Acまたはアスタリスクマーク/DOWNスイッチ62Bcを1~2秒間以上押し続ける所謂長押し操作をしてエア抜き操作信号を出力すると、第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bの送出ポンプ42A,42Bが両方とも一定時間作動する。電解質水溶液タンク41の電解質水溶液は両方の電解質水溶液供給管路40A,40Bに送られ、両方の電解質水溶液供給管路40A,40B内に残る空気が排出される。
【0021】
図4に示したように、第1(第2)電解水生成ユニット20Aは制御装置80A(80B)を備えており、制御装置80A(80B)は、通水弁32A(32B)、温度センサ33A(33B)、流量計34A(34B)、送出ポンプ42A(42B)、電源装置50A(50B)、電流計51A(51B)、電圧計52A(52B)、設定操作パネル60A(60B)及び運転操作パネル70に接続されている。また、第1電解水生成ユニット20Aの制御装置80Aは第2電解水生成ユニット20Bの制御装置80Bに接続されている。制御装置80A(80B)はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置80A(80B)は、ROMに微酸性電解水を生成する際の電解制御プログラムを備えており、電解制御プログラムは被電解水を電気分解するときの設定電流と設定電圧が微酸性電解水の要求特性を満たすように原水のMアルカリ度(アルカリ度)と電解質水溶液の塩酸濃度とに応じて設定されている。また、電解制御プログラムの設定電流と設定電圧は、原水のアルカリ度と電解質水溶液の塩酸濃度だけでなく、原水の温度にも応じて設定されている。
【0022】
この電解水生成装置10における電解制御プログラムを用いた微酸性電解水の生成について説明する。電解水生成装置10を設置したときには、制御装置80A,80Bの電解制御プログラムに設置場所で測定した原水のMアルカリ度と、原水のMアルカリ度に対応した電解質水溶液の塩酸濃度を設定操作パネル60A,60Bの操作スイッチ62A,62Bの操作によって入力しておく。運転操作パネル70の運転スイッチ71をオンさせたときには、第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bの制御装置80A,80Bは図示しない微酸性電解水の貯水タンク内の水位が低下したときに、各々の電解槽21A,21Bで電解運転をさせて微酸性電解水を生成するように制御している。
【0023】
第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bで電解運転をして微酸性電解水を生成するときには、制御装置80A,80Bは通水弁32A,32Bを開放させ、給水源の原水が原水供給管路30A,30Bを通って電解槽21A,21Bに供給される。また、上述したように、微酸性電解水の要求特性を満たすために、予め入力した原水のMアルカリ度と電解質水溶液の塩酸濃度と、温度センサ33A,33Bによる検出水温に基づいて設定された設定電流と設定電圧となるように、制御装置80A,80Bは電圧計52A,52Bにより計測される電圧が設定電圧となるように電源装置50A,50Bによる電極22Aa,22Baに対する電圧の印可を制御するとともに、電流計51A,51Bにより計測される電流が設定電流となるように送出ポンプ42A,42Bによる電解質水溶液の流量を制御している。
【0024】
電解槽21A,21B内に供給される被電解水は電源装置50A,50Bから電極22Aaと22Ab、22Baと22Bbの間を流れる直流電流により電気分解され、アノード側で塩素イオンが次亜塩素酸となり、カソード側ではナトリウムイオンと水の反応で水酸化ナトリウムと水素ガスが発生する。また、カソード側で発生した水酸化ナトリウムは被電解水に含まれる塩酸によって中和され、生成された電解水は全体としてpHが5.0~6.5となる。このように、電解水生成装置10で生成される電解水は、pHが5.0~6.5で有効塩素濃度が10~80ppmの要求特性を満たした微酸性電解水となっている。
【0025】
電解水生成装置10で微酸性電解水を一定量生成したときに、電解質水溶液タンク41内の電解質水溶液が無くなるため、電解質水溶液が満たされた新たな電解質水溶液タンク41に交換する必要がある。このとき、電解質水溶液供給管路40A,40Bには空気が残るようになっているので、両方の電解質水溶液供給管路40A,40Bのエア抜きの操作をする必要がある。
【0026】
この実施形態の電解水生成装置10では、空となった後で新たな電解質水溶液タンク41に交換した後で、2つ(複数)の電解水生成ユニット20A,20Bの各設定操作パネル60A,60Bの何れか1つから電解質水溶液供給管路40A,40B内に残るエア抜きの操作信号が出力されたときに、全ての電解水生成ユニット20A,20Bで制御装置80A,80Bが送出ポンプ42A,42Bを作動させるように制御した。具体的には、運転スイッチ71をオフとした状態で、電解水生成ユニット20A、20Bの設定操作パネル60A,60Bの表示切替/UPスイッチ62Ab,62Bbの一方だけを長押し操作してエア抜きの操作信号を出力すると、操作信号の出力されなかった第1電解水生成ユニット20Aの制御装置80Aは、送出ポンプ42Aを作動させて電解質水溶液供給管路40Aに残るエア抜きをするとともに、第2電解水生成ユニット20Bの制御装置80Bは、送出ポンプ42Bを作動させて電解質水溶液供給管路40Bに残るエア抜きをする。電解水生成ユニット20Bの設定操作パネル60Bの表示切替/UPスイッチ62Bbを長押し操作してエア抜きの操作信号を出力したときも同様である。このように2つの電解水生成ユニット20A,20Bの操作スイッチ62Aまたは各操作スイッチ62Bを操作するだけで、2つ(全て)の電解水生成ユニット20A,20Bの送出ポンプ42A、42Bを作動させることができ、2つの電解水生成ユニット20A,20Bの各電解質水溶液供給管路40A,40B内の空気抜きの操作が面倒でないようにすることができた。
【0027】
(第2実施形態)
図5に示したように、第2実施形態の電解水生成装置10も、ハウジング11内に第1及び第2電解水生成ユニット20A,20Bを備えている。この第2実施形態の電解水生成装置10では、2つの電解水生成ユニット20A,20Bの各々の電解質水溶液供給管路40A,40Bは互いに異なる電解質水溶液タンク41A,41Bに接続されている。この第2実施形態の電解水生成装置10においては、運転スイッチ71をオフとした状態で、空となった方の電解水生成ユニット20A,20Bの表示切替/UPスイッチ62Ab,62Bbを1~2秒間以上押し続ける所謂長押し操作をしてエア抜き操作信号を出力すると、操作信号の出力されなかった電解水生成ユニット20A,20Bの制御装置80A,80Bは、これに対応した送出ポンプ42A,42Bを作動させないように制御するとともに、操作信号の出力された電解水生成ユニット20A,20Bの制御装置80A,80Bは、これに対応した送出ポンプ42A,42Bだけを作動させるように制御した。
【0028】
具体的には、第1電解水生成ユニット20Aの電解質水溶液タンク41Aが空となり、第1電解水生成ユニット20Aの表示切替/UPスイッチ62Abを1~2秒間以上押し続ける所謂長押し操作をしてエア抜き操作信号を出力すると、第2電解水生成ユニット20Bの制御装置80Bは、これに対応した送出ポンプ42Bを作動させないように制御し、第1電解水生成ユニット20Aの制御装置80Aは、これに対応した送出ポンプ42Aだけを作動させるように制御する。また、第2電解水生成ユニット20Bの電解質水溶液タンク41Bが空となり、第2電解水生成ユニット20Bの表示切替/UPスイッチ62Bbを1~2秒間以上押し続ける所謂長押し操作をしてエア抜き操作信号を出力すると、第1電解水生成ユニット20Aの制御装置80Aは、これに対応した送出ポンプ42Aを作動させないように制御し、第2電解水生成ユニット20Bの制御装置80Bは、これに対応した送出ポンプ42Bだけを作動させるように制御する。
【0029】
このように、第1電解水生成ユニット20Aの電解質水溶液タンク41Aが空になったときに(括弧内は第2電解水生成ユニット20Bの電解質水溶液タンクBが空になったときである)、空となっていない電解質水溶液タンク41B(電解質水溶液タンク41A)の操作をしてない電解水生成ユニット20B(電解水生成ユニット20A)の送出ポンプ42A(送出ポンプ42A)を作動させることなく、操作をした電解水生成ユニット20A(電解水生成ユニット20B)の送出ポンプ42A(送出ポンプ42B)だけを作動させることができ、複数のうちの必要な電解水生成ユニットだけで電解質水溶液供給管路内の空気抜きの操作を実行させて、不必要な電解水生成ユニットでの電解質水溶液供給管路内の空気抜きの操作を実行させないようにすることができるようになった。
【0030】
これらの実施形態の電解水生成装置10は、複数の電解水生成ユニットとして、2つの電解水生成ユニット20A,20Bを備えているが、本発明はこれに限られるものでなく、複数の電解水生成ユニットとして、3つ以上の電解水生成ユニットを備えたものであってもよい。
【0031】
この実施形態の電解水生成装置10は微酸性電解水を生成するものであるが、本発明はこれに限られるものでなく、弱酸性電解水(弱アルカリ性電解水)、強酸性電解水(強アルカリ性電解水)を生成するものであってもよい。
【0032】
なお、第1及び第2実施形態の電解水生成装置10のエア抜き操作の設定を互いに変更可能としたものであってもよい。具体的には、第1実施形態の電解水生成装置10で、第2実施形態のように、各々の電解質水溶液供給管路40A,40Bに互いに異なる電解質水溶液タンク41A,41Bから電解質水溶液を供給するようにしたときに、設定操作パネル60A(60B)の各操作スイッチ62A(62B)を適宜設定変更の操作をして、複数のうちの必要な電解水生成ユニットだけで電解質水溶液供給管路内の空気抜きを実行させて、不必要な電解水生成ユニットでの電解質水溶液供給管路内の空気抜きを実行させないようにしてもよい。また、同様に、第2実施形態の電解水生成装置10で、第1実施形態のように、各々の電解質水溶液供給管路40A,40Bに共通の電解質水溶液タンク41から電解質水溶液を供給するようにしたときに、設定操作パネル60A(60B)の各操作スイッチ62A(62B)を適宜設定変更の操作をして、複数の電解水生成ユニットの全てで電解質水溶液供給管路内の空気抜きを実行させてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…電解水生成装置、20A,20B…電解水生成ユニット(第1または第2電解水生成ユニット)、21A,21B…電解槽、22Aa,22Ab,22Ba,22Bb…電極、30A,30B…原水供給管路、40A,40B…電解質水溶液供給管路、42A,42B…送出ポンプ、50A,50B…電源装置、62A,62B…操作スイッチ、80A,80B…制御装置。