(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】コンテンツ再生システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G10K 15/02 20060101AFI20220620BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20220620BHJP
H04L 67/02 20220101ALI20220620BHJP
【FI】
G10K15/02
H04R3/00 310
H04L67/02
(21)【出願番号】P 2018214617
(22)【出願日】2018-11-15
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】篠原 愛美
(72)【発明者】
【氏名】山口 彩乃
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-130099(JP,A)
【文献】特開2014-052833(JP,A)
【文献】特開2018-087872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00-15/12
H04L 67/02-67/025
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響データを含むコンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、
前記コンテンツ取得手段により取得される前記コンテンツの再生を開始してからユーザが入眠に至るまでの時間を推定する入眠時間推定手段と、
前記コンテンツ取得手段により取得された前記コンテンツを再生し、前記入眠時間推定手段により推定された時間に基づき、当該コンテンツの再生開始からの経過時間に応じて、当該コンテンツの再生における音量および再生速度の少なくとも一方を制御する再生制御手段と、
を備えることを特徴とする、コンテンツ再生システム。
【請求項2】
前記再生制御手段は、前記コンテンツの再生開始からの経過時間が予め定められた基準時間に達すると、当該コンテンツの音量を低下させることを特徴とする、請求項1に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項3】
前記再生制御手段は、前記コンテンツの再生開始からの経過時間が予め定められた基準時間に達すると、当該コンテンツの再生速度を低下させることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項4】
ユーザが入眠したことを判定する入眠判定手段をさらに備え、
前記再生制御手段は、前記コンテンツの再生中に前記入眠判定手段によりユーザが入眠したと判定された場合、当該コンテンツの再生を停止することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンテンツ再生システム。
【請求項5】
前記再生制御手段は、前記入眠判定手段によりユーザが入眠したと判定される前に前記コンテンツの再生が終了した場合、再生終了の直前の音量および再生速度で当該コンテンツを再度再生することを特徴とする、請求項4に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項6】
前記コンテンツの再生開始から前記入眠判定手段によりユーザが入眠したと判定されるまでの時間の情報を蓄積する蓄積手段をさらに備え、
前記入眠時間推定手段は、前記蓄積手段により蓄積された情報に基づいて、前記コンテンツの再生を開始してからユーザが入眠に至るまでの時間を推定することを特徴とする、請求項4に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項7】
音響データを含むコンテンツの再生を開始してからユーザが入眠に至るまでの時間を推定する入眠時間推定手段と、
再生に要する時間が前記入眠時間推定手段により推定された時間に対応する前記コンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、
前記コンテンツ取得手段により取得された前記コンテンツを再生し、前記入眠時間推定手段により推定された時間に基づき、当該コンテンツの再生開始からの経過時間に応じて、当該コンテンツの再生を制御する再生制御手段と、
を備えることを特徴とする、コンテンツ再生システム。
【請求項8】
ユーザが入眠したことを判定する入眠判定手段と、
前記コンテンツの再生開始から前記入眠判定手段によりユーザが入眠したと判定されるまでの時間の情報を蓄積する蓄積手段と、をさらに備え、
前記入眠時間推定手段は、前記蓄積手段により蓄積された情報に基づいて、前記コンテンツの再生を開始してからユーザが入眠に至るまでの時間を推定することを特徴とする、請求項7に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項9】
前記再生制御手段は、前記コンテンツの再生開始からの経過時間に応じて、当該コンテンツの再生における音量および再生速度の少なくとも一方を制御することを特徴とする、請求項7または請求項8に記載のコンテンツ再生システム。
【請求項10】
コンピュータに、
音響データを含むコンテンツの再生を開始してからユーザが入眠に至るまでの時間を推定する機能と、
再生に要する時間が前記機能により推定された前記時間に対応する前記コンテンツを取得する機能と、
取得された前記コンテンツを再生し、推定された前記時間に基づき、当該コンテンツの再生開始からの経過時間に応じて、当該コンテンツの再生における音量および再生速度の少なくとも一方を制御する機能と、
を実現させることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
音響データを含むコンテンツ(以下、音響コンテンツ)を再生する際に、ユーザの状況等に応じて音響コンテンツの再生時間が制限される場合がある。このような場合、制限された再生時間に応じた長さの音響コンテンツを選択して再生することが要請される場合がある。
【0003】
特許文献1には、設定された持続時間または可変持続時間中にコンテンツを消費しコンテンツアイテムの一部分が、ユーザがコンテンツを消費する、設定された持続時間内に伝送されるコンテンツペーシングサービスが開示される。特に、コンテンツアイテム内の標点が、ユーザのコンテンツ消費の持続時間が終わる前後に到達されるように、コンテンツが伝送されるレートが増加または減少されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
音響データを含むコンテンツを再生する際、ユーザの状況によっては、再生時間の長さだけでなく、音量や再生速度といった再生態様についても動的に制御したい場合がある。例えば、子供を寝かしつける際に朗読音声や楽曲等を再生する場合、眠気を催したときに続きが気になる場面が朗読されていたり、活気のある楽曲が演奏されていたりすると、かえって入眠の妨げになることが考えられるため、入眠の妨げにならないように音響コンテンツの再生を制御することが望まれる。
【0006】
本発明は、就寝時等に音響コンテンツを再生させると共に、就寝の妨げとならないように音響コンテンツの再生を制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明は、音響データを含むコンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、このコンテンツ取得手段により取得されるコンテンツの再生を開始してからユーザが入眠に至るまでの時間を推定する入眠時間推定手段と、コンテンツ取得手段により取得されたコンテンツを再生し、入眠時間推定手段により推定された時間に基づき、このコンテンツの再生開始からの経過時間に応じて、このコンテンツの再生における音量および再生速度の少なくとも一方を制御する再生制御手段と、を備えることを特徴とする。
より詳細には、再生制御手段は、コンテンツの再生開始からの経過時間が予め定められた基準時間に達すると、このコンテンツの音量を低下させる制御を行う。
また、再生制御手段は、コンテンツの再生開始からの経過時間が予め定められた基準時間に達すると、このコンテンツの再生速度を低下させる制御を行う。
また、上記の本発明において、ユーザが入眠したことを判定する入眠判定手段をさらに備える構成としても良い。そして、再生制御手段は、コンテンツの再生中に入眠判定手段によりユーザが入眠したと判定された場合、このコンテンツの再生を停止する。
さらに、再生制御手段は、入眠判定手段によりユーザが入眠したと判定される前にコンテンツの再生が終了した場合、再生終了の直前の音量および再生速度でこのコンテンツを再度再生するようにしても良い。
また、上記の本発明において、上記の入眠判定手段に加え、コンテンツの再生開始から入眠判定手段によりユーザが入眠したと判定されるまでの時間の情報を蓄積する蓄積手段をさらに備える構成としても良い。そして、入眠時間推定手段は、蓄積手段により蓄積された情報に基づいて、コンテンツの再生を開始してからユーザが入眠に至るまでの時間を推定する。
また、上記の目的を達成する他の本発明は、音響データを含むコンテンツの再生を開始してからユーザが入眠に至るまでの時間を推定する入眠時間推定手段と、再生に要する時間が入眠時間推定手段により推定された時間に対応するコンテンツを取得するコンテンツ取得手段と、このコンテンツ取得手段により取得されたコンテンツを再生し、入眠時間推定手段により推定された時間に基づき、このコンテンツの再生開始からの経過時間に応じて、このコンテンツの再生を制御する再生制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、上記の本発明において、ユーザが入眠したことを判定する入眠判定手段と、コンテンツの再生開始から入眠判定手段によりユーザが入眠したと判定されるまでの時間の情報を蓄積する蓄積手段と、をさらに備える構成としても良い。そして、入眠時間推定手段は、蓄積手段により蓄積された情報に基づいて、コンテンツの再生を開始してからユーザが入眠に至るまでの時間を推定する。
また、より詳細には、再生制御手段は、コンテンツの再生開始からの経過時間に応じて、このコンテンツの再生における音量および再生速度の少なくとも一方を制御する。
本発明は、コンピュータを制御して上述したシステムの各機能を実現するプログラム、またはコンピュータに上記の方法における各ステップに対応する処理を実行させるプログラムとしても実現される。このプログラムは、磁気ディスクや光ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して配信したりすることにより、提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、就寝時等に音響コンテンツを再生させると共に、就寝の妨げとならないように音響コンテンツの再生を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態によるコンテンツ再生システムの全体構成を示す図である。
【
図3】コンテンツサーバの機能構成を示す図である。
【
図4】端末装置による音響コンテンツ取得時の動作を示すフローチャートである。
【
図5】音響コンテンツを取得する際の操作画面の例を示す図であり、
図5(A)は、音響コンテンツの取得要求を行う際の操作画面の例を示す図であり、
図5(B)は、リストから音響コンテンツを選択する際の操作画面の例を示す図である。
【
図6】端末装置による音響コンテンツ再生時の動作を示すフローチャートである。
【
図7】音響コンテンツの再生の様子を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<システム構成>
図1は、本実施形態によるコンテンツ再生システムの全体構成を示す図である。コンテンツ再生システムは、端末装置100と、コンテンツサーバ200とを備える。端末装置100とコンテンツサーバ200とは、ネットワーク300を介して接続されている。端末装置100は、音響コンテンツを再生するデータ処理装置である。本実施形態において音響コンテンツとは、音響データを含むコンテンツであり、音響データと共に動画データや静止画データを有するコンテンツであっても良い。コンテンツサーバ200は、音響コンテンツを管理し、端末装置100からの要求に応じて提供するサーバである。
【0011】
ネットワーク300は、各装置の間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば、その種類は特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等として良い。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。また、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して各装置を接続するように構成しても良い。
【0012】
<端末装置の構成>
端末装置100は、コンテンツサーバ200から音響コンテンツを取得して再生する装置である。端末装置100は、ネットワーク300を介してコンテンツサーバ200とデータ交換することが可能な種々の情報機器により実現される。例えばパーソナル・コンピュータ(PC)、タブレット型端末やスマートフォン等の携帯型情報機器などであっても良いし、専用端末であっても良い。
【0013】
図2は、端末装置100の機能構成を示す図である。端末装置100は、入眠判定部110と、入眠情報蓄積部111と、入眠時間推定部120と、コンテンツ取得部130と、再生制御部140と、音響出力部141と、表示部150と、操作受け付け部160と、通信部170とを備える。以下、本実施形態では、睡眠状態へ移行することを「入眠」とも言う。また、「就寝」の語を、寝床に入ることを表す語としてのみ用い、睡眠状態へ移行する意味では用いない。
【0014】
入眠判定部110は、判定対象であるユーザが入眠したか否かを判定する。入眠判定部110は、ユーザの様子を検知し、その変化に基づいて入眠したか否かを判定する。ユーザの様子を表す指標(検知対象)としては、例えば、ユーザの動作やユーザが発する音声等が用いられる。具体的には、例えば、ユーザが寝返りを打つ動作、心拍数や体温等の生体情報、呼吸のリズムや深さ等を検知対象としても良い。検知方法としては、加速度センサを備えたスマートフォン等の携帯型情報機器を枕元や寝具上において置き、ユーザが寝返りを打つ動作を行った際に生じる寝具の動きを加速度センサで検知することにより、ユーザが入眠したか否かを判定しても良い。また、心拍数、体温、皮膚の導電率等を計測可能なウェアラブル端末を用い、これらの生体情報の変化を検知することにより、ユーザが入眠したか否かを判定しても良い。また、室内におけるWi-Fiの電波を用いて心拍や呼吸のパターンを検知することにより、ユーザが入眠したか否かを判定しても良い。また、室内に設置されたカメラを用いてユーザの映像を取得して解析することにより、ユーザが入眠したか否かを判定しても良い。その他、入眠判定部110による判定には、ユーザが入眠したか否かを判定するために用いられる種々の既存技術を用いて良い。
【0015】
入眠情報蓄積部111は、入眠判定部110の判定結果に基づき、音響コンテンツの再生を開始してからユーザが睡眠状態へ移行したと判定されるまでの時間を含むユーザの情報(以下、入眠情報)を記憶し蓄積する。入眠情報蓄積部111は、例えば、端末装置100に設けられた記憶装置(磁気ディスク装置や不揮発性メモリ等)により実現される。また、入眠情報蓄積部111を、端末装置100が接続可能な外部記憶装置により実現しても良い。
【0016】
入眠時間推定部120は、ユーザが音響コンテンツの再生を開始してから入眠するまでの時間(以下、入眠時間)を推定する。入眠時間の推定は、例えば、睡眠に関連すると考えられる種々の情報を用い、統計的手法により推定する。睡眠に関連する情報(以下、睡眠関連情報)としては、例えば、年齢、性別、就寝時刻、昼寝をした時刻および長さ、入浴から就寝するまでの時間、食事の後就寝するまでの時間、就寝前の一定時間内に行った運動の種類と時間等の情報が考えられる。具体的には、例えば、これらの睡眠関連情報と入眠時間とを対応付けたデータを格納したデータベースを構築しておき、ユーザの睡眠関連情報の類似度が最も高いデータにおける入眠時間をユーザの入眠時間の推定値としても良い。睡眠関連情報の類似度は、例えば、睡眠関連情報の各項目を要素とするベクトルで表現し、ベクトル間の類似度を判定する既存手法を用いて判断しても良い。なお、睡眠関連情報のデータベースは、端末装置100から接続可能な外部のデータベース・サーバにより提供しても良い。
【0017】
また、入眠情報蓄積部111に蓄積されるユーザ自身の入眠情報を用い、上記のデータベースを用いた推定結果を補正しても良い。例えば、入眠情報蓄積部111に蓄積された入眠情報が予め定められた日数分(第1の閾値)に達したことを条件として、データベースを用いて推定された入眠時間と入眠情報として記録された入眠時間との平均値を推定値としても良い。さらに、入眠情報が第1の閾値よりも多い予め定められた日数分(第2の閾値)に達したことを条件として、データベースを用いて推定される入眠時間に替えて、入眠情報として記録された入眠時間の平均値を推定値としても良い。
【0018】
コンテンツ取得部130は、入眠時間推定部120により推定された入眠時間に対応する再生時間の音響コンテンツをコンテンツサーバ200から取得する。コンテンツ取得部130は、まず、入眠時間推定部120により推定された入眠時間の情報をコンテンツサーバ200へ送信し、入眠時間に対応する音響コンテンツの情報(例えばリスト)をコンテンツサーバ200から取得する。入眠時間に対応する音響コンテンツは、再生時間と入眠時間との差が一定時間以内であるような音響コンテンツである。コンテンツ取得部130は、コンテンツサーバ200から受信した音響コンテンツの情報をユーザに提示し、ユーザによる選択を受け付ける。そして、コンテンツ取得部130は、ユーザにより選択された音響コンテンツをコンテンツサーバ200から取得する。
【0019】
再生制御部140は、コンテンツ取得部130により取得された音響コンテンツを再生する。また、再生制御部140は、入眠時間推定部120により推定された入眠時間に基づき、再生開始からの経過時間に応じて音響コンテンツの再生を制御する。また、再生制御部140は、入眠判定部110によりユーザが睡眠状態へ移行したと判定された場合に、音響コンテンツの再生を停止させる。
【0020】
再生制御部140による音響コンテンツの再生制御は、具体的には、音量を低下させたり、再生速度を遅くさせたりすることにより行われる。例えば、推定された入眠時間が20分であるとすると、音量を制御する例では、再生開始から10分経過した時点で音量を下げ、再生開始から15分経過した時点でさらに音量を下げるというような制御を行う。同様に、再生速度を制御する例では、再生開始から10分経過した時点で再生速度を遅くし、再生開始から15分経過した時点でさらに再生速度を遅くするというような制御を行う。音量の制御と再生速度の制御の一方のみを行うか、または両方を行うかは、ユーザが設定可能として良い。また、制御を実行する時間および制御内容(音量や再生速度をどれだけ変化させるか)は、ユーザが設定可能として良い。さらに、音響コンテンツの種類に応じて実行可能な制御を制限しても良い。例えば、テキストの朗読であれば、音量を小さくすると共に読み上げ速度を遅くしていき、楽曲であれば音量を小さくしていくが再生速度は変化させない等としても良い。
【0021】
音響出力部141は、再生制御部140により再生された音響コンテンツの音響出力を行う。音響出力部141は、例えば、端末装置100の内蔵スピーカにより実現される。また、音響出力部141を、ライン出力機構として構成し、外部スピーカやヘッドホン等を接続して音響出力を行うようにしても良い。
【0022】
表示部150は、コンテンツ取得部130によりコンテンツサーバ200から取得された音響コンテンツの情報(例えばリスト)やその他の種々の情報を表示する情報表示画面と、上記の各機能に対する実行指示の入力や設定の操作を受け付ける操作画面とを表示する装置である。表示部150は、例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置により実現される。
【0023】
操作受け付け部160は、表示部150に表示された操作画面に基づいてユーザが行う操作を受け付ける。操作受け付け部160は、ユーザによる操作デバイスに対する操作を受け付ける。操作デバイスとしては、例えば、マウス等のポインティング・デバイス、キーボード、タッチパネル等の既存の各種のデバイスを用いて良い。
【0024】
通信部170は、ネットワーク300を介してコンテンツサーバ200に接続するためのネットワーク・インターフェイスである。通信部170としては、利用可能なネットワークへの接続回線の種類に応じて、無線通信機や有線によるインターフェイスが用いられる。
【0025】
端末装置100は、データ処理および装置制御を行う処理装置を備える。処理装置は、例えば、CPU、ROM(Read Only Memory)および作業メモリであるRAMにより実現される。ROMには端末装置100の動作を制御するためのプログラムが記憶されており、CPUはROMからプログラムを読み込んで実行することにより各種の動作制御や処理を実行する。入眠判定部110、入眠時間推定部120、コンテンツ取得部130および再生制御部140の各機能は、この処理装置により実現される。
【0026】
<コンテンツサーバの構成>
コンテンツサーバ200は、音響コンテンツを管理し、端末装置100に提供するサーバである。コンテンツサーバ200は、ネットワーク300に接続された単体のサーバマシンにより実現しても良いし、ネットワーク300上に設けられた複数のサーバに機能を分散させた、いわゆるクラウド・サーバとして実現しても良い。
【0027】
図3は、コンテンツサーバ200の機能構成を示す図である。コンテンツサーバ200は、通信制御部210と、コンテンツ保持部220と、コンテンツ管理部230と、コンテンツ配信制御部240と、通信部250とを備える。
【0028】
通信制御部210は、端末装置100との間の通信を制御する。通信制御部210は、端末装置100から入眠時間の情報および音響コンテンツの要求を受信する。また、通信制御部210は、端末装置100に対して音響コンテンツの情報(例えばリスト)や音響コンテンツを送信する。
【0029】
コンテンツ保持部220は、音響コンテンツを保持する。コンテンツ保持部220により保持される音響コンテンツは、楽曲、音声コンテンツ、環境音等の様々な種類の音響データを含んで良い。
【0030】
コンテンツ管理部230は、コンテンツ保持部220に保持されている音響コンテンツを分類して管理する。また、コンテンツ管理部230は、各音響コンテンツを標準再生した場合の再生時間の情報を管理する。音響コンテンツは、例えば音響コンテンツの関連情報に基づいて分類される。関連情報として用いられる情報は、音響コンテンツの分類に用いることができる情報であれば良く、その内容や分類情報の粒度は特に限定されない。具体的には、関連情報として、例えば、楽曲か音声コンテンツか環境音かといった大まかな種別を含んでも良い。また、楽曲であれば、クラシックやポップスといった音楽の種類、作曲者、演奏者等の、楽曲の分類に用いられる情報を含んでも良い。また、音声コンテンツであれば、朗読やスピーチといったコンテンツの種類、物語や報道コンテンツといった朗読内容の種類、話者等の、音声コンテンツの分類に用いられる情報を含んでも良い。
【0031】
コンテンツ配信制御部240は、端末装置100からの要求に応じて、要求された条件に対応する音響コンテンツの情報(例えばリスト)を端末装置100へ返送する。また、コンテンツ配信制御部240は、端末装置100からの要求に応じて、指定された音響コンテンツをコンテンツ保持部220から読み出し、端末装置100へ返送する。
【0032】
通信部250は、ネットワーク300を介して端末装置100に接続するためのネットワーク・インターフェイスである。通信部250としては、利用可能なネットワークへの接続回線の種類に応じたインターフェイスが用いられる。
【0033】
<端末装置の音響コンテンツ取得時の動作>
図4は、端末装置100による音響コンテンツ取得時の動作を示すフローチャートである。端末装置100は、表示部150に操作画面を表示し、音響コンテンツの取得条件の入力を受け付ける(S401)。取得条件としては、再生しようとする音響コンテンツの種類等の情報(音響コンテンツの分類に用いられる情報)が入力される。端末装置100のコンテンツ取得部130は、入力された取得条件および入眠時間推定部120により推定された入眠時間の情報と共に、音響コンテンツの取得要求をコンテンツサーバ200へ送信する(S402)。なお、S401において、取得条件の一つとして、音響コンテンツの再生時間を入力しても良い。この場合、入眠時間推定部120は、入眠時間推定部120により推定された入眠時間に代えて、S401で入力された再生時間の情報をコンテンツサーバ200へ送信しても良い。
【0034】
コンテンツサーバ200は、端末装置100から音響コンテンツの取得要求を受信すると、コンテンツ配信制御部240が、要求と共に受信した取得条件や入眠時間の情報に基づき、これらの条件に対応する音響コンテンツのリストを作成し、端末装置100へ返送する。端末装置100は、コンテンツサーバ200から音響コンテンツのリストを受信すると、このリストを含む操作画面を表示部150に表示する(S403、S404)。ユーザは、表示部150に表示されたリストを参照し、再生する音響コンテンツを選択することができる。
【0035】
コンテンツ取得部130は、ユーザによる音響コンテンツの選択を受け付けると(S405)。選択された音響コンテンツの情報をコンテンツサーバ200へ送信する(S406)。これに応じて、コンテンツサーバ200は、選択された音響コンテンツをコンテンツ保持部220から読み出して端末装置100へ送信する。端末装置100のコンテンツ取得部130は、コンテンツサーバ200から送信された音響コンテンツを受信して記憶装置に保持する(S407)。
【0036】
<操作画面の例>
図5は、音響コンテンツを取得する際の操作画面の例を示す図である。
図5(A)は、音響コンテンツの取得要求を行う際の操作画面の例を示す図であり、
図5(B)は、リストから音響コンテンツを選択する際の操作画面の例を示す図である。
【0037】
音響コンテンツの取得要求を行う際に取得条件を入力するための操作画面151は、
図5(A)に示すように、条件表示部151aと、決定ボタン151bと、終了ボタン151cとを有する。条件表示部151aには、ユーザが操作デバイスを操作して入力した取得条件が表示される。
図5(A)に示す例では、ユーザの識別情報(図では「ユーザ」と表記された欄)および音響コンテンツの識別情報(図では「コンテンツ」と表記された欄)が入力された取得条件として表示される。
【0038】
音響コンテンツの識別情報は、特定の音響コンテンツを指定する情報ではなく、音響コンテンツの種類等の分類を特定する情報であっても良い。音響コンテンツの識別情報を入力する際には、例えば、コンテンツサーバ200のコンテンツ管理部230による分類に対応する分類リストをプルダウンメニュー等で表示し、表示された分類リストからユーザが特定の分類を選択するようにしても良い。
【0039】
操作画面151において、取得条件が入力された後に決定ボタン151bが選択されると、入力された取得条件およびユーザの識別情報により特定されるユーザの入眠時間の情報と共に、音響コンテンツの取得要求が、端末装置100からコンテンツサーバ200へ送信される。また、終了ボタン151cが選択されると、音響コンテンツの取得要求を送信することなく、操作画面151が閉じて操作が終了する。
【0040】
リストから音響コンテンツを選択するための操作画面152は、
図5(B)に示すように、リスト表示部152aと、決定ボタン152bと、終了ボタン152cとを有する。リスト表示部152aには、コンテンツサーバ200から受信した音響コンテンツのリストが表示される。このリストに含まれる音響コンテンツは、
図5(A)に示した操作画面151により入力された取得条件に対応する音響コンテンツである。ユーザは、操作デバイスを操作して、リストの中から音響コンテンツを選択する。
【0041】
操作画面152において、音響コンテンツが選択された後に決定ボタン152bが選択されると、選択された音響コンテンツを取得対象として指定する情報が、端末装置100からコンテンツサーバ200へ送信される。また、終了ボタン152cが選択されると、音響コンテンツを指定する情報を送信することなく、操作画面152が閉じて操作が終了する。
【0042】
<端末装置の音響コンテンツ再生時の動作>
図6は、端末装置100による音響コンテンツ再生時の動作を示すフローチャートである。本動作例において、端末装置100の再生制御部140は、2段階で音響コンテンツの再生を制御する。ここでは、再生制御部140は、再生制御として、音響コンテンツの再生速度および音量を変更するものとする。また、再生制御部140が音響コンテンツの再生を制御するタイミングとして、二つの基準時T1、T2が設定されている。
【0043】
端末装置100の再生制御部140は、ユーザによる音響コンテンツの再生開始の指示を受け付けて、コンテンツサーバ200から取得した音響コンテンツの再生を開始する(S601)。再生開始後の経過時間が第1基準時T1に達すると、再生制御部140は、音響コンテンツの再生速度および音量を変更する(S602、S603)。ここでは、音響コンテンツの再生速度を1段階遅くし、音量を1段階小さくする。
【0044】
次に、再生開始後の経過時間が第2基準時T2に達すると、再生制御部140は、再び音響コンテンツの再生速度および音量を変更する(S604、S605)。ここでは、音響コンテンツの再生速度をさらに1段階遅くし、音量をさらに1段階小さくする。これにより、第2基準時T2以降は、再生開始時の標準再生と比較して、音響コンテンツの再生速度が2段階遅くなり、音量が2段階小さくなる。
【0045】
この後、端末装置100の入眠判定部110により、ユーザが睡眠状態に移行したと判定されると(S606でYES)、再生制御部140は、音響コンテンツの再生を停止する(S608)。また、ユーザが睡眠状態に移行したと判定されない場合(S606でNO)、再生制御部140は、音響コンテンツの再生が終了するまでS605で制御された状態での再生を継続し、その後、停止する(S607、S608)。
【0046】
図7は、音響コンテンツの再生の様子を示すタイムチャートである。
図7に示す例は、
図6を参照して説明した動作の一例である。
図7に示すように、再生開始から第1基準時T1までの区間L1において、端末装置100の再生制御部140は、通常再生を行う。そして、第1基準時T1から第2基準時T2までの区間L2において、再生制御部140は、再生速度を1段階遅くし、音量を1段階小さくして音響コンテンツを再生する。さらに、第2基準時T2から入眠判定部110によりユーザが睡眠状態に移行したと判定された時点(図では「入眠時」と記載)までの区間L3において、再生制御部140は、再生速度をさらに1段階遅くし、音量をさらに1段階小さくして音響コンテンツを再生する。入眠判定部110によりユーザが睡眠状態に移行したと判定されることなく音響コンテンツの再生が終了した場合、第2基準時T2から音響コンテンツの再生が終了した時点までが区間L3となる。
【0047】
第1基準時T1および第2基準時T2は、適当な初期値を予め定めておいても良いし、ユーザが個別に設定しても良い。一例として、音響コンテンツを通常再生した場合の長さ(再生時間)をL0とし、L1=1/2L0、L2=1/2L1等のように初期値を設定しても良い。また、音響コンテンツを通常再生した場合の長さ(再生時間)を基準とするのではなく、第1基準時T1および第2基準時T2で変更された再生速度を考慮して、L1の長さを全体の長さの1/2、L2の長さを全体の長さの1/4等のように設定しても良い。なお、
図6および
図7を参照して説明した動作は例示に過ぎず、音響コンテンツの再生制御は、上記の内容に限定されない。例えば、再生速度や音量の変更は、3段階以上であっても良いし、1段階であっても良い。また、再生制御の段階に応じて再生速度および音量の一方のみを変更するような制御を行っても良い。
【0048】
また、
図6を参照して説明した動作例では、再生開始後の経過時間が第2基準時T2に達した後、音響コンテンツの再生中に入眠判定部110によりユーザが入眠したと判定された場合、音響コンテンツの再生を停止することとした(S606、S608参照)。これに対し、再生開始後の経過時間が第2基準時T2や第1基準時T1に達する以前であっても、入眠判定部110によりユーザが入眠したと判定された場合に、音響コンテンツの再生を停止するように制御しても良い。
【0049】
また、
図6を参照して説明した動作例では、入眠判定部110によりユーザが入眠したと判定されないうちに音響コンテンツの再生が終了した場合、そのまま停止することとした(S607、S608参照)。これに対し、音響コンテンツの再生動作を停止せず、繰り返し音響コンテンツを再生するようにしても良い。この場合、音響コンテンツの再生が終了する直前の音量および再生速度(
図6、
図7の例では、第2基準時T2以降の区間L3における音量および再生速度)で再生しても良い。
【0050】
<適用例>
本実施形態のコンテンツ再生システムは、就寝時、いわゆるオーディオ・ブック等のテキストが朗読された音声コンテンツや、心身をリラックスさせる楽曲等の音響コンテンツを再生する場合に適用し得る。また、本実施形態のコンテンツ再生システムは、ユーザ自身の就寝時だけでなく、乳幼児を寝かし付ける際に用いても良い。この場合、泣き出した乳幼児を泣き止ませ、リラックスさせて寝かし付けるような利用が考えられる。例えば、端末装置100に乳幼児の泣き声を検知する検知手段を設ける。この検知手段は、例えば、マイクロフォン等の音声データ取得装置と、泣き声を識別する検知処理部とで実現される。検知処理部の機能は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムを実行することにより実現される。検知手段が乳幼児の泣き声を検知すると、コンテンツ取得部130が、乳幼児を泣き止ませたりリラックスさせたりするために用意された音響コンテンツをコンテンツサーバ200から取得する。そして再生制御部140が、取得された音響コンテンツの再生制御を行う。泣き声に応じて音響コンテンツの再生制御を行う場合、乳幼児が泣き止んだ(泣き声が検知されなくなった)ことを条件として、音量や再生速度を変更するような制御を行っても良い。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。例えば、上記の実施形態では、入眠時間の推定方法として、初期的には睡眠関連情報のデータベースを参照して推定し、ユーザ自身の入眠情報が蓄積されるのに伴って、ユーザ自身の入眠情報に基づく推定に切り替える手法を説明した。これに対し、入眠時間の初期値として、ユーザが適当に設定した値を用いても良い。
【0052】
また、上記の実施形態では、端末装置100からの音響コンテンツの取得要求に対し、コンテンツサーバ200は、まず、取得条件に該当する音響コンテンツのリストを端末装置100へ返送し、このリストの中から選択された音響コンテンツを送信した。これに対し、音響コンテンツのリストを用いず、最初から端末装置100において特定の音響コンテンツを指定し、コンテンツサーバ200から取得するようにしても良い。また、端末装置100からの音響コンテンツの取得要求に対し、コンテンツサーバ200が、リストを作成せずに、提供する音響コンテンツを特定して端末装置100へ送信するようにしても良い。その他、本発明の技術思想の範囲から逸脱しない様々な変更や構成の代替は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
100…端末装置、110…入眠判定部、111…入眠情報蓄積部、120…入眠時間推定部、130…コンテンツ取得部、140…再生制御部、150…表示部、160…操作受け付け部、170…通信部、200…コンテンツサーバ、210…通信制御部、220…コンテンツ保持部、230…コンテンツ管理部、240…コンテンツ配信制御部、250…通信部、300…ネットワーク