(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20220620BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20220620BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20220620BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20220620BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20220620BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20220620BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220620BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20220620BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20220620BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20220620BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M4/134
H01M4/48
H01M4/58
H01M4/587
H01M4/66 A
H01M10/052
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M10/058
(21)【出願番号】P 2018521962
(86)(22)【出願日】2016-11-12
(86)【国際出願番号】 CN2016105533
(87)【国際公開番号】W WO2017084538
(87)【国際公開日】2017-05-26
【審査請求日】2018-05-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】201510796123.5
(32)【優先日】2015-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516389433
【氏名又は名称】シェンチェン・インスティテューツ・オブ・アドバンスド・テクノロジー・チャイニーズ・アカデミー・オブ・サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN INSTITUTES OF ADVANCED TECHNOLOGY CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(72)【発明者】
【氏名】タン ヨンビン
(72)【発明者】
【氏名】チャン シャオロン
(72)【発明者】
【氏名】チャン ファン
【合議体】
【審判長】酒井 朋広
【審判官】畑中 博幸
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-259378(JP,A)
【文献】特開2015-130324(JP,A)
【文献】特開2003-331927(JP,A)
【文献】特開2006-202529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/05-10/0587
H01M10/36-10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池負極、電解液、セパレータ、電池正極及び電池を封止するためのケースを含み、
電池負極は、
アルミニウム箔からなる負極集電体
であり、負極活物質を含んでおらず、
電解液は、
ヘキサフルオロリン酸リチウムとエチルメチルカーボネートとを含み、ヘキサフルオロリン酸リチウム濃度が4mol/Lであり、さらに添加量が2%wtである負極集電体表面に固体電解質膜を形成できる
ビニレンカーボネートを含み、
電池正極は正極活物質層を含み、前記正極活物質層はアニオンを可逆的に脱離または挿入できる正極活物質を含み、前記正極活物質は、層状結晶構造を有するグラファイト系材料
を含み
、
充電時、電解液におけるカチオンが負極集電体に挿入され合金材料を形成し、同時に電解液におけるアニオンが層状結晶構造の正極活物質に挿入され、放電時、カチオンが合金材料から脱離され、電解液に再度戻り、同時に
正極活物質に
挿入されたアニオンが脱離され、電解液に戻
ることを特徴とする、二次電池。
【請求項2】
前記正極活物質における前記グラファイト系材料は、天然グラファイト、人造グラファイトまたはグラファイトシートから選択して使用
することを特徴とする、請求項
1に記載の二次電池。
【請求項3】
負極活物質を含むことなく電池負極を製造するステップと、
電解液を調製するステップと、
セパレータを製造するステップと、
電池正極を製造するステップと、
前記電池負極、電解液、セパレータ、電池正極を用いて新型二次電池の組み立てを行うステップと、を含むことを特徴とする、請求項1
または2に記載の新型二次電池を製造する二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権主張声明】
【0001】
本願は、2015年11月18日に提出した出願番号がCN201510796123.5であり、発明の名称が「新型二次電池及びその製造方法」である中国発明専利の優先権を主張し、当該特許の内容を全て援引する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、二次電池技術分野に属し、具体的には、正極活物質として層状結晶構造材料を使用して、負極活物質を含まない二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、充電可能な電池と呼び、充放電を繰り返して複数回使用できる電池である。繰り返して使用できない一次電池に比べて、二次電池は、使用コストが低く、環境への汚染が少ない利点を有する。現在、主な二次電池技術は、鉛蓄電池、ニッケルクロム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池がある。そのの中で、特にリチウムイオン電池の応用が最も広く、日常的に使用される携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ等は、いずれもリチウムイオン電池を電源とする。通常、リチウムイオン電池の核心組成部材は、正極、負極及び電解液を含み、正極、負極と電解液との界面に発生するイオン輸送と電子輸送がお互いに分離された酸化還元反応によって電気エネルギーの貯蔵及び脱離を実現する。商用のリチウムイオン電池は、主に遷移金属酸化物(LiCoO
2、LiNiMnCoO
2、LiMn
2O
4)またはポリアニオン型金属化合物(LiFePO
4)を正極活物質とし、グラファイトまたは他の炭素材料を負極活物質とし、エステル系電解液またはポリマーゲルを電解液とする。充電時、リチウムイオンは、正極活物質から脱離され、負極活物質に挿入され、放電時、リチウムイオンは、負極活物質から脱離され、正極活物質に挿入される。例えば、
負極にて
発生し、正極にて
発生する。しかしながら、伝統なリチウムイオン電池の動作電圧が3.7V程度であり且つ正極材料の理論容量が有限であるので、電池のエネルギー密度が低く、大幅に高めにくい。また、正極活物質には、遷移金属元素を含み、この点で材料の製造コストが向上させ、一方、電池を廃棄した後、環境への潜在的な悪影響が大きくなる。
【0004】
現在、業界内では、環境にやさしく、エネルギー密度が高い新型二次電池技術の研究開発が盛んに行われている。アメリカスタンフォード大学の戴宏傑教授の課題グループは、アルミニウムイオン電池(Nature,2015,520,325)の研究開発を行っており、このような電池は、三次元多孔質グラファイトを正極材料とし、アルミニウム箔を同時に負極及び集電体とし、アルミニウム塩を含有するイオン液体(AlCl
3/EMImCl)を電解液とする。類似的に、特許(出願番号201410419495.1)には、充電可能なアルミニウムイオン電池及びその製造方法を開示し、その正極としてグラファイト構造炭素材料を、負極として高純度のアルミニウムを、電解液としてアルミニウム塩を含有するイオン液体を使用した。リチウムイオン電池とは違い、現在報告されたアルミニウムイオン電池の動作メカニズムは、正極と負極との間でのアルミニウムイオンの酸化還元反応である。充電時、Al
2Cl
7
-が負極でAl単体及びAlCl
4
-を生成するとともに、AlCl
4
-が正極に移動し、グラファイトに挿入されてインターカレーション化合物C
n(AlCl
4)を形成し、放電過程は、逆である。その全反応過程は、
である。反応メカニズムが異なるので、このようなアルミニウムイオン電池は、充放電速度が早く、サイクル寿命が長く、安全性がよい等の利点を有する。しかしながら、当該電池の動作電圧が低く、僅か2.2V程度であるため、そのエネルギー密度が低く(僅か40Wh/kgである)、さらに、イオン液体が高価であるため、当該電池を実際的なエネルギー蓄積まで応用するにはまだ距離がある。
【0005】
一方、研究者は、デュアル・カーボン電池を開発した。このような電池は、グラファイト系炭素材料を、正極及び負極活物質とし、遷移金属元素を全然含まない。例えば、米陸軍研究所のRead、Xuら(Energy Environ.Sci.2014、7、617)は、デュアル・グラファイト(dual-graphite)二次電池を開発し、それがグラファイト材料を同時に負極及び正極活物質とし、フッ化変性エステル系を電解液溶媒とし、当該電池の可逆的な充放電を実現した。ドイツミュンスター大学のRothermel、Plackeら(Energy Environ.Sci.2014,7,3412)は、イオン液体電解液によるデュアル・グラファイト電池を開発し、デュアル・グラファイト電池の可逆的な充放電を実現した。このような電池の反応原理は、充電時、電解液におけるアニオンは正極グラファイト材料に挿入され、リチウムイオンは負極グラファイト材料に挿入され、放電時、アニオンは正極材料から脱離され、同時にリチウムイオンは負極材料から脱離されることである。例えば、負極にて
発生し、正極にて
発生する。デュアル・グラファイト電池は、電池の環境への影響を改善したが、デュアル・グラファイト電池に使用するフッ化変性エステル系電解液とイオン液体電解液の製造コストが非常に高く、電池の製造コストが依然に高く、且つ正負極活物質のいずれもグラファイトを採用するから、電池の重さや体積が顕著に高め、これにより電池のエネルギー密度が低減される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠陥を解除しようとし、従来の二次電池の環境汚染が大く、製造コストが高く、エネルギー密度が低く、動作電圧が低い等の欠陥を解決ため、グラファイトまたは他の層状結晶構造材料を正極活物質とし、かつ負極活物質を含まない二次電池を提供する。
【0007】
上述の目的を実現するために、本発明は、電池負極、電解液、セパレータ、電池正極及び電池を封止するためのケースを含む新型二次電池を提出し、
電池負極は、負極集電体を含み、負極活物質を含んでおらず、
電解液は、エステル系、スルホン系、エーテル系、ニトリル系またはオレフィン系有機添加剤を含み、
電池正極は、正極活物質層を含み、前記正極活物質層は、正極活物質を含み、前記正極活物質は、層状結晶構造を有するグラファイト系材料、硫化物、窒化物、酸化物または炭化物を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明は、さらに電池負極、電解液、セパレータ、電池正極及び電池を封止するためのケースを含む新型二次電池を提供し、、
電池負極は、負極集電体を含み、負極活物質を含んでおらず、
電解液は、エステル系、スルホン系、エーテル系、ニトリル系またはオレフィン系有機添加剤を含み、
電池正極は、正極活物質層を含み、前記正極活物質層は、正極活物質を含み、前記正極活物質は、層状結晶構造を有するグラファイト系材料、硫化物、窒化物、酸化物または炭化物からなることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記の二次電池の製造方法を提供し、前記方法は、電池負極を製造するステップと、電解液を調製するステップと、セパレータを製造するステップと、電池正極を製造するステップと、
前記電池負極、電解液、セパレータ、電池正極を用いて新型二次電池の組み立てを行うステップと、を含む。
【0010】
本発明にて提供される二次電池正極の主要活性成分は、層状結晶構造を有する材料であり、環境にやさしく、且つコストが低い。また本発明の新型二次電池において、負極集電体は、電極として導電作用を奏するほかに、電解質におけるカチオンと反応する材料としても機能し、従来技術における二次電池の負極活物質の作用に相当するので、本発明の実施例にて提供される二次電池は、負極活物質を含む必要がないので、電池の自重及びコストを顕著に低減し、電池のエネルギー密度を向上させる。本発明にて提出される二次電池の反応原理は、充電時、電解液におけるアニオンが正極グラファイト層に挿入され、電解質におけるカチオンが負極集電体表面に移動して合金を形成し、放電の場合が逆である。このような反応メカニズムは、電池の動作電圧(が約4.2Vであり)を顕著に向上させ、さらにエネルギー密度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここで、説明する図面は
本発明をさらに理解するためのものであり、本願の一部を構成し本発明を限定するものではない。図面において、
【
図1】本発明の一実施例にかかる新型二次電池の構造模式図である。
【
図2】本発明の一実施例にかかるグラファイトを正極材料とし、負極材料を含まない新型二次電池の動作原理の模式図である。
【
図3】本発明の一実施例にかかるグラファイトを正極材料とし、負極材料を含まない新型二次電池の充電時の模式図である。
【
図4】本発明の一実施例にかかるグラファイトを正極材料とし、負極材料を含まない新型二次電池の放電時の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面及び本発明の最適実施例を参照しながら、さらに予想の発明目的を実現するための本発明が採用する技術手段を説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例にかかる新型二次電池の構造模式図である。
図1に示すように、当該新型二次電池は、電池負極1、電解液2、セパレータ3、電池正極4及び電池を封止するための電池ケース(図示しない)を含む。
【0014】
ここで、電池負極1は、負極集電体を含み、負極活物質を含まない。電解液は、エステル系、スルホン系、エーテル系、ニトリル系またはオレフィン系有機添加剤を含む。電池正極4は、正極集電体42及び正極活物質層41を含み、前記正極活物質層41は、正極活物質、導電剤、バインダーを含み、前記正極活物質は、層状結晶構造を有するグラファイト系材料、硫化物、窒化物、酸化物または炭化物を含む。
【0015】
図2は、本発明の一実施例にかかるグラファイトを正極材料とし、負極材料を含まない新型二次電池の動作原理の模式図であり、具体的に、
図3は、充電時の模式図であり、
図4は、放電時の模式図であり、本発明の実施例の二次電池は、充電時、電解液におけるカチオンが負極集電体に挿入され合金材料5を形成し、同時に電解液におけるアニオンが層状結晶構造の正極活物質に挿入される。本発明の実施例の二次電池は、放電時、カチオンが合金材料5から脱離され、電解液に再度戻り、同時
に正極活物質に
挿入されたアニオンが脱離され、電解液に戻る。
【0016】
本発明の実施例の二次電池における負極集電体は、電極として導電作用を奏するほかに、電解質におけるカチオンと反応する材料としても機能し、従来技術における二次電池の負極活物質の作用に相当するので、本発明の実施例にて提供される負極活物質を含まない電池構造を採用しても、複数回充放電可能な二次電池を実現することができる。
【0017】
本発明の実施例の二次電池の新型反応メカニズムによれば、約4.2Vの動作電圧を取得し、電池の動作電圧を顕著に向上させることができる。
【0018】
本発明の実施例において、負極集電体は導電性材料であり、導電するとともにカチオンを可逆に挿入または脱離することができる。例えば、負極集電体は、アルミニウム、銅、鉄、スズ、亜鉛、ニッケル、チタン、マンガンの一つまたはそれらの合金である。
【0019】
具体的に、負極集電体は一つの物質を含んでもよく、または複数の物質を含んでもよい。例えば、上述のアルミニウム、銅、鉄、スズ、亜鉛、ニッケル、チタン、マンガンの中の一つ以上を含み、本発明では限定しない。
【0020】
好ましくは、前記負極活物質は、アルミニウムである。
【0021】
本発明の実施例において、電解液は、溶媒及び電解質を含む。
【0022】
本発明の実施例において、電解液における溶媒は、電解質をカチオン及びアニオンに解離させることができ、カチオン及びアニオンは、溶媒にて自由に移動することができる。例えば、前記溶媒は、エステル系、スルホン系またはエーテル系有機溶媒であり、ジエチルカーボネート(Diethyl carbonate)、ジメチルカーボネート(Dimethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)、ジメチルスルホン(Dimethyl sulfone)またはジメチルエーテル(Dimethyl ether)から選択して使用てもよい。
【0023】
具体的に、溶媒は、エステル系、スルホン系またはエーテル系有機溶媒の一つ以上を含んでもよく、例えば、上述のジエチルカーボネート(Diethyl carbonate)、ジメチルカーボネート(Dimethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)、ジメチルスルホン(Dimethyl sulfone)またはジメチルエーテル(Dimethyl ether)の一つ以上を含んでもよく、本発明では限定しない。
【0024】
好ましくは、前記溶媒は、エチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)である。
電解液におけるアニオンが層状結晶構造の正極活物質に挿入されるには一定の制限がある。エチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)を溶媒として使用する場合、電解液におけるアニオンが正極活物質に十分に挿入されることを確保することができ、二次電池の容量を向上させる。
【0025】
エネルギー密度の公式E=C*U(Eが電池のエネルギー密度であり、Cが電池容量であり、Uが電池の動作電圧であり)から分かるように、電池容量の向上は、電池のエネルギー密度の向上に役立つ。従って、エチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)を溶媒とする二次電池において、電池容量の向上により、電池のエネルギー密度がさらに向上される。
【0026】
本発明の実施例において、電解液における電解質は、カチオン及びアニオンに解離することができる。例えば、前記電解質はリチウム塩であり、ヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)、四フッ化ホウ酸リチウムまたは過塩素酸リチウムから選択して使用することができ、且つ、濃度範囲は0.1-10mol/Lである。
【0027】
具体的に、電解質は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)、四フッ化ホウ酸リチウムまたは過塩素酸リチウムの一つ以上を含んでもよく、本発明では限定しない。
【0028】
好ましくは、前記電解質はヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)であり、前記電解質濃度は4mol/Lである。
【0029】
また、電解液はさらに添加剤を含み、前記添加剤は、負極集電体表面に固体電解質膜(SEI)を形成することができる。
【0030】
添加剤を含む電解液を使用することにより、本発明の実施例の二次電池は、充放電過程中、負極集電体表面に安定な固体電解質膜(SEI)を形成することができる。従って、負極集電体充放電時の体積変化による破損を避け、負極集電体の構造を安定に維持し、負極集電体の使用寿命及び性能を向上させ、二次電池のサイクル性能を向上させることができる。
【0031】
本発明の実施例において、電解液における添加剤は、負極集電体表面での固体電解質膜(SEI)の形成を促進することができる。例えば、前記添加剤は、エステル系、スルホン系、エーテル系、ニトリル系またはオレフィン系有機添加剤を含み、ビニレンカーボネート(Vinylene carbonate)、亜硫酸エチリデン(Ethylidene sulfite)、亜硫酸プロピル(Ethylene sulfite)、硫酸エチリデン(Ethylidene sulfate)、シクロブチルスルホン(Cyclobutyl sulfone)、1,3-ジオキソラン(1,3-dioxolane)、アセトニトリルまたは長鎖オレフィンから選択して使用することができ、且つ添加量は0.1‐20%wtである。
【0032】
具体的に、添加剤は、エステル系、スルホン系、エーテル系、ニトリル系またはオレフィン系有機添加剤の一つ以上を含んでもよく、例えば、上述のビニレンカーボネート(Vinylene carbonate)、亜硫酸エチリデン(Ethylidene sulfite)、亜硫酸プロピル(Ethylene sulfite)、硫酸エチリデン(Ethylidene sulfate)、シクロブチルスルホン(Cyclobutyl sulfone)、1,3-ジオキソラン(1,3-dioxolane)、アセトニトリルまたは長鎖オレフィンの一つ以上を含んでもよく、本発明では限定しない。
【0033】
好ましくは、前記添加剤はビニレンカーボネート(Vinylene carbonate)である。
【0034】
好ましくは、前記ビニレンカーボネート(Vinylene carbonate)の添加量は2%wtである。
【0035】
本発明の実施例において、セパレータは特に限定されなく、本分野においての従来一般な常用のものであればよい。例えば、セパレータ3の成分は、絶縁の多孔質ポリマー薄膜または無機多孔質薄膜であり、多孔質ポリプロピレン薄膜、多孔質ポリエチレン薄膜、多孔質複合ポリマー薄膜、ガラス繊維紙または多孔質セラミックセパレータから選択して使用することができる。
【0036】
本発明の実施例において、正極集電体は導電性材料である。例えば、正極集電体は、アルミニウム、銅、鉄、スズ、亜鉛、ニッケル、チタン、マンガンの一つまたはそれらの合金である。
【0037】
具体的に、正極集電体は、一つの物質を含んでもよく、または複数の物質を含んでもよい、例えば、上述のアルミニウム、銅、鉄、スズ、亜鉛、ニッケル、チタン、マンガンの中の一つ以上を含んでもよく、本発明では限定しない。
【0038】
本発明の実施例において、正極活物質層における正極活物質は、層状結晶構造を有し、アニオンを可逆的に脱離または挿入することができる。例えば、正極活物質は、層状結晶構造を有するグラファイト系材料、硫化物、窒化物、酸化物、炭化物を含む。
【0039】
ここで、グラファイト系材料は、天然グラファイト、人造グラファイトまたはグラファイトシートから選択して使用する。
【0040】
硫化物は、二硫化モリブデン、二硫化タングステンまたは二硫化バナジウムから選択して用いる。
【0041】
窒化物は、六方晶窒化ホウ素または炭素ドーピング六方晶窒化ホウ素から選択して使用する。
酸化物は、三酸化モリブデン、三酸化タングステンまたは五酸化二バナジウムから選択して用いる。
炭化物は、炭化チタン、炭化タンタルまたは炭化モリブデンから選択して使用する。
具体的に、正極活物質は、層状結晶構造を有するグラファイト系材料、硫化物、窒化物、酸化物、炭化物の一つ以上を含んでもよく、種類の異なるグラファイト系材料、または種類の異なる硫化物、窒化物、酸化物、炭化物の一つ以上を含んでもよく、本発明では限定しない。
【0042】
好ましくは、前記正極活物質はグラファイト系材料である。
【0043】
正極活物質層における導電剤も特に限定されなく、本分野においての従来一般な常用のものであればよい。例えば、導電剤は、導電アセチレンブラック、Super P導電性炭素球(Super P conductive carbon sphere)、導電性グラファイトKS6、カーボンナノチューブ、グラフェンの一つ以上である。
【0044】
具体的に、導電剤は、一つの物質だけ含んでもよく、または複数の物質を含んでもよい。例えば、本分野で常用の各導電剤の一つ以上を含んでもよく、本発明では限定しない。
【0045】
正極活物質層におけるバインダーも、特に限定されなく、本分野での従来一般な常用のものであればよい。例えば、バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride)、テフロン(Teflon)、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol)、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl cellulose)、SBRゴム、ポリオレフィン系の一つ以上である。
【0046】
具体的に、バインダーは、一つの物質だけ含んでもよく、または複数の物質を含んでもよい。例えば、本分野で常用の各バインダーの一つ以上を含んでもよく、本発明では限定しない。
【0047】
本発明の実施例において、正極活物質層41における活物質と導電剤及びバインダーとの配合割合も、特に限定されなく、本分野での従来一般な常用のものであればよい。例えば、正極活物質の分量が60-90%wtであり、導電剤の含有量が30-5%wtであり、バインダーの含有量が10-5%wtであってもよい。
【0048】
本発明は、ボタン型電池を製造したうえに、電池系統測定を通じて、可逆な充放電を実現でき、且つ電池製造過程を顕著に簡略化し、材料コストを40%に低減でき、エネルギー密度を従来商用リチウムイオン電池の1.3‐2倍に向上でき、電池の200サイクル後の容量が、10%程度に減衰し、電池のサイクル性能が向上させることを確認した。
【0049】
本発明の実施例において、二次電池の形態に対して特に限定しなく、本分野で常用のものであればよく、例えば、ボタン型電池、四角い電池、円筒形電池、ポーチ型電池等の形態である。
【0050】
第2の形態において、本発明の実施例は、本発明の実施例に提供される二次電池を製造する製造方法を提供し、前記方法は、以下のステップ1乃至ステップ5を含む。
【0051】
ステップ1において、電池負極を製造する。
【0052】
電池負極は、負極集電体を含み、負極活物質を含まない。
【0053】
具体的に、製造過程は、銅、鉄、スズ、アルミニウム等の金属箔シートを所望のサイズに切断し、表面を清浄に洗浄して用意する。
【0054】
ステップ2において、電解液を調製する。
【0055】
適量な電解質塩を秤量して一定体積の溶媒に加え、十分に攪拌して溶解させた後、所定量の電解液添加剤を加え、均一に攪拌して用意する。
【0056】
ステップ3は、セパレータを製造する。
【0057】
多孔質ポリマー薄膜または無機多孔質薄膜を所望のサイズに切断し、清浄に洗浄して用意する。
【0058】
ステップ4は、電池正極を製造する。
【0059】
電池正極は、グラファイト系電池正極であり、正極活物質層及び正極集電体を含む。
【0060】
具体的に、製造過程は、一定の割合で活物質、導電剤、バインダーを秤量し、適切な溶媒に加え、均一なスラリーになるように十分に研磨して、その後、正極集電体表面に均一に塗布し、即ち、正極集電体表面に正極活物質層を形成する。スラリーが完全に乾燥された後切断することで、所望のサイズの電池正極を取得する。
【0061】
上述のステップ1乃至ステップ4は、特定の順序で本発明の製造方法の操作を説明するものの、これらの操作を必ず該特定の順序に応じて実行しなければならいことを要求又は示唆するものではない。ステップ1乃至ステップ4の製造は、同時にまたは任意の順序で実行してもよい。
【0062】
ステップ5は、前記電池負極、電解液、セパレータ、電池正極を用いて新型二次電池の組み立てを行う。
【0063】
非活性ガスまたは無水環境下で電池を組み立て、前記製造された負極集電体、セパレータ、電池正極を順に緊密に積層し、電解液を滴下してセパレータを完全に浸潤させ、その後、上述の積層部分を電池ケースに封入し、電池の組み立てを完成する。
【0064】
本発明の実施例に提供される二次電池及び当該二次電池の製造方法は、電池負極の構造及び電池正極活物質の種類を最適化することにより、環境に汚染がなく、コストが低く、且つ電池の重さ及び体積を顕著に低減し、電池のエネルギー密度を向上させる二次電池を実現した。これに基づき、さらに、電池の電解液に添加剤を加え、二次電池のサイクル性能を向上させる。負極集電体及び正極活物質の選択、溶媒種類の選択、電解液添加剤の種類及び分量を最適化することにより、本発明の実施例の負極集電体構造の安定性、電池の動作電圧及び層状結晶構造材料を正極として使用する場合に到達できる電池容量を向上させ、さらに本発明の実施例の二次電池のエネルギー密度を向上させる。
新型二次電池をさらに明らかに説明するために、以下、いくつかの具体的な実施例を組み合わせて説明するが、これらの実施例は、さらに詳しく説明するものに過ぎず、本発明を限定するためのものではないことを理解すべきである。
実施例1
電池負極を製造するステップにおいて、厚さが0.3mmであるアルミニウム箔を取り、直径が12mmであるウェーハに切断し、エタノールで洗浄し、乾燥して負極集電体として用意する。
セパレータを製造するステップにおいて、ガラス繊維紙を直径が16mmであるウェーハに切断し、アセトンで洗浄し、乾燥してセパレータとして用意する。
【0065】
電解液を調製するステップにおいて、3gのヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)を秤量し、5mlのエチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)に加え、ヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)が完全に溶解するまで攪拌し、ヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)濃度が4mol/Lである電解液を調製し、その後、添加剤として質量分率が2%であるビニレンカーボネートを加え、均一に十分に攪拌して電解液として用意する。
【0066】
電池正極を製造するステップにおいて、0.8gの天然グラファイト、0.1gのカーボンブラック、0.1gのポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride)を2mlのN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)溶液に加え、十分に研磨して均一なスラリーを取得し、その後、スラリーをアルミニウム箔表面(即ち、正極集電体)に均一に塗布し、真空乾燥する。乾燥して得られた電極シートを直径が10mmであるウェーハに切断し、圧密して電池正極として用意する。
【0067】
電池を組み立てるステップにおいて、非活性ガスによって保護されるグローブボックスにおいて、上述の製造された負極集電体、セパレータ、電池正極を順に緊密に積層し、電解液を滴下してセパレータを完全に浸潤させ、その後、上述の積層部分をボタン型電池ケースに封入し、電池の組み立てを完成する。
本発明の実施例1の二次電池の反応原理は、負極にて
発生し、正極にて
発生する。
【0068】
電池の電化学性能を測定するステップにおいて、上述の二次電池製造方法の実施例で製造された二次電池に、その電圧が4.8Vになるまで、100mA/gの電流密度を通じて充電させ、その後、その電圧が3Vになるまで同一の電流で放電させ、その電池比容量及びエネルギー密度を測定し、そのサイクル安定性(サイクル回数で示し、サイクル回数とは、電池容量が85%まで減衰する時に、電池が充放電する回数を意味する)を測定する。
【0069】
本発明の実施例1に提供される二次電池の電池の電化学性能を測定し、背景技術に言及した伝統なリチウムイオン電池、アルミニウムイオン電池、デュアル・グラファイト電池の性能に比べて、その結果及び比較事項を表1に示す。
【0070】
【表1】
表1から分かるように、背景技術における各種電池の反応原理と異なる本発明の実施例1における二次電池を採用する場合、その動作電圧が高く、エネルギー密度が大い。
【0071】
本発明の実施例1の二次電池正極は、背景技術における伝統なリチウムイオン電池に比べて、リチウム含有化合物の代わりにグラファイトを用い、環境にやさしく、環境に汚染を与えない。本発明の実施例1の二次電池において、負極集電体は、電極として導電作用を奏するほかに、電解質におけるカチオンと反応する材料としても機能し、負極活物質を含む必要がなく、電池の自重及びコストを顕著に低減し、電池のエネルギー密度を向上させる。本発明の実施例1の二次電池は、充電時、電解液におけるアニオンが正極グラファイト層に挿入され、電解質におけるカチオンが負極集電体表面に移動して合金を形成し、放電の場合は逆であり、その動作電圧はが約4.2Vであり、電池の動作電圧を向上させ、電池のエネルギー密度を向上させる。
【0072】
本発明の実施例1の二次電池は、背景技術におけるアルミニウムイオン電池と比べて、電解液が異なることで、反応メカニズム及び性能が異なる。本発明の二次電池は、充電時、電解液におけるアニオンが正極グラファイト層に挿入され、電解質におけるカチオンが負極集電体表面に移動して合金を形成し、放電の場合は逆である。その動作電圧は約4.2Vであり、電池の動作電圧を向上させ、さらに電池エネルギー密度を向上させる。
本発明の実施例1の二次電池は、背景技術におけるデュアル・グラファイト電池に比べて、負極集電体は、電極として導電作用を奏するほかに、電解質におけるカチオンと反応する材料としても機能し、負極活物質を含む必要がなく、電池の自重及びコストを顕著に低減し、電池のエネルギー密度を向上させる。
実施例2‐11
実施例2‐11は、実施例1の二次電池と比べて、製造過程にて電池負極を製造する時に使用材料が異なる以外、他のステップ及び使用材料は全て同一である。また、実施例2‐11の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、本発明の実施例1の性能と比べる。実施例2‐11に用いられる負極材料及びその電化学性能は、具体的に表2を参照する。
【0073】
【表2】
表2から分かるように、本発明の実施例において、好ましくは、負極集電体がアルミニウム箔であり、その比容量が高く、サイクル性能がよく、エネルギー密度が最高である。
【0074】
実施例12‐34
実施例12‐34は、実施例1の二次電池と比べて、製造過程にて電池正極を製造する時に使用する正極活物質が異なる以外、他のステップ及び使用材料は全て同一である。また、実施例12‐34の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、本発明の実施例1の性能と比較する。実施例12‐34に用いられる正極活物質及びその電化学性能は、具体的に表3を参照する。
【0075】
【表3】
表3から分かるように、本発明の実施例において、好ましくは、正極材料がグラファイト系材料であり、その比容量が高く、エネルギー密度が高い。
【0076】
実施例35‐37
実施例35‐37は、実施例1の二次電池製造過程と比べて、電解液を製造する時に使用する電解質材料が異なる以外、他のステップ及び使用材料は全て同一である。また、実施例35‐37の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、本発明の実施例1の性能と比較する。実施例35‐37に用いられる電解質材料及びその電化学性能は、具体的に表4を参照する。
【0077】
【表4】
表4から分かるように、本発明の実施例において、好ましくは、電解質がヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)であり、その比容量が高く、サイクル安定性がよく、エネルギー密度が高い。
【0078】
実施例38‐42
実施例38‐42は、実施例1の二次電池と比べて、製造過程にて電解液を製造する時に使用する電解質濃度が異なる以外、他のステップ及び使用材料は全て同一である。また、実施例38‐42の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、本発明の実施例1の性能と比較する。実施例38‐42に用いられる電解質濃度及びその電化学性能は、具体的に表5を参照する。
【0079】
【表5】
表5から分かるように、本発明の実施例において、好ましくは、電解質濃度が4Mであり、その比容量が高く、サイクル安定性がよく、エネルギー密度が高い。
【0080】
実施例43‐52
実施例43‐52は、実施例1の二次電池と比べて、製造過程にて電解液を製造する時に使用する溶媒材料が異なる以外、他のステップ及び使用材料は全て同一である。また、実施例43‐52の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、本発明の実施例1の性能と比較する。実施例43‐52に用いられる溶媒材料及びその電化学性能は、具体的に表6を参照する。
【0081】
【表6】
表6から分かるように、本発明の実施例において、好ましくは、溶媒がエチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)であり、その比容量が高く、エネルギー密度が高い。
実施例53‐60
実施例53‐60は、実施例1の二次電池と比べて、製造過程にて電解液を製造する時に使用する添加剤種類が異なる以外、他のステップ及び使用材料は全て同一である。また、実施例53‐60の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、本発明の実施例1の性能と比較する。実施例53‐60に用いられる溶媒材料及びその電化学性能は、具体的に表7を参照する。
【0082】
【表7】
表7から分かるように、本発明の実施例において、好ましくは、添加剤がビニレンカーボネート(Vinylene carbonate)であり、そのサイクル安定性がよい。
実施例61‐67
実施例61‐67は、実施例1の二次電池と比べて、製造過程にて電解液を製造する時に使用する添加剤濃度が異なる以外、他のステップ及び使用材料は全て同一である。また、実施例61‐67の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、本発明の実施例1の性能と比較する。実施例61‐67に用いられる添加剤濃度及びその電化学性能は、具体的に表8を参照する。
【0083】
【表8】
表8から分かるように、本発明の実施例において、好ましくは、添加剤濃度が2wt%であり、そのサイクル安定性がよい。
【0084】
実施例68‐71
実施例68‐71は、実施例1の二次電池と比べて、製造過程にてセパレータを製造する時に使用するセパレータ材料が異なる以外、他のステップ及び使用材料は全て同一である。また、実施例68‐71の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、本発明の実施例1の性能と比較する。実施例68‐71に用いられるセパレータ材料及びその電化学性能は、具体的に表9を参照する。
【0085】
【表9】
表9から分かるように、異なるセパレータ材料を選択しても、二次電池のサイクル回数、エネルギー密度に明らかな影響はない。
【0086】
実施例72‐78
実施例72‐78は、実施例1の二次電池と比べて、製造過程にて電池正極を製造する時に使用する導電剤、バインダー種類及び質量分率が異なる以外、他のステップ及び使用材料は全て同一である。また、実施例72‐78の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、本発明の実施例1の性能と比較する。実施例72‐78に用いられる導電剤、バインダー種類及び質量分率は、具体的に表10を参照する。
【0087】
【表10】
表10から分かるように、異なる導電剤、バインダー種類及び質量分率を選択しても、二次電池のサイクル回数、エネルギー密度に明らかな影響はない。
【0088】
実施例79
電池負極を製造するステップにおいて、厚さが0.5mmである銅箔を取り、直径が12mmであるウェーハに切断し、エタノールで銅シートを洗浄し、乾燥して負極集電体として用意する。
【0089】
セパレータを製造するステップにおいて、Celgard2400多孔質ポリマー薄膜を直径が16mmであるウェーハに切断し、アセトンで洗浄し、乾燥してセパレータとして用意する。
【0090】
電解液を調製するステップにおいて、3gのヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)を秤量し、5mlのエチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)に加え、ヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)が完全に溶解するまで攪拌し、その後、添加剤として質量分率が2%であるビニレンカーボネート(Vinylene carbonate)を加え、均一に十分に攪拌して電解液として用意する。
【0091】
電池正極を製造するステップにおいて、0.8gの人造グラファイト、0.1gのカーボンブラック、0.1gのポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride)を2mlのN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)溶液に加え、十分に研磨して均一なスラリーを取得し、その後、スラリーをアルミニウム箔表面(即ち、正極集電体)に均一に塗布し、真空乾燥する。乾燥して得られた電極シートを直径が10mmであるウェーハに切断し、圧密して電池正極として用意する。
【0092】
電池を組み立てるステップにおいて、非活性ガスによって保護されるグローブボックスにおいて、上述の製造された負極集電体、セパレータ、電池正極を順に緊密に積層し、電解液を滴下してセパレータを完全に浸潤させ、その後、上述の積層部分をボタン型電池ケースに封入し、電池の組み立てを完成する。
【0093】
実施例80
電池負極を製造するステップにおいて、厚さが0.3mmであるアルミニウム箔を取り、直径が12mmであるウェーハに切断し、エタノールで銅シートを洗浄し、乾燥して負極集電体として用意する。
【0094】
セパレータを製造するステップにおいて、ガラス繊維紙を直径が16mmであるウェーハに切断し、アセトンで洗浄し、乾燥してセパレータとして用意する。
【0095】
電解液を調製するステップにおいて、3gのヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)を秤量し、5mlのエチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)に加え、ヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)が完全に溶解するまで攪拌し、その後、添加剤として質量分率が3%である亜硫酸エチリデン(Ethylidene sulfite)を加え、均一に十分に攪拌して電解液として用意する。
【0096】
電池正極を製造するステップにおいて、0.7gの人造グラファイト、0.2gのカーボンブラック、0.1gのポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride)を2mlのN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)溶液に加え、十分に研磨して均一なスラリーを取得し、その後、スラリーをアルミニウム箔表面に均一に塗布して真空乾燥する。乾燥して得られた電極シートを直径が10mmであるウェーハに切断し、圧密して電池正極として用意する。
【0097】
電池を組み立てるステップにおいて、非活性ガスによって保護されるグローブボックスにおいて、上述の製造された負極集電体、セパレータ、電池正極を順に緊密に積層し、電解液を滴下してセパレータを完全に浸潤させ、その後、上述の積層部分をボタン型電池ケースに封入し、電池の組み立てを完成する。
【0098】
実施例81
電池負極を製造するステップにおいて、厚さが0.3mmであるアルミニウム箔を取り、直径が12mmであるウェーハに切断し、エタノールで銅シートを洗浄し、乾燥して負極集電体として用意 する。
【0099】
セパレータを製造するステップにおいて、ガラス繊維紙を直径が16mmであるウェーハに切断し、アセトンで洗浄し、乾燥してセパレータとして用意する。
【0100】
電解液を調製するステップにおいて、2gの四フッ化ホウ酸リチウムを秤量し、5mlのエチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)に加え、四フッ化ホウ酸リチウムが完全に溶解するまで攪拌し、その後、添加剤として質量分率が3%であるビニレンカーボネート(Vinylene carbonate)を加え、均一に十分に攪拌して電解液として用意する。
【0101】
電池正極を製造するステップにおいて、0.8gの人造グラファイト、0.15gのカーボンブラック、0.05gのポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride)を2mlのN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)溶液に加え、十分に研磨して均一なスラリーを取得し、その後、スラリーをアルミニウム箔表面に均一に塗布して真空乾燥する。乾燥して得られた電極シートを直径が10mmであるウェーハに切断し、圧密して電池正極として用意する。
【0102】
電池を組み立てるステップにおいて、非活性ガスによって保護されるグローブボックスにおいて、上述の製造された負極集電体、セパレータ、電池正極を順に緊密に積層し、電解液を滴下してセパレータを完全に浸潤させ、その後、上述の積層部分をボタン型電池ケースに封入し、電池の組み立てを完成する。
【0103】
実施例82
電池負極を製造するステップにおいて、厚さが0.3mmである鉄シートを取り、直径が12mmであるウェーハに切断し、エタノールで銅シートを洗浄し、乾燥して負極集電体として用意する。
【0104】
セパレータを製造するステップにおいて、ガラス繊維紙を直径が16mmであるウェーハに切断し、アセトンで洗浄し、乾燥してセパレータとして用意する。
電解液を調製するステップにおいて、3gのヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)を秤量し、5mlのエチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)に加え、ヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)が完全に溶解するまで攪拌し、その後、添加剤として質量分率が2%である硫酸エチリデン(Ethylidene sulfate)を加え、均一に十分に攪拌して電解液として用意する。
電池正極を製造するステップにおいて、1gの炭化チタン、0.15gのカーボンブラック、0.05gのポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride)を2mlのN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)溶液に加え、十分に研磨して均一なスラリーを取得し、その後、スラリーをアルミニウム箔表面に均一に塗布して真空乾燥する。乾燥して得られた電極シートを直径が10mmであるウェーハに切断し、圧密して電池正極として用意する。
【0105】
電池を組み立てるステップにおいて、非活性ガスによって保護されるグローブボックスにおいて、上述の製造された負極集電体、セパレータ、電池正極を順に緊密に積層し、電解液を滴下してセパレータを完全に浸潤させ、その後、上述の積層部分をボタン型電池ケースに封入し、電池の組み立てを完成する。
【0106】
実施例83
電池負極を製造するステップにおいて、厚さが0.3mmである銅箔を取り、直径が12mmであるウェーハに切断し、エタノールで銅シートを洗浄し、乾燥して負極集電体として用意する。
【0107】
セパレータを製造するステップにおいて、多孔質ポリプロピレン薄膜を直径が16mmであるウェーハに切断し、アセトンで洗浄し、乾燥してセパレータとして用意する。
【0108】
電解液を調製するステップにおいて、3gのヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)を秤量し、5mlのエチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)に加え、ヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)が完全に溶解するまで攪拌し、その後、添加剤として質量分率が2%であるシクロブチルスルホン(Cyclobutyl sulfone)を加え、均一に十分に攪拌して電解液として用意する。
【0109】
電池正極を製造するステップにおいて、1gの炭化チタン、0.15gのカーボンブラック、0.05gのポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride)を2mlのN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)溶液に加え、十分に研磨して均一なスラリーを取得し、その後、スラリーをアルミニウム箔表面に均一に塗布して真空乾燥する。乾燥して得られた電極シートを直径が10mmであるウェーハに切断し、圧密して電池正極として用意する。
【0110】
電池を組み立てるステップにおいて、非活性ガスによって保護されるグローブボックスにおいて、上述の製造された負極集電体、セパレータ、電池正極を順に緊密に積層し、電解液を滴下してセパレータを完全に浸潤させ、その後、上述の積層部分をボタン型電池ケースに封入し、電池の組み立てを完成する。
【0111】
実施例84
電池負極を製造するステップにおいて、厚さが0.3mmであるアルミニウム箔を取り、直径が12mmであるウェーハに切断し、エタノールで銅シートを洗浄し、乾燥して負極集電体として用意する。
【0112】
セパレータを製造するステップにおいて、多孔質ポリプロピレン薄膜を直径16mmのウェーハに切断し、アセトンで洗浄し、乾燥してセパレータとして用意する。
【0113】
電解液を調製するステップにおいて、3gの過塩素酸リチウムを秤量し、5mlのエチルメチルカーボネート(Ethyl methyl carbonate)に加え、過塩素酸リチウムが完全に溶解するまで攪拌し、その後、添加剤として質量分率が2%である亜硫酸エチリデン(Ethylidene sulfite)を加え、均一に十分に攪拌して電解液として用意する。
【0114】
電池正極を製造するステップにおいて、1gの二硫化モリブデン、0.15gのカーボンブラック、0.05gのポリフッ化ビニリデン(Polyvinylidene fluoride)を2mlのN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone)溶液に加え、十分に研磨して均一なスラリーを取得し、その後、スラリーをアルミニウム箔表面に均一に塗布して真空乾燥する。乾燥して得られた電極シートを直径が10mmであるウェーハに切断し、圧密して電池正極として用意する。
【0115】
実施例79‐84の二次電池に対して電池の電化学性能を測定し、その結果を表11に示す。
【0116】
【表11】
実施例80、81、84は、負極材料としてアルミニウム箔作を使用し、他の材料を負極材料として使用する実施例79、82、83に比べて、比容量が高く、エネルギー密度が高い。
【0117】
実施例79は、添加剤として質量分率が2%であるビニレンカーボネート(Vinylene carbonate)を使用し、他の添加剤を使用する実施例80‐84に比べて、そのサイクル安定性がよい。
【0118】
実施例80は、電解質として4Mのヘキサフルオロリン酸リチウム(Lithium hexafluorophosphate)を使用し、電解質として他の材料を使用する実施例81、84に比べて、その比容量が高く、エネルギー密度が高い。
【0119】
本発明に係る二次電池の形態は、ボタン型電池に限らず、核心成分に応じて四角い電池、円筒形電池、ポーチ型電池などの形態に設計することもできる。
【0120】
本発明に提出される二次電池の主要活性成分は、層状結晶構造を有するグラファイト類似材料であり、環境にやさしく、且つコストが低い。また本発明の新型二次電池は、負極活物質を含む必要がないので、電池の自重及びコストを顕著に低減し、電池のエネルギー密度を向上させる。本発明に提出される二次電池が採用する反応原理によれば、約4.2Vの動作電圧に到達することができ、電池の動作電圧が高く、電池のエネルギー密度を大幅に向上させることができる。
【0121】
上述の具体的な実施例は、本発明の目的、技術方案及び有益な効果をさらに詳しく説明したが、上述したのは本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明の保護範囲は何ら限定されるものではなく、本発明の実施例の精神及び原則を逸脱しない限り、任意の修正、均等物、改良等は、本発明の保護範囲に含まれる。