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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】VII型コラーゲンα1アッセイ
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20220620BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220620BHJP
   C07K 7/06 20060101ALN20220620BHJP
   C12N 15/06 20060101ALN20220620BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
G01N33/53 D
G01N33/53 U
C07K7/06
C12N15/06 100
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018537781
(86)(22)【出願日】2017-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2017051152
(87)【国際公開番号】W WO2017129480
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-17
(31)【優先権主張番号】1601571.1
(32)【優先日】2016-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508072822
【氏名又は名称】ノルディック バイオサイエンス エイ/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンド、ヤニー、マリー、ビューロー
(72)【発明者】
【氏名】レーミング、ダイアナ、ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】カルスダル、モルテン
【審査官】坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-520449(JP,A)
【文献】特表2012-522233(JP,A)
【文献】国際公開第2011/034128(WO,A1)
【文献】The Journal of Biological Chemistry,1989年,Vol.264, No.7,p.3822-3826
【文献】The Journal of Biological Chemistry,2002年,Vol.277, No.29,p.26372-26378
【文献】The Journal of Cell Biology,1986年,Vol.103,p.1577-1586
【文献】Connective Tissue,1997年,Vol.29,p.279-283
【文献】Arthritis & Rheumatism,2005年,Vol.52, No.6,p.1746-1755
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/18
G01N 33/53
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
VII型コラーゲンα1のプロテアーゼ切断により形成される、C末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントと反応性のモノクローナル抗体であって
記抗体がC末端ネオエピトープに結合するものであり、ここで該C末端ネオエピトープは、アミノ酸配列GPPGPPGRLV-COOH(配列番号1)に含まれ、伸長したアミノ酸配列GPPGPPGRLVX-COOH(配列番号3)を認識せずまたはこれに結合せず、ここで、XがVII型コラーゲンα1の配列の1つ以上のアミノ酸である、
上記モノクローナル抗体。
【請求項2】
前記抗体が、アミノ酸配列PPGRLV-COOH(配列番号2)を含むC末端ネオエピトープに結合する、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
生物学的試料中で、C末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントを検出するためのイムノアッセイの方法であって、前記C末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1の前記フラグメントを含む前記生物学的試料を、請求項1または2に記載の抗体と接触させることと、前記抗体の結合量を測定することとを含む、方法。
【請求項4】
前記方法が、生体液中の前記C末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの量を定量化するために使用される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記生体液が、血清、血漿、気管支肺胞洗浄液、痰、呼気または尿である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記イムノアッセイが競合アッセイまたはサンドイッチアッセイである、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記イムノアッセイがラジオイムノアッセイまたは酵素結合免疫吸着アッセイである、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法によって測定されたC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの量を、既知の疾患重症度の標準的なVII型コラーゲン関連疾患試料と相関させて、VII型コラーゲン関連疾患の重症度を評価することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記VII型コラーゲン関連疾患が慢性閉塞性肺疾患(COPD)または全身性硬化症である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
生物学的試料中でC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの量を測定するためのアッセイキットであって、請求項1または2に記載の抗体と、
‐ストレプトアビジンで被覆された96ウェルプレート
‐ビオチン残基と前記ペプチドの間に位置する任意選択のリンカーを伴う、C末端ネオエピトープのアミノ酸配列に対応するビオチン化ペプチド、
‐サンドイッチイムノアッセイに使用するためのビオチン化二次抗体
‐C末端ネオエピトープのアミノ酸配列に対応するキャリブレータペプチド
‐抗体HPR標識キット
‐抗体放射性標識キット
‐アッセイ視覚化キット
の少なくとも1つとを含む、アッセイキット。
【請求項11】
Lが任意選択のリンカーであるビオチン化ペプチド、ビオチン-L-GPPGPPGRLV(配列番号7)と、C末端配列GPPGPPGRLV-COOH(配列番号1)を含むキャリブレータペプチドとを含む、請求項10に記載のアッセイキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントと反応性である抗体、VII型コラーゲンα1のフラグメントを検出および定量化するためのアッセイにおける抗体の使用、ならびに慢性閉塞性肺疾患(COPD)または全身性硬化症を評価するためのアッセイの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
VII型コラーゲンは、基底膜をその下の間質マトリックスに結合する係留線維の主成分である。これは、2つの非コラーゲン(NC)ドメインおよび中央のコラーゲン三重らせんドメインを有する3つの同一のα1鎖から成る。VII型コラーゲンは、皮膚および粘膜の基底膜において同定されている[1]。
【0003】
VII型コラーゲンは、主として、重篤な皮膚疾患である栄養障害型表皮水疱症におけるその役割について検討されてきた。VII型コラーゲンα1鎖の突然変異は、真皮からの表皮の分離、したがって皮膚の水疱形成を引き起こす、異常な係留線維の形成、係留線維の減少または欠如をもたらす[1]。VII型コラーゲンはまた、皮膚および粘膜の水疱形成を引き起こす自己免疫疾患である後天性表皮水疱症における原因タンパク質としても同定されている。この疾患は、VII型コラーゲンのNC1ドメインに対するIgG自己抗体によって引き起こされる[2]。
【0004】
VII型コラーゲンに対する自己免疫はまた、炎症性腸疾患および水疱性全身性エリテマトーデスにも関連付けられている[3-4]。
【0005】
全身性硬化症に罹患している患者の皮膚におけるVII型コラーゲンレベルの上方調節が同定されている[5]。全身性硬化症の患者は、皮膚線維症を有し、肺を含む内臓器官の線維症を呈し得る。1つの試験では、喘息のサルモデルにおいて気道の係留線維中のVII型コラーゲンタンパク質のレベル低下も同定されている[6]。
【0006】
VII型コラーゲンに関連する病原性状態を評価するためには、病原性状態に関連する種を検出および定量化することができるアッセイを作製することが必要である。
【0007】
Chenら、SalehらおよびKimらは、独立して、VII型コラーゲンのNC1またはNC2ドメインに対する自己抗体を検出するためのELISAを開発した[7-9]。これらの方法は、VII型コラーゲンα1の組換えNC1および/またはNC2ドメインでマイクロタイタープレートを被覆し、関心対象の血清試料を添加し、抗ヒトIgG抗体を使用して血清試料中に存在する自己抗体を検出することを含む。
【0008】
Reckeらは、VII型コラーゲンのNC1ドメインに対する自己抗体の生成を記述し、後天性表皮水疱症のヒトエクスビボモデルにおいて潜在的病原性を検討した[10]。彼らは、これを診断ツールとして使用することを提案した。
【0009】
Sakaiらは、VII型コラーゲンに対するモノクローナル抗体を惹起した[11]。このmAbは無傷のVII型コラーゲンとのみ反応性であった。
【0010】
VII型コラーゲンを標的とするモノクローナルおよびポリクローナル抗体は、いくつかの供給業者から商業的に入手することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Chung,H.J.およびJ.Uitto.2010。VII型コラーゲン:栄養障害型表皮水疱症の原因となる係留線維タンパク質(Type VII collagen:the anchoring fibril protein at fault in dystrophic epidermolysis bullosa.)。Bermosa.DermatolClin.28:93-105。
【文献】Chen,M.、G.H.Kim、L.PrakashおよびD.T.Woodley.2012。後天性表皮水疱症:係留線維コラーゲンに対する自己免疫(Epidermolysis bullosa acquisita:autoimmunity to anchoring fibril collagen.)。Autoimmunity 45:91-101。
【文献】Hundorfean,G.、M.F.NeurathおよびC.Sitaru.2010。炎症性腸疾患におけるVII型コラーゲンに対する自己免疫(Autoimmunity against type VII collagen in inflammatory bowel disease.)。J.Cell Mol.Med.14:2393-2403。
【文献】Gammon,W.R.、D.T.Woodley、K.C.DoleおよびR.A.Briggaman.1985。全身性エリテマトーデスの水疱性発疹における抗基底膜部抗体が後天性表皮水疱症の自己抗原を認識する証拠(Evidence that anti-basement membrane zone antibodies in bullous eruption of systemic lupus erythematosus recognize epidermolysis bullosa acquisita autoantigen.)。J.Invest Dermatol.84:472-476。
【文献】Rudnicka,L.、J.Varga、A.M.Christiano、R.V.Iozzo、S.A.JimenezおよびJ.Uitto.1994。全身性硬化症の患者の皮膚におけるVII型コラーゲンの発現上昇。トランスフォーミング増殖因子βによる調節(Elevated expression of type VII collagen in the skin of patients with systemic sclerosis.Regulation by transforming growth factor-beta.)。J.Clin.Invest 93:1709-1715。
【文献】Evans,M.J.、M.V.Fanucchi、L.A.Miller、M.A.Carlson、S.J.NishioおよびD.M.Hyde.2010。ハウスダストダニに暴露された乳児アカゲザルの気道基底膜部におけるVII型コラーゲン係留線維の減少(Reduction of collagen VII anchoring fibrils in the airway basement membrane zone of infant rhesus monkeys exposed to house dust mite.)。Am.J.Physiol Lung Cell Mol.Physiol 298:L543-L547。
【文献】Chen,M.、L.S.Chan、X.Cai、E.A.O’Toole、J.C.SampleおよびD.T.Woodley.1997。後天性表皮水疱症における抗VII型コラーゲン自己抗体の迅速検出のためのELISAの開発(Development of an ELISA for rapid detection of anti-type VII collagen autoantibodies in epidermolysis bullosa acquisita.)。J.Invest Dermatol.108:68-72。
【文献】Saleh,M.A.、K.Ishii、Y.J.Kim、A.Murakami、N.Ishii、T.Hashimoto、E.Schmidt、D.Zillikens、Y.Shilkata、K.Hashimotoら、2011。後天性表皮水疱症患者の診断および経時変化の分析のためのVII型コラーゲンELISAのNC1およびNC2ドメインの開発(Development of NC1 and NC2 domains of type VII collagen ELISA for the diagnosis and analysis of the time course of epidermolysis bullosa acquisita patients.)。J.Dermatol.Sci 62:169-175。
【文献】Kim,J.H.、Y.H.Kim、S.Kim、E.B.Noh、S.E.Kim、A.Vorobyev、E.Schmidt、D.ZillikensおよびS.C.Kim.2013。後天性表皮水疱症の患者において酵素結合免疫吸着アッセイによって検出された抗VII型コラーゲン抗体の血清レベルは、皮膚病変の重症度と相関する(Serum levels of anti-type VII collagen antibodies detected by enzyme-linked immunosorbent assay in patients with epidermolysis bullosa acquisita are correlated with the severity of skin lesions.)。J.Eur.Acad Dermatol.Venereol.27:e224-e230。
【文献】Recke,A.、C.Sitaru、G.Vidarsson、M.Evensen、M.T.Chiriac、R.J.LudwigおよびD.Zillikens.2010。VII型コラーゲンに対するIgGサブクラス自己抗体の病原性:真皮-表皮分離の誘導(Pathogenicity of IgG subclass autoantibodies to type VII collagen:induction of dermal-epidermal separation.)。J.Autoimmun.34:435-444。
【文献】Sakai,L.Y.、D.R.Keene、N.P.MorrisおよびR.E.Burgeson.1986。VII型コラーゲンは係留線維の主要な構造成分である(Type VII collagen is a major structural component of anchoring fibrils.)。J.Cell Biol.103:1577-1586。
【発明の概要】
【0012】
現在、VII型コラーゲンα1のフラグメントが循環中で検出可能であり、VII型コラーゲンに関連する病理学的状態を評価するための潜在的なバイオマーカーとしての役割を果たし得ることが見出されている。具体的には、VII型コラーゲンα1フラグメントと、病理学的状態であるCOPDおよび全身性硬化症との間の関連が同定されている。
【0013】
したがって、第一の態様では、本発明は、N末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントと反応性の抗体に関し、抗体はN末端またはC末端ネオエピトープに結合する。
【0014】
抗体は、好ましくはモノクローナル抗体であるが、ポリクローナル抗体または所望の生物学的活性を示す抗体フラグメントであってもよい。
【0015】
好ましくは、抗体は無傷のVII型コラーゲンα1を認識しないまたはこれに結合しない。
【0016】
好ましい実施形態では、抗体は、VII型コラーゲンα1の非コラーゲンアミノ末端ドメイン(NC1)に含まれるか、またはVII型コラーゲンα1の中央コラーゲンドメインに含まれるN末端またはC末端ネオエピトープに結合し得る。
【0017】
別の好ましい実施形態では、抗体は、VII型コラーゲンα1の中央コラーゲンドメインに含まれるC末端ネオエピトープに結合し得る。好ましくは、抗体は、アミノ酸配列GPPGPPGRLV-COOH(配列番号1)に含まれるC末端ネオエピトープに結合する。好ましくは、抗体は、アミノ酸配列PPGRLV-COOH(配列番号2)を含むかまたはこれから成るC末端ネオエピトープに結合する。このC末端ネオエピトープは、VII型コラーゲンα1の中央コラーゲンドメイン内のアミノ酸V1709-D1710の間のVal-Asp結合におけるヒトVII型コラーゲンα1の切断によって形成され得る。好ましくは、抗体は、伸長したアミノ酸配列GPPGPPGRLVX-COOH(配列番号3)を認識せずまたはこれに結合せず、ここで、XはVII型コラーゲンα1の配列の1つ以上のアミノ酸である。
【0018】
別の好ましい実施形態では、抗体は、VII型コラーゲンα1の非コラーゲンアミノ末端ドメイン(NC1)に含まれるN末端ネオエピトープに結合し得る。好ましくは、抗体は、アミノ酸配列HN-EAPRVRAQHR(配列番号4)に含まれるN末端ネオエピトープに結合し得る。好ましくは、抗体は、アミノ酸配列HN-EAPRVR(配列番号5)を含むかまたはこれから成るN末端ネオエピトープに結合する。このN末端ネオエピトープは、VII型コラーゲンα1の非コラーゲンアミノ酸末端ドメイン内のアミノ酸A16-E17の間のAla-Glu結合におけるヒトVII型コラーゲンα1の切断によって形成され得る。好ましくは、抗体は、伸長したアミノ酸配列HN-XEAPRVRAQHR(配列番号6)を認識せずまたはこれに結合せず、ここで、XはVII型コラーゲンα1の配列の1つ以上のアミノ酸である。
【0019】
本明細書に記載する抗体は、N末端またはC末端ネオエピトープアミノ酸配列に対応する合成ペプチドに対して惹起され得る。
【0020】
第二の態様では、本発明は、生物学的試料中で、N末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントを検出するためのイムノアッセイの方法に関し、方法は、N末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントを含む生物学的試料を本明細書に記載する抗体と接触させることと、抗体の結合量を測定することとを含む。
【0021】
この方法は、生体液中のN末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの量を定量化するために使用し得る。生体液は、血清、血漿、気管支肺胞洗浄液、痰、唾液、呼気または尿であり得るが、これらに限定されない。
【0022】
イムノアッセイは、競合アッセイまたはサンドイッチアッセイであり得るが、これらに限定されない。イムノアッセイは、ラジオイムノアッセイまたは酵素結合免疫吸着アッセイであり得るが、これらに限定されない。
【0023】
この方法は、方法によって測定されたN末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの量を、既知の疾患重症度の標準的なVII型コラーゲン関連疾患試料と相関させて、VII型コラーゲン関連疾患の重症度を評価する工程をさらに含み得る。
【0024】
このようなVII型コラーゲン関連疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または全身性硬化症であり得るが、これらに限定されない。
【0025】
本発明の方法は、このようなVII型コラーゲン関連疾患の定量、診断および/または予後において利用し得ることが想定される。
【0026】
第三の態様では、本発明はペプチドに関し、ペプチドは、N末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントのN末端ネオエピトープのアミノ酸配列に対応するN末端アミノ酸配列を有するか、またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントのC末端ネオエピトープのアミノ酸配列に対応するC末端アミノ酸配列を有する。好ましくは、ペプチドは、10アミノ酸残基の長さ、より好ましくは9アミノ酸残基、より好ましくは8アミノ酸残基、より好ましくは7アミノ酸残基、最も好ましくは6アミノ酸残基の長さである。ペプチドはビオチン化されていてもよい。
【0027】
好ましい実施形態では、ペプチドは、アミノ酸配列EAPRVRAQHR(配列番号4)またはEAPRVR(配列番号5)を有する。
【0028】
別の好ましい実施形態では、ペプチドは、アミノ酸配列GPPGPPGRLV(配列番号1)またはPPGRLV(配列番号2)を有する。
【0029】
第四の態様では、本発明は、生物学的試料中でN末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの量を測定するためのアッセイキットに関し、キットは、本明細書に記載する抗体と、
‐ストレプトアビジンで被覆された96ウェルプレート
‐ビオチン残基とペプチドの間に位置する任意選択のリンカーを伴う、N末端またはC末端ネオエピトープのアミノ酸配列に対応するビオチン化ペプチド、
‐サンドイッチイムノアッセイに使用するためのビオチン化二次抗体
‐N末端またはC末端ネオエピトープのアミノ酸配列に対応するキャリブレータペプチド
‐抗体HPR標識キット
‐抗体放射性標識キット
‐アッセイ視覚化キット
の少なくとも1つとを含む。
【0030】
好ましくは、アッセイキットは、Lが任意選択のリンカーであるビオチン化ペプチド、ビオチン-L-GPPGPPGRLV(配列番号7)と、C末端配列GPPGPPGRLV-COOH(配列番号1)を含むキャリブレータペプチドとを含む。
【0031】
好ましくは、アッセイキットは、Lが任意選択のリンカーであるビオチン化ペプチド、EAPRVRAQHR-L-ビオチン(配列番号8)と、N末端配列HN-EAPRVRAQHR(配列番号4)を含むキャリブレータペプチドとを含む。
【0032】
定義
用語「抗体」は、最も広い意味で本発明に従って使用され、具体的には、所望の生物学的活性を示す限り、無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体および抗体フラグメントを包含する。
【0033】
本発明による「抗体フラグメント」は、無傷の抗体の一部、好ましくはその抗原結合領域または可変領域を含む、無傷の抗体の一部を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、FvおよびFcフラグメントが含まれる。
【0034】
本発明による「VII型コラーゲンα1のフラグメント」は、VII型コラーゲンのプロテアーゼ切断によって生成されるペプチドフラグメントを意味する。
【0035】
本発明による「N末端またはC末端ネオエピトープ」は、VII型コラーゲンα1のプロテアーゼ切断部位で形成されるN末端またはC末端エピトープを意味する。例えば、VII型コラーゲンα1の以下の配列:
...PGPPGPPGRLV↓DTGPGAREKGE...
は、V1709-D1710ペプチド結合の間の部位でプロテアーゼによって切断された場合、記号「↓」で表されるように、N末端ネオエピトープHN-DTGPGAREKGE...およびC末端ネオエピトープ...PGPPGPPGRLV-COOHを生成する。
【0036】
本明細書で使用される「C7」は、C末端ネオエピトープGPPGPPGRLV-COOH(配列番号1)を含むVII型コラーゲンα1のフラグメントを指す。
【0037】
本明細書で使用される「NB677」は、N末端ネオエピトープHN-EAPRVRAQHR(配列番号4)を含むVII型コラーゲンα1のフラグメントを指す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】「C7」アッセイの検量線を示す。
図2】「C7」とCOPDとの相関を示す。
図3】「C7」と全身性硬化症との相関を示す。
図4】「NB677」アッセイの検量線を示す。
図5】全身性硬化症における血清C7の臨床評価。健常ドナー(n=70)および全身性硬化症を有する患者のコホート(SSc;n=119)において血清C7レベルを評価した。データはテューキーの箱ひげ図として提示する。統計的有意性は、マン‐ホイットニー検定によって評価した。***p<0.0001。
【発明を実施するための形態】
【0039】
例1-COPDバイオマーカー(「C7」アッセイ)
理論的根拠
COPDを有する患者、特発性肺線維症(IPF)を有する患者および健常ドナーからの血清試料に関して質量分析を実施した。
【0040】
最初の質量分析は、血清中のVII型コラーゲンに由来するペプチドを同定した。IMAC Cuビーズを用いて血清からペプチドを単離した。個々のペプチドについての同一性の有意性閾値は51であった。血清試料は、オービトラップ(OrbiB)装置を用いて分析した。
【0041】
C末端ネオエピトープGPPGPPGRLV-COOH(「C7」)(配列番号1)を含むVII型コラーゲンα1のフラグメントは、COPD試料中で見出されたが、IPFまたは健常ドナー試料中では認められなかった。ネオエピトープは、ヒトVII型コラーゲンの1709位‐1710位のアミノ酸Val-Aspの間に位置する切断部位に対応する。この切断に関与するプロテアーゼは未だ不明である。この配列をBLASTを用いて分析し、VII型コラーゲンα1鎖にユニークであることが判明した。
【0042】
抗体
モノクローナル抗体を、C末端ネオエピトープのアミノ酸配列GPPGPPGRLV-COOH(配列番号1)に対して惹起させた。
【0043】
簡単に述べると、フロイントの不完全アジュバントを使用して、4~6週齢のBalb/Cマウスを乳化抗原200μLおよびC7合成ペプチド(KLH-CGG-GPPGPPGRLV、配列番号9)50μgで皮下免疫した。安定な血清力価レベルに達するまで、2週間ごとに免疫を行った。最も高い血清力価を有するマウスを融合のために選択した。マウスを1ヶ月間休息させ、次いで、細胞融合のために脾臓を単離する3日前に、0.9%塩化ナトリウム溶液100μL中のC7ペプチド50μgで静脈内に追加免疫した。マウスの脾臓細胞をSP2/0骨髄腫融合パートナー細胞と融合させた。得られたハイブリドーマ細胞を半固体培地法を用いてクローニングし、さらなる増殖のために96ウェルマイクロタイタープレートに移し、COインキュベーター中でインキュベートした。モノクローナル増殖を促進するために、標準的な限界希釈法を用いた。
【0044】
ELISA
C7に対して惹起させたモノクローナル抗体を使用した競合ELISAを、以下の手順を用いて実施した。
【0045】
ストレプトアビジン被覆プレートをアッセイ緩衝液(50mM TBS-BTB、2g/L NaCl、pH8.0)で希釈した2.5ng/mLのビオチン標識ペプチド(ビオチン-KKGPPGPPGRLV、配列番号10)100μL/ウェルで被覆し、20℃にて、300rpmで振とうしながら30分間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液(20nM TRIS、50mM NaCl、pH7.2)中で5回洗浄した。試料または標準ペプチド(20μL)を二重測定において添加し、続いて直ちに、アッセイ緩衝液で希釈した200ng/mLのHRP標識モノクローナル抗体100μL/ウェルを添加し、プレートを20℃にて300rpmで振とうしながら3時間インキュベートした。標準ペプチドは、125ng/mLの出発濃度で、11ポイントの検量線を作成するために2倍に希釈した合成ペプチド(GPPGPPGRLV、配列番号1)であった(図1)。インキュベーション後、プレートを洗浄緩衝液中で5回洗浄した。3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)100μLを添加し、暗所で20℃にて15分間インキュベートした。TMBの酵素反応を停止させるために、0.1%硫酸100mLを添加し、ELISAリーダーを用いて、650nmを基準として450nmで吸光度を測定した。検量線は、4パラメトリック数学的適合モデルを用いてプロットした。各ELISAプレートは、アッセイ間変動を観測するためにキット対照および社内品質管理試料の両方を含んだ。すべての試料をアッセイの範囲内で測定した。検出の下限(LLOD)未満のすべての試料にはLLODの値を割り当てた。
【0046】
C7 ELISAの技術的特徴は以下のとおりである。
【0047】
【表1】
【0048】
ELISAは、標準ペプチドに対しては反応性が見られたが、伸長ペプチド(GPPGPPGRLVD、配列番号11)には見られなかったので、切断部位に特異的であることが示され、このアッセイが無傷のVII型コラーゲンタンパク質を認識しないことを指し示した(図1)。
【0049】
臨床的有用性
COPD
COPDを有する68名の患者のコホートでは、健常ドナーと比較してC7の血清レベルが有意に上昇していた(図2)。
【0050】
これらの結果は、COPDを同定する上でのC7アッセイの有用性を示し、例えば診断または予後予測ツールとして、COPDを評価するのに有用であることを実証し得る。
【0051】
全身性硬化症
初期のびまん性全身性硬化症の20名の患者では、健常対照と比較してC7の血清レベルが有意に上昇していた(p=0.022)(図3)。全身性硬化症の初期段階は高い疾患活動性に関連するが、後期段階の患者は緩やかに進行する。初期びまん性疾患の患者群では、中間の進行速度(皮膚厚さの進行速度によって定義される)を有する亜集団が、対照と比較して有意に高いレベルを有していた(p=0.016)。
【0052】
後期全身性硬化症と比較した場合の初期段階全身性硬化症におけるC7レベルの上昇は、C7アッセイが全身性硬化症の初期段階と後期段階とを区別することができ、それによって全身性硬化症を評価するための潜在的に有用な診断および/または予後予測ツールを提供し得ることを示唆する。
【0053】
例2(「NB677」アッセイ)
VII型コラーゲンα1のシグナルペプチドは、アミノ酸1‐16に見出される[12]。シグナルペプチドの切断によって形成されるN末端ネオエピトープ配列(17’.EAPRVRAQHR’26)を、BLASTを用いて分析し、VII型コラーゲンα1鎖にユニークであることが判明した。
【0054】
COPDについての「C7」アッセイの成功に続いて、このユニークなVII型コラーゲンα1ネオエピトープは、COPDおよび/または全身性硬化症の同定および/または評価にも有用であり得ると考えられる。
【0055】
抗体
したがって、N末端ネオエピトープのアミノ酸配列HN-EAPRVRAQHR(配列番号4)に対するモノクローナル抗体を惹起させた。
【0056】
簡単に述べると、フロイントの不完全アジュバントを使用して、4~6週齢のBalb/Cマウスを乳化抗原200μLおよびNB677合成ペプチド(EAPRVRAQHR-GGC-KLH、配列番号12)50μgで皮下免疫した。安定な血清力価レベルに達するまで、2週間ごとに免疫を行った。最も高い血清力価を有するマウスを融合のために選択した。マウスを1ヶ月間休息させ、次いで、細胞融合のために脾臓を単離する3日前に、0.9%塩化ナトリウム溶液100μL中のNB677ペプチド50μgで静脈内に追加免疫した。マウスの脾臓細胞をSP2/0骨髄腫融合パートナー細胞と融合させた。得られたハイブリドーマ細胞を半固体培地法を用いてクローニングし、さらなる増殖のために96ウェルマイクロタイタープレートに移し、COインキュベーター中でインキュベートした。モノクローナル増殖を促進するために、標準的な限界希釈法を用いた。
【0057】
ELISA
モノクローナル抗体を使用した競合ELISAを、以下の手順を用いて実施した。
【0058】
ストレプトアビジン被覆プレートを被覆緩衝液(50mM PBS-BTE、8g/L NaCl、10%ソルビトール)で希釈した2.0ng/mLのビオチン標識ペプチド(EAPRVRAQHR-Lys-ビオチン、配列番号13)100μL/ウェルで被覆し、20℃にて、300rpmで振とうしながら30分間インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液(20nM TRIS、50mM NaCl、pH7.2)中で5回洗浄した。標準ペプチド(20μL)を二重測定において添加し、続いて直ちに、アッセイ緩衝液(25mM PBS-BTB、8g/L NaCl)で希釈した120ng/mLモノクローナル抗体100μL/ウェルを添加し、プレートを、4℃にて300rpmで振とうしながら20時間インキュベートした。標準ペプチドは、100ng/mLの出発濃度で、検量線を作成するために2倍に希釈した合成ペプチド(EAPRVRAQHR、配列番号4)であった(図4)。インキュベーション後、プレートを洗浄緩衝液中で5回洗浄した。100μL/ウェルの二次HRP標識抗体(ウサギ抗マウスIgG)をアッセイ緩衝液で1:3000に希釈して添加し、プレートを、20℃にて300rpmで振とうしながら1時間インキュベートした。3,3’、5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)100μLを添加し、暗所で20℃にて15分間インキュベートした。TMBの酵素反応を停止させるために、0.1%硫酸100mLを添加し、ELISAリーダーを用いて、650nmを基準として450nmで吸光度を測定した。検量線は、4パラメトリック数学的適合モデルを用いてプロットした。VII型コラーゲンα1のN末端ネオエピトープに対するモノクローナル抗体は、標準ペプチドに対する反応性による評価で、所望の配列を認識することが確認された。
【0059】
例3
C7 ELISAを、全身性硬化症(SSc)を有する患者の第二のより大きなコホートで評価した。ヒト血清における評価の精度を改善するためにC7 ELISAを(前の例と比較して)再較正した。
【0060】
結果:健常ドナー(n=70)における血清レベルをSSc患者(n=119)と比較することによって、C7 ELISAの生物学的関連性を評価した。データを図5に示す。健常ドナー(3.9ng/mL[IQR2.3‐8.3ng/mL];p<0.0001)と比較して、SSc患者(9.3ng/mL[IQR6.7-13.2])では血清C7レベルの中央値が有意に上昇していた。
【0061】
臨床データは、SScを有する患者において血清C7レベルが上昇することを裏付ける。
【0062】
結論として、本明細書に記載の新規アッセイは、VII型コラーゲンα1のN末端またはC末端ネオエピトープに特異的な抗体を利用する。我々が知る限り、VII型コラーゲンがCOPDと関連付けられたのはこれが初めてである。したがって、これらのアッセイは、COPDおよび全身性硬化症を評価するために使用し得ることが想定される。
【0063】
本明細書では、明確に別段の指示がない限り、単語「または」は、条件のうちの1つだけが満たされることを求める演算子「排他的なまたは」とは対照的に、記載された条件のいずれかまたは両方が満たされた場合に真の値を返す演算子の意味で使用される。単語「含む」は、「から成る」を意味するのではなく、「包含する」の意味で使用される。上記で認められたすべての先行教示は、参照により本明細書に組み込まれる。先行して公表された資料の本明細書における承認は、その教示がその時点でオーストラリアまたは他の場所における共通の一般的な知識であったことの承認または表明であるとみなされるべきではない。
また、本発明は以下の態様にも関する。
[1]
N末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントと反応性の抗体であって、前記N末端またはC末端ネオエピトープに結合する抗体。
[2]
前記抗体がモノクローナル抗体である、[1]に記載の抗体。
[3]
前記N末端またはC末端ネオエピトープが、VII型コラーゲンα1の非コラーゲンアミノ末端ドメインに含まれるか、またはVII型コラーゲンα1の中央コラーゲン三重らせんドメインに含まれる、[1]または[2]に記載の抗体。
[4]
前記抗体が、アミノ酸配列GPPGPPGRLV-COOH(配列番号1)に含まれるC末端ネオエピトープに結合する、[1]から[3]に記載の抗体。
[5]
前記抗体が、アミノ酸配列PPGRLV-COOH(配列番号2)を含むC末端ネオエピトープに結合する、[1]から[3]に記載の抗体。
[6]
前記抗体が、伸長したアミノ酸配列GPPGPPGRLVX-COOH(配列番号3)を認識せずまたはこれに結合せず、ここで、XがVII型コラーゲンα1の配列の1つ以上のアミノ酸である、[4]または[5]に記載の抗体。
[7]
前記抗体が、アミノ酸配列H N-EAPRVRAQHR(配列番号4)に含まれるN末端ネオエピトープに結合する、[1]から[3]に記載の抗体。
[8]
前記抗体が、アミノ酸配列H N-EAPRVR(配列番号5)を含むN末端ネオエピトープに結合する、[1]から[3]に記載の抗体。
[9]
前記抗体が、伸長したアミノ酸配列H N-XEAPRVRAQHR(配列番号6)を認識せずまたはこれに結合せず、ここで、XがVII型コラーゲンα1の配列の1つ以上のアミノ酸である、[7]または[8]に記載の抗体。
[10]
生物学的試料中で、N末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントを検出するためのイムノアッセイの方法であって、前記N末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1の前記フラグメントを含む前記生物学的試料を、[1]から[9]に記載の抗体と接触させることと、前記抗体の結合量を測定することとを含む、方法。
[11]
前記方法が、生体液中の前記N末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの量を定量化するために使用される、[10]に記載の方法。
[12]
前記生体液が、血清、血漿、気管支肺胞洗浄液、痰、呼気または尿である、[11]に記載の方法。
[13]
前記イムノアッセイが競合アッセイまたはサンドイッチアッセイである、[10]に記載の方法。
[14]
前記イムノアッセイがラジオイムノアッセイまたは酵素結合免疫吸着アッセイである、[10]に記載の方法。
[15]
前記方法によって測定されたN末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの量を、既知の疾患重症度の標準的なVII型コラーゲン関連疾患試料と相関させて、VII型コラーゲン関連疾患の重症度を評価することをさらに含む、[11]に記載の方法。
[16]
前記VII型コラーゲン関連疾患が慢性閉塞性肺疾患(COPD)または全身性硬化症である、[15]に記載の方法。
[17]
N末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの前記N末端ネオエピトープのアミノ酸配列に対応するN末端アミノ酸配列を有するか、またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの前記C末端ネオエピトープのアミノ酸配列に対応するC末端アミノ酸配列を有する、ペプチド。
[18]
前記N末端ネオエピトープのアミノ酸配列がEAPRVRAQHR(配列番号4)またはEAPRVR(配列番号5)である、[17]に記載のペプチド。
[19]
前記C末端ネオエピトープのアミノ酸配列がGPPGPPGRLV(配列番号1)またはPPGRLV(配列番号2)である、[17]に記載のペプチド。
[20]
ビオチンに結合されている、[17]から[19]に記載のペプチド。
[21]
生物学的試料中でN末端またはC末端ネオエピトープを含むVII型コラーゲンα1のフラグメントの量を測定するためのアッセイキットであって、[1]から[9]のいずれかに記載の抗体と、
‐ストレプトアビジンで被覆された96ウェルプレート
‐ビオチン残基と前記ペプチドの間に位置する任意選択のリンカーを伴う、[17]から[19]に記載のビオチン化ペプチド、
‐サンドイッチイムノアッセイに使用するためのビオチン化二次抗体
‐[17]から[19]に記載のキャリブレータペプチド
‐抗体HPR標識キット
‐抗体放射性標識キット
‐アッセイ視覚化キット
の少なくとも1つとを含む、アッセイキット。
[22]
Lが任意選択のリンカーであるビオチン化ペプチド、ビオチン-L-GPPGPPGRLV(配列番号7)と、C末端配列GPPGPPGRLV-COOH(配列番号1)を含むキャリブレータペプチドとを含む、[20]に記載のアッセイキット。
[23]
Lが任意選択のリンカーであるビオチン化ペプチドEAPRVRAQHR-L-ビオチン(配列番号8)と、N末端配列H N-EAPRVRAQHR(配列番号4)を含むキャリブレータペプチドとを含む、[20]に記載のアッセイキット。
【0064】
参考文献
[1]Chung,H.J.およびJ.Uitto.2010。VII型コラーゲン:栄養障害型表皮水疱症の原因となる係留線維タンパク質(Type VII collagen:the anchoring fibril protein at fault in dystrophic epidermolysis bullosa.)。Bermosa.DermatolClin.28:93-105。
[2]Chen,M.、G.H.Kim、L.PrakashおよびD.T.Woodley.2012。後天性表皮水疱症:係留線維コラーゲンに対する自己免疫(Epidermolysis bullosa acquisita:autoimmunity to anchoring fibril collagen.)。Autoimmunity 45:91-101。
[3]Hundorfean,G.、M.F.NeurathおよびC.Sitaru.2010。炎症性腸疾患におけるVII型コラーゲンに対する自己免疫(Autoimmunity against type VII collagen in inflammatory bowel disease.)。J.Cell Mol.Med.14:2393-2403。
[4]Gammon,W.R.、D.T.Woodley、K.C.DoleおよびR.A.Briggaman.1985。全身性エリテマトーデスの水疱性発疹における抗基底膜部抗体が後天性表皮水疱症の自己抗原を認識する証拠(Evidence that anti-basement membrane zone antibodies in bullous eruption of systemic lupus erythematosus recognize epidermolysis bullosa acquisita autoantigen.)。J.Invest Dermatol.84:472-476。
[5]Rudnicka,L.、J.Varga、A.M.Christiano、R.V.Iozzo、S.A.JimenezおよびJ.Uitto.1994。全身性硬化症の患者の皮膚におけるVII型コラーゲンの発現上昇。トランスフォーミング増殖因子βによる調節(Elevated expression of type VII collagen in the skin of patients with systemic sclerosis.Regulation by transforming growth factor-beta.)。J.Clin.Invest 93:1709-1715。
[6]Evans,M.J.、M.V.Fanucchi、L.A.Miller、M.A.Carlson、S.J.NishioおよびD.M.Hyde.2010。ハウスダストダニに暴露された乳児アカゲザルの気道基底膜部におけるVII型コラーゲン係留線維の減少(Reduction of collagen VII anchoring fibrils in the airway basement membrane zone of infant rhesus monkeys exposed to house dust mite.)。Am.J.Physiol Lung Cell Mol.Physiol 298:L543-L547。
[7]Chen,M.、L.S.Chan、X.Cai、E.A.O’Toole、J.C.SampleおよびD.T.Woodley.1997。後天性表皮水疱症における抗VII型コラーゲン自己抗体の迅速検出のためのELISAの開発(Development of an ELISA for rapid detection of anti-type VII collagen autoantibodies in epidermolysis bullosa acquisita.)。J.Invest Dermatol.108:68-72。
[8]Saleh,M.A.、K.Ishii、Y.J.Kim、A.Murakami、N.Ishii、T.Hashimoto、E.Schmidt、D.Zillikens、Y.Shilkata、K.Hashimotoら、2011。後天性表皮水疱症患者の診断および経時変化の分析のためのVII型コラーゲンELISAのNC1およびNC2ドメインの開発(Development of NC1 and NC2 domains of type VII collagen ELISA for the diagnosis and analysis of the time course of epidermolysis bullosa acquisita patients.)。J.Dermatol.Sci 62:169-175。
[9]Kim,J.H.、Y.H.Kim、S.Kim、E.B.Noh、S.E.Kim、A.Vorobyev、E.Schmidt、D.ZillikensおよびS.C.Kim.2013。後天性表皮水疱症の患者において酵素結合免疫吸着アッセイによって検出された抗VII型コラーゲン抗体の血清レベルは、皮膚病変の重症度と相関する(Serum levels of anti-type VII collagen antibodies detected by enzyme-linked immunosorbent assay in patients with epidermolysis bullosa acquisita are correlated with the severity of skin lesions.)。J.Eur.Acad Dermatol.Venereol.27:e224-e230。
[10]Recke,A.、C.Sitaru、G.Vidarsson、M.Evensen、M.T.Chiriac、R.J.LudwigおよびD.Zillikens.2010。VII型コラーゲンに対するIgGサブクラス自己抗体の病原性:真皮-表皮分離の誘導(Pathogenicity of IgG subclass autoantibodies to type VII collagen:induction of dermal-epidermal separation.)。J.Autoimmun.34:435-444。
[11]Sakai,L.Y.、D.R.Keene、N.P.MorrisおよびR.E.Burgeson.1986。VII型コラーゲンは係留線維の主要な構造成分である(Type VII collagen is a major structural component of anchoring fibrils.)。J.Cell Biol.103:1577-1586。
[12]Uniprot. http://www.uniprot.org/uniprot/Q02388.2015年にアクセスした。
【配列表フリーテキスト】
【0065】
配列表3
<223>伸長したC末端ネオエピトープ
<223>XはVII型コラーゲンα1の配列の1つ以上のアミノ酸である
配列表6
<223>XはVII型コラーゲンα1の配列の1つ以上のアミノ酸である
<223>伸長したN末端ネオエピトープ
配列表7
<223>ビオチン残基とペプチドの間に位置する任意選択のリンカーを伴ってビオチン化
<223>C末端ネオエピトープ-N末端でビオチン化
配列表8
<223>N末端ネオエピトープ-C末端でビオチン化
<223>ビオチン残基とペプチドの間に位置する任意選択のリンカーを伴ってビオチン化
配列表9
<223>CGGリンカーに結合したKLH
<223>免疫化ペプチド
配列表10
<223>ビオチン化
<223>被覆物ペプチド
配列表11
<223>伸長したC末端配列
配列表12
<223>免疫化ペプチド
<223>KLH結合
配列表13
<223>被覆物ペプチド
<223>ビオチン化
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
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