(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】気化挿入体、吸入器のための気化器タンクユニット、吸入器及び、その製造方法
(51)【国際特許分類】
A61M 15/06 20060101AFI20220620BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
A61M15/06 A
A61M15/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019084872
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2019-12-12
(31)【優先権主張番号】10 2018 206 647.7
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595112018
【氏名又は名称】ハウニ・マシイネンバウ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス・ロンミング
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ヤクリン
(72)【発明者】
【氏名】ティム・ウルナー
(72)【発明者】
【氏名】ラッセ・コルニルス
(72)【発明者】
【氏名】カレン・カライズャン
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0135505(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016002665(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0265524(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0027879(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/06
A61M 15/00
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器(27)のための気化挿入体(1)を有する気化器タンクユニット(26)であって、この気化器タンクユニット(26)が、
-気化器(3)に供給された液体(2)を気化するための少なくとも1つの電気式気化器(3)と、
-電気エネルギーを供給するために前記気化挿入体(1)に電気接触し、及び/又は前記気化器(3)のための制御信号を受信するための複数の電気接触子(10)とを有し、
-前記気化挿入体(1)が、対向して配置された複数の端面(11、12)と、少なくとも1つの貫流可能な流体チャネル(13)の周りに配置された、前記複数の端面(11、12)間のシェル面(31)を有する1つのベース部分(14)とを備え、
-少なくとも1つの液体開口部(15)が、気化可能な液体(2)を前記気化器(3)に向かって外側から前記気化挿入体(1)内に供給するために前記ベース部分(14)の前記シェル面(31)に配置されている、当該気化器タンクユニット(26)において、
-気化器タンクユニット(26)は、液体タンク(30)を有し、この液体タンク(30)内に気化挿入体(1)が挿設されており、
-薬莢状若しくは莢状の前記気化挿入体(1)が
、液体タンク(30)内に設置可能であり、又
はこの液体タンク(30)内に挿設可能若しくは挿入可能であり、
-前記液体タンク(30)は、少なくとも1つの通気性換気及び/又は排気要素(47)を有
し、
-前記通気性換気及び/又は排気要素(47)は、機能的に協働するように、取り付けられた気化器タンクユニット(26)内で少なくとも1つの通気性換気及び/又は排気設備(17)と重なって設けられていて、
-少なくとも一つの通気性換気及び/又は排気設備(17)が、前記ベース部分(14)の前記シェル面(31)に設けられるとともに、前記液体タンク(30)から前記流体チャネル(13)へ空気のみが流出することができるが液体の流出は阻止される表面構成の複数の穴を有する、
ことを特徴とする気化器タンクユニット(26)。
【請求項2】
-前記気化挿入体(1)は、前記気化挿入体(1)を前記
液体タンク(30)内に保持及び/又は固定するために少なくとも1つの保持要素及び/又は固定要素(38)を含むことを特徴とする請求項1に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項3】
-前記気化挿入体(1)は、前記
液体タンク(30)内に相対回転しないように挿設可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項4】
-前記電気接触子(10)は、前記気化挿入体(1)の前記複数の端面(11、12)のうちの1つの端面に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項5】
-前記流体チャネル(13)は、前記流体チャネル(13)を貫流する空気及び/又は気化された液体(2)を前処理及び/又は後処理するために少なくとも1つの前処理領域及び/又は後処理領域(18)を含む請求項1~
4のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項6】
-前記気化挿入体(1)は、複数の電気式気化器(3a、3b)を含むことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項7】
-前記電気式気化器(3a、3b)は、前記ベース部分(14)の前記シェル面(31)の周囲に沿って、及び/又は前記流体チャネル(13)に沿って配置されていることを特徴とする請求項
6に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項8】
-前記気化挿入体(1)は、複数の液体開口部(15a、15b)を有し、
-液体(2a、2b)が、対応する1つの液体開口部(15a、15b)から各電気式気化器(3a、3b)に供給可能であることを特徴とする請求項
6又は
7に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項9】
-前記気化挿入体(1)は、毛管要素(33)を液体タンク(30)内に保持するために少なくとも1つの保持要素を、又は突起部(32)を前記ベース部分(14)の前記シェル面(31)に有することを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項10】
-気化挿入体(1)は、前記流体チャネル(13)から分離した少なくとも1つのサブ空気チャネル(80)を有することを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項11】
-前記液体開口部(15)は、液体供給要素(16)に連通し、
-前記液体供給要素(16)は、液体(2)を前記気化器(3)に搬送するように適合されていることを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項12】
-前記気化挿入体(1)は、前記気化器(3)を制御及び/又は調整するために、及び/又は特性データを記憶するために電子ユニット(4)を含むことを特徴とする請求項1~
11のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項13】
前記ベース部分(14)は、薬莢状又は莢状であることを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項14】
-前記液体タンク(30)が、1つの挿設開口部(42)及び1つの出口開口部(74)を有し、
-前記気化挿入体(1)が、前記挿設開口部(42)から前記出口開口部(74)まで延在することを特徴とする請求項1~
13のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項15】
-前記液体タンク(30)が、前記気化挿入体(1)の前記シェル面(31)を少なくとも液体開口部(15)の区間内で包囲していることを特徴とする請求項1~
14のいずれか一項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項16】
-前記液体タンク(30)内の毛管要素(33)が、前記液体開口部(15)に付設されていることを特徴とする請求項1~
15のいずれか一項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項17】
-前記気化挿入体(1)は、前記気化器タンクユニット(26)内に相対回転しないように保持されていることを特徴とする請求項1~
16のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項18】
-前記液体タンク(30)は、互いに分離した複数のチャンバ(30a、30b)から成り、
-液体(2a、2b)が、対応する1つのチャンバ(30a、30b)から各電気式気化器(3a、3b)に供給可能であることを特徴とする請求項1~
17のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項19】
-前記気化挿入体(1)の複数の端面(11、12)のうちの少なくとも1つの端面が、前記液体タンク(30)の対応する1つの端面(65、66)に揃えられていることを特徴とする請求項1~
18のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)。
【請求項20】
請求項1~
19のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)及び少なくとも1つの気化器(3)に電気供給するためのエネルギー貯蔵部(55)を含む吸入器(27)。
【請求項21】
気化挿入体(1)と液体タンク(30)とを提供することから成る、請求項1~
19のいずれか1項に記載の気化器タンクユニット(26)及び/又は請求項
20に記載の吸入器(27)を製造するための方法において、
気化挿入体(1)が、挿設開口部(42)内に挿設され、又は挿入され、液体タンク(30)の出口開口部(74)まで挿設され、又は挿入されることを特徴とする方法。
【請求項22】
-前記気化挿入体(1)の出口側の端面(11)が、前記出口開口部(74)まで導かれ、又は摺動され、
-前記液体タンク(30)が、ベース部分(14)と前記挿設開口部(42)の間に配置された又は保持されている充填開口部(73)を通じて液体(2)で充填され、
-前記気化挿入体(1)が、前記充填開口部(73)を閉鎖しつつ前記挿設開口部(42)を通ってストッパまで導かれる、又は摺動されることを特徴とする請求項
21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸入器のための気化挿入体に関し、この気化挿入体は気化器によって供給された液体の気化のための少なくとも一つの電気式気化器、及び電気エネルギーによる供給のための気化挿入体の電気的接触のための、及び/又は気化器のための制御信号の受信のための電気接触子を有する。本発明は、さらに、吸入器のための気化器タンクユニット、吸入器、及び気化器タンクユニットの製造方法、及び/又は吸入器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術に従う最新の吸入器又は電子たばこにおいて、著しく多様な気化器ユニットが使用され、その殆どがウィック・スパイラル原理(Docht-Wendel-Prinzip)に基づく。気化器ユニットは、著しく多様な幾何形状を有し、このことは、市場における様々な吸入器の著しく不統一な形状及び大きさ等の原因である。
【0003】
先行技術では、気化器ユニットが部分的又は完全に乾燥して作動し続け及び、気化器表面の不十分な湿潤にも繋がっている。両場合において、蒸発する液体又は蒸発する流動体による冷却が不足すると、250°Cを上回る温度が発生し、特にグリセリン及びプロピレングリコールといったリキッド成分の分解及びラジカル化による有害物質の発生に繋がる。制御できない、又は把握できない液体の供給及び気化によって、発生するエアロゾルの質が意図せずに、及び制御できずに影響される。
【0004】
その上、最新のシステムは製造条件に依って多くの場合において非密封で、その結果、液体又はリキッドは、例えば空気供給及び/又は蒸気排出を介してといった望ましくない方法で漏洩し得る。
【0005】
独国特許出願公開第102016114718号において、液体貯蔵部と気化器を有する吸入器が開示されていて、気化器が付加設備によって囲まれていて、この付加設備は交換可能な吸入器の消費ユニット内に配置されている。消費ユニットは、使用者が取り替え可能な薬筒であり、付加設備は、製造者によって、この薬筒内に気化器と伴に組み込まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、吸入器のための基準化された部材を提供し、この部材が提供者の様々な要求を満たし、低コストで且つ容易な取付けによって組み込まれ得、対応する製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1に記載の:
吸入器(27)のための気化挿入体(1)を有する気化器タンクユニット(26)であって、この気化器タンクユニット(26)が、
-気化器(3)に供給された液体(2)を気化するための少なくとも1つの電気式気化器(3)と、
-電気エネルギーを供給するために前記気化挿入体(1)に電気接触し、及び/又は前記気化器(3)のための制御信号を受信するための複数の電気接触子(10)とを有し、
-前記気化挿入体(1)が、対向して配置された複数の端面(11、12)と、少なくとも1つの貫流可能な流体チャネル(13)の周りに配置された、前記複数の端面(11、12)間のシェル面(31)を有する1つのベース部分(14)とを備え、
-少なくとも1つの液体開口部(15)が、気化可能な液体(2)を前記気化器(3)に向かって外側から前記気化挿入体(1)内に供給するために前記ベース部分(14)の前記シェル面(31)に配置されている、当該気化器タンクユニット(26)において、
-気化器タンクユニット(26)は、液体タンク(30)を有し、この液体タンク(30)内に気化挿入体(1)が挿設されており、
-薬莢状若しくは莢状の前記気化挿入体(1)が、液体タンク(30)内に設置可能であり、又はこの液体タンク(30)内に挿設可能若しくは挿入可能であり、
-前記液体タンク(30)は、少なくとも1つの通気性換気及び/又は排気要素(47)を有し、
-前記通気性換気及び/又は排気要素(47)は、機能的に協働するように、取り付けられた気化器タンクユニット(26)内で少なくとも1つの通気性換気及び/又は排気設備(17)と重なって設けられていて、
-少なくとも一つの通気性換気及び/又は排気設備(17)が、前記ベース部分(14)の前記シェル面(31)に設けられるとともに、前記液体タンク(30)から前記流体チャネル(13)へ空気のみが流出することができるが液体の流出は阻止される表面構成の複数の穴を有する、ことを特徴とする気化器タンクユニット(26)、によって解決される。
【0008】
気化挿入体は、本発明にしたがって、ベース部分を有し、このベース部分は対向配置された端面及び少なくとも1つの貫流可能な流体チャネルの周りに配置されたシェル面を、端面間に有する。ベース部分のシェル面に、気化可能な液体を外から気化挿入体中に供給するための少なくとも1つの液体開口部が、気化器に向かって配置されている。こうして、挿入体が、気化現象のための本質的コンポーネントを有する
【0009】
気化挿入体内の2つの端面の間に、流体チャネルが延在し、この流体チャネルを通って、使用者による気化挿入体を伴う吸入器使用中に、空気又はエアロゾルが流れる。流体チャネルに、少なくとも1つの気化器が、付設されていて、及び液体を加熱し、及び流体チャネルを経て流れる空気流に、フレーバー及び/又は有効成分を含む蒸気及び/又はエアロゾルを加えるために適合されている。
【0010】
本発明は、ベース部分が液体タンクによって環装可能であり、この液体タンクから、液体が少なくとも1つの気化器へ、気化のために供給可能であることを実現する。複数の端面の間で且つ有利にも、これら端面に対して垂直に、縦軸が確定されている。ベース部分は、縦軸を包囲する。縦軸は、有利にも複数の端面間で延在し、及び/又は端面の少なくとも1つと直角に交差する。シェル面は、縦軸を纏着する、ベース部分の長手方向に延在する外面を示している。
【0011】
ベース部分は、好ましくは薬莢状又は莢状である。気化挿入体の薬莢形状、又は有利にも莢形状は、場所をとらず、及び有利にも中立のデザイン有し、気化挿入体を囲む外部部品の、及び/又は吸入器の外観における最大限の自由度を許す。気化挿入体の薬莢形状又は莢形状に基づいて、有利にも、任意のタンク形状内への挿設の多面的可能性が実現されている。気化挿入体内の流体チャネルによる空気誘導、及び/又はエアロゾル誘導の組み込み、及び液体開口部を介して多様なタンク溶液に至るという有利な繋束コンセプトは、基準化されたエアロゾル質及び、例えば吸入器といった製品の、場合によって向上された密封性を提供する。
【0012】
気化挿入体は、製品の形状、大きさ又はタンク原理に依存せず、多くの考えられ得る製品内で使用され得る。液体タンクは閉じている、又は開いていることが可能であり、即ち、閉じている及び/又は開いているタンクシステムであり得る。気化挿入体は、好ましくは、カプセルとして作製されている。ベース部分は、有利にも気化器から若しくは、ヒータから液体タンクを分離し、又はベース部分は、液体タンク内にある液体と流体チャネルの間の境界面を確定する。
【0013】
気化器のために、全ての公知技術が援用され得、及び気化器は、例えば微小電気機械として、又はメムス(MEMS)気化器として、ウィックとして、及び/又はスパイラル(Wendel)として実施されていることが可能である。気化器は、流体チャネルの領域において配置され、この流体チャネルは、電気式気化器による加熱に基づいて暖炉とも呼ばれる。暖炉下流の流体チャネルは、気化挿入体で実装された吸入器使用の際、使用者によって典型的に生起される流体チャネルを通る空気流に関連して、煙突と呼ばれる。
【0014】
気化挿入体は、好ましくは容易な及び、効果的な取付けを実現するために、外部分中に、特に液体タンク内に設置可能で、特にこの部分内に挿設可能、又は挿入可能である。気化挿入体は、好ましくは、例えば吸入器の液体タンク内への挿入、捩じ込み及び/又は螺入といった設置、挿設のための挿入体である。外部部品は、好ましくは、挿設開口部、出口開口部、及び/又は気化挿入体の外側形状に相応に成形された取付けチャネルを有し、この取付作業チャネルは挿設開口部を有し、この挿設開口部内へ気化挿入体が、設置可能、及び/又は挿入可能である。
【0015】
気化挿入体又は、ベース部分は、気化挿入体の取付けを容易にするために、好ましくは流体チャネルに沿って、区間的に不変化で、単調に先細りした断面を有する。横断面は、必ずしも円形である必要はなく且つ、例えば複数角状、又は多数角状、又は楕円形であり得る。少なくとも区間的に非円形の横断面は、気化挿入体が相対回転しない取付けを可能にする。
【0016】
気化挿入体は、好ましくは外部部品における気化挿入体の不意な剥離を阻止するため、外部部品における気化挿入体の保持及び/又は固定のための少なくとも1つの保持要素及び/又は固定要素を含む。気化挿入体は、外部部品内の保持要素及び/又は固定要素の対部分も設け得る。外部部品内における気化挿入体の固定は、分解可能でも、分解不可能でもあり得る。
【0017】
気化挿入体は、有利にも、例えばエネルギー貯蔵部からの電気エネルギーによる供給を生成する目的で、液体開口部が、外部部品内で、対応する供給開口部に付設されていて、及び/又は気化挿入体の電気接触子が、結合している吸入器のコンポーネント部分の電気接触子に作用結合され得ることを保証するために、外部部品内に相対回転しないように挿設可能である。気化挿入体は、好ましくはベース部分のシェル面に、例えば係合要素、突端部、スリット、及び/又は空隙部といった回り止め要素を有する。
【0018】
電気接触子は、有利な実施形態において、例えばエネルギー貯蔵部を有するコンポーネント部分といった外部の部材との容易な電気的結合を生成しえるように、気化挿入体の端面の一つに配置されている。
【0019】
液体タンクの換気及び/又は排気を目的として、少なくとも1つの通気性の換気及び/又は排気設備が、ベース部分内に設けられていることは、液体タンクと流体チャネル間における不本意な圧力差を阻むために有利である。液体タンクから供給された液体の気化によって、液体タンク内で負圧が、又は気化器に圧力差が生じ、この圧力差は、リキッドが気化器から乖離して且つ、ゆえに気化器が乾燥してしまうことに繋がり得る。その上、気化器における圧力差は、例えば飛行機での搬送といった高い高度における機器の運搬によって発生し得、低減した周囲圧は、リキッドが不意に液体タンクから漏洩すること繋がり得る。気化器が不加熱の間において、使用者の吸い込みによっても、不本意な負圧が吸入器の吸口で発生し得る。これは、気化器を介したリキッド漏洩へと繋がる。このことは、気化挿入体の煙突を介した液体タンクの換気及び/又は排気によって阻まれ得る。その後、同時に液体タンクに、及びそれによって気化器背面に、又は気化器液体タンクに向けられた側に負圧が当接するからである。換気及び/又は排気は、好ましくは気化挿入体の空間的配向に依存せずに、空気のみが、換気及び/又は排気設備を通って流出し得、及びリキッドの流出が阻止されていることが保証されるように敷設されている。
【0020】
流体チャネルは、好ましくはエアロゾルと蒸気の混合気のより良い質を実現するために、流体チャネルを通って流れる空気及び/又は気化した液体の前処理及び/又は後処理のための前処理領域及び/又は後処理領域を有する。前処理は、好ましくは暖炉下流で行われる。後処理は、好ましくは煙突内の暖炉下流で行われる。気化器で発生するエアロゾルと蒸気の混合気は、気化器上流おけるマウスピース方向の順路において、暖炉内及び/又は煙突内で前処理装置及び/又は後処理装置によって後処理され得る。こうしてサブ空気との攪拌を保証するために、及び/又は層流によって煙突壁又は流体チャネル壁との接触を且つ、同時に場合による結露を阻止するために、空気供給等が考えられ得る。気化器上への空気流の上昇流に影響を与えるために、前処理及び/又は後処理装置が実装されていることも考えられ得る。その上、前処理領域及び/又は後処理領域は、例えば空気ガイド要素を有し得る。空気供給は、好ましくは比較的冷たく新鮮な空気を、流体チャネル中の空気流に加えるために適合されている。予め熱せられた空気も考えられ得、つまり空気流は、気化器を衝く前に熱せられる。考えられる得る後処理は、気化器を通過した空気流の熱的後処理を含む。
【0021】
気化挿入体は、有利な実施形態において、気化器の性能を各リキッドの条件及び属性に適合することができるように複数の電気式気化器を有する。
【0022】
電気式気化器は、好ましくは均等で且つ効果的な気化を流体チャネル内において可能にするために、ベース部分のシェル面周囲に沿って、及び/又は流体チャネルに沿って配置されている。
【0023】
気化挿入体は、好ましくは複数の液体開口部を有し、対応する液体開口部からの液体は、各気化器への液体搬送を保証するために、各電気式気化器に供給可能である。有利にはフレーバー及び/又は有効成分の混合及び/又は選択を可能にするために、様々な液体タンクからの液体が、又は液体タンクのチャンバからの液体が、様々な気化器に供給され得る。
【0024】
気化挿入体は、有利には気化挿入体の配向に依存することなく、液体で液体開口部を補給できるように、例えば毛管要素保持用の突起部といった少なくとも1つの保持要素を、ベース部分のシェル面に有する。例えば海綿といった毛管要素は、液体を記憶して、且つ液体を液体供給要素に供給するために適合されている。こうして吸入器の短時間稼働の際でも吸入器の使用を可能にするために、気化挿入体によってオーバーヘッドでリキッドが十分に提供され得る。
【0025】
好ましくは、気化挿入体は、新鮮な空気を導けるように、及び/又は圧力測定を、気化又はエアロゾル形成に依存せずに、保証することができるように、流体チャネルから分離した少なくとも1つのサブ空気チャネルを有する。気化挿入体は、好ましくは分離壁を有し且つ、この分離壁は、流体チャネルをサブ空気チャネルから分離するために適合されている。サブ空気チャネルは、有利にもメイン空気チャネルとも呼ばれ得る流体チャネルへのバイパスである。サブ空気チャネルの横断面は、好ましくは少なくとも区間的に、メイン空気チャネルの横断面に比してより小さい。
【0026】
有利な実施形態において、液体開口部は、液体供給要素と連通し、液体供給要素は、液体を気化器へ搬送するため、液体又はリキッドの非漏洩で且つ、操作された供給を実現するために適合されている。例えばウィックといった液体供給要素は、好ましくは毛管要素であり、この毛管要素は、液体を毛管力によって気化器に供給するために適合されている。液体供給要素は、例えば多孔性媒体、ウィック、又は類似のものであり得る。液体供給要素は、好ましくはベース部分内で、又はベース部分によって保持されていることが可能である。気化挿入体は、ゆえに好ましくはカプセルであり、且つ好ましくはヒータ及びウィックを、若しくはウィックシステム(Dochtsystem)の一部分を有する。
【0027】
気化挿入体は、有利にも例えば制御及び/又は調整を気化挿入体識別と連係できるように、気化器の制御のための、及び/又は調整のための、及び/又は特性データを保管するための電子ユニットを含む。例えば抵抗ネットワークといった受動的電子メソッドといった、あらゆる識別手段が可能である。
【0028】
本発明に係る気化器タンクユニットは、液体タンク及び液体タンクに挿設された気化挿入体を有する。液体タンクは、挿設開口部と出口開口部を有し、気化挿入体が、挿設開口部から出口開口部まで延在する。これは、機能に適った組立又は挿設開口部内への及び、出口開口部内への気化挿入体の挿入を実現する。気化挿入体は、例えば液体タンクからの出口開口部から突出し得、液体タンクと整合し得、又は出口開口部を有する液体タンク内で完結し得る。
【0029】
気化挿入体は、好ましくは少なくとも液体開口部の区間において、液体タンクが、気化挿入体のシェル面を包囲するように液体タンクに挿入可能である。こうして液体は、液体タンクから、液体タンク内に設けられた供給開口部、及び気化挿入体の液体開口部を通って、気化器に搬送され得ることが保証される。
【0030】
毛管要素は、有利な実施形態において、例えば配向に依存せずに液体を記憶するために、液体タンクから液体開口部への配向に依存しない液体搬送を保証するために、及び/又はリキッドの無調整の漏洩を阻止するために、液体タンク内で液体開口部に付設されている。
【0031】
気化挿入体は、好ましくは、例えば一義的付設を、液体タンク内に設けられる供給開口部に、及び液体開口部に、及び/又は接触子に、外部のコンポーネント部分の又は吸入器の部材の相応の接触子で実現するために気化器タンクユニット内で、相対回転しないように保持されている。気化器は、この実施形態において、好ましくは回り止め要素を有する。気化挿入体は、外部部品における回り止め要素に対する対部分も設け得る。回り止めは、ベース部分の非回転対称の、又は非円形の横断面によって形成されていることもあり得る。
【0032】
液体タンクは、有利にも複数の互いに分離したチャンバを有し、相応のチャンバからの液体は、好ましくは様々なチャンバ内に記憶された液体の気化器への搬送を可能にするために、各電気式気化器に供給可能である。
【0033】
液体タンクは、代替的に液体タンク内での負圧の生成を阻止し、且つ均圧化及び液体の確実な運搬を保証するために、少なくとも1つの通気性の換気及び/又は排気要素を有し得る。
【0034】
気化挿入体の端面の少なくとも1つは、有利にも幾何的に完結された気化器タンクユニットを提供できるように、液体タンクの相応の端面に揃えられている。
【0035】
気化挿入体は、液体タンクにとっての気化挿入体の容易な取付けを可能にするために、挿設開口部内へ、及び液体タンクの出口開口部まで挿設され、特に挿入される。
【0036】
好ましくは、気化挿入体は、出口側の端面と伴に、出口開口部まで導かれ、特に摺動され、引き続いて、液体タンクは、ベース部分と挿設開口部間に配置された、又は留まる充填開口部を介して、液体で充填され、及び引き続いて気化挿入体は、充填開口部を閉鎖中にストッパまで挿設開口部を通って導かれ、特に摺動される。当該ストッパは、例えば気化挿入体の入口側の端面において、ベース部分のデザインにおいて、挿設開口部において、及び/又は出口開口部において、1つの鍔部によって形成されていることがあり得る。当該ストッパは、有利な実施形態において、気化挿入体のフロアプレートによって形成されていることがあり得る。例えば、このフロアプレートが鍔部形状でベース部分を越えて突出している場合、鍔部の円錐形の実施も可能である。密封要素は、有利にも挿設開口部に、及び/又は出口開口部に、非漏洩の気化器タンクユニットを提供できるように付設されていることが可能である。
【0037】
本発明は、下記において、有利な実施形態によって、添付された図に関連付けつつ解説される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図3】突起部を伴う気化挿入体を有する気化器タンクユニットの縦断面図
【
図4】二つのチャンバ-液体タンク及び2つの気化器を伴う気化挿入体を有する気化器タンクユニットの縦断面図及び横断面図
【
図5】二つのチャンバ-液体タンク及び2つの気化器を伴う気化挿入体を有する気化器タンクユニットの縦断面図及び横断面図
【
図6】角形の横断面を有する気化器タンクユニット透視図及び縦断面図
【
図7】角形の横断面を有する気化器タンクユニット透視図及び縦断面図
【
図8A】円形の横断面を有する気化器タンクユニットの透視図及び縦断面図
【
図8B】円形の横断面を有する気化器タンクユニットの透視図及び縦断面図
【
図13】液体供給要素及び液体タンクを有する気化器の概略図
【
図14】サブ空気チャネルを有する気化挿入体の縦断面図
【
図15】有利な実施形態における気化器タンクユニットの縦断面図
【0039】
図1は吸入器27のための気化挿入体1示し、この気化挿入体は気化器3に供給される液体2の気化のための電気式気化器3を有する。気化挿入体1は、対向配置された端面11、12及び貫流可能な流体チャネル13の周りに配置されたベース部分14を端面11、12の間に有する。縦軸Lは、流体チャネル13に沿って、及び/又は端面11、12の間で確定されている。ベース部分14は、好ましくは縦軸L又は流体チャネル13に沿って端面11、12の間で延在し得る。
【0040】
気化挿入体1は、薬莢状又は莢状である。ベース部分14は、この例において区間的に円形の横断面を有し、及び流体チャネル13に沿う長手方向の広がりはベース部分14の直径に比してより大きい。気化挿入体1は、よって縦長である。好ましくは気化挿入体1は、好ましくは0.1cm~10cmの長さを有し、より好ましくは0.5cm~5cmの長さを、例えば2cmの長さを有し、及び好ましくは0.1cm~1cmの直径を、一層好ましくは0.25cm~0.75cmの直径を、例えば0.5cmの直径を有する。ベース部分14は、気化挿入体1の縦軸Lに沿って、中空円柱形状の区間41を、及び下流に向かって漸減する直径又は横断面を伴う区間40を有し、この区間は必ずしもテーパー状でない。
【0041】
使用者は、吸引又は使用時に、吸入器27の吸口39で吸入し、吸引圧力が発生し、この吸引圧力は、流体チャネル13を通る空気流5を生む。空気は、端面12から逸れた吸口39で流体チャネル13内に流入し、流体チャネル13を貫流し、及び吸口39に向けられた端面11において、流体チャネルから漏洩する。気化された液体2は、エアロゾル又はエアロゾルと蒸気の混合気を使用者に投与するために、流体チャネル13内で空気流5に添加される。
【0042】
空気チャネル13は、暖炉40と呼ばれる区間を有し、この区間は気化器3に付設されていて、及び気化器3の下流に配置された煙突41有する。煙突41は、利用者及び/又は製造者によって、必要な長さに応じて、相応に切り詰められ得る、又は短縮可能であることが可能である。
【0043】
少なくとも1つの液体開口部15は、径方向外側から気化器3に向かって、気化挿入体1内へ気化可能な液体2を供給するために、ベース部分14内に配置されている。液体開口部15に、液体供給要素16が付設されている.液体供給要素16は、液体開口部15を通る、気化器3への液体2の供給に役立つ(例えば
図13及び関連する明細書参照)。
【0044】
気化挿入体1は、気化挿入体1の電気的接触のために電気エネルギーによる外部供給のための、及び/又は気化器3のための制御信号を受信するための電気接触子10を有する。接触子10は、この実施例において、気化器3の上流に配置された気化挿入体1のフロアプレート7に配置されている。接触子10は、例えば気化器3の加熱のために、吸入器27のコンポーネント部分と気化器3の間に電気的結合を生成し、このコンポーネント部分は、エネルギー貯蔵部55を有する。接触子10は、例えば目印、充填レベル、操業時間といったデータを交換できるように、例えば気化挿入体1の電子ユニット4と吸入器27中に設けられた電子制御装置56の間に電気的結合を生成し得る。
【0045】
好ましくは基準化された電気的接触は、気化挿入体1及び/又は気化器タンクユニット26又は薬筒及び/又は吸入器27のコンポーネント部分の間にあって、単数又は複数の気化器3の操作、及び/又は例えば電子ユニット4内に設けられたIDチップ又は別の識別メソッドを介する薬筒の識別に役立つ。電子ユニット4は、例えば1-Wire(登録商標)バスといったシリアルポートを介してコンポーネント部分に接続され得、及び/又は気化器3と共通の接触子10を使用し得る。接触子10は、好ましくは相対回転しない標準的構造内で、例えばスプリングピンのための同中心の導体パッドとして確定されている。但し、例えばRFID(Radio Frequency Identifier)及び/又は近距離無線通信(NFC)を介する、非接触の識別メソッドも考えられ得る。
【0046】
気化挿入体1は、好ましくは合成樹脂から製造されていて、及び/又はフロアプレート7は、プリント基板(PCB)を有する。フロアプレート7は、取り外し可能であり得、又はベース部分14に確固として結合されていることが可能である。フロアプレート7、暖炉40及び煙突41は、好ましくは基準化された組立ユニットを確定し、この組立ユニットは、様々に成形された液体タンク30のために適している。フロアプレート7を有さない実施形態も考えられ得る。
【0047】
流体チャネル13において、不図示の前処理設備及び/又は後処理設備を有する少なくとも1つの前処理領域及び/又は後処理領域18が設けられていることが可能である。前処理領域及び/又は後処理領域18において、例えば阻止的な要素が、又は大きな液滴又はリキッドの直接的漏洩を阻止する海綿が、標準的に設けられていることが可能である。流体チャネル13全体の選ばれた、及び相応しい領域において、空気案内要素及び/又は抵抗要素が、設けられていることが可能である。加えて前処理設備及び/又は後処理設備として、エアロゾルの後処理のための加熱要素及び/又は冷却要素が挿設され得る。
【0048】
空気流5は、ベース部分14の内側上で又は、空気チャネル13中において、相応に形成された空洞によって影響され得、及び気化器3への空気上昇流が確定され得る。前処理領域及び/又は後処理領域18に、空洞が付設されていることが可能である。そうして、例えば気化器3の表面上における空気の横方向層流、垂直上昇流、及び/又は接線の横方向入口流が達成され得る。空気供給の開口横断面は、気化器3に対する衝突に際する空気流5を、及び例えば攪拌及び/又は液滴の大きさといったエアロゾルの質を影響し得る。
【0049】
図2は、本発明に係る気化器タンクユニット26を示し、この気化器タンクユニットは気化挿入体1、及び液体タンク30を有する。液体タンク30は、ハウジング37を、及び例えば
図7~11に素描された取付けチャネル35を有し及び、この取付けチャネルを周囲方向において包囲する。代替的な取付けチャネル35は、挿設開口部42に、及び出口開口部74に作用結合されていることが可能で、この出口開口部74内に気化挿入体1が設置可能、特に挿入可能又は挿設可能である。取付けチャネル35は、好ましくは液体タンク30の、又はハウジング37の内面36によって確定されている。ベース部分14はシェル面31を有し、内面36がシェル面31に適合されている。ベース部分14のシェル面31は好ましくは、場所をとらない且つ、非漏洩の取付けを実現するために取付けチャネルの内面に形状結合的に接触する。気化挿入体1は、有利にも縦軸Lに沿って、取付けチャネル35中に挿設可能又は挿入可能である。
【0050】
取付けチャネル35は、別の実施形態において、気化挿入体1の液体タンク30内への嵌装によって確定され、気化器タンクユニット1内でシェル面31が液体タンク30を閉じ、且つ非漏洩を保証する。
【0051】
取付けチャネル35の内面36は、取付けチャネル35内に挿入された気化挿入体1の液体開口部15に呼応する供給開口部45を有する。供給開口部45は、液体タンク30からの液体2が気化器3に供給され得るように、気化器タンクユニット26の取付けに際し、液体開口部15に重ねられる。
【0052】
例えば煙突41内といった流体チャネル13内に、少なくとも1つの換気及び/又は排気設備17が設けられて得る。換気及び/又は排気設備17は、例えば煙突41に沿って複数のミシン穴を有し得る。複数の穴、又はミシン穴によるリキッドの漏洩を阻止するために、煙突41又はベース部分14は、相応しい材料の選択によって、ロータス効果の活用又は表面構成、例えばナノパターン化など、表面とリキッドの間に可能な限り大きな接触角が生じ、及び表面が撥液性となるように、組成されていることが可能である。さらに煙突41中に流入するリキッドは、毛管要素33を介して受け止められ得、及びこうして漏損が阻止され得る。
【0053】
液体タンク30は、好ましくは少なくとも1つの通気性の換気及び/又は排気要素47を有する。換気及び/又は排気要素47は、機能的に協働するように、取り付けられた気化器タンクユニット26内で、好ましくは換気及び/又は排気設備17と重なっている。ベース部分14は、半透性の材料から成ることも可能で、このことが液体2を流体チャネル13内へ流入させず、且つ同時に液体タンク30の換気及び/又は排気を可能にする。
【0054】
気化挿入体1は、好ましくは挿設開口部42内で、出口開口部74及び/又は取付けチャネル35内で、又は液体タンク30内で気化挿入体1の固定及び保持のための保持要素及び/又は固定要素38を有する。保持要素及び/又は固定要素38は、例えば空隙部、膨出部、突端部、スリット及び/又は係合要素を有し得る。保持要素及び/又は固定要素38は、液体タンク30内で気化挿入体1の相対回転しない取付けを実現するために片よっている、及び/又は回転非対称であることが可能である。保持要素及び/又は固定要素38は、液体タンク30中における気化挿入体1の定置の保持を実現し、且つシフト及び/又は気化挿入体1の相対回転を阻止する。保持要素及び/又は固定要素38は、実施例に示されるように、シェルハウジング14のシェル面31の成形によって形成されていることが可能である。図示された保持要素及び/又は固定要素38は、ベース部分14のテーパー部を含み、且つ気化挿入体1の縦軸L方向へのシフトを阻止する。
【0055】
保持要素及び/又は固定要素38は、液体タンク30内で、気化挿入体1を例えば溶接などによって分解不可能に保持し得、その結果、気化器タンクユニット26は一つの製品であり、この製品中に気化挿入体1が確固として、且つ使用者にとって分解不可能に製造されている。代替的に、オープンなタンクシステム内における挿入体が考えられ得、これらオープンなタンクシステムはユーザによって再充填可能な液体貯蔵部30を有する。
【0056】
保持要素及び/又は固定要素38は、気化挿入体1が、挿設開口部42内に、出口開口部74内に、及び/又は取付けチャネル35内に、若しくは液体タンク30内に挿設可能であり、及び取り外し可能であるように成形されていることが可能である。これは、液体タンク30の保持下における、気化器タンクユニット26の可逆の取付けと気化挿入体1の交換を可能にし、これによって液体タンク30及び/又は気化挿入体1は、再利用可能な部分として作製されていることがあり得る。解説された実施形態で、気化挿入体1の異なるタンクシステムを有する様々な液体タンク30内への組み入れが考えられ得る。
【0057】
薬莢状気化挿入体1の原型は、気化挿入体1が様々な液体タンク30内に、最小限の適合のみによって、及び好ましくは僅かな機械的インターフェースによって挿設され得るように適合されている。気化挿入体1は有利にも、インターフェースでの液体漏損を阻止するために、液体タンク30に密封的に結合されている。気化挿入体1及び液体タンク30間の結合は、例えば圧入、溶接及び/又は貼設によって実現され得る。
【0058】
気化挿入体1内への気化器機能と電子的制御の組み入れによって、液体タンク30に関する機能的要求は僅かで、且つリキッド又は液体2の受容部に限られる。これは液体タンク30のデザインを、又はハウジング37のデザインを自由にする。なぜなら、好ましくはハウジング形状37の唯一の制約は、挿設開口部42、出口開口部74のための空隙部分及び/又は取付けチャネル35の空隙部分であるからである。
【0059】
別の実施形態も考えられ得て、この実施形態において、例えば長手方向にシリーズ方式で、例えば取付けチャネル35内に、及び/又は複数の取付けチャネル内に、複数の気化挿入体1が挿設可能である。即ち気化挿入体1は、これら実施形態において、シリアル方式で連なって、又はパラレル/並列方式で挿設可能である。例えば複数の気化挿入体1を通って、共通の空気流5がシリアル方式で導かれる。複数の気化挿入体1は、フレーバー成分及び/又は有効成分の組み合わせを達成するために、複数の液体タンク30及び/又は液体タンク30の複数のチャンバ内にも挿設可能であり得る。
【0060】
気化挿入体1の入口側端面12は、場合によってフロアプレート7は、有利にもハウジング37の入口側端面65に揃えられている。気化挿入体1の出口側端面11は、有利にもハウジング37の出口側端面66に揃えられている。これによって、気化器タンクユニット26のコンパクトな構造形態が達成される。
図3は、気化挿入体1を有する気化器タンクユニット26を、ベース部分14のシェル面31に設けられた突起部32とともに示していて、この突起部は、毛管要素33の保持のために、液体タンク30内に設けられていることが可能である。
【0061】
突起部32は、保持要素及び/又は固定要素38として機能し得、及び気化挿入体1の液体タンク30内における耐摺動性の取付け、及び/又は相対回転しない取付けを保証し得る。突起部32は、ベース部分14のシェル面31における鍔部として、全周範囲に形成されていることも可能である。突起部32又はリップ部は、有利にも気化挿入体1の取付けを液体タンク30内への挿入によって実現する目的で、最大の周囲を有するベース部分区間より、又はフロアプレート7に付設されている鍔部よりも一層細い。
【0062】
毛管要素33は、液体2を記憶して、液体供給要素16に供給するために、適合されている。毛管要素33の使用、又は多孔性媒体の使用は、液体タンク30又は薬筒の配向及び/又は充填レベルに依存することなく、毛管要素33によって確定された場所で、液体2の保管及び/又は緩衝保管を可能にする。毛管要素33は、少なくとも区間的に、及び/又は完全に液体タンク30内で延在する。
【0063】
図4及び
図5は、気化器タンクユニット26を示し、この気化器タンクユニットは、複数の、図中例で2つのチャンバ30a、30bを有し、これらチャンバは、ここでは例えば液体タンク30内、及び気化挿入体1内にあって、この気化挿入体は、図中例で2つの気化器3a、3b、2つの液体開口部15a、15b、2つの液体供給要素16a、16b及び2つの液体流6a、6bを有し、これら液体流は気化器3a、3bに、チャンバ30a、30bから2つの、好ましくは多様な液体2a、2bを供給する。この例において、液体タンク30は、隔壁43によってセグメント化されていて及び、多様な液体2a、2bを記憶するために適合されている。複数のチャンバ30a、30bの使用に際して、タンクの任意的幾何形状が使用され得、この幾何形状において、液体2a、2bの分離のために隔壁43が設けられている。
【0064】
複数の液体供給要素16a、16bは、好ましくはベース部分14の周囲方向において、ベース部分14に、ずれて配置され、及び液体開口部15又は複数の液体開口部15a、15bと連通する。液体供給要素16a、16bは、液体タンク30及び/又はチャンバ30a、30bからの均等な液体供給を可能にするために、周囲方向において等間隔で、又は同一の角度間隔で配置され得る。液体供給要素16a、16bは、実施形態において、流体チャネル13に沿って配置され得る。液体タンク30は、単一構造であり得、及び隔壁43によって分離されたチャンバ30a、30bを有し得る。液体タンク30は複数構造であり得、及び分離されたチャンバ30a、30bは、互いに依存せず気化器タンクユニット26内に挿設可能であり得る。
【0065】
図4は、気化器タンクユニット26の径方向面の縦断面を、及び
図5は気化器タンクユニット26の径方向面の横断面を示している。この断面図は、好ましくは液体タンク30の又はチャンバ30a、30bのハウジング37内で、ベース部分14が、径方向に配置されていることを示している。
【0066】
実施形態にしたがって、任意の総数の気化器3a、3b又は複数の気化器3a、3bが、気化挿入体1内に設けられ得、これら気化器は気化器の各液体供給要素16a、16bを介して、1つ以上のチャンバ30a、30bから1つ以上の液体2a、2bを気化し得る。キャリア材料を含む気化器3a、3bを有する基準化された気化器集合体は、好ましくは気化挿入体1内に挿設され得、この気化挿入体は液体2による、又は複数の液体2a、2bによる使用のために適合されている。
【0067】
図6及び
図7は、気化器タンクユニット26を示し、この気化器タンクユニットは角形の、例えば六角形の横断面を有し、及び取付けチャネル35内に挿設された気化挿入体1を有する。液体タンク30の、又はハウジング37の外側形状は、気化挿入体1の形状に依存しない。
【0068】
気化挿入体1は、液体タンク30のハウジング37によって形成された挿設開口部42内への取付けのために、取付けチャネル35内に挿入される。取付けチャネル35内で、気化挿入体1は、固有の稼働位置で相対回転しないように、且つシフトしないように保持されている。取付けチャネル35内における相対回転しない、且つシフトしない気化挿入体1の保持によって、液体貯蔵部30からの確実な液体供給が、及び吸入器27のンポーネント部分との電気的接触が確保され得る。
【0069】
気化挿入体1は、この実施例において、複数の、図中例で2つの保持要素及び/又は固定要素38を有する。保持要素及び/又は固定要素38は暖炉40の領域に配置され、且つベース部分14内の空隙部として形成さている。この空隙部は、液体タンク30と気化挿入体1間の形状結合を可能にするために、取付けチャネル35の内面36が相応の膨出部を有する限りにおいて、ベース部分14のシェル面31における別の位置に設けられていることも可能である。ベース部分14は、区間的に円形の横断面を有し、この横断面は暖炉40と煙突41の間で下流に向かって先細りする。有利にもベース部分14は、フロアプレート7から出発して、単調に先細りする。ベース部分14のシェル面31のテーパー部が、ストッパを実現し、このストッパは、気化挿入体1の縦軸Lに沿った、又は取付けチャネル35に沿った任意のシフトを阻止する。このテーパー部は、ゆえに保持要素及び/又は固定要素38として解され得る。気化挿入体1は、図示された実施形態において、フロアプレート7に付設されている端部に、冠状の拡幅部分を有する
【0070】
図8は、円形の横断面を有する気化器タンクユニット26を示し、及び気化挿入体1の一定に継続する繋束及び取付けにおける液体貯蔵部30の多様で、考えられ得る、且つ非画定のデザインを表す。
【0071】
図9~
図11は、吸口39を有する気化器タンクユニット26を示し、使用者は、この吸口において吸入のために吸引し得る。この実施例において、煙突41が、又はベース部分14並びに空気チャネル13が、吸口39まで延在する。吸口39に付設されている端面11は、吸口39に整合する。
【0072】
図示された実施形態において、ベース部分14が空気チャネル13を完全に包囲する。別の不図示の実施形態において、空気チャネルは、少なくとも区間的に液体タンク30のハウジング、又は取付けチャネル35の内面36、及び/又は内面36の延長部分によって形成されることが可能である。
【0073】
図12は、吸入器27の概略図を示す。図中で電子たばこ製品である吸入器27は、吸入器ハウジング51を有し、この吸入器ハウジング内で空気チャネル52は、少なくとも1つの空気インレット開口部57と空気アウトレット開口部24の間で、たばこ製品27の吸口39に設けられている。この際、たばこ製品27の吸口39は、端部を表し、この端部において使用者は、吸入を目的に吸引し、且つそうすることで、たばこ製品27に、負圧による衝撃を与え、及び空気流動53を空気チャネル52内で生成する。空気流動53は、気化挿入体1の流体チャネル13を通る空気流5を生起する。
【0074】
たばこ製品27は、有利にも土台69から、及び液体タンク30並びに気化挿入体1を有する消費ユニット26から成る。消費ユニットは、特に取り替え可能な薬筒として、又は液体タンク30として形成されていることが可能で、この液体タンク内に使用者は、気化挿入体1を挿設し得る。
【0075】
空気インレット開口部57を通って吸われた空気は、空気チャネル52内で、気化挿入体1へと導かれる。気化挿入体1は、少なくとも1つの液体タンク30に連結していて、又は連結可能であり、この液体タンク内に少なくとも1つの液体2が記憶されている。気化挿入体1は、気化挿入体に液体タンク30から供給される液体2を気化し、及び気化された液体2を、エアロゾル/蒸気として、気化挿入体1の端面11における出口側で、空気流53内へと添加する。液体タンク30の有利な容量は、0.1ml及び5mlの間、好ましくは0.5ml及び3mlの間、より好ましくは0.7ml及び2ml若しくは1.5mlの間の領域にある。
【0076】
空気インレット開口部57、又は空気供給を介して、例えば空気インレット開口部57に向けられた気化挿入体1の端面12で、吸引抵抗が確定され得る。有利にも端面12に、又は気化挿入体1のフロアプレート7の開口部中に、空気供給が設けられている。さらに吸引抵抗は、相応に成形された穴、又は空気流入開口部及び気化挿入体1の流体チャネル13内における形態によって影響され得る。しかし、ノズル又は確定された多孔板を追加部分として挿入することも考えられ得る。
【0077】
電子たばこ27は、さらに電気エネルギー貯蔵部55と電子制御装置56を有する。通常、エネルギー貯蔵部55は、土台69内に配置され、且つ特に電気化学的使い捨て電池、又は再充電可能な電気化学的蓄電池、例えばリチウムイオン二次電池であり得る。電子制御装置56は、土台69内に、及び/又は消
費ユニット26内に、特にマイクロプロセッサ及び/又はマイクロコントローラといった、少なくとも1つのデジタル方式のデータ処理設備を有し、土台69は、合目的的に電子インターフェース70を含み、このインターフェースは、電気接触子10の接触のために、挿設された気化器タンクユニット26において実装され、且つ配置されている。電子制御装置56と気化挿入体1は、よって有利にも模範的に
図1~4に示された消
費ユニットの電気接触子10を有する電子インターフェース70を介して、互いに結合している、又は結合可能である。
【0078】
吸入器ハウジング51内に、有利にも例えば負圧センサ46といったセンサが、又は圧力スイッチ又はフロースイッチが配置され、制御装置56は、負圧センサ46から出力されたセンサ信号に基づいて、たばこ製品27の吸口29において、使用者が吸引目的で吸入していることを確認できる。この場合、
図1~4中に示されている電子ユニット4は、負圧センサ46が吸入によって生起される負圧を計測する時に、気化器3を操作するために適合されている。負圧センサ46は、例えば気化挿入体1の吸入起動を可能にするために、信号を制御装置56に導くことができる。制御装置56は、液体タンク30からの液体2を、エアロゾル/蒸気として空気流53中に添加するために、例えば気化挿入体1を操作する。
【0079】
液体タンク30内に記憶され、配量される液体2は、例えば1、2-プロピレングリコール、グリセリン、水、少なくとも1つのフレーバー(Flavour)及び/又は少なくとも1つの有効成分、特にニコチンから成る混合物である。別の有効成分及び液体混合物は、例えば医療的適用のために除外されていない。
【0080】
消費ユニット又は薬筒は、有利にも消費ユニット又は薬筒に関連する情報又はパラメータを記憶するための不整合のデータメモリを有する。このデータメモリは、電子制御装置56の一部分であり得る。データメモリ中に、有利にもタンク30内に記憶された液体の成分構成についての情報、プロセスプロフィールについての情報、特に仕事率制御/温度制御、例えば気密試験といった状態監視のためのデータ又はシステム検査データ、コピーガードと偽造に対する保全に関するデータ、消費ユニットの、又は薬筒の一義的特徴付けのための識別子(ID)、シリアル番号、製造年月日及び/又は消費期限及び/又は吸入数(使用者による吸入引の総数)又は使用時間が記憶されている。データメモリは、有利にも接触子及び/又は導線を介して、制御設備56及び/又は電子ユニット4と結合している、又は結合可能である。
【0081】
気化挿入体1は、吸入器27のための薬筒の全ての重要な機能が満たされ、この薬筒が可能な限り多面的に成形された液体タンク30内に組み込まれ得るように、好ましくは空気供給、空気案内、考えられ得る再凝縮処理と換気及び/又は排気設備17を有する蒸気排出、前処理及び/又は後処理領域18、一義的電子式識別及び/又は電気接触子10を標準的に有する。
【0082】
図13は、気化器3の有利な模範的実施形態の概略図である。例えばワイプドフィルムエバポレーターといった気化器の別形態が、同様に可能である。ワイプドフィルムエバポレーターは、例えばベース部分14を、少なくとも部分的に形成し得る。
【0083】
図13にしたがう模範的な気化器3は、ブロック形状の、好ましくはモノリスの加熱体60を有し、この加熱体は、電気的に導通する材料、好ましくはシリコン、ドープされたセラミック、金属セラミック、フィルタセラミック、半導体、特にゲルマニウム、グラファイト、半金属及び/又は金属。加熱体60全体が電気的に導通する材料から成っている必要はない。例えば加熱体60の表面が、電気的に導通しながら、例えば金属でコーティングされていることで十分である。この場合において、その表面全体が、コーティングされている必要はなく、例えば非導通の基本体上に、配線経路が設けられ得る。加熱体60は、例えばレーザー加工によってミシン穴が施された構造をも有し得る。
【0084】
加熱体60は、複数のマイクロチャネル62と伴に設けられていて、これらマイクロチャネルは、液体を導きながら加熱体60の入口側61を出口側64に結合する。入口側61は、ウィック構造又は液体供給要素16を介して、液体を導きながら液体タンク30と結合している。液体供給要素16は、単数又は複数の気化器3によって、確実なエアロゾル製造のための十分な液体供給を常時提供する目的で、液体2の液体タンク30から加熱体60への、毛管力による受動的運搬に役立つ。接触子領域で、又は加熱体60に対する入口側61で、液体供給要素16は、加熱体60から液体供給要素16内への、及び/又は液体タンク30内への含泡液体2の望ましくない逆流を阻止する目的で、液体2を均等配分することに、耐温性であることに及び、その比較的小さな窪み及び/又は細い毛管によって、一種の逆止弁を形成することに役立つ。
【0085】
マイクロチャネル62の平均的直径は、好ましくは5μmと200μmの間の領域に、より好ましくは30μmと150μmの間の領域に、より一層好ましくは50μmと100μmの間の領域にある。これら寸法に基づいて、有利にも毛管効果が生成され、その結果、入口側61で、マイクロチャネル62内に侵入する液体は、マイクロチャネル62が液体で満たされるまで、マイクロチャネル62を通って上方へ、又は出口側64まで上昇する。マイクロチャネル62の加熱体60に対する容量比率は、加熱体60の多孔度として記され、例えば10%と50%の間の領域にあり、有利にも15%と40%間の領域にあり、一層有利にも20%と30%の間の領域にあり、且つ例えば25%という値を示す。
【0086】
マイクロチャネル62によって設けられた加熱体60の平面の辺の長さは、例えば0.5mmと3mmの間の領域に、好ましくは0.5mmと1mmの間にある。マイクロチャネル62によって設けられた加熱体60の平面の寸法は、例えば以下の値である。0.95mm×1.75mm又は1.9mm×1.75mm又は1.9mm×0.75mm。加熱体60の辺の長さは、例えば0.5mmと5mmの間の領域に、好ましくは0.75mmと4mmの間の領域に、一層好ましくは1mmと3mmの間の領域にあり得る。加熱体60(チップサイズ)の平面は、例えば1mm×3mm、2mm×2mm又は2mm×3mmという値であり得る。
【0087】
加熱体60の幅b(
図13参照)は、好ましくは1mmと5mmの間の領域にあり、より好ましくは2mmと4mmの間の領域にあり、且つ例えば3mmという値である。加熱体60の高さ(
図13参照)は、好ましくは0
.05mmと1mmの間の領域に、より好ましくは0
.1mmと0
.75mmの間の領域に、より一層好ましくは0
.2mmと0
.5mmの間の領域にあり、且つ例えば0
.3mmという値である。
【0088】
マイクロチャネル62の総数は、好ましくは4と1000の間の領域にある。この方法で、マイクロチャネル62内への入熱が最適化され、且つ確実で、高度の気化能力及び、蒸気流出のための十分に大きい平面が実現される。
【0089】
マイクロチャネル62は、正方形の、矩形の、多角形の、円形の、楕円形の、又は別の形で成形されたアレイの形で配置されている。このアレイは、s列とz行を有するマトリックスの形状で、形成されていることが可能で、sは、有利にも2と50の間の領域に及び、より有利にも3と30間の領域に及び/又は、zは有利にも2と50の間の領域に及び、より有利にも3と30間の領域にある。こうして、効果的で且つ、容易な方法で生成可能なマイクロチャネル62の構造が、確実で高度の気化能力によって実現される。
【0090】
マイクロチャネル62の横断面は、正方形の、矩形の、多角形の、円形の、楕円形の、又は別の形で成形さていることが可能で、及び/又は長手方向において区間的に変化し得、特に拡大、縮小され、又は一定であり得る。マイクロチャネル62は、とりわけ大きな表面を有する生体工学的構造も有し得る。
【0091】
1つの又は各々のマイクロチャネル62の長さは、好ましくは100μmと1000μmの間の領域に、より好ましくは150μmと750μmの間の領域に、より一層好ましくは180μmと500μmの間の領域にあり、且つ例えば300μmという値である。この方法で、加熱体60からマイクロチャネル62内への十分に足る入熱において、最適な液体受容と分量形成が、実現される。
【0092】
2つのマイクロチャネル62の間隔は、好ましくは少なくともマイクロチャネル62の内径の1,3倍という値であり、この間隔は、両方のマイクロチャネル62の中央軸に関係している。この間隔は、有利にもマイクロチャネル62の内径の1,5~5倍、さらに有利にも2~4倍という値である。こうして、マイクロチャネル内への最適な入熱、及びマイクロチャネルの十分に安定した構造、並びに壁厚が実現される。
【0093】
気化挿入体1は、好ましくは制御装置56によって制御可能な加熱電源71を有し、この加熱電源は電極72を介して、加熱体60の対向する側で、この加熱体に結合していて、その結果、加熱電源71によって生成された電気的電圧Uhが、加熱体60を介して電子流へ繋がる。電気的に導通する加熱体60のオーミック抵抗に基づいて、電子流は、加熱体60の加熱(ジュールの法則)に且つ、したがってマイクロチャネル62内に含まれた液体の気化へと繋がる。加熱体60は、こうして気化器として作用する。この方法において生成された蒸気/エアロゾルは、マイクロチャネル62から出口側64へ漏れ、及び流体チャネル13内の空気流5に混入される(
図1参照)。流体チャネル13を流れる、使用者の吸入で生起される空気流5を確認する際、制御装置56が加熱電源71を一層正確に操作し、自然発生的加熱によって、マイクロチャネル62から、マイクロチャネル62内にある液体が、蒸気/エアロゾルとして駆動かされる。
【0094】
この際、個々の気化段階の時間は、段階的気化が、使用者によって感知されず、それでも、さらに均質の、好みに応じた、再現可能に精確なエアロゾル形成が保証され得るように、異なる温度に際し、及び/又は液体の各分量の各コンポーネントの気化に際し、短く保たれ得、及び/又は操作周波数にクロックされて経過し得る。特に有利にも、液体の比較的容易に沸騰するコンポーネントの気化が、先ず温度Aを伴う最初の気化の合間で行われ、及び引き続いて、液体のより高い温度で沸騰するコンポーネントの気化が、第二の温度Bを伴う次の気化の合間で行われ、この温度Bは温度Aを上回る。
【0095】
好ましくは、使用される液体混合物に適合された電圧曲線Uh(t)は、吸入器27のデータメモリ内に記憶されている。これは、使用されるリキッドの適合下で、電圧経過Uh(t)の予設定を可能にし、その結果、加熱体60の加熱温度、且つこうして、毛管のマイクロチャネル62の温度も、其々のリキッドの既知の気化動作にしたがって、時間的に気化現象を介して制御され、こうして気化の最適な成果が達成され得る。気化温度は、好ましくは100℃と400℃の間の領域に、より有利にも150℃と350℃の間に、より一層有利にも190℃と290℃の間にある。
【0096】
加熱体60の入口側61において、多孔性の及び/又は毛管の、液体を導くウィック構造又は液体供給要素16が配置されている。液体供給要素16は、
図13に見て取れるように、加熱体60の入口側61に平らに接触し、及び全部のマイクロチャネル62を入口側で覆っている。加熱体60に対置する側で、液体供給要素16が、液体を導きながら、液体タンク30に結合している。
図12及び
図13に示された液体タンク30の液体供給要素16との直接的繋束は、ただ模範例として理解されなくてはならない。特に液体タンク30と液体供給要素16の間に、液体界面及び/又は複数の液体導管が、設けられ得る。液体タンク30は、故に液体供給要素16から離間して配置されているも可能である。液体タンク30は、その寸法において、液体供給要素16に比して一層大きいことがあり得る。液体供給要素16は、例えば液体タンク30のハウジング37の供給開口部45内に挿設されていることが可能である。同様に液体タンク30に、複数の気化器3が、付設されていることも可能である。
【0097】
液体供給要素16は、ベース部分14に、及び/又は気化挿入体1のフロアプレート7に配置されていることが可能である。液体供給要素16は、一般に単一構造又は複数構造であり得る。
【0098】
液体供給要素16は、マイクロチャネル62の漏洩及び、そうして起生する問題を阻止するために、多孔性の及び/又は毛管の材料から成り、この材料は、毛管力に基づいて、加熱体60で気化された十分量の液体を、液体タンク30から加熱体60へ受動的に追加搬送することができる。
【0099】
液体供給要素16は、電気流による液体供給要素16内における液体の望ましくない加熱を阻止するために、有利にも非導通の材料から成っている。液体供給要素16が導通材料から成っている場合、この場合は除外されず、液体供給要素16と加熱体60の間で有利にも、例えばガラス、セラミック又は合成樹脂といった電気的及び/又は熱的に離間している材料からなる絶縁層が、この絶縁層を通って延在する、マイクロチャネル62と呼応する透過開口部とともに設けられる。
【0100】
液体供給要素16は、有利にも単数又は複数の、綿、セルロース、酢酸塩、ガラス繊維織布、ガラスセラミック繊維、セラミック焼結体、セラミック紙、アルミノケイ酸塩のペーパ、金属発泡体、海綿金属といった材料、その他、耐熱性で、多孔性で、及び/又は相応しい搬送率を有する毛管材料、又は上記材料の2つ以上の複合体から成る。液体供給要素16は、実施形態において典型的なウィックであり得る。液体供給要素16は、有利な実際的実施形態において、少なくとも1つのセラミック繊維ペーパ及び/又は多孔性セラミックを有し得る。ウィック構造19の容量は、好ましくは1mm3と10mm3の間の領域に、一層好ましくは2mm3と8mm3の間の領域に、より一層好ましくは3mm3と7mm3の間の領域にあり、且つ例えば5mm3という値である。
【0101】
加熱体60は、有利にもウェハの構成部分から薄膜層技術によって生成され得、好ましくは1000μm以下の、一層好ましくは750μm以下の、より一層好ましくは500μm以下の層厚を有する。加熱体60の表面は、有利にも親水性であり得る加熱体60の入口側61及び/又は出口側64は、有利にも微細構造化されていて、又は微小空洞(microgrooves)を有し得る。
【0102】
気化挿入体1は、好ましくは1μlと20μlの間の領域で、より好ましくは2μlと10μlの間の領域で、より一層好ましくは3μlと5μlの間の領域で、典型的には使用者の吸入毎に4μlに、液体量が配量されるように設定されている。気化挿入体1は、好ましくは吸入毎の液体-/蒸気量に関して設定可能である。
【0103】
図14は、サブ空気チャネル80を有する気化挿入体1の縦断面を示す。気化挿入体1は分離壁81を有し、及び分離壁81はサブ空気チャネル80から流体チャネル13を分離する。分離壁81は、好ましくは区間的に気化挿入体1の縦軸Lに平行に延在する。分離壁81は、例えば管状又は中空円柱状であり得て、及び/又はベース部分13の内壁に結合していることが可能である。分離壁81が、及び/又はサブ空気チャネル80が、有利にも気化挿入体1全体を通って延在する。サブ空気チャネル80を通って導かれ得る副次的空気流は、有利にも吸入器27内に設けられた負圧センサ46によって検出可能である。
【0104】
図15は、製造技術的に有利な気化器タンクユニット26を示す。気化器タンクユニット26は、この例において、挿設開口部42と出口開口部74を伴うハウジング37を有するが、内壁36と取付けチャネル35を有さない。
【0105】
気化器タンクユニット26を提供するために、出口側の端面11を有する気化挿入体1が出口開口部74に導かれ、特に摺動される。これにより、ベース部分14又はシェル面31が、出口開口部74を液密に封止する。ベース部分14のデザインによって、ベース部分14と挿設開口部42の間に配置された充填開口部73が生起する。液体タンク30は、充填開口部73を介して、図解中に不表示の液体で充填され得る。気化挿入体1は、液体タンク30の充填後、ベース部分14又はシェル面31が挿設開口部42を液密に封止し、且つこのように充填されて、非漏損の気化器タンクユニット26を提供する目的で、ストッパまで挿設開口部42を通して導かれ、特に摺動される。
【0106】
気化挿入体1は、気化器タンクユニット26が取付られた状態において、挿設開口部42を通って出口開口部74まで延在する。気化挿入体1の煙突41は、この例において、出口開口部74から突出する。煙突74は、好ましくはハウジング37の端面65に、又は液体タンク30の端面65に整合するように切り詰められる。
【0107】
液体タンク30のための上記充填は、必須でない。例えば気化器タンクユニット26は、代替的に取付が完了されていることがあり得、且つタンク30は、相応の充填開口部を介して充填可能であり得る。別の充填手段が可能である。