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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】点検支援システムおよび点検支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20220620BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G05B23/02 X
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019103279
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020197878
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五味 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 才明
(72)【発明者】
【氏名】川崎 勝
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-244152(JP,A)
【文献】特開2018-2407(JP,A)
【文献】特開2016-138908(JP,A)
【文献】特開2016-55973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
G06Q 10/00
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業者が行う点検を支援する点検支援システムであって、
第1の作業者に割り当てられた点検の項目を示す情報と、前記第1の作業者と協調して作業を行う第2の作業者に割り当てられた点検の項目を示す情報とを管理する点検項目管理部と、
前記第1の作業者に割り当てられた点検の項目のうち点検が完了した項目を特定可能な情報と、前記第2の作業者に割り当てられた点検の項目のうち点検が完了した項目を特定可能な情報とを管理する完了点検項目管理部と、
前記点検項目管理部により管理される前記第2の作業者の情報と前記完了点検項目管理部により管理される前記第2の作業者の情報とから算出される前記第2の作業者の点検の進み具合を示す情報を前記第1の作業者が利用する第1の端末装置に出力し、前記点検項目管理部により管理される前記第1の作業者の情報と前記完了点検項目管理部により管理される前記第1の作業者の情報とから算出される前記第1の作業者の点検の進み具合を示す情報を前記第2の作業者が利用する第2の端末装置に出力する制御を行う出力制御部と、
を備え
前記点検項目管理部は、前記第1の作業者と前記第2の作業者とが共同して行う点検である共同点検の項目を示す情報を管理し、
前記出力制御部は、前記点検項目管理部により管理される情報と前記完了点検項目管理部により管理される情報とから、前記共同点検までに前記第1の作業者が行う点検の項目の数および前記共同点検までに前記第2の作業者が行う点検の項目の数が所定の数になったと判定した場合、前記共同点検に係る情報を前記第1の端末装置および前記第2の端末装置に出力する、
点検支援システム。
【請求項2】
前記第1の作業者による入力を受け付ける第1の入力装置と、
前記第2の作業者による入力を受け付ける第2の入力装置と、
を備え、
前記完了点検項目管理部は、
前記第1の作業者に割り当てられた点検の項目を完了した旨の入力が前記第1の入力装置により受け付けられた場合、または、前記第1の作業者に割り当てられた点検の項目を完了した旨の入力が前記第2の入力装置により受け付けられた場合、完了した点検の項目を特定可能な情報を記憶し、
前記第2の作業者に割り当てられた点検の項目を完了した旨の入力が前記第2の入力装置により受け付けられた場合、または、前記第2の作業者に割り当てられた点検の項目を完了した旨の入力が前記第1の入力装置により受け付けられた場合、完了した点検の項目を特定可能な情報を記憶する、
請求項1に記載の点検支援システム。
【請求項3】
前記点検項目管理部により管理される情報には、点検の場所を示す情報が含まれ、
前記出力制御部は、前記点検項目管理部により管理される情報と前記完了点検項目管理部により管理される情報とから、前記第1の作業者の場所がかわる点検の項目までの点検の項目の数が所定の数になったと判定した場合、前記第1の作業者の点検の場所がかわることを示す情報を前記第2の端末装置に出力し、前記第2の作業者の場所がかわる点検の項目までの点検の項目の数が所定の数になったと判定した場合、前記第2の作業者の点検の場所がかわることを示す情報を前記第1の端末装置に出力する、
請求項1に記載の点検支援システム。
【請求項4】
前記出力制御部により出力される情報を設定する設定部を備え、
前記出力制御部は、前記設定部により前記第1の端末装置に前記第1の作業者が行う点検の項目を示す情報を出力する設定がされている場合、前記点検の項目を示す情報を前記第1の端末装置に表示する制御を行い、前記設定部により前記第1の端末装置に前記第1の作業者が行う点検の項目を示す情報を出力しない設定がされている場合、前記点検の項目を示す情報を前記第1の端末装置に表示しない制御を行う、
請求項1に記載の点検支援システム。
【請求項5】
複数の作業者が行う点検を支援する点検支援方法であって、
点検項目管理部が、第1の作業者に割り当てられた点検の項目を示す情報と、前記第1の作業者と協調して作業を行う第2の作業者に割り当てられた点検の項目を示す情報とを管理する第1のステップと、
完了点検項目管理部が、前記第1の作業者に割り当てられた点検の項目のうち点検が完了した項目を特定可能な情報と、前記第2の作業者に割り当てられた点検の項目のうち点検が完了した項目を特定可能な情報とを管理する第2のステップと、
出力制御部が、前記点検項目管理部により管理される前記第2の作業者の情報と前記完了点検項目管理部により管理される前記第2の作業者の情報とから算出される前記第2の作業者の点検の進み具合を示す情報を前記第1の作業者が利用する第1の端末装置に出力し、前記点検項目管理部により管理される前記第1の作業者の情報と前記完了点検項目管理部により管理される前記第1の作業者の情報とから算出される前記第1の作業者の点検の進み具合を示す情報を前記第2の作業者が利用する第2の端末装置に出力する制御を行う第3のステップと、
を備え
前記点検項目管理部は、前記第1の作業者と前記第2の作業者とが共同して行う点検である共同点検の項目を示す情報を管理し、
前記出力制御部は、前記点検項目管理部により管理される情報と前記完了点検項目管理部により管理される情報とから、前記共同点検までに前記第1の作業者が行う点検の項目の数および前記共同点検までに前記第2の作業者が行う点検の項目の数が所定の数になったと判定した場合、前記共同点検に係る情報を前記第1の端末装置および前記第2の端末装置に出力する、
点検支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検支援システムおよび点検支援方法に関し、例えば、複数の作業者が行う点検を支援する点検支援システムおよび点検支援方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル、工場等に設置されている装置の法定検査、保守点検等(以降、点検と記す)が複数の作業者により行われている。
【0003】
かかる点検を支援するため、作業者が装着しているヘッドマウントディスプレイ(以降、HMDと記す)を通して視認している映像と同等の映像をカメラで取得し、取得した映像から適切な作業マニュアルといった点検に必要な情報を推定してリアルタイムにHMDに表示する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-164482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている方法では、複数の作業者で点検を行う必要がある場合には、個々の作業者がHMDを装着し、少なくとも1人の作業者が装着しているカメラを通じて得られる映像を、他の作業者が装着しているHMDに表示することもできる。
【0006】
例えば、エレベーターの点検について見ると、定期的に実施が義務付けられているエレベーターの法定検査では、2人以上の作業者でチームを組み、エレベーターを構成する複数の機器を並行して点検したり、共同で同一の機器を点検したりする。
【0007】
ここで、チーム内の作業者の技術レベルは必ずしも同じではなく、点検を実施する早さに個人差があるため、効率よく点検するには、お互い点検の進み具合(進捗)を把握し、他の作業者が担当する点検の項目のうち、完了していない点検の項目を代行する等、臨機応変に点検する必要がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、HMDに表示される他の作業者の情報は、現在実施している点検のカメラ映像のみで、お互いの点検の進捗を把握することができない。そのため、他の作業者の点検の遅れがあったとしても把握することができないので、他の作業者が所定の点検に進むまで待つ等、無駄が発生することがある。
【0009】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、複数の作業者による点検を効率よく行い得る点検支援システム等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため本発明においては、複数の作業者が行う点検を支援する点検支援システムであって、第1の作業者に割り当てられた点検の項目を示す情報と、前記第1の作業者と協調して作業を行う第2の作業者に割り当てられた点検の項目を示す情報とを管理する点検項目管理部と、前記第1の作業者に割り当てられた点検の項目のうち点検が完了した項目を特定可能な情報と、前記第2の作業者に割り当てられた点検の項目のうち点検が完了した項目を特定可能な情報とを管理する完了点検項目管理部と、前記点検項目管理部により管理される前記第2の作業者の情報と前記完了点検項目管理部により管理される前記第2の作業者の情報とから算出される前記第2の作業者の点検の進み具合を示す情報を前記第1の作業者が利用する第1の端末装置に出力し、前記点検項目管理部により管理される前記第1の作業者の情報と前記完了点検項目管理部により管理される前記第1の作業者の情報とから算出される前記第1の作業者の点検の進み具合を示す情報を前記第2の作業者が利用する第2の端末装置に出力する制御を行う出力制御部と、を設けるようにした。
【0011】
上記構成によれば、第1の作業者は、第2の作業者の点検の進み具合を把握することができ、第2の作業者は、第1の作業者の点検の進み具合を把握することができる。よって、例えば、ビギナーと熟練者とが点検を行う場合には、ビギナーによる点検が遅れているときは、熟練者がフォローをするというように、協調して点検を進めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の作業者による点検を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態による点検支援システムの概要を説明するための図である。
図2】第1の実施の形態による点検支援システムに係る構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施の形態による点検支援装置に係る構成の一例を示す図である。
図4】第1の実施の形態による画像管理情報の一例を示す図である。
図5】第1の実施の形態による音声管理情報の一例を示す図である。
図6】第1の実施の形態による点検項目管理情報の一例を示す図である。
図7】第1の実施の形態による点検支援処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。本実施の形態は、技術レベルの異なる作業者同士でも、お互いの点検の進捗を把握し、効率がよい点検を支援することができる技術に関するものである。本実施の形態では、点検支援システムを用いた点検の支援方法について、エレベーターの定期検査の点検を例に挙げて説明する。なお、点検については、エレベーターの定期検査の点検に限るものではなく、複数の作業者により行われる他の点検であってもよい。
【0015】
なお、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、端末装置を特に区別しないで説明する場合には、「端末装置120」と記載し、個々の端末装置を区別して説明する場合には、「端末装置120-1」、「端末装置120-2」のように記載することがある。
【0016】
(1)第1の実施の形態
図1において、100は全体として第1の実施の形態による点検支援システムを示す。図1は、点検支援システム100の概要を説明するための図である。
【0017】
エレベーターの点検は、予め計画された作業(以降、作業と記す)の順序に従って、通常2名の作業者(以降、2名の作業者の各々を作業者Aと作業者Bと記す)で行われる。かかる作業は、1以上の点検を含んで構成される。作業には、各作業者が行う点検(作業者に割り当てられた点検)、および/または、2名の作業者が共同で行う点検(以降、共同点検と記す)が含まれる。点検は、1以上の点検の項目(以降、点検項目と記す)を含んで構成される。
【0018】
点検を効率よく、かつ、安全に実施するために、点検手順情報110ように、作業者Aが担当する各作業の場所を示す作業場所、各作業の順序を示す作業順序、および各作業に含まれる点検と、作業者Bが担当する各作業の場所を示す作業場所、各作業の順序を示す作業順序、および各作業に含まれる点検とが予め決められている。
【0019】
ここで、作業者Aが昇降路底部で制御盤の点検を実施している場合、点検支援システム100では、作業者Aが利用する端末装置120-1が取得した制御盤の情報(例えば、映像)から、制御盤の点検項目(「主開閉器動作」、「絶縁測定」等の制御盤点検項目121-1)を検出し、作業者Aの端末装置120-1に出力する。
【0020】
また、作業者Bが昇降路底部で巻上機の点検を実施している場合、点検支援システム100では、作業者Bが利用する端末装置120-2が取得した巻上機の情報(例えば、映像)から、巻上機の点検項目(「油漏れ有無」、「潤滑状態」等の巻上機点検項目121-2)を検出し、作業者Bの端末装置120-2に出力する。
【0021】
端末装置120の出力については、端末装置120が備える表示部122による表示を例に挙げて説明するが、表示に限られるものではない。例えば、一の作業者が他の作業者の点検の進捗を認識可能な出力(例えば、スピーカによる音、ランプによる光、振動装置による振動等)を適宜採用することができる。
【0022】
なお、点検項目については、作業者の任意で、端末装置120の表示部122に出力させないこともできる。
【0023】
ここで、作業者Aが、制御盤の「主開閉器動作」の点検を実施し、点検の結果(以降、点検結果と記す)を端末装置120-1に入力すると、端末装置120-1の表示部122-1に表示されている制御盤点検項目121-1から「主開閉器動作」が消え、残りの点検項目(「絶縁測定の項目」等)が表示される。
【0024】
同様に、作業者Bが、巻上機の「油漏れ有無」の点検を実施し、点検結果を端末装置120-2に入力すると、端末装置120-2の表示部122-2に表示されている巻上機点検項目121-2から「油漏れ有無」が消え、残りの点検項目(「潤滑状態」等)が表示される。
【0025】
なお、点検が実施された点検項目(点検が完了した点検項目)については、表示部122から消去される構成に限られるものではなく、点検項目の表示の色を薄くしたり、点検項目の表示のサイズを小さくしたり、点検が完了したことを示す情報(例えば、「点検済」等)を付加したりする等、点検が完了したことが把握可能な態様に変更される構成であってもよい。
【0026】
また、点検項目の検出、検出された点検項目の表示、および点検結果を入力した点検項目を消す動作は、点検が実施される機器または点検項目を順不同に行っても可能である。例えば、作業者Aが、制御盤点検項目121-1を全て完了していなくても、昇降路底部にある他の機器の点検を実施しようとすれば、点検支援システム100は、上述した内容と同様のことを行う。
【0027】
ここで、作業者Aは、作業者Bに割り当てられた点検の点検項目、完了していない点検項目等を確認し、作業者Bに割り当てられた点検を実施することができる。例えば、作業者Aの端末装置120―1で巻上機の情報を取得すると、巻上機点検項目121-2(巻上機の完了していない点検項目)が表示部122-1に表示され、点検結果を端末装置120-1に入力すると、点検結果が入力された点検項目が表示部122-1から消える。なお、作業者Bについても同様であり、作業者Bは、作業者Aに割り当てられた点検の点検項目、完了していない点検項目を確認し、作業者Aに割り当てられた点検を実施することができる。
【0028】
また、図1に示すように、エレベーターの点検には、共同点検がある。作業者Aと作業者Bとが共に、昇降路底部の全ての点検項目の完了が近づくと、端末装置120の表示部122に共同点検に係る情報(共同作業点検表示123)が表示される。
【0029】
共同作業点検表示123では、共同点検が近づいていることに加え、共同点検までのおおよその時間、移動先(例えば、次の共同点検の作業場所「管理室」、「乗りかご内」)等の情報を合わせて表示するようにしてもよい。
【0030】
また、共同点検の点検項目においては、端末装置120-1および端末装置120-2には、同じ点検項目が表示され、点検結果を作業者Aと作業者Bとのどちらが端末装置120に入力しても、当該点検項目は消える。
【0031】
以上のように、作業者Aおよび作業者Bは、それぞれ自分に割り当てられた点検の点検項目、完了していない点検項目を把握するとともに、他の作業者の点検の進捗も把握できる。仮に作業者Bの点検の進捗が遅れていた場合、作業者Aは、作業者Bの完了していない点検項目を確認し、代行して点検することができる。
【0032】
更に、共同点検が近づいていることも事前に知ることもできるため、技術レベルの異なる作業者との作業においても、お互いの点検の進捗を把握しながら臨機応変に点検の手順を変更し、共同点検において、タイミングよく自分の持ち場に移動することができ、効率よく点検を実施することができる。
【0033】
次に、上述した内容を実現するための構成の一例を、図2図7を用いて説明する。
【0034】
図2は、点検支援システム100に係る構成の一例を示す図である。
【0035】
点検支援システム100は、複数の端末装置120と、点検支援装置200とを含んで構成される。端末装置120と点検支援装置200とは、通信回線220(ネットワーク)を介して互いに通信可能に接続されている。
【0036】
端末装置120は、HMD、タブレット端末等である。端末装置120は、制御装置201と、記憶装置202と、通信装置203と、センサ装置204と、入力装置205と、出力装置206とを含んで構成される。なお、センサ装置204、入力装置205、出力装置206等は、端末装置120と一体に設けられる構成に限るものではなく、端末装置120と別体に設けられる構成であってもよい。例えば、センサ装置204を端末装置120とは別体に実装し、作業者の頭部等の体の一部に装着し、出力装置206を端末装置120とは別体に実装し、作業者の腕等の体の一部に装着するようにしてもよい。
【0037】
制御装置201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、各種の制御を行う。記憶装置202は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等であり、各種の情報を記憶する。通信装置203は、例えば、NIC(Network Interface Card)から構成され、点検支援装置200との通信時におけるプロトコル制御を行う。センサ装置204は、カメラ、眼球運動計測装置等であり、撮像画像、眼球運動の計測値等のセンサ情報を取得する。入力装置205は、マイク、タッチパネル等であり、各種の情報を入力する。出力装置206は、ディスプレイ、スピーカ等であり、各種の情報を出力する。なお、センサ装置204と入力装置205とは、説明の便宜上、区別しているが、区別しなくてもよい。
【0038】
制御装置201は、センサ装置204と入力装置205とに無線通信で接続可能である。以下では、センサ装置204については、カメラおよび眼球運動計測装置である場合を例に挙げ、入力装置205については、マイクである場合を例に挙げて説明する。カメラは、作業者の視線に合わせて撮影範囲が動くように、例えば、作業者の頭部、胸部等に保持され、点検中の機器を撮影する。
【0039】
端末装置120の機能(センサ情報取得機能、送受信機能、表示制御機能等)は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、端末装置120の機能の一部は、端末装置120と通信可能な他のコンピュータ(例えば、点検支援装置200)により実現されてもよい。
【0040】
点検支援装置200は、エレベーターの管理センターに設けられるサーバ装置等である。点検支援装置200は、制御装置211と、記憶装置212と、通信装置213とを含んで構成される。
【0041】
制御装置211は、例えば、CPUであり、各種の制御を行う。記憶装置212は、RAM、ROM、HDD等であり、各種の情報を記憶する。通信装置213は、例えば、NICから構成され、端末装置120との通信時におけるプロトコル制御を行う。
【0042】
点検支援装置200の機能(後述の画像検出部311、音声検出部312、点検項目管理部313、完了点検項目管理部314、出力制御部315、設定部316等)は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、点検支援装置200の機能の一部は、点検支援装置200と通信可能な他のコンピュータ(例えば、端末装置120)により実現されてもよい。
【0043】
端末装置120と点検支援装置200とは、点検が実施されている間、互いにデータを送受信することができる。例えば、点検支援装置200は、センサ装置204(本例では、カメラおよび眼球運動計測装置)と入力装置205(本例では、マイク)とのデータを受信することができる。また、例えば、点検支援装置200で検出された点検項目は、出力装置206に表示される。
【0044】
図3は、点検支援装置200に係る構成の一例を示す図である。
【0045】
点検支援装置200は、画像管理情報301、音声管理情報302、点検項目情報303、および完了点検項目情報304を記憶する。
【0046】
画像管理情報301は、端末装置120から送信された画像データから点検中の機器を検出するために用いられる情報である。なお、図4に画像管理情報301の一例を示す。
【0047】
音声管理情報302は、端末装置120から送信された音声データから、点検中の機器を検出するために用いられる情報、取付け状態、汚損状態等の点検中の点検の内容(以降、点検内容と記す)を検出するために用いられる情報、または、点検結果を検出するために用いられる情報である。なお、図5に音声管理情報302の一例を示す。
【0048】
点検項目情報303は、点検項目に係る情報を含み、画像データから検出された点検中の機器の情報と、音声データから検出された点検中の機器の情報とから、点検中の機器に係る点検項目(以降、機器点検項目と記す)を検出するために用いられる情報である。なお、図6に点検項目情報303の一例を示す。
【0049】
完了点検項目情報304は、点検が完了した点検項目(以降、完了点検項目と記す)を特定可能な情報を含み、点検項目情報303を用いて検出された機器点検項目から完了点検項目を識別(例えば、排除)するために用いられる情報である。なお、図6に完了点検項目情報304の一例を示す。
【0050】
また、点検支援装置200は、画像検出部311、音声検出部312、点検項目管理部313、完了点検項目管理部314、出力制御部315、および設定部316を備える。
【0051】
画像検出部311は、端末装置120から送信された画像データから、画像管理情報301を利用して点検中の機器を検出する。
【0052】
また、センサ装置204で撮影した画像データに、センサ装置204で取得した作業者の視線データを付加すると、画像データに複数の機器が含まれていたとしても、その中から作業者が注視している機器を特定でき、画像検出部311による点検中の機器の検出を、さらに精度よく行うことができる。
【0053】
音声検出部312は、端末装置120から送信された音声データから、例えば、音声管理情報302を利用して点検中の点検内容を検出する。また、音声検出部312でも画像検出部311と並行して、端末装置120から送信された音声データから、音声管理情報302を利用して点検中の機器を検出する。音声検出部312で点検中の機器を検出できた場合、作業者が発する音声の方が画像データよりも信頼性が高いため、画像検出部311で検出された機器よりも音声検出部312で検出された機器が優先される。また、音声検出部312は、端末装置120から送信された音声データから、音声管理情報302を利用して点検中の点検結果を検出する。
【0054】
点検項目管理部313は、画像検出部311または音声検出部312で検出した点検中の機器から、点検項目情報303を用いて機器点検項目を検出する。
【0055】
完了点検項目管理部314は、音声検出部312で検出された点検中の点検内容および点検結果から、完了点検項目を検出し、検出した完了点検項目を識別可能な情報を記憶する。
【0056】
出力制御部315は、点検項目管理部313により検出された機器点検項目と、完了点検項目管理部314により検出された完了点検項目とから、未完了の点検項目(以降、未完了点検項目と記す)を検出し、検出した未完了点検項目を端末装置120に送信する。端末装置120は、未完了点検項目(例えば、制御盤点検項目121-1、巻上機点検項目121-2等)を出力装置206に表示する。なお、出力制御部315は、検出した未完了点検項目を記憶装置212に記憶してもよい。これによれば、点検支援装置200で検出された未完了点検項目を、随時、点検支援装置200にも保持できるので、エレベーターの管理センター等に蓄積して管理することが容易にできる。
【0057】
付言するならば、点検支援装置200で検出された機器点検項目と完了点検項目とは、出力制御部315により通信回線220を介して端末装置120に送信されるようにしてもよい。この場合、端末装置120は、機器点検項目と完了点検項目とを保持でき、必要に応じて、出力装置206に表示することで、作業者は、機器点検項目、完了点検項目、および/または、未完了点検項目を確認することもできる。また、機器点検項目と完了点検項目とを端末装置120に表示するとともに、記憶装置212に格納するようにしてもよい。これによれば、点検支援装置200で検出された機器点検項目と完了点検項目とを、随時、点検支援装置200にも保持できるので、エレベーターの管理センター等に蓄積して管理することが容易にできる。
【0058】
設定部316は、出力制御部315により出力される情報を設定する。例えば、設定部316は、端末装置120からの指示に応じて、未完了点検項目を表示するか否かの設定(例えば、表示フラグのオンおよびオフの制御)を行う。出力制御部315は、設定部316により端末装置120に未完了点検項目を表示する設定がされている場合、未完了点検項目を端末装置120に表示する制御を行い(例えば、未完了点検項目を端末装置120に送信し)、設定部316により端末装置120に未完了点検項目を表示しない設定がされている場合、未完了点検項目を端末装置120に表示しない制御を行う(例えば、未完了点検項目を端末装置120に送信しない)。
【0059】
図4は、画像管理情報301の一例(画像管理テーブル400)を示す図である。画像管理テーブル400は、端末装置120から送信される画像データから、点検中の機器を検出可能な情報を管理するテーブルである。
【0060】
より具体的には、画像管理テーブル400は、画像401と機器名402との情報を対応付けて記憶する。画像401は、機器名402により識別可能な機器の画像データ群(例えば、教師データ)である。機器名402は、点検が実施される各機器を識別可能な名称である。
【0061】
なお、画像401については、画像データに限るものではなく、機器の特徴量等、機器を検出可能な情報を適宜に採用できる。また、機器名402については、機器の名称に限るものではなく、機器番号等、機器を識別可能な情報を適宜に採用できる。
【0062】
図5は、音声管理情報302の一例(音声管理テーブル500)を示す図である。音声管理テーブル500は、端末装置120から送信される音声データから、点検中の点検内容を検出可能な情報と、点検中の機器を検出可能な情報と、点検項目の完了を検出可能な情報と、を管理するテーブルである。
【0063】
より具体的には、音声管理テーブル500は、音声501と、キーワード502と、種別503との情報を対応付けて記憶する。音声501は、キーワード502の音声データである。音声データは、圧縮フォーマットのデータであってもよいし、可逆非圧縮フォーマットのデータであってもよいし、非可逆非圧縮フォーマットのデータであってもよいし、その他のフォーマットのデータであってもよい。キーワード502は、点検内容、点検機器(点検が実施される機器)、または点検項目の完了を示す単語等である。種別503は、キーワード502を点検内容と点検結果と点検機器との何れかに分類するための区分である。
【0064】
なお、音声501については、音声データに限るものではなく、キーワード502の音声の特徴抽出後のデータ等、キーワード502を検出可能な情報を適宜に採用できる。
【0065】
図6は、点検項目情報303および完了点検項目情報304を含む点検項目管理情報の一例(点検項目管理テーブル600)を示す図である。
【0066】
より具体的には、点検項目管理テーブル600は、点検項目番号601、作業者602、作業場所603、作業順序604、点検名605、点検機器(大分類)606、点検機器(小分類)607、点検項目名608、点検内容609、共同点検フラグ610、所要時間611、点検状態612、および点検結果613の情報を対応付けて記憶する。
【0067】
点検項目番号601は、点検項目を識別可能な番号である。なお、点検項目は、点検項目名608、点検内容609等の情報を含んで構成される。作業者602は、点検項目が割り当てられた作業者を識別可能な情報である。作業場所603は、点検項目の点検が実施される場所である。作業順序604は、点検項目の点検が属する作業の順番である。
【0068】
点検名605は、点検項目の名称である。点検機器(大分類)606は、点検項目の点検が実施される機器(複数の機器を含んで構成される機器、例えば、制御盤、巻上機)である。点検機器(小分類)607、点検項目の点検が実施される機器(例えば、主開閉器、制動機)である。
【0069】
点検項目名608は、点検項目の名称である。点検内容609は、点検項目の内容である。共同点検フラグ610は、点検項目の点検が共同点検であるか否かを示すフラグ(本例では、「TRUE」または「FALSE」)である。所要時間611は、点検項目の点検に要する時間である。なお、所要時間611は、作業者の過去の実績から算出される平均時間であってもよいし、全作業者の過去の実績から算出される平均時間であってもよいし、その他の手法により得られる標準的な時間であってもよい。点検状態612は、点検項目の点検の状態(本例では、点検が未完了の場合は「未点検」点検中である場合は「点検中」、点検が完了の場合は「点検済」)である。点検結果613は、点検項目の点検結果である。
【0070】
なお、点検項目管理テーブル600では、作業者Aに係る作業点検のレコードを示したが、作業者Bに係る作業点検のレコードも含まれている。ただし、データ構造は、点検項目管理テーブル600に限るものではなく、例えば、作業者ごとにテーブルを設けるデータ構造等であってもよい。
【0071】
図7は、点検支援装置200が行う点検支援処理に係るフローチャートの一例を示す図である。点検支援処理は、所定の周期で行われる。点検支援処理では、概して、ステップS701~ステップS711において、点検が実施されているときの処理が行われ、ステップS712~ステップS719において、点検が完了したときの処理が行われる。
【0072】
ステップS701では、点検支援装置200は、画像データを取り込む。より具体的には、点検支援装置200は、端末装置120で撮影された画像データを端末装置120から受信し、画像検出部311に取り込む。
【0073】
ステップS702では、点検支援装置200(例えば、画像検出部311)は、機器検出を行う。点検支援装置200は、既存の画像処理技術を用いて(例えば、画像管理テーブル400の画像401を教師データとしたディープラーニングにより)、受信した画像データから撮影された機器を検出する。本例では、巻上機を検出したとする。
【0074】
ステップS703では、点検支援装置200(例えば、点検項目管理部313)は、点検項目の検出を行う。より具体的には、点検支援装置200は、ステップS702で検出した機器(本例では、巻上機)に係る点検項目の全て(機器点検項目)を検出する。例えば、点検支援装置200は、点検項目管理テーブル600の点検機器(大分類)606および点検機器(小分類)607と点検項目名608とを参照し、ステップS702で検出した巻上機に係る点検項目名608を全て抽出する。
【0075】
ステップS704では、点検支援装置200は、視線データを取り込む。より具体的には、点検支援装置200は、端末装置120において既存の眼球運動計測技術で得られた視線データを端末装置120から受信し、画像検出部311に取り込む。
【0076】
ステップS705では、点検支援装置200(例えば、画像検出部311)は、機器検出を行う。点検支援装置200は、受信した視線データを、ステップS702で処理した画像データに付加し、作業者が注視している機器を検出し、検出した機器を点検中の機器と判断する。例えば、点検支援装置200は、作業者が巻上機本体ではなく、巻上機に取り付けられた制動機を注視していた場合、制動機を検出する。本例では、制動機を検出したとする。
【0077】
ステップS706では、点検支援装置200(点検項目管理部313)は、点検項目の検出を行う。より具体的には、点検支援装置200は、ステップS705で検出した機器(本例では、制動機)に係る点検項目の全て(機器点検項目)を検出する。例えば、点検支援装置200は、点検項目管理テーブル600の点検機器(大分類)606および点検機器(小分類)607と点検項目名608とを参照し、ステップS705で検出した制動機に係る点検項目名608を全て抽出する。
【0078】
ステップS707では、点検支援装置200は、音声データを取り込む。より具体的には、点検支援装置200は、端末装置120で収音された音声データを端末装置120から受信し、音声検出部312に取り込む。例えば、点検支援装置200(音声検出部312)は、既存の音声認識技術を用いて、受信した音声データから音声管理テーブル500のキーワード502(例えば「油漏れ有無」、「潤滑状態」等)および種別503(例えば、「点検内容」)を検出する。
【0079】
ステップS708では、点検支援装置200は、点検項目の検出を行う。この際、点検支援装置200は、画像データから検出した機器と、音声データから検出した点検内容とから、点検中の点検項目を検出する。例えば、点検支援装置200は、点検項目管理テーブル600の点検内容609を参照し、検出した点検内容のキーワードが点検内容609に含まれる点検項目の点検状態612を「点検中」にセットする。
【0080】
また、点検支援装置200は、ステップS707で受信した音声データには、点検中の機器に係るキーワードも含まれ得る。例えば、点検支援装置200は、受信した音声データから音声管理テーブル500のキーワード502(例えば、「制動機」等)を点検中の機器として検出する。点検支援装置200(点検項目管理部313)は、点検中の機器を検出した場合、検出した機器(本例では、制動機)に係る点検項目の全て(機器点検項目)を検出する。
【0081】
ステップS709では、点検支援装置200(出力制御部315)は、点検項目の出力制御を行う。例えば、点検支援装置200は、点検項目管理テーブル600を参照し、ステップS703、ステップS706、またはステップS708で検出された機器点検項目のうち、点検状態612が「未点検」または「点検中」の点検項目名608を抽出し、抽出した点検項目名608を未完了点検項目として端末装置120に送信する。端末装置120は、未完了点検項目を受信すると、出力装置206に表示する。
【0082】
ステップS710では、点検支援装置200は、点検結果を検出する。ステップS707で受信した音声データには、点検結果に係るキーワードも含まれ得る。ここでは、点検支援装置200は、受信した音声データから音声管理テーブル500のキーワード502(例えば、「良」、「要是正」、数値等)を点検結果として検出する。
【0083】
ステップS711では、点検支援装置200は、点検結果を検出したか否かを判定する。点検支援装置200は、点検結果を検出したと判定した場合、ステップS712に処理を移し、点検結果を検出していないと判定した場合、ステップS701に処理を移す。
【0084】
ステップS712では、点検支援装置200は、点検結果を記憶する。より具体的には、点検支援装置200は、ステップS710で検出された点検結果を記憶装置212に記憶する。例えば、点検支援装置200は、検出した点検結果を、点検項目管理テーブル600における点検状態612が「点検中」である点検項目の点検結果613に格納する。そして、点検支援装置200は、点検状態612の「点検中」を「点検済」に変更する。かかる処理は、作業者が自身に割り当てられた点検の点検項目の点検を実施した場合と、作業者が他の作業者に割り当てられた点検の点検項目の点検を実施した場合とが区別されることなく行われる。ただし、これに限られるものではなく、例えば、どの作業者が点検を実施したかを示す情報(例えば、点検実施作業者)を記憶してもよい。
【0085】
ステップS713では、点検支援装置200は、点検項目の出力制御を行う。例えば、点検支援装置200は、点検項目管理テーブル600を参照し、ステップS703、ステップS706、またはステップS708で検出された機器点検項目のうち、点検状態612が「未点検」の点検項目名608を抽出し、抽出した点検項目名608を未完了点検項目として端末装置120に送信する。端末装置120は、未完了点検項目を受信すると、出力装置206に表示する。
【0086】
ステップS714では、点検支援装置200は、共同点検までの残りの点検項目の数(残点検項目数)を計数する。例えば、点検支援装置200は、点検項目管理テーブル600の作業者602と共同点検フラグ610と点検状態612とを参照し、次の共同点検までの作業者Aの残点検項目数と、次の共同点検までの作業者Bの残点検項目数とを計数する。
【0087】
ステップS715では、点検支援装置200は、作業者Aの残点検項目数および作業者Bの残点検項目数が所定の値(例えば、「1」)であるか否かを判定する。点検支援装置200は、作業者Aの残点検項目数および作業者Bの残点検項目数が所定の値であると判定した場合、ステップS716に処理を移し、作業者Aの残点検項目数または作業者Bの残点検項目数が所定の値でないと判定した場合、ステップS717に処理を移す。
【0088】
ステップS716では、点検支援装置200は、共同点検に係る情報を端末装置120に出力する制御を行う。点検支援装置200は、共同点検が近づいていることを示す情報、次の共同点検の作業場所、次の共同点検までの残り時間等を端末装置120―1および端末装置120―2に送信する。なお、次の共同点検までの残り時間は、ステップS712で点検結果が記憶された方の作業者の残りの点検項目の所要時間である。
【0089】
ステップS717では、点検支援装置200は、ステップS712で点検結果が記憶された方の作業者について、異なる作業場所での点検までの残りの点検項目の数(残点検項目数)を計数する。例えば、点検支援装置200は、点検項目管理テーブル600の作業者602と作業場所603と点検状態612とを参照し、異なる作業場所での点検までの残点検項目数を計数する。
【0090】
ステップS718では、点検支援装置200は、残点検項目数が所定の値(例えば、「1」)であるか否かを判定する。点検支援装置200は、残点検項目数が所定の値であると判定した場合、ステップS719に処理を移し、残点検項目数が所定の値でないと判定した場合、ステップS701に処理を移す。
【0091】
ステップS719では、点検支援装置200は、異なる作業場所での点検に係る情報を端末装置120に出力する制御を行う。例えば、点検支援装置200は、ステップS712で点検結果が記憶された方の作業者が移動する旨、移動先(次の作業場所)、作業場所が変わるまでの時間等を他の作業者の端末装置120に出力する。
【0092】
本実施の形態によれば、点検を実施しようとしている機器の点検項目を把握でき、技術レベルの異なる作業者同士でも、お互いの点検の進捗を把握できるので、エレベーターの点検を効率よく行うことができる。
【0093】
(2)他の実施の形態
なお、上述の実施の形態においては、本発明を点検支援システムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0094】
また、上述の実施の形態においては、ステップS710で点検結果を音声データから検出する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、端末装置120-1の入力装置205(タッチパネル等)、作業者の腕など体の一部に取り付けた入力装置を介して、検出した点検中の点検項目に対して点検結果を入力するなど、その他の手段で入力するようにしてもよい。
【0095】
また、上述の実施の形態においては、第2の作業者(例えば、作業者B)の点検の進み具合を示す情報として、第2の作業者が点検を行う対象の機器を第1の作業者(例えば、作業者A)が視認したときに点検が完了していない点検項目名を例に挙げて述べたが、本発明はこれに限らず、第2の作業者の点検の進み具合を示す情報は、第2の作業者が点検を完了していない点検項目の数、第2の作業者が次の作業に移るまでの時間等であってもよい。
【0096】
また、上述の実施の形態においては、共同点検に係る情報を出力する制御を行う第1の出力制御処理(ステップS714~ステップS716)と、異なる作業場所での点検に係る情報を出力する制御を行う第2の出力制御処理(ステップS717~ステップS719)とを行う場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、第1の出力制御処理および第2の出力制御処理の何れも行わないようにしてもよいし、何れか一方を行うようにしてもよい。
【0097】
また、上述の実施の形態において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。
【0098】
また、上述の実施の形態において、説明の便宜上、XXテーブルを用いて各種のデータを説明したが、データ構造は限定されるものではなく、XX情報等と表現してもよい。
【0099】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0100】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を有する。
【0101】
複数の作業者(例えば、作業者A、作業者B)が行う点検を支援する点検支援システム(例えば、点検支援システム100)であって、第1の作業者(例えば、作業者A)に割り当てられた点検の項目を示す情報(例えば、点検項目管理テーブル600における作業者Aの点検項目名608、点検内容609等)と、上記第1の作業者と協調して作業を行う第2の作業者(例えば、作業者B)に割り当てられた点検の項目を示す情報(例えば、点検項目管理テーブル600における作業者Bの点検項目名608、点検内容609等)とを管理する点検項目管理部(例えば、点検項目管理部313)と、上記第1の作業者に割り当てられた点検の項目のうち点検が完了した項目を特定可能な情報(例えば、作業者Aの点検状態612)と、上記第2の作業者に割り当てられた点検の項目のうち点検が完了した項目を特定可能な情報(例えば、作業者Bの点検状態612)とを管理する完了点検項目管理部(例えば、完了点検項目管理部314)と、上記点検項目管理部により管理される上記第2の作業者の情報と上記完了点検項目管理部により管理される上記第2の作業者の情報とから算出される上記第2の作業者の点検の進み具合を示す情報(例えば、作業者Bが点検を行う対象の機器を作業者Aが視認したときに点検が完了していない点検の点検項目名608、作業者Bが点検を完了していない点検の点検項目608の数、作業者Bが次の作業に移るまでの時間(点検中の作業において完了していない点検項目608の所要時間611の総和)等)を上記第1の作業者が利用する第1の端末装置(例えば、端末装置120-1)に出力し、上記点検項目管理部により管理される上記第1の作業者の情報と上記完了点検項目管理部により管理される上記第1の作業者の情報とから算出される上記第1の作業者の点検の進み具合を示す情報(例えば、作業者Aが点検を行う対象の機器を作業者Bが視認したときに点検が完了していない点検の点検項目名608、作業者Aが点検を完了していない点検の点検項目608の数、作業者Aが次の作業に移るまでの時間(点検中の作業において完了していない点検項目608の所要時間611の総和)等)を上記第2の作業者が利用する第2の端末装置(例えば、端末装置120-1)に出力する制御を行う出力制御部(例えば、出力制御部315)と、を備える。
【0102】
上記構成によれば、第1の作業者は、第2の作業者の点検の進み具合を把握することができ、第2の作業者は、第1の作業者の点検の進み具合を把握することができる。よって、例えば、ビギナーと熟練者とが点検を行う場合には、ビギナーによる点検が遅れているときは、熟練者がフォローをするというように、協調して点検を進めることができる。
【0103】
また、上記構成において、上記出力制御部は、上記第1の作業者の点検の進み具合を示す情報を上記第1の端末装置に出力し、上記第2の作業者の点検の進み具合を示す情報を上記第2の端末装置に出力する制御を行ってもよい。より具体的には、上記出力制御部は、上記点検項目管理部により管理される上記第1の作業者の情報と、上記完了点検項目管理部により管理される上記第1の作業者の情報とに基づいて、完了していない点検の項目を示す情報(例えば、点検項目名608、点検内容609、所要時間611)を上記第1の端末装置に接続された第1の表示装置(例えば、端末装置120-1が備える出力装置)に表示し、上記点検項目管理部により管理される上記第2の作業者の情報と、上記完了点検項目管理部により管理される上記第2の作業者の情報とに基づいて、完了していない点検の項目を示す情報(例えば、点検項目名608、点検内容609、所要時間611)を上記第2の端末装置に接続された第2の表示装置(例えば、端末装置120-2が備える出力装置)に表示してもよい。
【0104】
上記構成によれば、作業者自身が点検の進み具合を把握することができる。例えば、点検の進み具合を示す情報として、点検の項目名が端末装置に出力される場合、作業者は、どういう点検があるのか、次に何の点検を行ったらいいか等を把握できるようになり、点検をスムーズに行うことができるようになる。
【0105】
また、上記構成において、上記出力制御部は、上記第2の作業者に割り当てられた点検の機器を上記第1の端末装置に接続された第1のセンサ装置により把握された場合に、上記第2の作業者の点検の進み具合を示す情報を上記第1の端末装置に出力し、上記第1の作業者に割り当てられた点検の機器を上記第2の端末装置に接続された第2のセンサ装置により把握された場合に、上記第1の作業者の点検の進み具合を示す情報を上記第2の端末装置に出力してもよい。
【0106】
上記構成によれば、例えば、センサ装置が作業者の目の付近に取り付けられている場合、作業者は、他の作業者に割り当てられた点検の機器を視認することで、他の作業者の点検の進み具合を把握できる。
【0107】
上記第1の作業者による入力を受け付ける第1の入力装置(例えば、端末装置120-1が備える入力装置)と、上記第2の作業者による入力を受け付ける第2の入力装置(例えば、端末装置120-2が備える入力装置)と、を備え、上記完了点検項目管理部は、上記第1の作業者に割り当てられた点検の項目を完了した旨の入力が上記第1の入力装置により受け付けられた場合、または、上記第1の作業者に割り当てられた点検の項目を完了した旨の入力が上記第2の入力装置により受け付けられた場合、完了した点検の項目を特定可能な情報を記憶し、上記第2の作業者に割り当てられた点検の項目を完了した旨の入力が上記第2の入力装置により受け付けられた場合、または、上記第2の作業者に割り当てられた点検の項目を完了した旨の入力が上記第1の入力装置により受け付けられた場合、完了した点検の項目を特定可能な情報を記憶する(例えば、ステップS712参照)。
【0108】
上記構成によれば、例えば、ビギナーと熟練者とが協調して点検を行う場合には、熟練者がビギナーの点検の項目を完了したとき、完了したことを熟練者がビギナーに伝えることなく、ビギナーの端末装置から完了した項目が消去される。このように、完了したことを言葉で伝えるといった不要な動作をなくすことにより、伝達ミス、伝達漏れ等による重複した点検を回避できるので、より協調して点検を進めることができる。
【0109】
上記完了点検項目管理部は、上記第1の作業者または上記第2の作業者により、上記第1の作業者と上記第2の作業者とが共同して行う点検である共同点検の項目を完了した旨の入力が行われた場合、上記共同点検が完了したことを示す情報を記憶してもよい。
【0110】
上記構成によれば、共同点検の場合は、余裕がある作業者が完了の入力を行うことで、端末装置から共同点検の項目を示す情報が消去されるので、より協調して点検を進めることができる。
【0111】
上記点検項目管理部は、上記第1の作業者と上記第2の作業者とが共同して行う点検である共同点検の項目を示す情報(例えば、共同点検フラグ610)を管理し、上記出力制御部は、上記点検項目管理部により管理される情報と上記完了点検項目管理部により管理される情報とから、上記共同点検までに上記第1の作業者が行う点検の項目の数および上記共同点検までに上記第2の作業者が行う点検の項目の数が所定の数になったと判定した場合、上記共同点検に係る情報(共同点検が近づいていること、共同点検までのおおよその時間、移動先(共同点検の作業場所603)、共同点検の点検項目名608、共同点検の点検内容609等)を上記第1の端末装置および上記第2の端末装置に出力する。
【0112】
上記構成によれば、例えば、第1の作業者および第2の作業者は、共同点検の開始時間、共同点検の点検内容、共同点検の作業場所等の共同点検に係る情報を把握することができるので、より協調して点検を進めることができる。
【0113】
上記点検項目管理部により管理される情報には、点検の場所を示す情報(例えば、作業場所603)が含まれ、上記出力制御部は、上記点検項目管理部により管理される情報と上記完了点検項目管理部により管理される情報とから、上記第1の作業者の場所がかわる点検の項目までの点検の項目の数が所定の数になったと判定した場合、上記第1の作業者の点検の場所がかわることを示す情報(例えば、作業者Aが移動する旨、作業者Aの移動先(次の作業場所603)、作業場所が変わるまでの時間等)を上記第2の端末装置に出力し、上記第2の作業者の場所がかわる点検の項目までの点検の項目の数が所定の数になったと判定した場合、上記第2の作業者の点検の場所がかわることを示す情報(例えば、作業者Bが移動する旨、作業者Bの移動先(次の作業場所603)、作業場所が変わるまでの時間等)を上記第1の端末装置に出力する。
【0114】
上記構成によれば、例えば、第1の作業者は、第2の作業者の点検の場所がかわることを把握することができ、第2の作業者は、第1の作業者の点検の場所がかわることを把握することができる。このように、他の作業者の点検の場所を把握することにより、他の作業者の安全性を高めることができ、より協調して点検を進めることができる。
【0115】
上記出力制御部により出力される情報を設定する設定部(例えば、設定部316)を備え、上記出力制御部は、上記設定部により上記第1の端末装置に上記第1の作業者が行う点検の項目を示す情報を出力する設定がされている場合、上記点検の項目を示す情報を上記第1の端末装置に表示する制御を行い、上記設定部により上記第1の端末装置に上記第1の作業者が行う点検の項目を示す情報を出力しない設定がされている場合、上記点検の項目を示す情報を上記第1の端末装置に表示しない制御を行う。
【0116】
例えば、第1の作業者が熟練者である場合、熟練者は自身に割り当てられた点検の項目を把握していることから、当該項目を表示する必要がない。上記構成によれば、例えば、熟練者は、見る必要のない点検の項目を表示しない設定をすることで、余分な情報を視認しなくなるので、点検をし易くすることができる。
【0117】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
100……点検支援システム、200……点検支援装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7