(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】ガスタービン選択的触媒還元システムのためのアンモニア注入調節
(51)【国際特許分類】
F23R 3/40 20060101AFI20220620BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20220620BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20220620BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20220620BHJP
B01D 53/90 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
F23R3/40 C
F02C7/00 B
F01D25/30 B
B01D53/86 222
B01D53/90
(21)【出願番号】P 2019510434
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2017070808
(87)【国際公開番号】W WO2018036891
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH-5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】チャルネッキ,ローレンス・ジョセフ
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-038511(JP,A)
【文献】特開2011-038517(JP,A)
【文献】特開2016-217353(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0096532(US,A1)
【文献】特開2017-048787(JP,A)
【文献】特開2017-015074(JP,A)
【文献】特開2010-031869(JP,A)
【文献】特開平01-139146(JP,A)
【文献】特開昭52-097012(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0230410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/40
F02C 7/00
F01D 25/30
B01D 53/86
B01D 53/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(10)の燃焼ガス流(35)とともに使用するための選択的触媒還元システム(100)であって、
当該選択的触媒還元システム(100)が、
前記ガスタービン(10)の周りに配置された
入口(110)
と、
前記
入口(110)の周りに配置され
、かつ調節用空気(20)の流れを供給するための複数の空気注入ランス(160)及びアンモニアの流れを供給するための複数のアンモニア注入ランス(200)を含む複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)
であって、前記複数の空気注入ランス(160)が、1以上の調節用空気導管(170)を介して調節用空気源と連通し、前記複数のアンモニア注入ランス(200)が、前記1以上の調節用空気導管(170)とは異なる1以上のアンモニア導管(210)を介してアンモニア源(190)と連通し、前記複数の空気注入ランス(160)及び前記複数のアンモニア注入ランス(200)が、専用の噴霧ノズルを備える別個の構造体である及び/又は二重流体噴霧ノズルを使用し、前記複数の空気注入ランス(160)及び前記複数のアンモニア注入ランス(200)が、燃焼ガス流(35)の流れの方向に同じ位置に配置されている、複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)と、
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)の下流に配置された触媒(130)
と
を備え
ており、前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、
前記複数の空気注入ランス(160)を通して調節用空気(20)
及び前記複数のアンモニア注入ランス(200)を通してアンモニア(180)を
、前記触媒(130)の上流の前記燃焼ガス流(35)に注入する
ように構成されている、選択的触媒還元システム(100)。
【請求項2】
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、前記複数の空気注入ランス(160)と連通している1
以上のファン(150)を含む、請求項
1に記載の選択的触媒還元システム(100)。
【請求項3】
前記複数のアンモニア注入ランス(200)が、前記複数の空気注入ランス(160)の周りに配置されている、請求項
1又は請求項2に記載の選択的触媒還元システム(100)。
【請求項4】
前記複数の空気注入ランス(160)からの
調節用空気
(20)の流
れが、前記複数のアンモニア注入ランス(200)を冷却する、請求項
1乃至請求項3のいずれか1項に記載の選択的触媒還元システム(100)。
【請求項5】
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)の下流に配置されたガス混合器(220)をさらに備える、請求項1
乃至請求項4のいずれか1項に記載の選択的触媒還元システム(100)。
【請求項6】
ガスタービンエンジン(10)の燃焼ガス流(35)を含む選択的触媒還元システム(100)を動作させる方法であって、
当該方法が、
前記燃焼ガス流(35)を前記選択的触媒還元システム(100)に流入させるステップ
と、
前記選択的触媒還元システム(100)の
入口(110)の周りで冷却用空気流(20)を前記燃焼ガス流(35)に注入するステップ
であって、1以上の調節用空気導管(170)を介して調節用空気源と連通する複数の空気注入ランス(160)で前記冷却用空気流(20)を供給するステップと、
前記選択的触媒還元システム(100)の
入口(110)の周りでアンモニア流(180)を前記燃焼ガス流(35)に注入するステップ
であって、前記1以上の調節用空気導管(170)とは異なる1以上のアンモニア導管(210)を介してアンモニア源(190)と連通する複数のアンモニア注入ランス(200)で前記アンモニア流(180)を供給するステップと、
前記燃焼ガス流(35)と前記冷却用空気流(20)と前記アンモニア流(180)とを混合
して混合流を形成するステップ
と、
前記混合流を触媒(130)と反応させるステップ
と
を含
んでおり、
前記複数の空気注入ランス(160)及び前記複数のアンモニア注入ランス(200)が、複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)の一部であって、前記触媒(130)の上流かつ燃焼ガス流(35)の流れの方向に同じ位置に配置されており、前記複数の空気注入ランス(160)及び前記複数のアンモニア注入ランス(200)が、専用の噴霧ノズルを備える別個の構造体である及び/又は二重流体噴霧ノズルを使用する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願およびその結果得られる本特許は、一般に、ガスタービンエンジンに関し、より詳細には、ガスタービン選択的触媒還元システム(gas turbine selective catalyst reduction system)内の高温燃焼ガスの温度を抑えるためのアンモニア注入調節(tempered ammonia injection)に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンの燃焼過程においては、窒素酸化物および他の種類の規制排出物が生成される。具体的には、単純サイクルガスタービンは、許容できないレベルの窒素酸化物を含んでいる高温煙道ガスを排出する。全体的な窒素酸化物排出レベルを抑えるための1つの解決策は、選択的触媒還元システムを使用することである。一般に説明される選択的触媒還元システムは、高温燃焼ガス流に還元剤、通常はアンモニアまたは尿素を添加してから、この燃焼ガス流を触媒床に通して、窒素酸化物および還元剤を選択的に吸収する。吸収された成分は、触媒表面において化学反応を起こし、反応生成物が脱着される。具体的には、反応物は、燃焼ガス流の中の窒素酸化物と反応して、水と窒素を形成する。他の種類の触媒および他の種類の還元剤を使用してもよい。
【0003】
選択的触媒還元システムの全体効率は、燃焼ガス流の温度に一部、依存する場合がある。具体的には、選択的触媒還元システムの効率的な温度範囲が比較的狭いことがある。したがって、高温燃焼ガス流は、一般に、冷却されてから触媒床に到達すべきである。さらには、選択的触媒還元システムが十分なレベルの窒素酸化物などを変換し除去するには、触媒の上流の燃焼ガス流に対して還元剤を慎重に計測し分布させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2011/036066号明細書
【発明の概要】
【0005】
本出願およびその結果得られる本特許は、ガスタービンの燃焼ガス流とともに使用するための選択的触媒還元システムを提供する。この選択的触媒還元システムは、ガスタービンの周りに配置された入り口、入り口の周りに配置された複合型アンモニア調節空気注入グリッド(combined ammonia-tempering air injection grid)、および複合型アンモニア調節空気注入グリッドの下流に配置された触媒を含むことができる。この複合型アンモニア調節空気注入グリッドは、触媒の上流の燃焼ガス流に空気とアンモニアを注入する。
【0006】
本出願およびその結果得られる本特許は、ガスタービンエンジンの燃焼ガス流を含む選択的触媒還元システムを動作させる方法をさらに提供する。この方法は、燃焼ガス流を選択的触媒還元システムに流入させるステップ、選択的触媒還元システムの入り口の周りで冷却用空気流を燃焼ガス流に注入するステップ、選択的触媒還元システムの入り口の周りでアンモニア流を燃焼ガス流に注入するステップ、燃焼ガス流と冷却用空気流とアンモニア流とを混合するステップ、およびこの混合流を触媒と反応させるステップを含むことができる。
【0007】
本出願およびその結果得られる本特許は、選択的触媒還元システムの入り口の周りで使用される複合型アンモニア調節空気注入グリッドをさらに提供する。この複合型アンモニア調節空気注入グリッドには、入り口の周りに配置されて空気の流れを提供するためのいくつかの空気注入ランス、および入り口の周りに配置されてアンモニアの流れを提供するためのいくつかのアンモニア注入ランスが設けられる。アンモニア注入ランスは、空気注入ランスの周りに配置されて、空気の流れがアンモニア注入ランスを冷却することになる。
【0008】
本出願およびその結果得られる本特許のこれらならびに他の特徴および改良点は、いくつかの図面および添付の特許請求の範囲と併せて次の詳細な説明を検討すると、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】圧縮機、燃焼器、タービン、負荷を含むガスタービンエンジン、および選択的触媒還元システムを示す概略図である。
【
図2】ガスタービンエンジン、および選択的触媒還元システムの一代替実施形態の概略図である。
【
図3】ガスタービンエンジン、および本明細書において説明され得る選択的触媒還元システムの概略図である。
【
図4】ガスタービンエンジン、および本明細書において説明され得る選択的触媒還元システムの一代替実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照すると、ここでは同様の数字がいくつかの図全体を通して同様の要素を示しており、
図1は、本明細書において使用され得るガスタービンエンジン10の概略図を示している。ガスタービンエンジン10は、圧縮機15を含むことができる。圧縮機15は、入ってくる空気流れ20を圧縮する。圧縮機15は、圧縮された空気流れ20を燃焼器25に送給する。燃焼器25は、圧縮された空気流れ20を加圧された燃料流れ30と混合し、この混合物に点火して、燃焼ガス流れ35を生成する。たった1つの燃焼器25しか示されていないが、ガスタービンエンジン10は、円周方向の配列などで配置された任意の数の燃焼器25を含んでいてもよい。燃焼ガス流れ35は、次に、タービン40に送給される。燃焼ガス流れ35は、タービン40を駆動して、機械的仕事を生み出す。タービン40において生成された機械的仕事は、シャフト、および発電機などの外部負荷を介して、圧縮機15を駆動させる。
【0011】
ガスタービンエンジン10は、天然ガス、様々な種類の合成ガス、液体燃料、および/または他の種類の燃料、ならびにそれらの配合物を使用することができる。ガスタービンエンジン10は、異なる構成を有しても、他の種類の構成要素を使用してもよい。他の種類のガスタービンエンジンを本明細書において使用してもよい。複数のガスタービンエンジン、他の種類のタービン、および他の種類の発電設備を本明細書においてともに使用してもよい。
【0012】
ガスタービンエンジン10はまた、選択的触媒還元システム45を含むことができる。選択的触媒還元システム45は、タービン40の下流に配置され得る。上述したように、選択的触媒還元システム45はその中に、燃焼ガス流35と反応するように触媒50を含むことができる。触媒50は、従来の設計のものであってよく、適切な担体成分と活性触媒成分とから作製され得る。異なる種類の触媒50を本明細書において使用してもよい。触媒50は、任意の適切な大きさ、形状、または構成を有することができる。選択的触媒還元システム45は、入り口55からスタック60または他の種類の排気部まで延びることができる。アンモニア注入グリッド65を触媒50の周りに配置して、アンモニアなどの還元剤を燃焼ガス流35に注入することができる。アンモニア注入グリッド65は、アンモニア源70と連通していることができる。アンモニア注入グリッド65は、広範囲の配管システムを介してアンモニア源70と連通して、入ってくる燃焼ガス流35中に適切なアンモニア分布をもたらすことができる。スタック60または他の種類の排気部は、触媒50の下流に配置してもよい。
【0013】
選択的触媒還元システム45はまた、調節用空気システム75も含むことができる。調節用空気システム75は、燃焼ガス流35の温度を下げてから、このガス流35が触媒50に到達するようにできる。調節用空気システム75は、選択的触媒還元システム45の入り口55の周りに、かつアンモニア注入グリッド65および触媒50の上流に配置された調節用空気グリッド80を含むことができる。調節用空気グリッド80は、調節用空気ファン85または他の種類の空気移動装置を介して、周囲空気源20と連通することができる。ガス混合器90は、調節用空気グリッド80の下流に配置され得る。ガス混合器90は、一連のバッフルなどを含むことができる。ガス混合器90は、適切な温度分布を得るように、入ってくる燃焼ガス流35と周囲空気20とを混合することができる。ここで冷却された流れは、次いで、アンモニア注入グリッド65を通過し触媒50に流れて、触媒50と反応することができる。
【0014】
図2は、代替の選択的触媒還元システム95を含むガスタービンエンジン10を示している。この例では、選択的触媒還元システム95は、調節用空気システム75を使用しなくてもよい。代わりに、選択的触媒還元システム95では、アンモニア注入グリッド65を、触媒50に対して距離を置いて選択的触媒還元システム95の入り口55の周りに配置することができる。高温燃焼ガス流35がタービン40から排出するときに、このガス流35に直接、アンモニアを注入することによって、アンモニア注入グリッド65は、タービン40から排出する複雑なガス流れパターンに対応することができる。本明細書において説明する選択的触媒還元システムは、単に例示目的にすぎない。他の種類の選択的触媒還元システムおよびシステム構成要素を使用してもよい。
【0015】
図3は、本明細書において説明され得る選択的触媒還元システム100を含むガスタービンエンジン10を示している。選択的触媒還元システム100は、タービン40の周りに配置された入り口110から、その下流端におけるスタック120または他の種類の排気部まで延びることができる。選択的触媒還元システム100は、任意の適切な大きさ、形状、構成、または容量を有することができる。
【0016】
選択的触媒還元システム100は、触媒130を含むことができる。触媒130は、従来の設計のものであってよい。触媒130は、選択的触媒還元システム100内に、入り口110から下流に距離を置いて配置され得る。
【0017】
選択的触媒還元システム100は、複合型アンモニア調節空気注入グリッド140を含むことができる。複合型アンモニア調節空気注入グリッド140は、燃焼ガス流35の経路内の選択的触媒還元システム100の入り口110の周りに配置され得る。複合型アンモニア調節空気注入グリッド140は、調節用空気ファン150または他の種類の空気移動装置を介して、周囲空気流れ20と連通することができる。調節用空気ファン150は、任意の適切な大きさ、形状、または構成を有することができる。複合型アンモニア調節空気注入グリッド140は、入り口110の周りに配置された、いくつかの空気注入ランス160を含むことができる。空気注入ランス160は、任意の適切な大きさ、形状、または構成を有することができる。任意の数の空気注入ランス160を使用してもよい。空気注入ランス160は、1つまたは複数の調節用空気導管170を介して、調節用空気ファン150からの周囲空気20または他の種類の空気源と連通することができる。調節用空気導管170は、任意の適切な大きさ、形状、または構成を有することができる。他の構成要素および他の構成を本明細書において使用してもよい。
【0018】
複合型アンモニア調節空気注入グリッド140はまた、アンモニア源190からのアンモニア流れ180または他の種類の還元剤と連通することができる。複合型アンモニア調節空気注入グリッド140は、入り口110の周りに配置された、いくつかのアンモニア注入ランス200を含むことができる。アンモニア注入ランス200は、任意の適切な大きさ、形状、または構成を有することができる。任意の数のアンモニア注入ランス200を使用してもよい。アンモニア注入ランス200は、1つまたは複数のアンモニア導管210を介して、アンモニア流れ180と連通することができる。アンモニア導管210は、任意の適切な大きさ、形状、または構成を有することができる。1つまたは複数のポンプ(図示せず)あるいは他の種類の流体移送装置を本明細書において使用してもよい。
【0019】
空気注入ランス160およびアンモニア注入ランス200は、専用の噴霧ノズルを含む別個の構造体であっても、および/または二重の流体噴霧ノズルが使用されてもよい。空気流れとアンモニア流れとを組み合わせることによって、周囲空気流れ20は、アンモニア注入ランス200を冷却して、高熱燃焼ガス流35からアンモニア注入ランス200を熱的に保護することができる。具体的には、周囲空気流れ20は、アンモニア注入ランス200を冷却して、複合型アンモニア調節空気注入グリッド140を空気注入グリッドの下流ではなく入り口110の周りに配置して熱的保護できるように働く。さらには、複合型アンモニア調節空気注入グリッド140を入り口110に配置することによって、高温燃焼ガス35は、周囲空気流れ20におけるアンモニア流れ180を触媒の上流のアンモニア蒸気へと蒸発して、うまく全体的に分布させることが可能である。他の構成要素および他の構成を本明細書において使用してもよい。
【0020】
ガス混合器220が、複合型アンモニア調節空気注入グリッド140の下流に配置されてもよい。ガス混合器220は、一連のバッフルなどを含むことができる。ガス混合器220は、任意の適切な大きさ、形状、または構成を有することができる。ガス混合器220は、燃焼ガス流35において周囲空気流れ20とアンモニア流れ180とを混合し配合することができる。ガス混合器220は、適切なアンモニア分布だけでなく適切な温度分布も燃焼ガス流35に提供する。他の構成要素および他の構成を本明細書において使用してもよい。
【0021】
図4は、複合型アンモニア調節空気注入グリッド230の代替の一実施形態を示している。この例では、アンモニア導管210は、調節用空気導管170と合流して1つまたは複数の合流した流れ導管240になって、1つまたは複数の合流した流れランス250とともに使用することが可能である。さらなる代替案として、それぞれの導管およびランスは、同軸であってもよく、二重の流体噴霧ノズルにつながっていてもよい。上記のように、周囲空気流れ20は、アンモニア成分を冷却して、複合型アンモニア調節空気注入グリッド140を空気注入グリッドの下流ではなく、選択的触媒還元システム100の入り口110の周りに配置できるように働く。他の構成要素および他の構成を本明細書において使用してもよい。
【0022】
使用に際して、タービン40からの高温燃焼ガス流35は、選択的触媒還元システム100の入り口部110に入る。燃焼ガス流35は、注入ランス160、200が周囲空気流れ20およびアンモニア流れ180を注入すると、複合型アンモニア調節空気注入グリッド140を通過して流れる。周囲空気流れ20は、燃焼ガス流35を冷却するとともに、アンモニア注入ランス200を保護する。アンモニア流れ180は、一旦、注入されると、燃焼ガス流35内に蒸発して、触媒130の上流のアンモニア蒸気になることができる。ガス混合器220は、良好な混合流を促進し、触媒130の周りに温度およびアンモニアが実質的に均一に分布する。
【0023】
複合型アンモニア調節空気注入グリッド140により、別個の空気注入グリッドおよびアンモニア注入グリッド、ならびに関連の配管の必要性がさらに回避される。さらには、燃焼ガス流35の流れパターンに対応するように設計されている特定の噴霧ノズルも回避され得る。したがって、複合型アンモニア調節空気注入グリッド140は、タービン40からの燃焼ガス流35を、簡素化した、それほど高価でない設計で、触媒130とともに効率的に使用するのに適切な温度範囲内まで冷却する。
【0024】
上記が本出願およびその結果得られる本特許の特定の実施形態にのみ関するものであることは明らかであるはずである。添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の概括的な趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって本明細書において多数の変更および修正を行うことができる。
【0025】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
ガスタービン(10)の燃焼ガス流(35)とともに使用するための選択的触媒還元システム(100)であって、
前記ガスタービン(10)の周りに配置された入り口(110)、
前記入り口(110)の周りに配置された複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)、および
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)の下流に配置された触媒(130)
を備え、
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、空気(20)およびアンモニア(180)を前記触媒(130)の上流の前記燃焼ガス流(35)に注入する、
選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様2]
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、複数の空気注入ランス(160)を含む、実施態様1記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様3]
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、前記複数の空気注入ランス(160)と連通している空気源(20)を含む、実施態様2記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様4]
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、前記複数の空気注入ランス(160)と連通している1つまたは複数の空気導管(170)を含む、実施態様2または3記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様5]
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、前記複数の空気注入ランス(160)と連通している1つまたは複数のファン(150)を含む、実施態様2乃至4のいずれか1項記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様6]
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、複数のアンモニア注入ランス(200)を含む、実施態様2乃至5のいずれか1項記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様7]
前記複数のアンモニア注入ランス(200)が、前記複数の空気注入ランス(160)の周りに配置されている、実施態様6記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様8]
前記複数の空気注入ランス(160)からの前記空気流れ(20)が、前記複数のアンモニア注入ランス(200)を冷却する、実施態様6または7記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様9]
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、前記複数のアンモニア注入ランス(200)と連通しているアンモニア源(190)を含む、実施態様6乃至8のいずれか1項記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様10]
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、前記複数のアンモニア注入ランス(200)と連通している1つまたは複数のアンモニア導管(210)を含む、実施態様6乃至9のいずれか1項記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様11]
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)の下流に配置されたガス混合器(220)をさらに備える、実施態様1乃至10のいずれか1項記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様12]
前記複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)が、空気導管(170)およびアンモニア導管(210)を含む、実施態様1乃至3のいずれか1項記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様13]
前記空気導管(170)および前記アンモニア導管(210)が、合流した流れ導管(240)を構成する、実施態様12記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様14]
前記合流した流れ導管(240)が、複数の合流した流れランス(250)と連通している、実施態様13記載の選択的触媒還元システム(100)。
[実施態様15]
ガスタービンエンジン(10)の燃焼ガス流(35)を含む選択的触媒還元システム(100)を動作させる方法であって、
前記燃焼ガス流(35)を前記選択的触媒還元システム(100)に流入させるステップ、
前記選択的触媒還元システム(100)の入り口(110)の周りで冷却用空気流(20)を前記燃焼ガス流(35)に注入するステップ、
前記選択的触媒還元システム(100)の入り口(110)の周りでアンモニア流(180)を前記燃焼ガス流(35)に注入するステップ、
前記燃焼ガス流(35)と前記冷却用空気流(20)と前記アンモニア流(180)とを混合するステップ、および
前記混合流を触媒(130)と反応させるステップ
を含む方法。
[実施態様16]
選択的触媒還元システム(100)の入り口(110)の周りで使用するための複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)であって、
前記入り口(110)の周りに配置されて空気流れ(20)を提供するための複数の空気注入ランス(160)、および
前記入り口(110)の周りに配置されてアンモニア流れ(180)を提供するための複数のアンモニア注入ランス(200)
を備え、
前記複数のアンモニア注入ランス(200)は、前記空気流れ(20)が前記複数のアンモニア注入ランス(200)を冷却するように、前記複数の空気注入ランス(160)の周りに配置される、
複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)。
[実施態様17]
前記複数の空気注入ランス(160)と連通している空気源(20)およびファン(150)をさらに備える、実施態様16記載の複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)。
[実施態様18]
前記複数のアンモニア注入ランス(200)と連通しているアンモニア源(190)をさらに備える、実施態様16または17記載の複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)。
[実施態様19]
空気導管(170)およびアンモニア導管(210)をさらに備える、実施態様16乃至18のいずれか1項記載の複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)。
[実施態様20]
前記空気導管(170)および前記アンモニア導管(210)が、合流した流れ導管(240)を構成する、実施態様19記載の複合型アンモニア調節空気注入グリッド(140)。
【符号の説明】
【0026】
10 ガスタービンエンジン
15 圧縮機
20 空気流れ、空気流、空気源
25 燃焼器
30 燃料流れ
35 燃焼ガス流れ、燃焼ガス流
40 タービン
45 選択的触媒還元システム
50 触媒
55 入り口
60 スタック
65 アンモニア注入グリッド
70 アンモニア源
75 調節用空気システム
80 調節用空気グリッド
85 調節用空気ファン
90 ガス混合器
95 選択的触媒還元システム
100 選択的触媒還元システム
110 入り口
120 スタック
130 触媒
140 複合型アンモニア調節空気注入グリッド
150 調節用空気ファン
160 空気注入ランス
170 調節用空気導管
180 アンモニア流れ
190 アンモニア源
200 アンモニア注入ランス
210 アンモニア導管
220 ガス混合器
230 複合型アンモニア調節空気注入グリッド
240 合流した流れ導管
250 合流した流れランス