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特許7091313車両シート内に配置された音響トランスデューサアセンブリ
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  • 特許-車両シート内に配置された音響トランスデューサアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】車両シート内に配置された音響トランスデューサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20220620BHJP
   B60N 2/879 20180101ALI20220620BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20220620BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20220620BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20220620BHJP
   H04R 3/12 20060101ALI20220620BHJP
   H04R 3/14 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
H04R3/04
B60N2/879
B60R11/02 S
H04R1/02 102B
H04R1/40 310
H04R3/12 Z
H04R3/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019510915
(86)(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2017048121
(87)【国際公開番号】W WO2018039295
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2019-03-06
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-04
(31)【優先権主張番号】15/245,919
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・オズワルド
(72)【発明者】
【氏名】トーブ・ゼット・バークスデイル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エス・ダブリン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・シー・シュトルジック
【合議体】
【審判長】清水 正一
【審判官】樫本 剛
【審判官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0081038(US,A1)
【文献】特開2009-17094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00 - 1/02
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1の周波数範囲内でオーディオ出力を生成する少なくとも1つの第1の音響トランスデューサを囲むシートヘッドレストと、
前記シートヘッドレストの前に配置された調節可能な左右一組のヘッドレストウィングであって、前記ヘッドレストウィングがそれぞれ、前記シートヘッドレストに枢動的に連結されており、かつ複数の位置のうちの1つに調節可能であり、前記ヘッドレストウィングが、前記第1の周波数範囲の上端よりも高い周波数を含む第2の周波数範囲内でオーディオ出力を生成する少なくとも1つの第2の音響トランスデューサを備える、ヘッドレストウィングと、
前記ヘッドレストウィングの各々の所与の位置について、様々な位置の組み合わせに対する同じ音の大きさのレベルを得るように、前記第2の音響トランスデューサに対する前記第1の音響トランスデューサの相対位置に固有の標的音響分布に従って、(i)前記第1の音響トランスデューサ、及び(ii)前記第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つの1つ以上のパラメータを調節するように構成されているコントローラと、を備える、システム。
【請求項2】
前記1つ以上のパラメータが、
ビーム形成プロセスに従って判定され、
利得及び位相のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパラメータが、等化パラメータを含み、
前記コントローラが、前記対応するトランスデューサのための標的スペクトル補正を達成するために、前記等化パラメータを判定するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
方法であって、
シートヘッドレストに枢動的に連結された調節可能な左右一組のヘッドレストウィングの特定の位置を示す情報を受信することと、
前記ヘッドレストウィングの各々の前記特定の位置について、コントローラによって、(i)前記シートヘッドレスト内に配置された第1の音響トランスデューサ及び(ii)前記調節可能なヘッドレストウィング内に配置された第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つの出力についての1つ以上のパラメータを判定することであって、前記1つ以上のパラメータが、前記第2の音響トランスデューサに対する前記第1の音響トランスデューサの相対位置に固有の標的音響分布に従って判定される、判定することと、
前記1つ以上のパラメータに従って、様々な位置の組み合わせに対する同じ音の大きさのレベルを得るように、前記第1及び第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つの出力を調節することと、を含む、方法。
【請求項5】
前記1つ以上のパラメータが、
ビーム形成プロセスに従って判定され、
利得及び位相のうちの少なくとも1つを含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパラメータが、等化パラメータを含み、
前記等化パラメータが、前記対応するトランスデューサのための標的スペクトル補正を達成するために判定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
システムであって、
シートヘッドレストと、
前記シートヘッドレストの前に配置された調節可能な左右一組のヘッドレストウィングであって、前記ヘッドレストウィングがそれぞれ、前記シートヘッドレストに枢動的に連結されており、かつ複数の位置のうちの1つに調節可能である、ヘッドレストウィングと、
前記シートヘッドレスト内に配置された少なくとも2つの音響トランスデューサであって、前記少なくとも2つの音響トランスデューサが、前記音響トランスデューサと前記シートヘッドレストの外面との間に配置された対応する音響チャネルを通して音響出力を放出するように構成されている、少なくとも2つの音響トランスデューサと、
前記ヘッドレストウィングの各々の所与の位置について、様々な位置の組み合わせに対する同じ音の大きさのレベルを得るように、標的音響分布に従って、前記少なくとも2つの音響トランスデューサの1つ以上のパラメータを調節するように構成されているコントローラと、を備える、システム。
【請求項8】
前記1つ以上のパラメータが、
ビーム形成プロセスに従って判定され、
利得及び位相のうちの少なくとも1つを含む、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのパラメータが、等化パラメータを含み、
前記コントローラが、前記対応するトランスデューサのための標的スペクトル補正を達成するために、前記等化パラメータを判定するように構成されている、
請求項7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、スピーカなどの音響出力デバイスを含むシートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両シート内で使用されるヘッドレストは、近方場音響経験を供給するためのスピーカを含み得る。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、本文書は、第1の周波数範囲内でオーディオ出力を生成する少なくとも1つの第1の音響トランスデューサを囲むシートヘッドレストを含むシステムを特徴とする。システムはまた、シートヘッドレストの前に配置された調節可能なヘッドレストウィングであって、ヘッドレストウィングが、シートヘッドレストに枢動的に連結されており、かつ複数の位置のうちの1つに調節可能である、ヘッドレストウィングを含む。ヘッドレストウィングは、第1の周波数範囲の上端よりも高い周波数を含む第2の周波数範囲内でオーディオ出力を生成する少なくとも1つの第2の音響トランスデューサを含む。システムは、ヘッドレストウィングの所与の位置について、標的音響分布に従って、(i)第1の音響トランスデューサ、及び(ii)第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つの1つ以上のパラメータを調節するように構成されているコントローラを更に含む。
【0004】
別の態様では、本文書は、方法であって、シートヘッドレストに枢動的に連結された調節可能なヘッドレストウィングの特定の位置を示す情報を受信することと、ヘッドレストウィングの特定の位置について、コントローラによって、(i)シートヘッドレスト内に配置された第1の音響トランスデューサ、及び(ii)調節可能なヘッドレストウィング内に配置された第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つの出力についての1つ以上のパラメータを判定することと、を含む、方法を特徴とする。1つ以上のパラメータは、標的音響分布に従って判定される。方法はまた、1つ以上のパラメータに従って、第1及び第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つの出力を調節することを含む。
【0005】
別の態様では、本文書は、1つ以上の機械可読記憶デバイスであって、1つ以上のプロセッサに、様々な動作を実施させるための、その上にコード化されたコンピュータ可読命令を有する、1つ以上の機械可読記憶デバイスを特徴とする。動作は、シートヘッドレストに枢動的に連結された調節可能なヘッドレストウィングの特定の位置を示す情報を受信することと、ヘッドレストウィングの特定の位置について、(i)シートヘッドレスト内に配置された第1の音響トランスデューサ、及び(ii)調節可能なヘッドレストウィング内に配置された第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つの出力についての1つ以上のパラメータを判定することと、を含む。1つ以上のパラメータは、標的音響分布に従って判定される。動作はまた、1つ以上のパラメータに従って、第1及び第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つの出力を調節することを含む。
【0006】
別の態様では、本文書は、シートヘッドレストと、シートヘッドレストの前に配置された調節可能なヘッドレストウィングと、を含む、システムを特徴とする。ヘッドレストウィングは、シートヘッドレストに枢動的に連結されており、かつ複数の位置のうちの1つに調節可能である。システムは、シートヘッドレスト内に配置された少なくとも1つの音響トランスデューサであって、少なくとも1つの音響トランスデューサが、音響トランスデューサとシートヘッドレストの外面との間に配置された対応する音響チャネルを通して音響出力を放出するように構成されている、少なくとも1つの音響トランスデューサを含む。システムはまた、ヘッドレストウィングの所与の位置について、標的音響分布に従って、少なくとも1つの音響トランスデューサの1つ以上のパラメータを調節するように構成されているコントローラを含む。
【0007】
上記の態様は、以下の特性のうちの1つ以上を含むことができる。
【0008】
第1の音響トランスデューサは、中間範囲ドライバであり得る。第2の音響トランスデューサは、ツイータであり得る。センサは、ヘッドレストウィングの所与の位置を検出するために使用され得る。1つ以上のパラメータは、利得及び位相のうちの少なくとも1つを含む。1つ以上のパラメータは、ビーム形成プロセスに従って判定され得る。少なくとも1つのパラメータは、等化パラメータを含み得る。コントローラは、対応するトランスデューサのための標的スペクトル補正を達成するために、等化パラメータを判定するように構成され得る。コントローラは、第1及び第2の周波数範囲に入力信号を分割するためのクロスオーバーフィルタを含み得る。
【0009】
上記の態様の実装は、以下の特性のうちの1つ以上を含むことができる。
【0010】
本明細書に記載される様々な実装は、以下の利点のうちの1つ以上を提供し得る。車両シートのヘッドレストウィング内に配置された高周波音響トランスデューサ(例えば、ツイータ)は、乗員の耳に短い音響的指向性経路を提供し得る。いくつかの場合では、ヘッドレスト内に配置された1つ以上の他の音響トランスデューサ(例えば、中間範囲ドライバ)とこれを組み合わせることは、車両オーディオシステムに関する近方場音響効果を改善し得る。中間範囲ドライバなどの他のトランスデューサと共にツイータをヘッドレスト内に置くことによって、ヘッドレストトランスデューサを通して供給され得る音響信号の帯域幅は、増加され得る。ヘッドレスト内に配置された音響トランスデューサと関連付けられた1つ以上の等化パラメータを制御することによって、音響出力の有意な程度の制御が達成され得、それは、次に、結果として改善された使用者経験をもたらし得る。例えば、ヘッドレストウィングの位置に基づいて、利得及び他の等化パラメータ(例えば、位相等化)を調節することは、ヘッドレストウィングの位置が変更されるとき、音響経験が乗員にとって実質的に不変のままであることを可能にし得る。いくつかの場合では、本明細書に記載される技法はまた、他のシートに関して遮音を改善して、それによって、1つのシートの乗員が、他のシートへの/からの有意な漏れを伴わずに、オーディオコンテンツを聴取することを可能にする。これはまた、次に、オーディオコンテンツの増加した個人化を可能にし、それによってシートの乗員にとっての聴取経験を更に改善し得る。
【0011】
本概要の項に記載される特性を含む、本開示に記載される特性の2つ以上は、特に本明細書に記載されない実装を形成するために組み合わされ得る。
【0012】
1つ以上の実装の詳細は、添付図面及び以下の説明において述べられる。他の特性、目的、及び利点は、明細書及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ウィングを有するヘッドレストの斜視図である。
図2A】各々、ヘッドレストハウジング内に、また、ヘッドレストの前に配置された調節可能なヘッドレストウィング内に配置された音響トランスデューサを含むヘッドレストの例の頂部断面図である。
図2B】各々、ヘッドレストハウジング内に、また、ヘッドレストの前に配置された調節可能なヘッドレストウィング内に配置された音響トランスデューサを含むヘッドレストの例の頂部断面図である。
図3A】シートヘッドレスト内に配置された複数の音響トランスデューサと関連付けられた例示の回路のブロック図であり、回路は、能動的クロスオーバーフィルタを含む。
図3B】シートヘッドレスト内に配置された複数の音響トランスデューサと関連付けられた例示の回路のブロック図であり、回路は、受動的クロスオーバーフィルタを含む。
図4】シートヘッドレスト内に配置された音響トランスデューサを制御するための例示のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
車両シート(例えば、車、トラック、バス、電車、航空機、ボート、又は他の車両で使用されるシート)は、近方場音響経験を供給するための音響トランスデューサ又はスピーカを付設し得る。いくつかの場合では、スピーカがシートの乗員の耳に近接して、没入型かつ潜在的に個人化された音響経験を提供するように、スピーカは、シート内に付設される。車両シートのヘッドレストは、多くの場合、一方又は両方の側に調節可能な、実質的に横方向の突起を含む。ウィングとも称されるこれらの突起は、例えば、快適な位置で乗員の頭部を支持するように、(例えば、手動で、又は電子制御信号を介して)異なる位置に調節され得る。本文書に記載される技法は、音響トランスデューサアセンブリの一部が、そのようなウィング内に配置されることを可能にする。例えば、中間範囲周波数帯域内でオーディオを出力する音響トランスデューサ(例えば、スピーカ又はドライバ)は、ヘッドレストの本体内に配置され得るが、比較的より高い周波数ドライバ(例えば、ツイータ)は、調節可能なウィング内に配置され得る。いくつかの場合では、近傍場長がより高い周波数に対してより短いので、調節可能なウィング内に高周波ドライバを配置することは、シートの乗員に、没入型かつ高品質音響経験を提供し得る。いくつかの実装では、音響トランスデューサのうちの1つ以上の音響出力は、例えば、ウィングの異なる位置のために実質的に均一な音響経験を乗員に提供するように、ウィングの立場に基づいて調節され得る。例えば、乗員が新しい位置にウィングを調節する場合、乗員の耳とヘッドレストの1つ以上の音響トランスデューサとの間の音響経路の伝達関数は変化され得る。したがって、対応する音響出力と関連付けられた1つ以上の信号処理パラメータ(例えば、利得)は、そのような伝達関数に対する変化を説明するように調節され得る。いくつかの実装では、これは、ヘッドレストウィングの異なる位置に関して乗員にとって実質的に均一な聴取経験を維持するために使用され得る。したがって、いくつかの場合では、本技法は、有意な程度の制御で生成及び供給され得る高品質オーディオを提供することによって車両の音響効果を改善し得る。本文書は、技法を例示するために、車両シートヘッドレストの例を主に使用する。しかしながら、本技法は、本明細書に記載される様式で取り付けられたスピーカを有し得る他の種類の音響的に使用可能なシート又は家具に適用可能であり得る。例えば、本技法は、スピーカを付設したマッサージ椅子、ソファー、リクライナ、テーブル、ゲーム椅子、劇場シート、又はベッドで使用され得る。
【0015】
図1は、音響トランスデューサ又はスピーカを組み込むヘッドレスト100の例を例示する。スピーカは、ヘッドレストのハウジング内に配置されて、スピーカが直接使用者の頭部の後にあるように位置決めされて、ヘッドレスト100の両側の拡散方向に外方に発散し得る。いくつかの場合では、スピーカからの音響出力は、ヘッドレスト(又はヘッドレストウィング)の外面に配置された開口102を有する音響チャネルを通してヘッドレスト100から放出され得る。
【0016】
支持ロッド104(バーとも称され得る)は、車両シートの背もたれ154上にヘッドレストを取り付けるために使用され得る。図1は2つの支持ロッド104を表すが、支持ロッドの数は他の実装では異なり得る。例えば、ヘッドレスト100は、単一の支持ロッド104を使用して、背もたれ154上に取り付けられ得る。別の例では、ヘッドレスト100は、3つ以上の支持ロッド104を使用して、背もたれ154上に取り付けられ得る。ヘッドレスト100は、ヘッドレストが調節可能範囲にわたる異なる位置に背もたれに関して移動可能であるように、背もたれ154上に取り付けられ得る。例えば、1つ以上の支持ロッド104の長さに応じて、ヘッドレスト100は、乗員の頭部を支持するために、異なる高さに上下に移動され得る。一旦乗員にとって好適な高さに調節されると、ヘッドレスト100は、例えば、その特定の高さで、ロック機構を使用して固定され得る。
【0017】
いくつかの実装では、ヘッドレストは、ヘッドレスト100の一方又は両方の側に、調節可能な突起又はウィング160を含み得る。調節可能なウィング160は、横方向移動に対して乗員の頭部を支持するように、ヘッドレスト100に関して調節され得る。例えば、ウィング160は、横方向移動に対して乗員の頭部を支持する位置に(例えば、対応する軸又はヒンジ165上で)ヘッドレスト100に関して角度をなして前に移動され得る。ウィングがヘッドレスト100の残部と実質的に同じ平面上にあるように、ウィングはまた、ヘッドレスト100に関して角度をなして後方に移動され得る。
【0018】
いくつかの実装では、ヘッドレストウィングは、シートヘッドレストの前でシートヘッドレストに枢動的に連結され得る。そのようなヘッドレスト200及び250の例は、それぞれ、図2A及び2Bに示される。具体的には、図2A及び2Bの各々は、ヘッドレストハウジング内に、また、ヘッドレストの前に配置された調節可能なヘッドレストウィング内に配置された音響トランスデューサを含むヘッドレストの例の頂部断面図を示す。図2Aの例では、ヘッドレスト200は、ヘッドレストハウジング210の前に配置された2つのウィング205を含む。ウィング205が角度範囲内の複数の位置のうちの1つに調節可能であるように、ウィング205の各々は、対応する枢軸207においてヘッドレストハウジング210に連結される。例えば、ウィング205の各々は、対応する軸又は枢軸207に関して角度範囲にわたって回転され得る。ウィング205が、ヘッドレストのハウジング210に関して様々な位置のうちの1つに移動され得るように、軸又は枢軸207は、ハウジング210に関して静止し得る。図2はウィング205の各々に対する専用の枢軸207を表すが、ヘッドレストハウジング210に関してウィングを移動させる他の機構(例えば、ウィング内のヒンジ、リビングヒンジ、又は軟質材料)はまた、使用され得る。いくつかの実装では、角度範囲は、約45°未満であり得る。例えば、いくつかのヘッドレスト200は、ウィング205が0°~30°の角度範囲の位置に回転され得るように設計され得る。ウィング205は、例えば、乗員の手によって手動で調節可能であるか、又は電子制御信号によって調節可能であり得る。
【0019】
いくつかの実装では、そのような枢動的に連結されたウィングの寸法は、中間範囲ドライバ又はスピーカ(例えば、100Hz~1kHzの周波数範囲で、オーディオ出力を生成するスピーカ)などの大きな音響トランスデューサを適合するのに十分でない場合がある。そのような場合、中間範囲ドライバ215は、ヘッドレストハウジング210内に配置されて、ヘッドレストハウジング210上に出口を有するそれぞれの音響チャネル220を通してそれらの音響出力を放出するように構成され得る。しかしながら、より小さい音響トランスデューサ(例えば、比較的より高い周波数で音響出力を生成するツイータ)は、ヘッドレストウィング内に配置され得る。図2の例は、各々のウィング205内に配置された高周波数ドライバ225を示す。高周波ドライバ225はまた、ツイータ又は三重スピーカと称され得、典型的には、2kHz~20kHzで、高いオーディオ周波数を発生するように構成され得る。いくつかの実装では、高周波数ドライバは、2kHz~20kHzの範囲外の周波数に対応するオーディオ出力を生成するように構成され得る。例えば、高周波数ドライバ225は、約800Hz以上の周波数に対応する音声出力を生成するように構成され得る。
【0020】
中間範囲ドライバ215は、様々な方法でヘッドレストハウジング210内に配置され得る。いくつかの実装では(例えば、図2Aに示されるように)、ドライバの中心軸が互いに約90°の角度を形成し、及び/又は、対応する音響チャネル220が、ヘッドレストハウジング210の側に出口を有するように、中間範囲ドライバ220は配置され得る。いくつかの実装では、中間範囲ドライバは、他の角度(例えば、図2Bに示されるように、互いに約70°)で配置され得、及び/又は、対応する音響チャネル220は、ヘッドレストハウジング210の前部に実質的に配置された出口を有し得る。音響チャネルの出口は、ヘッドレストウィング215に関して様々な角度及び/又は空間関係で配置され得る。例えば、音響チャネルの出口は、ヘッドレストウィング205の少なくとも一部の後に(例えば、図2Aに示されるように)、又はヘッドレストウィング205に隣接して(例えば、図2Bに示されるように)配置され得る。
【0021】
たとえ図2Aが各々のウィング205内で1つのみの高周波ドライバ225を示すとしても、追加の高周波ドライバは、ウィング205内に配置され得る。例えば、ウィング205は、ツイータのアレイなどの高周波ドライバのアレイを含み得る。いくつかの実装では、ウィングのうちの一方における1つ以上の高周波ドライバ225は、他方のウィングにおける1つ以上の高周波ドライバ225と異なり得る。いくつかの実装では、増幅器、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、センサなどのうちの1つ以上などの他の音響素子はまた、ウィング205又はハウジング210のうちの1つの中に配置され得る。
【0022】
いくつかの場合では、中間範囲ドライバ215及び高周波数ドライバ225の相対的位置決めは、結果として得られる音響分布に関して障害を生じ得る。例えば、ヘッドレストハウジング210に埋設された中間範囲ドライバ215の構成は、いくつかの場合では、結果として、それぞれ、中間範囲ドライバ215及び高周波数ドライバ225によって発生された音響エネルギーの不均衡な比率をもたらし得る。加えて、異なる位置にヘッドレストウィング205を調節することは、中間範囲及び高周波ドライバの相対的空間分布を変化させて、それによって、ドライバとシートの乗員との間の音響経路(及び結果的に関連付けられた伝達関数)を変化させ得る。
【0023】
いくつかの実装では、本明細書に記載される技法は、例えば、ウィングの位置を検出することに基づいて、様々な音響トランスデューサと関連付けられた1つ以上のパラメータを自動的に調節することを容易にする。そのような調節は、伝達関数に変化を説明し得、いくつかの場合では、結果として、中間範囲ドライバ215及び高周波ドライバ225の様々な相対位置にわたる乗員のためのより一貫した聴取経験をもたらし得る。
【0024】
図3Aは、シートヘッドレスト内に配置された複数の音響トランスデューサと関連付けられた例示の回路300のブロック図である。図3Aの例では、ソース305からの信号は、左信号及び右信号と称される2つの部品に分割される。いくつかの実装では、左信号及び右信号は、ステレオシステムの左チャネルオーディオ及び右チャネルオーディオに対応し得る。部品の各々は、次いで、対応する出力が、一組の中間範囲ドライバ215及び高周波数ドライバ225を通して生成されるように、回路の別個の分岐に提供される。回路300の2つの中間範囲ドライバ215は、例えば、図2の例に描写されるように、対応するオーディオ出力がヘッドレストの2つの側から放出されるように配置され得る。2つの高周波ドライバ225は、例えば、図2の例に描写されるように、ヘッドレストの2つの調節可能なウィング内に配置され得る。
【0025】
図3Aの例では、回路300は、左チャネルオーディオ及び右チャネルオーディオに対する分岐の各々において能動的クロスオーバーフィルタ310を含む。クロスオーバーフィルタ(オーディオクロスオーバーとしても知られる)は、それらの帯域に対するオーディオ出力を生成することができる対応する音響トランスデューサに別途経路決めされ得る2つ以上の周波数帯域に入力信号を分割するためにオーディオ用途において使用される電子フィルタ(アナログ又はデジタル)である。クロスオーバーフィルタは、能動型又は受動型であり得る。能動的クロスオーバーフィルタは、増幅の前に入力信号を分割して、追加の信号処理(例えば、振幅限度、遅延、及び等化パラメータを導入することを含む)を実施するように構成され得る。一方で、受動的クロスオーバーフィルタは、増幅の後、入力信号を分割するように構成されて、例えば、コンデンサ及び誘導器などの受動回路素子で実装され得る。左信号経路及び右信号経路のためのクロスオーバーフィルタ310は、互いに独立して構成され得る。例えば、左信号経路におけるクロスオーバーフィルタ310の係数は、右信号経路におけるクロスオーバーフィルタ310の係数の選択と独立して選択され得る。いくつかの実装では、異なる種類のクロスオーバーフィルタは、2つの経路のために選択され得る。例えば、一方の経路は、能動的クロスオーバーフィルタを有し得るが、他方の経路は、受動的クロスオーバーフィルタを有する。
【0026】
図3Aに示される例では、能動的クロスオーバーフィルタ310は、それぞれ、中間範囲ドライバ215及び高周波ドライバ225に対する第1の周波数範囲又は帯域及び第2の周波数範囲又は帯域に、入力信号を分割するように構成され得る。第1及び第2の周波数帯域との部分的重複がある場合もあれば、ない場合もある。いずれの場合も、第2の周波数帯域は、第1の周波数範囲の上端よりも高い、少なくともいくつかの周波数を含む。いくつかの実装では、能動的クロスオーバーフィルタ310は、低中間周波数範囲(例えば、対応するドライバ及びオーディオ信号が指向性になり始める閾値未満の周波数、例えば、800Hz)における信号成分を中間範囲ドライバ215に経路決めし、かつ中間高周波数範囲(例えば、800Hz~20kHz)における信号成分を高周波ドライバ225に経路決めするように構成され得る。いくつかの実装では、高周波駆動器225からのオーディオ出力は、実質的に指向性である。したがって、ヘッドレストウィング内にそのようなドライバを位置決めすることは、ビーム形成などの追加の処理を伴わずに、出力が、シートの乗員の耳に指向されることを可能にし得る。いくつかの実装では、オーディオ出力が異なるシートの乗員の音響経験を大幅に干渉しないように、そのような指向性オーディオ出力の利得は、制御され得る。
【0027】
いくつかの実装では、中間範囲ドライバ225及び/又は対応する高周波ドライバ225の1つ以上のパラメータ(例えば、利得、等化パラメータなど)は、ウィングの位置に基づいて動的に調節されて、ドライバの相対位置の結果として得られる変化に起因する変化(例えば、関連付けられた音響経路の伝達関数への変化として、例えば、明示されるスペクトル特性の変化)に適合する。いくつかの実装では、回路300は、オーディオチャネルの各々に対するイコライザー315を含み、イコライザー315は、信号がクロスオーバーフィルタ310によって処理される前に、信号の1つ以上のパラメータを調節するように構成されている。したがって、イコライザー315は、特定のオーディオチャネル経路の両方のドライバ215及び225に適用可能な調節を実装するために使用され得る。いくつかの実装では、調節は、例えば、ウィング位置に関係なく一貫した聴取経験を確実にすることを補助するために、対応するヘッドレストウィングの位置に基づいて行われ得る。
【0028】
いくつかの実装では、回路300はまた、個々のドライバに信号を調節するための1つ以上の追加のイコライザーを含み得る。例えば、高周波数ドライバ225への信号は、イコライザー320によって処理され得、及び/又は、中間範囲ドライバ215への信号は、イコライザー325によって処理され得る。例えば、イコライザー325は、(例えば、ヘッドレストの他の中間範囲ドライバ215に連動して)所望のビーム形成パターンを得て、調節可能なウィングの各々の位置の両耳間レベル差を維持するために、ウィング位置に基づいて対応する中間範囲スピーカの出力を調節するために使用され得る。いくつかの場合では、高周波数ドライバ225の出力が既に十分に指向性であり得るので、対応するイコライザー320は、対応するヘッドレストウィングの位置に基づいて、(例えば、ビーム形成プロセスを使用することなく)利得を調節するために使用され得る。いくつかの実装では、イコライザー320及び/又は325は、対応する周波数帯域内でスペクトル補正を実施するために使用され得る。いくつかの実装では、イコライザー315を使用して実施される調節の少なくとも一部は、いくつかの場合では、イコライザー315の必要性を除去し得るイコライザー320及び325を使用して行われ得る。いくつかの実装では、中間範囲及び高周波ドライバとの帯域幅重複がある場合、イコライザー320及び325は、標的ビームパターンを達成するために組み合わせて使用され得る。そのような場合、イコライザー320及び325は、例えば、ウィングの位置に基づいて、動的に調節されて、対応する標的ビームパターンを達成し得る。いくつかの実装では、ウィングのための所与の組の位置の標的ビームパターンは、例えば、標的シート内経験、他の乗員へのエネルギー漏れの閾値レベル、又はそれらの両方の組み合わせを含む1つ以上の設計パラメータに従って設定され得る。
【0029】
いくつかの実装では、回路300は、音響トランスデューサに接続された出力経路上で信号を増幅するための増幅器330を含む。図3Aの例では、回路は、中間範囲及び高周波音響トランスデューサ(215、225)の各々の組に対する能動的クロスオーバーフィルタ310を含み、クロスオーバーフィルタ310から出る各々の出力経路は、対応する音響トランスデューサと関連付けられた増幅器330を含む。
【0030】
いくつかの実装では、単一増幅器は、中間範囲及び高周波音響トランスデューサの各々の組に対する信号を増幅するために使用され得る。これは、受動的クロスオーバーフィルタ355を含むようにシートヘッドレスト内に配置された複数の音響トランスデューサと関連付けられた回路350を示す図3Bの例に例示される。能動的クロスオーバーフィルタ310と対照的に、受動的クロスオーバーフィルタは、増幅器330と対応する音響トランスデューサとの間など、対応する増幅器330の下流の信号経路内に配置される。図3Bに示される例では、クロスオーバーフィルタ355の各々は、増幅器330と対応する高周波ドライバ225との間のコンデンサ360、増幅器と対応する中間範囲ドライバ230との間の誘導器365などの受動素子を含む。図3Bに示される特定の受動的クロスオーバーフィルタ355は、図示の目的のために示され、受動的クロスオーバーフィルタの他の構成も可能である。例えば、抵抗器及び/又は他のコンデンサ若しくは誘導器などの1つ以上の追加の受動部品は、受動的クロスオーバーフィルタを実装する際に使用され得る。
【0031】
図4は、シートヘッドレスト内に配置された音響トランスデューサを制御するための例示のプロセス400のフローチャートである。プロセス400の動作の少なくとも一部は、車両シートの音響システムと連通して配置された1つ以上の処理デバイス(例えば、コントローラ、マイクロプロセッサ、又はデジタル信号プロセッサ(DSP))によって実施され得る。プロセス400の動作は、シートヘッドレストに枢動的に連結された調節可能なヘッドレストウィングの特定の位置を示す情報を受信することを含む(410)。1つ以上の座標系、基準点などは、ウィングの位置を表すために使用され得る。調節可能なウィングは、上述のヘッドレストウィング205と実質的に類似し得る。いくつかの実装では、入力信号は、シートヘッドレスト(例えば、ヘッドレスト200)内に配置されたセンサから受信され得る。そのようなセンサは、例えば、ヘッドレストウィングの現在の構成と関連付けられた角度範囲内の複数の位置のうちの1つを検出して、特定の位置を示す情報を含む信号を生成するように構成され得る。電子的に/モータ制御されたウィングの場合、ウィング位置(複数可)を示す情報は、(例えば、データバスを通して)制御している回路に伝送され得る。
【0032】
プロセス400の動作はまた、ヘッドレストウィングの特定の位置について、(i)シートヘッドレスト内に配置された第1の音響トランスデューサ及び(ii)調節可能なヘッドレストウィング(420)内に配置された第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つの出力の1つ以上のパラメータを判定することを含む。1つ以上のパラメータは、標的音響分布に従って判定され得る。いくつかの実装では、第1の音響トランスデューサは、上述のドライバ215などの中間範囲ドライバであり得、第2の音響トランスデューサは、上述のドライバ225などの高周波ドライバ(例えば、ツイータ)であり得る。
【0033】
いくつかの実装では、1つ以上のパラメータは、対応する音響トランスデューサと関連付けられた利得を含む。例えば、ヘッドレストウィングが、乗員の耳のより近くに移動されるにつれて、高周波ドライバ225の利得は、低減され得る。利得は、例えば、ヘッドレストウィングの可動域にわたって均一な音響経験を供給することに関する事前コンパイルされた情報に基づいて判定され得るヘッドレストウィングの角度の関数(例えば、一次、二次、又は高次関数)として制御され得る。いくつかの実装では、利得は、ビーム形成プロセスに基づいて判定され得る。例えば、ヘッドレストの2つの中間範囲ドライバは、配列され得、標的音響分布がウィングの様々な位置のために達成されるように、ドライバの出力は、ビーム形成プロセスを介して操舵され得る。高周波ドライバ及び対応する音響出力が、典型的には、それらの上限周波数範囲で本質的に指向性であるので、ビーム形成は、通常、そのようなドライバに必要とされない。しかしながら、比較的低い周波数を支持するいくつかの高周波ドライバ(例えば、約800Hzの低さの周波数を支持するツイータ)について、出力は、ビーム形成プロセスを使用して操舵され得る。例えば、出力信号の波長が円錐直径と比較して小さい状況では、高周波ドライバの指向性は、より小さくてもよく、また、ビーム形成プロセスを介して改善され得る。
【0034】
いくつかの実装では、1つ以上のパラメータは、ヘッドレストウィングの特定の位置に関する1つ以上の音響トランスデューサと関連付けられた等化パラメータを含み得る。そのような等化パラメータは、例えば、調節可能なウィングの特定の位置に関して、対応する音響トランスデューサと乗員の耳との間に形成された音響チャネルのスペクトル応答に依存し得る。いくつかの実装では、等化パラメータは、対応するトランスデューサのための標的スペクトル補正を達成するために判定され得る。
【0035】
1つ以上のパラメータは、特定のシート又は乗員に対応する標的音響分布(例えば、ボリュームゾーン、特定の音プロファイルなど)に従って判定され得る。制御パラメータは、例えば、様々なウィング位置について経験的又は実験的に判定され得る。例えば、ヘッドレストウィングの様々な位置に対する乗員の耳の1つ以上での音響パラメータ(例えば、音の大きさのレベル)における変化は、実験的な設定において(定性的に又は定量的に)測定され得、対応する音響トランスデューサの1つ以上のパラメータは、様々なウィング位置に対する同じ音の大きさのレベルを得るように調節され得る。そのような実験的に判定されたパラメータ値は、記憶デバイス上に(例えば、ルックアップテーブルとして)電子的に記憶され得る。いくつかの実装では、ルックアップテーブルは、2つのウィング(同じ角度である場合もあれば、同じ角度ではない場合もある)の様々な組の位置に対応するパラメータ値を記憶し得る。いくつかの実装では、標的音響分布は、例えば、高周波ドライバ225を通して放出する音響出力のエネルギーと対応する中間範囲ドライバ215から放出する音響出力のエネルギーとの比率として、表され得る。
【0036】
プロセスの動作は、1つ以上のパラメータに従って、第1及び第2の音響トランスデューサのうちの少なくとも1つを調節することを更に含む(430)。関連付けられた制御信号は、1つ以上のプロセッサによって生成されて、音響トランスデューサ(複数可)に送信され得る。いくつかの実装では、これは、シートの乗員がヘッドレストウィングを調節するとき、結果として、リアルタイムで又はほぼリアルタイムで、自動的に調節されている音響トランスデューサの出力をもたらす。そのような自動調節は、ヘッドレストウィングの変化した位置により、任意の手動調節の必要性を除去するか、又は少なくとも低減させ得る。
【0037】
本明細書に記載される機能性又はその部分、及びその様々な修正(以下「機能」)は、少なくとも部分的にコンピュータプログラム製品(例えば、1つ以上のデータ処理装置(例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/又はプログラム可能論理構成要素など)の動作による実行のための、又はその動作を制御するための、1つ以上の非一時的機械可読媒体などの情報担体において有形に具現化されたコンピュータプログラム)を介して実装され得る。
【0038】
コンピュータプログラムは、コンパイル又は解釈された言語を含む任意の形態のプログラム言語で書き込まれ得、それは、スタンドアローンプログラムとして、又はコンピューティング環境の使用に好適なモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくは他の単位として含む任意の形態で配備され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトにおける複数のコンピュータ上で実行されるように配備されるか、又は複数のサイトにわたって配信されて、ネットワークによって相互接続され得る。
【0039】
機能の全部又は一部を実装することと関連した動作は、較正プロセスの機能を実施するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実施され得る。機能の全部又は一部は、特殊目的論理回路(例えば、FPGA及び/又はASIC(特定用途向け集積回路))として実装され得る。
【0040】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしてはまた、例として、一般的及び特殊目的マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はそれらの両方から命令及びデータを受信することになる。コンピュータの構成要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスを含む。
【0041】
具体的に本明細書に記載されていない他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲内にある。
【0042】
例えば、いくつかの実装は、中間範囲ドライバを維持しつつ、高周波数ドライバを省略し得る。そのような場合、上述のプロセスは、枢動可能なウィングの位置における変化に起因する、中間範囲ドライバと聴取者の耳との間の伝達関数における変化を説明するように中間範囲ドライバの出力を調節して、それによって、実質的に一定又は均一な聴取経験を維持するために利用され得る。つまり、ヘッドレストの2つの中間範囲ドライバは、アレイとして使用され得、ドライバの出力は、ビーム形成プロセスを介して操舵され得、これによって、標的音響分布がウィングの様々な位置に対して達成される。いくつかの実装では、中間範囲ドライバは、車両シートの異なる部分に(例えば、背もたれ154に)配置され得る。
【0043】
本明細書に記載される異なる実装の要素は、特に上に記載されない他の実施形態を形成するために組み合わされ得る。要素は、それらの動作に悪影響を及ぼすことなく、本明細書に記載される構造から除かれ得る。更にまた、様々な別個の要素は、本明細書に記載される機能を実施するために、1つ以上の個々の要素と組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0044】
100 ヘッドレスト
102 開口
104 支持ロッド
154 背もたれ
160 ウィング
200 ヘッドレスト
205 ヘッドレストウィング
207 枢軸
210 ハウジング
215 中間範囲ドライバ
220 音響チャネル
225 ドライバ
230 ドライバ
300 回路
305 ソース
310 クロスオーバーフィルタ
315 イコライザー
320 イコライザー
325 イコライザー
330 増幅器
355 クロスオーバーフィルタ
360 コンデンサ
365 誘導器
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4