(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】覚醒無線のための複数帯域スケジューリング
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20220620BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20220620BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20220620BHJP
H04W 4/70 20180101ALI20220620BHJP
【FI】
H04L27/26 113
H04W52/02 111
H04W72/04 132
H04W4/70
(21)【出願番号】P 2019524970
(86)(22)【出願日】2018-04-17
(86)【国際出願番号】 CN2018083337
(87)【国際公開番号】W WO2018192480
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2019-05-13
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】スー,ジュン フン
(72)【発明者】
【氏名】アブル‐マジド,オサマ
(72)【発明者】
【氏名】オウ,クォック サム
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-063405(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0337973(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374020(US,A1)
【文献】国際公開第2011/121690(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/092852(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/137201(WO,A1)
【文献】Jianhan Liu (Mediatek Inc.),On Waking-up of Multiple WUR Stations, IEEE 802.11-17/0028r0,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-0028-00-00ba-on-waking-up-of-multiple-wur-stations.pptx>,2017年01月15日,Slide 1-6
【文献】Kaiying Lv (ZTE Corp.),WUR packet design, IEEE 802.11-17/0066r0,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-0066-00-00ba-wur-packet-design.pptx>,2017年01月18日,Slide 1-9
【文献】JUNG HOON SUH (Huawei Tech),Waveform Generation for Waveform Coding, IEEE 802.11-17/0376r0,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/17/11-17-0376-00-00ba-waveform-generation-for-waveform-coding.pptx>,2017年03月16日
【文献】Eunsung Park (LG Electronics),Further Investigation on WUR Performance[Online],IEEE 802.11-16/1144r0,IEEE, インターネット<https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/16/11-16-1144-00-0wur-further-investigation-on-wur-performance.ppt>,2016年09月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04W 52/02
H04W 72/04
H04W 4/70
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
IEEE 802.11
15
16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある通信チャネルにおいて複数の受信局のために覚醒信号を提供する方法であって:
波形符号化されたシンボルの複数の系列を生成する段階であって、
前記複数の系列は、第一のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第一の覚醒無線(WUR)フレームに組み込まれる第一の系列、第二のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第二のWURフレームに組み込まれる第二の系列、および第三のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第三のWURフレームに組み込まれる第三の系列を含み、前記第一、第二および第三のWURフレームのそれぞれは、それぞれの受信局のために意図されて
いる、段階と;
前記第一、第二および第三のWURフレームのそれぞれを生成するのに使われたのと同じサンプリング・レートを使って、同期されたサンプルごとの仕方で、前記第一、第二および第三のWURフレームを
複数帯域WURデータ単位に組み合わせる段階であって、前記複数帯域WURデータ単位は、それらのWURフレームの前記あらかじめ定義された帯域幅の和よりも大きな帯域幅をもつ
、段階と;
前記複数帯域WURデータ単位を含む覚醒信号を前記通信チャネルにおいて送信する段階とを含
み、
前記第一の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第一のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第一の直交周波数分割多重(OFDM)波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;
前記第二の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第二のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第二のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;
前記第三の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第三のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第三のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成される、
方法。
【請求項2】
前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅は20MHzであり、各WURフレームは5MHz以下の帯域幅をもち、隣り合うWURフレームの間には周波数保護帯域が含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
当該方法は、前記複数帯域WURデータ単位をアップコンバートして前記覚醒信号を提供することを
さらに含む、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第一、第二および第三のOFDM波形はみな64点IFFTから生成され、312.5kHzのサブキャリア間隔をもち、
前記第一のOFDM波形は前記第一のあらかじめ定義された帯域幅の中に14個のサブキャリアを含み、そのうち一つのサブキャリアは0に設定され、13個のサブキャリアが0でない値をもち;
前記第二のOFDM波形は前記第二のあらかじめ定義された帯域幅の中に14個のサブキャリアを含み、そのうち一つのサブキャリアは0に設定され、13個のサブキャリアが0でない値をもち;
前記第三のOFDM波形は前記第三のあらかじめ定義された帯域幅の中に14個のサブキャリアを含み、そのうち一つのサブキャリアは0に設定され、13個のサブキャリアが0でない値をもつ、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第一、第二および第三のOFDM波形の各OFDM波形の前記13個の0でないサブキャリアのうち、8個のサブキャリアは正の1に設定され、5個のサブキャリアは負の1に設定される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第一のOFDM波形の前記第一のあらかじめ定義された帯域幅は前記14個のサブキャリアS
14ないしS
27を含み、そのうちサブキャリアS
21が0に設定され、サブキャリアS
15、S
16、S
19、S
22、S
24、S
25、S
26、S
27はプラス1(+1)に設定され、サブキャリアS
14、S
17、S
18、S
20、S
23はそれぞれマイナス1(-1)に設定され;
前記第二のOFDM波形の前記第二のあらかじめ定義された帯域幅は前記14個のサブキャリアS
-7ないしS
6を含み、そのうちサブキャリアS
0が0に設定され、サブキャリアS
-6、S
-4、S
-3、S
-2、S
-1、S
1、S
4、S
5はプラス1(+1)に設定され、サブキャリアS
-7、S
-5、S
2、S
3、S
6はそれぞれマイナス1(-1)に設定され;
前記第三のOFDM波形の前記第三のあらかじめ定義された帯域幅は前記14個のサブキャリアS
-28ないしS
-15を含み、そのうちサブキャリアS
-21が0に設定され、サブキャリアS
-28、S
-26、S
-25、S
-22、S
-20、S
-18、S
-16、S
-15はプラス1(+1)に設定され、サブキャリアS
-27、S
-24、S
-23、S
-19、S
-17はそれぞれマイナス1(-1)に設定される、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第一のあらかじめ定義された帯域幅、第二のあらかじめ定義された帯域幅および第三のあらかじめ定義された帯域幅はそれぞれ4.1MHzより小さく、前記第一のWURフレームと前記第二のWURフレームの間に2.5MHzの保護帯域が含まれ、前記第二のWURフレームと前記第三のWURフレームの間に2.5MHzの保護帯域が含まれる、請求項3ないし6のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記波形符号化されたシンボルのそれぞれは、それぞれのデータ・ビットを表わし、保護区間と、それに続く等しい継続時間の第一および第二のサブシンボルとを含み、対応するデータ・ビットは、前記第一と第二のサブシンボルの間の異なる相対的なエネルギー分布によって表わされる、請求項1ないし7のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記データ・ビットは、データ「1」およびデータ「0」のビットを表わすためにオン‐オフ・キーイングを使って符号化され、データ「1」のビットは、前記第一のサブシンボルが前記第二のサブシンボルよりも高いエネルギーをもつ波形符号化されたシンボルによって表現され、データ「0」のビットは、前記第一のサブシンボルが前記第二のサブシンボルよりも低いエネルギーをもつ波形符号化されたシンボルによって表現される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記データ・ビットは、データ「1」およびデータ「0」のビットを表わすためにオン‐オフ・キーイングを使って符号化され、データ「0」のビットは、前記第一のサブシンボルが前記第二のサブシンボルよりも高いエネルギーをもつ波形符号化されたシンボルによって表現され、データ「1」のビットは、前記第一のサブシンボルが前記第二のサブシンボルよりも低いエネルギーをもつ波形符号化されたシンボルによって表現される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
各波形符号化されたシンボルの保護区間は実質的に0のエネルギーをもつ、請求項8ないし10のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
各波形符号化されたシンボルは4μsの継続時間をもち、各保護区間は0.8μsの継続時間をもち、各サブシンボルは1.6μsの継続時間をもつ、請求項8ないし11のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記複数帯域WURデータ単位はレガシー・プリアンブル・シンボルにアペンドされる、請求項1ないし12のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記受信局のそれぞれに対して、その受信局のために意図されるWURフレームの前記あらかじめ定義された帯域幅を示す通知を送信することを含む、請求項1ないし13のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
通信チャネルにおいて覚醒信号を送信するための送信器であって:
複数のWURフレームを含む複数帯域覚醒無線(WUR)データ単位を生成するよう構成された波形符号化モジュールであって、各WURフレームはそれぞれの受信局のために意図された波形符号化されたシンボルの系列を組み込み、
前記複数のWURフレームは、波形符号化されたシンボルの第一の系列を組み込み、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅内の第一のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第一のWURフレーム、波形符号化されたシンボルの第二の系列を組み込み、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅内の第二のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第二のWURフレーム、および波形符号化されたシンボルの第三の系列を組み込み、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅内の第三のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第三のWURフレームを含み、前記複数帯域WURデータ単位は、前記第一、第二および第三のWURフレームのそれぞれを生成するのに使われたのと同じサンプリング・レートを使って、同期されたサンプルごとの仕方で生成され、前記WURデータ単位の帯域幅は、それらのWURフレームの前記あらかじめ定義された帯域幅の和よりも大きい、波形符号化モジュールと;
前記複数帯域WURデータ単位をキャリア周波数にアップコンバートし、前記複数帯域WURデータ単位を含む覚醒信号を前記通信チャネルにおいて送信するための変調器とを有
しており、
前記第一の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第一のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第一の直交周波数分割多重(OFDM)波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;
前記第二の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第二のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第二のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;
前記第三の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第三のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第三のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成される、
送信器。
【請求項16】
前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅は20MHzであり、各WURフレームの前記あらかじめ定義された帯域幅は5MHz以下であり、前記波形符号化モジュールは、隣り合うWURフレームの間には周波数保護帯域を含め、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅の端の周波数ではエッジ帯域を含めるよう構成される、請求項15記載の送信器。
【請求項17】
前記OFDMサブキャリアは312.5kHzのサブキャリア間隔をもち、前記第一、第二および第三のあらかじめ定義された帯域幅のそれぞれの中のOFDMサブキャリアは14個のサブキャリアを含み、そのうち一つのサブキャリアは0に設定され、13個のサブキャリアが0でない値をもつ、請求項16記載の送信器。
【請求項18】
前記第一、第二および第三のOFDM波形の各OFDM波形の前記13個の0でないサブキャリアのうち、8個のサブキャリアは正の1に設定され、5個のサブキャリアは負の1に設定される、請求項
17記載の送信器。
【請求項19】
覚醒信号を受信する方法であって
、当該方法は:
受信された覚醒信号をダウンコンバートおよびフィルタリングして、
第一、第二、および第三のあらかじめ定義され
た帯域幅のうちの一つを選択
する段階であって、前記受信される覚醒信号は、それぞれの受信局のためにそれぞれ意図されている複数のWURフレームを有する複数帯域覚醒無線(WUR)データ単位を含み、前記複数のWURフレームは、波形符号化されたシンボルの第一の系列を組み込み、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅内の第一のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第一のWURフレーム、波形符号化されたシンボルの第二の系列を組み込み、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅内の第二のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第二のWURフレーム、および波形符号化されたシンボルの第三の系列を組み込み、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅内の第三のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第三のWURフレームを含み、前記複数帯域WURデータ単位は、前記第一、第二および第三のWURフレームのそれぞれを生成するのに使われたのと同じサンプリング・レートを使って、同期されたサンプルごとの仕方で生成されており、
前記第一の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第一のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第一の直交周波数分割多重(OFDM)波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;
前記第二の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第二のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第二のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;
前記第三の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第三のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第三のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成されている、段階と;
前記選択されたあらかじめ定義されたWURフレーム帯域幅を占める、前記WURフレーム内に組み込まれている波形符号化されたシンボルを復号する
段階とを含む、
方法。
【請求項20】
波形符号化されたシンボルを復号することが、各波形符号化されたシンボルについてのビット値を、その波形符号化されたシンボルのサブシンボルの間の相対的なエネルギー分布に基づいて決定することを含む、請求項
19記載の方法。
【請求項21】
前記フィルタリングは、少なくとも4でありかつ8以下のフィルタリング係数をもつフィルタにおいて実行される、請求項
19または
20記載の方法。
【請求項22】
覚醒無線受信器回路であって:
受信された覚醒信号を、複数のWURフレームをもつ複数帯域覚醒無線(WUR)データ単位を含むベースバンド信号にダウンコンバートするよう構成された変調器であって、各WURフレームはそれぞれの受信局のために意図され
ており、前記複数のWURフレームは、波形符号化されたシンボルの第一の系列を組み込み、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅内の第一のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第一のWURフレーム、波形符号化されたシンボルの第二の系列を組み込み、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅内の第二のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第二のWURフレーム、および波形符号化されたシンボルの第三の系列を組み込み、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅内の第三のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第三のWURフレームを含み、前記複数帯域WURデータ単位は、前記第一、第二および第三のWURフレームのそれぞれを生成するのに使われたのと同じサンプリング・レートを使って、同期されたサンプルごとの仕方で生成されており、
前記第一の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第一のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第一の直交周波数分割多重(OFDM)波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;
前記第二の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第二のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第二のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;
前記第三の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第三のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第三のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成されている、変調器と;
前記ベースバンド信号をフィルタリングして、前記あらかじめ定義されたWURフレーム帯域幅のうちの一つを選択するよう構成されたフィルタと;
前記選択されたあらかじめ定義されたWURフレーム帯域幅を占める前記WURフレーム内に組み込まれている前記波形符号化されたシンボルについてのビット値を、各波形符号化されたシンボルのサブシンボルの間の相対的なエネルギー分布に基づいて決定するよう構成されたエネルギー検出および判定動作とを有する、
覚醒無線受信器回路。
【請求項23】
前記フィルタは、少なくとも4でありかつ8以下のフィルタリング係数をもつ、請求項
22記載の覚醒無線受信器回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2017年4月18日に出願された「覚醒無線のための複数帯域スケジューリング」と題する米国特許出願第62/486,607号および2018年3月22日に出願された「覚醒無線のための複数帯域スケジューリング」と題する米国特許出願第15/928,953号の利益および優先権を主張するものである。これらすべての内容はここに参照によって組み込まれる。
【0002】
技術分野
本願は、複数の覚醒無線装置と通信するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信において、利用可能な電力の効率的な使用はシステム設計の主要な目標の一つである。しばしば、モノのインターネット(IoT)アプリケーションのような無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)装置は、(たとえば再充電可能なまたは再充電可能でない電池によって供給される)限られた電力供給に頼る。そのような装置の例は、リモート・フィールドに位置され、何らかの物理現象、たとえば水レベルまたは温度または位置を測定するセンサー装置;および何らかの身体機能、たとえば脈拍数を測定するウェアラブル装置を含みうる。
【0004】
そのような装置は、低いデューティーサイクルで動作する(たとえば一日に一度だけアクセスポイント(AP)と通信する)よう設計されることがあり、よってそのWLAN受信器回路が常時オンであることは適切ではないことがある。WLAN受信器回路についての適切なスリープ・モードおよび適切な覚醒機構を設けられなければ、前記装置の限られた電力供給(たとえばバッテリー)はすぐに使い尽くされることがありうる。覚醒機構はAPと装置との間での覚醒信号の通信を必要とすることがある。いくつかのアプリケーションでは、APがスペクトル効率のよい仕方で同時に複数の装置と覚醒信号を通信できるようにすることが望ましいことがある。
【発明の概要】
【0005】
第一の側面によれば、ある通信チャネルにおいて複数の受信局のために覚醒信号を提供する方法がある。本方法は、波形符号化されたシンボルの複数の系列を生成することを含み、各系列は、それぞれの受信局のために意図されており、それぞれのあらかじめ定義された帯域幅をもつ、それぞれの覚醒無線(WUR: wake-up-radio)フレームに組み込まれる。それぞれのWURフレームはその後、それらのWURフレームの前記あらかじめ定義された帯域幅の和よりも大きな帯域幅をもつ複数帯域WURデータ単位に組み合わされる。前記複数帯域WURデータ単位を含む覚醒信号が前記通信チャネルにおいて伝送される。
【0006】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅は20MHzであり、各WURフレームは5MHz以下の帯域幅をもち、隣り合うWURフレームの間には周波数保護帯域が含まれる。
【0007】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、波形符号化されたシンボルの前記複数の系列は、第一のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第一のWURフレームに組み込まれた第一の系列と、第二のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第二のWURフレームに組み込まれた第二の系列と、第三のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第三のWURフレームに組み込まれた第三の系列とを含む。前記第一の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第一のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第一のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;前記第二の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第二のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第二のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成され;前記第三の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第三のあらかじめ定義された帯域幅の外側のすべてのサブキャリアが0に設定された第三のOFDM波形に時間領域において波形符号化を適用することから生成される。いくつかの例では、それぞれのWURフレームを複数帯域WURデータ単位に組み合わせることは、前記第一、第二および第三のWURフレームを加えることを含む。本方法は、前記複数帯域WURデータ単位をアップコンバートして前記覚醒信号を提供することを含む。
【0008】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記第一、第二および第三のOFDM波形はみな64点IFFTから生成され、312.5kHzのサブキャリア間隔(subcarrier spacing)をもつ;前記第一のOFDM波形は前記第一のあらかじめ定義された帯域幅の中に14個のサブキャリアを含み、そのうち一つのサブキャリアは0に設定され、13個のサブキャリアが0でない値をもつ;前記第二のOFDM波形は前記第二のあらかじめ定義された帯域幅の中に14個のサブキャリアを含み、そのうち一つのサブキャリアは0に設定され、13個のサブキャリアが0でない値をもつ;前記第三のOFDM波形は前記第三のあらかじめ定義された帯域幅の中に14個のサブキャリアを含み、そのうち一つのサブキャリアは0に設定され、13個のサブキャリアが0でない値をもつ。
【0009】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記第一、第二および第三のOFDM波形の各OFDM波形の前記13個の0でないサブキャリアのうち、8個のサブキャリアは正の1に設定され、5個のサブキャリアは負の1に設定される。
【0010】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記第一のOFDM波形の前記第一のあらかじめ定義された帯域幅は前記14個のサブキャリアS14ないしS27を含み、そのうち中央のサブキャリアS21が0に設定され、サブキャリアS15、S16、S19、S22、S24、S25、S26、S27はプラス1(+1)に設定され、サブキャリアS14、S17、S18、S20、S22はそれぞれマイナス1(-1)に設定される;前記第二のOFDM波形の前記第二のあらかじめ定義された帯域幅は前記14個のサブキャリアS-7ないしS6を含み、そのうち中央のサブキャリアS0が0に設定され、サブキャリアS-6、S-4、S-3、S-2、S-1、S1、S4、S5はプラス1(+1)に設定され、サブキャリアS-7、S-5、S2、S3、S6はそれぞれマイナス1(-1)に設定される;前記第三のOFDM波形の前記第三のあらかじめ定義された帯域幅は前記14個のサブキャリアS-28ないしS-15を含み、そのうち中央のサブキャリアS-21が0に設定され、サブキャリアS-28、S-26、S-25、S-22、S-20、S-18、S-16、S-15はプラス1(+1)に設定され、サブキャリアS-27、S-24、S-23、S-19、S-17はそれぞれマイナス1(-1)に設定される。
【0011】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記第一のあらかじめ定義された帯域幅、第二のあらかじめ定義された帯域幅および第三のあらかじめ定義された帯域幅はそれぞれ4.1MHzより小さく、前記第一のWURフレームと前記第二のWURフレームの間に2.5MHzの保護帯域が含まれ、前記第二のWURフレームと前記第三のWURフレームの間に2.5MHzの保護帯域が含まれる。
【0012】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記波形符号化されたシンボルのそれぞれは、それぞれのデータ・ビットを表わし、保護区間と、それに続く等しい継続時間の第一および第二のサブシンボルとを含み、対応するデータ・ビットは、第一と第二のサブシンボルの間の異なる相対的なエネルギー分布によって表わされる。
【0013】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、データ・ビットは、データ「1」およびデータ「0」を表わすためにオン‐オフ・キーイング(on-off keying)を使って符号化されてもよい。データ「1」のビットは、第一のサブシンボルが第二のサブシンボルよりも高いエネルギーをもつ波形符号化されたシンボルによって表現され、データ「0」のビットは、第一のサブシンボルが第二のサブシンボルよりも低いエネルギーをもつ波形符号化されたシンボルによって表現される。
【0014】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、データ・ビットは、データ「1」およびデータ「0」を表わすためにオン‐オフ・キーイング(on-off keying)を使って符号化される。データ「0」のビットは、第一のサブシンボルが第二のサブシンボルよりも高いエネルギーをもつ波形符号化されたシンボルによって表現され、データ「1」のビットは、第一のサブシンボルが第二のサブシンボルよりも低いエネルギーをもつ波形符号化されたシンボルによって表現される。
【0015】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、各波形符号化されたシンボルの保護区間は実質的に0のエネルギーをもつ。
【0016】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、各波形符号化されたシンボルは4μsの継続時間をもち、各保護区間は0.8μsの継続時間をもち、各サブシンボルは1.6μsの継続時間をもつ。
【0017】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記複数帯域WURデータ単位はレガシー・プリアンブル・シンボルにアペンドされる。
【0018】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、本方法は、前記受信局のそれぞれに対して、その受信局のために意図されるWURフレームのあらかじめ定義された帯域幅を示す通知を送信することを含む。
【0019】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、本方法は、前記受信局のうちの一つにおいて前記覚醒信号を受信することを含み、その受信局は前記覚醒信号をフィルタリングして、その受信局のために意図されているWURフレームのあらかじめ定義された帯域幅を選択的に受信する。
【0020】
第二の側面によれば、通信チャネルにおいて覚醒信号を送信するための送信器であって:複数のWURフレームを含む複数帯域覚醒無線(WUR)データ単位を生成するよう構成された波形符号化モジュールであって、各WURフレームはそれぞれの受信局のために意図された波形符号化されたシンボルの系列を組み込み、各WURフレームは、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅の中のそれぞれのあらかじめ定義された帯域幅を占め、前記WURデータ単位の帯域幅は、それらのWURフレームの前記あらかじめ定義された帯域幅の和よりも大きい、波形符号化モジュールと;前記複数帯域WURデータ単位をキャリア周波数にアップコンバートし、前記複数帯域WURデータ単位を含む覚醒信号を前記通信チャネルにおいて送信するための変調器とを有する、送信器がある。
【0021】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅は20MHzであり、各WURフレームのあらかじめ定義された帯域幅は5MHz以下であり、前記波形符号化モジュールは、隣り合うWURフレームの間には周波数保護帯域を含め、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅の端の周波数ではエッジ帯域を含めるよう構成される。
【0022】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、波形符号化されたシンボルの前記複数の系列は、第一のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第一のWURフレームに組み込まれた第一の系列と、第二のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第二のWURフレームに組み込まれた第二の系列と、第三のあらかじめ定義された帯域幅をもつ第三のWURフレームに組み込まれた第三の系列とを含む。前記第一の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第一のあらかじめ定義された帯域幅の中のOFDMサブキャリアに時間領域において波形符号化を適用することから生成される。前記第二の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第二のあらかじめ定義された帯域幅の中のOFDMサブキャリアに時間領域において波形符号化を適用することから生成される。前記第三の系列における各波形符号化されたシンボルは、前記第三のあらかじめ定義された帯域幅の中のOFDMサブキャリアに時間領域において波形符号化を適用することから生成される。前記波形符号化モジュールは、前記第一、第二および第三のWURフレームを加えることによって、前記複数帯域WURデータ単位を生成する。
【0023】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記OFDMサブキャリアは312.5kHzのサブキャリア間隔をもち、前記第一、第二および第三のあらかじめ定義された帯域幅のそれぞれの中のOFDMサブキャリアは14個のサブキャリアを含み、そのうち一つのサブキャリアは0に設定され、13個のサブキャリアが0でない値をもつ。
【0024】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記第一、第二および第三のOFDM波形の各OFDM波形の前記13個の0でないサブキャリアのうち、8個のサブキャリアは正の1に設定され、5個のサブキャリアは負の1に設定される。
【0025】
第三の側面によれば、複数のWURフレームをもつ複数帯域覚醒無線(WUR)データ単位を含む覚醒信号を受信する方法があり、各WURフレームはそれぞれの受信局のために意図された波形符号化されたシンボルの系列を組み込み、各WURフレームは、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅の中のそれぞれのあらかじめ定義された帯域幅を占める。本方法は、受信された覚醒信号をダウンコンバートおよびフィルタリングして、前記あらかじめ定義されたWURフレーム帯域幅のうちの一つを選択し;前記選択されたあらかじめ定義されたWURフレーム帯域幅を占める前記WURフレーム内に組み込まれている波形符号化されたシンボルを復号することを含む。
【0026】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、波形符号化されたシンボルを復号することは、各波形符号化されたシンボルについてのビット値を、その波形符号化されたシンボルのサブシンボルの間の相対的なエネルギー分布に基づいて決定することを含む。
【0027】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記フィルタリングは、少なくとも4でありかつ8以下のフィルタリング係数をもつフィルタにおいて実行される。
【0028】
第四の側面によれば、覚醒無線受信器回路であって:受信された覚醒信号を、複数のWURフレームをもつ複数帯域覚醒無線(WUR)データ単位を含むベースバンド信号にダウンコンバートするよう構成された変調器であって、各WURフレームはそれぞれの受信局のために意図された波形符号化されたシンボルの系列を組み込み、各WURフレームは、前記複数帯域WURデータ単位の帯域幅の中のそれぞれのあらかじめ定義された帯域幅を占める、変調器と;前記ベースバンド信号をフィルタリングして、前記あらかじめ定義されたWURフレーム帯域幅のうちの一つを選択するよう構成されたフィルタと;前記選択されたあらかじめ定義されたWURフレーム帯域幅を占める前記WURフレーム内に組み込まれている波形符号化されたシンボルについてのビット値を、各波形符号化されたシンボルのサブシンボルの間の相対的なエネルギー分布に基づいて決定するよう構成されたエネルギー検出および判定動作とを有する、覚醒無線受信器回路がある。
【0029】
任意的に、上記の側面のいずれかにおいて、前記フィルタは、少なくとも4でありかつ8以下のフィルタリング係数をもつ。[...]
【0030】
もう一つの側面によれば、第一の側面の方法に従って覚醒信号を受信する方法であって、前記覚醒信号をフィルタリングして前記あらかじめ定義されたWURフレーム帯域幅のうちの一つを選択的に受信することを含む方法が提供される。
【0031】
さらなる側面によれば、通信チャネルにおいて覚醒信号を提供する送信器であって、上記の方法に従って覚醒信号を提供するよう構成された波形符号化モジュールを有する送信器がある。
【0032】
さらなる側面によれば、第一の側面の方法に従って覚醒信号を受信する局〔ステーション〕であって、前記覚醒信号をフィルタリングしてその受信する局のために意図された前記WURフレームの前記あらかじめ定義された帯域幅を選択的に受信することを含む方法が提供される。
【0033】
もう一つの側面によれば、上記で要約された側面および実施形態に従って送信された覚醒信号を受信するための方法および受信器がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
ここで例として付属の図面を参照する。図面は本願の例示的実施形態を示す。
【0035】
【
図1】APと覚醒無線回路をもつ例示的な局との間の通信を示すブロック図である。
【0036】
【
図2】APとそれぞれの覚醒無線回路をもつ複数の局との間の通信を示すブロック図である。
【0037】
【
図3】例示的な覚醒無線データ単位のための複数帯域フレーム・フォーマットを示す図である。
【0038】
【
図4】ある例示的実施形態に基づく、複数帯域覚醒フレーム・エンコード・システムを示すブロック図である。
【0039】
【
図5A】
図4のシステムにおいて使われる例示的な第一のサブバンド波形の周波数領域および時間領域表現を示す図である。
【0040】
【
図5B】
図4のシステムにおいて使われる例示的な第二のサブバンド波形の周波数領域および時間領域表現を示す図である。
【0041】
【
図5C】
図4のシステムにおいて使われる例示的な第三のサブバンド波形の周波数領域および時間領域表現を示す図である。
【0042】
【
図6】複数帯域覚醒フレームを復号する覚醒受信器回路を示すブロック図である。
【0043】
異なる図において同様の構成要素を表わすために同様の参照符号が使われたことがありうる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のような無線ネットワークにおいて動作することが意図されているマシン型通信装置またはセンサー装置のようなユーザー装置または局は、より高電力のWLANトランシーバー回路に加えて、別個の低電力の覚醒無線(WUR)回路を有することがある。WUR回路は一般に、覚醒信号を受信および検出するために設計された低電力受信器回路であり、いくつかの例では、主要なWLANトランシーバー回路の簡略化されたバージョンであってもよく、集積回路(IC)またはチップ上に実装されてもよい。WUR回路は当該装置のWLANトランシーバー回路または他の等価な回路と通信し、よって、WLANトランシーバー回路は、WUR回路がWLANトランシーバー回路を覚醒させるまで、スリープになり、電力を節約することができる。WUR回路がアクセスポイントAP(典型的にはWLAN装置に関連付けされたAP)からの覚醒信号を検出するとき、WUR回路はWLANトランシーバー回路または他の等価な回路を覚醒させる。
【0045】
これに関し、
図1は、例示的なAP 102と、該AP 102に関連付けされた例示的な局104とを示す概略図である。例示的実施形態において、局104は低デューティーサイクルのWLAN装置または他の無線装置である。例示的な局104はWLANトランシーバー回路106(たとえばWi-Fiトランシーバー)およびWUR回路108を含む。AP 102はWLANトランシーバー回路110を含む。例示的実施形態では、WUR回路108は、送信器をもたない単純な低電力受信器であり、必要とされるときにWLANトランシーバー回路106を覚醒させるはたらきをする。
【0046】
図1は、スリープ中のWLANトランシーバー回路106を覚醒させるために通信されうる例示的信号の組を示している。AP 102は、覚醒無線(WUR)データ単位200(下記でさらに述べる)を担持する覚醒信号152を局104に送ってもよい。WURデータ単位200はWUR回路108によって検出され、WUR回路108は内部的な覚醒信号154をWLAN受信器回路106に送って、もしWLAN受信器回路106がスリープ・モードにあればWLANトランシーバー回路106を覚醒させる。次いで、WLANトランシーバー回路106はACK信号156をAP 102に送り返す。次いで、AP 102と局104との間の(WLANトランシーバー回路106を介した)適切な情報交換158が行なわれてもよい。情報交換158が終了した後、WLANトランシーバー回路106はスリープ状態に戻ってもよい。
【0047】
図1は覚醒信号152がWLANトランシーバー回路106に関連付けられているWUR回路108に通信されることを示しているが、本開示において記載されるプロセスおよびシステムは、覚醒機構から恩恵を受けうる、他の無線受信器回路を含む他の回路に適用可能であってもよい。
【0048】
たとえばIoT用途を含むいくつかの用途では、局104の密な集団が少数のAP 102によってサービスされることがある。よって、本稿ではWUR信号のための複数帯域通信を容易にし、単一のAP 102が複数の局104に対して同じデータ単位200を使って一意的なWURフレームを送ることを許容する例示的実施形態が記述される。これに関し、
図2は、三つの局104-1、104-2、104-3に同時に通信される複数帯域WURデータ単位200を含む覚醒信号152を示している。各局はそれぞれのWUR回路108を含む。
【0049】
複数帯域WURデータ単位200のための例示的なフレーム・フォーマットが
図3に示されている。
図3に示されるさまざまなブロックの高さは各部分の相対的な帯域幅(BW)を示す。
図3の例では、WURデータ単位200は、複数帯域WUR単位201の前に付されたレガシー・プリアンブル210を含む。レガシー・プリアンブル210は、ネットワーク内のレガシー装置を沈黙させるために含められ、レガシー設備が動作すると予期されないいくつかの例では省略されてもよい。レガシー・プリアンブル210が省略される応用では、WURデータ単位200は複数帯域WUR単位201と同一になる。複数帯域WUR単位201は三つの並行するWURフレーム250-1、250-2および250-3(一般的にWURフレーム250とも称される)を含み、そのそれぞれが、局104-1、104-2、104-3のそれぞれについての一意的な情報を含むことができる。例示的実施形態では、レガシー・プリアンブル210は20MHzのチャネル帯域幅(CHBW)を占め、WURフレーム250-1、250-2および250-3のそれぞれは、チャネル帯域幅CH BWのうちのそれぞれの一意的な4.1MHzのサブバンドBW-1、BW-2およびBW-3を占める。図示した実施形態では、隣接するWURフレーム250-1および250-2は周波数において保護帯域GBによって離間されており、隣接するWURフレーム250-2および250-3も周波数においてさらなる保護帯域GBによって離間されている。さらに、図示した実施形態において、WURフレーム250-1の外側の周波数境界にはエッジ帯域EBが設けられ、WURフレーム250-3の外側の周波数境界には同様のエッジ帯域EBが設けられる。
【0050】
下記でより詳細に説明するように、例示的実施形態において、複数帯域WUR単位201は、通常の802.11直交周波数分割多重(OFDM)シンボルであって、数値設定〔ヌメロロジー〕パラメータ:サブキャリア(トーン)数=64;有用シンボル継続時間T
u=3.2μs;サブキャリア間隔SS=312.5kHz;帯域幅=20MHzをもつものから導出される。例示的実施形態では、14個のサブキャリアがWURフレーム250-1、250-2、250-3のそれぞれのために割り当てられ、7個のサブキャリアが各保護帯域GBのために割り当てられ、4個のサブキャリアが各エッジ帯域EBのために割り当てられ、64個のサブキャリアの割り当ては次の表のように表せる。
【表1】
【0051】
各WURフレーム250-1、250-2、250-3は、それぞれの局104-1、104-2、104-3について固有であることができ、各WURフレーム250-1、250-2、250-3は以下のフィールドを含むことができる:WUR参照信号フィールド252;WUR信号(SIG)フィールド254;MACヘッダ262;フレーム本体264;およびフレーム検査シーケンス(frame check sequence)(FCS)266。ある例示的実施形態では、WUR参照信号フィールド252は覚醒信号プリアンブル、たとえば擬似ノイズ(pseudo noise)(PN)シーケンスを含んでいてもよい。WUR信号(SIG)フィールド254は制御信号を含んでいてもよい。MACヘッダ262は受信器アドレスを含んでいてもよい。MACヘッダ262、フレーム本体264およびFCS 266はまとめてWURフレーム250のペイロードと称されてもよい。いくつかの例では、WURフレーム250-1、250-2、250-3は
図3で特定されたフレーム・フィールドの一つまたは複数を省いてもよく、および/または追加的なフィールドを含んでいてもよい。
【0052】
WUR参照信号252は、パケット検出および同期のために提供される。いくつかの例では、WUR参照信号252は、それぞれの局104-1、104-2、104-3において他のフレームと異なるものとしてWURフレーム250を検出するためにWUR回路108によって使用されることができ、WUR回路108がWURフレーム250に同期することを許容する短トレーニング・フィールド(short training field)(STF)を含んでいてもよい。いくつかの例では、WUR参照信号252は、フレーム同期を容易にするためにWUR回路108において相関付けされることのできるシーケンスを含んでいてもよい。
【0053】
例示的実施形態では、各局104-1、104-2、104-3のWUR回路108は単純な低電力消費の受信器回路として実装され、よってWURフレーム250は、低電力WUR回路108における効率的かつ正確な復号を可能にするよう設計される。これに関し、
図3においてWFC符号化部分268として示されている、WUR参照信号252に続くWURフレーム250の部分のために、時間領域の波形符号化(waveform coding)(WFC)が使われる。例示的実施形態では、それぞれの局104-1、104-2、104-3のWUR回路108においてフィルタリングが適用されて、それぞれのWURフレーム205-1、250-2、250-3を複数帯域WUR単位201から分離する。典型的には、フィルタにおけるフィルタ係数(たとえばタップの数)を増すことは、フィルタリングの精度を増し、これは複数帯域環境において有益であるが、それはフィルタのコストおよび複雑さをも増す。さらに、シミュレーションは、WFC信号のいくつかの例では、WUR回路108におけるフィルタにおいて使われるタップの数が多いほど、シンボル間干渉が発生する可能性が高くなることを示している。よって、本稿では、いくつかの用途において、シンボル間干渉(inter-symbol interference)(ISI)と、電力消費と、隣接帯域干渉との間のトレードオフを最適にするフィルタ係数をもつフィルタを使ってWUR受信器において復号されることのできる、複数帯域波形符号化されたWURフレームのフォーマットを提供しうる例示的実施形態が記述される。
【0054】
図4は、波形符号化を用いるWURシステムを示す基本的なシステムブロック図である。
図4は、上記の表1に示したフォーマットをもつ複数帯域WUR単位201を生成するためにAPトランシーバー110において適用されるプロセス・フローを示している。APトランシーバー110において実行されるとして示されている処理ブロック300、304-1、304-2、304-3、306、307、308のそれぞれは、たとえばモジュールとしてまたは一つまたは複数の集積回路の一部としての要素として実装されてもよい動作を表わす。
【0055】
図4の例では、各局104-1、104-2、104-3のために、それぞれ二値のオン‐オフ・キーイング(on-off keying)(OOK)でマッピングされた源データ280-1、280-2、280-3の形で、一意的な源データが提供される。例示的実施形態では、源データ280-1、280-2、280-3は、エンコードして、それぞれWURフレーム250-1、250-2、250-3のWFC符号化部分268に含めるためのビットを含む。APトランシーバー110は、それぞれの源データ280-1、280-2、280-3のための並列な処理経路285-1、285-2、285-3を実装する。
【0056】
OOKマッピングされた源データ280-1を処理し、エンコードして、対応するWURフレーム250-1を出力する際の第一の処理経路285-1の動作が、ここで、より詳細に記述される。いくつかの例では、源データ280-1は処理のためにKビットの諸グループにセグメント分けされる。誤り訂正を適用するおよび/またはデータを圧縮する(たとえばKビットをJビットの符号語にエンコードする)ための前方誤り訂正(FEC)エンコードが、FECエンコード動作300によって二進データに適用されることができる。ただし、いくつかの実施形態ではそのようなエンコードは省略されてもよい。
【0057】
処理経路285-1は、波形符号化動作306にシンボル波形410-1を提供する波形源304-1を含む。シンボル波形410-1は、あらかじめ定義された帯域幅(BW)およびあらかじめ定義されたサンプル数(N)を含むあらかじめ定義されたシンボル継続時間(T
u)内のあらかじめ定義されたエネルギー構成をもつ。これから述べるように、例示的実施形態において、シンボル波形410-1は、64点のIFFTから生成されるサブキャリアS
14ないしS
27から導出されるマルチキャリア波形である。今述べている例では、波形源304-1は、
図5Aに示される例示的な時間領域シンボル波形410-1のような直交周波数分割多重(OFDM)波形の、以前に生成された時間領域バージョンを記憶するメモリ305を含む。具体的には、ある例示的実施形態では、64点の逆高速フーリエ変換(IFFT)動作を含むOFDM波形生成器301-1が、周波数領域OFDMシンボル402-1を生成するために使われる。周波数領域OFDMシンボル402-1内で、帯域幅BW-1を占める割り当てられたサブキャリアS
14ないしS
27の部分集合が、シンボル波形410-1を提供するために使われる。
【0058】
図5Aの図示した例示的なシンボル402-1では、14個のサブキャリアS
14ないしS
27のグループにおける中央のサブキャリアS
21はヌルであり、該グループにおける残りの13個のサブキャリアは次のように値を割り当てられる:サブキャリアS
15、S
16、S
19、S
22、S
24、S
25、S
26、S
27はプラス1(+1)に設定され、サブキャリアS
14、S
17、S
18、S
20、S
22はそれぞれマイナス1(-1)に設定される。残りのサブキャリアS
-32ないしS
-13およびS
28ないしS
31はそれぞれ0に設定される。図示した例では、シンボル402-1は、通常の802.11 OFDMシンボルであって、表1に関して上記した数値設定〔ヌメロロジー〕パラメータ:サブキャリア数=64、うち使用されるサブキャリア数SC
u=14(ヌルのために使われるS
21を含むサブキャリアS
14ないしS
27を含む);有用シンボル継続時間T
u=3.2μs;サブキャリア間隔SS=312.5kHzをもつものから導出される。シンボル402-1の帯域幅BW-1は
【数1】
である。
図5Aにおける波形410-1はOFDMシンボル402-1の時間領域バージョンを表わす。例示的実施形態では、OFDM時間領域波形410-1は、標準的な802.11のサンプリング・レート20MHzを使って生成され、よってOFDM波形410-1はN=64個のサンプルを含む。
【0059】
上記のように、例示的実施形態において、シンボル波形410-1を与えるためにOFDMシンボル生成器301-1によって実行される動作は、WURフレーム250-1の処理および伝送に先立つ構成時になされ、その後、AP Tx/Rx 110によるWURフレーム250-1生成の時点で、波形源304-1が事前に記憶されたシンボル波形410-1の一連のコピーを提供する。こうして、WURフレーム250-1のために使われる各シンボル波形のためのIFFT動作の必要性をなくす。少なくともいくつかの例示的実施形態では、OFDM波形生成器301-1は構成設定可能であり、上述したのとは異なる数値設定パラメータをもつシンボル波形を生成するために使用できる。よって、記憶される波形は、必要であれば、変えられることができる。
【0060】
図4の例では、OOK源データ280-1からエンコードされたJ個のデータ・ビットをJ個の一連の時間領域シンボル波形410-1に符号化するために、波形符号化動作306が使われる。ある例示的実施形態では、動作306において適用される波形符号化は、位相エンコード(phase encoding)(PE)としても知られるマンチェスター符号化である。具体的には、マンチェスター符号化は、各データ・ビットのエンコードが、等しい時間の、低の次に高または高の次に低のいずれかである伝送路符号(line code)である。よって、波形符号化動作306において、波形410-1は事実上、等しい継続時間(T
u/2)の二つのサブシンボルに分割され、それぞれの「0」のビットは二つのサブシンボルの組としてエンコードされ、それぞれの「1」のビットは二つのサブシンボルの組としてエンコードされる。ある例示的実施形態では、エンコードは下記の表2に示されるようになる。
【表2】
【0061】
代替的な構成では、ここに記載されるサブシンボルの順序はデータ・ビット0および1について逆にされることができることは理解されるであろう。
【0062】
例示的実施形態では、「オフ」(OFF)のサブシンボルは実質的に空または0のエネルギーを含み、「オン」(ON)のサブシンボルは「オフ」のサブシンボルより高いエネルギー・レベルを含む。例示的実施形態では、「オン」のサブシンボル・エネルギーは、該「オン」のサブシンボルと同じ継続時間をもつシンボル波形410-1の対応する継続時間のエネルギーに一致する。波形符号化動作306はPE符号化を時間領域のシンボル波形410-1に適用する。これに関し、
図5Aは、データ「1」のWFCシンボル520-1およびデータ「0」のWFCシンボル520-0(一般的にWFCシンボル520と称される)を生成するためにOFDMシンボル波形410-1に適用される符号化を、図的に、時間領域において示している。
【0063】
ある例示的実施形態では、波形符号化動作306の一部として、保護区間(GI)が各WFCシンボル510の前に付される。一例では、GIは継続時間Tgi=0.8μs(たとえば有用シンボル継続時間Tuの1/4)をもち、各WFCシンボル520は継続時間Ttot=Tu+TGI=4μsとなる。例示的実施形態において、保護区間GIは、継続時間TgiにわたってWFCシンボル520が振幅をもたないまたは無視できる振幅をもつよう、0エネルギー・サンプルを前に付加することによって生成される。これは、有用なシンボル継続時間Tuに含まれるシンボルの部分のための送信器エネルギーをブーストしうる。具体的には、シンボル当たりの送信器エネルギーは、パワースペクトル密度規制または送信器の電力増幅器によって決定される設定値に固定されており、よってGIのために使われるエネルギーが少ないほど、多くのエネルギーが、0でない「オン」サブシンボル部分のために使われることができる。
【0064】
いくつかの例示的実施形態では、データ・シンボル520を生成するときに、標準的な802.11のサンプリング・レート20MHzが波形符号化動作306によって適用される。よって、データ「1」の場合、波形符号化された出力シンボル520-1はT
tot=4μsの継続時間およびL=80個のサンプルをもち、次の順序で:波形350のGIサンプルに対応するM=16個のサンプルを含む、継続時間T
gi=0.8μsの保護区間と;GI部分に続く、シンボル波形350の部分からコピーされたN/2=32個のサンプルを含む、継続時間T
u/2=1.6μsの第一のサブシンボルSUB
1と;サブキャリア・エネルギーが「0」に強制されたN/2=32個のサンプルを含む、継続時間T
u/2=1.6μsの第二のサブシンボルSUB
2とを含む。
図5Aに示される例では、シンボル520-1は、T
giからT
u/2+T
giまでの間(つまり0.8μsから2.4μsまでの間)の継続時間の間のほかは、無視できるまたは0のエネルギーをもつ。
【0065】
データ「0」の出力シンボル520-0の場合、GI部分は同じままであり、サブシンボルSUB
1とSUB
2の順序が逆にされ、データ「0」の場合、波形符号化された出力シンボル520-0はT
tot=4μsの継続時間およびL=80個のサンプルをもち、次の順序で:波形350のGIサンプルに対応するM=16個のサンプルを含む、継続時間T
gi=0.8μsの保護区間と;GI部分に続く、サブキャリア・エネルギーが「0」に強制されたN/2=32個のサンプルを含む、継続時間T
u/2=1.6μsの第一のサブシンボルSUB
1と;シンボル波形350の最後の32個のサンプルからコピーされたN/2=32個のサンプルを含む、継続時間T
u/2=1.6μsの第二のサブシンボルSUB
2とを含む。
図5Aに示される例では、シンボル520-1は、T
u/2+T
giからT
totまでの間(つまり2.4μsから4μsまでの間)の継続時間の間のほかは、無視できるまたは0のエネルギーをもつ。
【0066】
よって、例示的実施形態では、OOK源データ280-1からのJ個のデータ・ビットのそれぞれは、波形符号化動作306の出力において、それぞれのWFCシンボル520として表現される。各WFCシンボル520は、L個のサンプルに対応する、定義された全シンボル継続時間Ttotをもつ。各WFCシンボル520は二つの成分、つまりM個のサンプルに対応する先行保護区間継続時間Tgiをもつ先行GIと、該GIの直後にきて、N個のサンプルに対応する有用シンボル継続時間Tuをもつ有用シンボル成分とを含む。継続時間Tuの有用シンボルは、N/2個のサンプルに対応する等しい長さの継続時間Tu/2をそれぞれもつ二つのサブシンボルSUB1およびSUB2に分割される。二値のビット情報は、それら二つのサブシンボルSUB1およびSUB2が、低の次に高であるか高の次に低であるかによって表現される。GIに含まれる実際の信号値は重要ではないが、先述したように、低いまたは0エネルギーの信号を使うことは、シンボルの0でない領域における送信器エネルギーをブーストできる。例示的実施形態では、WFCシンボル520は、最小限の漏れで、定義されたBW内にはいるよう構成され、局104-1のWUR回路108における、低タップ・フィルタの使用を容易にする。
【0067】
前段で述べた特性をもつWFCシンボル520が、
図4に示したシステムに関して述べたもの以外の方法、コンポーネントおよびシンボル数値設定を使って生成できることは理解されるであろう。さらに、いくつかの例示的実施形態では、WFCシンボル520-0および520-1のコピーが事前に生成されて、波形源304においてメモリ305に記憶されることができ、波形符号化動作306は、OOK源データ280-1のOOK値に基づいて、出力するべき適切なWFCシンボルを選択する。
【0068】
よって、例示的実施形態では、K個のOOK源データ・ビットの各組280-1は、波形符号化動作306の出力において、WFC部分268-1をなすJ個のWFCシンボル520の系列として表現される。次いで、WUR-REF信号252-1がWFC部分268-1の前に付加されて、WURフレーム250-1を完成させる。
【0069】
処理経路285-2は、
図5Bに示されるように波形源304-2は周波数領域波形402-2および時間領域波形410-2についてOFDMサブキャリアの異なる組を使うということのほかは、処理経路285-1に関して上記したのと同一の仕方で、OOKマッピングされた源データ280-2を処理し、エンコードして、対応するWURフレーム250-2を出力する。具体的には、OFDM波形生成器301-2は、64点の逆高速フーリエ変換(IFFT)動作を適用して周波数領域OFDMシンボル402-2を生成し、ここで、帯域幅BW-2を占める割り当てられたサブキャリアS
-7ないしS
6の部分集合が、シンボル波形410-2を提供するために使われる。
図5Bの示されている例示的なシンボル402-2では、14個のサブキャリアS
-7ないしS
6のグループのうち中央のサブキャリアS
0はDCヌルであり、グループにおける残りの13個のサブキャリアは次のように値を割り当てられる:サブキャリアS
-6、S
-4、S
-3、S
-2、S
-1、S
1、S
4、S
5はプラス1(+1)に設定され、サブキャリアS
-7、S
-5、S
2、S
3、S
6はそれぞれマイナス1(-1)に設定される。残りのサブキャリアS
-32ないしS
-8およびS
7ないしS
31はそれぞれ0に設定される。シンボル402-2の帯域幅BW-2は
【数2】
である。
図5Bにおける波形410-2は、OFDMシンボル402-2の時間領域バージョンを表わす。
【0070】
処理経路285-3は、
図5Cに示されるように波形源304-3は周波数領域波形402-3および時間領域波形410-3についてOFDMサブキャリアの異なる組を使うということのほかは、処理経路285-1および285-2に関して上記したのと同一の仕方で、OOKマッピングされた源データ280-3を処理し、エンコードして、対応するWURフレーム250-3を出力する。具体的には、OFDM波形生成器301-3は、64点の逆高速フーリエ変換(IFFT)動作を適用して周波数領域OFDMシンボル402-3を生成し、ここで、帯域幅BW-3を占める割り当てられたサブキャリアS
-28ないしS
-15の部分集合が、シンボル波形410-3を提供するために使われる。
図5Cの示されている例示的なシンボル402-3では、14個のサブキャリアS
-28ないしS
-15のグループのうち中央のサブキャリアS
-21はヌルであり、グループにおける残りの13個のサブキャリアは次のように値を割り当てられる:サブキャリアS
-28、S
-26、S
-25、S
-22、S
-20、S
-18、S
-16、S
-15はプラス1(+1)に設定され、サブキャリアS
-27、S
-24、S
-23、S
-19、S
-17はそれぞれマイナス1(-1)に設定される。残りのサブキャリアS
-32ないしS
-29およびS
-14ないしS
31はそれぞれ0に設定される。シンボル402-3の帯域幅BW-3は
【数3】
である。
図5Cにおける波形410-3は、OFDMシンボル402-3の時間領域バージョンを表わす。
【0071】
上記のように、WURフレーム250-1、250-2、250-3に含まれるWFCシンボルはそれぞれ、64キャリアOFDMシンボルからのサブキャリアのそれぞれのグループから導出される。いくつかの例では、OFDM波形生成器301-1、301-2、301-3は、同じ64サブキャリアOFDM波形生成器の異なるサブキャリア・グループを使って実装される。例示的実施形態では、OFDMシンボル402-1、402-2、402-3のそれぞれの中で使われるトーン・パターンは、通常のOFDM 802.11長トレーニング・シーケンス(Long Training Sequence)(LTS)シンボルにおいて占められる対応するトーンに基づく(OFDMシンボル402-3は例外で、その場合、通常のLTSシンボルではS-28およびS-27はヌルなので、+1のサブキャリアS-28および-1のサブキャリアS-27の値が加えられている)。図示した実施形態では、OFDMシンボル402-1、402-2、402-3のそれぞれは、プラス1(+1)に対して8サブキャリアの集合を、マイナス1(-1)に対して5サブキャリアの集合を含む。しかしながら、代替的実施形態では、異なるトーン・パターンが用いられることができる。
【0072】
このように、処理経路285-1、285-2、285-3はそれぞれ、三つの異なる周波数帯域において並行して、次のように信号を出力する:処理経路285-1は周波数帯域BW-1においてWURフレーム250-1を出力し;処理経路285-2は周波数帯域BW-2においてWURフレーム250-2を出力し;処理経路285-3は周波数帯域BW-3においてWURフレーム250-3を出力する。三つのWURフレーム250-1、250-2、250-3は加算回路307において、WFCシンボル520を生成することにおいて使われたのと同じサンプリング・レートを使って、同期されたサンプルごとの仕方で組み合わされて、複数帯域WUR単位201を生成する。複数帯域WUR単位201は、
図3および表1に関して上記した特徴をもつ。レガシー・プリアンブル210が含められる例では、レガシー・プリアンブル210が複数帯域WUR単位201の前に付加されてWURデータ単位200を形成する。次いで、WURデータ単位200は変調器308においてチャネル・キャリア周波数にアップコンバートされ、覚醒信号152の一部として無線ネットワーク・チャネル410を通じて送信される。例示的実施形態では、エッジ・トーンがあればそれも含めて、送信されるシンボルが20MHzスペクトル・マスクの中にはいることを保証するために、802.11のために使われる同じ送信フィルタが、スペクトル・フィルタリングを提供するために使われる。
【0073】
図6は、三つの目標局104-1、104-2、104-3と、無線チャネル410を通じて受信される覚醒信号152に含まれるWURデータ単位200に関して三つのそれぞれのWUR回路108において実行される復号動作とを示している。いくつかの例では、WUR回路108で実行されるものとして示されている各処理ブロック310、312、314、316、318,320は、モジュールとしてまたは一つまたは複数の集積回路の一部である要素として実装されてもよい動作を表わす。
図6に示されるように、各局104-1、104-2、104-3はそれぞれのフィルタ312-1、312-2、312-3(一般的にフィルタ312と称される)を含む。少なくともいくつかの例では、受信局104-1、104-2、104-3は、自分に割り当てられたWURフレーム250-1、250-2または250-3について、以前の通信の間に事前構成され、または事前に通知されており、各局104-1、104-2、104-3はそれぞれのWUR回路108のそれぞれのフィルタ312-1、312-2、312-3を、自分の割り当てられたWURフレーム250-1、250-2または250-3の帯域幅に同調させることができる。よって、ある例示的実施形態では、局104-1はそのフィルタ312-1を、4MHzの帯域幅をもち6.56MHzの中心周波数に対応するBW-1のための帯域通過フィルタとして構成し;局104-2はそのフィルタ312-2を、4MHzの帯域幅をもち0MHzの中心周波数に対応するBW-2のための低域通過フィルタとして構成し;局104-3はそのフィルタ312-3を、4MHzの帯域幅をもち-6.56MHzの中心周波数に対応するBW-3のための帯域通過フィルタとして構成する。いくつかの例では、フィルタ312は、帯域間干渉阻止とISIとの間で最適化するよう、8タップ・フィルタ(フィルタ係数=8)である。いくつかの例では、それらのフィルタは、帯域間干渉阻止とISIとの間で最適化するが、電力消費削減により大きな重みをもつよう、4タップ・フィルタ(フィルタ係数=4)である。
【0074】
局104-1のWUR回路108における、受信されたWURデータ単位200の処理をここで、ある例示的実施形態に基づいて、より詳細に述べる。受信されたWURデータ単位200はWUR回路108において覚醒信号152の一部として受信され、変調器310においてベースバンドにダウンコンバートされる。次いで、ベースバンドWURデータ単位200は、信号をWURフレーム250-1に対応する帯域幅BW-1に制約するために、フィルタ312-1においてフィルタリングされる。次いで、同期動作314が、受信されたWURフレーム250-1を処理して、WURフレーム250-1の受信されたWFC部分268-1Rに含まれているWFCシンボル520のシンボル境界に同期する。これに関し、いくつかの例示的実施形態では、同期動作314は、受信されたWURフレーム250-1におけるWUR参照信号252に頼って、WUR回路108がサンプル・タイミングを、復元されたWFC符号化部分268-1内に含まれる個々の復元されたWFCシンボル520の到来シンボル境界に同期させることができるようにする。これにより、回復されたWFCシンボル520のそれぞれがエネルギー検出動作316および硬判定動作318によって逐次的に処理されることを可能にする。例示的実施形態では、電力検出動作316に先立ちまたは電力検出動作316の初期段階として、前に付加されたGIが、処理されるWFCシンボル520から除去される。次いで電力検出動作316が、第一および第二のサブシンボルSUB1およびSUB2のそれぞれにおける電力分布を測定する。たとえば、ある実施形態では、電力検出動作316は、WFCシンボル520を、波形符号化動作306において使われた同じ周波数(たとえば802.11の通常の20MHz)でサンプリングして、WFCシンボル520Rを次のように処理するよう構成される:最初のM個のサンプル(継続時間Tgiに対応)は破棄される;サブシンボルSUB1を表わす次のN/2個のサンプル(Tu/2の継続時間に対応)について平均電力分布値が決定される;サブシンボルSUB2を表わす次のN/2個のサンプル(Tu/2の継続時間に対応)についてさらなる平均電力分布値が決定される。20MHzのサンプリング・レートおよびTtot=4μsの全シンボル時間の例では、破棄されるGIはM=16個のサンプルを含み、第一のサブシンボルSUB1および第二のサブシンボルSUB2はそれぞれN/2=32個のサンプルを含む。
【0075】
判断ブロック318は、第一および第二のサブシンボルSUB1およびSUB2の間の平均電力分布値を比較して、対応するデータ「0」または「1」の判定をするよう構成される。示される例では、平均電力分布値の絶対値が第二のサブシンボルSUB2よりも第一のサブシンボルSUB1におけるほうが大きい場合、受信されるWFCシンボル520はデータ「1」として復号される;平均電力絶対値が第一のサブシンボルSUB1よりも第二のサブシンボルSUB2におけるほうが大きい場合、受信されるWFCシンボル520はデータ「0」として復号される。判断動作318からの一連のデータ・ビットが集められて、復元されたFEK OOKデータを提供する。ここで、FEC復号動作320が適用されて、もとのOOK源データ280-1に対応する復元されたOOK源データ280-1Rを生成する。復元されたOOK源データ280-1Rはたとえば、局104-1の主要なWLANトランシーバー回路106のための内部覚醒心房154のための情報および命令を含んでいてもよい。
【0076】
局104-2および104-3は、それぞれのOOK源データ280-2Rおよび280-3RをWURデータ単位200から復元するよう同様に構成される。
【0077】
WURデータ単位200は三つの並行WURフレーム250-1、250-2、250-3がレガシー・プリアンブル210にアペンドされているものとして示されているが、データ単位200は、三つより多いまたは三つより少ないWURフレームを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、レガシー・プリアンブル210の後に付加されるWURフレームの数は構成設定可能であってもよい。いくつかの実施形態では、WURフレームおよびその間の保護帯域の帯域幅ならびにレガシー・プリアンブル210の帯域幅内でのその周波数割り当てが構成設定可能であることができる。いくつかの例示的実施形態では、各WURフレームは5MHz以下の帯域幅を有していてもよい。
【0078】
本開示は、開示される方法およびシステムの例を実装するためのある種の例示的なアルゴリズムおよび計算を提供することがあるが、本開示はいかなる特定のアルゴリズムまたは計算によっても束縛されない。
【0079】
本開示はある種の順序の段階をもつ方法およびプロセスを記述することがあるが、該方法およびプロセスの一つまたは複数の段階は、適宜、省略または変更されてもよい。一つまたは複数の段階が、適宜、記載されている順序以外の順序で行なわれてもよい。
【0080】
本開示は、少なくとも部分的には方法に関して記述されることがあるが、当業者は、本開示が、ハードウェア・コンポーネント、ソフトウェアまたは両者の組み合わせのいずれによるのであれ、記載される方法の側面および特徴の少なくとも一部を実行するためのさまざまなコンポーネントにも向けられることを理解するであろう。
【0081】
本開示は、請求項の主題から外れることなく他の具体的な形で具現されてもよい。記載される例示的実施形態は、あらゆる点で、単に例解するものであって、制約するものではないと考えられるべきである。上記の実施形態の一つまたは複数からの選択された特徴が組み合わされて、明示的に記載されていない代替的な実施形態を作り出してもよい。そのような組み合わせのために好適な特徴は、本開示の範囲内で理解される。
【0082】
開示される範囲内のあらゆる値および部分範囲も開示される。また、本願で開示され図示されるシステム、装置およびプロセスは特定の数の要素/コンポーネントを有することがありうるが、該システム、装置および組立体は、追加的なまたはより少数のそのような要素/コンポーネントを含むよう修正されることができる。たとえば、開示される要素/コンポーネントのいずれも、単数であるとして参照されることがあるが、開示される実施形態は複数のそのような要素/コンポーネントを含むよう修正されることができる。本稿に開示される主題は、技術におけるあらゆる好適な変化をカバーし、包含する。