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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】射出成形機のための信号処理方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
B29C45/76
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019538246
(86)(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2018050570
(87)【国際公開番号】W WO2018130575
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】102017200394.4
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510332006
【氏名又は名称】アールブルク ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥフナー、エバーハルト
(72)【発明者】
【氏名】ファウルハーバー、ヴェルナー
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-069225(JP,A)
【文献】特開平07-100880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック及びその他の可塑性材料を加工するためのサイクル的に作動する射出成形機の信号処理方法であって、
該射出成形機は、
・少なくとも1つの機械制御器(16)、
・少なくとも1つの測定量(20)を検出する少なくとも1つのセンサ(12)、
・少なくとも1つの測定量(20)を処理ユニット(14)のセンサ(12)内の又はセンサ(12)に隣接する現場で処理し及びリアルタイムデジタル接続として構成された少なくとも1つのインタフェース(18)によって1つの機械制御器(16)に接続されている少なくとも1つの処理ユニット(14)
を有し、
処理ユニット(14)は、少なくとも1つの測定量(20)を少なくとも1つのサイクルの少なくとも1つの部分において少なくとも1つの数学的関数によって処理し、その処理から得られた少なくとも1つの結果をセンサ(12)内の又はセンサ(12)に隣接する現場での少なくとも1つの分析の枠内において評価すること、
処理ユニット(14)は、分析における測定量(20)の結果の評価のためのデータを機械制御器(16)から受け取ること
分析は少なくとも1つの目標-実際-分析を含み、処理ユニット(14)は実際状態が目標状態からずれている場合機械特異的なパラメータに依存することなく少なくとも1つの信号を機械制御器(16)へ及び/又は射出成形機のアクチュエータへ送信すること
を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
インタフェース(18)は機械制御器(16)のバスクロック列の少なくとも1つのクロックとクロック同期的に動作すること及び/又は処理ユニット(14)は該バスクロック列の少なくとも1つのクロックにおいて分析を行うこと
を特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
機械制御器(16)も分析の少なくとも一部分を行うこと
を特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~の何れかに記載の方法において、
測定量(20)は少なくとも1つの力及び/又は少なくとも1つの加速度を含み、数学的関数は測定量(20)の少なくとも1つの時間導関数を含むこと
を特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~の何れかに記載の方法において、
前記得られた結果は、力微分及び/又は加速度微分の目標推移との比較によって、評価されること
を特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記得られた結果は、定義された経路ストロークΔsにおける許容可能な微分dF/dtの設定によって、評価されること
を特徴とする方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、
前記少なくとも1つの力は、型締めユニット(10a)の少なくとも部分における力であること
を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法において、
前記少なくとも1つの加速度は、型締めユニット(10a)の少なくとも部分についての加速度であること
を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の方法において、
測定量(20)は少なくとも1つの回転数及び/又は少なくとも1つのトルクを含み、数学的関数は少なくとも1つのフーリエ変換を含むこと
を特徴とする方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、
前記少なくとも1つの回転数及び/又は前記少なくとも1つのトルクは、駆動装置(36)の回転数及び/又はトルクであること
を特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の方法において、
前記少なくとも1つの数学的関数によって、測定量の実際に測定された値及びそのために場合により設けられた許容範囲に依存することなく、急変が求められること
を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2017年1月12日に提出されたドイツ特許出願第10 2017 200 394.4号を参照しかつその優先権を主張するものであり、該出願の開示内容全体もこの引用を以って完全に本願の対象をなすものとする。
【0002】
本発明は、請求項1の上位概念に応じた、プラスチックおよびその他の可塑性物質を加工する射出成形機のための信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックおよびその他の可塑性物質を加工するための既知の射出成形機では、射出(成形)部材の製造のための射出サイクルの際に、通常、以下の操作が行われる。射出サイクル中に、型締めユニットが閉じられ、可塑化された材料が可塑化ユニットを介して射出成形工具ないし型工具内に射出注入される。短時間後、型締めユニットは再び開かれ、冷却された射出成形部材ないし成形部材(成形部品)は取り出されることができる。運転中、1つの射出成形機は多くのそのようなサイクルを実行する。射出成形のサイクルの終了時、射出成形された成形部材は、型工具が開かれたとき自動的に取り出されることが多い。その後、型締めユニットは次のサイクルの準備のために再び閉じられ、次の射出プロセスないしショットを実行することができる。
【0004】
しかしながら、射出成形機の型工具の閉鎖プロセスの際に、型工具の閉鎖時又は成形部材の取出し時に種々の問題が生じ得る。型部材が成形後に型部材内に存在し(留まり)、適切に脱型(離型)されなかったこと又はそれ以外の異物が射出成形プロセスを阻害することは、細心の注意を払っても、排除することはできず、そのため、次の射出成形プロセスの際に、種々の問題が生じる。成形部材又はそれ以外の異物の挟み込みによって、例えば、通常とは異なる(異常な)力推移が生じ、これによって、更なる(その後に製造される)成形部材の質が損なわれることがあり、最悪の場合は、射出成形機又は射出成形機の部分又は型工具が損傷され得る。従来技術においては、そのような「悪性」プロセスを検出する複数の方法が知られている。
【0005】
そのようなプロセスの既知の検出方法は、一般的に、時間にわたる力推移の観察及び/又は予め設定された経路ストロークΔsについて許容可能な最大力の設定に基づいている。この目的のために、通常は、力推移又は力の実際状態が予め設定された経路ストロークΔsにおいて検出(測定)され、比較パラメータとして考慮(使用)される必要がある。力推移は、所定の工程標識(Wegmarke)から、基準ないし目標状態からのずれに関して評価される。これは、種々の評価基準を用いて行うことができる。最も単純な場合、力閾値の大きさ(絶対値)の超過又は目標力推移からのずれが検出される。
【0006】
更なる方法は、解放された運転力を必要な閉鎖力を超える小さな幅(絶対値)/オフセットに低減する。射出成形部材が型工具に挟み込まれると、工程標識「型工具閉鎖」は到達(達成)されず、時間モニタリングによって、エラー状態が検出される。
【0007】
更なる方法は、「良」ケースにおいて走行(運転)運動を評価する。時間にわたる力プロフィルが検出される。この力プロフィルについて、包絡曲線(Huellkurve)が設定される。ここでサイクリックな運転時に、包絡曲線の境界が侵されると、これはエラーとして評価され、相応の措置が図られる。
【0008】
力の代わりに、この力への対応付けが可能な他の物理量を検出することも可能である。これは、例えば、走行運動のための駆動モータのモータ電流とすることができる。
【0009】
これらの方法は任意に組み合わせることが可能である。センサの組付け部位も変更可能である。工具固定(締付け確保)領域においてより良い信号の質を達成するために、2つ以上の明確に異なる測定領域を有するセンサ(複数)も使用することができる(閉鎖力領域/工具固定(締付け確保)・力領域)。
【0010】
請求項1の背景をなすEP 1 121 627 B1には、射出成形機の駆動ユニットの制御方法が記載されている。送信器システムは駆動モータの実際値推移(複数)を生成し、制御器ユニットは目標値推移と実際値推移を比較し、該比較から、駆動モータの制御のための位置信号を生成する。相互に通信する駆動ユニット(複数)の現場に(vor Ort)存在する制御器(複数)には、目標値推移(複数)及び必要に応じそれに属する許容差が予め設定され、そのため、現場で駆動ユニットの制御ができる。現場に存在する制御器は、一緒に現場にある制御器(複数)によっては最早単独では制御可能ではない目標値推移からのずれが生じたときに初めて機械制御器にフィードバックを与える。
【0011】
DE 199 25 302 A1には、とりわけプラスチック射出成形機の射出成形可能な材料の処理のための機械の閉鎖ユニットの安全な(確実な)閉鎖のための方法が記載されている。射出成形機の製造運転の開始前に、サーボモータの必要な電流需要量が可動(移動)型支持体の摺動路に依存して測定されかつ記憶される。次の製造運転中にないしは射出成形機の射出成形サイクル中に、可動型支持体の運動のための必要な電流需要量は開いた工具位置から閉じられた工具位置までモニタされかつ記録される。摺動路のある位置における電流需要量が記憶された電流需要量と場合により存在するオフセット値ないし予め規定された許容限界値との和より大きい場合、可動型支持体の運動は中止され、かくして、射出成形サイクルも中止される。
【0012】
DE 10 2004 050 445 A1には、射出成形機の運転方法が記載されている。この場合、目標量決定フェーズにおいて、まず、工具走行路の少なくとも1つ区間に沿った少なくとも1つの目標量推移が決定される。少なくとも1つの出力値の予設定推移が予め設定され、(1つの)測定ラン(試行)中に、目標量の少なくとも1つの結果値が測定されかつ記憶される。目標量の測定値(複数)から、工具走行路区間に沿った目標量推移が形成される。次いで、射出成形機は決定された目標値推移に応じて運転フェーズにおいて運転される。
【0013】
DE 600 16 101 T2には、型保護領域の内部にある射出成形機の型保護装置が記載されている。擾乱評価監視装置は擾乱トルクを評価し、制御装置は、擾乱評価監視装置によって多数の事前の型締めプロセスにおいて評価される擾乱トルクの平均値を基礎として各型締めプロセス毎に擾乱トルクの上限値を規定する。型締付け確保領域において上限が上回られると、異常信号が出力される。
【0014】
DE 10 2007 043 673 A1には、射出成形工具の安全な閉鎖のための方法が記載されている。閉鎖プロセス中、予め設定された標識から、閉鎖駆動装置の運動力又は電流消費量は、閉鎖運動の速度推移に直接的又は間接的に依存する関数推移が規定(定義)され、及び、測定された関数推移が許容帯を考慮した予め設定された関数推移から離れたときに閉鎖駆動装置がスイッチオフされることによって制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】EP 1 121 627 B1
【文献】DE 199 25 302 A1
【文献】DE 10 2004 050 445 A1
【文献】DE 600 16 101 T2
【文献】DE 10 2007 043 673 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
これらの従来技術はすべて、工具特異的な目標状態条件が必要とされ、これらが測定された実際状態と比較され、次いで、これに基づき、目標状態の枠外での運転の際に、機械制御ないし射出成形サイクルに対する介入が行われるという点において共通する。しかしながら、例えば閉鎖運動の速度、力、電流需要量のようなパラメータ又は完全な型工具が交換又は変化されると、目標値推移は、従って、目標状態のための従ってエラーのないサイクルのための条件は新たに検出(決定)されなければならない。更なるパラメータ変化とは、例えば、工具ガイドにおける変化する摩擦挙動又は温度(熱)膨張である。
【0017】
本発明の課題は、これらの従来技術から出発し、射出成形プロセスの安全性のための高信頼性、簡単かつ非依存性(独立)の信号処理を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この課題は、請求項1の特徴に応じた信号処理方法によって解決される。即ち、本発明の一視点により、プラスチック及びその他の可塑性材料を加工するためのサイクル的に作動する射出成形機の信号処理方法が提供される。該方法において、
該射出成形機は、
・少なくとも1つの機械制御器、
・少なくとも1つの測定量を検出する少なくとも1つのセンサ、
・少なくとも1つの測定量を処理ユニットのセンサ内の又はセンサに隣接する現場で処理し及びリアルタイムデジタル接続として構成された少なくとも1つのインタフェースによって1つの機械制御器に接続されている少なくとも1つの処理ユニット
を有し、
処理ユニットは、少なくとも1つの測定量を少なくとも1つのサイクルの少なくとも1つの部分において少なくとも1つの数学的関数によって処理し、その処理から得られた少なくとも1つの結果をセンサ内の又はセンサに隣接する現場での少なくとも1つの分析の枠内において評価すること、
処理ユニットは、分析における測定量の結果の評価のためのデータを機械制御器から受け取ること
分析は少なくとも1つの目標-実際-分析を含み、処理ユニットは実際状態が目標状態からずれている場合機械特異的なパラメータに依存することなく少なくとも1つの信号を機械制御器へ及び/又は射出成形機のアクチュエータへ送信すること
を特徴とする(形態1)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
有利な発展形態は従属請求項の対象である。
なお、特許請求の範囲において個別に記載されている特徴は、技術的に有意義な態様で相互に組み合わせることが可能であり、また、本発明の実施形態の更なるバリエーションが示されている、明細書に説明されている事項および図面に示されている詳細によって補うことができる。
【0020】
プラスチック及びその他の可塑性材料を加工するためのサイクル的に作動する射出成形機の信号処理のための本方法は、不所望の射出成形プロセスの多くは例えば力推移に、力の相応の時間変化dF/dtにおいて際立った特徴を示す急変(Ruck)ないし衝撃(Stoss)を有するという知見に基づいている。力の時間変化はまた、ニュートンの第2法則即ち力=質量×加速度に基づき、加速度の時間変化da/dtと結び付けられている。
【0021】
本方法は、少なくとも1つの機械制御器を有する射出成形機の少なくとも1つのセンサによって少なくとも1つの測定量を検出する。少なくとも1つのインタフェースを有する少なくとも1つの処理ユニットにおいて、測定量は処理される。本発明に応じ、処理ユニットは、測定量を少なくとも1つのサイクルの少なくとも1つの部分において少なくとも1つの数学的関数によって処理し、その処理から得られた少なくとも1つの結果を少なくとも1つの分析の枠内で評価する。処理ユニットの分析は処理ユニットのセンサ内の又はその近くの現場で実行される。かくして、射出成形プロセスの安全(保護)のための高信頼性、簡単かつ独立の(非依存的な)信号処理が達成される。同時に、あり得るクリティカルな(危険な)力又は加速度のプロアクティブな(先取的な)検出がこれらの微分の評価によって可能になる。
【0022】
これに関連する数学的関数は、数学のあらゆる分野からの任意の計算規則、例えば数学的関数、数学的演算、フィルタ及び変換を含む。
【0023】
射出成形プロセスの目標を定めた保護のために有利には、分析は少なくとも1つの目標-実際-分析(Soll-Ist-Analyse)を含み、処理ユニットは実際状態が目標状態からずれている場合少なくとも1つの信号を機械制御器へ及び/又は射出成形機のアクチュエータへ送信する。これに関連するアクチュエータは、射出成形機の任意のコンポーネント、例えば駆動装置、シャフト及び/又は制御器を含む。
【0024】
射出成形プロセスのデータの高速な伝送のために、インタフェースは、有利にはリアルタイムデジタル接続として構成される。
【0025】
システムの損傷が生じる前に、デジタルノイズを最小化し、エラーを有する射出成形プロセスを検出し、該プロセスに介入するためには、迅速なデータ検出、高速なデータ交換及び迅速な分析が必要であるところ、インタフェースは機械制御器のバスクロック列の少なくとも1つのクロックとクロック同期的に動作し、及び/又は、処理ユニットは該バスクロック列の少なくとも1つのクロックにおいて分析を行う。クロック同期は、複数の異なるシステムにおいてデジタル化されている場合、大いに有用であるが、これは、複数の異なる下位システムの同期の知識によって、オーバーサンプリングなしで、極めて良好な信号検出が達成可能だからである。クロック同期は、あたかも自発的に、クロックジッタのためのデジタルフィルタのように作用する。このクロックジッタはそうでなければ(このフィルタリングがなければ)、上位の制御器のための信号を極めて広帯域で弱めるものである。とりわけ微分又はフーリエ変換のような数学的演算が複数の下位システムにおいて分配(分散)されて使用されることが望まれる場合、クロック同期がないとすれば、少なくとも10倍から50倍より高速なスキャンないしサンプリングレートが必要となるであろう、即ち、現場の評価ユニットは著しくより高速でなければならないであろう。
【0026】
大規模かつ緻密な分析のために有利には、処理ユニットは、分析における測定量の結果の評価のためのデータを機械制御器から受け取る。
【0027】
更に、分析の迅速な結果生成のために、機械制御器も分析の少なくとも一部分を行うと、有利である。
【0028】
その際補充的に有利には簡単な信号検出及び信号処理を達成するために、測定量は少なくとも1つの力及び/又は少なくとも1つの加速度を含み、数学的関数は少なくとも1つの時間導関数を含む。
【0029】
とりわけ、得られた結果は、力微分及び/又は加速度微分の目標推移との比較によって、例えば、夫々の型工具に依存しないで(から独立に)使用可能な区間毎の介入基準(Eingriffskriterien)を定義するための、定義された経路ストロークΔsにおける許容可能な微分dF/dtの設定(決定)によって、評価されると、有利である。
【0030】
更に、簡単かつ高信頼性の信号処理のために有利には、少なくとも1つの力は、閉鎖ユニットの、有利には型締めユニットの、部分(複数)における力であり、又は、少なくとも1つの加速度は、閉鎖ユニットの、有利には型締めユニットの、部分(複数)についての加速度である。
【0031】
簡単な信号検出及び信号処理のために、測定量は、更に有利には、少なくとも1つの回転数及び/又は少なくとも1つのトルクを含み、数学的関数は少なくとも1つのフーリエ変換である。
【0032】
有利には、簡単かつ高信頼性の信号処理のために、少なくとも1つの回転数及び/又は少なくとも1つのトルクは、駆動装置の、有利には回転型駆動装置の、回転数及び/又はトルクである。
【0033】
更なる利点は、従属請求項及び好ましい実施例についての以下の説明から明らかになる。特許請求の範囲において個別に列記された特徴は技術的に有意な態様で互いに組み合わせられることができるとともに、本発明の形態の更なるバリエーションが示されている、明細書の記載事項の説明によって及び図面の詳細によって補われることができる。
【0034】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の一視点参照。
(形態2)形態1の方法において、インタフェースは機械制御器のバスクロック列の少なくとも1つのクロックとクロック同期的に動作すること及び/又は処理ユニットは該バスクロック列の少なくとも1つのクロックにおいて分析を行うことが好ましい。
(形態3)形態1又は2の方法において、機械制御器も分析の少なくとも一部分を行うことが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかの方法において、測定量は少なくとも1つの力及び/又は少なくとも1つの加速度を含み、数学的関数は測定量の少なくとも1つの時間導関数を含むことが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの方法において、前記得られた結果は、力微分及び/又は加速度微分の目標推移との比較によって、評価されることが好ましい。
(形態6)形態5の方法において、前記得られた結果は、定義された経路ストロークΔsにおける許容可能な微分dF/dtの設定によって、評価されることが好ましい。
(形態7)形態4の方法において、前記少なくとも1つの力は、型締めユニットの少なくとも部分における力であることが好ましい。
(形態8)形態4の方法において、前記少なくとも1つの加速度は、型締めユニットの少なくとも部分についての加速度であることが好ましい。
(形態9)形態1~8の何れかの方法において、測定量は少なくとも1つの回転数及び/又は少なくとも1つのトルクを含み、数学的関数は少なくとも1つのフーリエ変換を含むことが好ましい。
(形態10)形態9の方法において、前記少なくとも1つの回転数及び/又は前記少なくとも1つのトルクは、駆動装置の回転数及び/又はトルクであることが好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかの方法において、前記少なくとも1つの数学的関数によって、測定量の実際に測定された値及びそのために場合により設けられた許容範囲に依存することなく、急変が求められることが好ましい。
以下において、本発明は添付の図面に示された実施例に基づいて詳細に説明される。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の方法を実行するための射出成形機の一例の模式的側面図。
図2a】時間に依存する測定量の推移の一例。
図2b図2aの測定量の導関数の時間推移の一例。
図2c】ハイパスフィルタの一例でフィルタした図2bの推移。
図2d図2cの推移のフーリエ変換の一例。
図2e駆動装置のモータの回転数nに対するトルクMについてのフーリエ変換。
図3】本発明の方法のフローチャートの一例。
【実施例
【0036】
本発明は今や例示的に添付の図面を参照して詳細に説明される。尤も、実施例は単なる例に過ぎず、本発明のコンセプトを特定の配置構成に限定することを意図したものではない。本発明を詳細に説明する前に、本発明は装置の各構成部材および各方法工程に限定されるものではないことを言及しておく。何故ならば、これらの構成部材および方法工程は変更可能であるからである。ここで使用する概念は、特別な実施形態の説明のためにのみ規定されているのであって、限定的に使用されるものではない。さらに、明細書または特許請求の範囲において、単数形または不定冠詞が使用される場合、これらは、その意であることが全体の文脈から一義的に明らかである場合を除き、これらの要素の複数形をも意味するものとする。
【0037】
図1は、型締めユニット10aと可塑化ユニット10bとを有する、プラスチック及び他の可塑性物質の加工のための射出成形機10の一例を模式図で示す。型締めユニット10aは、第1の、有利には定置(固定)の型支持体30と、第2の、有利には可動(移動)の型支持体32とを有し、可動型支持体32は定置型支持体30にタイバー34を介して結合されている。定置型支持体30と可動型支持体32との間には、種々異なる型工具を収容するための型締め空間Rが形成されている。駆動装置36、例えば回転型駆動装置は、射出成形型の開閉機構38、例えばトグルレバー機構を操作する。開閉機構38は、それ自身は支持プレート40において支持され、第2の可動型支持体32を移動させる。1つの射出成形サイクルの間、第2の可動型支持体32は第1の定置型支持体30の方向へ移動され、それによって型工具を閉鎖する。型工具の(2つの)工具半部は型締め空間R内に配置されておりかつこれらの型支持体に対して締め付け固定される。次いで、射出成形材料が可塑化ユニット10bから型工具の型内空間に射出注入される。射出プロセス後、型工具が開かれ、型部材が型締め空間Rから、例えば不図示のエジェクト装置によって、脱型(離型)される。その後、新たな射出成形サイクルが開始される。
【0038】
射出成形機10は、少なくとも1つの機械制御器16と、少なくとも1つの測定量20を処理する少なくとも1つのインタフェース18を有する少なくとも1つの処理ユニット14と、該少なくとも1つの測定量20を検出(測定)する少なくとも1つのセンサ12とを有する。図1に示した好ましい一実施例では、射出成形機10は、射出成形機10の複数の異なる位置に、例えばタイバー34、トグルレバー機構及び/又は駆動装置36に配置されている8つのセンサ12を有する。例えば、センサ12の他の任意の何れの位置取りも可能であり、例えば型締めユニット10aの側部及び/又は可塑化ユニット10bの側部に配置することができる。原理的には、センサ12の個数は任意に設定できる。更に、複数のセンサ12が夫々適切な測定部位に配置されかつ同じ測定量20を検出することも可能である。センサ12の個数のそのような増加及びこれに伴う、測定信号のより短い進行(伝播)時間に基づく高速な応答時間によって、信号の分解能と測定量20の信号の質は有利に大きくなる。1つのセンサ12が、例えば力や加速度のような複数の測定量20を、例えば時間及び/又は位置に依存して検出することも可能である。
【0039】
図2aには、時間tに対する測定量20の、例えば力Fの推移の一例が示されている。本実施例で問題となっているのは、型工具の部分(複数)の型締めの直前の型工具の閉鎖運動(Zufahren)の際の、評価のために重要な(関心のある)領域である。図2aにおいて紙面左側から出発し、型工具は、正の力で移動された後、制動され、これにより負の力が生成し、次いで、力は型締めの際に再び大きくなる。破線の推移21は、グラフを突き抜け出る正常な力生成を有する「良ケース」の一例を示す。水平の線22は、監視限界線の一例を示すが、これが超過される際には、例えば型締めユニットの閉鎖の際の型工具固定(緊締)力が上回られており、そのため、エラー通知が発せられる。検出された測定量20は、処理ユニット14によって、少なくとも1つの数学的関数を有する少なくとも1つのサイクルの少なくとも1つの区間において処理される。この区間は、図2bでは、時点tとtの間の監視ウインドウによって形成されている。少なくとも1つの数学的関数とは、例えば図2bに示されているような時間導関数又は図2dに示されているようなフーリエ変換である。少なくとも1つの得られる結果は、少なくとも1つの分析(解析)の枠(範囲)内において評価され、処理ユニット14の分析はセンサ12内の又はその近くの現場で処理ユニット14内において行われる。原理的には、処理ユニット14は例えばセンサ12に隣接配置されること、センサ12の一部であること又はセンサ12に組み込まれることも可能である。
【0040】
図2bでは、測定量20は力であり、数学的関数は時間に対する導関数(Ableitung)である。図2bには、力の時間導関数(微分)dF/dtが、時間tに対してプロットされて示されている。測定量20の任意の推移、例えば力の時間導関数dF/dt及び/又は加速度の時間導関数da/dtが、時間t又は例えば型締めユニットが閉鎖運動の際に経過する経路(ストローク)sに対してプロットされることも可能である。更に、その測定量20、例えばトルクも、(他の)数学的関数、例えばフーリエ変換、スペクトログラム(Spektrogramme)又はこれらに比肩する方法も可能である。
【0041】
図3には、まとめとして、本発明の方法が開始ステップ100と終了ステップ140とを有するフローチャートの一例で示されている。開始ステップ100の後の第1のステップ110において、少なくとも1つの測定量20が測定(検出)される。その後、この少なくとも1つの測定量20は第2のステップ120において少なくとも1つの数学的関数によって処理される。第3のステップ130では、少なくとも1つの得られた結果が少なくとも1つの分析の枠内において評価され、その後、本方法はステップ140において終了し、そして、例えば次のサイクルが再び新たに開始される。
【0042】
好ましい一実施例では、分析は少なくとも1つの目標/実際-分析を含み、処理ユニット14は、目標状態から実際状態がずれた場合、少なくとも1つの信号を機械制御器16に及び/又は射出成形機10のアクチュエータに、例えば駆動装置36に送信する。目標状態は任意に定義(規定)可能であり、例えば目標状態は、夫々所定の領域において変動しなければならず、そのため目標状態を形成する複数の測定量20を含むことができる。尤も、原理的には、例えば、1つの及び/又は複数の測定量20の時間導関数又は変換について目標状態を定義することも可能である。そのような領域は、例えば図2b及び図2cにおいて監視限界線23、24及び時点tとtの間の監視ウインドウによって形成される。同様の方法で、このことは実際状態にも適用される。実際状態は、例えば複数の測定量20から、例えば力と駆動電流から形成可能であり、及び/又は、測定量20の時間導関数及び/又はフーリエ変換によって形成可能である。
【0043】
本方法に応じ、かくして、クリティカルな(危険な)衝撃プロセスを、力又は加速度微分の微分導関数(differenziell Ableitungen)及び/又は適切な周波数評価(フィルタリング)によって、場合によっては更に周波数領域における信号の考慮(FFT、スペクトログラム又はこれらに比肩する方法)によって補って、検出することも、とりわけ可能である。本方法は、更に、時間領域及び周波数領域における特徴的擾乱の記憶及び再検出によって拡張されることができる。従って、一旦検出されたスペクトルが記憶されている場合、当該スペクトルが新たに発生した時、より迅速にエラー源又は擾乱源を推認することができる。
【0044】
例えば急変プロセス及び衝撃プロセスのようなクリティカルな測定量推移は、付加的な基準によって評価することができる。そのため、例えば力微分又は加速度微分の目標推移は、例えば定義(規定)された経路ストロークΔsにおける許容可能な微分dF/dtの決定によって予め設定可能であり、かくして、目標推移からのずれに関し、処理ユニット14又は機械制御器16のための介入基準が定義(規定)可能である。
【0045】
インタフェース18は、好ましい更なる一実施例では、リアルタイムデジタル接続として、例えばフィールドバスインタフェース又はイーサネットインタフェースとして構成される。
【0046】
実施例では、インタフェース18は機械制御器16のバスクロック列の少なくとも1つのクロックとクロック的に同期されて動作し、及び/又は、処理ユニット14は該バスクロック列の少なくとも1つのクロックにおいて分析を行う。かくして、例えば、測定量20の迅速な検出を達成することができる。クロックの同期は、複数の異なるシステムにおいてデジタル化される場合、大きな有用性を有する。なぜなら、複数の異なる下位システムの同期についての知識(知見)によって、オーバーサンプリングなしで、極めて良好な信号検出が達成可能だからである。クロック同期は、あたかも自発的に、クロックジッタのためのデジタルフィルタのように作用する。クロックジッタはそうでなければ(このフィルタリングがなければ)混入し、上位の制御器のための信号を極めて広帯域で弱めるものである。とりわけ微分又はフーリエ変換のような数学的演算が複数の下位システムにおいて分配的に(分散されて)使用されることが望まれる場合、クロック同期がないとすれば、少なくとも10倍から50倍より高速なスキャンないしサンプリングレートが必要となるであろう、即ち、現場の評価ユニットは著しくより高速でなければならないであろう。従って、本発明に応じたクロック同期的な、有利にはVARAN・イーサネット・接続によって、本発明の変換(Umsetzung)は改善されることができる。
【0047】
好ましい更なる一実施例では、処理ユニット14は、分析における測定量の結果の評価のためのデータを機械制御器16から受け取る。これらのデータによって、処理ユニット14は、機械制御器16にある情報を参照することができる。尤も、これらの情報は現場では処理ユニット14にあるので、より高速な信号処理が可能である。
【0048】
分析の迅速な結果生成のために、有利には、必要に応じて、機械制御器16も分析の少なくとも一部を実行する。
【0049】
図2bに応じた実施例では、測定量20は少なくとも1つの力及び/又は少なくとも1つの加速度を含み、数学的関数は少なくとも1つの時間導関数である。この場合、時間導関数もまた、時点t1とt2の間に形成された監視ウインドウにおいて監視限界線23を上回り、その結果、エラー通知がなされることがわかる。
【0050】
少なくとも1つの力ないし少なくとも1つの加速度は、閉鎖ユニットの、例えば型締めユニット10aの力ないし加速度であると、好ましい。
【0051】
図2cは、更なる数学的関数の一例、例えばハイパスフィルタによる測定量20の処理後の図2bの曲線を示す。フィルタリングによって、別のスケーリングが生じるが、時点tとtとの間に形成される監視ウインドウ内の検出され、微分されかつフィルタリングされた量の推移が監視限界線24を上回ることも見出すことができ、この上回りによって、エラー通知が発生される。信号の監視限界線24を上回る第1傾斜辺(Flanke)によって既に、早期に、重要な(有意な)ずれを検出することができる。尤も、例えば図2d(図2cの信号をフーリエ変換したもの)に示されているように、測定量20に対し任意の数の数学的関数を使用することも可能である。ここでは、とりわけ、破線で示されている良ケースからずれている周波数シフト(Frequenzverlagerungen)が明確になっている。
【0052】
好ましい更なる一実施例では、測定量20は少なくとも1つの回転数及び/又は少なくとも1つのトルクを含み、数学的関数は少なくとも1つのフーリエ変換である。
【0053】
少なくとも1つの回転数及び/又は少なくとも1つのトルクは、駆動装置36の、有利には回転型駆動装置の回転数及び/又はトルクであることが好ましい。この種のフーリエ変換は、駆動装置のモータの回転数nに対するトルクMについて、図2eに示されている。同図においても、良ケースはコントロール(参照)ケースとして破線で示されている。コントロールケースにおいて駆動装置によって生成されるもののような、既知の周波数スペクトルのそばに、良ケースからずれたケースを見出すことができるだけではなく、更には、何がこのずれの原因であるか、例えばどのベアリングが損傷しておりかつ交換される必要があるかを正確かつ早期に認識することができる。
【0054】
少なくとも2つの部分からなる型工具の閉鎖プロセスの際に、正常でない力推移が生じれば、このことは、大抵、不所望のプロセスを示唆する。これは例えば成形部材(成型部品)の挟み込み又は他の異物であり得る。
【0055】
本方法は、測定値の不所望の推移の多くは、数学的関数を推移に対し適用することにより認識可能になる相応の時間変化率によって特徴付けられる急変を示すという知見を利用する。かくして、不所望の力推移は、力の相応の時間変化率dF/dtによって特徴付けられる急変ないし衝撃を含む。これはまた、ニュートンの第2運動法則によって、加速度の時間変化率da/dtと結びつけられている。その限りにおいて、本方法は、考察されるプロセスについての、運動の力微分又は加速度微分(dF/dt又はda/dt)の時間推移の決定と、この(これらの)量(ないし値)の許容できないずれの検出とに基づいている。
【0056】
従来技術において行われているように、既知の方法は、力推移の観察に基づいている。これらの方法はすべて、力推移が選択された動作点に強く依存すると考えていた。例えば閉鎖運動の速度のようなパラメータが変化されると、「良」ケースのための比較値が新たに検出(決定)されなければならず、場合によっては、監視限界線は適合化されなければならない。工具ガイドにおける変化する摩擦挙動又は温度(熱)膨張のようなプロセスにおける更なる変化により、同様に、評価基準は適合化されなければならなくなる。本発明により、まさにこれらの適合化は最早不要になり、ないしは、経験(知識)及び基準値を参照することができる。力又は加速度の微分によって、場合によっては更に適切なフィルタリングで補って、監視は、動作点にないしは力推移の許容可能な変化を結果として伴うプロセスパラメータによる影響に依存しなくなる。力推移におけるオフセットは除去され、適切なフィルタリングによって、関連する領域(エラーケース)に対する評価(分析)は抑制される。
【0057】
本方法と極めて高速な信号検出(オーバースキャニングないしオーバーサンプリング)とを組み合わせると、信号処理器(Signalaufbereiter)としてのセンサ12の近くの又はセンサ12内の現場の処理ユニット14において、制御器に依存しないで(から独立に)、更には射出成形サイクル自体にも依存しないで(から独立に)、エラーケースは評価されかつ検出されることができる。処理ユニット14は機械制御器16に対しエラーケースを例えばデジタル信号として示すことができる。更に、処理ユニット14の機械制御器16への接続はアナログ方式で又はフィールドバスインタフェースないし(リアルタイム)イーサネットインタフェースとして実現することができる。処理ユニット14と機械制御器16との間のこのインタフェースが適切に高速であれば、評価の部分又は本方法全体を機械制御器16でも行うことができる。
【0058】
急変ないし衝撃は、例えば挟み込まれた射出成形部材の部位において、とりわけ外部材がプラスチック領域において変形される前に生じる。急変又は衝撃は、その際、機械的な波動として、例えば縦波として、その発生部位からセンサへ進行する。システムのこの応答時間は、その都度最も短い進行時間(Laufzeit)を評価できるよう、適切な測定部位(複数)に2つ以上のセンサを評価のために配置することによって短縮することができる。同時に、センサの個数(の増加)とともに、力信号の分解能従って信号の質も向上する。
【0059】
例えば力又は加速度のような測定量20の測定は、例えば、型締めユニット10aのパワーフレームの支柱の内部又は表面において又は該フレームのタイバー34の内部又は表面において、又は、信号分解能及び/又は信号の質を改善するために、対向する又は筋交いの第2の支柱(の表面)において実行することができる。場合によっては、測定は、最大のケースでは、すべての支柱又はタイバー34の内部又は表面において実行することも可能である。
【0060】
測定量20の測定は、例えば定置型支持体30若しくは可動型支持体32、後部支持プレート40、トグルレバー構成部材、駆動装置プレート、スピンドル、モータ駆動装置又はこれらに比肩する適切な構成要素のような、力が導入されるか又は力が貫通して導かれる構成要素(の表面)においても行うことができる。
【0061】
上述の本方法は、従って、機械サイズ、閉鎖速度、摩擦、温度(熱)効果(流入)等のようなパラメータに依存することなく(から独立して)、及び、閉鎖ユニットの構造態様及び駆動技術に依存することなく(から独立して)、許容可能な工具負荷の監視を可能にする。
【0062】
本明細書において説明した事項については、添付の特許請求の範囲と等価な範囲において変動する種々の修正、変更および適合を行うことができることは勿論である。
ここに、本発明の可能な態様を付記する。
[付記1]プラスチック及びその他の可塑性材料を加工するためのサイクル的に作動する射出成形機の信号処理方法。
該射出成形機は、
・少なくとも1つの機械制御器、
・少なくとも1つの測定量を検出する少なくとも1つのセンサ、
・少なくとも1つの測定量を処理ユニットのセンサ内の又はセンサの近くの現場で処理し及び少なくとも1つのインタフェースを備える少なくとも1つの処理ユニット
を有する。
処理ユニットは、測定量を少なくとも1つのサイクルの少なくとも1つの部分において少なくとも1つの数学的関数によって処理し、その処理から得られた少なくとも1つの結果を少なくとも1つの分析の枠内において評価する。
[付記2]上記の方法において、分析は少なくとも1つの目標-実際-分析を含む。処理ユニットは実際状態が目標状態からずれている場合少なくとも1つの信号を機械制御器へ及び/又は射出成形機のアクチュエータへ送信する。
[付記3]上記の方法において、インタフェースは、リアルタイムデジタル接続として構成されている。
[付記4]上記の方法において、インタフェースは機械制御器のバスクロック列の少なくとも1つのクロックとクロック同期的に動作する及び/又は処理ユニットは該バスクロック列の少なくとも1つのクロックにおいて分析を行う。
[付記5]上記の方法において、処理ユニットは、分析における測定量の結果の評価のためのデータを機械制御器から受け取る。
[付記6]上記の方法において、機械制御器も分析の少なくとも一部分を行う。
[付記7]上記の方法において、測定量少なくとも1つの力及び/又は少なくとも1つの加速度を含む。数学的関数は測定量の少なくとも1つの時間導関数を含む。
[付記8]上記の方法において、前記得られた結果は、力微分及び/又は加速度微分の目標推移との比較によって、とりわけ定義された経路ストロークΔsにおける許容可能な微分dF/dtの設定によって、評価される。
[付記9]上記の方法において、前記少なくとも1つの力は、閉鎖ユニットの、有利には型締めユニットの、少なくとも部分における力である。
[付記10]上記の方法において、前記少なくとも1つの加速度は、閉鎖ユニットの、有利には型締めユニットの、少なくとも部分についての加速度である。
[付記11]上記の方法において、測定量は少なくとも1つの回転数及び/又は少なくとも1つのトルクを含み、数学的関数は少なくとも1つのフーリエ変換を含む。
[付記12]上記の方法において、前記少なくとも1つの回転数及び/又は前記少なくとも1つのトルクは、駆動装置の、有利には回転型駆動装置の、回転数及び/又はトルクである。
[付記13]上記の方法において、前記少なくとも1つの数学的関数によって、測定量の実際に測定された値及びそのために場合により設けられた許容範囲に依存することなく、急変が求められる。
【符号の説明】
【0063】
10 射出成形機
10a 型締めユニット
10b 可塑化ユニット
12 センサ
14 処理ユニット
16 機械制御器
18 インタフェース
20 測定量
21 測定量(良ケースの場合)
22、23、24 監視限界線
30 定置(固定)型支持体
32 可動(移動)型支持体
34 タイバー
36 駆動装置
38 機構
40 支持プレート
100 開始ステップ
110 第1ステップ
120 第2ステップ
130 第3ステップ
140 終了ステップ
F 力
M トルク
N 回転数
R 型締め空間
t 時間
、t 時点
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3