(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】車両用照明システム、車両システム、灯具ユニットおよび車両用灯具
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/28 20060101AFI20220620BHJP
B60Q 1/52 20060101ALI20220620BHJP
B60Q 1/54 20060101ALI20220620BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20220620BHJP
B60Q 1/50 20060101ALI20220620BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20220620BHJP
B62J 6/023 20200101ALI20220620BHJP
B62J 6/026 20200101ALI20220620BHJP
B62J 6/26 20200101ALI20220620BHJP
B62J 6/24 20200101ALI20220620BHJP
B62J 45/41 20200101ALI20220620BHJP
B62J 50/21 20200101ALI20220620BHJP
B62J 50/25 20200101ALI20220620BHJP
B62J 6/04 20200101ALI20220620BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20220620BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20220620BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20220620BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20220620BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220620BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220620BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20220620BHJP
【FI】
B60Q1/28
B60Q1/52
B60Q1/54
F21S43/14
B60Q1/50 Z
B60Q1/00 G
B62J6/023
B62J6/026
B62J6/26
B62J6/24
B62J45/41
B62J50/21
B62J50/25
B62J6/04
F21W102:10
F21W103:60
F21W103:10
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2019539126
(86)(22)【出願日】2018-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2018029448
(87)【国際公開番号】W WO2019044404
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】P 2017168285
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017168286
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017204725
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】原田 洋幸
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-131212(JP,A)
【文献】特開2013-224126(JP,A)
【文献】特開2012-006533(JP,A)
【文献】特開2017-074820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/28
B60Q 1/52
B60Q 1/54
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B60Q 1/50
B60Q 1/00
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B62J 45/41
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F21W 103/10
F21Y 101/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両に設けられた車両用照明システムであって、
前記車両の前部に搭載されたヘッドランプと、
前記車両の前方から視認可能なように、前記ヘッドランプに隣接する領域の前記車体に配置されたコミュニケーションランプと、
前記車両の状態に応じて、前記コミュニケーションランプの照明状態を変化させるように構成された照明制御部と、
路面上に路面描画パターンを形成可能な路面描画用ランプと、を備
え、
前記コミュニケーションランプの発光パターンは、前記路面描画パターンと関連付けられている、車両用照明システム。
【請求項2】
前記照明制御部は、前記ヘッドランプの点灯状態に応じて、前記コミュニケーションランプの照明状態を変化させるように構成されている、請求項1に記載の車両用照明システム。
【請求項3】
前記コミュニケーションランプは、複数の発光セグメントを有し、
前記照明制御部は、前記複数の発光セグメントの各々の照明状態を変化させるように構成されている、請求項1または2に記載の車両用照明システム。
【請求項4】
前記複数の発光セグメントの各々は、光源と、前記光源を覆うとともに前記光源からの光を透過するカバー部材とから構成され、
前記カバー部材は、前記光源の非点灯時には前記車体の前記コミュニケーションランプが配置された領域と同系統の色で視認されるように構成されている、請求項3に記載の車両用照明システム。
【請求項5】
前記発光パターンの発光タイミングと前記路面描画パターンの発光タイミングとが一致している、請求項
1から4のいずれか一項に記載の車両用照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明システムに関する。
【0002】
また、本発明は、路面描画用の灯具を備える車両システムおよび灯具ユニットに関する。
【0003】
また、本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0004】
二輪車用のヘッドランプが特許文献1などに知られている。
【0005】
また、路面上に図形や文字などの描画パターンを描画する路面描画用灯具ユニットが特許文献2などに知られている。
【0006】
また、尾灯などを含む二輪車用テールランプが特許文献3などに知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特開2017-100500号公報
【文献】日本国特開2017-37806号公報
【文献】日本国特開平5-20905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、技術の進歩やユーザの要請に伴い、自動車、例えば特許文献1のような自動二輪車に搭載されるヘッドランプ(特に光源)のサイズは小さくなる傾向にある。そのため、ヘッドランプの点灯時における他車(前走車や対向車など)や歩行者からの自動二輪車の被視認性が低くなってしまう可能性がある。
【0009】
また、車両の運転者や対向車、歩行者などに適切な情報を伝達するためには、自車両の状況に応じて路面上の描画パターンを調整することが求められている。
【0010】
また、例えば、自動二輪車などの自車両と後続車との間の車間距離を適切に確保するために、自車両に関する情報を自車両の周囲へ適切に報知することが求められている。
【0011】
本発明は、車両の被視認性を向上可能な車両用照明システムを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、自車両の状況に応じて路面上の描画パターンを適切に調整可能な車両システムおよび灯具ユニットを提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、自車両の周囲の対象物へ自車両に関する情報を適切に報知するための路面描画パターンを形成可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の車両用照明システムは、
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両に設けられた車両用照明システムであって、
前記車両の前部に搭載されたヘッドランプと、
前記車両の前方から視認可能なように、前記ヘッドランプに隣接する領域の前記車体に配置されたコミュニケーションランプと、
前記車両の状態に応じて、前記コミュニケーションランプの照明状態を変化させるように構成された照明制御部と、を備えている。
【0015】
上記の車両用照明システムによれば、当該車両用照明システムが搭載された車両の被視認性を向上することができる。これにより、例えば夜間走行時(ヘッドランプ点灯時)の安全性向上に寄与することができる。
【0016】
前記照明制御部は、前記ヘッドランプの点灯状態に応じて、前記コミュニケーションランプの照明状態を変化させるように構成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、ヘッドランプ点灯時の車両の被視認性をさらに高めることができる。
【0018】
前記コミュニケーションランプは、複数の発光セグメントを有し、
前記照明制御部は、前記複数の発光セグメントの各々の照明状態を変化させるように構成されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、複数の発光セグメントの発光パターンを様々に変化させることで、車両の被視認性をさらに高めることができる。
【0020】
前記複数の発光セグメントの各々は、光源と、前記光源を覆うとともに前記光源からの光を透過するカバー部材とから構成され、
前記カバー部材は、前記光源の非点灯時には前記車体の前記コミュニケーションランプが配置された領域と同系統の色で視認されるように構成されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、コミュニケーションランプの非点灯時の車両(特にコミュニケーションランプが搭載される車体)の意匠性を損なうことなく、コミュニケーションランプ点灯時の車両の被視認性を高めることができる。
【0022】
路面上に路面描画パターンを形成可能な路面描画用ランプをさらに備え、
前記コミュニケーションランプの発光パターンは、前記路面描画パターンと関連付けられていてもよい。
【0023】
前記発光パターンの発光タイミングと前記路面描画パターンの発光タイミングとが一致していてもよい。
【0024】
これらの構成によれば、コミュニケーションランプの発光に合わせて路面描画パターンが形成されることで、車両の被視認性をさらに高めることができる。
【0025】
また、上記目的を達成するために、本発明の車両システムは、
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両に搭載される路面描画用灯具と、
前記路面描画用灯具により路面上に形成される路面描画パターンの形状を調整する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記車体の傾き状態に関わらず、前記路面描画パターンの形状を維持する。
【0026】
この構成によれば、自車両の状況に応じて路面描画パターンを調整可能である。特に、車体の傾き状態にかかわらず路面描画パターンの形状を維持することで、常に適切な情報を車両の運転者、対向車、歩行者等に提供することができる。
【0027】
また、本発明の車両システムは、
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両に搭載される路面描画用灯具と、
前記路面描画用灯具により路面上に形成される路面描画パターンの形状を調整する制御部と、を備えており、
前記制御部は、前記車体の傾き状態に応じて、前記路面描画パターンの形状を変化させる。
【0028】
この構成によれば、自車両の状況に応じて路面描画パターンを調整可能である。特に、車体の傾き状態に応じて路面描画パターンの形状を変化させることで、例えばコーナーを安全に走行するために必要な情報を車両の運転者に提供することができる。
【0029】
また、本発明の車両システムにおいて、
前記車体の前記傾き状態を検知するための第一のセンサが前記路面描画用灯具内に設けられていてもよい。
【0030】
この構成によれば、傾き状態の検知情報を、路面描画パターンの形成に適切に反映させることができる。
【0031】
また、本発明の車両システムにおいて、
前記車両の周囲の環境情報を検知するための第二のセンサが前記路面描画用灯具内に設けられていてもよい。
【0032】
この構成によれば、車両周囲の環境情報を、路面描画パターンの形成に適切に反映させることができる。
【0033】
また、本発明の車両システムにおいて、
前記環境情報は、前記車両の周囲の障害物を含み、
前記制御部は、前記第二のセンサにより前記障害物を検知した場合に、前記車両の位置情報、前記障害物の位置情報、および前記障害物との相対位置関係に関する情報のうち少なくとも一つに基づいて、前記路面描画パターンに付加される付加路面描画パターンを形成するよう前記路面描画用灯具を制御するように構成されていてもよい。
【0034】
この構成によれば、障害物の検知情報や車両および障害物の位置情報を、路面描画パターンの形成に適切に反映させることができる。
【0035】
上記目的を達成するために、本発明の灯具ユニットは、
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両に設けられた灯具ユニットであって、
路面描画用灯具と、
前記路面描画用灯具により路面上に形成される路面描画パターンの形状を調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記車体の傾き状態に関わらず前記路面描画パターンの形状を維持する第一のモードと、前記車体の傾き状態に応じて前記路面描画パターンの形状を変化させる第二のモードとの少なくとも一方で前記路面描画用灯具を作動可能である。
【0036】
この構成によれば、自車両の状況に応じて路面描画パターンを調整可能な灯具ユニットを提供することができる。
【0037】
また、上記目的を達成するために、本発明の車両用灯具は、
曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両に設けられた車両用灯具であって、
前記車両の周囲の路面に路面描画パターンを形成する路面描画用ランプと、
前記車両の周囲の対象物を検知する検知部と、
前記路面描画用ランプを制御する照明制御部と、を備え、
前記照明制御部は、前記検知部から取得した前記対象物の第一検知情報に基づいて、前記路面描画パターンを形成するように前記路面描画ランプを制御する。
【0038】
本開示の車両用灯具によれば、一定条件下において車両後方の路面に路面描画パターンを形成することで、車両後方の対象物(例えば、後続車)へ自車両に関する情報を適切に報知することができる。
【0039】
前記路面描画用ランプは、前記車両の後方の路面に前記路面描画パターンを形成するように構成されていてもよい。
【0040】
この構成によれば、例えば、後続車の運転者へ対して自車両に関する情報を適切に報知することができる。
【0041】
前記対象物は、前記車両の後続車を含み、
前記第一検知情報は、前記車両と前記後続車との車間距離が一定の距離以下になった場合を含んでもよい。
【0042】
この構成によれば、自車両へ後続車が接近してきた場合に、後続車の運転者へ自車両との車間距離を適切に確保するように促すことができる。
【0043】
前記路面描画パターンは、前記車間距離に関する情報を含んでもよい。
【0044】
この構成によれば、路面描画パターンが車間距離を確保することを促すためのものであることを、後続車の運転者が容易に認識することができる。
【0045】
前記照明制御部は、前記車間距離に応じて、前記路面描画パターンの表示態様を変更するように構成されていてもよい。
【0046】
この構成によれば、後続車の運転者への路面描画パターンを用いた注意喚起をより効果的に行うことができる。
【0047】
前記照明制御部は、前記第一検知情報とは異なる第二検知情報を取得可能に構成されていてもよい。
【0048】
この構成によれば、例えば、後続車との車間距離以外の他の条件を加えて路面描画パターンを形成することができるため、後続車の運転者へ対して、より効果的な注意喚起を行うことができる。
【0049】
前記第二検知情報は、前記車両の車速に関する情報、前記車速の変化状態に関する情報、および天候に関する情報の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0050】
この構成によれば、例えば、自車両が高スピードで走行している場合、自車両が急ブレーキをかけた場合、悪天候の場合などの車間距離の確保が重要な場面において、自車両の後方に路面描画パターンを形成することができる。
【0051】
前記照明制御部は、前記第一検知情報に応じて前記路面描画パターンを形成する第一モードと、前記車両の運転者の入力指示に応じて前記路面描画パターンを形成する第二モードとを有していてもよい。
【0052】
この構成によれば、自車両の運転者が後続車への注意喚起が必要と判断した場合にも、路面描画パターンを形成することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、車両の被視認性を向上可能な車両用照明システムを提供することができる。
【0054】
また、本発明によれば、自車両の状況に応じて路面描画パターンを調整可能な車両システムおよび灯具ユニットを提供することができる。
【0055】
また、本発明によれば、自車両の周囲の対象物へ自車両に関する情報を適切に報知するための路面描画パターンを形成可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る車両用照明システムを備えた車両の一部拡大斜視図である。
【
図2】
図1の車両用照明システムのブロック図である。
【
図3】
図2の車両用照明システムが備えるコミュニケーションランプの概略構成を示す断面図である。
【
図4】車両用照明システムによる照明パターンの一例を示す図である。
【
図5】コミュニケーションランプの発光パターンと路面描画用ランプの路面描画パターンとが段階的に形成される場合の一例を示す図である。
【
図6】コミュニケーションランプの発光パターンと路面描画用ランプの路面描画パターンとが段階的に形成される場合の一例を示す図である。
【
図7】コミュニケーションランプの発光パターンと路面描画用ランプの路面描画パターンとが段階的に形成される場合の一例を示す図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係る車両の一例を示す斜視図である。
【
図9】
図8の車両に搭載されるランプユニットのブロック図である。
【
図10】
図9のランプユニットの構成を示す垂直断面図である。
【
図11】
図9のランプユニットが備える路面描画ランプの光源ユニットの構成を示す側面図である。
【
図12】路面描画ランプの配光部の構成を示す斜視図である。
【
図13】路面描画ランプにより形成される路面描画パターンの一例を示す図である。
【
図15A】路面描画パターンの第一変形例を説明する図である。
【
図15B】路面描画パターンの第一変形例を説明する図である。
【
図16】路面描画パターンの第二変形例を説明する図である。
【
図17】本発明の第三実施形態に係る車両用灯具を備えた車両の一部拡大斜視図である。
【
図24】
図20に示す路面描画ランプの点灯制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図25】
図20に示す路面描画ランプの点灯制御の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態における、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」とは、
図1に示す車両100について、説明の便宜上、設定された相対的な方向である。「前後方向」とは、「前方向」および「後方向」を含む方向である。「左右方向」とは、「左方向」および「右方向」を含む方向である。「上下方向」とは、「上方向」および「下方向」を含む方向である。
【0058】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態に係る車両用照明システム1を備えた車両100の一例として自動二輪車を示す。自動二輪車100は、曲がる方向に向かって車体を傾けることで道路のコーナー(カーブ)に沿って走行することが可能な車両である。本実施形態の車両は、この自動二輪車100のように、曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両であればよく、車輪の数は限定されない。したがって、例えば自動三輪車、自動四輪車などであっても、この自動二輪車100と同様に走行可能であれば本実施形態の車両に含まれる。
【0059】
図1および
図2に示すように、自動二輪車100には、例えば、車体の前部に本実施形態に係る車両用照明システム1が搭載されている。車両用照明システム1は、車両前方を照射可能なヘッドランプ2と、車両前方から視認可能なコミュニケーションランプ3と、路面上に描画パターンを形成可能な路面描画用ランプ4と、を備えている。なお、本実施形態では、一個のヘッドランプ2を備える自動二輪車100を例示しているが、例えば左右に一個ずつのヘッドランプを備える自動二輪車であってもよい。なお、ヘッドランプ2は、自動二輪車100の前側の車体の少なくとも一部を構成するカウル(車体の一例)101の中央に配置され、コミュニケーションランプ3は、ヘッドランプ2に隣接する領域のカウル101に配置されている。なお、コミュニケーションランプ3は、カウル101に配置されるものに限られず、ヘッドランプ2に隣接する領域であって自動二輪車100の周囲から容易に視認可能な位置に配置されていればよい。路面描画用ランプ4は、自動二輪車100の周囲から視認されにくい位置に配置されていることが好ましい。本例では、路面描画用ランプ4は、例えば、
図1に示すように、ヘッドランプ2の下側であって、カウル101の下部に配置されている。
【0060】
ヘッドランプ2は、光源21を備えている。光源21は、レンズとリフレクタの少なくとも一方を含む光学系を備えており、所定の領域を照明する光を出射する。光源21においては、ランプ光源や発光素子が使用されうる。ランプ光源の例としては、白熱ランプ、ハロゲンランプ、放電ランプ、ネオンランプなどが挙げられる。発光素子の例としては、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL素子などが挙げられる。
【0061】
コミュニケーションランプ3は、自動二輪車100の状態や進行方向を、他車や歩行者に伝えるための灯具であり、標識灯の機能を兼ねている。本実施形態のコミュニケーションランプ3は、特に、他車からの被視認性を高め、自車の存在を他車に知らせるための装飾用灯具として用いられる。そのため、ヘッドランプ2のような前照灯としての機能は備えておらず、歩行者や他車の運転者に眩しさを与えない程度の光度で発光することが好ましい。
【0062】
路面描画用ランプ4は、自動二輪車100の前方の路面に所定の描画パターンを投影(照射)するための構成を備えている。路面描画用ランプ4としては、例えば、プロジェクタが挙げられる。
【0063】
図2に示すように、車両用照明システム1は、ヘッドランプ2、コミュニケーションランプ3、および路面描画用ランプ4の動作を制御する照明制御部5を備えている。照明制御部5には、ヘッドランプ2、コミュニケーションランプ3、および路面描画用ランプ4が接続されているとともに、自動二輪車100の傾き状態(バンク角度)を検知するバンク角センサ6と、車両外部の環境情報を検知する外部センサ7とが接続されている。さらに、照明制御部5には、自動二輪車100の速度を検知するための速度センサ8等が接続されている。制御部5、バンク角センサ6、外部センサ7、および速度センサ8は、ヘッドランプ2(または路面描画用ランプ4)の灯室内に設けられていてもよく、ヘッドランプ2等の外部であって自動二輪車100の車体の所定位置に搭載されていてもよい。制御部5は、自動二輪車100に搭載されている統合制御部(ECU)の一機能として実現されてもよいし、ヘッドランプ2や路面描画用ランプ4の灯室内に配置された制御装置の一機能として実現されてもよい。
【0064】
バンク角センサ6は、自動二輪車100の車体が鉛直線に対して左右に傾斜したときの傾斜角を検知することが可能なセンサである。バンク角センサ6は、例えばジャイロセンサで構成されている。なお、自動二輪車100に搭載されたカメラで撮影した画像に基づいて車体の傾斜角を算出するようにしてもよい。
【0065】
外部センサ7は、自動二輪車100の周辺環境(例えば障害物、他車(前走車、対向車)、歩行者、道路形状、交通標識等)を含む自車両の外部の情報を取得することが可能なセンサである。外部センサ7は、例えばLiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging)、カメラ、レーダ等の少なくとも一つで構成されている。
【0066】
LiDARは、一般にその前方に非可視光を出射し、出射光と戻り光とに基づいて、物体までの距離、物体の形状、物体の材質、物体の色などの情報を取得するセンサである。
カメラは、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラは、可視光を検出するカメラや、赤外線を検出する赤外線カメラを含む。
レーダは、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等を含む。
【0067】
バンク角センサ6、外部センサ7および速度センサ8によって検知された各情報は、照明制御部5へ送信される。照明制御部5は、各センサ6~8から送信されてきた情報に基づいて、ヘッドランプ2、コミュニケーションランプ3、および路面描画用ランプ4の動作を制御する。例えば、照明制御部5は、各センサの検知情報に基づいてヘッドランプ2を制御し、車両前方に形成される配光パターンを調整することが可能である。また、照明制御部5は、各センサ6~8の検知情報に基づいてコミュニケーションランプ3を制御し、車両前方から視認される発光パターン(以下、コミュニケーションパターンと称する)を調整することが可能である。さらに、照明制御部5は、各センサ6~8の検知情報に基づいて路面描画用ランプ4を制御し、路面上に形成される路面描画パターンを調整することが可能である。
【0068】
図3は、コミュニケーションランプ3の概略構成を示す図である。
図3に示すように、コミュニケーションランプ3は、カウル101の表面において所定の間隔をもって配置された複数の発光セグメント31から構成されている。複数の発光セグメント31の各々は、光源33と、フィルム35(カバー部材の一例)と、を備えている。各光源33は、カウル101に形成された複数の凹部102の各々に配置されている。光源33の例としては、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL素子などが挙げられる。
【0069】
各フィルム35は、各光源33の上面を覆うように各凹部102に取り付けられ、前記各光源33からの光を透過させる。すなわち、各発光セグメント31は、各光源33が、各凹部102とフィルム35とにより形成される灯室の内部に収容されることで形成されている。フィルム35は、光源33からの光を透過しつつ、光源33が非点灯時にはカウル101と同系統の色で視認されるような材質から構成されている。例えば、カウル101が銀色である場合には、フィルム35も光源33の非点灯時にはカウル101と同一の銀色で視認され、光源33の点灯時には光源33の発光色(例えば白色)で視認されるような材質から構成され得る。
【0070】
なお、本例では、カウル101の表面に複数の凹部102が形成され、各凹部102に1つの光源33が収容されている構成を例示したがこの例に限られない。例えば、所定間隔で配列された複数の光源を備えた透明フレキシブルプリント基板(FPC(Flexible Printed Circuit))をカウル101の表面に搭載し、当該透明FPCの表面を、透明FPCの光源からの光を透過しつつ当該光源が非点灯時にはカウル101と同系色で視認可能なカバー部材により覆う構成であってもよい。
【0071】
照明制御部5は、自動二輪車100の状態に応じて、コミュニケーションランプ3の照明状態を変化させるように構成されている。例えば、照明制御部5は、ヘッドランプ2の点灯タイミングと同時またはヘッドランプ2の点灯タイミングに連動して、コミュニケーションランプ3の複数のセグメント31の少なくとも一部を点灯させるように構成されていてもよい。また、照明制御部5は、外部センサ7により、自動二輪車100から一定の距離内に他車や歩行者等の対象物が存在すると判定された場合に、コミュニケーションランプ3の複数のセグメント31の少なくとも一部を点灯させるように構成されていてもよい。照明制御部5は、速度センサ8で検知された速度が一定のしきい値を超えた場合または速度が一定のしきい値を下回った場合に、コミュニケーションランプ3の複数のセグメント31の少なくとも一部を点灯させるように構成されていてもよい。
【0072】
以上説明したように、自動二輪車100に設けられた車両用照明システム1は、車両前部に搭載されたヘッドランプ2と、車両の前方から視認可能なように、ヘッドランプ2に隣接する領域のカウル101に配置されたコミュニケーションランプ3と、車両の状態に応じて、コミュニケーションランプ3の照明状態を変化させるように構成された照明制御部5と、を備えている。この構成によれば、例えば、自動二輪車100のヘッドランプ2を点灯させた時など、車両の状態に応じてコミュニケーションランプ3を点灯させることで、当該車両の被視認性を向上することができる。これにより、ヘッドランプ2のサイズが小さくなった場合でも、自動二輪車100の被視認性を損なうことがなく、夜間走行時の安全性向上に寄与することができる。
【0073】
また、照明制御部5は、ヘッドランプ2の点灯状態に応じて、コミュニケーションランプ3の照明状態を変化させるように構成され得る。そのため、ヘッドランプ2の点灯時の自動二輪車100の被視認性を高めることができる。
【0074】
また、コミュニケーションランプ3は、複数の発光セグメント31を有し、照明制御部5は、複数の発光セグメント31の各々の照明状態を変化させるように構成され得る。この構成によれば、複数の発光セグメント31の発光パターンを様々に変化させることで、自動二輪車100の被視認性をさらに高めることができる。
【0075】
また、複数の発光セグメント31が備えるフィルム35は、光源33の非点灯時には自動二輪車100のカウル101のコミュニケーションランプ3が配置された領域と同系統の色で視認されるように構成されている。この構成によれば、コミュニケーションランプ3の非点灯時の自動二輪車100の意匠性を損なうことがない。
【0076】
次に、本実施形態に係る車両用照明システム1の照明パターンの例について、
図4~
図7を参照しつつ説明する。
図4は、コミュニケーションランプ3の発光パターンおよび路面描画用ランプ4により路面上に形成される路面描画パターンの一例を示す図である。
【0077】
図4に示すように、照明制御部5は、コミュニケーションランプ3の発光に連動して路面描画用ランプ4により路面上に所定形状の路面描画パターンP2を形成するように構成されていてもよい。例えば、路面描画パターンP2は、コミュニケーションランプ3の発光パターンP1(すなわち、複数の発光セグメント31の配列形状)と対応する形状であることが好ましい。コミュニケーションランプ3の発光と連動して路面描画パターンP2が路面上に形成されることで、前走車や対向車または歩行者からの自動二輪車100の被視認性をさらに高めることができる。
【0078】
なお、照明制御部5は、コミュニケーションランプ3の発光パターンP1の発光タイミングと路面描画用ランプ4により形成される路面描画パターンP2の発光タイミングとを、自動二輪車100の状態や外部環境の変化に応じて、様々に変化させることができる。例えば、発光パターンP1の発光タイミングと路面描画パターンP2の発光タイミングとが一致していてもよい。
【0079】
また、照明制御部5は、
図5~
図7に示すように、発光パターンP1と路面描画パターンP2とが段階的に点灯/照射されるようにこれらの発光タイミングを制御してもよい。なお、
図5~
図7において、白抜きで表示されたパターンP1,P2が発光あるいは照射されている部分であり、黒色で塗りつぶされたパターンP1,P2は発光あるいは照射されていない部分である。このように、照明制御部5は、複数の発光セグメント31を1つずつあるいは連続するグループごとに順次に点灯制御することができ、さらに、路面描画パターンP2の各配光部を1つずつあるいは連続するグループごとに順次に点灯制御することができる。
【0080】
上記の実施形態では、コミュニケーションランプ3は、複数の発光セグメント31により構成されているがこの例に限られない。例えば、コミュニケーションランプ3は、カウル101のある一定の領域全体が発光するような面発光部により構成されていてもよい。例えば、面発光部は有機発光ダイオード(OLED(Organic Light Emitting Diode))や発光ポリマーなどの有機EL素子から構成され得る。
【0081】
(第二実施形態)
図8は、第二実施形態に係る車両300の一例として自動二輪車を示す。自動二輪車300は、曲がる方向に向かって車体を傾けることで道路のコーナー(カーブ)に沿って走行することが可能な車両である。本実施形態の車両は、この自動二輪車300のように、曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両であればよく、車輪の数は限定されない。したがって、例えば自動三輪車、自動四輪車などであっても、この自動二輪車300と同様に走行可能であれば本実施形態の車両に含まれる。
【0082】
図8に示すように、自動二輪車300には、その前部にランプユニット301が搭載されている。ランプユニット301は、路面上に描画パターンを形成可能な路面描画ランプ302と、車両前方を照射可能なヘッドランプ303とを備えている。なお、本実施形態では、一個のランプユニット301を備える自動二輪車300を例示しているが、例えば左右に一個ずつのランプユニットを備える自動二輪車であってもよい。また、路面描画ランプとヘッドランプとが別体として、異なる場所、例えば、ヘッドランプが車両前部の中央部に、路面描画ランプがヘッドランプの下方であって車両正面から視認されにくい箇所に配置されていてもよい。
【0083】
図9に示すように、ランプユニット301(車両システム)は、路面描画ランプ302およびヘッドランプ303の動作を制御するランプ制御部305を備えている。ランプ制御部305には、路面描画ランプ302およびヘッドランプ303が接続されているとともに、自動二輪車300の傾き状態を検知するバンク角センサ306(第一のセンサの一例)と、車両外部の環境情報を検知する外部センサ307(第二のセンサの一例)とが接続されている。さらに、ランプ制御部305には、自動二輪車300の速度を検知するための速度センサ308等が接続されている。
【0084】
バンク角センサ306、外部センサ307および速度センサ308によって検知された各情報は、ランプ制御部305へ送信される。ランプ制御部305は、各センサ306~308から送信されてきた情報に基づいて、路面描画ランプ302およびヘッドランプ303の動作を制御する。例えばランプ制御部305は、各センサ306~308の検知情報に基づいて路面描画ランプ302を制御し、路面上に描画される描画パターンの形状を調整することが可能である。また、ランプ制御部305は、各センサの検知情報に基づいてヘッドランプ303を制御し、車両前方に形成される配光パターンを調整することが可能である。
【0085】
図10は、ランプユニット301が備える路面描画ランプ302の概略構成を示す垂直断面図である。
図10に示すように、ランプユニット301は、車両前方側に開口部を有するランプボディ311と、ランプボディ311の開口部を覆うように取り付けられた透明の前面カバー312とを備えている。このランプボディ311と前面カバー312とにより形成される灯室313の内部に、路面描画ランプ302、ランプ制御部305、バンク角センサ306、および外部センサ(例えばLiDAR)307等が収容されている。なお、
図10の断面図では図示されていないが、ヘッドランプ303も路面描画ランプ302と同様にランプユニット301の灯室313内に収容されている。
【0086】
路面描画ランプ302は、光源ユニット320と、光源ユニット320からの光を反射する配光部330とを備えている。光源ユニット320および配光部330は、支持プレート341により灯室313内の所定位置に支持されている。支持プレート341は、エイミングスクリュー342を介してランプボディ311に取り付けられている。
【0087】
光源ユニット320は、複数(本例では3個)の光源321と、ヒートシンク322と、複数(本例では4個)のレンズ323と、集光部324とを有している。光源ユニット320は、支持プレート341の前面に固定されている。各々の光源321は、ランプ制御部305と電気的に接続されている。
【0088】
配光部330は、端子部337と、反射鏡338とを有している。配光部330は、光源ユニット320から出射されたレーザ光を、反射鏡338を介して、路面描画ランプ302の前方へ反射できるように、光源ユニット320との位置関係が定められている。配光部330は、支持プレート341の前面から前方に突出する突出部343の先端に固定される。端子部337は、ランプ制御部305と電気的に接続されている。
【0089】
ランプ制御部305は、支持プレート341よりも後方側でランプボディ311に固定されている。なお、ランプ制御部305が設けられる位置は、この位置に限定されない。路面描画ランプ302は、エイミングスクリュー342を回転させて支持プレート341の姿勢を調節することで光軸を水平方向および垂直方向に調整できるように構成されている。
【0090】
図11は、路面描画ランプ302を構成する光源ユニット320の側面図である。
図11に示すように、光源ユニット320は、第一の光源321aと、第二の光源321bと、第三の光源321cと、ヒートシンク322と、第一のレンズ323aと、第二のレンズ323bと、第三のレンズ323cと、第四のレンズ323dと、集光部324とを有している。
【0091】
第一の光源321aは、赤色レーザ光Rを出射する光源であり、赤色レーザダイオードからなる発光素子で構成されている。同様に、第二の光源321bは、緑色レーザ光Gを出射する緑色レーザダイオードで構成されており、第三の光源321cは、青色レーザ光Bを出射する青色レーザダイオードで構成されている。第一の光源321aと、第二の光源321bと、第三の光源321cとは、各々の光出射面であるレーザ光出射面325aと、レーザ光出射面325bと、レーザ光出射面325cとが互いに平行となるように配置されている。なお、各光源の発光素子は、レーザダイオードに限定されない。
【0092】
第一の光源321a~第三の光源321cは、それぞれのレーザ光出射面325a~325cが路面描画ランプ302の前方を向くように配置され、ヒートシンク322に取り付けられている。ヒートシンク322は、アルミニウムなど熱伝導率が高い材料によって形成されており、ヒートシンク322の後側面が支持プレート341(
図10参照)に接触された状態で光源ユニット320に取り付けられている。
【0093】
第一のレンズ323a~第四のレンズ323dは、例えばコリメートレンズで構成されている。第一のレンズ323aは、第一の光源321aと集光部324との間の赤色レーザ光Rの光路上に設けられ、第一の光源321aから出射された赤色レーザ光Rを平行光に変換して集光部324に出射する。第二のレンズ323bは、第二の光源321bと集光部324との間の緑色レーザ光Gの光路上に設けられ、第二の光源321bから出射された緑色レーザ光Gを平行光に変換して集光部324に出射する。
【0094】
第三のレンズ323cは、第三の光源321cと集光部324との間の青色レーザ光Bの光路上に設けられ、第三の光源321cから出射された青色レーザ光Bを平行光に変換して集光部324に出射する。第四のレンズ323dは、光源ユニット320の筐体326の上部に設けられた開口に嵌め合わされている。第四のレンズ323dは、集光部324と配光部330(
図10参照)との間の白色レーザ光W(後述)の光路上に設けられ、集光部324から出射された白色レーザ光Wを平行光に変換して配光部330に出射する。
【0095】
集光部324は、赤色レーザ光R、緑色レーザ光G、および青色レーザ光Bを集合させて白色レーザ光Wを生成する。集光部324は、第一のダイクロイックミラー324aと、第二のダイクロイックミラー324bと、第三のダイクロイックミラー324cとを有している。
【0096】
第一のダイクロイックミラー324aは、少なくとも、赤色光を反射し青色光および緑色光を透過させるミラーであり、第一のレンズ323aを通過した赤色レーザ光Rを第四のレンズ323dに向けて反射するように配置されている。第二のダイクロイックミラー324bは、少なくとも、緑色光を反射し青色光を透過させるミラーであり、第二のレンズ323bを通過した緑色レーザ光Gを第四のレンズ323dに向けて反射するように配置されている。第三のダイクロイックミラー324cは、少なくとも、青色光を反射するミラーであり、第三のレンズ323cを通過した青色レーザ光Bを第四のレンズ323dに向けて反射するように配置されている。
【0097】
また、第一のダイクロイックミラー324a~第三のダイクロイックミラー324cは、それぞれが反射したレーザ光の光路が平行で、かつ各レーザ光が集合して第四のレンズ323dに入射されるように、互いの位置関係が定められている。本例では、第一のダイクロイックミラー324a~第三のダイクロイックミラー324cは、各ダイクロイックミラー324a~324cにおいてレーザ光が当たる領域(レーザ光の反射点)が一直線上に並ぶように配置されている。
【0098】
第三の光源321cから出射された青色レーザ光Bは、第三のダイクロイックミラー324cで反射され、第二のダイクロイックミラー324b側に進行する。第二の光源321bから出射された緑色レーザ光Gは、第二のダイクロイックミラー324bにより第一のダイクロイックミラー324a側に反射されるとともに、第二のダイクロイックミラー324bを透過した青色レーザ光Bと重ね合わせられる。第一の光源321aから出射された赤色レーザ光Rは、第一のダイクロイックミラー324aにより第四のレンズ323d側に反射されるとともに、第一のダイクロイックミラー324aを透過した青色レーザ光Bおよび緑色レーザ光Gの集合光と重ね合わせられる。その結果、白色レーザ光Wが形成され、形成された白色レーザ光Wは、第四のレンズ323dを通過して配光部330に向けて進行する。
【0099】
第一の光源321a~第三の光源321cは、赤色レーザ光Rを出射する第一の光源321aが集光部324から最も近い位置に配置され、青色レーザ光Bを出射する第三の光源321cが集光部324から最も遠い位置に配置され、緑色レーザ光Gを出射する第二の光源321bが中間の位置に配置される。すなわち、第一の光源321a~第三の光源321cは、出射するレーザ光の波長が長いものほど集光部324に近い位置に配置される。
【0100】
図12は、路面描画ランプ302を構成する配光部330を前方側から観察したときの斜視図である。
図12に示すように、配光部330は、ベース331と、第一の回動体332と、第二の回動体333と、第一のトーションバー334と、第二のトーションバー335と、永久磁石336a,336bと、端子部337と、反射鏡338とを有している。配光部330は、例えばガルバノミラーで構成されている。なお、配光部330を例えばMEMS(メムス)ミラーで構成するようにしてもよい。
【0101】
ベース331は、中央に開口部331aを有する枠体であり、路面描画ランプ302の前後方向へ傾斜した状態で突出部343(
図10参照)に固定されている。ベース331の開口部331aには、第一の回動体332が配置されている。第一の回動体332は、中央に開口部332aを有する枠体であり、路面描画ランプ302の後方下側から前方上側に延在する第一のトーションバー334により、ベース331に対し左右(車幅方向)に回動可能に支持されている。
【0102】
第一の回動体332の開口部332aには、第二の回動体333が配置されている。第二の回動体333は、矩形状の平板であり、車幅方向に延在する第二のトーションバー335により、第一の回動体332に対し上下(垂直方向)に回動可能に支持されている。第二の回動体333は、第一の回動体332が第一のトーションバー334を回動軸として左右に回動すると、第一の回動体332と共に左右に回動する。第二の回動体333の表面には、メッキまたは蒸着等により反射鏡338が設けられている。
【0103】
ベース331には、第一のトーションバー334の延在方向と直交する位置に、一対の永久磁石336aが設けられている。永久磁石336aは、第一のトーションバー334と直交する磁界を形成する。第一の回動体332には第一のコイル(図示省略)が配線され、第一のコイルは、端子部337を介してランプ制御部305に接続されている。また、ベース331には、第二のトーションバー335の延在方向と直交する位置に、一対の永久磁石336bが設けられている。永久磁石336bは、第二のトーションバー335と直交する磁界を形成する。第二の回動体333には第二のコイル(図示省略)が配線され、第二のコイルは、端子部337を介してランプ制御部305に接続されている。
【0104】
第一のコイルおよび第二のコイルに流れる電流の大きさと向きとが制御されることにより、第一の回動体332および第二の回動体333が左右に往復回動し、また第二の回動体333が単独で上下に往復回動する。これにより、反射鏡338が上下左右に往復回動する。
【0105】
光源ユニット320と配光部330とは、光源ユニット320から出射された白色レーザ光Wが反射鏡338で路面描画ランプ302の前方に反射されるよう互いの位置関係が定められている。配光部330は、反射鏡338の往復回動により白色レーザ光Wで自動二輪車300の前方を走査する。例えば、配光部330は、形成すべき描画パターンの領域を白色レーザ光Wにより走査する。これにより、白色レーザ光Wが描画パターンの形成領域に配光されて、自動二輪車300の前方(例えば路面上)に所定の描画パターンが形成される。
【0106】
図13は、路面描画ランプ302により形成される路面描画パターンの一例を示す図である。
図13に示す路面描画パターン350(本例では星形描画パターン)は、路面描画ランプ302の前方の路面上の所定位置に形成された路面描画パターンを示している。なお、H-Hは水平方向、V-Vは垂直方向を表す。
【0107】
路面描画ランプ302の配光部330は、車幅方向に延在する矩形の走査領域SA内を白色レーザ光Wでスキャン可能である。ランプ制御部305は、配光部330の走査位置が描画しようとしている路面描画パターン内である場合、光源321からレーザ光を出射させるように各光源321を制御する。一方、ランプ制御部305は、配光部330の走査位置が描画しようとしている路面描画パターン外である場合、光源321からのレーザ光の出射を停止させるように各光源321を制御する。これにより、例えば、
図13に示す星形描画パターン350のような所定の形状を有する路面描画パターンが形成される。
【0108】
次に、路面描画ランプ302の照射によって路面上に描画される描画パターンの制御方法について、
図14A~14Cを参照しつつ説明する。
図14A~14Cは、自動二輪車300が、自車線Cと対向車線Dとからなる道路において、自車線Cを走行している状況を示している。なお、矢印Eは自動二輪車300の進行方向を表し、矢印Jは自車線Cの方向を表し(
図14Aでは、矢印Eと矢印Jは同方向である。)、矢印Kは道路の水平方向を表す。
【0109】
図14Aは、自動二輪車300の車体が傾いていない状態のときに路面描画ランプ302により路面上に描画される星形描画パターン351を示す図である。
図14Bは、自動二輪車300の車体が左に傾いている状態のときに、路面描画パターンの調整機能を持たない路面描画ランプ(従来の路面描画ランプ)により路面上に描画される星形描画パターン352を示す図である。
図14Cは、自動二輪車300の車体が左に傾いている状態のときに本実施形態の路面描画ランプ302により路面上に描画される星形描画パターン353を示す図である。
【0110】
図14Aに示すように、自動二輪車300が路面に対して車体を垂直にした状態で走行している場合、例えば直線道路をまっすぐに走行している場合には、路面描画ランプ302から照射された白色レーザ光Wは、歪みのない形の星形描画パターン351となって路面上に描画される。
【0111】
ところが、
図14Bに示すように、自動二輪車300が路面に対して車体を例えば左に傾けた場合、例えば道路の左側に寄るために車体を左に傾けて走行した場合、従来の路面描画ランプでは、照射された白色レーザ光Wが歪んだ形の星形描画パターン352として路面上に描画される。これは、自動二輪車300の水平方向Fが道路の水平方向Kに対して傾いたために、路面描画ランプから路面までの照射距離が、星形描画パターン352の左領域と右領域とで相違する照射距離となったことに起因する。例えば自動二輪車300の進行方向である矢印Eで示されるラインを基準とすると、ラインEから左へ離れるほど、傾きの分だけ路面描画ランプから路面までの照射距離が短くなり、ラインEから右へ離れるほど、傾きの分だけ路面描画ランプから路面までの照射距離が長くなる。このため、ラインEの左側領域では左へ離れるほど路面上に描画される星形描画パターン352の形状が徐々に小さくなるのに対し、ラインの右側領域では右へ離れるほど星形描画パターン352の形状が徐々に大きくなり、路面上に歪んだ形の星形描画パターン352となって描画される。
【0112】
これに対して、
図14Cに示すように、本実施形態の路面描画ランプ302によれば、自動二輪車300が上記同様に車体を例えば左に傾けて走行した場合でも、照射された白色レーザ光Wが、歪のない星形描画パターン353となって路面上に描画される。これは、配光部330の走査で描画する星形描画パターンの形状を、自動二輪車300の傾きに応じて、その傾きによる歪が補正されるようにランプ制御部305によって調整しているからである。
【0113】
ランプ制御部305は、バンク角センサ306によって検知された自動二輪車300の車体の傾斜角情報をバンク角センサ306から取得する。また、ランプ制御部305は、星形描画パターン353が描画される路面の状況を外部センサ307から取得する。そして、ランプ制御部305は、取得された車体の傾斜角情報と路面状況に基づいて、路面と路面描画ランプ302との距離、すなわち白色レーザ光Wが照射される照射距離を算出する。
【0114】
ランプ制御部305は、車体の傾斜角および白色レーザ光Wの照射距離等の情報に基づいて、補正なしで描画されたときに生じる星形描画パターンの歪量を算出するとともに、その歪を補正するために必要な歪補正量を算出する。ランプ制御部305は、算出した歪補正量に基づいて、路面上の星形描画パターンを歪のない星形描画パターンにするために、予め形状が歪分だけ補正されている補正星形描画パターンを決定する。
【0115】
ランプ制御部305は、補正星形描画パターンを描画するための制御信号を生成し、配光部330および各光源321(321a~321c)に送信する。配光部330および各光源321(321a~321c)は、制御信号に基づいて、補正済みの星形描画パターンを形成する。これにより、路面上には、
図14Cに示すように、歪のない星形描画パターン353が描画される。すなわち、自動二輪車300の車体が傾いた場合でも、車体が傾いていない状態のときに描画される歪のない星形描画パターン(
図14Aの星形描画パターン351)の形状を維持して描画することができる。
【0116】
以上のような構成の自動二輪車300(車両システム)によれば、車体の傾き状態に応じて路面描画パターンの形状を補正することができる。このため、走行中に車体が傾いた場合でも、路面描画パターンの形状を同じ形状に維持することができるので、その路面描画パターンの見間違えを防ぐことができる。したがって、路面描画パターンにより、常に適切な情報を自動二輪車300の運転者、対向車、歩行者等に提供することができる。
【0117】
また、ランプユニット301がバンク角センサ306を備えているので、車体の傾き状態を正確に検知することができ、検知した傾き情報を路面描画パターンの形成に適切に反映させることができる。
【0118】
また、ランプユニット301が外部センサ307を備えているので、車両周囲の環境情報を、路面描画パターンの形成に適切に反映させることができる。
【0119】
(第一変形例)
路面描画ランプ302の照射によって路面上に描画される路面描画パターンの第一変形例について、
図15A,15Bを参照しつつ説明する。第一変形例に係る路面描画パターンは、自動二輪車300の車体の傾き状態に応じて、路面描画パターンの形状が変化する点で、路面描画パターンの形状が維持される上記実施形態と相違する。なお、上記の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
【0120】
図15Aは、自動二輪車300の車体が傾いていない状態のときに路面描画ランプ302により路面上に描画されるガイド描画パターン361を示す。
図15Bは、自動二輪車300の車体が左に傾いている状態のときに路面描画ランプ302により路面上に描画されるガイド描画パターン362を示す。本例のガイド描画パターンは、例えば、2本のガイドバーで構成されており、自動二輪車300の運転者に進むべき方向を示すものである。
【0121】
図15Aに示すように、自動二輪車300が路面に対して車体を垂直にした状態で走行している場合、例えば道路をまっすぐに走行している場合には、路面描画ランプ302から照射された白色レーザ光Wは、2本のガイドバーがまっすぐに並列する形状のガイド描画パターン361となって路面上に描画される。
【0122】
これに対して、
図15Bに示すように、自動二輪車300が路面に対して車体を例えば左に傾けた場合、例えば道路の左コーナーに沿って走行した場合には、路面描画ランプ302から照射された白色レーザ光Wは、2本のガイドバーが道路の左コーナーに沿った形状のガイド描画パターン362となって路面上に描画される。
【0123】
ランプ制御部305は、バンク角センサ306によって検知される車体の傾斜角情報等に基づいて、走行している道路のコーナーを認識し、配光部330および各光源321(321a~321c)を制御することにより、道路のコーナーに沿った形状のガイド描画パターン362を形成させる。なお、ランプ制御部305は、例えば外部センサ307によって検知される道路のセンターライン(中央線)の位置情報に基づいて道路のコーナーを認識し、その道路に沿った形状、すなわち湾曲形状のガイド描画パターン362を形成するようにしてもよい。
【0124】
このように車体の傾きに応じて路面描画パターンの形状を変化させて形成することが可能な自動二輪車300の車両システムによれば、コーナーを安全に走行するために必要な情報、例えば道路に沿った形状のガイド描画パターン362を自動二輪車300の運転者に提供することができる。
【0125】
(第二変形例)
路面描画ランプ302の照射によって路面上に描画される路面描画パターンの第二変形例について、
図16を参照しつつ説明する。第二変形例に係る路面描画パターンは、自動二輪車300の走行方向に障害物が検知された場合に、路面描画パターンに付加描画パターンが付加されて路面上に描画される点で、第一変形例と相違する。なお、上記の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。
【0126】
図16は、自動二輪車300が左コーナーを走行している状況を示している。
図16に示すように、自動二輪車300は、コーナーを曲がり切れず、自車線Cを走行せずにセンターラインを越え対向車線Dにはみ出した状態で走行している。
【0127】
この場合、自動二輪車300は路面に対して車体を左に傾けているため、自動二輪車300の走行方向前方の路面上には、上記第一変形例の
図15Bと同様に、2本のガイドバーが道路の左コーナーに沿った湾曲形状のガイド描画パターン371となって描画される。そして、さらに、走行している道路のコーナーを曲がり切ることができないことを運転者に知らせるために、付加描画パターン372(例えば三角マーク)がガイド描画パターン371の前方に付加して描画される。
【0128】
ランプ制御部305は、例えば外部センサ307によって検知された道路のセンターラインの位置情報、バンク角センサ306によって検知された自動二輪車300の傾き情報、速度センサ308によって検知された自動二輪車300の走行速度等を取得する。ランプ制御部305は、センターラインに対する自動二輪車300の走行位置、自動二輪車300の傾きおよび走行速度等の情報に基づいて、コーナーを曲がり切ることができるか否かを判別し、曲がり切れないと判別した場合に付加描画パターン372を付加して描画させる。なお、付加描画パターンを付加するか否か判別するために外部センサ307で検知する対象は、センターラインに限定されず、例えば走行方向の前方に存在する他車、歩行者、ガードレール等を含む障害物全般であってもよい。
【0129】
ランプ制御部305は、例えば障害物が検知された場合、障害物の位置を運転者に知らせるために、その障害物に向けて矢印マーク等の付加描画パターンを路面上に描画するようにしてもよい。また、障害物が検知された場合にヘッドランプ303における配光を制御して、検知された障害物へ向けて光を強く照射するようにしてもよい。また、例えば、速度センサ308で検知された速度が規定速度を超過している場合、「危険、スピード落とせ」等の文字からなる付加描画パターンを路面上に描画するようにしてもよい。また、ランプ制御部305は、自動二輪車300の走行速度に応じて、描画パターンを描画する位置を変化させるようにしてもよい。例えば走行速度が遅い場合には自動二輪車300の進行方向における近い位置に描画パターンを描画し、走行速度が速い場合には遠い位置に描画するようにしてもよい。
【0130】
このように付加描画パターンを付加して路面上に描画することが可能な自動二輪車300の車両システムによれば、例えば走行中に障害物が検知された場合、その検知情報を路面描画パターンの形成に適切に反映させることができる。
【0131】
上記の実施形態では、ランプ制御部305、バンク角センサ306および外部センサ307が、ランプユニット301の灯室内に収容されている構成を開示しているが、この例に限られない。ランプ制御部305、バンク角センサ306および外部センサ307が、ランプユニット301とは別体で配置されていてもよい。
【0132】
(第三実施形態)
図17は、第三実施形態に係る車両の一例として自動二輪車500を示す。自動二輪車500は、曲がる方向に向かって車体を傾けることで道路のコーナー(カーブ)に沿って走行することが可能な車両である。本実施形態の車両は、この自動二輪車500のように、曲がる方向に向かって車体を傾けることでコーナーを走行可能な車両であればよく、車輪の数は限定されない。したがって、例えば自動三輪車、自動四輪車などであっても、この自動二輪車500と同様に走行可能であれば本実施形態の車両に含まれる。
【0133】
図17に示すように、自動二輪車500は、その後部に、車両用灯具501を有している。
図18に示すように、車両用灯具501は、車両後方を照射可能なリアコンビネーションランプユニット502と、車両後方の路面上に路面描画パターンを形成可能な路面描画用ランプ504と、リアコンビネーションランプユニット502および路面描画用ランプ504の動作を制御する照明制御部505と、を備えている。
【0134】
リアコンビネーションランプユニット502は、例えば、左ストップランプ521Lと、右ストップランプ521Rと、左テール/ストップランプ523Lと、右テール/ストップランプ523Rと、左ターンシグナルランプ525Lと、右ターンシグナルランプ525Rとから構成されている。
【0135】
路面描画用ランプ504は、自動二輪車500の周囲の路面に所定の描画パターンを投影(照射)するための構成を備えている。路面描画用ランプ504としては、例えば、プロジェクタが挙げられる。本例では、路面描画用ランプ504は、自動二輪車500の後方の路面上に所定の路面描画パターン(例えば、
図25の路面描画パターンP)を形成可能である。
【0136】
照明制御部505には、リアコンビネーションランプユニット502および路面描画用ランプ504が接続されているとともに、自動二輪車500の傾き状態(バンク角度)を検知するバンク角センサ506と、車両外部の環境情報を検知する外部センサ507(検知部の一例)とが接続されている。さらに、照明制御部505には、自動二輪車500の速度を検知するための速度センサ508等が接続されている。照明制御部505、バンク角センサ506、外部センサ507、および速度センサ508は、自動二輪車500の車体の所定位置に搭載されている。照明制御部505は、自動二輪車500に搭載されている統合制御部(車両ECU(Electronic Control Unit))の一機能として実現されてもよいし、リアコンビネーションランプユニット502や路面描画用ランプ504の灯室内に配置された制御装置の一機能として実現されてもよい。
【0137】
照明制御部505は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含む少なくとも一つのマイクロコントローラと、トランジスタ等のアクティブ素子およびパッシブ素子を含むその他電子回路を含んでもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)および/またはTPU(Tensor Processing Unit)である。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いた教師有りまたは教師なし機械学習によって構築されたプログラムである。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データおよび/または車両の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、記憶装置またはROMに記憶された車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。
また、電子制御ユニットは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programammable Gate Array)等の集積回路(ハードウェア資源)によって構成されてもよい。さらに、電子制御ユニットは、少なくとも一つのマイクロコントローラと集積回路との組み合わせによって構成されてもよい。
【0138】
バンク角センサ506、外部センサ507および速度センサ508によって検知された各情報は、照明制御部505へ送信される。照明制御部505は、各センサ506~508から送信されてきた情報に基づいて、リアコンビネーションランプユニット502の各ランプ、および路面描画用ランプ504の動作を制御する。例えば、照明制御部505は、各センサ506~508の検知情報に基づいて、リアコンビネーションランプユニット502の各ランプを制御し、自動二輪車500の周囲(特に後方)から視認される照明パターンを調整することが可能である。さらに、照明制御部505は、各センサ506~508の検知情報に基づいて路面描画用ランプ504を制御し、自動二輪車500の後方の路面上に形成される路面描画パターンを調整することが可能である。
【0139】
図19は、
図17の自動二輪車500に搭載された車両用灯具501の上面側斜視図であり、
図20は、車両用灯具501の下面側斜視図である。また、
図21は、車両用灯具501の上面図であり、
図22は、車両用灯具501の左側面図である。
図19~22に示すように、自動二輪車500の後部には、タンデムシート601から後方側へ突出する突出部603が設けられている。突出部603の後端側には、外部センサ507の一例として、カメラ507AおよびLiDAR507Bが搭載されている。すなわち、カメラ507AおよびLiDAR507Bにより、自動二輪車500の後方の環境情報を取得することができる。
【0140】
また、自動二輪車500の後部には、空気抵抗を減らすための車体カバーとして、第一カウル605L,605Rおよび第二カウル607L,607Rが設けられている。
【0141】
左右一対の第一カウル605L,605Rは、タンデムシート601の下方に取り付けられ、上方および斜め後方へ向けて延出するように配置されている。
図20に示すように、左側の第一カウル605Lは、車両後面視において、カメラ507AおよびLiDAR507Bが搭載された突出部603の左側に、後述のリアコンビネーションランプユニット502のうち左テール/ストップランプ523Lおよび左ターンシグナルランプ525Lを配置可能な空間を形成するように湾曲した形状に形成されている。また、右側の第一カウル605Rは、車両後面視において、突出部603の右側に、リアコンビネーションランプユニット502のうち右テール/ストップランプ523Rおよび右ターンシグナルランプ525Rを配置可能な空間を形成するように湾曲した形状に形成されている。
【0142】
左右一対の第二カウル607L,607Rは、車両上面視において略L字状に形成された第一カウル605L,605Rの屈曲部605L1,605R1の外側にそれぞれ配置されている。左側の第二カウル607Lは、上下方向に延びる第一領域607L1と、第一領域607L1の上端から前後方向に延びる第二領域607L2とから構成されている。また、右側の第二カウル607Rは、上下方向に延びる第一領域607R1と、第一領域607R1の上端から前後方向に延びる第二領域607R2とから構成されている。
【0143】
左右の第一カウル605L,605Rの後端面には、不図示の光源および導光体により構成された発光部がそれぞれ設けられており、この発光部が左ストップランプ521Lおよび右ストップランプ521Rとしてそれぞれ機能する。
【0144】
突出部603の左側面側および右側面側には、左テール/ストップランプ523Lと、右テール/ストップランプ523Rがそれぞれ配置されている。左テール/ストップランプ523Lおよび右テール/ストップランプ523Rは、複数の光源541(右テール/ストップランプ523Rの光源は不図示)と、当該複数の光源541から出射された光を拡散する導光体543L,543R(光学部材の一例)とをそれぞれ有している。
図20に破線にて示すように、複数の光源541は、突出部603の内部に設けられている。光源541としては、ランプ光源や発光素子が使用されうる。ランプ光源の例としては、白熱ランプ、ハロゲンランプ、放電ランプ、ネオンランプなどが挙げられる。発光素子の例としては、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL素子などが挙げられる。
【0145】
導光体543L,543Rは、略長方形の平坦な板状体として形成されており、突出部603から左右方向にそれぞれ突出するように配置されている。導光体543L,543Rは、透明な樹脂材料から構成されている。導光体543L,543Rに用いられる樹脂材料としては、例えばポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の、透明な熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0146】
導光体543L,543Rは、光源541から出射された光を拡散発光させる第一発光領域543L1,543R1と、光源541から出射された光を拡散発光させない非発光領域543L2,543R2と、を有している。導光体543L,543Rは、帯状の第一発光領域543L1,543R1と帯状の非発光領域543L2,543R2とが交互に配置されて縞模様が形成されるように構成されている。第一発光領域543L1,543R1は、例えば、透光性を有し、かつ、光源541から出射された光を拡散するための光拡散材を含む樹脂材料から構成されている。これにより、第一発光領域543L1,543R1は、光源541から出射された光を拡散発光させることができる。光拡散材としては、例えば二酸化チタン粒子を挙げることができる。なお、非発光領域543L2,543R2には光拡散材は含まれていない。そのため、光源541から出射された光を拡散させることはない。
【0147】
導光体543L,543Rは、その外縁に配置され光拡散材を含んだ第二発光領域543L3,543R3をさらに有している。第二発光領域543L3,543R3に含まれる光拡散材は、その密度が第一発光領域543L1,543R1に含まれる光拡散材の密度よりも高くなるように設定されている。これにより、第一発光領域543L1,543R1の発光強度よりも第二発光領域543L3,543R3の発光強度が高くなる。
【0148】
左右の第二カウル607L,607Rの第一領域607L1,607R1には、不図示の光源および導光体により構成された発光部がそれぞれ設けられている。この発光部が左ターンシグナルランプ525Lおよび右ターンシグナルランプ525Rとして機能する。すなわち、左ターンシグナルランプ525Lは、左テール/ストップランプ523Lとしての機能を発揮する導光体543Lに対して車両前方側に配置されている。同様に、右ターンシグナルランプ525Rは、右テール/ストップランプ523Rとしての機能を発揮する導光体543Rに対して車両前方側に配置されている。
【0149】
突出部603の下面には、路面描画用ランプ504が配置されている。路面描画用ランプ504は、例えば
図25に示すように、自動二輪車500の後方の路面上に複数の帯状ラインを照射して扇状の路面描画パターンPを形成することができる。なお、路面描画用ランプ504の搭載位置は、自動二輪車500の後方の路面上に路面描画パターンPを形成することができる位置であればよく、本実施形態で例示した位置に限られるものではない。
【0150】
照明制御部505は、自動二輪車500の状態に応じて、リアコンビネーションランプユニット502の各ランプ521L,521R,523L,523R,525L,525Rおよび路面描画用ランプ504の照明状態を変化させるように構成されている。例えば、照明制御部505は、自動二輪車500の運転者のブレーキ制御に基づいて、左ストップランプ521L、右ストップランプ521R、左テール/ストップランプ523L、および右テール/ストップランプ523Rを点灯させるように構成されていてもよい。また、照明制御部505は、自動二輪車500の運転者の方向指示入力に基づいて、左ターンシグナルランプ525Lおよび右ターンシグナルランプ525Rのいずれか一方を点灯させるように構成されていてもよい。また、照明制御部505は、リアコンビネーションランプユニット502の各ランプの点灯タイミングと同時またはリアコンビネーションランプユニット502の各ランプの点灯タイミングに連動して、路面描画用ランプ504により路面描画パターンPを路面上に形成させるように構成されていてもよい。
【0151】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用灯具501は、自動二輪車500の後方に光を照射する左右のテール/ストップランプ523L,523R(第一ランプの一例)と、左右のテール/ストップランプ523L,523Rよりも自動二輪車500の前方に配置されて自動二輪車500の後方に光を照射する左右のターンシグナルランプ525L,525R(第二ランプの一例)と、を備えている。テール/ストップランプ523L,523Rは、光源541と、光源541から出射された光を拡散する導光体543L,543Rと、を有している。そして、導光体543L,543Rが透明な部材から構成されていることにより、ターンシグナルランプ525L,525Rは、テール/ストップランプ523L,523Rの導光体543L,543Rを透過して視認可能となるように構成されている。この構成によれば、
図21や
図23に示すように、ターンシグナルランプ525L,525Rよりも手前側にテール/ストップランプ523L,523Rが配置されるような方向からでも、導光体543L,543Rを介してターンシグナルランプ525L,525Rの点灯を認識することができる。すなわち、車両後方のどの方向からも、ターンシグナルランプ525L,525Rの被視認性を確保することができる。
【0152】
また、テール/ストップランプ523L,523Rの導光体543L,543Rは板状に形成されている。そのため、ターンシグナルランプ525L,525Rの被視認性を確実に確保することができる。なお、上記の例では、テール/ストップランプ523L,523Rの導光体543L,543Rは透明部材から構成されているが、この例に限られない。導光体543L,543Rは、ターンシグナルランプ525L,525Rが透過して視認可能な程度の透光性を有する部材(例えば、半透明な部材)から構成されていてもよい。また、上記の例では、導光体543L,543Rの全体が透明な部材から構成されているが、この例に限られない。ターンシグナルランプ525L,525Rが導光体543L,543Rを透過して視認可能である限りにおいて、導光体543L,543Rの一部が非透明な部材から構成されていてもよい。
【0153】
また、導光体543L,543Rは、光源541から出射された光を拡散発光させる第一発光領域543L1,543R1と、光源541から出射された光を拡散発光させない非発光領域543L2,543R2とが交互に配置されて縞模様が形成されるように構成されている。これにより、ターンシグナルランプ525L,525Rの被視認性を確保しつつ、新規な意匠性を備えたテール/ストップランプ523L,523Rを提供することができる。
【0154】
また、導光体543L,543Rは、その外縁に配置され光拡散材を含んだ材料から構成されている第二発光領域543L3,543R3をさらに有し、第一発光領域543L1,543R1の発光強度よりも第二発光領域543L3,543R3の発光強度が高くなるように構成されている。これにより、第二発光領域543L3,543R3を発光させることでテール/ストップランプ523L,523Rの標識灯としての機能を維持しつつ、縞模様を形成する第一発光領域543L1,543R1を発光させることで新規な意匠性を備えたテール/ストップランプ523L,523Rを提供することができる。
【0155】
次に、本実施形態に係る路面描画用ランプ504の点灯制御処理の一例について
図24および
図25を参照して説明する。
まず、照明制御部505は、外部センサ507(例えば、突出部603の後端面に配置されたカメラ507AおよびLiDAR507B)からの検知信号を受信し、自動二輪車500の周囲の環境情報を取得する(ステップS10)。
【0156】
次に、照明制御部505は、ステップS10において取得した環境情報に基づいて、自車両である自動二輪車500と対象物(例えば、
図25の後続車V)との車間距離が第一の距離以下であるどうかを判定する(ステップS12)。第一の距離は、例えば、7~10m程度である。ステップS12において、車間距離が第一の距離以下であると判定された場合には(ステップS12のYes)、照明制御部505は、路面描画用ランプ504を連続点灯させる(ステップS14)。これにより、自動二輪車500の後方の路面上に複数の帯状ラインで構成された扇状の路面描画パターンPが連続的に照射される(
図25参照)。
【0157】
次に、照明制御部505は、自動二輪車500と後続車Vとの車間距離が第二の距離以下であるどうかを判定する(ステップS16)。第二の距離は、例えば、4~7m程度である。ステップS16において、車間距離が第二の距離以下であると判定された場合には(ステップS16のYes)、照明制御部505は、路面描画用ランプ504を点滅させる(ステップS18)。これにより、路面描画パターンPが点滅照射される。
【0158】
次に、照明制御部505は、車間距離が第二の距離以下であるどうかを判定する(ステップS20)。ステップS20において、車間距離が第二の距離以下ではない(すなわち、車間距離が第二の距離よりも長い)と判定された場合には(ステップS20のNo)、照明制御部505は、路面描画用ランプ504を連続点灯させる(ステップS22)。これにより、路面描画パターンPが再び連続的に照射される。
【0159】
次に、照明制御部505は、車間距離が第一の距離以下であるかどうかを判定する(ステップS24)。ステップS24において、車間距離が第一の距離以下ではない(すなわち、車間距離が第一の距離よりも長い)と判定された場合には(ステップS24のNo)、照明制御部505は、連続点灯中の路面描画用ランプ504を消灯させる(ステップS26)。これにより、路面描画パターンPが消える。その後、照明制御部505は、処理をステップS12へ戻す。
【0160】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用灯具501は、自動二輪車500の後方の路面に路面描画パターンPを形成する路面描画用ランプ504と、自動二輪車500の後続車Vを検知する外部センサ507(例えば、カメラ507AおよびLiDAR507B)と、路面描画用ランプ504を制御する照明制御部505と、を備えている。そして、照明制御部505は、外部センサ507から取得した後続車Vに関する検知情報(第一検知情報の一例)に基づいて、例えば、自動二輪車500と後続車Vとの車間距離が一定の距離(例えば、第一の距離)以下となった場合に、路面描画パターンPを形成するように路面描画用ランプ504を制御する。この構成によれば、自動二輪車500と後続車Vとの車間距離が短くなった場合に自動二輪車500の後方の路面に路面描画パターンPを形成することで、後続車Vの運転者へ自動二輪車500への接近を報知することができる。これにより、後続車Vの運転者へ、自動二輪車500との車間距離を適切に確保するよう促すことができる。
【0161】
なお、自動二輪車500の周囲の路面上に形成される路面描画パターンは、
図25に示す路面描画パターンPの形状に限られるものではない。例えば、照明制御部が、車間距離に関する情報(例えば、「接近注意!」や「車間距離:**m」)を含むような路面描画パターンを形成してもよい。これにより、路面描画パターンが車間距離を確保することを促すためのものであることを、後続車Vの運転者が容易に認識することができる。
【0162】
また、上記の実施形態においては、自動二輪車500の後部(リアコンビネーションランプユニット502の近傍)に路面描画用ランプ504を配置し、路面描画用ランプ504から出射された光により自動二輪車500の後方の路面上に路面描画パターンPを形成するようにしているが、この例に限られない。自動二輪車500の前部または側部に路面描画用ランプを設け、自動二輪車500と車両前方または車両側方の対象物(例えば、先行車、並走車、対向車、歩行者など)との距離が一定距離以下となった場合に、照明制御部が、自動二輪車500の前方や側方の路面上に所定の路面描画パターンを形成するようにしてもよい。この構成により、自動二輪車500の周囲の車両の運転者や歩行者へ自動二輪車500との接近を報知することができるとともに、自動二輪車500の運転者に対しても周囲の対象物との接近を報知することができる。
【0163】
また、照明制御部505は、自動二輪車500と後続車Vとの車間距離に応じて、路面描画パターンPの表示態様を変更するように構成されている。具体的には、上述の通り、照明制御部505は、自動二輪車500と後続車Vとの車間距離に複数のしきい値(第一の距離および第二の距離)を設けておき、車間距離が第一の距離以下である場合には路面描画パターンPを路面上に連続照射し、車間距離が第二の距離以下である場合には路面描画パターンPを点滅照射するように構成されている。これにより、後続車Vの運転者への路面描画パターンPを用いた注意喚起をより効果的に行うことができる。なお、照明制御部505は、路面描画パターンPの全体を点滅照射させる代わりに、路面描画パターンPを構成する複数の帯状ラインを段階的に照射(シーケンシャル発光)させてもよい。また、照明制御部505は、車間距離が第二の距離以下である場合には、路面描画パターンの形状を路面描画パターンPとは異なる形状に変更するように構成されてもよい。
【0164】
また、照明制御部505は、後続車Vに関する検知情報とは異なる検知情報(第二検知情報の一例)を取得可能に構成されていてもよい。この第二検知情報は、自動二輪車500の車速に関する情報、自動二輪車500の車速の変化状態に関する情報、および天候に関する情報の少なくとも1つを含んでいることが好ましい。このように、照明制御部505は、自動二輪車500と後続車Vとの車間距離以外の他の条件を加えて路面描画パターンPを形成することにより、後続車Vの運転者へ対して、より効果的な注意喚起を行うことができる。例えば、自動二輪車500が高速走行している場合、自動二輪車500が急ブレーキをかけた場合、悪天候の場合などの車間距離の確保が重要な場面においては、路面描画パターンPの照射のタイミングを早めたり、後続車Vの運転者からの視認性の高い路面描画パターンPを形成したりすることが好ましい。そのため、第二検知情報に基づいて、車間距離のしきい値である第一の距離を通常よりも長い距離(例えば、10~13m程度)に設定することで、車間距離の確保が重要な場面においても後続車Vの運転者へ確実な注意喚起を行うことができる。また、第一の距離の設定を変更する代わりに、または第一の距離の設定を変更することに加えて、車間距離が第一の距離以下である場合に、路面描画用ランプ504を点滅させて路面描画パターンPを点滅照射するようにしてもよい。
【0165】
また、照明制御部505は、第一検知情報に応じて路面描画用ランプ504を点灯させて路面上に路面描画パターンPを形成する第一モードと、自動二輪車500の運転者の入力指示に応じて路面描画用ランプ504を点灯させて路面上に路面描画パターンPを形成する第二モードとを有していることが好ましい。このように、照明制御部505が、自動二輪車500の運転者の入力指示に基づいて路面描画パターンPを形成可能な第二モードを有していることにより、当該運転者が後続車Vへの注意喚起が必要と判断した場合にも、路面描画パターンPを適切に形成することができる。
【0166】
なお、上記の実施形態では、LiDAR、カメラ、レーダ等の少なくとも一つで構成されている外部センサ507により車両周囲の対象物(例えば、後続車V)に関する第一検知情報を取得しているが、この例に限られない。例えば、照明制御部505は、基地局装置との路車間通信、または他車の車載器との車車間通信を用いて第一検知情報を取得してもよい。また、照明制御部505は、外部センサ507による検知信号と、路車間通信や車車間通信とを組み合わせて、第一検知情報を取得してもよい。このように、路車間通信や車車間通信を用いることで、多様な検知情報を取得することができる。
【0167】
図24に示す各ステップで規定される処理の順番はあくまでも一例であって、これらのステップの順番は適宜変更可能である。
【0168】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0169】
本出願は、2017年9月1日出願の日本特許出願2017-168285号、2017年9月1日出願の日本特許出願2017-168286号、および2017年10月23日出願の日本特許出願2017-204725号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。