(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】物質を検出する方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3563 20140101AFI20220620BHJP
G01N 21/47 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
G01N21/3563
G01N21/47 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020091189
(22)【出願日】2020-05-26
(62)【分割の表示】P 2016551009の分割
【原出願日】2014-11-03
【審査請求日】2020-06-12
(32)【優先日】2013-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516126850
【氏名又は名称】トムラ・ソーティング・エヌ・ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・バルタザール
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ハルトマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・マクグローリン
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・アレクサンダー・リード
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-018419(JP,A)
【文献】特表2004-529334(JP,A)
【文献】特表2001-502804(JP,A)
【文献】特開平11-090346(JP,A)
【文献】国際公開第2013/001304(WO,A1)
【文献】特開2007-033273(JP,A)
【文献】特開2012-242340(JP,A)
【文献】特開2010-110733(JP,A)
【文献】特開平06-222014(JP,A)
【文献】特開2007-171027(JP,A)
【文献】特表2012-525564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/61
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を検出する装置であって:
複数の対象物(2;2’)を検出領域(D)に供給するように構成されたバルク供給手段(3;3’)と;
それぞれが集束要素を有し、検出領域(D)の対象平面(P-P)内で動く少なくとも1つの対象物(2;2’)を照明するためにそれぞれの第1の方向に光(I
1;I
2)を送出するように構成される、少なくとも1つの光源(8;10、20;40)と;
前記少なくとも1つの光源から放出され対象物を透過した光を検知するように、また前記少なくとも1つの光源から受けた光量を特定するように配置され
、周辺光と少なくとも1つの光源から受ける光とを区別す
る第1の光分析装置(4)と、
そして、
第1の光分析装置が周辺光だけを測定できるように少なくとも1つの光源をある期間にわたりスイッチオフする手段と;
を含み、
ここで、前記第1の光分析装置(4)は、前記第1の光分析装置(4)の視野の中に方向を持つ光(TD
1;TD
12)を検知するように配置され、
ここで、前記それぞれの第1の方向は、前記第1の光分析装置(4)の視野の中の方向とは異な
り、
ここで、第1の光分析装置(4)は、少なくとも1つの光源からの光が対象物を透過したときに分光システムで行われた測定から周辺光を引き算するように配置された処理デバイスを備える分光システムを含み、
ここで、光源がスイッチオフされる期間は、検出領域(D)に供給される対象物の速度に適合する、
ことを特徴とする前記装置。
【請求項2】
バルク供給手段(3)は、対象物(2)を検出領域(D)にランダムに供給するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの光源(10;20)は、切頂楕円形反射器(12;22)の第1の焦点(f
1;f
2)に配置され、反射器は、切頂楕円形反射器の第2の焦点(f’
1;f’
2)が対象平面(P-P)と一致するように配置される、請求項1~
2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの光源をある期間にわたりスイッチオフする手段は、検出領域にパルス光(L’)を送出するように配置されたパルス化光源(40)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの光源をある期間にわたりスイッチオフする手段は、少なくとも1つの光源の前に配置され、検出領域にパルス光(L’)を制御可能に送出するように構成された光制御手段(45)を含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの光源は、1つまたはそれ以上の発光ダイオード(LED)を含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの光源(40)はさらに、光を対象平面(P-P)に集束させることができる少なくとも1つのレンズを含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
光源および第1の光分析装置は対象平面(P-P)の両側に配置される、請求項1~
7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
第1の光源(10)は、中心軸(C)周りで第2の光源(20)と対称に配置される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
第2の光分析装置(5)が対象平面(P-P)の、第1の光分析装置(4)に対して反対側に配置され、第1および第2それぞれの光源から送出される光(I
1、I
2)により生じる対象物からの反射光(R
1,2)を受けるように構成される、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
対象平面(P-P)の、第1の光分析装置(4)と同じ側に配置された、ならびに第1の光分析装置(4)へ反射される(R
3)光(I
3)で対象物を照射するように構成された、少なくとも第3の光源(30、63)をさらに含む、請求項1~
10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
バルク供給手段(3)は、振動フィーダまたはコンベヤベルトを場合によりシュートと組み合わせて含み、それによって対象物を検出領域(D)に通して落下させる、請求項1~
11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
バルク供給手段は、検出領域(D)の中に延びると共に対象物(2;2’)を検出領域の中に少なくとも部分的に支持するように配置されている半透明コンベヤベルト(3’)を含む、請求項1~
12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
コンベヤベルト(3’)は、ワイヤメッシュコンベヤベルト、または介在する間隙によって分離されている2つのコンベヤベルトを含む、請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか1項で定義された装置と、第1の光分析装置で受けた光の特性に基づいて対象物をシステムから制御可能に、かつ選択的に排出するように構成された排出デバイス(9)とを特徴とする、対象物を選別するシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの対象物(2;2’)のパラメータを決定する方法であって、
i)対象物を検出領域(D)の平面(P-P)内で動かす工程と;
ii)少なくとも1つの光源から放出される第1の方向の投射光で対象物を照明する工程と;
iii)前記少なくとも1つの光源から生じ、対象物を透過する光を検出および特定す
る工程であって、前記光が前記第1の方向とは異なる第2の方向を有する工程と;
ここで、照明する工程ii)は、少なくとも1つの光源をある期間にわたりスイッチオフして、その期間中に光が検出領域に送られないようにすることを含み
、ここで、光源がスイッチオフされる期間は、検出領域(D)に供給される対象物の速度に適合し;そして、検出する工程iii)は、検出領域に向けて送られる光がない時間間隔中に周辺光(A)を検出することをさらに含み、
iv)検出および特定された光を、検出された周辺光から区別する工程と;
ここで、第1の光分析装置(4)は、少なくとも1つの光源からの光が対象物を透過したときに分光システムで行われた測定から周辺光を引き算するように配置された処理デバイスを備える分光システムを含み、
v)検出された
、工程iii)で対象物を透過した光に基づいて対象物固有のパラメータを決定する工程と
を含む前記方法。
【請求項17】
工程i)の動きは自由落下を含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
工程i)の動きはコンベヤベルト(3’)によってもたらされる、請求項
16に記載の方法。
【請求項19】
光源がスイッチオフされる期間は、工程i)で達成される動きの速度に適合する、請求項
16~
18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
光源のスイッチオフは、少なくとも1つのパルス化光源
、または、光源の前に配置され
、検出領域にパルス光を制御可能に送出するように構成された光制御手段によって達成される、請求項
16~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
対象物固有のパラメータは、糖度、酸性度、成熟度、腐敗、機械的損傷、異物の存在、骨の存在、を含むリスト上のパラメータのうちの1つまたはそれ以上を含む、請求項
16~
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
対象物は、工程v)で決定された対象物固有のパラメータに基づいて選別される、請求項
16~
21のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊評価のためのシステムおよび方法に関する。より詳細には、物質を検出するための、および対象物の1つまたはそれ以上のパラメータを決定するための光学システム、デバイスおよび方法に関する。本発明は特に、1つまたはそれ以上の半透明対象物の特性を決定するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
収穫された果物および野菜の品質を決定するための様々な技法が存在する。農業では、農産物を糖度、酸性度、成熟度、腐敗および損傷などの内部パラメータ、ならびにサイズ、幾何形状および色などの外部特徴に基づいて等級分けすること、ならびにこれらのパラメータおよび特徴に基づいて特定の選別作業を行うことが重要である。
【0003】
収穫された果物および野菜の様々な特性を決定する際に、近赤外(NIR)分光法および可視光(VIS)分光法を使用することがよく知られている。NIR放射が通常、780から2500nmの間の電磁スペクトルの範囲と定義されるのに対し、400nmから780nmの間のスペクトルはVIS放射と呼ばれる。NIRまたはVIS分光法では、分析に供される対象物が照射され、反射または透過放射が測定される。対象物の表面の様々な特性を決定するために反射光の変化が分析される。透過光、すなわち対象物を貫通する放射が散乱および/または吸収され、このことがその波長に影響を及ぼす。これらの変化は、対象物の光散乱特性だけでなく、その化学組成に依存する。
【0004】
現況技術には、目的成分の濃度の非破壊測定を行うための方法および装置が記載されている特許文献1が含まれる。この方法では、野菜、果物、肉などの測定予定の食品が、400~2500nmの範囲の波長の光で照射される。吸光度スペクトルが、透過光および/または反射光を検出することによって得られ、測定対象物の目的成分の濃度が、較正曲線を使用することによって全測定波長または特定の波長の吸光度から決定される。
【0005】
現況技術にはまた、光源システム、フィルタおよび画像システムを備える、果物および野菜などの農産物用の内部非破壊一体型分析機器が記載されている特許文献2も含まれる。この機器は、異なる農産物を異なる角度で照明することができ、試料を通り抜ける光は、可視近赤外分析法を利用して農産物の品質を分析するためのレンズ結像機能によって、スペクトロメータ(光源が着色)または検出器(光源が単色)に可能な限り多く入ることができる。
【0006】
知られているシステムおよび方法では、対象物は1つずつ照射および分析され、これには各対象物を手作業で、または対象物ごとに指定されたレセプタクルを有するコンベヤベルトで、検出器の内部に入れる必要がある。したがって上述のデバイスでは、対象物のスループットを増大させることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-210355A
【文献】CN2733343Y
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、主請求項に記載され特徴づけられ、従属請求項では本発明の他の特徴を記述
する。
【0009】
したがって、物質を検出する装置であって、
- 複数の対象物を検出領域に供給するように構成されたバルク供給手段と;
- 集束要素を有し、検出領域の対象平面内で動く少なくとも1つの対象物を照明するように構成される少なくとも1つの光源と;
- 対象物を透過した光を検知するように配置された第1の光分析装置と
を特徴とする装置が提供される。
【0010】
一例によれば、物質を検出する装置であって、
- 複数の対象物を検出領域(D)に供給するように構成されたバルク供給手段と;
- それぞれが集束要素を有し、検出領域の対象平面内で動く少なくとも1つの対象物を照明するためにそれぞれの第1の方向に光を送出するように構成される、少なくとも1つの光源と;
- 対象物を透過した光を検知するように、また前記少なくとも1つの光源から受けた光量を特定するように配置された第1の光分析装置と
を特徴とする装置が提供され、
前記第1の光分析装置は、前記第1の光分析装置の視野の中に方向を持つ光を検知するように配置され、
前記それぞれの第1の方向は、前記第1の光分析装置の視野の中の方向とは異なる。
【0011】
言い換えると、検出領域に対象物がない場合、前記少なくとも1つの光源から放出または送出された光は一般に、前記第1の光分析装置では検知されない。さらに言い換えると、検出領域に対象物がない場合、前記少なくとも1つの光源から放出または送出された光は、前記第1の光分析装置の視野の外に送出される。より詳細には、対象物が検出領域に存在しない場合、前記第1の光分析装置では、たとえば雰囲気中または表面の散乱により、前記少なくとも1つの光源から送出された光が概して何も検知されないか、またはその小部分を超えては検知されない。一例によれば、対象物が検出領域に存在しない場合、少なくとも1つの光源から送出された光の多くて10%、または多くて5%、または多くて1%、または多くて0.5%、または多くて0.1%、または多くて0.05%が前記第1の光分析装置で特定される。
【0012】
一例によれば、対象物が検出領域内に存在し、前記少なくとも1つの光源から照射される場合、前記少なくとも1つの光源からの光は、光分析装置のセンサに達する前に前記対象物を拡散透過するか、または前記対象物によって屈折される。より詳細には、前記第1の光分析装置のセンサに達する前記少なくとも1つの光源からのこの光の75%超または90%超が、光分析装置のセンサに達する前に前記対象物を拡散透過したか、または前記対象物によって屈折されている。
【0013】
上述のように、前記第1の光分析装置は、前記少なくとも1つの光源から受けた光を特定するように配置され、言い換えると、前記第1の光分析装置は、周辺光と、少なくとも1つの光源から受ける光とを区別するように配置される。さらに言い換えると、前記第1の光分析装置から受ける光量は、少なくとも1つの光源がスイッチオフされていないときに存在するノイズレベルよりも明らかに高い。
【0014】
一例によれば、光源と集束要素は、第1の方向に向けられた、結果として生じる光軸を有する。前記第1の光分析装置の視野の外にある前記第1の方向は、言い換えると前記第1の光軸に沿って放出された非屈折光は、前記第1の光分析装置の視野の外にあり、前記第1の光分析装置で検知されない。
【0015】
一実施形態では、少なくとも1つの光源は、対象平面内を動いている複数の対象物に向けて投射光を送出するように配置され;第1の光分析装置は、透過光の測定平面と投射光が同一平面にはないように配置される。
【0016】
一実施形態では、バルク供給手段は、対象物を検出領域にランダムに供給するように構成される。
【0017】
少なくとも1つの光源は、一実施形態では、切頂楕円形反射器の第1の焦点に配置され、反射器は、切頂楕円形反射器の第2の焦点が対象平面と一致するように配置される。
【0018】
言い換えると、少なくとも1つの光源から放出された光はまず、ある焦点に集束していき、その後発散する。光分析装置は有利には、そのセンサに発散光が達しないように配置される。
【0019】
少なくとも1つの光源は、1つまたはそれ以上の発光ダイオード(LED)を含み、さらに、光を対象平面に集束させることができる少なくとも1つのレンズを含む。
【0020】
一実施形態では、光源および第1の光分析装置は対象平面の両側に配置される。一実施形態では、第1の光源は、中心軸(C)周りで第2の光源と対称に配置される。
【0021】
一実施形態では、第2の光分析装置が対象平面の、第1の光分析装置に対して反対側に配置され、第1および第2それぞれの光源から送出される光により生じる対象物からの反射光を受けるように構成される。
【0022】
一実施形態では、少なくとも第3の光源が、対象平面の、第1の光分析装置と同じ側に配置され、また第1の光分析装置へ反射される光で対象物を照射するように構成される。
【0023】
光分析装置は、分光システムまたはハイパースペクトルカメラシステムを含む。
【0024】
少なくとも1つの光源は、一実施形態では、検出領域にパルス光を送出するように配置されたパルス化光源である。光制御手段が、検出領域にパルス光を制御可能に送出するように配置および構成される。
【0025】
バルク供給手段は、振動フィーダまたはコンベヤベルトを場合によりシュートと組み合わせて含み、それによって対象物を検出領域に通して落下させる。バルク供給手段はまた、検出領域の中に延びると共に対象物を検出領域の中に少なくとも部分的に支持するように配置されている半透明コンベヤベルトを含む。
【0026】
一実施形態では、コンベヤベルトは、ワイヤメッシュコンベヤベルト、または介在する間隙によって分離されている2つのコンベヤベルトを含む。
【0027】
対象物を選別するシステムもまた提供され、本発明の装置は、第1の光分析装置で受けた光の特性に基づいて対象物をシステムから制御可能に、かつ選択的に排出するように構成された排出デバイスと組み合わされる。
【0028】
少なくとも1つの対象物のパラメータを決定する方法であって、
i)対象物を検出領域の平面内で動かす工程と;
ii)対象物を投射光で照射する工程と;
iii)対象物を透過し測定平面(T)に当たっている光を検出する工程と;
iv)検出された、測定平面(T)に当たっている透過光に基づいて対象物固有のパラ
メータを決定する工程と
を含む方法もまた提供される。
【0029】
さらに、少なくとも1つの対象物のパラメータを決定する方法であって、
i)対象物を検出領域(D)の平面(P-P)内で動かす工程と;
ii)少なくとも1つの光源から放出される第1の方向の投射光で対象物を照明する工程と;
iii)前記少なくとも1つの光源から生じ、対象物を透過する光を検出および特定する工程であって、前記光が前記第1の方向とは異なる第2の方向を有する工程と;
iv)検出された透過光に基づいて対象物固有のパラメータを決定する工程と
を含む方法もまた提供される。
【0030】
一実施形態では、透過光の測定平面と投射光は同一平面にない。工程i)における動きは自由落下を含むか、またはコンベヤベルトによってもたらされる。
【0031】
本発明の一実施形態では、照明工程は、パルス光を検出領域に向けて送出する工程を含み;検出する工程はさらに、検出領域に向けて送出される光のない時間間隔中に周辺光を検出する工程を含む。
【0032】
対象物固有のパラメータは、糖度、酸性度、成熟度、腐敗、機械的損傷、異物の存在、骨の存在、を含むリスト上のパラメータのうちの1つまたはそれ以上を含む。
【0033】
一実施形態では、対象物は、工程iv)で決定された対象物固有のパラメータに基づいて選別される。
【0034】
本発明は、近赤外(NIR)分光法または可視光(VIS)分光法に限定されず、それだけには必ずしも限らないが、紫外(UV)分光法および中間赤外(MIR)分光法もまた含む、任意の分光方法と共に一般に使用することができる。
【0035】
さらに、装置に関して上で述べられたことは通常、方法にも適用される。
【0036】
本発明の上記および他の特徴は、添付の概略図を参照して非限定的な例として示される、実施形態の優先的形についての以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1a】本発明によるシステムの第1の実施形態の側面図である。
【
図1b】本発明によるシステムの第1の実施形態の上面図である。
【
図2】本発明によるシステムの第2の実施形態の側面図である。
【
図3】本発明によるシステムの第3の実施形態の側面図である。
【
図4】本発明によるシステムの第4の実施形態の側面図である。
【
図5】本発明によるシステムの第5の実施形態の側面図である。
【
図7】ランプハウジングからの光がパルス化される配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下の説明では、「水平の」、「垂直の」、「横方向の」、「前後の」、「上下の」、「上方の」、「下方の」、「内側の」、「外側の」、「前方の」、「後方の」などの用語を使用する。これらの用語は一般に、図面に示された、また本発明の通常の使用法と関連する、見え方および向きを指す。これらの語は、読者の便宜のためにのみ使用され、限定的なものではない。
【0039】
図1aおよび
図1bは、本発明によるシステムの概略図である。照明システム8は、光Lを分光システム4に向けて送出する。コンベヤ3は複数の対象物2(たとえば、収穫された果物または野菜)を、対象物2がその後落下し(一般に放物線軌道で)照明システムと分光システムの間に画成された照明領域を下向きに通過するように、矢印Mで示された方向に供給する。参照文字Sはスキャンラインを示し、参照文字P-Pは対象平面を示し、参照文字SRはスキャン範囲を示す。したがって、対象物2は、それが検出領域Dの対象平面内を落下するときに背後から照明され、透過光が分光システム4で検出および分析される。
【0040】
照明システムは、1つまたはそれ以上の光源と、光を対象平面P-Pに集束させることができる補助デバイス(たとえば反射器、レンズ)とを備える。したがって、適切な光源は、スーパコンティニュームレーザ、ハロゲン球などの広帯域光源、または1つもしくはそれ以上の発光ダイオード(LED)を適切なレンズまたは他の集束要素と組み合わせて含むことができる。このような集束要素の一例はEP0772498B1に開示されており、検査領域を通過する生産物にLEDなどの光源ユニットからの光を向けるためのレンズを有する光学検査システムが記載されている。光源は、たとえば単一の広帯域LED、またはスペクトル帯域幅がそれぞれ異なる多数のLEDのアレイである。
【0041】
分光システム4は、図示の実施形態では回転鏡6およびセンサ7を含む。この構成により、スキャンラインS上の点ごとに単一のスペクトルを生成する。センサは、たとえばスペクトロメータまたはハイパースペクトルカメラシステムを含むと理解されたい。分光システムではまた、当技術分野で知られている、たとえばアバレンシェフォトダイオード(APD)または光電子増倍管(PMT)を有する非常に感度のよいスペクトロメータシステムを利用する。
【0042】
図2は、本発明によるシステムの第2の実施形態の概略図である。参照番号3は、コンベヤベルトまたは振動フィーダおよびシュートなどのバルク供給デバイスを示し;その機能は、複数の対象物を検出領域Dの中に落下するように供給することである。図を分かりやすくするために、
図2には対象物が1つだけ示されている。しかし、
図1a、bに示された状態と同様に、いくつかの対象物が検出領域Dの中に同時に落下できることを理解されたい。
図2は、対象物2(たとえば果物または野菜)が供給デバイス3から落下してから、検出領域Dの中を矢印Gで示されるように落下している状態を示す。
【0043】
光源10が、対象平面P-P内で落下している対象物2に向けて投射光ビームI
1を送出するように配置される。ラインTは、測定平面に当たっている透過光(この平面に沿って見て)、すなわち分光システム4で検出される透過光Tを示す。言い換えると、投射光ビームI
1の一部分が対象物を透過し、その後に分光システム4で検出/特定され、この部分が透過検出光と呼ばれる。
図2で分かるように、投射光ビームI
1の方向は透過検出光TD
1の方向とは異なる。より詳細には、投射光の方向は投射光の中心軸の方向と等しく;透過検出光の方向は透過検出光の中心軸と等しい。
【0044】
検出領域に対象物がない場合、光源10から放出または送出された光は、光源10から放出された光が前記分光システム4の視野の外へ送出されるので、分光計4で検知されない。より詳細には、対象物が検出領域に存在しない場合、分光システム4では、たとえば雰囲気中の散乱により、光源から送出された光が概して何も検知されないか、またはその小部分を超えては検知されない。一例によれば、対象物が検出領域に存在しない場合、光源10から送出された光の多くて10%、または多くて5%、または多くて1%、または多くて0.5%、または多くて0.1%、または多くて0.05%が分光システムで特定される。
【0045】
対象物が検出領域内に存在し、前記光源10から照射される場合、光源からの光は、センサ分光システム4に達する前に前記対象物を拡散透過するか、または前記対象物によって屈折される。より詳細には、分光システム4のセンサに達する光源からのこの光の75%超または90%超が、光分析装置のセンサに達する前に前記対象物を拡散透過したか、または前記対象物によって屈折されている。
【0046】
一例によれば、光源10と集束要素12は、第1の方向に向けられた、結果として生じる光軸(OA)を有する。前記分光システム4の視野の外にある前記第1の方向は、言い換えると前記第1の光軸に沿って放出された非屈折光は、前記分光システム4の視野の外にあり、分光システム4で検知されない。
【0047】
分光システムでは透過検出光が、対象物の内部特性を決定するために分析される。これらの内部特性が既定の許容範囲外である場合、たとえば対象物に腐敗または損傷している内部領域がある場合、コマンド信号(制御ラインは図示せず)が、その対象物をシステムから取り出す排出デバイス9(検出領域Dの下流に配置されている)へ送信される。任意選択である排出デバイス9は、フラップ、機械フィンガ、空気ノズルなど任意の既知の機械排出デバイスまたは取出しデバイスでよい。
【0048】
光源10と分光システム4は、投射光I1と測定平面Tが一直線に並ばないように配置される。対象物2の、分光システム4に対して他の側の領域DBは、空であるか、または任意選択の暗黒参照要素61を含む。このような参照要素は、もしも検出領域に対象物がない場合に、分光システムをくらませないことを保証する。
【0049】
対象平面内の光強度を最適化するために、光源10は図示の実施形態で、
図2に示された反射器12の内側に配置されたハロゲン球などの広帯域光源を含む。したがって、
図1a、bに関して、照明システム8は
図2に示された実施形態で、ランプハウジング42の中に光源10および反射器12を含む。反射器12は、切頂楕円(truncated ellipsoid)(楕円短軸と平行に切断されている)の形状を有し、光源10は、切頂楕円の第1の焦点f
1に配置される。切頂楕円の第1の焦点f
1から放出されたすべての光がビーム反射器で反射されて第2の焦点f’
1で集束するので、システムは、対象平面P-Pが第2の焦点f’
1と交差するように設計される。これにより、対象物2が検出領域Dを通って落下するときに集中光で照射されることが保証される。言い換えると、光源10から放出された光はまず焦点f’1に集束し、その後発散する。光分析装置は通常、そのセンサに発散光が達しないように配置される。
【0050】
図2は、対象平面P-Pに沿って垂直に落下する対象物2を示すが、これは本発明の要件ではないことを理解されたい。対象物が第2の焦点f’
1および検出領域Dの対象平面と交差することで十分であり;すなわち対象物は非垂直軌道を有してよい。
【0051】
図3は、本発明によるシステムの第3の実施形態の概略図である。
図2に関して説明されたものと異なる態様だけが以下で論じられる。この第3の実施形態では、第2の光源20および対応する第2の切頂楕円形反射器22が、上述の第1の光源10および第1の反射器12と同様に、ランプハウジング42の内側に配置され、第2の光源20が切頂楕円の第1の焦点f
2にある。第2の反射器20および第1の反射器10は、共通中心軸C周りで対称に配置され、第2の反射器20が(第1の反射器10のように)、対象平面P-Pが第2の反射器の第2の焦点f’
2と交差するように配置される。したがって、
図3に示されるように、第2の焦点f’
1、f’
2は一致し、対象平面P-Pにある。この実施形態は、
図2に示された実施形態と比較して、対象物2への照射強度を実質上2倍にする。
【0052】
第1および第2の光源10、20は、それぞれの第1および第2の光ビームI
1、I
2を、対象平面P-P内で落下する対象物2に向けて送出する。測定平面Tに当たっている透過光が、上述のように分光システム4で検出される。言い換えると、投射光ビームI
1の一部分および投射光ビームI
2の一部分が対象物を透過し、その後分光システム4で検出され、これらの部分が透過検出光と呼ばれる。
図3で分かるように、投射光I
1、I
2の方向は、透過検出光TD
12の方向と異なる。より詳細には、投射光ビームの方向は投射光ビームの中心軸の方向と等しく;透過検出光の方向は透過検出光の中心軸と等しい。
【0053】
暗黒参照要素61が反射器12、22の間に配置されて、もしも検出領域Dに対象物がない場合に、分光システムをくらませないことが保証される。実際の実施形態では、反射器およびそれぞれの光源は、単一のハウジング42の中に組み込まれる。したがって、
図1a、bを参照すると、照明システム8は、
図3に示された実施形態では、ハウジング42内に光源10、20、反射器12、22および参照要素61を含む。
【0054】
図2および
図3はまた、ランプハウジング42の内側で分光システム4のスキャン範囲内に配置された、任意選択の白色参照要素43を示す。白色参照要素43により、システムをその動作中に較正することが可能になり、これにより測定精度を改善することができる。白色参照要素は、それが光源によって照明されるように設置された、たとえば小さいバリウムのピラミッドである。
【0055】
図4は、本発明によるシステムの第4の実施形態の概略図である。この図では、ランプハウジングは省略されている。
図3を参照して説明されたものと異なる態様だけが以下で論じられる。
【0056】
この第4の実施形態では、暗黒参照要素(
図3で参照番号61)は、反射器12、22の間の開口部(または光案内)62に置き換えられており、第2の分光システム5が、第1の分光システム4と同一直線上に配置されている。第1および第2の投射光ビームI
1、I
2が対象物2に向けて送出されると、一部分Tが伝達され、第1の分光システム4へ送出される。しかし、投射光の一部分がまた、第2の分光システム5に向けて反射される(R
1、
2で示す)。したがって、この構成では、(第1の分光システム4の)透過分光法と(第2の分光システム5の)反射分光法の両方が可能になる。
【0057】
第4の実施形態はまた、第3の光源30と、第3の投射光ビームI3を対象物2に向けて送出するように配置された光学フィルタ63とを含む。光学フィルタ63は、測定平面Tに当たっている透過光にそれがなければ干渉する波長の光を阻止するように構成される。こうして、第3の投射(フィルタリング済み)光ビームI3は対象物2で反射され、反射光R3が第1の分光システム4に向けられる。この第3の光源30により、対象物の表面特性を測定および評価することが可能になる。第3の光源30と類似の複数の光源が、たとえば第1の分光システム4の他の側に対称的に含まれてよいことを理解されたい。
【0058】
図5は、本発明によるシステムの第5の実施形態の概略図である。この実施形態は、本質的に第3と第4の実施形態を組み合わせたものである。この図では、ランプハウジングが省略されている。暗黒参照要素61は、
図3を参照して上述したように第1と第2の反射器12、22の間に配置され、第3の光源30と光学フィルタ63は、
図4を参照して上述したように配置される。
【0059】
図6は、対象物2が(上述の本発明の実施形態のように)対象平面内で落下するのではなく、方向Bに動いているコンベヤベルト3’によって検出領域Dを通って搬送されるように本発明のシステムが配置されている変形形態を示す。対象平面P-Pと位置合わせさ
れているコンベヤベルト3’は、光ビームI
1、2がベルトを通過して対象物に達することができるように、透明および/または半透明である。すなわち、コンベヤベルト3’は、たとえばワイヤメッシュコンベヤベルト、半透明コンベヤベルト、または介在する間隙と共に配置された2つのコンベヤベルトである。
図6に示された構成により、落下させるのに向いていない対象物、たとえば肉製品を分析および選別するのに本発明のシステムを使用することが可能になる。このような肉製品の例には、鶏肉、豚の脇腹肉および挽肉がある。この構成はまた、あまり明確な形がなく、コンベヤベルト3’上で層または塊を形成することができる挽肉、ミンチ肉、味付け挽肉などの対象物を検出、分析および選別するのに適している。この種類の対象物は、
図6では参照番号2’で示されている。
図6の構成は反転できること、すなわち光源がコンベヤベルト3’の上に、分光システムがその下にあるようにできることを理解されたい。
【0060】
使用の際、本発明のシステムおよび装置の実施形態のいずれも通常は、光学検出処理を実行するための条件が理想的とは言えない産業環境内に、たとえば農産物包装機器の近辺または肉処理工場内に設置される。たとえば、分光システムで検出される光は一般に、(i)光源で生成され、対象物を透過した光と、(ii)周辺光との合計になる。これについては
図7に示されており、「A」と印付けられた矢印は周囲光を示し、L’はランプハウジング42内のパルス化光源40から来るパルス光を表す。周辺光は検出光のかなりの部分を成し、検出処理に不利に影響を及ぼすことがある。したがって、周辺光を検出および測定処理から取り除くことができるということは重要である。
【0061】
したがって、本発明は、分光システムが周辺光だけを測定できるように光源をある期間にわたりスイッチオフする方法および関連手段を含む。光源がスイッチオフされているとき、対象物を透過する光はない。分光システム4の処理デバイス(図示せず)により、照明システム(光源)で生成された光が対象物を透過したときに分光システムで行われた測定から周辺光測定値を引き算する。
【0062】
対象物は通常、検出領域を通って高速で動いており(たとえば落下);光源がスイッチオフされる期間は、この速度に適合しなければならない。これは、急速オン/オフサイクルを有効にするパルス化集束LEDによって得ることができる。パルス化LED配置により、光源がオフのとき(周辺光だけ)およびオンのときに(生成した光+周辺光)、隣接ピクセルからの受光を検出することが可能になる。光源がたとえばハロゲン球(応答時間が長い)である場合には、パルス光L’は、
図7に示されるように、光源の前に光制御手段45を配置することによって得られる。光制御手段45は、たとえば機械式シャッタ、またはいわゆるスイッチャブルガラスである。スイッチャブルガラスはよく知られており、一例としてSchott AGから市販されているSmartGlass
TMがある。
【0063】
検出処理中に周辺光を測定し、引き算をするこの機能は、システムの多用性を改善する。たとえば、検出領域は密閉キャビネットの中にある必要がなく、開放した所にあって周囲光にさらされてよい。パルス化LEDは、光制御手段45と組み合わされることを理解されたい。
【0064】
本発明は、果物、野菜および肉の中の物質を検出することを参照して説明されたが、本発明は、一般に、それだけには限らないが他の食材を含む、半透明な対象物中の物質を検出することに等しく適用可能であることを理解されたい。