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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】荷物搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20220620BHJP
【FI】
B65G1/137 G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020156729
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022050240
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】512181064
【氏名又は名称】株式会社流通サービス
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(73)【特許権者】
【識別番号】520362550
【氏名又は名称】プラスオートメーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正晃
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩央
(72)【発明者】
【氏名】北村 隆之
(72)【発明者】
【氏名】森島 奈都子
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 勇人
(72)【発明者】
【氏名】大西 弘基
(72)【発明者】
【氏名】小松 祐介
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-213493(JP,A)
【文献】特開2006-036507(JP,A)
【文献】特開昭59-202517(JP,A)
【文献】特開平2-236705(JP,A)
【文献】特開平1-255906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷物を該荷物の属性ごとに配置した複数の集荷ゾーンを含む第1エリアと、収集された前記荷物を検査または梱包する第2エリアとを連続して繋ぐ搬送路と、
それぞれが前記搬送路の面上を前後左右に自在に走行可能な複数のロボットと、
収集すべき前記荷物の情報と、前記複数の集荷ゾーンのうち収集すべき該荷物のある集荷ゾーンの情報と、前記複数のロボットのうち収集を行うロボットの識別子とを関連付けたピッキング処理情報を生成する管理部と、
前記集荷ゾーンの情報および前記ロボットの識別子に従って前記複数のロボットを制御するコントローラと、を備え
前記搬送路は、単位領域ごとに分割され該搬送路の単位領域ごとに与えられた平面座標を示す単位領域識別情報を記憶する磁気シートを有し、
前記複数のロボットは、それぞれ前記単位領域ごとに設けられた前記単位領域識別情報を読み取り可能なリーダと、前記搬送路の各単位領域の前記単位領域識別情報を示すマップ情報を格納するメモリとを有し、前記磁気シートから読み取った前記単位領域識別情報で前記マップ情報における自己の位置を認識して自走する、
荷物搬送システム。
【請求項2】
前記搬送路は、前記複数のロボットが周回可能な第1トラックと、前記集荷ゾーンが設けられ前記複数のロボットのいずれかが停止可能な第2トラックとを有する、請求項1に記載の荷物搬送システム。
【請求項3】
前記複数の集荷ゾーンのそれぞれに設けられ、前記管理部と通信可能に接続され、前記ピッキング処理情報を表示する複数の端末をさらに備えた、請求項1または請求項2に記載の荷物搬送システム。
【請求項4】
前記ロボットは、前記コントローラから得られる前記集荷ゾーンの情報および前記ロボットの識別子に従って前記第1トラックを走行して前記搬送路を移動し、前記第2トラックへ移動して前記集荷ゾーンで停止する、請求項2または請求項3に記載の荷物搬送システム。
【請求項5】
前記ロボットは、自己の識別子および前記集荷ゾーンの前記単位領域識別情報を受信すると、該集荷ゾーンまで前記搬送路上を走行し、前記集荷ゾーンの前記単位領域識別情報を検知したときに停止する、請求項1に記載の荷物搬送システム。
【請求項6】
前記管理部は、前記ピッキング処理情報を生成する際に、同一の前記注文情報に対して同一の前記ロボットの識別子を割り当てることによって前記ピッキング処理情報を生成する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の荷物搬送システム。
【請求項7】
同一の前記注文情報は、同一梱包に対応する、請求項6に記載の荷物搬送システム。
【請求項8】
前記コントローラは、複数の前記集荷ゾーンへ前記ロボットを順次移動させて停止させることを繰り返し、該ロボットに対応する全ての前記集荷ゾーンのそれぞれに停止させた後に前記第2エリアへ移動させる、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の荷物搬送システム。
【請求項9】
前記管理部は、複数の前記ピッキング処理情報のうち同一の前記注文情報または同一の前記ロボットの識別子を有する複数の第1ピッキング処理情報に含まれる第1ロボットの識別子および該識別子に対応する複数の集荷ゾーンの情報を前記コントローラへ送信し、
前記コントローラは、前記第1ロボットの識別子に対応する第1ロボットを、前記第1ロボットの識別子に対応する複数の集荷ゾーンのうち第1集荷ゾーンへ移動させ、
前記第1ロボットは、該第1集荷ゾーンに到着すると、到着通知を前記コントローラへ送信し、
前記管理部は、前記第1集荷ゾーンの前記端末へピッキング指令を送信し、
前記端末は、前記ピッキング処理情報および前記ピッキング指令を表示する、請求項3に記載の荷物搬送システム。
【請求項10】
前記第1ロボットが荷物を搭載した後、前記端末は、完了通知を前記管理部へ送信し、
前記管理部は、前記コントローラへ完了通知を送信し、
前記コントローラは、前記第1ロボットを、該第1ロボットの識別子に対応する複数の集荷ゾーンのうち第2集荷ゾーンへ移動させる、請求項9に記載の荷物搬送システム。
【請求項11】
前記搬送路の前記第1トラックは、さらに複数のサブトラックに分割されており、
前記ロボットは、該サブトラックの一部を一方向に走行し、他の前記サブトラックを他方向に走行する、請求項2に記載の荷物搬送システム。
【請求項12】
前記搬送路は、複数の前記第1エリアを備え、
前記複数の第1エリアは、共通の前記第2エリアに対して櫛の歯状に突出している、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の荷物搬送システム。
【請求項13】
複数の集荷ゾーンを含む第1エリアと収集された荷物を検査または梱包する第2エリアとを連続して繋ぐ搬送路と、それぞれが前記搬送路の面上を前後左右に自在に走行可能な複数のロボットと、収集すべき前記荷物の情報と、前記複数の集荷ゾーンのうち収集すべき該荷物のある集荷ゾーンの情報と、前記複数のロボットのうち収集を行うロボットの識別子とを関連付けたピッキング処理情報を生成する管理部と、前記集荷ゾーンの情報および前記ロボットの識別子に従って前記複数のロボットを制御するコントローラと、を備え
前記搬送路は、単位領域ごとに分割され該搬送路の単位領域ごとに与えられた平面座標の位置を示す単位領域識別情報を記憶する磁気シートを有し、前記複数のロボットは、それぞれ前記単位領域ごとに設けられた前記単位領域識別情報を読み取り可能なリーダと、前記搬送路のマップ情報を格納するメモリとを有する荷物搬送システムの制御方法であって、
前記管理部は、同一の前記注文情報に対して同一の前記ロボットの識別子を割り当てることによって前記ピッキング処理情報を生成し、
前記複数のロボットは、前記磁気シートから読み取った前記単位領域識別情報で前記マップ情報における自己の位置を認識して自走し、
前記コントローラは、複数の前記集荷ゾーンへ前記ロボットを順次移動させて停止させることを繰り返し、該ロボットに対応する全ての前記集荷ゾーンのそれぞれに停止させた後に前記第2エリアへ移動させることを具備する、荷物搬送システムの制御方法。
【請求項14】
前記管理部は、複数の前記ピッキング処理情報のうち同一の前記注文情報または同一の前記ロボットの識別子を有する複数の第1ピッキング処理情報に含まれる第1ロボットの識別子および該識別子に対応する複数の集荷ゾーンの情報を前記コントローラへ送信し、
前記コントローラは、前記第1ロボットの識別子に対応する第1ロボットを、前記第1ロボットの識別子に対応する複数の集荷ゾーンのうち第1集荷ゾーンへ移動させ、
前記第1ロボットは、前記第1集荷ゾーンに到着するごとに、到着通知を前記コントローラへ送信し、
前記管理部は、前記複数の集荷ゾーンのそれぞれに設けられ、前記管理部と通信可能に接続された端末へピッキング指令を送信し、
前記集荷ゾーンにある前記端末は、前記ピッキング処理情報および前記ピッキング指令を表示することをさらに具備する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1ロボットが荷物を搭載した後、
前記端末は、完了通知を前記管理部へ送信し、
前記管理部は、前記コントローラへ完了通知を送信し、
前記コントローラは、前記第1ロボットを、該第1ロボットの識別子に対応する複数の集荷ゾーンのうち第2集荷ゾーンへ移動させることをさらに具備する請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、荷物搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流業界の労働力不足が深刻になっており、物流施設の自動化が促進されている。このような、物流施設の自動化のために、無人搬送車(AGV(Automatic Guided Vehicle))が施設内で荷物を自動で搬送するシステムが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6574899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の荷物搬送システムでは、充分な効率化ができておらず、無人搬送車が荷物を搬送するにしても個々の荷物の集荷に時間がかかっていた。
【0005】
そこで、無人搬送車が荷物を効率的に搬送することができる荷物搬送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による荷物搬送システムは、複数の荷物を該荷物の属性ごとに配置した複数の集荷ゾーンを含む第1エリアと、収集された荷物を検査または梱包する第2エリアとを連続して繋ぐ搬送路と、搬送路を走行可能な複数のロボットと、収集すべき荷物の情報と、複数の集荷ゾーンのうち収集すべき該荷物のある集荷ゾーンの情報と、複数のロボットのうち収集を行うロボットの識別子とを関連付けたピッキング処理情報を生成する管理部と、集荷ゾーンの情報およびロボットの識別子に従って複数のロボットを制御するコントローラと、を備える。
【0007】
搬送路は、複数のロボットが周回可能な第1トラックと、集荷ゾーンが設けられ複数のロボットのいずれかが停止可能な第2トラックとを有してもよい。
【0008】
搬送路は、該搬送路上の単位領域ごとに与えられた単位領域識別情報を記憶する磁気シートを有し、複数のロボットは、それぞれ搬送路に設けられた単位領域識別情報を読み取り可能なリーダを有してもよい。
【0009】
複数の集荷ゾーンのそれぞれに設けられ、管理部と通信可能に接続され、ピッキング処理情報を表示する複数の端末をさらに備えてもよい。
【0010】
複数の集荷ゾーンのそれぞれに設けられ、管理部と通信可能に接続され、タスク情報を表示する複数の端末をさらに備えてもよい。
【0011】
ロボットは、コントローラから得られる集荷ゾーンの情報およびロボットの識別子に従って第1トラックを走行して搬送路を移動し、第2トラックへ移動して集荷ゾーンで停止してもよい。
【0012】
ロボットは、自己の識別子および集荷ゾーンの単位領域識別情報を受信すると、該集荷ゾーンまで搬送路上を走行し、集荷ゾーンの単位領域識別情報を検知したときに停止してもよい。
【0013】
管理部は、ピッキング処理情報を生成する際に、同一の注文情報に対して同一のロボットの識別子を割り当てることによってピッキング処理情報を生成してもよい。
【0014】
同一の注文情報は、同一梱包に対応してもよい。
【0015】
コントローラは、複数の集荷ゾーンへロボットを順次移動させて停止させることを繰り返し、該ロボットに対応する全ての集荷ゾーンのそれぞれに停止させた後に第2エリアへ移動してもよい。
【0016】
管理部は、複数のピッキング処理情報のうち同一の注文情報または同一のロボットの識別子を有する複数の第1ピッキング処理情報に含まれる第1ロボットの識別子および該識別子に対応する複数の集荷ゾーンの情報をコントローラへ送信し、コントローラは、第1ロボットの識別子に対応する第1ロボットを、第1ロボットの識別子に対応する複数の集荷ゾーンのうち第1集荷ゾーンへ移動させ、第1ロボットは、該第1集荷ゾーンに到着すると、到着通知をコントローラへ送信し、管理部は、第1集荷ゾーンの端末へピッキング指令を送信し、端末は、ピッキング処理情報およびピッキング指令を表示してもよい。
【0017】
第1ロボットが荷物を搭載した後、端末は、完了通知を管理部へ送信し、管理部は、コントローラへ完了通知を送信し、コントローラは、第1ロボットを、該第1ロボットの識別子に対応する複数の集荷ゾーンのうち第2集荷ゾーンへ移動させてもよい。
【0018】
搬送路の第1トラックは、さらに複数のサブトラックに分割されており、ロボットは、該サブトラックの一部を一方向に走行し、他のサブトラックを他方向に走行してもよい。
【0019】
搬送路は、複数の第1エリアを備え、複数の第1エリアは、共通の第2エリアに対して櫛の歯状に突出してもよい。
【0020】
本実施形態による荷物搬送システムの制御方法は、複数の集荷ゾーンを含む第1エリアと収集された荷物を検査または梱包する第2エリアとを連続して繋ぐ搬送路と、搬送路を走行可能な複数のロボットと、収集すべき荷物の情報と、複数の集荷ゾーンのうち収集すべき該荷物のある集荷ゾーンの情報と、複数のロボットのうち収集を行うロボットの識別子とを関連付けたピッキング処理情報を生成する管理部と、集荷ゾーンの情報およびロボットの識別子に従って複数のロボットを制御するコントローラと、を備えた荷物搬送システムの制御方法であって、
管理部は、同一の注文情報に対して同一のロボットの識別子を割り当てることによってピッキング処理情報を生成し、コントローラは、複数の集荷ゾーンへロボットを順次移動させて停止させることを繰り返し、該ロボットに対応する全ての集荷ゾーンのそれぞれに停止させた後に第2エリアへ移動させることを具備する。
【0021】
管理部は、複数のピッキング処理情報のうち同一の注文情報または同一のロボットの識別子を有する複数の第1ピッキング処理情報に含まれる第1ロボットの識別子および該識別子に対応する複数の集荷ゾーンの情報をコントローラへ送信し、コントローラは、第1ロボットの識別子に対応する第1ロボットを、第1ロボットの識別子に対応する複数の集荷ゾーンのうち第1集荷ゾーンへ移動させ、第1ロボットは、第1集荷ゾーンに到着するごとに、到着通知をコントローラへ送信し、管理部は、複数の集荷ゾーンのそれぞれに設けられ、管理部と通信可能に接続された端末へピッキング指令を送信し、集荷ゾーンにある端末は、ピッキング処理情報およびピッキング指令を表示することをさらに具備してもよい。
【0022】
第1ロボットが荷物を搭載した後、端末は、完了通知を管理部へ送信し、 管理部は、コントローラへ完了通知を送信し、 コントローラは、第1ロボットを、該第1ロボットの識別子に対応する複数の集荷ゾーンのうち第2集荷ゾーンへ移動させることをさらに具備してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態による荷物搬送システムに用いられるロボットの一例を示す外観図。
図2】ロボットの構成例を示すブロック図。
図3】搬送路の構成例を示す平面図。
図4】搬送路を仮想的にメッシュ状に分割した単位領域を示す概念図。
図5】荷物搬送システムの運用の様子を示す概念図。
図6】本実施形態による荷物搬送システムの構成例を示す概略ブロック図。
図7】ピッキング処理情報の一例を示す表。
図8】本実施形態による荷物搬送システムの運用の一例を示すフロー図。
図9】本実施形態による荷物搬送システムの運用の一例を示すフロー図。
図10】本実施形態による荷物搬送システムの運用の一例を示すフロー図。
図11】端末のディスプレイに表示されているピッキング処理情報、ピッキング指令、および、ピッキング完了ボタンの一例を示す図。
図12】端末のディスプレイに表示されている検査・梱包指令、ピッキング処理情報、および、検査・梱包完了ボタンの一例を示す図。
図13】荷物搬送システムの充電処理の一例を示すフロー図。
図14】荷物搬送システムの運用の変形例の一例を示すフロー図。
図15】変形例のピッキング処理情報を示す図。
図16】変形例のピッキング処理情報を示す図。
図17】他の変形例のピッキング処理情報を示す図。
図18】第2実施形態による搬送路の構成例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0025】
図1は、本実施形態による荷物搬送システムに用いられるロボットの一例を示す外観図である。ロボット10は、筐体11と、トレー12と、車輪13とを備えた自走式ロボットである。ロボット10は、トレー12に荷物(図示せず)を載せた状態で、平滑な面上を前後左右に自在に移動することができる。
【0026】
図2は、ロボット10の構成例を示すブロック図である。ロボット10は、モータ14と、バッテリ15と、CPU(Central Processing Unit)16と、メモリ17と、RFIDリーダ18と、インターフェース19と、ボタン20とを備えている。これらの構成要素は、筐体11内に収容されている。
【0027】
モータ14は、車輪13を回転駆動させる動力源であり、バッテリ15からの電力を受けて動作する。モータ14の回転によって車輪13は回転し、筐体11およびトレー12を移動させることができる。
【0028】
バッテリ15は、モータ14を含め、ロボット10の全体に電力を供給する。
【0029】
CPU16は、RFIDリーダで検出された情報、インターフェース19から受信される情報、および、メモリ17に格納されている情報に基づいてモータ14を制御し、ロボット10を所定方向へ所定速度で移動させる。これにより、ロボット10は、所定の位置まで移動し、停止することができる。
【0030】
メモリ17は、ロボット10が走行する搬送路30(図3参照)のマップ情報、自己を認識するための固有のロボットID情報、ロボット10を走行させるためのプログラム等を格納する。また、メモリ17は、RFIDリーダで検出されたタグ情報、および、インターフェース19から受信される指令や位置情報等を一時的に格納する。
【0031】
RFIDリーダは、後述の搬送路30に設けられたRFIDタグから情報を読み取り、搬送路30におけるロボット10の位置を確認し、あるいは、集荷ゾーンを識別するために設けられている。
【0032】
インターフェース19は、ロボット10の外部にあるコントロールシステムと無線通信可能に接続されている。インターフェース19は、例えば、インターネット、WiFi等を介してコントロールシステムと接続されている。インターフェース19は、コントロールシステムからの指令や位置情報等を受けたり、逆に、コントロールシステムへ作業完了情報等を送信する。
【0033】
ボタン20は、ロボット10を起動させたり、シャットダウンさせるために用いられる。
【0034】
このような構成により、ロボット10は、コントロールシステムからの指令に従って、搬送路30を移動することができる。
【0035】
図3は、搬送路30の構成例を示す平面図である。搬送路30は、搬送エリアA1と、作業エリアA2とに分かれており、ピッキングゾーンZ1A~Z1Fを周回するように設けられている。
【0036】
第1エリアとしての搬送エリアA1は、メイントラックMTと、サブトラックSTとに分離されており、サブトラックSTにピッキングゾーンZ1A~Z1Fが設けられている。
【0037】
第1トラックとしてのメイントラックMTは、ロボット10が走行し移動するためのレーンである。ロボット10は、移動先として設定されている所定のピッキングゾーン(Z1A~Z1Fのいずれか)の近傍までメイントラックMTを走行する。メイントラックMTでは、ロボット10は基本的に停止しない。
【0038】
第2トラックとしてのサブトラックSTは、ロボット10が所定のピッキングゾーンに進入して停止するために設けられているレーンである。ロボット10は、所定のピッキングゾーンの近傍までメイントラックMTを走行した後、サブトラックSTへ移動し所定のピッキングゾーンで停止する。
【0039】
集荷ゾーンとしてのピッキングゾーンZ1A~Z1Fは、複数の荷物を該荷物の属性ごとに配置されたゾーンである。荷物の属性は、荷物の種類、形状、色、重さ、製造元等のように、荷物を区別可能な任意の要素である。各ピッキングゾーンZ1A~Z1Fには、オペレータが待機しており、オペレータは、ピッキングゾーンZ1A~Z1Fにおいて停止したロボット10のトレー12に所定の荷物を載置する。
【0040】
第2エリアとしての作業エリアA2は、検査・梱包ゾーンZ2と、充電ゾーンZ3と、待機ゾーンZ4とを含む。検査・梱包ゾーンZ2は、オペレータがロボット10によって収集され搬送されてきた荷物を検査し、梱包するゾーンである。充電ゾーンZ3は、ロボット10が充電を行うゾーンである。待機ゾーンZ4は、ロボット10が次の指令まで待機するゾーンである。このように、作業エリアA2は、オペレータが荷物のチェックや梱包等の作業を行い、かつ、ロボット10が次の動作の準備をするエリアである。
【0041】
搬送エリアA1および作業エリアA2は、ロボット10が搬送路30全体を走行可能なようにほぼ平滑に連続して繋がっている。
【0042】
このように搬送エリアA1にサブトラックSTを設け、サブトラックSTにピッキングゾーンZ1A~Z1Fを配置している。これにより、ロボット10は、他のロボット10の走行を妨げることなくピッキングゾーンZ1A~Z1Fに停止することができる。よって、複数のロボット10が搬送路30内をスムーズに走行することが可能となる。
また、搬送路30は、搬送エリアA1に円環状に設けられ、ピッキングゾーンZ1A~Z1Fに亘って無端状に連続している。これにより、ロボット10は、目的のピッキングゾーンZ1A~Z1Fを通り過ぎても周回することによって再度、目的のピッキングゾーンZ1A~Z1Fに到達することができる。尚、本実施形態において、搬送路30は、円環状に限定せず、くし状等の他の形状であってもよい。この場合、コントロールシステムCSは、ロボット10同士が衝突しないように各ロボット10の位置を制御する。あるいは、ロボット10自身が互いに衝突しないようにセンサを有する。これにより、本実施形態によるシステムは、搬送路30を自由に設計することができる。
【0043】
ロボット10が搬送路30における自己の位置を認識するために、搬送路30には、磁気シートが敷かれている。磁気シートは、単位面積ごとに分割されており、それぞれの領域においてID情報を記憶している。よって、磁気シートは、単位面積の領域(単位領域)ごとに分割されたIDダグとして機能する。例えば、図4は、搬送路30を仮想的にメッシュ状に分割した単位領域A5を示す概念図である。磁気シートは、単位領域A5ごとに異なるID情報(単位領域識別情報)を格納する。搬送路30全体の各単位領域A5のID情報は、搬送路30のマップ情報として、ロボット10のメモリ17またはコントロールシステムに格納されている。このID情報は、例えば、対応する単位領域A5の座標情報でよい。座標情報は、例えば、搬送路30の一端を原点として各単位領域A5の平面座標で表現可能である。
【0044】
ロボット10は、RFIDリーダ18で単位領域A5の磁気シートに記憶されたID情報を読み取ることにより、搬送路30のマップ情報に基づいて自己の位置を認識することができる。
【0045】
また、搬送エリアA1、作業エリアA2、ピッキングゾーンZ1A~Z1F、検査・梱包ゾーンZ2、充電ゾーンZ3、待機ゾーンZ4、メイントラックMT、サブトラックSTの情報は、単位領域A5のID情報と関連付けられて搬送路30のマップ情報に含まれている。これにより、ロボット10またはコントロールシステムは、ロボット10がどのエリア、どのゾーン、どのトラックに位置するかを知ることができる。
【0046】
単位領域A5の面積は、ロボット10を上方から平面視したときの面積とほぼ同じかそれ以下であることが好ましい。これにより、ロボット10またはコントロールシステムは、ロボット10のより詳細な位置を知ることができる。
【0047】
図5は、荷物搬送システム1の運用の様子を示す概念図である。荷物搬送システム1では、複数のロボット10は、搬送路30上を矢印で示す方向に同一方向に走行する。ロボット10は、搬送エリアA1を移動する際には、メイントラックMTを走行し、指令に応じてサブトラックSTのピッキングゾーンZ1A~Z1Fに移動し停止する。各ピッキングゾーンZ1A~Z1Fに待機するオペレータは、対応するピッキングゾーンに停止したロボット10のトレー12に所定の荷物を載置する。尚、本実施形態において、ロボット10は、搬送路30上を同一方向に移動している。しかし、ロボット10は、搬送路30上を一方向および逆方向に対面通行可能にしてもよい。この場合、搬送路30のメイントラックMTは複数の車線(サブトラック)に分割されており、ロボット10は、そのうち一部の車線を一方向に走行し、他の車線を他方向(逆方向)に走行する。
【0048】
ピッキングゾーンZ1A~Z1Fにはそれぞれ端末T1A~T1Fが設けられている。端末T1A~T1Fは、例えば、タブレット端末のような携帯端末、あるいは、PC等でよい。端末T1A~T1Fは、各ピッキングゾーンZ1A~Z1Fのオペレータによって操作される。端末T1A~T1Fは、図6を参照して説明するように、管理システムMSと通信可能に接続されており、管理システムMSから送信される指令(ピッキング処理情報)を表示し、かつ、ピッキングが終了したときにはピッキング完了通知を管理システムMSへ送信する。
【0049】
オペレータが、ロボット10に所定の荷物を載置すると、端末T1A~T1Fを用いてピッキング完了ボタンを押す(タッチまたはクリックする)。これにより、ピッキング完了通知が端末T1A~T1Fから管理システムMSへ送信される。管理システムMSは、コントロールシステムCSを介してロボット10を制御し、ロボット10はメイントラックMTに戻って走行を再開する。その後、ロボット10は、指令に従って次のピッキングゾーンへ移動し停止する。
【0050】
このように、ロボット10は、指令に含まれる全てのピッキングゾーンへ移動および停止を繰り返す。これにより、ロボット10は、指令に含まれる全ての荷物をトレー12に搭載することができる。一連の指令に含まれる全てのピッキングゾーンへ移動および停止した後、ロボット10は、作業エリアA2の検査・梱包ゾーンZ2へ移動する。
【0051】
検査・梱包ゾーンZ2において、オペレータは、ロボット10に搭載された荷物をチェックし、梱包する。オペレータは、端末T2に表示された検査・梱包完了ボタンを押す(タッチまたはクリックする)と、ロボット10は、待機ゾーンZ4へ移動し、次の指令を待機する。また、ロボット10は、バッテリ15の充電状態が所定値より低い場合には、充電ゾーンZ3へ移動し充電する。
【0052】
このように、ロボット10は、指令に従って、搬送エリアA1で所定の荷物をピックアップし、その荷物を作業エリアA2へ搬送する。このとき、ロボット10は、1つ1つの荷物を個別に搬送するのではなく、複数の荷物を一度の走行でまとめてピックアップして検査・梱包ゾーンZ2へ搬送することができる。これにより、ロボット10は、荷物を効率的に搬送することができ、集荷が短時間で済む。
【0053】
例えば、ピッキングゾーンZ1A~Z1Fには、部品A~Fがそれぞれ配置されているものとする。部品A~Fのうち部品B、D、Fの発送の注文があった場合、1つのロボット10がゾーンZ1B、Z1D、Z1Fへ順次移動して停止することを繰り返して、部品B、D、Fをピックアップし、検査・梱包ゾーンZ2へ移動する。オペレータは、この1つのロボット10に搭載された部品B、D、Fを梱包して発送すればよい。
【0054】
もし、ロボット10が部品B、D、Fをそれぞれ個別に搬送する場合、3つのロボット10が、部品B、D、Fをそれぞれピックアップして搬送し、あるいは、1つのロボット10が3度に渡って部品B、D、Fを個々にピックアップして搬送する必要がある。この場合、オペレータは、3つのロボット10を確認する必要があり、あるいは、ロボット10が部品B、D、Fの全てを搬送するまで待機する必要がある。このため、オペレータは、同梱する部品を間違えたり、発送までに時間がかかってしまう。
【0055】
これに対し、本実施形態では、1つのロボット10が、必要な荷物を1度の走行でピックアップし、検査・梱包ゾーンZ2へ搬送する。従って、オペレータは、短時間で正確に荷物を梱包することができる。
【0056】
図6は、本実施形態による荷物搬送システム1の構成例を示す概略ブロック図である。荷物搬送システム1は、複数のロボット10と、搬送路30と、コントロールシステムCSと、管理システムMSと、端末T1A~T1Fとを備えている。尚、便宜的に、図6では、3つのロボット10を示しているが、搬送路30に存在するロボット10の数は、2つ以下でも、4つ以上であってもよい。
【0057】
管理部としての管理システムMSは、ピッキング処理情報を生成する。ピッキング処理情報は、検査・梱包ゾーンZ2において収集すべき荷物の情報、収集すべき荷物のあるピッキングゾーンZ1A~Z1Fの単位領域A5のID情報、各注文を識別する注文ID、並びに、収集を実行するロボットのID情報等を関連付けた情報である。管理システムMSは、ピッキング処理情報を生成する際に、同一の注文IDに対して同一のロボットのID情報を割り当てることによってピッキング処理情報を生成する。注文IDは、複数の荷物を1つのまとまりとして収集する際に付与される識別子である。例えば、1つの梱包に投入される複数の荷物に対しては、同一の注文IDが付与される。尚、ピッキング処理情報のうちピッキングゾーンZ1A~Z1FのID情報およびロボットのID情報は、指令としてコントロールシステムCSおよび端末T1A~T1Fへ送信される。
【0058】
コントローラとしてのコントロールシステムCSは、ピッキングゾーンZ1A~Z1FのID情報、並びに、ロボットのID情報(以下、制御指令とも言う)を管理システムMSから受け取り、この制御指令に従って複数のロボット10を制御する。尚、制御指令にはロボット10のID情報が含まれるので、ロボット10は、コントロールシステムCSからの指令が自己に対する指令であることを認識することができる。
【0059】
端末T1A~T1F、T2は、各ピッキングゾーンZ1A~Z1Fおよび検査・梱包ゾーンZ2に配置され、例えば、タブレット端末のような携帯端末、あるいは、PC等でよい。端末T1A~T1F、T2は、管理システムMSと通信可能に接続されており、管理システムMSから送信されるピッキング処理情報を受け取り、その内容をディスプレイに表示する。これにより、オペレータへピッキング処理情報の内容を知らせることができる。また、端末T1A~T1Fは、ピッキング完了ボタンを表示する。オペレータが荷物を搭載したときにはピッキング完了ボタンを押す(タッチまたはクリックする)。これにより、端末T1A~T1Fは、ピッキング完了通知を管理システムMSへ送信する。ピッキング完了通知を受けた管理システムMSは、コントロールシステムCSを介してロボット10を制御し、ロボット10の走行を再開させることができる。
【0060】
また、端末T2は、検査・梱包完了ボタンを表示する。オペレータが検査および梱包を完了したときには検査・梱包完了ボタンを押す(タッチまたはクリックする)。これにより、端末T2は、検査・梱包完了通知を管理システムMSへ送信する。管理システムMSは、コントロールシステムCSを介してロボット10を制御し、ロボット10を待機ゾーンZ4へ移動させ、待機状態とすることができる。
【0061】
図7は、ピッキング処理情報の一例を示す表である。各ピッキング処理情報は、処理ナンバ、ロボット10が収集すべき荷物の商品名、その荷物の個数、その荷物が配置されているピッキングゾーンZ1A~Z1Fの単位領域A5のID情報(以下、ピッキングゾーンIDともいう)、その荷物の注文ID、未処理/処理済みを示すステータス情報、並びに、集荷を担当するロボット10のID情報(以下、ロボットIDともいう)等を関連付けた情報である。
【0062】
管理システムMSは、同一梱包に含まれる複数の荷物に対して同一の注文IDを付与し、かつ、同一のロボットIDを付与する。この場合、或るロボット10が一連の走行で立ち寄るべきピッキングゾーンZ1A~Z1Fは、1または複数のピッキング処理情報で示される。
【0063】
例えば、図7には、5つのピッキング処理情報が示されている。ピッキング処理情報の数は、特に限定しない。No.1およびNo.3のピッキング処理情報は、注文ID“001”であり、ロボットID“01”のロボット10に対する指令であり、ピッキングゾーンZ1B、Z1Dへ走行し停止することを示している。ロボット10は、ピッキングゾーンZ1Bでは、商品SKU01を2個、ピッキングゾーンZ1Dでは、商品SKU03を4個ピックアップする。商品のピックアップは、各ピッキングゾーンのオペレータが対象の商品をロボット10のトレー12に搭載することで完了する。同様に、No.2およびNo.4のピッキング処理情報は、注文ID“006”であり、ロボットID“03”のロボット10に対する指令であり、ピッキングゾーンZ1C、Z1Fへ走行し停止することを示している。ロボット10は、ピッキングゾーンZ1Cでは、商品SKU10を1個、ピッキングゾーンZ1Fでは、商品SKU05を3個ピックアップする。このように、ピッキング処理情報は、ロボット10が一連の走行で複数の荷物をピックアップして効率良く搬送することができるように設定される。
【0064】
次に、荷物搬送システム1の具体的な運用を説明する。
【0065】
図8図10は、本実施形態による荷物搬送システム1の運用の一例を示すフロー図である。まず、ロボット10は、作業エリアA2の待機ゾーンZ4において待機している。待機状態のロボット10は、自己のロボットIDおよび待機通知をコントロールシステムCSへ送信する(S100)。待機通知は、待機状態であることを示す情報である。コントロールシステムCSは、待機状態のロボットIDおよび待機通知を管理する。
【0066】
次に、タスクが発生すると、管理システムMSがピッキング処理情報を生成する(S130)。例えば、オペレータが管理システムMSに、収集すべき荷物の情報(商品名、個数等)および注文IDを入力すると、管理システムMSは、図7に示すピッキング処理情報を生成する。このとき、管理システムMSは、処理ナンバ、その荷物のあるピッキングゾーンおよびステータスを付与する。ステータスは、当初全て未処理である。また、管理システムMSは、待機状態のロボット10の中からそのピッキング処理を実行するロボット(第1ロボット)10を選択する。このとき、管理システムMSは、同一注文IDに対して同一のロボットIDを割り当てる。このように、管理システムMSは、ピッキング処理情報を生成する。そして、管理システムMSは、注文IDおよびロボットID(制御指令)をコントロールシステムCSおよび端末T1A~T1Fへ送信する(S140)。
【0067】
端末T1A~T1Fは、制御指令を受信すると、ピッキング処理情報をディスプレイに表示する(S150)。これにより、各ピッキングゾーンZ1A~Z1Fのオペレータは、タスクの発生とその内容を知ることができる。
【0068】
一方、コントロールシステムCSは、制御指令を受信すると、ピッキング処理情報No.1に基づいてピッキングゾーンZ1Bの空き状態を確認する(S160)。ピッキングゾーンZ1Bの空き状態は、他のロボット10の位置情報に基づき他のロボット10がピッキングゾーンZ1Bに停止しているか否かによって確認することができる。
【0069】
ピッキングゾーンZ1Bが空き状態である場合、コントロールシステムCSは、ピッキングゾーンZ1BのピッキングゾーンIDを、ロボットIDとともに送信する(S170)。これにより、選択されたロボット10は、最初の移動先であるピッキングゾーン(第1集荷ゾーン)Z1Bへ移動することができる。
【0070】
選択されたロボット10は、作業エリアA2から搬送エリアA1へ移動を開始する(S180)。選択されたロボット10は、ピッキングゾーンZ1Bの単位領域A5に到着し、停止する。このとき、選択されたロボット10は、到着通知を、ピッキングゾーンIDおよびロボットIDとともにコントロールシステムCSへ送信する(S190)。到着通知は、ロボット10が目的とするピッキングゾーンZ1Bに到着したことを示す情報である。コントロールシステムCSは、この到着通知を受け、到着通知とともに、それに対応する制御指令を管理システムMSへ送信する(S200)。
【0071】
管理システムMSは、到着通知および制御指令を受信すると(S210)、ピッキング指令を、ピッキング処理情報とともに端末T1A~T1Fへ送信する(S220)。
【0072】
端末T1A~T1Fは、ピッキング指令およびピッキング処理情報を受信すると、ピッキング処理情報に基づいて自己のピッキングゾーンに対応するピッキング指令であるか否かを判断する。該当のピッキング処理情報に含まれるピッキングゾーンIDが自己のピッキングゾーンである場合、その端末(T1A~T1Fのいずれか)は、ピッキング指令および処理すべきピッキング処理情報をディスプレイに表示する(S230)。例えば、ピッキング処理情報No.1を実行する場合、選択されたロボット10(例えば、ロボットID=01)は、ピッキングゾーンZ1Bに停止している。この場合、端末T1Bが、ピッキング処理情報、ピッキング指令、および、ピッキング完了ボタン等をディスプレイに表示する。例えば、図11は、端末T1Bのディスプレイに表示されているピッキング処理情報、ピッキング指令、および、ピッキング完了ボタンの一例を示す図である。ピッキング指令は、例えば、「処理してください」との表示である。処理対象のピッキング処理情報は、例えば、破線枠で囲まれたピッキング処理情報No.1である。ピッキング完了ボタンは、例えば、「OK」の表示である。
【0073】
オペレータは、端末T1Bのディスプレイの表示に従って、2個の商品SKU01を、ピッキングゾーンZ1Bに停止しているロボット10に搭載する(S240)。その後、オペレータは、図11の「OK」をタッチまたはクリックする(S250)。これにより、端末T1Bは、ピッキング完了通知を管理システムMSへ送信する。ピッキング完了通知は、ピッキング処理情報で示されたピッキングゾーンZ1Bでの処理が完了したことを示す情報である。
【0074】
管理システムMSは、ピッキング完了通知を受け取ると、対応するピッキング処理情報(例えば、No.1)のステータスを「処理済み」に更新する。それとともに、管理システムMSは、ピッキング完了通知を、制御指令とともにコントロールシステムCSへ送信する(S260)。
【0075】
コントロールシステムCSは、ピッキング完了通知等を受け取ると、ロボットID“01”に対応する次のピッキング処理情報(例えば、No.3)の実行に移行する。次のピッキング処理情報においても、ステップS160~S270を実行すればよい。
【0076】
尚、ステップS160において、もし、ピッキングゾーンZ1Bに他のロボット10が存在する場合、コントロールシステムCSは、他のピッキング処理情報を先に実行してよい。この場合、ピッキング処理情報の順番がずれるが、ピッキング処理情報はステータス情報を含むので、管理システムMSは、処理済みピッキング処理情報と未処理のピッキング処理情報とを区別することができる。管理システムMSは、後で未処理のピッキング処理情報を実行すればよい。
【0077】
管理システムMSは、ロボットID“01”に対応する全てのピッキング処理情報のステータスが「処理済み」になると(S280)、タスク完了通知を、制御指令とともにコントロールシステムCSへ送信する(S290)。タスク完了通知は、全てのピッキング処理が完了したことを示す情報である。
【0078】
コントロールシステムCSは、タスク完了通知および制御指令を受け取ると(S300)、検査・梱包ゾーンZ2の単位領域A5のID(以下、検査・梱包ゾーンIDともいう)を、ロボットIDとともに送信する(S310)。これにより、タスクを完了したロボット10は、作業エリアA2の検査・梱包ゾーンZ2へ移動する。このように、ロボット10は、搬送エリアA1において、複数のピッキング処理情報のピッキングゾーンのそれぞれに停止した後、作業エリアへ移動する。
【0079】
タスク完了後、選択されたロボット10は、搬送エリアA1から作業エリアA2へ移動を開始する(S320)。該ロボット10は、検査・梱包ゾーンZ2の単位領域A5に到着し、停止する(S330)。このとき、ロボット10は、到着通知を、検査・梱包ゾーンIDおよびロボットIDとともにコントロールシステムCSへ送信する。コントロールシステムCSは、この到着通知を検査・梱包ゾーンIDおよびロボットIDとともに管理システムMSへ送信する(S340)。
【0080】
管理システムMSは、到着通知、検査・梱包ゾーンIDおよびロボットIDを受信すると、検査・梱包指令、検査・梱包ゾーンIDおよび対応するピッキング処理情報を検査・梱包ゾーンZ2の端末T2へ送信する(S350)。
【0081】
端末T2は、検査・梱包指令、検査・梱包ゾーンIDおよびピッキング処理情報を受信すると、検査・梱包指令およびピッキング処理情報をディスプレイに表示する(S360)。例えば、端末T2は、検査・梱包指令、ピッキング処理情報、および、検査・梱包完了ボタンをディスプレイに表示する。このとき、タスクを完了したロボット10(例えば、Robo01)は、検査・梱包ゾーンZ2に停止している。例えば、図12は、端末T2のディスプレイに表示されている検査・梱包指令、ピッキング処理情報、および、検査・梱包完了ボタンの一例を示す図である。検査・梱包指令は、例えば、「検査・梱包してください」との表示である。ピッキング処理情報は、全てのステータスが「処理済み」であることを示している。検査・梱包完了ボタンは、例えば、「検査・梱包OK」の表示である。
【0082】
オペレータは、端末T2のディスプレイの表示に従って、ロボット10に搭載された商品を検査し、梱包する(S370)。その後、オペレータは、図12の「検査・梱包OK」をタッチまたはクリックする(S380)。これにより、端末T2は、検査・梱包完了通知を、ピッキング処理情報とともに管理システムMSへ送信する。検査・梱包完了通知は、検査・梱包の完了を示す情報である。
【0083】
管理システムMSは、検査・梱包完了通知およびピッキング処理情報を受け取ると、そのピッキング処理情報を処理済みに更新する。それとともに、管理システムMSは、検査・梱包完了通知をロボットIDとともにコントロールシステムCSへ送信する(S390)。
【0084】
コントロールシステムCSは、検査・梱包完了通知およびロボットIDを受け取ると、待機指令をロボットIDとともにロボット10へ送信する(S400)。待機指令は、待機ゾーンZ4の単位領域A5のID(以下、待機ゾーンIDともいう)を示す情報である。
【0085】
ロボットIDが自己のロボットIDである場合、そのロボット10は、待機ゾーンZ4へ移動する(S410)。ロボット10は、待機ゾーンZ4に到着すると、停止し、自己のロボットIDおよび待機情報をコントロールシステムCSへ送信する(S100)。その後、ステップS110以降を繰り返し実行する。このように、ロボット10は、一連の走行で複数の荷物をピックアップして検査・梱包ゾーンZ2へ搬送することができる。
尚、ピッキング処理情報No.2、No.4のロボットID“03”のロボットも、ロボットID“01”と同様に、対応する制御指令に従って、ピッキングゾーンZ1C、Z1Dへ移動し、商品SKU10を1個、SKU05を3個ピックアップして、検査・梱包ゾーンZ2へ搬送する。
【0086】
尚、検査・梱包処理において、検査・梱包に問題がある場合、例えば、荷物が足りない場合、荷物が不良品である場合、オペレータは、足りない荷物の追加、あるいは、不良品を交換する。その後、オペレータは、端末T2の検査・梱包OKボタンを押せばよい。
【0087】
図13は、荷物搬送システム1の充電処理の一例を示すフロー図である。ロボット10のバッテリ15の電圧が下限を下回った場合、ロボット10は、エンプティ通知をコントロールシステムCSへ送信する(S500)。エンプティ通知は、ロボット10のバッテリ15の電圧が下限を下回ったことを示す情報である。
【0088】
コントロールシステムCSは、エンプティ通知を受けると、充電ゾーンZ3の単位領域A5のID(以下、充電ゾーンIDともいう)をロボットIDとともに送信する(S540)。これにより、選択されたロボット10は、充電ゾーンZ3へ移動開始する(S550)。
【0089】
選択されたロボット10は、充電ゾーンZ3に到着すると、充電を開始する(S560)。充電形式は、非接触式でもよく、接触式でもよい。ロボット10は、充電ステーション(図示せず)に移動して、自ら電源コネクタを電源に接続してもよい。あるいは、オペレータが、ロボット10の電源コネクタを手動で電源に接続してもよい。
【0090】
ロボット10のバッテリ15が閾値を超えたときに、ロボット10は充電を終了する。充電が終了すると、ロボット10は、フル通知をロボットIDとともにコントロールシステムCSへ送信する(S580)。フル通知は、ロボット10のバッテリ15の電圧が閾値を上回ったことを示す情報である。
【0091】
コントロールシステムCSは、フル通知を受け取ると、待機指令をロボットIDとともにロボット10へ送信する(S620)。ステップS610、S620は、それぞれステップS400、S410と同じでよい。これにより、ロボット10は、待機ゾーンZ4へ移動することができる。その後、ステップS110が実行され、ロボット10は、待機ゾーンZ4で待機する。
【0092】
上記荷物搬送システム1の運用は、複数のロボット10に対して同時並行して実行され得る。これにより、荷物搬送システム1は、荷物の搬送、検査および梱包を効率良くすることができる。
【0093】
以上のように、本実施形態による荷物搬送システム1は、複数のロボット10がそれぞれに対応するピッキング処理情報に従って、同梱されるべき複数の荷物を一度の走行で取りまとめてピックアップし、検査・梱包ゾーンZ2へ搬送する。これにより、荷物搬送システム1は、荷物を効率的かつ短時間で収集することができる。
【0094】
(変形例)
図14は、荷物搬送システム1の運用の変形例の一例を示すフロー図である。図15および図16は、変形例のピッキング処理情報を示す図である。図15および図16は、端末T1A~T1Fのディスプレイ表示を示している。
【0095】
ピッキング処理情報を実行している途中でトレー12が満杯になる場合がある。この場合、選択された1台のロボット10が同一注文IDの全ての商品を搭載できない。本変形例では、このような場合に、複数のロボット10で同一の注文IDを有する複数のピッキング処理情報の商品を分割して搬送する。このような運用を実施するために、本変形例では、図15および図16に示すように、端末T1A~T1Fのディスプレイ表示に分割ボタンが追加される。本変形例のその他の表示は、第1実施形態の端末T1A~T1Fの表示と同様でよい。
【0096】
例えば、図15に示すように、1台のロボット(ロボットID“01”)がピッキング処理情報No.1の処理後、ピッキング処理情報No.3を実行しているものとする。ピッキングゾーンZ1Dにおいて、オペレータが、そのロボット10のトレー12が満杯であると判断すると、オペレータは、「分割」ボタンを選択する。これにより、図14に示すように端末T1Dが分割要求を、ピッキング処理情報とともに管理システムMSへ送信する(S700)。
【0097】
次に、管理システムMSは、分割要求されたピッキング処理情報のロボットIDを変更する(S710)。管理システムMSは、同一注文IDの未処理のピッキング処理情報を、待機中のロボット10に割り当てる。これにより、管理システムMSは、分割要求された未処理のピッキング処理情報のロボットIDを、待機中のロボット10のロボットIDに変更する。図16は、分割後の新しいピッキング処理情報を示している。例えば、分割後のピッキング処理情報では、未処理のピッキング処理情報No.3は、ロボットID“05”に割り当てられている。このように、管理システムMSは、既存のタスク情報を分割後の新しいタスク情報へ更新する。図示しないが、同一注文IDの未処理のピッキング処理情報が他にある場合、そのピッキング処理情報のロボットIDもロボットID“05”に変更する。
【0098】
その後、荷物搬送システム1は、ステップS140以降を実行すればよい。このとき、管理システムMSは、分割通知を制御指令とともにコントロールシステムCSへ送信し、分割通知をまたはピッキング処理情報とともに端末T1A~T1Fへ送信する(S140)。
【0099】
端末T1Dは、図16に示すように、分割後のまたはピッキング処理情報をディスプレイに表示させる(S150)。端末T1Dは、分割後であることを示すために“分割済み”と表示してもよい。これにより、オペレータは、分割後のまたはピッキング処理情報に基づいて、他のロボット10が割り当てられたことを知ることができる。
【0100】
コントロールシステムCSは、分割後のピッキング処理情報のうち未処理のピッキング処理情報を処理する。これにより、分割後に割り当てられた他のロボット10がピッキングゾーンZ1Dへ移動を開始する(図8図10のS140以降参照)。
【0101】
一方、コントロールシステムCSは、分割後のピッキング処理情報のうち処理済みのピッキング処理情報のロボット10について、タスク完了時と同様に、検査・梱包ゾーンZ2へ移動させる。例えば、コントロールシステムCSは、検査・梱包ゾーンIDを、処理済みのピッキング処理情報のロボットIDとともにロボット10へ送信する(S310)。ロボットIDに対応するロボット10は、搬送エリアA1から作業エリアA2へ移動を開始する(S320)。その後、荷物搬送システム1は、ステップS330以降を実行すればよい。これにより、分割前にピッキング処理した荷物は、検査・梱包ゾーンZ2へ搬送される。
【0102】
以上のように、本変形例による荷物搬送システム1は、ピッキング処理情報を実行している途中でトレー12が満杯になっても、ピッキング処理情報を分割して複数のロボット10で荷物を収集することができる。
【0103】
尚、本変形例において、荷物は、単一ピッキング処理情報内の数量を分割してもよい。例えば、図17は、他の変形例のピッキング処理情報を示す図である。この変形例では、ピッキング処理情報No.3の商品SKU03の数量(4つ)を2つずつに分割している。ロボット“01”は、ピッキング処理情報No.1の荷物、並びに、ピッキング処理情報No.3の商品SKU03うち2つの荷物を搬送する。一方、他のロボット“05”は、ピッキング処理情報No.3の商品SKU03うち他の2つの荷物を搬送する。このように、1つのピッキング処理情報を複数に分割してもよい。この場合、管理システムMSは、ピッキング処理情報の更新時に、ピッキング処理情報No.3を複数に分割すればよい。
【0104】
(第2実施形態)
図18は、第2実施形態による搬送路3の構成例を示す平面図である。第2実施形態の搬送路30は、搬送エリアA1と、作業エリアA2とに分かれている点で第1実施形態と同様である。しかし、第2実施形態では、搬送エリアA1が円環上ではなく、共通の(単一の)作業エリアA2に対して櫛状に突出している。櫛形状の各歯が搬送エリアA1のメイントラックMTとサブトラックSTとを構成する。従って、図18では、7本の搬送エリアA1を示し、同一の作業エリアA2を共有している。メイントラックMTまたはサブトラックSTの中心部には空間がない。従って、ロボット10は、櫛の歯状のメイントラックMTを矢印で示すように往復することができる。
【0105】
各搬送エリアA1の中心部にメイントラックMTが設けられ、各搬送エリアA1の外縁にサブトラックSTが設けられている。メイントラックMTは、ロボット10がすれ違うことができるように少なくとも2つの単位領域A5の幅を有する。
【0106】
サブトラックSTには、第1実施形態と同様にピッキングゾーンZ1A~Z1Fが設けられている。そして、ロボット10は、コントロールシステムCSの制御指令に従って、ピッキングゾーンZ1A~Z1Fのいずれかに進入して停止することができる。
【0107】
作業エリアA2は、検査・梱包ゾーンZ2と、充電ゾーンZ3と、待機ゾーンZ4とを含む。
【0108】
このように、第2実施形態では、搬送路30は、作業エリアA2に対して搬送エリアA1が櫛の歯状に構成されていてもよい。これにより、搬送路30は、狭小スペースに配置されることができ、かつ、多くの搬送エリアA1を有することができる。第2実施形態のその他の構成は第1実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第2実施形態は、第1実施形態の効果もさらに得ることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 荷物搬送システム、10 ロボット、11 筐体、12 トレー、13 車輪、14モータ、15 バッテリ、16 CPU、17 メモリ、18 RFIDリーダ、19 インターフェース、20 ボタン、30 搬送路、A1 搬送エリア、A2 作業エリア、Z1A~Z1F ピッキングゾーン、Z2 検査・梱包ゾーン、Z3 充電ゾーン、Z4 待機ゾーン、CS コントロールシステム、MS 管理システム、T1A~T1F,T2 端末、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18