(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】手術道具の触覚制御のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20220620BHJP
【FI】
A61B34/35
(21)【出願番号】P 2020181563
(22)【出願日】2020-10-29
(62)【分割の表示】P 2018223343の分割
【原出願日】2013-12-20
【審査請求日】2020-11-27
(32)【優先日】2012-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507280594
【氏名又は名称】マコ サージカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】オット ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨルグレスク ラドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ライトキャップ クリス
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ウォシク ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】グランキ カリン シー.
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-058703(JP,A)
【文献】特表2008-538184(JP,A)
【文献】特表2009-537229(JP,A)
【文献】特開2005-334650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00-34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のモードにおいて、平面形状の実施境界に手術道具を自動的に再配置し、
第二のモードにおいて、前記平面形状の実施境界への、前記手術道具の手動による再配置を制約する
ように構成された、前記手術道具を保持するように構成されているロボット装置と、
手術者が機構を押下することに応じて、前記第一のモードを開始し、
前記第一のモードにおける自動的な再配置により、前記手術道具が前記平面形状の実施境界に到達することに応じて、前記第二のモードを開始する
ように構成された、コントローラーと
を含む、手術システム。
【請求項2】
前記機構を更に含み、前記機構はトリガーである、請求項1に記載の手術システム。
【請求項3】
前記コントローラーは、前記第一のモードにおいて前記手術者が前記機構を解放することに応じて前記ロボット装置の動きを停止させるべく、前記ロボット装置を制御するように構成されている、請求項1に記載の手術システム。
【請求項4】
前記平面形状の実施境界は、追跡された人体の特徴に対して位置決めされる、請求項1に記載の手術システム。
【請求項5】
前記コントローラーは、
前記
平面形状の実施境界とは異なる第二の平面形状の実施境界へ前記手術道具を動かすべく、第三のモードにおいて前記ロボット装置を制御し、かつ、
前記第二の平面形状の実施境界への、前記手術道具の手動による再配置を制約すべく、第四のモードにおいて前記ロボット装置を制御する
ように更に構成されている、請求項1に記載の手術システム。
【請求項6】
前記平面形状の実施境界は、第一の追跡された骨に位置合わせされ、前記第二の平面形状の実施境界は、第二の追跡された骨に位置合わせされる、請求項5に記載の手術システム。
【請求項7】
前記ロボット装置は、前記第一のモードおよび第二のモードとは異なる、第三のモードにしたがって制御されるように更に構成されている、請求項1に記載の手術システム。
【請求項8】
前記手術道具は、患者の人体を直接的に修正するように構成されている、請求項1に記載の手術システム。
【請求項9】
前記コントローラーは、前記機構の解放に応じて、前記第二のモードを終了させるように構成されている、請求項1に記載の手術システム。
【請求項10】
患者の関節の位置を示すデータを提供するように構成された追跡システムを更に含む、請求項9に記載の手術システム。
【請求項11】
前記第一のモードは、目標と予め定義された関係を有する前記平面形状の実施境界における点へ、前記手術道具を自動的に再配置することを含む、請求項1に記載の手術システム。
【請求項12】
前記第一のモードは、前記手術道具を自動的に再配置して仮想的な触覚対象物と位置合わせすることを含む、請求項1に記載の手術システム。
【請求項13】
前記第一のモードは、前記手術道具を回転させることにより前記手術道具を自動的に再配置することを含む、請求項1に記載の手術システム。
【請求項14】
前記ロボット装置は、基部と、前記基部から前記手術道具まで延びるロボットアームとを含む、請求項1に記載の手術システム。
【請求項15】
プロセッサにより実行された時に、前記プロセッサに、
手術者が機構を押下することに応じた、第一のモードにおけるロボット装置の制御であって、前記第一のモードは、前記ロボット装置と連結された手術道具を自動的に動かして、平面形状の実施境界と位置合わせすることを含む、前記制御と、
前記第一のモードにおける自動的な再配置により、前記手術道具が前記平面形状の実施境界に到達することに応じた、第二のモードにおけるロボット装置の制御であって、前記第二のモードは、前記平面形状の実施境界への、前記手術道具の手動による再配置を制約することを含む、前記制御と
を含む操作を実行させる命令を格納した、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項16】
前記操作は、前記第一のモードにおける前記機構の解放に応じて前記手術道具の動きを停止させるべく、前記ロボット装置を制御することを更に含む、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
前記平面形状の実施境界は、追跡された人体の特徴に対して位置決めされる、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項18】
前記第一のモードは、目的と予め定義された関係を有し、かつ前記平面形状の実施境界に位置する点へ、前記手術道具を自動的に再配置することを含む、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照により本願明細書に全てが組み込まれた2012年12月21日付の米国出願第13/725,348号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般的には触覚の分野に、特に手術道具の触覚制御に関する。
【背景技術】
【0003】
コンピュータを用いた手術に際し、手術者は、触覚装置を利用することがある。"触覚"は触れる感覚であり、触覚の分野は、特に、操作者にフィードバックを提供する人間との対話型装置に関する。フィードバックとしては、例えば、振動の様な触感がある。フィードバックとしては、例えば、正方向の力、あるいは動きへの抵抗の様に、ユーザに対する力もある。一般的な触覚の用法としては、装置のユーザに、装置の操作のための誘導や限界を提供する。例えば、触覚装置は、手術者が手術を行うために操作する手術道具と連結されている。手術者による手術道具の操作は、触覚を利用して誘導されたり制限されたりすることで、手術道具の操作中の手術者にフィードバックを提供することができる。
【0004】
通常、触覚装置を用いた手術を実行する前に、手術計画が策定される。手術計画は、患者毎に異なるので、手術システムは、手術計画に基づいて、手術中に手術道具を誘導したり動きを制限したりする。この様な手術道具の制御は、手術計画の実行に際し、患者を保護したり、手術者を援助したりするのに役立つ。
【0005】
一般に、手術に使用される触覚装置は、少なくとも2つの手術モードをもっている。フリーモードでは、手術者は、上記触覚装置と連結した手術道具を、概ね自由に操作することができる。触覚制御モードでは、手術システムの構成要素(例えば、触覚の対象物)が、手術道具を誘導したり動きを制限したりする為にアクティブにされる。従来技術の触覚装置の使用は、手術中におけるフリーモードと触覚制御モードとの間の移行を改良する仕組みによって、更に向上する余地がある。
【発明の概要】
【0006】
概要
本発明の一実施形態は、手術システムに関する。手術システムは、仮想的な触覚の相互作用ポイントの動きが手術道具の動きに対応する、仮想的な触覚の相互作用ポイントに関係付けられた手術道具を含む。手術システムは、仮想的な開始境界を確立し、触覚対象物をアクティブにするよう構成された処理回路を更に含む。このアクティブにされた触覚対象物は、触覚の相互作用ポイントが仮想的な開始境界を横断した後、触覚の相互作用ポイントを制約するように構成される。
【0007】
本発明の別の実施形態は、手術システムの使用方法に関する。該方法は、仮想的な触覚の相互作用ポイントの動きが手術道具の動きに対応する、手術道具を提供することと仮想的な触覚の相互作用ポイントとを提供することとを含む。該方法は、仮想的な開始境界を提供することと、触覚対象物をアクティブにすることとを更に含む。このアクティブにされた触覚対象物は、触覚の相互作用ポイントが仮想的な開始境界を横断した後、触覚の相互作用ポイントを制約するように構成される。
【0008】
本発明の更に別の実施形態は、処理回路により実行された時に手術の計画または遂行を補助する命令を有する、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。該媒体は、仮想的な触覚の相互作用ポイントの動きが手術道具の動きに対応する様に、仮想的な触覚の相互作用ポイントに手術道具を関係付ける命令と、仮想的な開始境界と仮想的な終了境界とを確立する命令と、せる命令であって、アクティブにされた触覚対象物は、触覚の相互作用ポイントが仮想的な開始境界を横断した後、手術道具を制約する様に構成されている命令と、触覚の相互作用ポイントが仮想的な終了境界を横断した後、上記触覚対象物を非アクティブにする命令とを含む。
【0009】
その他の例となる実施形態は、特許請求の範囲において一般的に記載されているかもしれない、他の特徴や特徴の組み合わせに関する。
[本発明1001]
仮想的な触覚の相互作用ポイントの動きが手術道具の動きに対応する、前記仮想的な触覚の相互作用ポイントに関係付けられた前記手術道具と、
仮想的な開始境界を確立し、かつ触覚対象物をアクティブにするように構成された処理回路であって、アクティブにされた触覚対象物は触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な開始境界を横断した後、前記手術道具を制約する様に構成されている、処理回路と
を含む、手術システム。
[本発明1002]
前記処理回路は、更に、仮想的な終了境界を確立し、かつ前記触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な終了境界を横断した後、前記触覚対象物を非アクティブにするように構成されている、本発明1001の手術システム。
[本発明1003]
前記処理回路は、更に、前記触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な開始境界を横断することにトリガーされて、前記手術道具の位置を自動的に修正する様に構成されている、本発明1001の手術システム。
[本発明1004]
前記処理回路は、更に、前記触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な開始境界を横断することにトリガーされて、前記手術道具の向きを自動的に修正するように構成されている、本発明1001の手術システム。
[本発明1005]
前記仮想的な開始境界は、三次元体積を包囲し、かつ、錠剤形状である、本発明1001の手術システム。
[本発明1006]
前記仮想的な開始境界は、三次元体積を包囲し、かつ、部分切除された錠剤の形状であり、該仮想的な開始境界の断面は扇形状となる、本発明1001の手術システム。
[本発明1007]
前記手術道具は、球状の孔ぐり器である、本発明1001の手術システム。
[本発明1008]
前記手術道具は、矢状面鋸である、本発明1001の手術システム。
[本発明1009]
前記触覚対象物は、直線である、本発明1001の手術システム。
[本発明1010]
前記触覚対象物は、平面である、本発明1001の手術システム。
[本発明1011]
前記触覚対象物は、三次元体積である、本発明1001の手術システム。
[本発明1012]
手術前または手術中に調整される様に構成された、ずれた触覚対象物を更に含む、本発明1001の手術システム。
[本発明1013]
前記触覚対象物を非アクティブにする様に構成された安全機構を更に含む、本発明1001の手術システム。
[本発明1014]
前記処理回路は、
イベントの発生に伴って前記触覚対象物を非アクティブにし、
前記イベントの終了後に複数の条件を評価し、
前記複数の条件が満たされた場合、前記触覚対象物を再びアクティブにする様に構成されている、本発明1001の手術システム。
[本発明1015]
手術道具を提供するステップ、
仮想的な触覚の相互作用ポイントの動きが前記手術道具の動きに対応する、前記仮想的な触覚の相互作用ポイントを提供するステップ、
仮想的な開始境界を提供するステップ、および
前記触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な開始境界を横断した後、前記手術道具を制約するよう構成された触覚対象物をアクティブにするステップ
を含む、手術システムの使用方法。
[本発明1016]
仮想的な終了境界を提供するステップ、および
前記触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な終了境界を横断した後、前記触覚対象物を非アクティブにするステップ
を更に含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な開始境界を横断することにトリガーされて、前記手術道具の位置を自動的に修正するステップを更に含む、本発明1015の方法。
[本発明1018]
前記触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な開始境界を横断することにトリガーされて、前記手術道具の向きを自動的に修正するステップを更に含む、本発明1015の方法。
[本発明1019]
前記仮想的な開始境界は、三次元体積を包囲し、かつ、錠剤形状である、本発明1015の方法。
[本発明1020]
前記仮想的な開始境界は、三次元体積を包囲し、かつ、部分切除された錠剤の形状であり、該仮想的な開始境界の断面は扇形状となる、本発明1015の方法。
[本発明1021]
前記手術道具は、球状の孔ぐり器である、本発明1015の方法。
[本発明1022]
前記手術道具は、矢状面鋸である、本発明1015の方法。
[本発明1023]
前記触覚対象物は、直線である、本発明1015の方法。
[本発明1024]
前記触覚対象物は、平面である、本発明1015の方法。
[本発明1025]
前記触覚対象物は、三次元体積である、本発明1015の方法。
[本発明1026]
手術前または手術中に調整されるように構成された、ずれた触覚対象物を提供することを更に含む、本発明1015の方法。
[本発明1027]
イベントの発生に伴って前記触覚対象物を非アクティブにするステップ、
前記イベントの終了後に複数の条件を評価するステップ、
前記複数の条件が満たされた場合、前記触覚対象物を再びアクティブにするステップ
を更に含む、本発明1015の方法。
[本発明1028]
処理回路により実行された時に手術の計画または遂行を補助する命令を有する、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
仮想的な触覚の相互作用ポイントの動きが手術道具の動きに対応する様に、前記仮想的な触覚の相互作用ポイントに前記手術道具を関係付ける命令と、
仮想的な開始境界と仮想的な終了境界とを確立する命令と、
触覚対象物をアクティブにする命令であって、アクティブにされた触覚対象物は前記触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な開始境界を横断した後、前記手術道具を制約する様に構成されている、命令と、
前記触覚の相互作用ポイントが前記仮想的な終了境界を横断した後、前記触覚対象物を非アクティブにする命令と
を含む、前記記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の開示内容は、同様な構成要素に同様な参照番号の付された以下の添付図面を参照することで、以下の詳細な説明から、より良く理解される。
【
図1】
図1は、例示的な実施形態に係る手術システムを示す図である。
【
図3A】例示的な実施形態に係る計画された大腿骨の修正を示す図である。
【
図3B】例示的な実施形態に係る計画された大腿骨の修正を示す図である。
【
図3C】例示的な実施形態に係る計画された脛骨の修正を示す図である。
【
図3D】例示的な実施形態に係る計画された脛骨の修正を示す図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態に係る、手術システムの使用方法を示す図である。
【
図5A】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の法線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図5B】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の法線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図5C】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の法線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図5D】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の法線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図5E】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の法線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図7】
図7A~
図7Bは、例示的な実施形態に係る、ずれた触覚対象物を示す図である。
【
図8A】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の中心線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図8B】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の中心線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図8C】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の中心線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図8D】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の中心線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図8E】例示的な実施形態に係る、触覚対象物に対して道具の中心線が垂直の場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図10】
図10は、例示的な実施形態に係る、ずれた触覚対象物の別の実施形態を示す図である。
【
図11A】例示的な実施形態に係る、触覚対象物が直線である場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図11B】例示的な実施形態に係る、触覚対象物が直線である場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図11C】例示的な実施形態に係る、触覚対象物が直線である場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図11D】例示的な実施形態に係る、触覚対象物が直線である場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図11E】例示的な実施形態に係る、触覚対象物が直線である場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図13A】例示的な実施形態に係る、触覚対象物が三次元体積である場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図13B】例示的な実施形態に係る、触覚対象物が三次元体積である場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図13C】例示的な実施形態に係る、触覚対象物が三次元体積である場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図13D】例示的な実施形態に係る、触覚対象物が三次元体積である場合における触覚制御の開始と終了とを示す図である。
【
図15】
図15は、触覚制御が解除された場合に用いられる触覚回復特徴を示す図である。
【
図16】
図16は、例示的な実施形態に係る開始境界を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態を詳細に説明する図面を参照する前に、本願発明は、明細書に記載された、または、図面に描かれた内容や方法に限定されるものではないことを理解されたい。また、専門用語に関しても、説明を行う目的でのみ使用されるものであり、本願発明を限定するものではない。例えば、幾つかの図面は、患者の膝に対して特別な手術を施すときの触覚制御の開始と終了とに関する方法を示す。しかしながら、本明細書に記載された触覚制御は、患者の肩、腕、肘、手、尻、脚、足、首、顔等、患者の如何なる部位に対する如何なるタイプの手術を行う際の、手術道具の触覚制御に適用されてもよい。
【0012】
手術システムの例
図1を参照すると、手術システム100は、ナビゲーションシステム10とコンピュータ20と触覚装置30とを含む。ナビゲーションシステムは、患者の骨と手術中に使用される手術道具を、追跡する。これにより、手術者は、表示装置24を介して骨と道具とを視認することができ、また、触覚装置30に連結された手術道具36の触覚制御が可能となる。
【0013】
ナビゲーションシステム10は、手術中に患者の人体と手術道具とを追跡するよう構成された如何なる種類のナビゲーションシステムであってもよい。例えば、ナビゲーションシステム10は、非機械的追跡システム、機械的追跡システム、及びこれらのシステムの組合せの何れかを含むものとしてもよい。ナビゲーションシステム10は、参照される座標枠に対して、対象物の位置及び向き(すなわち、姿勢)を取得する。該対象物は、参照される座標枠内を移動するにつれて、ナビゲーションシステムは、該対象物の姿勢を追跡し、該対象物の動きを検出する。
【0014】
一つの実施形態では、ナビゲーションシステム10は、
図1に示す様な非機械的追跡システムを含む。非機械的追跡システムは、検出装置12と追跡可能部(例えば、ナビゲーションマーカ14)とを含むる光学追跡システムである。該追跡可能部は、追跡対象物の上に配置され、検出装置12による検出が可能である。一つの実施形態では、検出装置12は、例えば、追跡可能部上のパターン(例えば、格子状縞模様のパターン)を検出するマイクロントラッカ(トロントのクラロンテクノロジ社、カナダ)の様な、可視光線を用いた検出器を含む。別の実施形態では、検出装置12は、赤外線を感知可能であり、かつ、手術が行われる手術室内に設置可能な1組のステレオカメラを含む。上記追跡可能部は、安全かつ安定的な方法により追跡対象物に付けられ、該追跡対象物との間に既知の幾何学的関係を有する多数のマーカを含む。周知の様に、上記追跡可能部は、アクティブ(例えば、発光ダイオード、LED)であっても、パッシブ(例えば、光を反射する球体、格子状縞模様のパターン)であってもよく、固有の幾何学様式(例えば、マーカが固有の幾何学的配置)を含む。特に、アクティブの場合には、上記追跡可能部は、配線されたマーカや固有の発火パターンを含む。
【0015】
手術中、検出装置12は、追跡可能部の位置を検出し、手術システム100(例えば、埋め込み型電子機器を用いた検出装置12)は、上記追跡可能部の位置と固有の幾何学様式と追跡対象物との既知の幾何学的関係とに基づき、追跡対象物の姿勢を算出する。ナビゲーションシステム10は、ユーザが追跡したい対象物毎に、追跡可能部を含む。追跡可能部は、例えば、脛骨2上に配置されたナビゲーションマーカ14、大腿骨4上に配置されたナビゲーションマーカ16、(触覚装置30の広範囲または巨視的な位置を追跡するための)触覚装置マーカ18、及び(触覚装置30の先端部を追跡するための)エンドエフェクタマーカ19等である。
【0016】
再び
図1を参照すると、手術システム100は、コンピュータ20として図示された処理回路を更に含む。処理回路は、プロセッサとメモリ装置とを含む。プロセッサとしては、汎用プロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、1または複数のFPGA(Field Programmable Gate Array)、処理部品のグループ、その他の適した電子処理部品の何れかを使用可能である。メモリ装置(例えば、メモリ、メモリユニット、記憶装置等)は、本願に記載された様々な処理や機能を完了するまたは促進するためのデータ及び/またはコンピュータコードを記憶するための1または複数の装置(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク装置等)である。メモリ装置は、揮発性または不揮発性のメモリであるか、または、揮発性または不揮発性のメモリを含むものとしてもよい。メモリ装置は、本願に記載された様々な動作と情報構造とを支えるためのデータベース、オブジェクトコード、スクリプト等の構成要素、あるいは、他の種類の情報構造を記憶するものとしてもよい。例示的な実施形態によれば、メモリ装置は、処理回路を介して、プロセッサと伝達可能な様に接続され、本明細書に記載された1または複数の処理を(例えば、処理回路及び/またはプロセッサにより)実行するためのコンピュータコードを含む。
【0017】
コンピュータ20は、ナビゲーションシステム10及び触覚装置30と通信が可能な構成である。更に、コンピュータ20は、手術に関する情報を受け取り、手術を実施するための様々な機能を実施する。例えば、コンピュータ20は、画像解析、手術計画、位置決め、ナビゲーション、画像ガイダンス、及び触覚ガイダンスに関する機能を実施するのに必要なソフトウェアを有すものとしてもよい。
【0018】
触覚装置30は、基部32、ロボットアーム34、及びロボットアーム34に連結された手術道具36を含む。手術道具は、ロボットアーム34に接続可能な如何なる手術道具であってもよい。例えば、
図1に示す実施形態では、手術道具36は、球状の孔ぐり器である。また、手術道具36は、
図2Aに示す様な矢状面鋸38、あるいは、
図2Bに示す様な矢状面鋸40であってもよい。矢状面鋸38の刃39は、道具軸42と並行して位置合わせされる一方、矢状面鋸40の刃39は、道具軸42と垂直方向に位置合わせされている。手術者は、自分が行いたい骨の修正のタイプ(例えば、穴開け、平面カット、曲線縁等)に応じて、球状の孔ぐり器、矢状面鋸38、矢状面鋸40、及び別種類の手術道具の中から、何れかを選択することができる。
【0019】
手術者は、触覚装置30と相互作用して患者に手術を行う。一般には、触覚装置30は、2つの手術モードを有する。フリーモードでは、手術者は、手術道具36の姿勢を実質的に自由に操作することができる。触覚制御モードでは、1または複数の触覚対象物52がアクティブにされる。触覚対象物52は、本明細書の様々な実施形態に記載されている様に、手術道具36を制約することができる。
【0020】
手術計画の策定
手術者が手術を行うのに先立ち、手術計画が策定される。手術計画は、本明細書において仮想的な骨モデル45(
図3A~3D参照)として参照される、患者の人体の三次元描写を利用して、策定される。"仮想的な骨モデル"は、骨に加えて、軟骨や他の組織の仮想的な描写を含むものとしてもよい。コンピュータ20は、仮想的な骨モデル45を得るために、手術が施される患者の人体の画像を受け取る。患者の人体は、例えば、CT、MRI、超音波の様な公知の画像技術を用いて、スキャンされるものとしてもよい。その後、スキャンデータは、仮想的な骨モデル45を得るためにセグメント化される。例えば、膝への手術に先立ち、大腿骨4及び脛骨2の三次元描写が作られる。あるいは、仮想的な骨モデル45は、骨モデルのデータベースまたはライブラリから三次元モデルを選択することによって、得られるものとしてもよい。一つの実施形態では、ユーザは、入力装置22を用いて、適切なモデルを選択するものとしてもよい。別の実施形態では、コンピュータ20が、患者に関して提供される画像や他の情報に基づき、適切なモデルを選択する様に、プログラミングされるものとしてもよい。その後、データベースから選択された骨モデルは、特定の患者の特徴に基づいて変形され、その結果、本明細書に記載される手術計画や施術に用いられる仮想的な骨モデル45が作成される。
【0021】
手術者は、仮想的な骨モデル45に基づいて手術計画を立てることができる。手術計画には、手術システム100を用いて手術者の作る、患者の骨44に対する所望のカット、穴開け、他の修正が含まれるものとしてもよい。この修正は、骨に接続されるべき部分の形状に基づいて、手術中に計画されるものとしてもよい。例えば、手術計画は、人工膝関節全置換術の実施に先立って、
図3A~
図3Dに示された骨に対する計画された修正を含むものとしてもよい。
図3A及び
図3Bは、大腿骨4に対する計画された修正を含む大腿骨4の仮想的な骨モデル45を示す。この修正には、前方部分のカット46、前方部分の面取りカット92、遠位部分のカット84、後方部分の面取りカット94、及び後方部分のカット96を含む。
図3C及び
図3Dは、脛骨2に対する計画された修正を含む脛骨2の仮想的な骨モデル45を示す。この修正には、脛骨底部のカット49、壁面部分のカット51、及びペグカット53を含む。
図3A及び
図3Bに示す、大腿骨4に対する計画された修正は、大腿骨4に連結されるべき部分を表す仮想的な構成部分66(
図6A)に対応する。
【0022】
手術計画は、手術中に手術道具36を制約可能とすることで、手術計画を遂行中の手術者を補助する1または複数の触覚対象物を更に含む。触覚対象物52は、1、2、3次元の何れかに形成されるものとしてもよい。例えば、触覚対象物は、直線(
図11A)、平面(
図6B)、三次元体積(
図13A)である。触覚対象物52は、曲がっていたり、曲面をもったり、如何なる形状にもなり得る。触覚対象物52は、手術中における手術道具36の動きに応じて望まれる多様な結果を表すために作成することができる。例えば、線形状の触覚対象物52は、手術道具36の軌道を表すことができる。平面形状の触覚対象物52は、例えばカットの様な、骨44の表面上に施されるべき修正を表すことができる。三次元の触覚対象物における1以上の境界は、例えばカットの様な、骨44の表面上に施されるべき1以上の修正を表すことができる。更に、三次元の触覚対象物の構成部分は、手術中に切除されるべき骨の構成部分に対応し得る。
【0023】
手術に先立ち、患者の人体は、公知の位置決め技術により、患者の人体の仮想的な骨モデル45に位置決めされる。1つの採り得る位置決め技術は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2011年8月30日に付与された"触覚誘導システム及び方法"の米国特許第8,010,180号公報に記載された、ポイントベースの位置決めである。あるいは、位置決めは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2012年7月30日に出願された"放射線画像装置"の米国特許出願第13/562,163号公報に記載された、携帯型放射線画像装置を用いた2D/3Dの位置決めであってもよい。患者の人体の位置決めにより、手術中における正確なナビゲーションと触覚制御とが可能となる。手術中に患者の人体が動くと、手術システム100は、これに対応して、仮想的な骨モデル45を動かす。従って、仮想的な骨モデル45は、患者の実際の(すなわち、物理的な)人体に対応するか、もしくは関連付けられている。同様に、手術計画中に作成された如何なる触覚対象物52もまた、患者の人体に対応して動き、実際の(すなわち、物理的な)空間内の位置に対応する。この物理的な空間内における位置は、実施境界と称される。例えば、線形状の触覚対象物52は、物理空間において、線形状の実施境界に対応し、平面形状の触覚対象物52は、物理空間において、平面形状の実施境界に対応し、三次元の触覚対象物52は、物理空間において、三次元体積に対応する。
【0024】
手術システム100は、手術道具36を仮想的に表現した仮想道具47(
図5A)を更に含む。手術中にナビゲーションシステム10が手術道具36を追跡することにより、仮想道具47は、手術道具36に対応して動く。仮想道具47は、物理的な手術道具36上の位置を表すと共に該位置と関連付けられた、1以上の触覚の相互作用ポイント(HIP)を含む。更に以下に記載する様に、HIPと触覚対象物52との関係性により、手術システム100は、手術道具36を制約することができる。手術道具36が球状の孔ぐり器である実施形態では、HIP60は、球状の孔ぐり器(
図11A)の中心を示すことができる。例えば、矢状面鋸38、40(
図2A及び
図2B)の様に、手術道具36の形がいびつである場合、矢状面鋸の仮想的な描写は、多数のHIPを含むものとしてもよい。手術道具に対して触覚の力(例えば、正方向の力フィードバック、動きに対する抵抗)を生成するために複数のHIPを用いることは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2011年12月28日に出願された"実質的に安定的な触覚を提供するシステム及び方法"の米国特許出願第13/339,369号公報に記載されている。本願発明の一実施形態では、矢状面鋸を表す仮想道具47は、11個のHIPを含む。ここでは、HIPへの言及は、1以上のHIPへの言及もまた含むものとみなされる。例えば、HIP60は、1以上のHIPを表すことができ、HIP60に基づく如何なる計算や処理も、複数のHIPに基づく計算や処理を含むものとする。
【0025】
手術中に、手術システム100は、HIPと触覚対象物52との関係性に基づき、手術道具36を制約する。概して、"制約"という用語は、ここでは、動きを制限する性質を表現するために用いる。しかしながら、手術道具36に加えられる制約の態様は、関連する触覚対象物52の形に依存する。触覚対象物52は、所望される如何なる形状や形態に形成されていてもよい。上述した様に、3つの例示的な実施形態は、線、平面、三次元体積を含む。1つの実施形態では、手術道具36のHIP60は、線形状の触覚対象物52に沿った動きに制限されるので、手術道具36は制約される。別の実施形態では、平面形状の触覚対象物52は、平面の外側と平面形状の触覚対象物52の境界の外側のHIP60の動きを実質的に妨げるので、手術道具36は制約される。平面形状の触覚対象物52の境界は、HIP60を取り囲むフェンスとして作用する。もし触覚対象物52が三次元体積である場合、三次元触覚対象物52の壁に囲まれた空間の外側へのHIP60の動きを実質的に妨げることにより、手術道具36は制約されるものとしてもよい。(仮想的な骨モデル45と仮想道具47とを含む)仮想的な環境と、(患者の人体と実在の手術道具36とを含む)物理的な環境との間の関係性により、HIP60に加えられる制約は、手術道具36への制約をもたらす。
【0026】
手術中における触覚制御
通常、手術を開始する時、(手術道具36に連結された)触覚装置30は、フリーモードに設定されている。従って、手術者は、カットや穴開けの様な計画された修正の準備のために、手術道具36を骨44の方へ動かすことができる。本明細書に記載される多様な実施形態では、フリーモードから触覚制御モードへの触覚装置30の切替え、及び触覚制御モードからフリーモードへの復帰が容易であるため、手術システム100は、使用効率と使い勝手の良さとを向上させることができる。
【0027】
手術システムの1つの使用方法は、
図4に示されている。ステップ401では、手術道具が準備される。HIPの動きが手術道具36の動きに対応する様に、手術道具(例えば、
図1の手術道具36)と関連付けられた仮想的なHIPも提供される(ステップ402)。手術方法は、仮想的な開始境界と仮想的な終了境界とを設定することを更に含む(ステップ403)。更に以下に記載する様に、開始境界及び終了境界は、手術計画中に作成される仮想的な境界であり、HIPと開始及び終了の境界との間における相互作用は、手術中における触覚装置30のフリーモードと触覚制御モードとの切替えを容易にすることができる。換言すれば、HIPと開始及び終了の境界との間における相互作用は、触覚制御への導入と触覚制御からの離脱とを容易にする。ステップ404では、触覚対象物はアクティブにされる。アクティブにされた触覚対象物は、触覚の相互作用ポイントが上記仮想的な開始境界を横断した後、手術道具の動きを制約することができる。ステップ405では、触覚対象物は、HIPが上記仮想的な終了境界を横断した後、非アクティブにされる。触覚対象物は、HIPによる上記仮想的な終了境界への到達とほぼ同時に非アクティブにされ得るので、"後"という用語は、HIPによる上記仮想的な終了境界への到達と実質的に同時に起こる、非アクティブにすることを含む。
【0028】
図5A~
図5Eは、触覚制御の開始と触覚制御の終了の実施形態における仮想環境を示す。本実施形態では、仮想的な骨モデル45は大腿骨4を表し、仮想道具47は、矢状面鋸38(例えば、
図2Aに示す)の形状の手術道具36を表す。矢状面鋸38は、人工膝関節全置換術の手術中に、例えば、計画された前方部分のカット46、後方部分のカット96、脛骨底部のカット49(
図3A~
図3D)に対応するカットの様な、多様なカットを作るのに役立ち得る。
図5A~
図5Eに示す実施形態では、計画された修正は、仮想的な埋め込まれた構成部分66(
図6A)の前面68に対応する前方部分のカット46である。
図3Bは、仮想的な骨モデル45上に計画された前方部分のカット46を示す斜視図である。
図5Aに示す仮想環境は、平面形状の触覚対象物52を含む。平面形状の触覚対象物52はまた、(以下に説明する)ずれた触覚対象物78であってもよい。平面形状の触覚対象物52は、例えば、
図6Bに示す形状の様に、所望の如何なる形状も採ることができる。
図6Bでは、手術計画を構成する様々な要素間の関係を容易に理解できる様に、触覚対象物52と仮想道具47の刃と仮想的な埋め込まれた構成部分66との全てが、互いに重なり合う様に図示されている。本実施形態では、触覚対象物52は、大腿骨4上に形成されるべきカットを示す。従って、触覚対象物52は、仮想的な埋め込まれた構成部分66の前面68と位置合わせする様に、
図6A及び
図6Bに示されている。仮想道具47の刃は、触覚制御モードにおいて触覚対象物52がアクティブにされ、触覚対象物52の平面に限局される時の刃を示している。
【0029】
図5Aを再び参照すると、開始境界50は、手術計画の策定中に作成された仮想的な境界である。HIP60と開始境界50との間における相互作用は、触覚装置30を、フリーモードから、以下により詳細に記載する触覚制御の1段階である"自動位置合わせモード"に切り替えさせる。開始境界50は、患者の人体近傍における実施境界を示す。また、開始境界50は、触覚装置30がフリーモードにある時に、手術者が手術道具36を実施境界まで正確に誘導することができる様に、設計及び位置決めされている。開始境界50は、必ずではないが、触覚対象物52の一部を囲む。例えば、
図5Aでは、開始境界50は、触覚対象物52の一部を囲んでいる。
【0030】
図5Aは、仮想環境の断面を示す図である。本実施形態では、開始境界50は、錠剤形状を有し、三次元体積を囲む。錠剤形状の開始境界50は、(
図7Aに示す)半径Rの1つの円筒形状部分と、(図示しない)同じく半径Rの2つの半球形状端とを有する。目標線54は、(
図5Aの頁に対して垂直の)円柱軸を形成する。目標線54は、図示された開始境界50の断面の中心点である目標点55を通る。開始境界50は、例えば、球、立方体、平面、曲面といった他の形状や構成を採ることもできる。
【0031】
一実施形態では、開始境界50は、
図16に示す様に、「パックマン形状」の開始境界50aであってもよい。パックマン形状の開始境界は、錠剤形状の開始境界の一部分を切り抜くことにより形成され、上述した様に、
図16に示す断面を有する開始境界50aとして形成される。従って、本実施形態では、仮想的な開始境界の断面が扇形(すなわち、「パックマン形状」)となる様に、開始境界50aは、一部を取り除かれた錠剤の形状を有する三次元体積である。パックマン形状の開始境界50aは、交わる2つの触覚壁52aを含む。(
図16の頁に対して垂直の)目標線54は、触覚壁52aの交点を表す。目標点55は、目標線54の中点である。触覚壁52aは、本明細書に記載されている触覚対象物52の一実施形態であるため、HIP60に触覚壁52aを実質的に横断させないことにより、手術道具36の動きを制約することができる。触覚壁52は、パックマン形状の開始境界50aが、患者の骨の前に安全領域を作成することを可能とする。パックマン形状の開始境界50aは、本明細書に記載された如何なる実施形態においても、手術道具が患者に接近した時に患者の骨を守るための開始境界として用いることができる。
図16は、触覚壁52aに接触する(手術道具36に対応する)仮想道具47を示す。触覚壁52aは、仮想道具47(及び従って手術道具36)に、触覚壁52aを横断させず、患者の骨に接近させない。
【0032】
手術の開始時には、手術者は、開始境界50の示す実施境界の方へ手術道具36を誘導する。手術者が、手術道具36のHIP60に開始境界50を横断させた時点で、手術システム100は、自動位置合わせを開始する。自動位置合わせの前または最中に、手術システム100は、手術道具36の位置変更と方向変更とを計算する。一実施形態では、該計算は、距離58(
図5B参照)の計算を含む。手術道具36が球状の孔ぐり器である場合、距離58は、1つのHIP60と(例えば、
図11Bに示す様な)目標線54または他の参照物体との間に、最短距離の線を示すことができる。手術道具36が矢状面鋸38または40である場合、距離58は、計算することもできるが、手術道具36の位置変更と方向変更との計算は、目標線54または他の参照物体に対する複数のHIPの位置に基づくものとしてもよい。
【0033】
必要な計算が完了した後、手術システム100は、
図5Bに示す仮想道具47の状態から
図5Cに示す仮想道具47の状態へ、手術道具36を自動的に位置合わせすることができる。本明細書に記載された実施形態に係る触覚制御では、(1)手術道具36の位置の自動修正(すなわち、位置変更)、(2)手術道具36の方向の自動修正(すなわち、方向変更)、または(3)手術道具36の自動的な位置変更及び方向変更の双方が行われる。"自動位置合わせ"という用語は、上記(1)、(2)または(3)の何れかのシナリオを示し得、手術道具36の位置と方向との何れか一方または双方を修正するための一般用語である。
図5A~
図5Eに示す実施形態では、例えば、自動位置合わせは、骨44に対する手術道具36の位置と方向との双方を変更するものとしてもよい。位置変更は、HIP60が触覚対象物52の平面内に収まる様にHIP60を動かすことにより、遂行される。一実施形態では、HIP60が目標線54上に位置する様に位置変更される。手術道具36の方向変更は、
図5Cに示す様に、仮想道具の法線48が触覚対象物52に対して垂直となる(すなわち、道具の法線48が触覚対象物の法線62に対して平行となる)様に仮想道具47を回転させることにより、遂行されるものとしてもよい。仮想道具47が矢状面鋸38を表す時には、仮想道具の法線48を触覚対象物52に対して垂直とする位置合わせにより、矢状面鋸38の刃39は、骨44に対して正確な方向に向けられる。しかしながら、例えば、手術道具36が球状の孔ぐり器である場合の様に手術道具36の切削部分が左右対称である場合には、自動位置合わせ中に、必ずしも手術道具36の方向変更する必要はない。むしろ、手術道具36に対しては、HIP60が触覚対象物52の平面内に収まる様に、位置変更のみが実行されるものとしてもよい。自動位置合わせが終了した後、手術道具36は、術前の手術計画に従って骨の修正を行うための適切な位置に配置されることとなる。
【0034】
手術システム100は、自動位置合わせ中にも手術者による制御を可能とする安全機構を含むものとしてもよい。安全機構は、自動位置合わせを完了するために、ユーザによる所定の行為(または行為の継続)を要求する様に設計することができる。一実施形態では、手術システム100は、HIP60が開始境界50を横断する時、可聴ノイズまたは他の警報を発する。その後、手術システム100は、自動位置合わせを開始することができる。しかしながら、自動位置合わせが始まる前に、手術者は、トリガーの押下または他の行為をしなければならない。もしトリガーが自動位置合わせ中に放されると、手術システム100は、触覚装置30の自動的な動作を全て停止させるか、触覚装置30をフリーモードに入るものとしてもよい。他の実施形態では、触覚装置30は、手術者の手が存在する時を感知するセンサを含む。もし手術者が自動位置合わせ中に自分の手をセンサから放した場合、手術システム100は、触覚装置30の自動的な動作を全て停止させるか、触覚装置30をフリーモードに入らせるものとしてもよい。手術者は、自分の手をセンサ上に置き続けることにより、確実に自動位置合わせを完了させる。これらの実施形態に係る安全機構により、手術者は、自動位置合わせを有効とするか否かと有効にする時間とを決めることができる。更に、手術者は、自動位置合わせ中に他の物体(例えば、組織や器具)が手術道具36の邪魔になる場合に、自動位置合わせを停止させることができる。
【0035】
図16の開始境界50aは、上述した安全機構が機能している場合に、特に有益である。1つの例として、手術者は、手術道具36が開始境界を貫くまで手術道具36を患者の方へ誘導することにより、本明細書に記載された触覚制御処理を開始する。その後、手術システム100は、該システムが自動位置合わせを開始する準備ができていることを手術者に通知する。しかしながら、手術者は、直ちには、該システムに自動位置合わせモードを開始可能とするトリガーの押下または他の行為をしなくてもよい。この遅れた時間の間、手術道具36はフリーモードを維持するため、手術者は、患者の方へ道具を誘導し続けることができる。従って、
図16の開始境界50aは、触覚壁52aを含む。これらの触覚壁52aは、手術者が、(例えば、トリガーの押下またはセンサに手を置くことによる)自動位置合わせに先立って、(仮想道具47の表す)手術道具36を患者の方へ誘導し続けることを妨げる。この様に、触覚壁52aは、計画された骨修正を行うための手術道具36の適切な位置決めや方向決めに先立ち、安全機構として、患者を保護する役割を果たす。
【0036】
図5Cを参照すると、自動位置合わせが完遂され、手術道具36の姿勢は正確に修正されており、触覚装置30は、触覚制御モードを維持している。一般に、触覚制御モードは、触覚対象物52をアクティブにすることと、触覚対象物52により手術道具36の動きに制約を課すこととにより特徴付けることができる。それ故、自動位置合わせは、触覚制御の一形態であるということができる。なぜなら、触覚対象物52はアクティブにされ、手術道具36は、触覚対象物52により、手術道具36を再位置合わせするための特別な動きに制約されるからである。
図5Cに示す触覚制御段階では、触覚対象物52はアクティブにされ、HIP60は、触覚対象物52により定義される平面内に制約される。このため、手術者は、触覚対象物52に対応する平面状の実施境界の内側で、手術道具36を動かすことができるが、平面状の実施境界の外側に手術道具36を動かすことは制約(例えば、妨げ)される。手術者は、触覚制御モードにおいて、計画された切削を行う。手術者が切削をしている間、仮想道具47は、
図5Cに示す位置から
図5Dに示す位置まで、x軸方向に動くことができる。また、仮想道具47は、手術道具36の動きに対応して、z軸方向を往復動作するものとしてもよい。しかしながら、平面状の触覚対象物52は、HIP60(及び従って手術道具36)のy軸方向の動きを制限する。
図6Bは、触覚対象物52上に重なる
図5Cの仮想道具47と併せて、一実施形態に係る触覚対象物52の形状を示す。手術者は、触覚対象物52に対応する実施境界内に、矢状面鋸38を再配置することができるが、手術システム100は、矢状面鋸38が実施境界の外側の境界を超えない様にする。
図6Aは、仮想的な埋め込まれた構成部分66の前面68に位置合わせされた触覚対象物52の図である。上述した様に、骨の修正及び従って触覚対象物52に対する修正は、通常、手術中に骨に連結される要素の形状に対応する様に、計画される。
【0037】
触覚制御モードの幾つかの段階では、終了境界64がアクティブにされる(
図5C~
図5E参照)。終了境界64は、上記の開始境界50と同様に、手術計画の策定中に作成される仮想境界である。HIP60と終了境界64との間の相互作用は、触覚対象物52を非アクティブにすると共に、触覚装置30を触覚制御モードからフリーモードに切り替えるためのトリガーとなる。従って、手術システムは、触覚制御モードを維持し、HIP60が終了境界64を横断するまで、手術道具36を、触覚対象物52に対応する実施境界内に維持する。(例えば、
図5Dに示す位置から
図5Eに示す位置まで動くことにより)HIP60が終了境界64を横断すると、触覚対象物52は非アクティブにされ、触覚装置30は、触覚制御モードからフリーモードに切り替わる。触覚制御が解除される時、手術道具36は、もはや実施境界の範囲内に制限されなくなり、手術者により自由に操作可能となる。
【0038】
一実施形態では、終了境界64は、開始境界50(
図7A参照)から距離Lだけ離れた位置にある平面であり、終了法線59を有する。触覚制御モードにある間、手術システム100は、HIP60から終了境界64までの距離を継続的に計算する。終了法線59は、患者の人体から離れる方向を向いているので、HIP60から終了境界64までの距離は、骨の修正(例えば、切削、掘削)が行われている間は、通常、負の値を示す。しかしながら、この距離の値が正の値になるとき、触覚制御は、触覚対象物52の停止により解除され、触覚装置30はフリーモードに入る。他の実施形態では、終了境界64は、手術中に触覚制御を解除可能な様に、曲線状、三次元、あるいは、HIP60との相互作用に適した如何なる構成や形状も採ることができる。これと同時あるいはフリーモードへの切替え直後に、終了境界64は非アクティブにされ、開始境界50は再びアクティブにされる。その後、手術者は、HIP60が開始境界50を横断する様に手術道具36を患者に近付けることにより、触覚制御モードに再入させることができる。この様に、手術者は、手術道具36を操作することにより、フリーモードと触覚制御モードとの間を往来することができる。
【0039】
本明細書に記載された様々な実施形態と関連付けて記載された開始境界50と終了境界64とは、従来技術に係る触覚制御を超えた効果を奏する。従来技術における、触覚対象物を用いた幾つかの実施形態は、触覚対象物をアクティブにすること及び非アクティブにすることと、これに伴う触覚制御の開始及び終了とのために、ユーザに対し、異なる行為を要求する。例えば、触覚対象物の領域からHIPを解放するために、ユーザは、触覚対象物を非アクティブにするためのボタン押下をしたり、類似のアクションを行ったりしなければならない。ユーザによる行為は、触覚対象物を非アクティブにし、その結果、手術者は、手術道具を自由に操作することができる。本明細書に記載された終了境界を用いると、手術者は、別々の、非アクティブにする処理を実施する必要が無くなる。むしろ、手術者は、自動的に触覚対象物52を非アクティブにし、触覚制御を終了させるために、手術道具36を患者から離れる方向に引くだけでよい。このため、本願に開示された実施形態は、手術室での時間を節約することができる。更に、触覚装置30の操作は、手術者がフリーモードと触覚制御モードとの間を容易に切り替えられるので、より直感的で使い勝手がよい。
【0040】
図7A及び
図7Bは、触覚対象物52及びずれた触覚対象物78を示す。手術計画は、手術道具36の特性を考慮して、調整可能なずれた触覚対象物78を含むものとしてもよい。触覚装置30が触覚制御モードにある間に、ずれた触覚対象物78を用いると、手術道具36の寸法が考慮されるため、手術の精度がより向上し得る。この様に、もし手術道具36が球状の孔ぐり器である場合、距離80(
図7B)が球状の孔ぐり器の半径と等しくなる様に、ずれた触覚対象物78が、触覚対象物52から移動されるものとしてもよい。ずれた触覚対象物78がアクティブにされるとき、手術システム100は、平面状の触覚対象物52の範囲内に、上記球状の孔ぐり器のHIP60を制約するのではなく、平面状のずれた触覚対象物78の範囲内に、上記球状の孔ぐり器のHIP60を制約する。ずれた触覚対象物78により制約されると、上記球状の孔ぐり器の端は、計画された前方部分のカット46と位置合わせする。同様に、もし手術道具36が矢状面鋸38である場合、距離80は、刃39の厚さtの半分に等しいものとしてもよい。
図7Bは、仮想道具47を示す。本実施形態では、仮想道具47は、
図2Aに示した矢状面鋸38であり、仮想の刃82を含む。仮想の刃82は、刃39の厚さと等しい厚さtを有する。仮想道具47のHIP60が、ずれた触覚対象物78に制約されると、仮想の刃82の底縁は、計画された前方部分のカット46と位置合わせすることとなる。その結果、手術中に矢状面鋸38によりおこなわれた実際のカットは、HIP60が
図7Bの触覚対象物52に制約された場合よりも精度良く、計画された前方部分のカット46に対応する。
【0041】
様々な実施形態では、手術システム100は、調整可能なずれた触覚対象物78のパラメータを算出するに際し、手術計画の遂行に関する要素を利用する。1つの要素は、手術道具36の実際の寸法と手術道具36の有効な寸法との間の相違を引き起こすことができる、手術中における手術道具36の振動であってもよい。例えば、半径3mmの球状の孔ぐり器は、あたかも半径が4mmであるかの様に、骨を除去することができる。従って、この孔ぐり器は、4mmの有効半径を有することとなる。同様に、厚さ2mmの刃39は、振動により、厚さ2.5mmの溝を骨に形成することができる。従って、この刃39は、2.5mmの有効厚さを有することとなる。ずれた触覚対象物78は、手術による実際の骨の修正を精度良く行うために、上述した様な手術道具36の振動または他の要素の奏する効果を考慮に入れて、作成される。
【0042】
上記ずれた触覚対象物78は、調整可能であるものとしてもよい。調整能は、ユーザが、元の触覚対象物52を再設計する必要無く、ずれた触覚対象物78を修正することを可能とするため、有益である。手術システム100は、手術前または手術中に新しい情報が収集された際に、ユーザによる容易な調整が可能な様に、プログラムされるものとしてもよい。手術計画が、ずれた触覚対象物78を含む場合、手術計画に追加された要素も、元々計画された要素の位置からずれた位置に、同様に調整されるものとしてもよい。例えば、手術システム100は、ずれた触覚対象物78が触覚対象物52から移動された際に、これに伴って、開始境界50及び終了境界64も、y軸方向に同じ距離だけ移動させる様に、プログラムされるものとしてもよい。同様に、目標線54及び目標点55もまた、最初に計画された位置からずれるものとしてもよい。本明細書に記載された多くの実施形態において言及される"触覚対象物52"は、技術的には、関連する手術計画の元の触覚対象物に対して"ずれた触覚対象物"であってもよい、ことが理解されるべきである。
【0043】
図8A~
図8Eは、他の実施形態に係る触覚制御の開始中と終了中の仮想環境を示す。本実施形態では、仮想的な骨モデル45は、大腿骨4を表す。仮想道具47は、(例えば、
図2Bに示した)矢状面鋸40の形状を有する手術道具36を表す。矢状面鋸40は、人工膝関節全置換術中に、例えば、計画された遠位部分のカット84及び前方部分の面取りカット92に対応するカットの様な、多様なカットをするのに役立ち得る。
図8A~
図8Eに示す実施形態では、計画された修正は、仮想的な埋め込まれた構成部分66(
図9A)の遠位面72に対応する、計画された遠位部分のカット84である。計画された遠位部分のカット84の斜視図は、
図3Bに示されている。本実施形態では、
図5A~
図5Eに示した実施形態の様に、触覚対象物52は、大腿骨4に施されるべきカットを示す。触覚対象物52は、例えば、
図9Bに示す形状の様に、手術計画において策定された、如何なる形状を含むであるものとしてもよい。
【0044】
図8A~
図8Eを再び参照すると、触覚制御の開始及び終了は、
図5A~
図5Eに示した実施形態と同様に起こり、主に、自動位置合わせ及び手術道具36の最終的な方向において異なる。
図5A~
図5Eに示した実施形態に関連して開示された、如何なる適切な特徴も、
図8A~
図8Eに示す実施形態において、同様に存在し得る。
図8Aにおいて、触覚装置30はフリーモードにあり、開始境界50がアクティブにされる。手術者が、手術道具36を患者の人体方向に持ってくると、これに対応して、仮想道具47は開始境界50に接近する。HIP60が開始境界50を横断すると、手術システム100は、手術システム100が必要な計算を行った後に手術道具36の位置及び方向を修正する自動位置合わせに入る(例えば、
図8B~
図8C)。上記位置は、HIP60が目標線54に来る様に修正され、上記方向は、道具軸42が触覚対象物52に対して垂直となる様に修正される。矢状面鋸40の刃39(
図2B)は、道具軸42に対して垂直であるので、道具軸42が触覚対象物52に対して垂直となる様に位置合わせすることで、上記刃は、手術中、x-y平面内に存在することとなる。本実施形態における道具軸42の方向は、切削中(例えば、
図5C)に道具軸42が触覚対象物52と平行する、
図5A~
図5Eに示した実施形態とは対照的である。
【0045】
手術計画は、手術システム100が、触覚対象物52に対して所望の方向に手術道具36を向ける様に、策定することができる。所望の方向は、手術道具の種類に依存するものとしてもよい。例えば、手術道具36が矢状面鋸である場合には、手術システム100は、矢状面鋸の種類(例えば、矢状面鋸38または矢状面鋸40)または生成されるカットの種類に応じて異なる様に、手術道具36の方向付けを行うものとしてもよい。更に、幾つかの実施形態では、道具は、自動位置合わせ中に、位置変更はされるものの、方向変更はされない。例えば、手術道具36が球状の孔ぐり器である場合、手術システム100は、骨に所望の修正を行うために、必ずしも、手術道具36の方向を修正する必要はない。
【0046】
図8Cに示す様に、手術道具36が自動位置合わせされると、HIP60は、触覚対象物52により定義される平面内に制約される。触覚制御がこの段階に入ると、終了境界64をアクティブにすることをトリガーする。手術者は、x軸方向及びz軸方向において触覚対象物52に対応する、平面状の実施境界内において、手術道具36を操作することにより、上記カットを行う。
図8C及び
図8Dは、x軸方向のカットを行っている間の位置の変更を示す。手術者が、
図8Dに示す位置から
図8Eに示す位置まで手術道具36を動かすと、HIP60は、終了境界64を横断する。HIP60と終了境界64との間の相互作用は、触覚対象物52を非アクティブにし、その結果、手術道具36に対する触覚制御を解除すると共に、触覚装置30を再びフリーモードに入らせる。終了境界64の横断時またはその直後に、終了境界64は非アクティブにされ、開始境界50は再びアクティブにされる。その後、手術者は、HIP60が開始境界50を横断する様に手術道具36を操作することにより、骨の修正中に、自動位置合わせ及び触覚制御に再び入ることができる。
【0047】
図10は、計画された遠位部分のカット84に関する、触覚対象物52及びずれた触覚対象物78を示す。
図7A及び
図7Bに関して記載した様に、調整可能なずれた触覚対象物78は、例えば、手術道具36の寸法または手術計画の遂行に関する他の要素の様な、要素に依存して修正されるものとしてもよい。ずれた触覚対象物78の調整は、例えば、開始境界50、目標線54、目標点55、及び終了境界64の様な、仮想環境における他の計画された特徴の調整につなげることができる。
【0048】
図7A~
図7B及び
図10に描かれた手術計画は、様々な点やベクトルにより定義することができる。法線の始点57は、元の触覚対象物52上に存在し、終了法線59に加えて、触覚対象物の法線62の原点を定義する。更に、触覚法線点61は、触覚対象物の法線62を定義し、法線の始点57から約50mm離れた位置にあるものとしてもよい。更に、終了法線点63は、終了法線59を定義し、同様に、法線の始点57から約50mm離れた位置にあるものとしてもよい。この様に、触覚対象物の法線62は、法線の始点57から触覚法線点61へ向かう方向のベクトルとして定義することができ、終了法線59は、法線の始点57から終了法線点63へ向かう方向のベクトルとして定義することができる。目標点55は、ずれた触覚対象物78上に位置することができ、法線の始点57から、触覚対象物の法線62の方向に、所望量だけずれている。上述した様に、該所望量は、球状の孔ぐり器の有効半径、または、矢状面鋸刃39の有効厚さの半分を考慮に入れて、決定されるものとしてもよい。目標線54は、目標点55と、終了法線59と触覚対象物の法線62との外積ベクトルとにより、ずれた触覚対象物78に対向する縁上の端点を用いて、定義することができる。
【0049】
図11A~
図11Eは、他の実施形態に係る触覚制御の開始中と終了中の仮想環境を示す。本実施形態では、仮想的な骨モデル45は、脛骨2を示す。手術道具36は、計画された穴88を形成可能な如何なる道具であってもよいが、仮想道具47は、球状の孔ぐり器の形状を有する手術道具36を示す。計画された修正は、脛骨の構成要素であるペグを受けるための穴88である。球状の孔ぐり器は、大腿部、膝蓋大腿部、あるいは、その他の種類の埋め込まれた構成要素のペグを受ける穴を形成するためにも使用することができる。
図11A~
図11Eでは、計画された骨修正をより明確に示すために、仮想的な脛骨構成要素90が、骨モデル45上に重ね合わせられている。本実施形態では、触覚対象物52は線である。線形の触覚対象物52の配置は、例えば、球状の孔ぐり器の半径TR(
図12)の様な、手術道具36の寸法または有効な寸法に基づいて、計画されるものとしてもよい。
図12に示す様に、例えば、半径TRに相当するスペースが、触覚対象物52の端部95とペグ先端点91の底部との間に残されるものとしてもよい
【0050】
図11Aは、触覚装置30がフリーモードにある時の仮想環境を示す。手術の開始時に、手術者は、HIP60が開始境界50を横断するまで(
図11B)、患者の方へ、手術道具36(
図1)を動かす。本実施形態では、開始境界50は、半径をR(
図12)とし、中心点を目標点55とする球である。HIP60が開始境界50を横断すると、手術システムは、手術道具36を自動的に位置合わせする。1つの実施形態では、手術システム100は、HIP60から目標点55までの最短距離を算出した後、HIP60を目標点55上に新たに配置する。また、手術システム100は、道具軸42が触覚対象物52と平行となる様に(
図11C)、手術道具36の方向を変えるものとしてもよい。その後、HIP60は、線形の触覚対象物52に沿った動きに制約され、手術者は、触覚装置52に対応する線形の実施境界に沿って手術道具36を動かし、穴88を形成することができる(
図11D)。
【0051】
上述した実施形態の様に、終了境界64は、触覚制御の一部の実行中に作動される。手術者は、触覚制御を解除したいとき、HIP60が終了境界64を横断するまで、手術道具36を動かすことができる(
図11E)。その後、触覚対象物52が非アクティブにされると、触覚制御は解除され、触覚装置30は再びフリーモードに入る。他の実施形態に関して記載した様に、手術システム100は、HIP60と終了境界64との間の距離を継続して算出し、該距離が正の値になった時に、触覚制御を解除するものとしてもよい。また、上記実施形態に関して記載した様に、開始境界50は、触覚制御が解除された後に、再びアクティブにされることができる。その後、手術者は、HIP60が開始境界50を横断する様に手術道具36を操作することにより、触覚制御を再開することができる。
【0052】
図12は、例えば、
図11A~11Eに示した手術計画の様な、線形の触覚対象物52を含む手術計画の付加的な特徴を示す。ペグ軸は、計画された穴88の先端に位置するペグ先端点91から目標点55に向かう線である。線形の触覚対象物52は、端部95に第1終端点を有し、かつ、終了法線59に沿って目標点55を過ぎた位置に第2終端点を有するペグ軸上の線であってもよい。例えば、触覚対象物52の上記第2終端点は、終了法線59の方向に目標点55を50mm過ぎた位置にあるものとしてもよい。終了境界64は、開始境界50から距離Lの位置にある平面であってもよく、上記ペグ先端点91から上記目標点55に向かう方向のベクトルとして定義される終了法線59を有するものとしてもよい。
【0053】
図13A~
図13Dは、他の実施形態に係る触覚制御の開始と終了とを示す。本実施形態では、触覚対象物52は、三次元体積である。仮想的な骨モデル45は、例えば大腿骨4の様な、如何なる骨44をも表すことができ、仮想道具47は、如何なる種類の骨修正を行うための、如何なる種類の手術道具36をも表すことができる。
図13Aに示す仮想環境では、触覚装置30はフリーモードにある。触覚制御を開始するために、ユーザは、手術道具36を患者の人体方向へ操作する。仮想道具47は、HIP60と共に、開始境界50の方へ動く。本実施形態では、開始境界50は、(図示しない)目標点55を有する平面である。HIP60が触覚対象物52内に存在し、かつ、HIP60が開始境界50を横断すると、
図13Bに示す様に、触覚制御が開始される。触覚制御モードでは、HIP60は、触覚対象物52により定義される三次元体積の範囲から出ることを妨げられる。更に、触覚制御の開始は、開始境界50を非アクティブにすると共に、終了境界64をアクティブにする(
図13C)。
【0054】
図13A~
図13Dに示す実施形態は、自動位置合わせを含まない。換言すれば、触覚制御中には、手術道具36は、位置も方向も修正されることはない。その結果、HIP60は、触覚対象物52内における如何なる位置にも自由に動くことができ、手術道具36の方向は、触覚対象物により制約されない。触覚制御の間、手術者は、触覚対象物52に対応する実施容積内において、手術道具36を自由に動かして、例えば、計画された遠位部分のカット84、計画された後方部分の面取りカット92、及び計画された後方部分のカット96に対応するカットの様な、必要な骨の修正を行うことができる。
図13Cは、手術者が、計画された後方部分のカット96に対応するカットを行う時の仮想道具47を示す。
図13A~
図13Dに示す実施形態に係る触覚制御の間は、上述した実施形態の様に、HIP60が終了境界64を横断すると(
図13D)、触覚制御が解除され、触覚装置30はフリーモードに入る。別の実施形態では、
図13A~
図13Dに示す仮想環境は、HIP60の位置を制御するための付加的な機構を含む。例えば、計画されたカット84、94、96に沿った平面状の触覚対象物は、HIP60を、これらの平面状の触覚対象物に沿った動きに制約することができるであろう。また、仮想環境は、そこにHIP60を制約することができる追加的な平面状または線状の触覚対象物の様な、仮想道具47(及び、これに伴う手術道具36)の方向を制御するための機構を含むものとしてもよい。
【0055】
図14は、
図13A~
図13Dの手術計画を示す。終了境界64は、開始境界50に平行し、開始境界50から、終了法線59の方向に距離Lだけ離れた位置に存在する。終了法線59は、目標点55から終了法線点63に向かう方向のベクトルである。
図14は、従来技術に係る触覚対象物98を更に含む。従来技術に係る触覚制御方法では、ユーザは、例えば、入力装置22(
図1)上のボタンの押下等、触覚制御を解除するための別の動作を行うことなく、触覚対象物98から外にHIPを出すことはできなかった。従来技術に係る触覚対象物98とは反対に、立体触覚対象物52は、計画された切断面から遠くに延びる。更に、触覚対象物52に関する手術計画は、開始境界50と終了境界64とを含む。ここに開示された実施形態では、手術者が、手術道具36を患者から離れる方向に動かしてHIP60を終了境界64に到達させると、手術システム100は、触覚対象物52を自動的に非アクティブにして、触覚制御を解除する。このため、終了境界64を設けることは、手術中に、触覚制御から解放された、より自由度の高い状態を手術者にもたらす。加えて、本明細書に記載された開始境界50及び終了境界64をアクティブにすることと非アクティブにすることとの間の相互作用により、手術者は、触覚制御を開始及び終了させるための別の動作を行う必要無く、手術道具36の操作により、間断無くかつ直感的に、触覚制御を開始及び終了させることできる。
【0056】
図15は、本明細書に記載された実施形態に係る如何なる触覚制御にも適用可能な触覚回復特徴を示す。該触覚回復特徴は、HIP60の終了境界の横断以外の理由により触覚制御が解除された場合に適用可能である。触覚制御の解除は、様々な要因で起こり得るが、その1つとして、追跡された1以上の対象物の姿勢を検出するナビゲーションシステム10の一時的な動作停止に関するものがある。例えば、検出装置12と、例えば、ナビゲーションマーカ14、16、触覚装置マーカ18、及びエンドエフェクタマーカ19(
図1)等の追跡可能部との間に、障害物の無いパスを要求するナビゲーションシステムもある。追跡可能部の1つが一時的に遮断(すなわち、閉塞)されると、ナビゲーションシステム10は、追跡された1以上の対象物の姿勢を効率良く判定することができない可能性がある。安全措置として、手術中に追跡可能部が閉塞された場合には、手術システム100は、手術道具36の触覚制御を解除するものとしてもよい。触覚制御は、追跡対象物の突然の動きによってもまた、解除されるものとしてもよい。例えば、患者の脚またはロボットアーム34がぶつかると、ナビゲーションシステム10は、突然動かされた対象物を正確に追跡することができなくなるかもしれない。このため、手術システムは、手術道具36の触覚制御を解除する。触覚制御が解除されると、触覚装置30はフリーモードに入る。このとき、上記触覚回復特徴は、触覚対象物52を再びアクティブにすることにより触覚制御を再開させるため、あるいは、触覚装置30をフリーモードに維持して開始境界50への再入を手術者に要求するために、利用することができる。
【0057】
触覚制御を再開するか否か、または、触覚装置30をフリーモードに維持するか否かを決定するために、手術システム100は、上記閉塞、突然の動き、または、他の要素により触覚制御が解除された後に、様々な条件が満たされるか否かを評価する様にプログラムされている。一般に、上記条件は、手術道具36の所望の制約された位置または方向に対する、手術道具36の位置または方向に関するものであってもよいし、上記条件は、手術道具36の種類と触覚対象物52の形状とに依存するものであってもよい。上記評価を行うために採り得る3つの条件は、道具の方向、触覚平面内における垂直貫通、及び全てのHIPが触覚境界の内側にあるか否かであってもよい。例えば、
図15に示す実施形態は、矢状面鋸を表すと共に複数のHIP(上記した様に、1つのHIP60だけに参照符号が付されているが、HIP60に対する参照符号は、複数のHIPに同様に付されているものとする)を含む、仮想の刃82を含む。
図15は、平面状の触覚対象物52も含む。本実施形態では、上記触覚回復特徴は、道具の法線48と触覚対象物の法線62との為す角度を算出することにより、触覚対象物52に対する仮想の刃82の方向を決定する処理を含むものとしてもよい。手術道具36が、平面状の触覚対象物52に対応する実施境界内に存在する様に、切削中に制約されている場合には、道具の法線48と触覚対象物の法線62とは平行であることが理想である。1つの条件は、例えば、道具の法線48と触覚対象物の法線62との為す角度が2度以内であるか否かであってもよい。上記条件が満たされた場合には、たとえ、追跡可能部の一時的な閉塞、または、患者若しくはロボットアームの突然の動きの後であっても、手術道具36が十分に正確な方向を維持する様に、手術システム100は、プログラムされ得る。また、手術システム100は、平面状の触覚対象物52(例えば、垂直貫通)に対するHIP60の位置を評価するものとしてもよい。
図15は、触覚対象物52の上方と下方とに、垂直境界102、104をそれぞれ示す。垂直境界102、104は、例えば、触覚対象物52から約0.5mm離れた位置に存在する様に計画することができる。2つ目の条件は、HIP60が、これらの垂直境界102、104間に位置するか否かであってもよい。別の実施例として、第3の条件は、仮想の刃82のHIP60の各々が、触覚対象物52の外側の境界内に存在するか否かであってもよい。
【0058】
もし関連のある条件の各々が満たされた場合、上記触覚回復特徴は、触覚対象物52を再びアクティブにし、触覚制御を再開させ、手術者が切削を継続できる様にする。しかしながら、上記条件の何れも満たされない場合、触覚装置30は、フリーモードを維持する。その後、本明細書の様々な実施形態に記載されている様に、手術者は、HIP60を、(
図15に図示しない)開始境界50を横断するまで戻さなければならない。HIP60が開始境界50を横断すると、触覚制御が再開可能となる。
図15に示す本実施形態では、HIP60が開始境界50を横断した後の触覚制御は、自動位置合わせと、これに続く、平面状の触覚対象物52上のHIP60に対する制約とを含むものとしてもよい。例えば、
図13A~13Dに示した実施形態の様な他の実施形態では、HIP60が開始境界50を横断した後の触覚制御は、自動位置合わせを含まなくてもよい。
【0059】
様々な例示的な実施形態に示した様なシステム及び方法の構成及び配置は、例に過ぎない。本明細書の開示では、少数の実施形態が詳細に記載されたに過ぎず、多くの修正(例えば、サイズ、寸法、構造、形状、様々な構成要素の割合、パラメータの値、材料の使用、色、向き等の変化)が可能である。例えば、各構成要素の位置は、逆または他の変化があってもよく、個別の構成要素または位置の性質または数は、改変または変化されるものとしてもよい。従って、その様な全ての修正が、本願の開示の範囲内に含まれることが意図されている。如何なるプロセスまたは方法のステップの順序または並びは、別の実施形態により、変化され、または、並び替えられるものとしてもよい。本願の開示内容を逸脱しない範囲内で、例示的な実施形態の条件や配置を変えることにより、設計事項に対し、他の置換、修正、変更、及び省略を行うものとしてもよい。
【0060】
本願の開示内容は、様々な手術を遂行するための方法、システム、機械読み取り可能な媒体内のプログラム製品を想定するものである。本願開示の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを用いて、あるいは、特定用途または他の用途のために適当なシステム内に組み込まれたコンピュータプロセッサにより、あるいは、ハードウェア組込み型のシステムにより、実装されるものとしてもよい。本願に開示された範囲内の実施形態は、格納された機械実行可能な命令またはデータ構造を携帯または保持するための機械読み取り可能な媒体から成るプログラム製品を包含する。この様な機械読み取り可能な媒体は、一般用途若しくは特定用途のコンピュータ、または、プロセッサを備えるその他の機械からのアクセスにより利用可能なものであれば、如何なる媒体であってもよい。一例として、この様な機械読み取り可能な媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、または他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、他の磁気記憶装置、半導体記憶装置、あるいは、機械実行可能な命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを携帯若しくは格納するために使用可能であり、かつ、一般用途若しくは特定用途のコンピュータ、または、プロセッサを備えるその他の機械によりアクセス可能な他の如何なる媒体も含む。情報が、ネットワークまたは他の通信接続(有線、無線、若しくは、有線、無線の組合せの何れかを問わない)経由で、機械に向けて、送信あるいは提供される場合には、該機械は、上記接続を、機械読み取り可能な媒体であると適切にみなす。従って、この様な如何なる接続も、厳密には、機械読み取り可能な媒体と呼ぶことができる。上記の組合せもまた、機械読み取り可能な媒体の範囲に含まれる。機械実行可能な命令は、例えば、一般用途コンピュータ、特定用途コンピュータ、若しくは特定用途の処理装置に、特定の機能または機能群を実装させるための命令やデータを含む。
【0061】
方法のステップは特定の順序で記載したが、ステップの順序は、必ずしも記載された通りでなくてもよい。また、2以上のステップ(例えば、開始境界50を非アクティブにすること及び終了境界64をアクティブにすること)の全体または一部が、同時に実行されるものとしてもよい。この様な変形態様は、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステムと設計者による選択事項とに依存する。この様な全ての変形態様は、開示の範囲内にある。同様に、ソフトウェアの実行は、接続ステップ、処理ステップ、比較ステップ、及び決定ステップを達成するためのルールベースロジック及び他のロジックを用いた標準的なプログラミング技術により、達成可能である。