(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】向上した眼の快適性を提供する組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/48 20060101AFI20220620BHJP
A61K 31/717 20060101ALI20220620BHJP
A61K 31/728 20060101ALI20220620BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220620BHJP
A61P 27/04 20060101ALI20220620BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220620BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220620BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220620BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
A61K36/48
A61K31/717
A61K31/728
A61K9/08
A61P27/04
A61P43/00 121
A61K47/34
A61K47/38
A61K47/10
(21)【出願番号】P 2020512366
(86)(22)【出願日】2018-08-29
(86)【国際出願番号】 IB2018056592
(87)【国際公開番号】W WO2019043596
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-03-08
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515233487
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Inc.
【住所又は居所原語表記】199 Grandview Road, Skillman, NJ 08558, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バイ・ミンクィ
(72)【発明者】
【氏名】ホリヴァ・ケネス・ティー
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105342873(CN,A)
【文献】特表2010-540619(JP,A)
【文献】特表2010-518116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用組成物であって、
a)ポリマー混合物であって、
i.セルロース誘導体、
ii.タマリンド種子
多糖類、及び
iii.ヒアルロン酸、
を含む
、ポリマー混合物
と、
b)ポリクオテミウム-1、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-42、又はこれらの混合物から選択される、ポリクオタニウム化合物と、
c)前記眼科用組成物全体の0.4%w/v~1.5%w/vの、ポリオールと、
d)前記眼科用組成物全体の50重量%超の水を含む、水性成分と、
を含
み、
前記セルロース誘導体が、ヒドロキシアルキルセルロースポリマー、アルキルヒドロキシアルキルセルロースポリマー、メチルセルロース、メチルセルロース誘導体、ヒドロキシメチルセルロース誘導体、及びこれらの混合物から選択され(又は、これらからなる群から選択され)、
前記セルロース誘導体、前記タマリンド種子多糖類及び前記ヒアルロン酸の前記ポリマー混合物の総濃度が、前記眼科用組成物全体の0.4重量%超~0.9重量%であり、
前記セルロース誘導体、
前記タマリンド種子
多糖類、及び
前記ヒアルロン酸が、1~10部の
前記セルロース誘導体:1~4部の
前記タマリンド種子
多糖類:1~2部の
前記ヒアルロン酸、の比率にて組み合わされて、前記ポリマー混合物を形成する、
眼科用組成物。
【請求項2】
前記ポリオールがグリセリンである、請求項1に記載の眼科用組成物。
【請求項3】
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)
前記ヒドロキシアルキルセルロースポリマーを含む、請求項
1又は2に記載の
眼科用組成物。
【請求項4】
前記眼科用組成物が前記アルキルヒドロキシアルキルセルロースポリマー
を含み、前記アルキルヒドロキシアルキルセルロースポリマーがセチルヒドロキシエチルセルロースである、請求項
1又は2に記載の
眼科用組成物。
【請求項5】
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース
、又はこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)
前記メチルセルロース誘導体を含む、請求項
1又は2に記載の
眼科用組成物。
【請求項6】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、又はこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)
前記ヒドロキシメチルセルロース誘導体を含む、請求項
1又は2に記載の
眼科用組成物。
【請求項7】
前記
眼科用組成物の非イオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの総濃度が、
前記眼科用組成物全体の0.4重量
%~1.0重量
%である、請求項1
又は2に記載の
眼科用組成物。
【請求項8】
Rame-Hart-DROPimage Advanced Software Pendant Drop Methodにより測定した際に、前記
眼科用組成物の表面張力が
、40.8ダイン/cm~51.9ダイン/cmの範囲である、請求項1
又は2に記載の
眼科用組成物。
【請求項9】
DVS Intrinsic Measurement System及びDVS-Intrinsic Control Software Methodにより測定した際に、前記
眼科用組成物の水分損失率が、37℃及び相対湿度70%で1mg/3分未満である、請求項1
又は2に記載の
眼科用組成物。
【請求項10】
AR2000流量試験法により測定した際に、前記
眼科用組成物が、ゼロ剪断
で30~100cpsの粘度を有する、請求項1
又は2に記載の
眼科用組成物。
【請求項11】
前記AR2000流量試験法により測定した際に、前記
眼科用組成物が、まばたきの剪断速度(1/100秒)で30cps未満の粘度を有する、請求項
10に記載の
眼科用組成物。
【請求項12】
無菌溶液である、請求項11に記載の眼科用組成物。
【請求項13】
Bohlin CVOR Rheometer Visco-Elastic Property Test Methodにより測定した際に、前記
眼科用組成物が、0.7
0パスカルを超える弾性率G’及
び40°
~65°の相位角δを有する、請求項1
又は2に記載の
眼科用組成物。
【請求項14】
i
.Rame-Hart-DROPimage Advanced Software Pendant Drop Methodにより測定した際に
、40.8ダイン/cm~51.9ダイン/cmの範囲の表面張力、
ii
.DVS-Intrinsic Measurement System及びDVS-Intrinsic Control Software Methodにより測定した際に、37℃及び相対湿度70%で1mg/3分未満の水分損失率、
iii
.AR2000流量試験法により測定した際に、ゼロ剪断
で30~100cpsの粘度、及びまばたきの剪断速度(1/100秒)で30cps未満の粘度、並びに
iv
.Bohlin CVOR Rheometer Visco-Elastic Property Test Methodにより測定した際に、0.7
0パスカル超の弾性率G’及
び40°
~65°の位相角δ、を有する、請求項1
又は2に記載の
眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第62/552,066号(2017年8月30日出願)及び米国特許出願第16/113,073号(2018年8月27日出願)の利益を主張するものであり、その全体が、本明細書に完全に記載されているかのように、参照として本明細書に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、適用時に眼に向上した持続性、快適性、及び/又は感触を提供する組成物に関する。本発明は更に、眼におけるヒトの涙の物理的特性を模倣する、タマリンド種子抽出物とヒアルロン酸との比で組み合わされたセルロース誘導体を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
眼科用溶液は、眼内へと点眼するための、異物及び/又は微生物を含まない、又は実質的に含まない、無菌溶液である。特定の用途では、眼科用溶液は、薬剤を含有せず、また潤滑溶液、涙液補充溶液、及び眼部洗浄溶液、並びに/又は包装用溶液、多目的、及びコンタクトレンズ用のその他の溶液として使用される。眼科用溶液はまた、薬学的活性成分を含有することができ、かつドライアイ、アレルギーと、例えば伝染性結膜炎、軽度の眼刺激、若しくは結膜炎などの眼の感染症のような、このような環境に関連した眼の状態、又は緑内障などの、構造に関連した眼の状態の治療にも、使用することができる。これらはまた、眼科検査の間に患者の瞳孔を散大させるための散瞳組成物として、検眼師により診断的に使用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まばたき時に眼を横切る(このような組成物の)「ドラッギング」の感触、眼への適用時のぼやけ、及び眼の不快なフィルム形成による(このような組成物の)不快感などの、瞬き時の眼の上の眼用組成物のこのような負の効果を回避又は低減するために、眼上の涙の物理的特性を模倣する(即ち、物理的特性が同じである、又は類似している物理的特性)をもたらす眼科用組成物を提供することが重要である。
【0005】
従って、眼科用溶液として有用な組成物が必要とされており、眼への適用時に、眼及び眼瞼の表面に対して、人間の涙液と同じ又は類似の物理的特性を呈することにより、向上した眼の感触を提供する。本組成物は、涙液の安定性の増大、涙液からの水分損失の低減、及び眼表面の保護に役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
i.セルロース誘導体、
ii.タマリンド種子抽出物、及び
iii.ヒアルロン酸と、
所望により、油成分、
所望により、界面活性剤、及び
所望により、水性成分と、を含むポリマー混合物、を含む組成物に関連し、
セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物、及びヒアルロン酸は、1~10部のセルロース誘導体:1~4部のタマリンド種子抽出物:1~2部のヒアルロン酸、の比率にて組み合わされて、ポリマー混合物を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の組成物及び方法は、本明細書に記載される本発明のステップ/工程、必須要素及び限定事項、並びに本明細書に記載されるいずれかの、追加的若しくは任意選択的成分、構成要素、若しくは限定事項を、包含し得、それらからなり得、又はそれらから本質的になり得る。本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」(及びその文法的変形)は、「有する(having)」又は「含む(including)」を包括する意味で用いられ、「のみからなる(consisting only of)」とする排他的な意味では用いられない。本発明で使用する場合、用語「a」及び「the」は、単数に加えて複数も包含すると理解される。
【0008】
特に指示がない限り、引用される全ての文書は、関連する部分において、参考として本明細書に組み込まれているが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関連する先行技術であることの容認として解釈されるべきではない。更に、参考として本明細書に組み込まれている、又はその全体が参考として本明細書に組み込まれている全ての文献は、これらが本明細書に矛盾しない範囲においてのみ、本明細書に組み込まれる。
【0009】
特定の実施形態では、本明細書にて開示する本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の化合物若しくは要素(又は、化合物群若しくは要素群)がなくとも実施し得るものである。
【0010】
セルロース誘導体
本発明の組成物は、セルロース誘導体を含む。好適なセルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの混合物などのヒドロキシアルキルセルロースポリマー及びアルキルヒドロキシアルキルセルロースポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(クロスカルメロース)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの混合物などのメチルセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチセルロース(HPMC又はヒプロメロース)及びヒドロキシブチルメチルセルロース及びこれらの混合物などのヒドロキシメチルセルロース誘導体、並びに上記セルロース誘導体のいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、特定の実施形態では、セルロース誘導体はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0011】
特定の実施形態では、本明細書で使用されるセルロース誘導体は、低粘度グレードのセルロース誘導体である。用語「低粘度グレード」とは、約1~100cps(20℃で2%水溶液)の粘度を有するセルロース誘導体を意味する。このような低粘度グレードは、ヒプロメロースE3 2910又はヒプロメロースE3 Premium 2910の場合のように、「E3」のような表記により示され、この化合物は、典型的には、約1~10cps(20℃で2%水溶液)の粘度を有する。カルボキシメチルセルロース(CMC)の低粘度グレードは、典型的には、CMC 7L2Pの場合のように、典型的には「L」のような表記により示され、この化合物は、典型的には、約25~50cps(20℃で2%水溶液)の粘度を有する。
【0012】
セルロース誘導体は、本発明の組成物中に、組成物全体の約0.1%w/v~約2.5%w/v、所望により約0.2%w/v~約1.0%w/v、又は所望により約0.2%w/v~約0.5%w/vの濃度で存在することができる。
【0013】
タマリンド種子抽出物
本発明の組成物はまた、種子抽出物を含む。タマリンド系統樹は、インド、アフリカ、及び南東アジアで広く普及している。中東諸国では、タマリンド果実からのタマリンドジュースは、乾燥したタマリンドパルプを注入することにより調製された飲料であり得る。タマリンドはまた、食品の保存及びレシピのソースとしても有用であり得る。
【0014】
タマリド種子は、一度粉末形態に粉砕されると(「タマリンドガム」又は「タマリンド穀粒粉末」として知られる)、種々の用途が見出されている。市販のタマリンド穀粒粉末は、増粘剤及び糊剤として、織物及び紙産業で使用することができ、また食品及び医薬産業において増粘剤、ゲル化剤、安定化剤、及び結合剤として使用することができる。
【0015】
タマリンド穀粒粉末及びタマリンド種子多糖類の一般的な特性、化学組成及び化学構造は、Gupta V、Puri R、Gupta S、Jain、Rao GK.;タマリンド穀粒ガム:次の天然多糖類、Syst Rev Pharm;2010年;1:50-4、に見出すことができる。
【0016】
タマリンド種子多糖類又は抽出物(TSP)は、キシロース(α1→6)及びガラクト(β1→2)キシロース(α1→6)置換基により置換されたセルロース様骨格を含む、非イオン性、中性、分枝状多糖類である(Lang P.ら、Macro molecules、1993年、26、3992-3998)。
【0017】
当業者に周知であるように、タマリンド種子多糖類はタマリンド種子から抽出され、粘膜模倣性、粘膜付着性、及び生体接着活性を示す粘度向上剤として記載されている。いくつかの特徴は、(i)眼毒性を完全に欠いており、(ii)乾性結膜炎として周知されている角膜表面の変化を防止する際のその活性故に、涙液代用材として市場上にあり、かつ(iii)0.25%~1%の濃度で使用される場合に、角膜創傷治癒速度を増加させるため、眼科的薬剤のための媒体としてTSP誘因性候補を作製する。
【0018】
タマリンド種子抽出物は、本発明の組成物中に、組成物全体の約0.05%w/v~約2%w/v、所望により約0.1%w/v~約1%w/v、又は所望により約0.2%w/v~約0.5%w/vの濃度で存在することができる。
【0019】
ヒアルロン酸
ヒアルロン酸は、D-グルクロン酸及びN-アセチル-D-グルコサミンの残基から構成される種々の分子量を伴う酸性多糖類を指定するために文献にて使用され、これは、細胞表面、脊椎動物の結合組織の基本的な細胞外物質、関節の滑液中、眼の硝子体液、ヒト臍帯の組織及び鶏冠において自然に発生する。
【0020】
治療薬として、ヒアルロン酸及びその塩は、特に、ウマにおける関節炎の治癒に関する獣医学などの関節障害の治療において、特に使用されてきた[Acta Vet.Scand.167、379(1976年)]。天然組織及び器官用の補助及び置換治療薬として、ヒアルロン酸及びその分子画分及びそれらの塩が、眼科手術において使用されている(例えば、Balazsら、Modern Problems in Ophthalmology、Vol.10、1970年、p.3--E.B.Strieff、S.Karger eds、Basel;Viscosurgery and the Use of Sodium Hyaluronate During Intraocular Lens Implantation、Paper presented at the International Congress and First Film Festival on Intraocular Implatation、Cannes、1979年;ophthalmologyにおけるHYの使用に関連する文献の概要を伴う、米国特許第4,328,803号、及び米国特許第4,141,973号。
【0021】
特定の実施形態では、HAは、約500,000ダルトン~約4,000,000ダルトン、又は所望により約1,000,000ダルトン~約2,000,000ダルトン、又は所望により約1,200,000ダルトン~約1,800,000ダルトンの分子量を有する。本発明の特定の実施形態は、約0.1%~約0.5%のHA、又は所望により約0.2%~約0.4%のHA、又は所望により約0.2%のHAを含有する。HAのより詳細な考察は、米国特許公開第20060094643号及び米国特許第3,396,081号、同第3,862,003号、同第4,141,973号、同第4,517,296号、同第4,851,521号、同第4,965,353号、同第5,202,431号、同第5,316,926号、同第6,090,596号、及び同第6,339,074号に見出すことができ、それぞれ、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0022】
ヒアルロン酸は、本発明の組成物中に、組成物全体の約0.05%w/v~約1%w/v、所望により約0.075%w/v~約0.5%w/v、又は所望により約0.1%w/v~約0.4%w/vの濃度で存在することができる。
【0023】
一実施形態では、セルロース誘導体は、タマリンド種子抽出物及びヒアルロン酸と組み合わされて、眼科用組成物の物理的特性を向上させて涙液の物理的特性を模倣するのに使用するためのポリマー混合物を形成するが、即ち、表面張力、水分保持、剪断減粘、弾性率、及び位相角としての、眼科用組成物のそのような物理的特性を向上させる。
【0024】
表面張力特性
眼科用組成物の単一液滴(約40~50マイクロリットル)の典型的な体積は、一般に、適用前の眼表面上の総涙液体積を超える。点眼液により生成されたこのサージは、眼の涙液の「保持能力」を超える場合があり、その結果、眼瞼の上にこぼれる、又は鼻若しくは側頭部眼角において出る組成物を過剰にし得る。分泌されるヒト涙液は、水(約70ダイン/cm)よりも低い表面張力である約40ダイン/cmの表面張力を有し、涙液が眼の表面を効果的に湿潤させることができるようにする。加えて、この低表面張力により、涙液が眼周囲の皮膚を効果的に湿らせ、涙液の目に見える排液、又は眼表面から皮膚上への流涙をもたらす。
【0025】
特定の実施形態では、セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物、及びヒアルロン酸ポリマー混合物は、組成物の表面張力が、約40.8ダイン/cm~51.9ダイン/cm、所望により約42ダイン/cm~約48ダイン/cm、又は所望により約44ダイン/cm~約46ダイン/cmの範囲であるように組み込まれる。表面張力は、Rame-Hart接触角ゴニオメータ(Model 100-00 シリーズ)、及び(22ゲージ針を伴う)マイクロ注射器のPendant Drop Method、及びDROPimage Advanced Software(バージョン2.7)を利用することにより測定することができ、それぞれRame-Hart Instrument Co.(ネトコング、ニュージャージー州)により供給される。DROPimage Advanced Softwareは、ヤングLA-プラス式に基づく組み込み計算を利用して、液体の表面張力を正確に計算するために、液滴寸法及びプロファイル特性を捕捉及び分析する。
【0026】
Rame-Hart-DROPimage Advanced Software Pendant Drop Method
試験装置
・Rame-Hart Model 100-00シリーズ接触角ゴニオメータ
・ストッカー・イールイメージライト(Stocker and Yale,Inc.により供給されるモデル番号20)
・Rame-Hart Imaging System U1シリーズビデオカメラ
・DROPimage Advanced 2.7ソフトウェア
・22ゲージ針を伴うマイクロ注射器(Gilmontにより供給)
【0027】
手順:
Rame-Hart-DROPimage Advanced software Pendant Drop Methodの手順工程は、以下のとおりである(Rame-Hartゴニオメータ及びDROPimageソフトウェアを提供するプロトコルと一致する方法での性能に関する)。
a.)試験サンプルを、針を有する提供されたマイクロ注射器内へと引き込み、
b.)Dropimageソフトウェアにアクセスしてプログラムを開き(ゴニオメータのデジタルビデオカメラにより捕捉されたライブビデオを表示する)、画像光を「オン」位置に切り替えて、サンプルを含有する注射器の針がライブビデオの上部に見ることができるように、ビデオカメラの焦点を合わせ、
c.)ソフトウェアプログラムファイルメニューから、「Surface Tension-Pendant Drop」を使用して性能について実験を選択し、
d.)実験のための位相データを入力する。
i.液滴相入力:水、
ii.外部相入力:空気、及び
iii.固体相:鋼、
e.)実験タイミングデータを入力する:測定の総数:10、各測定時間間隔:1秒、
f.)マイクロ注射器のバレルを時計回りにゆっくりと回転させることにより、試験サンプルのペンダント滴をマイクロ注射器の針から吊るし、
g.)ストッカー及びYale Image Liteを使用して、液滴の透明度及び焦点を向上させ(測定は、最小限の振動を伴う暗室で実行されなければならない)、
h.)液滴の透明度及び焦点が達成された場合(即ち、液滴の輪郭が暗く、かつ波立っている)、実験を実行するようにソフトウェアプログラムに信号が送られ、
i.)液滴の写真が撮影されて画面の左側に現れ、
j.)写真にわたって横たわる十字線を移動させて、針を含むことなくその上部肩部からの全体の液滴を捕捉し、また測定値と、ビデオカメラロールが1秒間回転する際に、0.1秒の間隔で0~1秒の間、針から垂れる液滴の写真を取るように、ソフトウェアプログラムに信号を送信し、
k.)液滴の「ガンマ」(即ち、表面張力)、平均「ガンマ」、及び測定値の標準偏差を示す報告を生成する。
【0028】
水分保持特性
水分保持率とは、DVS Intrinsic-Control Software(バージョン1.0.5.1)を装備したDynamic Vapor Sorption(DVS)Intrinsic-1シリアルナンバーP14F0068により測定される際に、組成物を眼に適用した後、所定温度及び相対湿度(RH)にて、水分が時間の経過と共に組成物から失われる速度を指す。DVSIntrinsic-Control softwareは、一定量の組成物の質量を正確に計量するために独自の技術を利用しつつ、選択されるような時間工程、相対湿度の開始及び終了、並びに開始温度及び終了温度を厳密に制御する。システムは、典型的には、湿度を増加させる又は減少させる等温工程を挿入することにより吸着及び脱着曲線に使用されるが、本システムは、各組成物を一定期間にわたって固定温度及び相対湿度に曝すことにより組成物の水損失を比較し、かつ重量又は水損失を比較するために、本出願の目的に関して使用される。
【0029】
特定の実施形態では、セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物、及びヒアルロン酸ポリマー混合物は、組成物の水分損失率が、37℃及び相対湿度70%で1mg/3分未満であるように組み込まれる。
【0030】
DVS Intrinsic Measurement System及びDVS Intrinsic Control Software Method
試験装置
・Dynamic Vapor Sorption Measuring System,LTDより供給された、Dynamic Vapor Sorption Intrinsic-1シリアル番号P14F0068器具
・CO2ガス源
・Dynamic Vapor Sorption Measuring Systems,LTDより供給された、SMS DVS Std Macrosアドオンプログラムを含む、DVS Intrinsic Control Software version 1.0.5.1
・DVS Intrinsic-1シリアル番号P14F0068用の装填パン
・Mettler Toledo Analytical balance(モデルXS205DU、Mettler Toledoにより供給)
【0031】
手順:
DVS Intrinsic Measurement System及びDVS Intrinsic Control Software Methodの手順工程は、以下のとおりである(DVS Intrinsic Measurement System及びDVS-Intrinsic Control Software Systemを提供する任意のプロトコル情報と一致する方法での性能に関する)。
a.)DVS-Intrinsic Control Softwareにアクセスして、プログラムを開き、
b.)ソフトウェアプログラムのファイルメニューから、「Insert Isotherm Steps」法を使用して実験方法を作成し、
c.)次のパラメータを入力する。
i.800分の1回の入力時間、
ii.70%RHの開始湿度、
iii.70%RHの停止湿度、
iv.37℃の開始温度、及び
v.37℃の停止温度、
d.)方法を記憶するようにソフトウェアプログラムに信号を送り、
e.)次に、本方法を読み込んで、ソフトウェアプログラムにより表示される「Instrument Data」タブを使用して、37℃及び70%RHの目標温度を検証する。
f.)試験サンプルデータをソフトウェアプログラムに読み込ませ、
g.)ピンセットを使用して、システムチャンバ内のガイドワイヤ上にパンを配置し、かつチャンバをしっかりと閉じることにより、清浄な秤量皿を計り取り、
h.)37℃及び70%RHにて、器具が平衡化する時間を可能にし、
i.)一度、パンが計量されると、3つの緑色光が、計量プロセスの完了を示すように現れる。
j.)ソフトウェアプログラムに直ちに信号を送って計量プロセスを終了させ、チャンバを開き、かつガイドワイヤに掛かるその位置から、迅速に装填パンを取り外し、
k.)計量パンで140mgの試験サンプルを直ちに計量し、
l.)試験サンプルを収容しているパンをチャンバ内に戻して、チャンバをしっかりと閉じ、
m.)ソフトウェアプログラムが140mgの質量読み取り値を表示する場合に、方法を実行するようにソフトウェアプログラムに信号を送り、
n.)一度、方法が全ての所望の試験サンプル上で実行されると、データが分析されて、SMS DVS Std Macrosと呼ばれるマクロアドインプログラムにより比較される。DVS分析スイートは、Microsoft Excelから実行されて、エクセルのスプレッドシートへとDVSデータをエクスポートするエクスポートデータ機能によりデータをプロットするための、環境を提供する。
【0032】
剪断減粘特性
剪断減粘は、剪断歪みを受けた場合に粘度が低下した非ニュートン流体の特性について表す。本発明で使用する場合、本発明の組成物の「剪断減粘」特性とは、剪断応力の適用時に(例えば、組成物の製造又は流通/適用中の、ポンプによる吸い上げ、滴下又は注入、分注から)、組成物の粘度が変化し、粘性が弱まり水のように流動するような組成物のレオロジー特性を意味する。特定の実施形態では、セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物、及びヒアルロン酸は、本発明の組成物が、ゼロ剪断(又は休止)において約30~100、所望により約50~80センチポアズ(cps)の粘度を有するように組み込まれ、実質的に眼に滴下されかつ保持されることを可能にする。特定の実施形態では、セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物、及びヒアルロン酸ポリマー混合物は、組成物が、まばたきの剪断速度(1/100秒)で30cps未満の粘度を有するように組み込まれ、まばたきの際のこのような低い粘度は、目と眼瞼との間の濃い液滴(即ち、上記のように30~100cpsの粘度を伴う液滴)のドラッギング感を防止又は低減する。ポリマー混合物は、30~100cpsの残部における粘度が、まばたきの剪断速度(1/100秒)で剪断粘度(4.4~8.3cps)まで理想的に低下するように、顕著な剪断減粘を有することが好ましいであろう。
【0033】
停止時(即ち、ゼロ剪断)対まばたきの剪断速度(即ち、1/100秒)におけるポリマー組成物の剪断減粘の程度に関する方向差を決定するために、TA Instruments AR2000レオメータを、流動モード、クリープモード、及び振動モードを試験するために使用することができる。レオメータのステップランプ流量モードを使用して、剪断速度範囲を一定温度にて選択することにより、種々の剪断応力及び剪断速度にわたる流動挙動を決定することができる。得られた流動曲線を比較して、種々の組成物に関する剪断速度の関数として、粘度を決定することができる。粘度降下率が大きいほど、より剪断減粘(即ち、擬塑性)挙動が大きい材料を示す。
【0034】
AR2000流量試験法:
試験装置:
・AR2000レオメータ(TA Instrumentsにより供給)
・サーモキューブソリッドステート冷却システム(モデル番号10-300-ICL-IFN-HT-CT
・鋼鉄4cm平板(40mm)コーン及びプレートジオメトリ、シリアル番号951103
【0035】
手順:
AR2000流量試験法の手順工程は、以下のとおりである(AR2000レオメータで提供される任意のプロトコル情報と一致する方法で、実行するためのものである。
a)レオメータ及び冷却システムを、どちらも「オン」に切り替え、
b)レオメータの駆動シャフトからのバリア遮蔽部を取り外し、
c)ソフトウェアプログラムにより表示される「TA Rheological Advantage」アイコンを選択し、
d)ジオメトリを、レオメータの駆動シャフト上へとねじ込む。
e)ジオメトリタブを、ソフトウェアプログラムにより表示されるツールバーから選択して、ドロップダウンメニュー「40mmの鋼板ジオメトリ(951193)」から、ジオメトリとして選択し、
f)一度、ジオメトリが選択されると、ソフトウェアプログラムにより「マップジオメトリ」が表示され、かつレオメータがジオメトリをマッピングする時間を可能にする。
g)ソフトウェアプログラムにより表示された際に、上部ツールバーにおける器具タブを選択し、また工程e)において選択したこのジオメトリに関して、「ゼロ間隙」タブを選択して間隙をゼロにし、かつソフトウェアプログラムにより表示される上向き矢印及び下向き矢印を使用して、板に接触させることなく、AR2000の底部ペルチエ板に近づけるように、ジオメトリを移動させる。
h)一度、間隙がゼロになると、(ソフトウェアプログラムにより表示される「バックオフ」タブを選択することにより)試験サンプルをロードする準備において、ジオメトリを40,000μmまで上昇させることができる。
i)試験サンプルを装填し、これにより、本試験サンプルは、ジオメトリの周囲の下の全領域を覆う。(試験サンプルから余分な気泡を除去する必要がある。)
j)ソフトウェアプログラムにより表示される「装置状態」アイコンを選択して、ソフトウェアプログラムにより表示される「間隙」アイコンを選択し、間隙を1000umに調整する。
k)ソフトウェアプログラムにより表示される「送信」アイコンを選択し、次に、試験サンプル上へとジオメトリを下げる。
l)予剪断なく25℃での1分間のコンディショニング工程に入り、またフロー工程に関しては、0秒-1の開始制御変数~200秒-1の終了変数を伴う定常状態フローの傾斜面型を入力し、
m)実験を開始して、AR2000データ分析プログラムを使用して生成されたデータを取得し、発生した粘度を、「まばたき」及び粘度「静止時」(すなわち、ゼロ剪断)データとして、比較のためにExcelプログラム(スプレッドシートジェネレータ)に転送する。
【0036】
組成物はまた、3つのパラメータ、弾性率G’、粘性係数G”、及びその位相角δにより特徴付けることができる。G’は、歪みに供された組成物の弾性(即ち、それが撓む前の変形に対するその弾性)を示す。従って、弾性組成物は、適用されたエネルギーを、破断する前により大きな剪断応力に関して吸収することができる。これは、典型的には、振幅スイープ曲線としてプロットされる場合に、ほぼ水平のG’により示される。増粘マトリックスの破壊は、G’が低下する点により示される。これが起こる剪断応力は臨界剪断応力であり、また数が低いほど、組成物の弾性が低下する。同様に、G”は、組成物の粘稠性の尺度であり、即ち、適用された剪断の結果としてどのくらい流動するかの尺度である。いくつかの組成物は剛性であり、またそれらが破壊されるまで流れに抵抗する。全ての剪断において、その他のものが流動する。高G’及び低G”は、剛性の厚いゲルを意味し、一方で、低G’及び高G”は、軟らかい高流動性組成物を意味する。
【0037】
G’とG”との間の比はδであり、また組成物の相対的な「固体」から「流体」の性質の尺度を与える。ゼロ付近の位相角はほぼ固体様挙動を示唆するが、一方で、ほぼ90°付近のものは液様挙動を示唆する。
【0038】
特定の実施形態では、セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物、及びヒアルロン酸は、以下を有する粘弾性組成物を形成するために組み込まれる。
i.0~0.85の歪みにて、0.70(又は約0.70)パスカル超の弾性率G’、所望により約0.70(又は約0.70)~約0.80(又は約0.80)、所望により0.73(又は約0.73)~0.78(又は約0.78)パスカル、
ii.約40°~約65°、又は所望により約50°~約60°の位相角δ、
これにより、流動性が低く、変形が少なく、かつ眼の保持性がより高い組成物を提供する。
【0039】
弾性率G’のパラメータ、及びその位相角δは、Bohlin CVORレオメータの振動試験モード及び60mmのアクリル平行板ジオメトリを使用して、0.1~10の歪みの振幅スイープを行うことにより、測定することができる。
【0040】
Bohlin CVORレオメータ粘弾性特性試験法:
試験装置:
・Bohlinレオメータ(モデル番号C-VOR-150-900;Malvern Instruments,Inc.より供給)
・Neslab Water Bath,Model 100-00
・アクリル60mm平行板ジオメトリ
【0041】
手順:
Bohlin CVOR Rheometer粘弾性特性試験方法の手順工程は、以下のとおりである(Bohlin CVOR Rheometer試験方法で提供される任意のプロトコル情報と一致する方法での性能に関する):
a)レオメータ及び水浴を、どちらも「オン」に切り替え、
b)レオメータの駆動シャフトからのロックをロック解除し、
c)「Bohlin rheometer」アイコン、振動モード、及び振幅スイープをそれぞれ、ソフトウェアプログラムにより表示される際に順次選択し、
d)ジオメトリ(即ち、アクリル60mm平行板)を、レオメータの駆動シャフト上へとねじ込む。
e)正しいジオメトリがソフトウェアプログラムにより表示されることを確実にするように、ゼロ間隙を選択する。一度、間隙がゼロになることをレオメータが示すと、ソフトウェアプログラムにより表示される上向きの矢印を選択して、試験サンプルをロードするのに十分に高い間隙を生じさせる。
f)試験サンプルは、レオメータのペルチエ板上に装填され、これにより、本試験サンプルは、ジオメトリの周囲の下の全領域を覆う。(試験サンプルから余分な気泡を除去する必要がある。)
g)ソフトウェアプログラムにより表示される「実験ダイアグラム」アイコンを選択して、次に、0.01~10の「歪み傾斜面」を選択する。
h)実験を開始し、実験が完了するにつれて振幅スイープ及び付随のデータ表を生成する。
i)曲線から、線形粘弾性領域を特定し、かつ比較することができる。0.85のステインにて、また対応する弾性率G’にて、位相角δが、試験サンプルのそれぞれについて記録される。
【0042】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、セルロース誘導体を、1~10、所望により1~5、又は所望により1.5~3部のセルロース誘導体:1~4部のタマリンド種子抽出物:1~2部のヒアルロン酸の比率にて、タマリンド種子抽出物及びヒアルロン酸と組み合わせてポリマー混合物を形成した場合に、上記のレオロジー特性を示し、また特定の実施形態では、セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物、及びヒアルロン酸のポリマー混合物の総濃度が、本発明の総組成物の0.4重量%(又は約0.4重量%)~0.9重量%(又は約0.9重量%)、所望により0.45重量%(又は約0.45重量%)~0.55重量%(又は約0.55重量%)超である。特定の実施形態では、セルロース誘導体はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0043】
特定の実施形態では、組成物の任意の非イオン性及び/又はアニオン性ポリマーの総濃度は、本発明の組成物全体の0.4重量%(又は約0.4重量%)(又は0.4重量%超)~約1.0重量%(又は約1.0重量%)である。
【0044】
任意選択的成分
ポリクオタニウム化合物
特定の実施形態では、本発明の組成物は、ポリクオタニウム化合物を含む。ポリクオタニウムは、パーソナルケア産業において使用されるいくつかのポリカチオン性ポリマーに関する化粧品成分の表記のための、国際命名法である。これらのポリマーは、ポリマー中に四級アンモニウム中心を有する。INCIは、このポリクオクニウムの表記の下で、少なくとも37種の異なるポリマーを承認している。それらはカチオン性分子である。いくつかは、抗菌特性を有し、コンディショナー、シャンプー、ヘアムース、ヘアスプレー、毛髪染料、コンタクトレンズ包装用溶液、及びコンタクトレンズ溶液(眼部潤滑剤、再湿潤溶液、濯ぎ溶液などを含む)における、特定の用途を見出している。異なるポリマーは、単語「ポリクオタニウム」に続く数値により区別される。番号は、それらの化学構造によってではなく、むしろそれらが登録された順番で割り当てられる。いくつかのより一般的な四級アンモニウム化合物は、当該技術分野において総称としてポリクオタニウムと呼ばれるものを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、組成物は、約150~約15,000ダルトン、所望により約200~約13,500ダルトン、又は所望により約250~約12,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリクオタニウム化合物のうちの1つ以上を、組成物全体の約0.0005%w/v~約0.1000%w/v、又は約0.0010%w/v~約0.0200%w/v、又は約0.0010%w/v~約0.0050%w/vのレベルで含み得る。
【0046】
好適なポリクオタニウム化合物の例としては、ポリクオテミウム-1、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-42、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態では、ポリクオタニウム化合物はポリクオタニウム-42である。
【0047】
ポリクオテミウム-1はまた、1,4-ジクロロ-2-ブテン及びN,N,N’,N’-テトラメチル-2-ブテン-1,4-ジアミンを伴うポリマーであるエタノール,2,2’,2”-ニトリロトリス-としても知られている。ポリクオテミウム-10はまた、四級化ヒドロキシエチルセルロースとしても知られている。ポリクオテミウム-42はまた、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレンジクロリド]としても知られている。
【0048】
ホウ酸塩
特定の実施形態では、本発明の組成物は、ホウ酸塩を含む。本発明で使用する場合、用語「ホウ酸塩」とは、ホウ酸、ホウ酸の塩、その他の薬学的に許容されるホウ酸塩、又はこれらの組み合わせを意味するものとする。好適なホウ酸塩としては、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムなどのアルカリ金属塩、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、ホウ酸マンガンなどの遷移金属塩、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
ホウ酸塩化合物は、本発明の組成物中に、組成物全体の約0.004%w/v~約1.5%w/v、所望により約0.01%w/v~約1.2%w/v、又は所望により約0.06%w/v~約1.0%w/vの濃度で存在することができる。
【0050】
抗菌性混合物
特定の実施形態では、本発明の組成物は、1種以上の栄養素(複数可)、及び所望により1種以上の電解質(複数可)を含む抗菌性混合物を含む。
【0051】
本発明の抗菌性混合物に有用な栄養素としては、乳酸塩(乳酸ナトリウム、又は乳酸カリウムなど)、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなど)、単糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトースなど)、二糖類、クエン酸塩(クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなど)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
特定の実施形態では、栄養素は、乳酸塩、グルコース及びこれらの混合物が挙げられる(これらから選択される、又はこれらからなる群から選択される)。本発明者らは、グルコースが、抗菌性混合物の抗真菌活性に顕著に寄与することを観察した。抗菌性混合物の抗真菌活性への寄与の重要性について、乳酸塩はグルコースに倣う。また、特定の実施形態では、グルコースと組み合せた場合に、乳酸塩/グルコースの組み合わせは、グルコース単独よりも更に高い程度の抗真菌活性を提供する。
【0053】
クエン酸塩、アスコルビン酸又はグリシンが単独で抗菌性混合物の抗真菌活性に最小限寄与していることが観察されたが、クエン酸塩、乳酸塩及びグリシンの組み合わせが、抗菌性混合物に対するグルコース又は乳酸塩の各々の抗菌性の寄与を向上することが観察され、グルコース及び乳酸塩がクエン酸塩、アスコルビン酸、及びグリシンと組み合わされる場合に、最大の向上が観察されたことが見出された。
【0054】
特定の実施形態では、抗菌性混合物は、アルカリ土類金属無機塩類などのアルカリ土類金属塩及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない、本発明の抗菌性混合物において有用な解質を更に含む。好適な例としては、カリウム塩(塩化カリウム及びリン酸カリウムなど)、マグネシウム塩(塩化マグネシウムなど)、ナトリウム塩(塩化ナトリウムなど)、対アニオン(塩化物など)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
特定の実施形態では、栄養素及び電解質は、本発明の組成物を形成するよう組み込まれる場合に、i)本発明の組成物全体中の全栄養素の濃度が、組成物の約1.0mMol/L~約4.0mMol/L、所望により約2.0mMol/L~約3.0mMol/L、又は所望により約2.8mMol/L~約3.0mMol/Lであり、また組み込まれる場合に、ii)本発明の組成物全体中の全電解質の濃度が、組成物の約20mMol/L~約80.0mMol/L、所望により約30mMol/L~約70mMol/L、又は所望により約40mMol/L~約60mMol/Lであるように、抗菌性混合物中に存在する。
【0056】
特定の実施形態では、1種以上、所望により2種以上、所望により3種以上、所望により4種以上の栄養素、及び所望により1種以上、所望により2種以上、所望により3種以上、所望により4種以上の電解質が、抗菌性混合物中に存在し、これにより、
A.本発明の組成物の全栄養素濃度は、次の濃度、
i)組成物全体の約0mMol/L~約10.0mMol/L、所望により約1.0mMol/L~約6.0mMol/L、又は所望により2.0mMol/L~約3.0mMol/Lの乳酸塩濃度、
ii)組成物全体の約0mMol/L~約0.5mMol/L、所望により約0.01mMol/L~約0.10mMol/L、又は所望により0.025mMol/L~約0.050mMol/Lのクエン酸濃度、
iii)組成物全体の約0mMol/L~約10mMol/L、所望により約1mMol/L~約5mMol/L、又は所望により1.5mMol/L~約2.5mMol/Lのリン酸塩濃度、
iv)組成物全体の約0.1mMol/L~約25mMol/L、所望により約0.1mMol/L~約10mMol/L、又は所望により0.1mMol/L~約0.4mMol/Lのグルコース濃度にて、個々の栄養素を含み、
また
B.所望により、本発明の組成物全体中の全電解質濃度は、次の濃度、
i)組成物全体の約24mMol/L~約28mMol/Lのカリウム濃度、
ii)組成物全体の約5mMol/L~約10mMol/Lのナトリウム濃度、
iii)組成物全体の約0.50mMol/L~約0.80mMol/Lのマグネシウム濃度、
iv)組成物全体の約23mMol/L~約28mMol/Lの塩化物濃度にて、個々の電解質を含む。
【0057】
特定の実施形態では、アスコルビン酸は、組成物全体の0.001%w/vを超えない濃度、所望により約0.00002%w/v~約0.0001%w/v、又は所望により約0.00001%w/v~約0.00002%w/vの濃度で存在する。
【0058】
特定の実施形態では、抗菌性混合物は、カルシウム、重炭酸塩、低分子量アミノ酸及び/又は亜鉛イオンを含まない、又は実質的に含まない。本発明で使用する場合、用語「実質的に含まない」とは、1%未満(若しくは約1%)、所望により0.1%未満(若しくは約0.1%)、所望により0.01%未満(若しくは約0.01%)、所望により0.001%未満(若しくは約0.0.001%)、又は所望により0.0001%未満(若しくは約0.0001%)の濃度を意味する。低分子量アミノ酸の例としては、L-アラニン、β-アラニン、α-アミノアジピン酸、α-アミノ酪酸、γ-アミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、クレアチン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、システイン、ロイシン、リジン、ノルロイシン、オルニチン、フェニルアラニン、フォフォセリン、ザルコシン、スレオニン、バリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
特定の実施形態では、グリシンは、組成物全体の0.0010%w/vを超えない濃度、所望により約0.00001%w/v~約0.0002%w/v、又は所望により約0.00002%w/v~約0.0001%w/vの濃度で存在する。
【0060】
本発明者らは更に、グルコースのような単糖類及び二糖類が、ポリクオタニウム42のようなポリクオタニウム化合物の抗真菌活性を実際に向上させることを観察した。防腐有効性試験における有用性に関して、真菌を前培養するためにグルコース寒天培地を処方していた故に、これは驚くべきでことである。
【0061】
単独で又は抗菌性混合物の一部としてのいずれかでポリクオタニウム化合物との使用に好適な単糖類としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、これらの異性体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない(又はこれらから選択される、又はこれらからなる群から選択される)。
【0062】
単独で又は抗菌性混合物の一部としてのいずれかでポリクオタニウム化合物との使用に好適な二糖類としては、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、α,α-トレハロース、β,β-トレハロース、α,β-トレハロース、セロビオース、キトビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース(gentiobiulose)、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ルチノース、ルチヌロース(rutinulose)、キシロビオース、これらの異性体及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない(又はこれらから選択される、又はこれらからなる群から選択される)。
【0063】
特定の実施形態では、単糖類及び/又は二糖類は、ポリクオタニウム化合物を含有する組成物中に、組成物全体の約0.002%w/v~1%w/v(若しくは約1%w/v)、所望により約0.002%w/v~約0.8%w/v、又は所望により約0.003%w/v~約0.4%w/vの濃度で存在する。
【0064】
ポリオール
特定の実施形態では、本発明の組成物は更に、ポリオール又はポリオール類の組み合わせを含んでよい。特定の実施形態では、薬学的に活性な化合物などの付加的成分の存在は、ポリオール又はポリオール類の組み合わせの添加を必要とする場合がある。本発明で使用する場合、及び特に指示がない限り、用語「ポリオール」とは、少なくとも2つの-OH基を有する任意の化合物を意味する。ポリオールは、生じる複合体が、水溶性かつ薬学的に許容される限り、直鎖状若しくは環状、置換若しくは非置換、又はそれらの混合物であることができる。このようなポリオール化合物としては糖、糖アルコール、糖酸、ウロン酸及びそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、ポリオールは、マンニトール、グリセリン(グリセロール)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない糖、糖アルコール及び糖酸である。特定の実施形態では、ポリオールは、ポリソルベート80、マンニトール、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン又はそれらの混合物である。特定の実施形態では、ポリオールはグリセリンである。その他の実施形態では、ポリオールは、グリセリンとプロピレングリコール又はグリセリンとソルビトールなどのポリオールの組み合わせである。
【0065】
ポリオール(又はそれらの組み合わせ)は、所望により、本発明の組成物中に、組成物全体の約0.2%w/v~約2.0%w/v、所望により約0.2%w/v~約1.7%w/v、又は所望により約0.4%w/v~約1.5%w/vの濃度で存在することができる。
【0066】
任意選択的成分
本発明の組成物は、任意に、1種以上の追加の賦形剤及び/又は1種以上の追加の有効成分を更に含んでよい。一般的に使用される賦形剤としては、粘滑剤、等張化剤、防腐剤、キレート剤、緩衝剤(本発明の有機酸以外、及びそれに加えて)、並びに界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。その他の賦形剤としては、可溶化剤、安定化剤、快適性増強剤、ポリマー、皮膚軟化剤、pH調整剤(本発明の有機酸以外、及びそれに加えて)、並びに/又は潤滑剤が挙げられる。水、水と水混和性溶媒の混合物、例えば0.5%~5%の非毒性水溶性ポリマーを含む植物油又は鉱物油、天然生成物、例えば寒天及びアカシア、デンプン誘導体、例えば酢酸デンプン及びヒドロキシプロピルデンプン、並びに他の合成生成物、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、酸化ポリエチレン、及び、好ましく架橋したポリアクリル酸、並びにこれらの組み合わせをも含む任意の種々の賦形剤が、本発明の組成物において使用されてよい。
【0067】
セルロース誘導体に追加して本発明の実施形態と共に使用される粘滑剤又は鎮静剤としては、グリセリン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びポリアクリル酸が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール400は、粘滑剤である。特定の実施形態では、グリセリンは、等張性調整剤としての使用に加えて、粘滑剤としても作用することができる。
【0068】
等張性調整剤もまた、所望により、本発明の組成物にて使用することができる。好適な等張性調整剤としては、マンニトール、塩化ナトリウム、グリセリン等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な緩衝剤としては、リン酸塩、ホウ酸塩、アセタール類等、及びアミノアルコール類、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、上記のいずれかの塩、並びに上記のいずれかの剤の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
好適な界面活性剤としては、(非イオン界面活性剤が好ましいが)イオン性及び非イオン性界面活性剤、RLM 100、Procol(登録商標)CS20などのPOE 20セチルステアリルエーテル、Pluronic(登録商標)F68などのポロキサマー、並びに米国特許出願公開第2008/0138310号、発明の名称:「Use of PEO-PBO Block Copolymers in Ophthalmic Compositions」(2007年12月10日出願)(当該公開は本明細書に参考として組み込まれる)に記述されている、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシブチレン)化合物などのブロックコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
PEG-2~PEG-200ヒマシ油に分類されるポリエトキシレート化ヒマシ油化合物、並びにPEG-5~PEG-200硬化ヒマシ油に分類されるものもまた、本明細書で有用である。このようなポリエトキシレート化ヒマシ油としては、Alkamuls(登録商標)ブランドの商品名にてRhone-Poulenc(クランベリー、ニュージャージー州)により製造されているようなもの、Cremophor(登録商標)ブランドの商品名にてBASF(パーシッパニー、ニュージャージー州)により製造されているようなもの、及びNikkoブランドの商品名にてNikko Chemical Co.,Ltd.(東京、日本)により製造されているようなものが、挙げられる。特定の実施形態では、ポリエトキシル化ヒマシ油は、PEG-15~PEG-50ヒマシ油、又は所望によりPEG-30~PEG-35ヒマシ油に分類されるものである。いくつかの実施形態では、Cremophor(登録商標)EL及びAlkamuls(登録商標)EL-620として知られるポリエトキシル化ヒマシ油が使用される。その他の実施形態では、PEG-25~PEG-55硬化ヒマシ油に分類されるポリエトキシレート化硬化ヒマシ油が使用される。一実施形態では、ポリエトキシレート化硬化ヒマシ油は、Lumulse GRH-40としてバンテージ(ガーニー、イリノイ州、米国)より供給される、PEG-40硬化ヒマシ油である。
【0071】
一般に、本発明は、組成物全体の約0.02重量%~約20重量%(重量%)の量の、1種以上のポリエトキシレート化ヒマシ油を含むことができる。特定の実施形態では、1種以上のポリエトキシレート化ヒマシ油は、組成物全体の約0.05重量%~約5重量%、又は所望により約0.1重量%~約2重量%の量で使用してよい。上記のポリエトキシレート化ヒマシ油及びポリエトキシレート化硬化ヒマシ油のいずれかの混合物もまた使用してよい。
【0072】
本発明の組成物は、被験者の眼への適用に対して眼科的に適している。用語「水溶性」とは、賦形剤が、約50重量%超、所望により約75重量%超、又は所望により約90重量%超の水である水性配合物、又は組成物全体の水性成分にて使用される。これらの滴は、好ましくは無菌であり得、従って、製剤の殺菌又は静菌/静真菌成分を不要にし得る単回用量のアンプルから送達され得る。あるいは、滴は、当該技術分野において周知である装置のような、送達される際に組成物から任意の防腐剤を抽出する装置を好ましくは備え得る、多回用量ボトルから送達され得る。
【0073】
特定の実施形態では、本発明の組成物は等張性である、又は蒸発及び/若しくは疾患により引き起こされるあらゆる涙の高張性と闘うために、わずかに低張性である。これは、製剤のオスモル濃度をキログラム当たり210~320ミリオスモル(mOsm/kg)又はその近傍のレベルに近づけるために、等張化剤を必要とする場合がある。本発明の組成物は、一般に、220~320mOsm/kgの範囲のオスモル濃度を有する、又は所望により、235~300mOsm/kgの範囲のオスモル濃度を有する。眼科用組成物は、一般に、無菌水溶液として製剤化することができる。
【0074】
有用な実施形態では、本発明の組成物は疎水性成分を含む。本発明では、任意の好適な疎水性成分を用いてよい。一実施形態では、疎水性成分は、本発明の組成物中に不連続相、例えば、水中油型エマルションを含む、と考えられ得る。
【0075】
疎水性成分は、例えば、組成物全体の最大約1.0重量%又は約1.5重量%の量で、有効量にて存在してよい。
【0076】
特定の実施形態では、疎水性成分は、1つ以上の油性材料を含む。有用な油材料の例としては、植物油、動物油、鉱油、合成油等、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、疎水性成分は、1つ以上の高級脂肪酸グリセリドを含む。別の実施形態では、疎水性成分はヒマシ油を含む。その他の実施形態では、油成分は、水性配合物中の上記界面活性剤(例えば、特定の実施形態では、ポリエトキシレート化ヒマシ油及び/又はポリエトキシレート化硬化ヒマシ油界面活性剤)と組み合わされて、エマルションを形成する。
【0077】
一実施形態では、本発明の有用な組成物は自己乳化性であり、これは、水性媒体に曝露された場合に、ほとんど又は全く撹拌せずに、微細な水中油型エマルションを形成する。加えて、自己乳化事前濃縮物を水性媒体と組み合わせることにより、エマルションを調製してよい。本開示の自己乳化系は、(i)中鎖トリグリセリド及び非イオン性界面活性剤、(ii)植物油、並びにポリグリコリド化グリセリド若しくは中鎖モノジグリセリド及びジグリセリドなどの部分グリセリドの混合物、又は(iii)植物油、及びポリソルベート80、PEG-25グリセリルトリオレエート、ポリエトキシレート化ヒマシ油及び/又はポリエトキシレート化硬化ヒマシ油などの非イオン性界面活性剤、が挙げられる。
【0078】
本発明の組成物はまた、薬学的に活性な化合物を投与するために使用することができる。このような化合物としては、緑内障治療薬、鎮痛薬、抗炎症薬、血管収縮薬、ドライアイ緩和薬、及び抗アレルギー薬、並びに抗感染薬が挙げられる(又はそれらから選択される、若しくはそれらからなる群から選択される)が、これらに限定されない。薬学的に活性な化合物のより具体的な例としては、ベタキソロール、チモロール、ピロカルピン、若しくはそれらの薬学的に許容される塩、炭酸脱水酵素阻害剤、若しくはそれらの薬学的に許容される塩、プロスタグランジン、ドーパミン作動性アンタゴニスト、パラアミノクロニジン(アプラクロニジン)若しくはそれらの薬学的に許容される塩などの術後降圧剤、抗感染薬、例えばシプロフロキサシン、モキシフロキサシン、トブラマイシン、若しくはそれらの薬学的に許容される塩、非ステロイド性及びステロイド性抗炎症薬、例えばナプロキセン、ジクロフェナク、ネパフェナク、スプロフェン、ケトロラク、テトラヒドロコルチゾール、デキサメタゾン、若しくはそれらの薬学的に許容される塩、PDE4阻害剤などのドライアイ治療薬若しくはそれらの薬学的に許容される塩、血管コントリクター(contrictor)、例えば、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、エフェドリン、フェニレフリン、若しくはそれらの薬学的に許容される塩、抗アレルギー薬、若しくはそれらの薬学的に許容される塩、例えばH1/H4阻害剤、H4阻害剤、オロパタジン、及びドライアイ治療薬、例えばタマリンド種子抽出物、ヒアルロン酸、グアーガム(高性能グアーガムを含む)、又は上記の活性剤若しくは活性剤のカテゴリーのいずれかの混合物が挙げられる。
【0079】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、1種以上のレチノイドを更に含む。レチノイドとしては、ビタミンA(レチノール)、レチノイン酸、及びパルミチン酸レチノール、並びに合成又は天然に生じる細胞成分又は代謝産物である関連化合物が挙げられる。RA及び合成誘導体の効果は、2つの部類の核受容体、erbA-relatedステロイド/甲状腺核受容体スーパーファミリーに属するレチノイン酸受容体、及びステロイド/甲状腺ホルモンの同じスーパーファミリーにも属するレチノイドX受容体により媒介される(Gorodeskiら、Am.J.Physiol.Cell.Physiol.275、758-765(1998年)を参照のこと)。
【0080】
ビタミンA及び関連するレチノイドは、上皮細胞の増殖及び分化の制御を介して粘膜膜の維持に関与する。レチノイドの欠乏は、非分泌性ケラチン化上皮への眼粘膜の漸進的変化をもたらす。(Kobayashiら、Ophthalmologica、211、358-361(1997年))。レチノイン酸は、細胞増殖及び細胞分化において基本的な役割を果たし、また悪性形質転換もまた防止し得る(Darmon、1991年、Sem.Dev.Biol.2:219)。
【0081】
レチノイドは、尋常性挫瘡、乾癬、創傷治癒、及び前悪性病変を含む、上皮組織のケラチン化を伴う多数の状態の治療に利用されてきた(Kligman、A.、Cutis、39、486-488(1987年)。レチノイドを含有する製剤はまた、ドライアイ、スチーヴンズ-ジョンソン症候群などの、上皮を伴う眼科的疾患の治療に利用されてきた(Kobayashiら、Ophthalmologica、211、358-361(1997年);Selekら、Eur.J.Ophthalmol、10、121-127(2000年)及びKimら、Amer.J.Oph、147、206-213 e3(2009年))。局所的レチノイド製剤としては、1ヶ月以上にわたって1日当たり2~4回適用され得る軟膏及び液体製剤が挙げられる。眼粘膜組織における杯細胞密度の増加、引裂破断時間、及びシルマースコア(Schirmer Score)測定値は、局所的レチノイド療法に続いて言及されている。
【0082】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、α-リノレネート、ジホモガンマ-リノレン酸、γ-リノレネート、エイコサペンタエン酸、又はドコサヘキサエン酸(例えば、エチルα-リノレネート若しくはエチルγ-リノレネート)の、1-3炭素一価又は4-10炭素ポリオールエステルなどの、1つ以上の脂肪酸エステルを更に含む。任意のこのような脂肪酸エステルの混合物もまた、本明細書で使用されてよい。好適な一価及び/又はポリオール脂肪酸エステルは、米国特許公開第20130005805(A1)号及び同第20140364400(A1)号に詳細に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が本明細書に組み込まれている。
【0083】
本発明の製剤を構成する成分の濃度が変化し得ることも、想定されている。当業者は、所与の製剤中の成分の添加、置換、及び/又は削除に応じて濃度が変化し得ることを理解するであろう。
【0084】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、緩衝剤を用いて、組成物が約5.0のpH~約8.0のpH、所望により約6.5のpH~約8.0のpHを維持するように緩衝される。製剤が適用される、又は投薬される組織に適合する生理学的pHを有する局所製剤(特に、上記のような局所眼科用製剤)が好ましい。
【0085】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、点眼溶液、眼部洗浄溶液、コンタクトレンズ包装用溶液、コンタクトレンズ潤滑溶液、再湿潤溶液及び濯ぎ溶液、スプレー、ミスト、又は組成物を眼に投与する任意のその他の方法の形態である。
【0086】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、週に1回、5日に1回、3日に1回、2日に1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日8回、毎時間、又はより高頻度を含む任意の投与頻度での投与のために、製剤化される。このような投与頻度はまた、ユーザの治療ニーズに応じて変化する持続期間にて維持される。特定の治療レジメンの持続期間は、1回の投与から月又は年にわたるレジメンまで変化し得る。当業者は、特定の適応症に関する治療レジメンを決定することに精通しているであろう。
【実施例】
【0087】
以下の実施例にて示されるような本発明の組成物は、本発明の組成物の特定の実施形態を示すものであり、本発明を限定するものではない。その他の変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者により実行されることができる。
【0088】
【表1】
1LIFECORE(チャスカ、ミネソタ州、米国)により供給されている、Research Grade、HA15M。
2FARMIGEA(オスペダレット、イタリア)により供給
3Clariant Produkte(ブルクキルヒェン、ドイツ)により供給
4Dow CHEMICAL(プラケマイン、ルイジアナ州、米国)により供給されている、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
5Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給
6Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給
7Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給
8Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給
9Caldic(デュッセルドルフ、ドイツ)により供給
10塩化カリウムは、KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給された
11Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給されている乳酸ナトリウム(50%水溶液)として供給
12KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給
13Roquette Freres(LASTREM、フランス)により供給
14Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給
15DSM NUTRITIONAL Products(ドレイクマ、スコットランド、イギリス)により供給
16VWR(ラドナー、ペンシルベニア州)により供給
17Merck NV/SA(オーベレルエイセ、ベルギー)により供給
18DSM BIOMEDICAL(バークレー、カリフォルニア州)により供給されているポリクオタニウム42(33%水溶液)として供給
【0089】
溶液1Aを調製する手順は次のとおりであった。
1.800mLのビーカーに、450グラムの精製水USPを添加する。
2.工程1の組成物に、1.25gのヒアルロン酸ナトリウムを添加する。ヒアルロン酸ナトリウムが溶解するまで溶液を混合する。
3.工程2の溶液に、1.25gのタマリンド種子多糖類を添加する。タマリンド種子多糖類が溶解するまで溶液を混合する。
4.次に、4.35gの塩化ナトリウムを工程3の溶液に添加する。塩化ナトリウムが溶解するまで溶液を混合する。
5.精製水9グラム中の1N水酸化ナトリウム水溶液1グラムの予混合溶液0.15グラムを、工程4の溶液に添加する。
6.更なる水を工程5の溶液に添加して、溶液の重量を合計500.00グラムとし、かつ溶液を更に10分間混合する。
【0090】
結果:上記のRame-Hart-DROPimage Advanced Software Pendant Drop Methodにより測定した際に、溶液は68.06の表面張力を有し、本発明の約40.8ダイン/cm~51.9ダイン/cm超であり、またこのような高い表面張力故に、目の迅速かつ広範な再湿潤を有するとは予想されない。
【0091】
溶液1Bを調製する手順は次のとおりであった。
1.500mLのビーカーに、160グラムの精製水USPを添加する。
2.工程1の組成物に、0.2gのヒアルロン酸ナトリウムを添加する。ヒアルロン酸ナトリウムが溶解するまで溶液を混合する。
3.工程2の溶液に、0.6gのヒプロメロースE3 Premiumを添加する。ヒプロメロースE3 Premiumが溶解するまで溶液を混合する。
4.次に、1.74gの塩化ナトリウムを工程3の溶液に添加する。塩化ナトリウムが溶解するまで溶液を混合する。
5.精製水9グラム中の1N水酸化ナトリウム水溶液1グラムの予混合溶液0.06グラムを、工程4の溶液に添加する。
6.更なる水を工程6の溶液に添加して、溶液の重量を合計200.00グラムとし、かつ溶液を更に10分間混合する。
【0092】
結果:上記のAR2000流量試験法により測定した際に、溶液は24cpsの粘度を有し、本発明の粘度約50cps~約100cpsの範囲外となり、かつドライアイを軽減するための向上した涙液安定性に関して、眼表面上への保持力を可能にするのに十分な持続性及び/又は保湿を、有するとは予想されない。
【0093】
溶液1Cを調製する手順は次のとおりであった。
1.1500mLのビーカーに、900グラムの精製水USPを添加する。
2.工程1の組成物に、0.1gのヒアルロン酸ナトリウムを添加する。ヒアルロン酸ナトリウムが溶解するまで溶液を混合する。
3.工程2の溶液に、0.1gのタマリンド種子多糖類を添加する。タマリンド種子多糖類が溶解するまで溶液を混合した。
4.工程3の溶液に、0.3gのヒプロメロースE3 Premiumを添加する。ヒプロメロースE3 Premiumが溶解するまで溶液を混合した。
5.次に、8.8gの塩化ナトリウムを工程4の溶液に添加する。塩化ナトリウムが溶解するまで溶液を混合する。
6.精製水9グラム中に溶解した1N水酸化ナトリウム1グラムの予混合溶液0.10グラムを、工程5の溶液に添加する。
7.更なる水を工程6の溶液に添加して、溶液の重量を合計1000.00グラムとし、かつ溶液を更に10分間混合する。
【0094】
結果:上記のAR2000流量試験法により測定した際に、溶液は86.0cpsの粘度を有し、約50cps~約100cpsの本発明の粘度範囲内に収まり、かつドライアイを軽減するための向上した涙液安定性に関して、眼表面上への保持力を可能にするのに十分な持続性及び/又は保湿を有すると、予想される。
【0095】
溶液1Dを調製する手順は次のとおりであった。
1.1500mLのビーカーに、800グラムの精製水USPを添加する。
2.工程1のビーカーに、1.2gのヒアルロン酸ナトリウムを添加する。ヒアルロン酸ナトリウムが溶解するまで溶液を混合する。
3.工程2の溶液に、0.2gのタマリンド種子多糖類を添加する。タマリンド種子多糖類が溶解するまで溶液を混合する。
4.工程3の溶液に、1.98gのヒプロメロースE3 Premiumを添加する。ヒプロメロースE3 Premiumが溶解するまで溶液を混合する。
5.別の150mLのビーカー内へと、95gの精製水を添加する。
6.工程5のビーカーに、0.02グラムのグリシン及び0.01グラムのアスコルビン酸を添加する。グリシン及びアスコルビン酸が溶解するまで溶液を混合する。
7.工程6の溶液に追加の水4.97グラムを添加して、溶液が均一になるまで混合した。
8.工程4の溶液に、2.0グラムのクエン酸ナトリウムを添加する。クエン酸ナトリウムを、溶解するまで少なくとも10分間溶液中へと混合する。
9.工程8の溶液に以下の成分、0.27グラムのリン酸二ナトリウム、0.13グラムの塩化マグネシウム、1.0グラムの塩化カリウム、0.036グラムのグルコース、及び0.45グラムのホウ酸ナトリウムを混合しながら添加し、次のものを添加する前に各々が完全に溶解する時間を可能にして、次のものを添加する前に各成分が混合するのを可能にする。
10.工程9の溶液に、2.5グラムのグリセリン及び11.18グラムのポリエチレングリコール400を混合しながらゆっくりと添加し、次の成分を添加する前に各成分が完全に溶解することを可能にした。
11.工程10の溶液に、8.0グラムのホウ酸及び0.57gの乳酸ナトリウムを混合しながらゆっくりと添加して、完全に溶解するまで混合した。
12.工程11の溶液に、工程7で調製した1.0グラムの溶液を添加する。
13.工程12の溶液に、0.1グラムのエデト酸二ナトリウムを添加する。
14.工程13の溶液を、完全に分散するまで混合する。
15.十分な水を工程14の溶液に添加して、工程13の溶液の重量を1000.00グラムとし、かつ溶液を更に10分間混合した。
【0096】
結果:上記のAR2000流量試験法により測定した際に、溶液は72.2cpsの粘度を有し、約50cps~約100cpsの本発明の粘度範囲内に収まり、かつドライアイを軽減するための向上した涙液安定性に関して、眼表面上への保持力を可能にするのに十分な持続性及び/又は保湿を有する、と予想される。
【0097】
溶液1Eを調製する手順は次のとおりであった。
1.1000mLのビーカーに、400グラムの精製水USPを添加した。
2.工程1のビーカーに、0.6gのヒアルロン酸ナトリウムを添加した。ヒアルロン酸ナトリウムが溶解するまで溶液を混合した。
3.工程2の溶液に、0.1gのタマリンド種子多糖類を添加する。タマリンド種子多糖類が溶解するまで溶液を混合する。
4.工程3の溶液に、0.99gのヒプロメロースE3 Premiumを添加する。ヒプロメロースE3 Premiumが溶解するまで溶液を混合する。
5.別の150mLのビーカー内へと、95gの精製水を添加する。
6.工程5のビーカーに、0.01グラムのグリシン及び0.005グラムのアスコルビン酸を添加する。グリシン及びアスコルビン酸が溶解するまで溶液を混合する。
7.工程6の溶液に追加の水4.97グラムを添加して、溶液が均一になるまで混合した。
8.工程4の溶液に、1.0グラムのクエン酸ナトリウムを添加する。クエン酸ナトリウムを、溶解するまで少なくとも10分間溶液中へと混合する。
9.工程8の溶液に以下の成分、0.135グラムのリン酸二ナトリウム、0.065グラムの塩化マグネシウム、0.895グラムの塩化カリウム、及び0.018グラムのグルコースを混合しながら添加し、次のものを添加する前に各々が完全に溶解する時間を可能にして、次のものを添加する前に各成分が混合するのを可能にする。
10.工程9の溶液に、1.25グラムのグリセリン及び5.59グラムのポリエチレングリコール400を混合しながらゆっくりと添加し、次の成分を添加する前に各成分が完全に溶解することを可能にした。
11.工程10の溶液に、4.0グラムのホウ酸及び0.285gの乳酸ナトリウムを混合しながらゆっくりと添加して、完全に溶解するまで混合した。
12.工程11の溶液に、工程7で調製した1.0グラムの溶液を添加する。
13.工程12の溶液に、0.25グラムのエデト酸二ナトリウムを添加する。
14.工程13の溶液を、完全に分散するまで混合する。
15.工程14の溶液に、水中の0.045グラムのポリクオタニウム42の33%水溶液を、添加する。
16.十分な水を工程15の溶液に添加して、工程15の溶液の重量を500.00グラムとし、かつ溶液を更に10分間混合する。
【0098】
結果:上記のAR2000流量試験法により測定した際に、溶液は68.6cpsの粘度を有し、約50cps~約100cpsの本発明の粘度範囲内であり、かつドライアイを軽減するための向上した涙液安定性に関して、眼表面上への保持力を可能にするのに十分な持続性及び/又は保湿を有する、と予想される。
【0099】
【0100】
実施例2A~2Cに関して、ヒアルロン酸ナトリウムは、CONTIPRO A.S.(ドルニー・ドブロウチュ、チェコ共和国)により供給することができる。
【0101】
実施例2A~2Cに関して、タマリンド種子抽出物は、INDENA(ミラノ、イタリア)により供給することができる。
【0102】
実施例2A~2Cに関して、ヒプロメロース2910は、HPMC E3 Premiumであり、DOW CHEMICAL(プラケマイン、ルイジアナ州、米国)により供給することができる。
【0103】
実施例2A~2Cに関して、ポリエチレングリコール400は、Clariant Produkte(ブルクキルヒェン、ドイツ)により供給することができる。
【0104】
実施例2A~2Cに関して、ホウ酸は、Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給することができる。
【0105】
実施例2A~2Cに関して、ホウ酸ナトリウムは、Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給することができる。
【0106】
実施例2A~2Cに関して、塩化ナトリウムは、Caldic(デュッセルドルフ、ドイツ)により供給することができる。
【0107】
実施例2Aに関して、塩化カルシウム二水和物は、Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給することができる。
【0108】
実施例2Aに関して、塩化マグネシウムは、KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給することができる。
【0109】
実施例2Aに関して、塩化カリウムは、KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給することができる。
【0110】
実施例2Aに関して、亜塩素酸ナトリウム二水和物は、Oxychem(ウィチタ、カンザス州、米国)により供給することができる。
【0111】
実施例2Bに関して、ポリクオタニウム-42(33%水溶液)は、DSM BIOMEDICAL(バークレー、カリフォルニア州、米国)により供給することができる。
【0112】
実施例2A~2Cに関して、Lumulse GRH-40は、VANTAGE(ガーニー、イリノイ州、米国)により供給することができる。
【0113】
実施例2A~2Cに関して、超精製ヒマシ油は、CRODA(エジソン、ニュージャージー州、米国)により供給することができる。
【0114】
実施例2B~2Cに関して、リノレン酸エチルは、SIGMA-ALDRICH(セントルイス、ミズーリ州、米国)により供給することができる。
【0115】
実施例2B~2Cに関して、パルミチン酸レチノールは、SIGMA-ALDRICH(セントルイス、ミズーリ州、米国)により供給することができる。
【0116】
実施例2B~2Cに関して、クエン酸ナトリウム二水和物は、Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)により供給することができる。
【0117】
溶液2Aを調製する手順は次のとおりであり得る。
1.50mLのビーカーに、5.0グラムのLumuluse GRH-40を添加する。
2.混合しながら、6.25グラムの超精製ヒマシ油を添加する。
3.上記を均質になるまで混合する。
4.別の1500mLのビーカーに、900グラムの精製水を添加する。
5.上記に、1.0グラムのヒアルロン酸ナトリウムを添加する。溶液を混合して、ヒアルロン酸ナトリウムを完全に溶解させる。
6.上記に、1.0グラムのタマリンド種子多糖類を添加する。
タマリンド種子多糖類が完全に溶解するまで溶液を混合する。
7.次に、上記溶液に、3.0グラムのヒプロメロース2910 E3 Premiumを添加する。
8.完全に溶解するまで溶液を混合する。
9.次に、以下の成分、2.5グラムのポリエチレングリコール400、6.0グラムのホウ酸、0.035グラムのホウ酸ナトリウム、0.5グラムの塩化ナトリウム、0.06グラムの塩化カルシウム、0.06グラムの塩化マグネシウム、及び1.40グラムの塩化カリウムを順次添加し、次のものを添加する前に各々を溶解させる。
10.工程3の内容物を添加して、ホモジナイザを用いて均一になるまで混合する。
11.次に、0.14グラムの塩化ナトリウムを添加する。
12.精製水USPを用いて溶液を1000.0グラムにし、かつ10分間混合して完全に均一にする。
13.0.22マイクロメートルの親水性フィルタを用いて溶液を濾過する。
【0118】
溶液2Bを調製する手順は次のとおりである。
1.50mLのビーカーに、5.0グラムのLumuluse GRH-40を添加する。
2.混合しながら、6.25グラムの超精製ヒマシ油を添加する。
3.上記のものに、0.502グラムのリノレン酸エチル及び0.502グラムのパルミチン酸レチノールを添加する。
4.将来の使用のために、均一な溶液を保留する。
5.別の1500mLのビーカーに、900グラムの精製水を添加する。
6.上記に、1.0グラムのヒアルロン酸ナトリウムを添加する。溶液を混合して、ヒアルロン酸ナトリウムを完全に溶解させる。
7.次に、2.0グラムのタマリンド種子多糖類を添加する。溶液を混合して、タマリンド種子多糖類を完全に溶解させる。
8.上記に、3.0グラムのヒプロメロース2910 E3 Premiumを添加する。
9.溶液を混合してHPMCを完全に溶解させる。
10.次に、以下の成分、2.5グラムのポリエチレングリコール400、6.0グラムのホウ酸、0.5グラムのホウ酸ナトリウム、0.5グラムの塩化ナトリウム、6.50グラムのクエン酸ナトリウム二水和物、及び0.090グラムのポリクオタニウム-42(33%水溶液)を順次添加し、次のものを添加する前に各々を溶解させる。
11.工程3の内容物を添加して、ホモジナイザを用いて均一になるまで混合する。
12.精製水USPを用いて溶液を1000.0グラムにし、かつ10分間混合して完全に均一にする。
13.0.22マイクロメートルのフィルタを用いて溶液を濾過する。
【0119】
溶液2Cを調製する手順は次のとおりである。
1.50mLのビーカーに、5.0グラムのLumuluse GRH-40を添加する。
2.混合しながら、6.25グラムの超精製ヒマシ油を添加する。
3.上記のものに、0.502グラムのリノレン酸エチル及び0.502グラムのパルミチン酸レチノールを添加する。
4.将来の使用のために、均一な溶液を保留する。
5.別の1500mLのビーカーに、900グラムの精製水を添加する。
6.上記に、1.0グラムのヒアルロン酸ナトリウムを添加する。溶液を混合して、ヒアルロン酸ナトリウムを完全に溶解させる。
7.次に、1.0グラムのタマリンド種子多糖類を添加する。溶液を混合して、タマリンド種子多糖類を完全に溶解させる。
8.上記に、3.0グラムのヒプロメロース2910 E3 Premiumを添加する。
9.溶液を混合してHPMCを完全に溶解させる。
10.次に、以下の成分、2.5グラムのポリエチレングリコール400、6.0グラムのホウ酸、0.5グラムのホウ酸ナトリウム、0.5グラムの塩化ナトリウム、及び6.50グラムのクエン酸ナトリウム二水和物を順次添加し、次のものを添加する前に各々を溶解させる。
11.工程3の内容物を添加して、ホモジナイザを用いて均一になるまで混合する。
12.精製水USPを用いて溶液を1000.0グラムにし、かつ10分間混合して完全に均一にする。
13.0.22マイクロメートルのフィルタを用いて溶液を濾過する。
【0120】
本発明の実施形態
1.
i.セルロース誘導体、
ii.タマリンド種子抽出物、及び
iii.ヒアルロン酸と、
所望により、油成分、
所望により、界面活性剤、及び
所望により、水性成分と、を含むポリマー混合物、を含む組成物であって、
セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物、及びヒアルロン酸が、1~10部のセルロース誘導体:1~4部のタマリンド種子抽出物:1~2部のヒアルロン酸、の比率にて組み合わされて、ポリマー混合物を形成する、組成物。
【0121】
2.セルロース誘導体が、ヒドロキシアルキルセルロースポリマー、アルキルヒドロキシアルキルセルロースポリマー、メチルセルロース、メチルセルロース誘導体、ヒドロキシメチルセルロース誘導体、及びこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)、実施形態1に記載の組成物。
【0122】
3.ヒドロキシアルキルセルロースポリマーが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)、実施形態1及び2の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0123】
4.アルキルヒドロキシアルキルセルロースポリマーがセチルヒドロキシエチルセルロースである、実施形態1~3の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0124】
5.メチルセルロース誘導体が、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース誘導体、又はこれらの混合物からなる群から選択される(又は、これらからなる群から選択される)、実施形態1~4の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0125】
6.ヒドロキシメチルセルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、又はこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)、実施形態1~5の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0126】
7.セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物及びヒアルロン酸のポリマー混合物の総濃度が、本発明の組成物全体の約0.4重量%超~約0.9重量%である、実施形態1~6の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0127】
8.組成物の非イオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの総濃度は、本発明の組成物全体の0.4重量%(又は約0.4重量%)(又は0.4重量%超)~約1.0重量%(又は約1.0重量%)である、実施形態1~7の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0128】
9.本明細書に記載されているRame-Hart-DROPimage Advanced Software Pendant Drop Methodにより測定した際に、組成物の表面張力が、約40.8ダイン/cm~51.9ダイン/cmの範囲である、実施形態1~8の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0129】
10.本明細書に記載されているDVS Intrinsic Measurement System及びDVS-Intrinsic Control Software Methodにより測定した際に、組成物の水分損失率が、37℃及び相対湿度70%で1mg/3分未満である、実施形態1~9の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0130】
11.本明細書に記載されているAR2000流量試験法により測定した際に、組成物が、ゼロ剪断で約30~100cpsの粘度を有する、実施形態1~10の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0131】
12.本明細書に記載されているAR2000流量試験法により測定した際に、組成物が、まばたきの剪断速度(1/100秒)で30cps未満の粘度を有する、実施形態1~11の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0132】
13.本明細書に記載されているBohlin CVOR Rheometer Visco-Elastic Property Test Methodにより測定した際に、組成物が、0.70(又は約0.70)パスカルを超える弾性率G’及び約40°~約65°の相位角δを有する、実施形態1~12の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0133】
14.組成物が、
i.本明細書に記載されているRame-Hart-DROPimage Advanced Software Pendant Drop Methodにより測定した際に、約40.8ダイン/cm~51.9ダイン/cmの範囲の表面張力、
ii.本明細書に記載されているDVS-Intrinsic Measurement System及びDVS-Intrinsic Control Software Methodにより測定した際に、37℃及び相対湿度70%で1mg/3分未満の水分損失率、
iii.本明細書に記載されているAR2000流量試験法により測定した際に、ゼロ剪断で約30~100cpsの粘度、及びまばたきの剪断速度(1/100秒)で30cps未満の粘度、並びに
iv.本明細書に記載されているBohlin CVOR Rheometer Visco-Elastic Property Test Methodにより測定した際に、0.70(又は約0.70)パスカル超の弾性率G’及び約40°~約65°の位相角δ、を有する、実施形態1~13の組み合わせのいずれか1つに記載の組成物。
【0134】
〔実施の態様〕
(1) i.セルロース誘導体、
ii.タマリンド種子抽出物、及び
iii.ヒアルロン酸、
を含むポリマー混合物、を含む組成物であって、
前記セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物、及びヒアルロン酸が、1~10部のセルロース誘導体:1~4部のタマリンド種子抽出物:1~2部のヒアルロン酸、の比率にて組み合わされて、前記ポリマー混合物を形成する、組成物。
(2) 前記セルロース誘導体が、ヒドロキシアルキルセルロースポリマー、アルキルヒドロキシアルキルセルロースポリマー、メチルセルロース、メチルセルロース誘導体、ヒドロキシメチルセルロース誘導体(hydroxymethycellulose derivatives)、及びこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)、実施態様1に記載の組成物。
(3) 前記ヒドロキシアルキルセルロースポリマーが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)、実施態様2に記載の組成物。
(4) 前記アルキルヒドロキシアルキルセルロースポリマーがセチルヒドロキシエチルセルロースである、実施態様2に記載の組成物。
(5) 前記メチルセルロース誘導体が、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxmethyl cellulose)、ヒドロキシメチルセルロース誘導体、又はこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)、実施態様2に記載の組成物。
【0135】
(6) 前記ヒドロキシメチルセルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、又はこれらの混合物から選択される(又は、これらからなる群から選択される)、実施態様5に記載の組成物。
(7) セルロース誘導体、タマリンド種子抽出物及びヒアルロン酸の前記ポリマー混合物の総濃度が、本発明の組成物全体の約0.4重量%超~約0.9重量%である、実施態様1に記載の組成物。
(8) 前記組成物の非イオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの総濃度が、本発明の組成物全体の0.4重量%(又は約0.4重量%)(又は0.4重量%超)~約1.0重量%(又は約1.0重量%)である、実施態様1に記載の組成物。
(9) 本明細書に記載されているRame-Hart-DROPimage Advanced Software Pendant Drop Methodにより測定した際に、前記組成物の表面張力が、約40.8ダイン/cm~51.9ダイン/cmの範囲である、実施態様1に記載の組成物。
(10) 本明細書に記載されているDVS Intrinsic Measurement System及びDVS-Intrinsic Control Software Methodにより測定した際に、前記組成物の水分損失率が、37℃及び相対湿度70%で1mg/3分未満である、実施態様1に記載の組成物。
【0136】
(11) 本明細書に記載されているAR2000流量試験法により測定した際に、前記組成物が、ゼロ剪断で約30~100cpsの粘度を有する、実施態様1に記載の組成物。
(12) 本明細書に記載されているAR2000流量試験法により測定した際に、前記組成物が、まばたきの剪断速度(1/100秒)で30cps未満の粘度を有する、実施態様11に記載の組成物。
(13) 本明細書に記載されているBohlin CVOR Rheometer Visco-Elastic Property Test Methodにより測定した際に、前記組成物が、0.70(又は約0.70)パスカルを超える弾性率G’及び約40°~約65°の相位角δを有する、実施態様1に記載の組成物。
(14) i.本明細書に記載されているRame-Hart-DROPimage Advanced Software Pendant Drop Methodにより測定した際に、約40.8ダイン/cm~51.9ダイン/cmの範囲の表面張力、
ii.本明細書に記載されているDVS-Intrinsic Measurement System及びDVS-Intrinsic Control Software Methodにより測定した際に、37℃及び相対湿度70%で1mg/3分未満の水分損失率、
iii.本明細書に記載されているAR2000流量試験法により測定した際に、ゼロ剪断で約30~100cpsの粘度、及びまばたきの剪断速度(1/100秒)で30cps未満の粘度、並びに
iv.本明細書に記載されているBohlin CVOR Rheometer Visco-Elastic Property Test Methodにより測定した際に、0.70(又は約0.70)パスカル超の弾性率G’及び約40°~約65°の位相角δ、を有する、実施態様1に記載の組成物。