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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】撮像モジュールの組立方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20220620BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20220620BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
G02B7/04 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020512667
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 CN2018104952
(87)【国際公開番号】W WO2019047964
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-03-02
(31)【優先権主張番号】201710814255.5
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518168041
【氏名又は名称】▲寧▼波舜宇光▲電▼信息有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 明珠
(72)【発明者】
【氏名】廖 海▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】王 一▲棋▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 春梅
(72)【発明者】
【氏名】▲チュ▼ 水佳
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105445889(CN,A)
【文献】特開2006-308987(JP,A)
【文献】特開2010-021985(JP,A)
【文献】国際公開第2012/004995(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1470424(KR,B1)
【文献】特開2006-208932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像モジュールの組立方法であって、
第1鏡筒および少なくとも1つの第1レンズを含む第1サブレンズ部、第2鏡筒および少なくとも1つの第2レンズを含む第2サブレンズ部、および感光素子を含む感光アセンブリを準備するステップと、
前記第1サブレンズ部と前記感光アセンブリを前記第2サブレンズ部の光軸に配置して、前記少なくとも1つの第1レンズと前記少なくとも1つの第2レンズを含む結像可能な光学系を構成するステップと、
前記第2サブレンズ部に対する前記第1サブレンズ部の相対位置を調整することで、光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させるステップと、
前記第2サブレンズ部の中軸線に対する前記感光アセンブリの軸線の夾角を調整することで、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させるステップと、
前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部を接続して、前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部との相対位置を一定に維持するとともに、前記感光アセンブリと前記第2サブレンズ部を接続して、前記第2サブレンズ部の中軸線に対する前記感光アセンブリの軸線の夾角を維持するステップと、を含み、
前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップでは、
前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対して調整平面に沿って第1範囲内で移動させ、
前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させる前記ステップでは、
実測結像面傾斜が前記第2しきい値に達しない場合、実測結像面傾斜が前記第2しきい値に減少するまで再調整ステップをさらに実行し、
前記再調整ステップは、
前記第1サブレンズ部を、前記第2サブレンズ部に対して、前記調整平面に沿って第1範囲により小さい第2範囲内で移動させることと、
前記光軸に対する前記感光アセンブリの軸線の夾角を調整することで、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を減少させることと、を含み、
前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップでは、前記調整平面に沿う移動には、前記調整平面上の平行移動および/又は回転を含む、
ことを特徴とする撮像モジュールの組立方法。
【請求項2】
前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップの実行が終了した後、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させるステップを実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュールの組立方法。
【請求項3】
前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させるステップでは、実測結像面傾斜を取得する方法は、
測定視野の異なる測定点に対応する複数のターゲットを設置するステップと、
前記感光アセンブリが出力する画像に基づいて、各測定点に対応する解像度デフォーカス曲線を取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュールの組立方法。
【請求項4】
感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させる前記ステップでは、前記第2しきい値に向上させるとは、測定視野の異なる測定点に対応する前記解像度デフォーカス曲線のピーク値の、前記光軸方向での位置ズレを前記第2しきい値に低下させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像モジュールの組立方法。
【請求項5】
前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップでは、前記光学系結像の実測解像度を取得する方法は、
基準視野および測定視野の異なる測定点に対応する複数のターゲットを設置するステップと、
前記感光アセンブリが出力する画像に基づいて、各測定点に対応する解像度デフォーカス曲線を取得するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュールの組立方法。
【請求項6】
基準視野の前記光学系結像の実測解像度を対応するしきい値に向上させるサブステップでは、前記対応するしきい値に向上させるとは、基準視野の測定点に対応するターゲット結像の解像度デフォーカス曲線のピーク値を対応するしきい値に向上させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュールの組立方法。
【請求項7】
測定視野の前記光学系結像の実測解像度を対応するしきい値に向上させるサブステップでは、前記対応するしきい値に向上させることには、この測定視野の異なる測定点に対応する複数のターゲット結像の解像度デフォーカス曲線のピーク値のうち最小値を対応するしきい値に向上させることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュールの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学技術分野に関し、具体的には、本発明は、撮像モジュールの解決手段に関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本願は、2017年9月11日に中国国家知的財産局に提出された中国特許出願第201710814255.5号の優先権および利益を主張し、この出願の全内容が引用により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
モバイル電子機器の普及に伴い、モバイル電子機器に適用されてユーザーが映像(たとえば、ビデオや画像)を取得するための撮像モジュールの関連技術が急速に発展・進歩しており、近年、撮像モジュールは、医療、セキュリティ、工業生産などの多くの分野で広く使用されている。
【0004】
拡大しつつある市場の需要を満たすために、高画素化、小寸法化、大口径化は、既存の撮像モジュールの不可逆的な傾向となっている。市場では、撮像モジュールの結像品質に対する要求がますます高くなる。特定の光学設計の撮像モジュールの解像度に影響を与える要因には、光学結像レンズ部の品質とモジュールのパッケージングプロセス中の製造誤差が含まれる。
【0005】
具体的には、光学結像レンズ部の製造プロセスでは、レンズ部の解像度に影響を与える要因は、各素子およびその組み立て誤差、レンズのスペーサー素子の厚さの誤差、各レンズの組み立て合わせの誤差、およびレンズ材料の屈折率の変化などに起因する。その中でも、各素子およびその組み立て誤差には、各レンズ単体の光学面の厚さ、レンズの光学面のサジタル高さ、光学面の形状、曲率半径、レンズの片面および面同士の偏心、レンズの光学面間の傾斜などの誤差が含まれ、これら誤差の大きさが金型の精度と成形精度を制御する能力に依存する。レンズのスペーサー素子の厚さの誤差は、素子の加工精度に依存する。各レンズの組み立て合わせの誤差は、組み立てられる素子の寸法公差およびレンズ部の組み立て精度に依存する。レンズ材料の屈折率の変化によって生じる誤差は、材料の安定性およびバッチの一貫性に依存する。
【0006】
上記の各素子の解像度に影響する誤差には、累積に伴い劣化する現象があり、この累積誤差はレンズの数とともに増加する。既存の解像度の解決手段では、比較的高感度の各素子のサイズに対して公差制御を行い、レンズの回転を補正することで解像度を向上させるが、高画素・大口径のレンズ部はより高感度であるため、公差に対する要求が厳しく、たとえば、一部の高感度レンズ部ではレンズの1umの偏心により、9'の結像面傾斜が生じ、レンズの加工および組み立てがより困難になり、さらに、組み立てプロセスのフィードバックサイクルが長いため、レンズ部組み立ての工程能力指数(CPK)が低く、変動が大きいため、高い不良率が発生する。また、前述のように、レンズ部の解像度に影響する要素は複数あり、複数の素子に存在するため、各要素の制御には製造精度の限界があり、各素子の精度だけを向上させると、向上能力が制限され、向上のためのコストが高くなり、そして、市場で高まっている画像品質に対する需要に応えることはできない。
【0007】
一方、撮像モジュールの処理中に、さまざまな構造素子の組み立てプロセス(感光チップの貼設、モーターレンズ部のロックプロセスなど)によって感光チップが傾斜することがあり、複数の傾斜が重なると、結像モジュールの解像度が所定の仕様に到達できず、モジュールメーカーの歩留まりが低下する恐れがある。近年、モジュールメーカーは、結像レンズ部と感光モジュールを組み立てる際に、アクティブアライメントプロセスを通じて感光チップの傾斜を補償している。ただし、このプロセスには補償能力が制限されている。解像度に影響するさまざまな収差は光学システム自体の能力に起因するため、光学結像レンズ部自体の解像度が不十分な場合、従来の感光モジュールのアクティブアライメントプロセスにより補償することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の上記少なくとも1つの欠陥を解決できる解決手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、撮像モジュールの組立方法を提供し、該組立方法は、
第1鏡筒および少なくとも1つの第1レンズを含む第1サブレンズ部、第2鏡筒および少なくとも1つの第2レンズを含む第2サブレンズ部、および感光素子を含む感光アセンブリを準備するステップと、
前記第1サブレンズ部と前記感光アセンブリを前記第2サブレンズ部の光軸に配置して、前記少なくとも1つの第1レンズと前記少なくとも1つの第2レンズを含む結像可能な光学系を構成するステップと、
前記第2サブレンズ部に対する前記第1サブレンズ部の相対位置を調整することで、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させるステップと、
前記第2サブレンズ部の中軸線に対する前記感光アセンブリの軸線の夾角を調整することで、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させるステップと、
前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部を接続して、前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部との相対位置を一定に維持するとともに、前記感光アセンブリと前記第2サブレンズ部を接続して、前記第2サブレンズ部の中軸線に対する前記感光アセンブリの軸線の夾角を維持するステップと、を含む。
【0010】
なお、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップでは、前記相対位置の調整には、
前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対して調整平面に沿って移動させることで、前記光学系結像の実測解像度を向上させることを含む。
【0011】
なお、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップでは、前記調整平面に沿う移動には、前記調整平面上の平行移動および/又は回転を含む。
【0012】
なお、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップの実行が終了した後、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させるステップを実行する。
【0013】
なお、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させるステップでは、実測結像面傾斜を取得する方法は、
測定視野の異なる測定点に対応する複数のターゲットを設置するステップと、
前記感光アセンブリが出力する画像に基づいて、各測定点に対応する解像度デフォーカス曲線を取得するステップと、を含む。
【0014】
なお、感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させる前記ステップでは、前記第2しきい値に減少させるとは、測定視野の異なる測定点に対応する前記解像度デフォーカス曲線のピーク値の、前記光軸方向での位置ズレを前記第2しきい値に低下させる。
【0015】
なお、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップは、
前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対して調整平面に沿って移動させることで、基準視野の前記光学系結像の実測解像度を対応するしきい値に向上させるステップと、
次に、前記第1サブレンズ部の中軸線を前記第2サブレンズ部の中軸線に対して傾斜させることで、測定視野の前記光学系結像の実測解像度を対応するしきい値に向上させるステップと、を含む。
【0016】
なお、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップでは、前記光学系結像の実測解像度を取得する方法は、
基準視野および測定視野の異なる測定点に対応する複数のターゲットを設置するステップと、
前記感光アセンブリが出力する画像に基づいて、各測定点に対応する解像度デフォーカス曲線を取得するステップと、を含む。
【0017】
なお、基準視野の前記光学系結像の実測解像度を対応するしきい値に向上させるサブステップでは、前記対応するしきい値に向上させるとは、基準視野の測定点に対応するターゲット結像の解像度デフォーカス曲線のピーク値を対応するしきい値に向上させる。
【0018】
なお、測定視野の前記光学系結像の実測解像度を対応するしきい値に向上させるサブステップでは、前記対応するしきい値に向上させることには、この測定視野の異なる測定点に対応する複数のターゲット結像の解像度デフォーカス曲線のピーク値のうち最小値を対応するしきい値に向上させることを含む。
【0019】
なお、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップは、
前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対して前記光軸に沿って移動させることで、前記感光素子が出力する画像に基づいて得られた前記光学系結像の実測結像面を目標面と整合させるステップをさらに含む。
【0020】
なお、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させる前記ステップでは、
前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対して前記調整平面に沿って第1範囲内で移動させ、
前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させる前記ステップでは、
実測結像面傾斜が前記第2しきい値に達しない場合、実測結像面傾斜が前記第2しきい値に減少するまで再調整ステップをさらに実行し、
前記再調整ステップは、
前記第1サブレンズ部を、前記第2サブレンズ部に対して、前記調整平面に沿って第1範囲未満の第2範囲内で移動させるステップと、
前記光軸に対する前記感光アセンブリの軸線の夾角を調整することで、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を減少させるステップと、を含む。
【0021】
なお、前記接続ステップでは、粘着又は溶接プロセスにより前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部を接続する。
【0022】
なお、前記接続ステップでは、粘着又は溶接プロセスにより前記感光アセンブリと前記第2サブレンズ部を接続する。
【0023】
なお、前記溶接プロセスは、レーザー溶接又は超音波溶接を含む。
【0024】
本発明の別の態様によれば、撮像モジュールをさらに提供し、該撮像モジュールは、
第1鏡筒および少なくとも1つの第1レンズを含む第1サブレンズ部と、
第2鏡筒および少なくとも1つの第2レンズを含む第2サブレンズ部と、
感光素子を含む感光アセンブリと、を備え、
前記第1サブレンズ部と前記感光アセンブリを前記第2サブレンズ部の光軸に配置して、前記少なくとも1つの第1レンズと前記少なくとも1つの第2レンズを含む結像可能な光学系を構成し、
前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部は、第1接続媒体を介して固定されており、
前記第2サブレンズ部と前記感光アセンブリは、第2接続媒体を介して固定されており、前記第2接続媒体は、前記第2サブレンズ部の中軸線が前記感光アセンブリの軸線に対して第2傾斜角を有するようになされている。
【0025】
なお、前記第1接続媒体は、前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部を互いに当接させないようになされている。
【0026】
なお、前記第1接続媒体はさらに、前記第1サブレンズ部の中軸線が前記第2サブレンズ部の中軸線に対して第1傾斜角を有するようになされている。
【0027】
なお、前記第1接続媒体はさらに、前記第1サブレンズ部の中軸線と前記第2サブレンズ部の中軸線をずらすようになされている。
【0028】
なお、前記第1接続媒体はさらに、前記第1サブレンズ部と第2サブレンズ部との間に構造的隙間を付与するようになされている。
【0029】
なお、前記第1接続媒体は粘着媒体又は溶接媒体であり、且つ前記第2接続媒体は粘着媒体又は溶接媒体である。
【0030】
なお、前記第1サブレンズ部の中軸線は、前記第2サブレンズ部の中軸線に対して0~15μmずれている。
【0031】
なお、前記第1サブレンズ部の中軸線は、前記第2サブレンズ部の中軸線に対して、0.5度未満の傾斜角を有する。
【0032】
なお、前記第2サブレンズ部の中軸線は、前記感光アセンブリの軸線に対して1度未満の傾斜角を有する。
【0033】
なお、前記第1接続媒体はさらに、前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部との相対位置を一定に維持するようになされており、前記相対位置は、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させ、また
前記第2接続媒体はさらに、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を第2しきい値に減少させるようになされている。
【0034】
なお、前記第2サブレンズ部は、モータベースを含むモータをさらに備え、前記感光アセンブリは、前記第2接続媒体を介して前記モータベースに接続され、且つ、前記実測解像度は、モータの起動状態での実測解像度であり、前記実測結像面傾斜は、モータの起動状態での実測結像面傾斜である。
【発明の効果】
【0035】
従来技術に比べて、本発明は、下記少なくとも1つの技術的効果を有する。
1、本発明は、撮像モジュールの解像度を向上できる。
2、本発明は、撮像モジュールを量産する場合の工程能力指数(CPK)を向上できる。
3、本発明は、光学結像レンズ部およびモジュールの各素子精度およびその組み立て精度への要求を低減させ、光学結像レンズ部およびモジュールの全体コストを削減させることができる。
4、本発明は、組立過程において撮像モジュールのさまざまな収差をリアルタイムで調整することで、不良率を低下させ、生産コストを削減させて、結像の品質を向上させることができる。
5、本発明は、組立過程において第1、第2サブレンズ部の相対位置を多自由度で調整することによって解像度を向上させ、第1、第2サブレンズ部の相対位置の調整に生じる結像面傾斜に対しては、感光アセンブリと第2サブレンズ部との間の相対傾斜を調整することで補償を行い、それによって、結像の品質をよりよく向上させることができる。
6、本発明は、感光アセンブリと第2サブレンズ部との間の相対傾斜を調整することで結像面傾斜を補償することによって、第1、第2サブレンズ部の間の相対位置の調整には、結像面傾斜への影響を考慮せず、又は、それほか考慮しなくてもよく、それによって、第1、第2サブレンズ部の相対位置の調整プロセスの難度を低減させ、組立効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
参照図面には、例示的な実施例が示されている。本明細書で開示された実施例および図面は、説明的なものとして見なすべきであり、限定的なものではない。
図1】本発明の一実施例における撮像モジュールの組立方法のフローチャートを示す。
図2】本発明の一実施例における第1サブレンズ部、第2サブレンズ部、感光アセンブリおよびその初期配置位置の模式図を示す。
図3】本発明の一実施例における相対位置の調整形態を示す。
図4】本発明の別の実施例における回転調整を示す。
図5】本発明のまた別の実施例においてv、w方向の調整を追加した相対位置の調整形態を示す。
図6】本発明の一実施例における元の状態でのMTFデフォーカス曲線を示す。
図7】本発明の一実施例においてステップ300で調整されたMTFデフォーカス曲線を示す。
図8】本発明の一実施例において第1サブレンズ部と第2サブレンズ部との相対位置調整が終了した後の第1サブレンズ部、第2サブレンズ部、感光アセンブリおよびこれらの位置関係を示す。
図9】結像面傾斜の原理模式図を示す。
図10】中心位置と周辺1および周辺1’位置での像の比較模式図を示す。
図11】本発明の一実施例においてステップ400で調整されたMTFデフォーカス曲線を示す。
図12】本発明の一実施例において感光アセンブリと第2サブレンズ部との相対傾斜の調整が終了した後の第1サブレンズ部、第2サブレンズ部、感光アセンブリおよびこれらの位置関係を示す。
図13】本発明の一実施例において接続後に形成された撮像モジュールを示す。
図14】一実施例におけるターゲットの設置形態の例を示す。
図15】本発明の一実施例においてステップ320で調整された第1サブレンズ部と第2サブレンズ部との相対位置関係を示す。
図16】本発明の一実施例において、図15に基づいて第2サブレンズ部の中軸線に対する感光アセンブリの軸線の夾角をさらに調整する場合の模式図を示す。
図17図16に基づいて接続ステップ後に形成された撮像モジュールを示す。
図18】本発明の一実施例において組立済みのモータを備えたモータの非起動状態での撮像モジュールを示す。
図19】本発明の一実施例において組立済みのモータを備えたモータの起動状態での撮像モジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本願をよりよく理解するために、図面を参照しながら本願の各態様を詳細に説明する。なお、これら詳細な説明は、本願に対する例示的な実施形態の説明に過ぎず、何らかの方式で本願の範囲を制限するものではない。明細書を通じて、同じ図面の符号は、同じ素子を表す。用語「および/又は」は、挙げられた項目のうちの1つ又は複数の関連するいずれか又はすべての組み合わせを意味する。
【0038】
なお、本明細書では、第1、第2などの用語は、1つの特徴を別の1つの特徴から区別するために過ぎず、特徴を何ら制限するものではない。このため、本願の示唆から逸脱しない限り、以下で検討する第1主体は第2主体と呼ばれてもよい。
【0039】
図面では、説明の便宜上、物体の厚さ、サイズおよび形状がわずかに拡大されている。図面は、例示的なものに過ぎず、正確な割合で作成されるものではない。
【0040】
さらに、なお、用語「備える」、「備えている」、「有する」、「含む」および/又は「含んでいる」は、本明細書に使用される場合、記載の特徴、全体、ステップ、操作、素子および/又は部材が存在するが、他の特徴、全体、ステップ、操作、素子、部材の1つ又は複数および/又はこれらの組み合わせが存在又は追加される場合を排除しないことを意味する。また、「...のうちの少なくとも1つ」の表現は、挙げられた特徴のリストの後に使用される場合、リスクにおける単一の素子ではなく、挙げられたリスク全体を修飾する。また、本願の実施形態が説明されている場合、「てもよい」が使用されると、「本願の1つ又は複数の実施形態」を示す。そして、用語「例示的」とは、例示を示すか、又は例として説明することを意味する。
【0041】
本明細書に使用されている用語「ほぼ」、「約」および類似した用語は、程度を示す用語ではなく、類似程度を示す用語として使用され、そして、当業者にとって公知するような計測値又は計算値の固有偏差を示すことを意図する。
【0042】
特に断らない限り、本明細書に使用されるすべての用語(技術用語和科学用語を含む)は、当業者が一般的に理解する意味と同じである。さらに、なお、用語(たとえば、よく使用されている辞典に定義される用語)は、関連技術の文脈に記載の意味と同じ意味を有し、且つ理想的又は過度に正式な意味で解釈せず、但し本明細書においてこのように明確に限定しない場合を除く。
【0043】
なお、矛盾しない限り、本願における実施例および実施例における特徴を互いに組み合わせることができる。以下、図面を参照しながら実施例をもって本願を詳細に説明する。
【0044】
図1は、本発明の一実施例における撮像モジュールの組立方法のフローチャートを示す。図1に示されるように、前記組立方法は、下記ステップ100~500を含む。
【0045】
ステップ100:第1サブレンズ部、第2サブレンズ部および感光アセンブリを準備する。図2は、本発明の一実施例における第1サブレンズ部1000、第2サブレンズ部2000、感光アセンブリ3000およびこれらの初期配置位置の模式図を示す。図2に示されるように、第1サブレンズ部1000は、第1鏡筒1100と少なくとも1つの第1レンズ1200を含む。本実施例では、第1レンズ1200は2つあるが、容易に理解できるように、他の実施例では、第1レンズ1200は、ほかの数、たとえば、1つ、3つ又は4つなどであってもよい。前記第2サブレンズ部2000は、第2鏡筒2100と少なくとも1つの第2レンズ2200を含む。本実施例では、第2レンズ2200は3つあるが、容易に理解できるように、他の実施例では、第2レンズ2200は、ほかの数、たとえば、1つ、2つ又は4つなどであってもよい。本実施例では、第2サブレンズ部2000の第2鏡筒2100は、一体に嵌設された内側鏡筒2110および外側鏡筒2120(外側鏡筒2120は、レンズ部ホルダーとも呼ばれる)を含み、前記内側鏡筒2110と外側鏡筒2120はネジ接続されている。なお、前記内側鏡筒と外側鏡筒の接続方式は、ネジ接続に制限されない。勿論、容易に理解できるように、他の実施例では、第2鏡筒2100は一体化された鏡筒としてもよい。
【0046】
さらに、図2に示されるように、一実施例では、前記感光アセンブリ3000は、回路基板3100と、回路基板3100上に実装される感光素子3200と、前記感光素子3200の周辺を取り囲むように回路基板3100に製造される筒状支持体3400と、支持体3400に取り付けられたフィルタ素子3300と、を備える。筒状支持体3400は、内(感光素子3200に向かう方向)へ延びているレンズ部枠として機能できる延在部を有し、前記フィルタ素子3300は前記延在部に取り付けられる。前記筒状支持体3400は上面をさらに有し、前記感光アセンブリは、この上面を介して撮像モジュールのほかのアセンブリ(たとえば、第2サブレンズ部2000)に接続されてもよい。勿論、容易に理解できるように、他の実施例では、感光アセンブリ3000は、ほかの構造としてもよく、たとえば、前記感光アセンブリの回路基板は貫通孔を有し、感光素子が前記回路基板の貫通孔に取り付けられており、またたとえば、前記支持部は、成形により感光素子の周辺に形成され且つ内へ延びて前記感光素子(たとえば、支持部は、前記感光素子の縁部の少なくとも非感光領域の一部に覆設されている)に接触し、さらにたとえば、前記感光アセンブリは、前記フィルタ素子を省略してもよい。
【0047】
ステップ200:前記第1サブレンズ部1000と前記感光アセンブリ3000とを前記第2サブレンズ部2000の光軸に配置して、前記少なくとも1つの第1レンズ1200と前記少なくとも1つの第2レンズ2200を含む結像可能な光学系を構成する。本ステップでは、前記第1サブレンズ部1000と前記感光アセンブリ3000とを前記第2サブレンズ部2000の光軸に配置するとは、上記3つのものに対して初期アラインメント(たとえば、機械的アラインメント)を行い、結像可能な光学系を形成する。つまり、すべての第1レンズ1200とすべての第2レンズ2200を含む光学系が結像可能であれば、本ステップの配置作業が完了する。なお、サブレンズ部および感光アセンブリの作製過程において様々な作製公差やほかの原因のため、配置終了後にも、第1鏡筒1100、第2鏡筒2100、筒状支持体3400の中軸線は光軸と重なると限らない。
【0048】
ステップ300:前記第2サブレンズ部2000に対する前記第1サブレンズ部1000の相対位置を調整することで、前記光学系結像の実測解像度を最大化する(実測解像度を予め設定されたしきい値に向上させると、実測解像度の最大化を実現するとされる)。ここで、第1サブレンズ部1000と第2サブレンズ部2000との相対位置の調整は複数の自由度を含み得る。
【0049】
図3は本発明の一実施例における相対位置の調整形態を示す。この調整形態では、前記第1サブレンズ部1000は、前記第2サブレンズ部2000に対してx、y、z方向に沿って移動することができる(即ち、この実施例では、相対位置の調整は3つの自由度を有する)。その中でも、z方向は光軸に沿う方向、x、y方向は光軸に垂直な方向である。x、y方向はともに同一調整平面P内にあり、この調整平面P内で平行に移動する場合は、x、y方向における2つの成分に分けられる。
【0050】
図4は、本発明の別の実施例における回転調整を示す。この実施例では、相対位置の調整には、図3の3つの自由度に加えて、回転自由度、即ちr方向での調整が追加される。本実施例では、r方向の調整は、前記平面P内の回転、即ち、前記調整平面Pに垂直な軸線の周りに行われる回転を調整する。
【0051】
さらに、図5は、本発明のまた別の実施例においてv、w方向調整を追加した相対位置の調整形態を示す。ここで、v方向はxoz平面の回転角、w方向はyoz平面の回転角を示し、v方向およびw方向の回転角は、全体的な傾斜状態を表すベクトル角に合成される。つまり、v方向およびw方向の調整によって、第2サブレンズ部に対する第1サブレンズ部の傾斜姿態(つまり、前記第2サブレンズ部の光軸に対する前記第1サブレンズ部の光軸の傾斜)を調整することができる。
【0052】
上記x、y、z、r、v、wの6つの自由度の調整はいずれも前記光学系の結像品質(たとえば、解像度の高さ)に影響する可能性がある。本発明の別の実施例では、相対位置の調整形態としては、上記6つの自由度のうちのいずれかを調整してもよいし、そのうちのいずれか2つ以上の組み合わせを調整してもよい。
【0053】
さらに、一実施例では、前記光学系結像の実測解像度を取得する方法は、ステップ301とステップ302を含む。
【0054】
ステップ301:基準視野および/又は測定視野に対応する複数のターゲットを設置する。たとえば、中心視野を基準視野とし、関心のある領域に対応する1つ以上の視野を測定視野(たとえば、80%視野)とする。
【0055】
ステップ302:前記光軸に沿って前記感光アセンブリを移動(即ちz方向に移動)させ、前記感光アセンブリが出力する画像に基づいて、各ターゲットに対応する解像度デフォーカス曲線を取得する。前記解像度デフォーカス曲線に基づいて対応する視野の実測解像度が得られえる。なお、他の実施例では、多層の物側ターゲットを配置することによっても測定視野の異なる測定位置に対応する解像度デフォーカス曲線が得られる。この場合、解像度デフォーカス曲線を取得する際に、前記光軸に沿って前記感光アセンブリを移動させないか、又は前記光軸に沿って前記感光アセンブリを移動させる回数を減少させてもよい。
【0056】
上記実施例では、解像度はMTF(変調伝達関数)で表される。MTF値が高いほど、解像度が良好である。このように前記感光アセンブリが出力する画像に基づいて得られたMTFデフォーカス曲線から、前記光学系結像の解像度をリアルタイムで取得できる。MTFデフォーカス曲線の変化に応じて、現在解像度の最大化状態であるか否かを判断することができ、解像度の最大化状態である場合、前記相対位置の調整を停止する。図6は、本発明の一実施例における元の状態でのMTFデフォーカス曲線を示し、中心視野を含むMTFデフォーカス曲線および測定視野の2つの異なる測定位置に対応する2つのターゲットのサジタル方向およびメリジオナル方向のMTFデフォーカス曲線が含まれる。図7は、本発明の一実施例においてステップ300で調整されたMTFデフォーカス曲線を示す。図から明らかなように、調整後、2つのターゲットのサジタル方向とメリジオナル方向のMTF値はともに明らかなに向上する。非解像度を表す方式はMTF値に制限されず、たとえば、他の実施例では、解像度は、SFR(空間周波数応答)など、ほかの結像品質を表す指数で示されてもよい。
【0057】
ステップ300が完了した後、一般的には、第1サブレンズ部1000と第2サブレンズ部2000との間にズレが存在する。図8は、本発明の一実施例において第1サブレンズ部1000と第2サブレンズ部2000との相対位置調整が終了した後の第1サブレンズ部1000、第2サブレンズ部2000、感光アセンブリ3000およびこれらの位置関係を示す。同図から明らかなように、第1サブレンズ部1000の中軸線は、第2サブレンズ部2000の中軸線に対してx方向において△xずれている。ただし、図8は例示的なものに過ぎない。図8にはy方向でのズレが示されていないが、当業者が理解できるように、第1サブレンズ部1000の中軸線は第2サブレンズ部2000の中軸線に対してy方向において△yのズレを有してもよい。
【0058】
ステップ400:前記第2サブレンズ部2000の中軸線に対する前記感光アセンブリ3000の軸線の夾角を調整することで、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を最小化させる(実測結像面傾斜を予め設定されたしきい値に減少させると、実測結像面傾斜の最小化を実現するとされる)。光学アセンブリの作製プロセスそのものに存在する公差に加えて、光学系がステップ300で調整されることによって、光学系の結像には結像面傾斜がある場合が多い。図9は結像面傾斜の原理模式図を示す。同図から明らかなように、図9には、光軸に垂直な物体面はレンズで結像されると傾斜した結像面になる。中心視野の入射光はレンズを透過した後中心焦点の位置にフォーカスし、軸外視野1の入射光はレンズを透過した後周辺焦点1’の位置にフォーカスし、この位置と中心焦点の位置との間に軸方向ずれD2があり、軸外視野1’の入射光はレンズを透過した後周辺焦点1の位置にフォーカスし、この位置と中心焦点の位置との間に軸方向ずれD1がある。その結果、感光素子の受光面が光軸に垂直に配置される場合、周辺1と周辺1’の位置のいずれでも明瞭な結像ができない。図10は、中心位置と周辺1および周辺1’位置での像の比較模式図を示し、周辺1および周辺1’位置の像がともに中心位置の像に比べて明らかにぼけていることが明らかである。
【0059】
本ステップでは、前記第2サブレンズ部2000の中軸線に対する前記感光アセンブリ3000の軸線の夾角を調整することで、上記結像面傾斜を補償し、それにより撮像モジュール製品の結像品質を向上させる。一実施例では、実測結像面傾斜を取得する方法は、ステップ401とステップ402を含む。
【0060】
ステップ401:いずれかの測定視野(たとえば、80%視野)に対しては、この測定視野の異なる測定位置に対応する複数のターゲットを設置する。ここで異なる測定位置とは、同一測定視野の複数の異なる方向にある複数の測定位置をいう。
【0061】
ステップ402:前記感光アセンブリが出力する画像に基づいて、同一視野の各ターゲットに対応する解像度デフォーカス曲線を取得する。これら解像度デフォーカス曲線が横座標軸(デフォーカス量の座標軸を表す)に集まると、この測定視野に対応する結像面傾斜が補償されており、即ち、この測定視野では前記実測結像面傾斜が最小化されている。本ステップでは、用語「集まる」は、同一視野の複数のターゲットに対応する解像度デフォーカス曲線のピーク値の横座標軸上の位置ズレ(光軸方向における位置ズレ)が予め設定されたしきい値未満であると理解してもよい。
【0062】
図11は本発明の一実施例においてステップ400で調整されたMTFデフォーカス曲線を示す。ステップ400が完了した後、第2サブレンズ部2000の中軸線に対する感光アセンブリ3000の軸線は通常に傾斜角を有する。図12は本発明の一実施例において感光アセンブリ3000と第2サブレンズ部2000との相対傾斜の調整が終了した後の第1サブレンズ部1000、第2サブレンズ部2000、感光アセンブリ3000およびこれらの位置関係を示す。同図から明らかなように、感光アセンブリ3000の軸線は、第2サブレンズ部2000の中軸線に対してv方向において傾斜角△vを有する。なお、図12にはw方向での傾斜がしめされていないが、当業者が容易に理解できるように、感光アセンブリ3000の軸線は第2サブレンズ部2000の中軸線に対してw方向において傾斜角を有してもよい。
【0063】
ステップ500:前記第1サブレンズ部1000と前記第2サブレンズ部2000とを接続することで、前記第1サブレンズ部1000と前記第2サブレンズ部2000との相対位置を一定に維持するとともに、前記感光アセンブリ3000と前記第2サブレンズ部2000とを接続することで、前記第2サブレンズ部2000の中軸線に対する前記感光アセンブリ3000の軸線の夾角を一定に維持する。図13は本発明の一実施例において接続後に形成された撮像モジュールを示す。
【0064】
第1サブレンズ部と第2サブレンズ部を接続するプロセスは必要に応じて選択できる。たとえば、一実施例では、粘着プロセスにより第1サブレンズ部と第2サブレンズ部が接続され、図13に示されるように、この実施例では、粘着材4000で第1サブレンズ部1000と第2サブレンズ部2000が粘着され、粘着材5000で第2サブレンズ部2000と感光アセンブリ3000が粘着される。別の実施例では、レーザー溶接プロセスにより第1サブレンズ部と第2サブレンズ部が接続される。さらなる実施例では、超音波溶接プロセスにより第1サブレンズ部と第2サブレンズ部が接続される。上記プロセスに加えて、ほかの溶接プロセスとしてもよい。なお、本発明では、用語「接続」は直接接続に制限されない。たとえば、一実施例では、第1サブレンズ部と第2サブレンズ部は、媒介物(この媒介物は剛性媒介物であってもよい)で接続され、このような媒介物を通じた接続は、第1サブレンズ部と第2サブレンズ部との間(感光アセンブリと第2サブレンズ部との間)の相対位置(相対距離および姿態を含む)を一定に維持できれば、用語「接続」に含まれる。
【0065】
上記実施例の撮像モジュールの組立方法は、撮像モジュールの解像度を向上させ、撮像モジュールを量産する場合の工程能力指数(CPK)を向上させ、光学結像レンズ部、モジュールの各素子精度およびその組み立て精度に対する要求を低減させ、光学結像レンズ部およびモジュールの全体コストを削減させ、組立過程において撮像モジュールのさまざまな収差をリアルタイムで調整することで、結像品質のばらつきを低下させ、不良率を低下させ、生産コストを低下させ、結像品質を向上させることができる。
【0066】
さらに、上記実施例では、組立過程において第1、第2サブレンズ部の相対位置を多自由度で調整することによって解像度を向上させ、第1、第2サブレンズ部の相対位置の調整に生じる結像面傾斜に対しては、感光アセンブリと第2サブレンズ部との間の相対傾斜を調整することで全体的に補償し、それによって、結像品質をよりよく向上する。第1、第2サブレンズ部の相対位置の調整には、この相対位置調整による結像面傾斜への影響を考慮しなくてもよく、組立効率も効率的に向上できる。
【0067】
さらに、一実施例では、前記ステップ400において、選択された測定視野に対して、ターゲットがペアとして設置される。たとえば、第1方向には、それぞれ中心位置の両端にある一対の第1ターゲットが設置され、第2方向には、それぞれ中心位置の両端にある一対の第2ターゲットが設置される。図14は、一実施例におけるターゲットの設置形態の例を示す。図14に示されるように、測定視野は80%視野であり、4つのターゲットはそれぞれスタンダード版の四隅に設置される。左下および右上にある2つのターゲットは、第1方向における一対の第1ターゲット、左上および右下にある2つのターゲットは、第2方向における一対の第2ターゲットとしてもよい。前記一対の第1ターゲットの解像度デフォーカス曲線の横座標軸方向でのズレベクトルに基づいて、前記光学系結像の実測結像面の第1方向における傾斜成分を識別し、前記一対の第2ターゲットの解像度デフォーカス曲線の横座標軸方向でのズレベクトルに基づいて、前記光学系結像の実測結像面の第2方向における傾斜成分を識別し、次に、前記第2サブレンズ部の軸線に対する前記感光アセンブリの軸線の夾角が変わるように前記感光アセンブリの姿態を調整し、前記在第1方向における傾斜成分と前記第2方向における傾斜成分を補償することができる。
【0068】
さらに、一実施例では、前記ステップ300は、下記サブステップを含む。
【0069】
ステップ310:前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対して調整平面に沿って移動させることで、前記光学系結像の実測解像度を対応するしきい値に向上させる。以上、x、y、z、r、v、wの6つの自由度の調整が説明されている。その中でも、x、y方向上の平行移動およびr方向での回転は、本ステップにおける調整平面に沿う移動としてもよい。本ステップでは、基準視野および測定視野に対応する複数のターゲットを設置し、次に、前記感光アセンブリが出力する画像に基づいて、各ターゲットに対応する解像度デフォーカス曲線を取得する。前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対してx、yおよびr方向において移動させ、基準視野に対応するターゲット結像の解像度デフォーカス曲線のピーク値を対応するしきい値に向上させる。基準視野としては通常中心視野が選択されるが、基準視野は中心視野に制限されず、いくつかの実施例では、ほかの視野を基準視野としてもよい。本ステップでは、前記対応するしきい値に向上させるとは、基準視野に対応するターゲット結像の解像度デフォーカス曲線のピーク値を対応するしきい値に向上させる。さらに、図8に示されるように、本発明の一実施例では、ステップ310で調整された後、第1サブレンズ部の中軸線は、第2サブレンズ部の中軸線に対してx方向において△xずれている。
【0070】
ステップ320:前記第1サブレンズ部の軸線を前記第2サブレンズ部の軸線に対して傾斜させることで、測定視野の前記光学系結像の実測解像度を対応するしきい値に向上させる。ここで、v、w方向における回転は、本ステップの傾斜調整に対応する。本ステップでは、前記対応するしきい値に向上させるとは、この測定視野に対応する前記複数のターゲット結像の解像度デフォーカス曲線のピーク値のうち最小値を対応するしきい値に向上させる。他の実施例では、前記対応するしきい値に向上させることには、この測定視野に対応する前記複数のターゲット結像の解像度デフォーカス曲線のピーク値の均一性を対応するしきい値に向上させることも含まれる。前記均一性の向上には、この測定視野に対応する前記複数のターゲット結像の解像度デフォーカス曲線のピーク値の分散を対応するしきい値に低下させることが含まれる。図15は、本発明の一実施例においてステップ320で調整された後の第1サブレンズ部と第2サブレンズ部との相対位置関係を示す。同図から明らかなように、図15には、第1サブレンズ部の中軸線は第2サブレンズ部の中軸線に対してx方向において△xずれていることに加えて、前記第2サブレンズ部の中軸線に対しても△v2傾斜している。なお、図15にはw方向における傾斜が示されていないが、当業者が容易に理解できるように、第1サブレンズ部の中軸線は前記第2サブレンズ部の中軸線に対してw方向において傾斜角を有してもよい。
【0071】
さらに、図16は、本発明の一実施例において、図15に基づいて第2サブレンズの中軸線に対する感光アセンブリの軸線の夾角をさらに調整する場合の模式図を示す。同図から明らかなように、図16には、第2サブレンズ部の中軸線に対する感光アセンブリの軸線の夾角は△v3である。図17図16に基づいて接続ステップ後に形成された撮像モジュールを示す。この実施例は、撮像モジュールの組立効率および結像品質を向上させることができる。
【0072】
さらに、別の実施例では、前記ステップ300は、前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対して前記光軸方向において移動させることで、前記光学系結像の実測結像面を目標面と整合させるステップをさらに含む。以上、x、y、z、r、v、wの6つの自由度の調整が説明されている。その中でも、z方向における移動は、本ステップにおける前記光軸方向の移動としてもよい。
【0073】
組立済みの光学レンズ部には、所望の結像面があり、本明細書では、この所望の結像面は目標面とされる。いくつかの場合には、目標面は平面である。たとえば、光学レンズ部が対応する撮像モジュールの感光素子の感光面が平面であれば、最良な結像品質が実現され、前記光学レンズ部の所望の結像面も平面であり、つまり、この場合の目標面は平面である。別の場合には、前記目標面は凸形又は凹形の曲面、又は波形の曲面であってもよい。たとえば、光学レンズ部が対応する撮像モジュールの感光素子の感光面が凸形又は凹形の曲面であれば、最良な結像品質が得られ、目標面も凸形又は凹形の曲面であり、光学レンズ部が対応する撮像モジュールの感光素子の感光面が波形の曲面であれば、目標面も波形の曲面である。
【0074】
一実施例では、前記感光素子が出力する画像に基づいて、実測結像面が目標面と整合するか否かを識別する。前記実測結像面を目標面と整合させるステップでは、前記実測結像面を目標面と整合させることには、前記感光素子が出力する画像によってモジュールの実測像面湾曲を取得して、前記モジュールの実測像面湾曲を+/-5μm範囲内にする。この実施例では、撮像モジュールの結像品質をさらに向上させる。
【0075】
さらに、一実施例では、再調整ステップを追加することで撮像モジュールの結像品質をさらに向上させることができる。この実施例では、前記ステップ300において、第1範囲内に前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対して前記調整平面に移動させ、
前記ステップ400では、実測結像面傾斜が予め設定された区間に低下できなければ、実測結像面傾斜が予め設定された区間に低下するまで、さらに再調整ステップ410を実行し、前記再調整ステップ410は、ステップ411とステップ412を含む。
【0076】
ステップ411:前記第1サブレンズ部を前記第2サブレンズ部に対して前記調整平面に沿って第2範囲内に移動させる。前記第2範囲は第1範囲より小さく、つまり、ステップ300に対しては、ステップ411において、小範囲内に調整平面において第1サブレンズ部と第2サブレンズ部との相対位置を調整し、それによって、一方、調整範囲が小さいため、ステップ300の調整により実現される実測解像度はほぼ維持でき、他方、結像面傾斜をステップ412で補償できるように、結像面傾斜の程度を低減させる。
【0077】
ステップ412:前記第2サブレンズ部に対する前記感光アセンブリの軸線の夾角を調整することで、前記感光素子により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜を対応するしきい値に減少させる。
【0078】
本発明の一実施例によれば、前述撮像モジュールの組立方法に対応する撮像モジュールをさらに提供する。図17に示されるように、この撮像モジュールは、第1鏡筒1100と少なくとも1つの第1レンズ1200を含む第1サブレンズ部1000と、第2鏡筒2100と少なくとも1つの第2レンズ2200とを含む第2サブレンズ部2000と、感光素子3300を含む感光アセンブリ3000と、を備える。
【0079】
前記第1サブレンズ部1000および前記感光アセンブリ3000は、前記第2サブレンズ部2000の光軸に配置されて、前記少なくとも1つの第1レンズ1200と前記少なくとも1つの第2レンズ2200とを含む結像可能な光学系を構成し、前記第1サブレンズ部1000および前記第2サブレンズ部2000は、第1接続媒体4000を介して固定され、前記第1サブレンズ部1000と前記第2サブレンズ部2000の相対位置は一定に維持され、前記相対位置は、前記光学系結像の実測解像度を第1しきい値に向上させ、前記第2サブレンズ部2000は、第2接続媒体5000を介して前記感光アセンブリ3000に固定され、前記第2サブレンズ部2000の中軸線と前記感光素子3000の軸線とがなす夾角は一定に維持され、前記感光素子3300により得られた前記光学系結像の実測結像面傾斜は第2しきい値に減少させるようにする。
【0080】
一実施例では、第1接続媒体は、粘着材又は溶接シート(たとえば、金属シート)であってもよい。第2接続媒体は、粘着材又は溶接シート(たとえば、金属シート)であってもよい。第1サブレンズ部と第2サブレンズ部を接続して両方を固定する第1接続媒体は、第1サブレンズ部の一部でも、第2サブレンズ部の一部でもない。第2サブレンズ部と感光アセンブリを接続して両方を固定する第2接続媒体は、第2サブレンズ部の一部でも、感光アセンブリの一部でもない。
【0081】
さらに、一実施例では、接続媒体は、前記第1接続媒体が前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部とを互いに当接させないようになされていることに適する。前記第1サブレンズ部と前記第2サブレンズ部との間には構造的隙間があり、第1サブレンズ部および第2サブレンズ部はともに光学面と構造面を有する。レンズ部では、光学面は、レンズの有効な光が通過する面である。レンズの光学面ではない面は構造面である。鏡筒にある面はいずれも構造面である。構造的隙間は構造面の間の隙間である。
【0082】
さらに、一実施例では、前記第1サブレンズ部の中軸線は前記第2サブレンズ部の中軸線に対して0~15μmずれている。
【0083】
さらに、一実施例では、前記第1サブレンズ部の中軸線は、前記第2サブレンズ部の中軸線に対して0.5度未満の傾斜角を有する。
【0084】
さらに、一実施例では、前記第2サブレンズ部の中軸線は、前記感光アセンブリの軸線に対して1度未満の傾斜角を有する。
【0085】
本明細書において、第1サブレンズ部の中軸線および第2サブレンズ部の中軸線が複数記載されている。図17に示されるように、計測し易さから、第1サブレンズ部の中軸線は、第1サブレンズ部1000の第2サブレンズ部2000に最も近い光学面1201の中軸線として理解できるし、第2サブレンズ部2000に最も近い第1レンズ1200の構造面1202により画定される中軸線として理解でき、第1サブレンズ部1000の第1レンズ1200と第1鏡筒1100が締り嵌めする場合、第1サブレンズ部1000の中軸線は、第1鏡筒の内側面1101により画定される中軸線として理解できる。
【0086】
同様に、計測し易さから、第2サブレンズ部2000の中軸線は、第2サブレンズ部2000の第1サブレンズ部1000に最も近い光学面2201の中軸線として理解してもよく、第1サブレンズ部1000に最も近い第2レンズ2200の構造面2202により画定される中軸線として理解してもよく、第2サブレンズ部2000の第2レンズ2200と第2鏡筒2100が締り嵌めする場合、第2サブレンズ部2000の中軸線は、第2鏡筒の内側面2101により画定される中軸線として理解してもよい。
【0087】
同様に、計測し易さから、感光アセンブリ3000の軸線は、この感光アセンブリ3000の筒状支持体3400の内側面の中軸線として理解できるし、この感光アセンブリ3000の入射面の法線としても理解でき、感光アセンブリ3000がフィルタを有する場合、感光アセンブリ3000の軸線はフィルタ3300の軸線として理解してもよい。
【0088】
本発明は、特にレンズ部の直径が10mm未満のスマート端末用の小型撮像モジュールに適用できる。一実施例では、前記第1サブレンズ部および前記第2サブレンズ部の外側面は、ロボットアーム(又はほかの把持装置)が接触面を介して前記第1サブレンズ部および前記第2サブレンズ部を把持し(たとえば、挟持又は吸着)、第1サブレンズ部と第2サブレンズ部との間の相対位置を正確に調整するように、いずれも十分な接触面を有する。このような正確な調整は、6つの自由度の調整であってもよい。調整刻み幅は、ミクロンオーダー以下に達する。
【0089】
さらに、一実施例では、前記第2サブレンズ部2000は、携帯電話の撮像モジュールのオートフォーカスのためにモータをさらに備えてもよい。図18は本発明の一実施例において組立済みのモータを備えたモータの未起動状態での撮像モジュールを示す。図19は、本発明の一実施例において組立済みのモータを備えたモータの起動状態での撮像モジュールを示す。この実施例では、モータは、モータベース2310、およびモータベース2310に取り付けられたモータ支持体2320を備える。前記モータ支持体2320は、前記第2鏡筒2100を取り囲んでおり、モータの駆動機構(未図示)は、このモータ支持体2320に取り付けられる。モータ支持体2320は、板ばね2330によって第2鏡筒2100に接続されている。駆動機構に通電すると、第2子鏡筒は光軸に沿って移動し、板ばね2330は変形する(図19参照)。ステップ300およびステップ400では、モータ、第2鏡筒2100および第2鏡筒2100に取り付けられた第2レンズ2200は、全体的に第2サブレンズ部2000として移動および調整を行われる。ステップ500では、モータベース2310と感光アセンブリ3000とを接続することで前記第2サブレンズ部2000と感光アセンブリ3000を接続する。さらに、ステップ300では、第1サブレンズ部と第2サブレンズ部との相対位置を調整する際に、モータを起動状態(たとえば、モータに通電することはモータが起動されると見なさせる)に維持し、それによって、取得される実測解像度はモータ起動状態での実測解像度である。ステップ400では、第2サブレンズ部の中軸線に対する感光アセンブリの傾斜角を調整する際にも、モータを起動状態に維持し、それによって、取得される実測結像面傾斜はモータ起動状態での実測結像面傾斜である。モータが起動すると、板ばねは変形する。しかしながら、モータの未起動状態に比べて、モータの起動に起因する板ばねの変形により、第2サブ鏡筒の中軸は第1サブレンズ部の中軸に対して付加的に傾斜することがある(図19における傾斜角△v4参照)。本実施例の態様では、モータの起動に起因する第2鏡筒の付加的な傾斜に対しても、ステップ300およびステップ400における調整によって補償することができ、それによって、オートフォーカス型撮像モジュールの結像品質をさらに向上する。
【0090】
以上は、本願の好適実施形態および使用される技術原理を説明するものに過ぎない。当業者が理解できるように、本願に係る発明範囲は、上記技術的特徴の特定の組み合わせからなる技術案に限定されず、前記発明構想から逸脱しない限り、上記技術的特徴又はその等同特徴を任意に組み合わせたほかの技術案をも含む。たとえば、上記特徴を、本願で開示された(制限されない)類似機能を有する技術的特徴と置き換えてなる技術案である。
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