(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】固形制御放出苛性洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/22 20060101AFI20220620BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20220620BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20220620BHJP
A47L 15/42 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
C11D3/22
C11D3/04
C11D17/06
A47L15/42 Z
(21)【出願番号】P 2020526366
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 US2018029754
(87)【国際公開番号】W WO2019099059
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-05-13
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】マックス ゲルダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マンサーグ
(72)【発明者】
【氏名】モニーク ロールディンク ランダー
(72)【発明者】
【氏名】ケイトリン ペルティア
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-517924(JP,A)
【文献】特表2010-528174(JP,A)
【文献】特表2014-507545(JP,A)
【文献】国際公開第2016/038449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00 - 19/00
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器物を洗浄するための固形制御放出組成物であって、
20重量%~95重量%の水酸化物アルカリ性源と、
カルボキシメチルセルロース(CMC)を含む、1重量%~20重量%の少なくとも1つの多糖類材料であって、25℃における1重量%~2重量%水溶液で1cps~5000cpsの粘度を有する、少なくとも1つの多糖類材料と、
活性成分洗浄剤と、を含み、
前記固形制御放出組成物が、少なくとも5サイクル持続し少なくとも50グラムの質量を有する
、単相又は多相の均質な複数回使用組成物で
あり、各相はそれぞれ均質である、組成物。
【請求項2】
前記水酸化物アルカリ性源がアルカリ金属水酸化物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの多糖類材料は、25℃における1重量%~2重量%水溶液で200cps~5000cpsの粘度を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
一つ又は複数の前記多糖類材料が、前記組成物の15重量%未満を構成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記多糖類材料が、0~3の置換の程度(D.S.)を有し、かつ/または前記多糖類材料が、200~15,000の重合度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記多糖類材料の前記D.S.が、カルボキシメチル基、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシプロピルメチル基、アセテート基、トリアセテート基、アセテート-プロピオネート基、および/またはアセテート-ブチレート基の一つ又は複数で置換されるセルロース分子のグルコース単位の数によって測定される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記多糖類材料が、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、キサンタン、およびそれらの組み合わせのうちの一つ又は複数を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記多糖類材料が、キサンタンを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
カルボキシメチルセルロース(CMC)とキサンタンとの比が、1:1~30:1である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記活性成分洗浄剤が界面活性剤である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記固形制御放出組成物が、少なくとも100グラムの質量を有する複数回使用組成物である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記固形制御放出組成物が、カプセル、錠剤、コーティング錠剤、パック、ブリック、またはブロックであり、前記固形制御放出組成物が、前記固形制御放出組成物を交換することなく、少なくとも24時間、器物洗浄を提供する複数回使用組成物である、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記水酸化物アルカリ性源が、前記固形制御放出組成物の40重量%~95重量%を構成し、前記多糖類材料が、前記固形制御放出組成物の1重量%~15重量%を構成し、前記活性成分洗浄剤が、前記固形制御放出組成物の0.1重量%~40重量%を構成する、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記固形制御放出組成物は、0.1重量%~50重量%
の追加の機能性成分をさらに含み、前記追加の機能性成分が、消泡剤、再付着防止剤、スケール防止剤、漂白剤、溶解度調整剤、分散剤、金属保護剤、安定剤、腐食防止剤、追加の金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、閾値抑制剤、結晶調整剤、香料および/または染料、ハイドロトロープまたはカプラー、緩衝液、および溶媒のうちの一つ又は複数である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記追加の機能性成分の量は、前記固形制御放出組成物の1重量%~50重量%である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記追加の機能性成分の量は、前記固形制御放出組成物の1重量%~40重量%である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記追加の機能性成分の量は、前記固形制御放出組成物の1重量%~25重量%である、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記固形制御放出組成物が、リン酸塩を含まない、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記固形制御放出組成物が、二相固形物であり、第1の相が、前記多糖類材料、水酸化物アルカリ性源、および活性成分洗浄剤を含む前記均質な固形物であり、前記第2の相が、前記水酸化物アルカリ性源および活性成分洗浄剤を含む均質な固形物である、請求項1~
19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記第1の相および/または前記第2の相が、追加の機能性成分をさらに含む、請求項
20に記載の組成物。
【請求項22】
重量基準での前記第1の相と前記第2の相との比が、10:1~1:10である、請求項
20又は21に記載の組成物。
【請求項23】
請求項1~
22のいずれか一項に記載の固形制御放出組成物を分配する方法であって、
前記固形制御放出組成物を水源と接触させて、前記組成物の使用溶液を生成することと、
汚れを除去および/または可溶化するのに十分な時間、10.5~13のpHで器物を前記使用溶液と接触させることと、を含む、方法。
【請求項24】
自動食器洗浄環境で器物を洗浄するためのシステムであって、
20重量%~95重量%の水酸化物アルカリ性源と、カルボキシメチルセルロース(CMC)を含む、1重量%~20重量%の少なくとも1つの多糖類材料であって、25℃における1重量%~2重量%水溶液で1cps~5000cpsの粘度を有する、少なくとも1つの多糖類材料と、界面活性剤と、を含む、固形制御放出組成物を含み、
前記固形制御放出組成物が、
単一の固形制御放出組成物中に洗剤およびすすぎ助剤を提供する
、単相又は多相の均質な2-イン-1組成物であり、
各相はそれぞれ均質であり、前記固形制御放出組成物が、少なくとも5サイクル持続し少なくとも50グラムの質量を有する複数回使用組成物であり、
前記システムが、分配システムを含んでいない、システム。
【請求項25】
前記固形制御放出組成物が、カプセル、錠剤、コーティング錠、パック、ブリック、またはブロックである、請求項
24に記載のシステム。
【請求項26】
前記水酸化物アルカリ性源が、アルカリ金属水酸化物であり、前記多糖類材料が、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、キサンタン、およびそれらの組み合わせのうちの一つ又は複数を更に含み、前記活性成分が、非イオン性界面活性剤、キレート剤、および/または酵素である、請求項
24又は25に記載のシステム。
【請求項27】
前記多糖類材料が、キサンタンを更に含み、カルボキシメチルセルロース(CMC)とキサンタンとの比が、1:1~30:1である、請求項
26に記載のシステム。
【請求項28】
一つ又は複数の前記多糖類材料が、前記組成物の15重量%未満を構成する、請求項21~
27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記固形制御放出組成物が、圧縮固形物であり、前記自動食器洗浄環境が、消費者用または商業用食器洗浄機である、請求項
24~28のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条により、2017年11月14日に出願された「Slow Releasing Caustic Based Detergent」と題された 仮出願番号第62/585,825号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、食器洗浄用組成物または器物洗浄用組成物のための固形洗剤組成物および使用用途に関する。特に、例えば、従来のディスペンサー、例えば、各サイクルベースで化学物質を分配するも、または複数サイクルにわたる制御された放出速度のために、ある用途において洗浄レベルを制御するディスペンサーを必要としない、固形苛性系組成物である。代わりに、固形洗剤組成物は、洗剤組成物の徐放(slow releasing)または制御放出(controlled releasing)を提供するように配合され、これには、組成物の放出を制御するための分配システムを必要としない。いくつかの実施形態では、固形洗剤組成物は、毎日の洗剤組成物として使用することができる。
【背景技術】
【0003】
車両ケア、食品および飲料、器物洗浄、ならびに洗濯業界で使用される従来の洗剤としては、アルカリ性洗剤が挙げられる。アルカリ性洗剤、特に制度的および商業的使用を目的とした洗剤は、特定の用途で既存の無機塩および/または汚れを可溶化するために様々な活性構成成分を含むことができる。例えば、ディスペンサー内の洗剤組成物の交換および/またはディスペンサーの使用の発生を減らしながら、長期間持続し得る固形洗剤を提供するように設計された様々な分配システムおよび制御放出配合物の使用等、従来の洗剤を分配する様々な方法が公知である。
【0004】
多くの標準的使用用途および従来の使用用途では、器物の洗浄方法は、少なくとも1つの洗浄サイクルおよび少なくとも1つのすすぎサイクルを含む少なくとも1つのサイクルを有する施設用器物洗浄機または消費者用食器洗浄機の洗浄槽での器物の洗浄を含む。サイクルの前または始めに、洗剤組成物が、器物洗浄機または食器洗浄機のディスペンサーから分配される。洗剤は、典型的には、サイクルの開始前または開始時に、施設の器物洗浄機または消費者用食器洗浄機の自動ディスペンサーまたは送達デバイスに加えられる。自動ディスペンサーとは、サイクルの指定された期間中に組成物が水との接触にのみ利用できるように、水との接触に対する組成物の可用性を制御するデバイスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術分野では、設置面積の小さなキッチンおよび/または従来の固形洗剤ディスペンサーが利用できない他の場所で使用できる代替の、好ましくは制御放出洗剤組成物が必要である。したがって、制御放出洗剤組成物、すなわち、従来の固形ディスペンサーが利用できない場所で提供される固形洗剤のための組成物および方法を開発することが目的である。他の目的、利点、および特徴は、添付の図面と併せて解釈される以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本組成物、方法、およびシステムの利点は、ディスペンサーを必要とすることなく、固形制御放出アルカリ性洗剤組成物を提供できることである。実施形態では、自動ディスペンサーまたは送達デバイスが、固形組成物を分配する必要はない。苛性アルカリ性源および少なくとも1つの多糖類材料を含む均質な固形組成物が、所望の制御放出を提供することは、本組成物、方法、およびシステムの利点である。
【0007】
一実施形態では、組成物、洗浄システム、およびそれらの使用方法が提供される。複数の実施形態が開示されているが、本発明のなお他の実施形態は、例証的な実施形態を図示および説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および発明を実施するための形態は、本来は例示的であり、限定的ではないものとしてみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】施設内の器物洗浄機内に配置された固形制御放出錠剤のホルダーの例の斜視図を示す。
【
図2】組成物の実施形態による、錠剤中の多糖類材料として評価されたキサンタンガムの濃度に応じた、固形制御放出組成物の重量パーセント損失対器物洗浄サイクル数を描写する。
【
図3】組成物の実施形態による、錠剤中の多糖類材料として評価されたキサンタンガムの濃度に応じた、溶解する前に、固形制御放出組成物が利用された総器物洗浄サイクルの平均数を描写する。
【
図4】組成物の実施形態による、錠剤中の多糖類材料としてのキサンタンガムまたはカルボキシメチルセルロース(CMC)の濃度に応じた、溶解する前に、固形制御放出組成物が利用された総器物洗浄サイクルの平均数を描写する。
【
図5】錠剤中の多糖類物質として評価されたカルボキシメチルセルロース(CMC)の濃度に応じた、固形放出制御組成物の重量パーセント損失対器物洗浄サイクル数を描写する。
【
図6】組成物の実施形態による、錠剤中のカルボキシメチルセルロース(CMC)多糖類材料の置換の程度および粘度に応じた、溶解する前に、固形制御放出組成物が利用された器物洗浄サイクルの平均総数を描写する。
【
図7】組成物の実施形態による、様々な多糖類材料を含有する制御放出錠剤の器物洗浄サイクルの総数を示す。
【
図8】使用溶液の伝導率対器物洗浄サイクルの器物数として測定された、均質な単相錠剤および二相錠剤の平均錠剤分配プロファイルを示す。
【
図9】組成物、方法、およびシステムの実施形態により分配された二相錠剤の両側の画像を示す。
【0009】
本発明の様々な実施形態について、図面を参照して詳細に説明するが、いくつかの図を通して同様の参照番号は同様の部分を表す。様々な実施形態への言及は、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書で表される図は、本発明による様々な実施形態に限定するものではなく、本発明の例示的な説明のために提示される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態は、特定の固形組成物およびそれを分配することに限定するものではなく、これらは変化し得、かつ当業者によって理解される。本明細書に使用される全ての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、全ての単位、接頭辞、および記号は、そのSIによって認められた形態で示され得る。本明細書内に列挙された数値範囲は、定義された範囲内の数を含む。本開示全体を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示される。範囲形式での説明は単に便宜上および簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の全ての可能性のある部分範囲および個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0011】
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語が最初に定義される。別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の実施形態が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料が、過度の実験を伴うことなく、本発明の実施形態の実践に使用され得、好ましい材料および方法が、本明細書に記載される。本実施形態を説明し、請求する際に、以下に記載される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0012】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、現実世界において濃縮物または使用溶液の作製に使用される典型的な測定および液体取扱い手順;それらの手順における不慮の誤差;組成物の作製または方法の実行に使用される成分の作製、供給源、または純度の違い等によって生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から生じる組成物についての異なる平衡条件に起因して異なる量も包含する。「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0013】
「活性物質」または「活性物質パーセント」または「活性物質重量パーセント」または「活性物質濃度」は、本明細書において同義的に使用され、水または塩等の不活性成分を引いたパーセンテージとして表される洗浄に関与する成分の濃度を指す。
【0014】
本明細書において使用する場合、用語「アルキル」または「アルキル基」は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、環式アルキル基(または「シクロアルキル」もしくは「脂環式」もしくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル等)、ならびにアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む。別段に特定されない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用されるとき、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の一つ又は複数の炭素の一つ又は複数の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基には、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が含まれ得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、置換アルキルには、複素環式基が含まれ得る。本明細書で使用されるとき、「複素環式基」という用語は、環中の1個以上の炭素原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似の閉環構造を含む。複素環式基は、飽和でも不飽和でもよい。例示的な複素環式基としては、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
「再付着防止剤」は、洗浄されている物体上に再付着する代わりに、水中に汚れが懸濁されたままになるように補助する化合物を指す。再付着防止剤は、本組成物において、除去された汚れが洗浄されている表面上に再付着するのを減少させるのを補助するのに有用である。
【0017】
本明細書において使用する場合、「洗浄」という用語は、汚れ除去、漂白、微生物群の減少、およびそれらの任意の組み合わせを促進するか、またはそれらを助けるために使用される方法を指す。本明細書において使用する場合、「微生物(microorganism)」という用語は、あらゆる非細胞生物または単細胞(群体を含む)生物を指す。微生物は、全ての原核生物を含む。微生物は、細菌(シアノバクテリアを含む)、胞子、地衣類、菌類、原生動物、ビリノス(virinos)、ウイロイド、ウイルス、ファージ、およびいくつかの藻類を含む。本明細書において使用する場合、「微生物(microbe)」という用語は、微生物(microorganism)と同義である。本特許出願の目的のため、良好な微生物の減少は、微生物群が少なくとも約50%減少されるときに達成され、またはそれを著しく超えるものは、水による洗浄によって達成される。微生物群のより大きな減少は、より大きなレベルの保護を提供する。
【0018】
本明細書において使用される場合、用語「ポリマー」は、一般に、これらに限定されないが、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー等、ターポリマー、ならびにより高次の「x」量体を含み、それらの誘導体、組み合わせおよびブレンドをさらに含む。さらに、別段に具体的に限定されない限り、用語「ポリマー」は、これらに限定されないが、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびランダム対称、ならびにそれらの組み合わせを含む、分子の全ての可能な異性体構成を含むものとする。さらに、別段に具体的に限定されない限り、用語「ポリマー」は、分子の全ての可能な幾何学構成を含むものとする。
【0019】
本明細書において使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、その構成成分を完全に欠くか、またはその構成成分が組成物の性能に影響を及ぼさない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態では、構成成分の量は、0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態では、構成成分の量は、0.01重量%未満である。
【0020】
「しきい値剤(threshold agent)」という用語は、溶液に由来する硬水イオンの結晶化を阻害するが、その硬水イオンと特定の錯体を形成する必要がない化合物を指す。しきい値剤としては、限定されるものではないが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、オレフィン/マレイン酸コポリマー等が挙げられる。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「器物」は、食器道具および調理道具、食器、ならびにシャワー、シンク、トイレ、浴槽、天板、窓、鏡、運搬用車両、および床等の他の硬表面を指す。本明細書で使用される場合、用語「器物洗浄」は、器物の洗浄、洗浄、またはすすぎを指す。器物は、プラスチック製のアイテムも指す。本組成物で洗浄され得るプラスチックの型としては、ポリプロピレンポリマー(PP)、ポリカーボネートポリマー(PC)、メラミンホルムアルデヒド樹脂またはメラミン樹脂(メラミン)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマー(ABS)、およびポリスルホンポリマー(PS)を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。本化合物および組成物を使用して洗浄され得る他の例示的なプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリスチレンおよびポリアミドが挙げられる。
【0022】
用語「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt-%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」、およびそれらの変動は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」等は、「重量パーセント」、「重量%」等と同義であることが意図されることが理解される。
【0023】
本方法、システムおよび組成物は、本明細書に記載の構成成分および成分、ならびに本明細書に記載の他の成分を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり得る。本明細書において使用する場合、「から本質的になる」は、追加のステップ、構成成分、または成分が、特許請求される方法、システム、および組成物の基本的特徴および新規特徴を物質的に変えない場合のみ、方法、システム、および組成物が追加のステップ、構成成分、または成分を含み得ることを指す。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「構成される」は、特定のタスクを行なうか、または特定の形態に適合するように構築もしくは構成されたシステム、装置、または他の構造を説明することに留意されたい。用語「構成される」は、配列され構成される、構築され配列される、適合され構成される、および適合され、構築され、製造され、配列される等の他の類似した語句と同じ意味で使用され得る。
【0024】
固形組成物
一態様では、本開示による固形器物洗浄組成物は、アルカリ金属水酸化物源、多糖類材料、少なくとも1つの活性成分(例えば、洗浄および/またはすすぎのための界面活性剤)、および任意選択的に追加の機能性成分の均質な組成物を含む、これらからなる、かつ/または本質的にこれらからなる。
【0025】
一態様では、固形組成物は、その異なる(distinct)または別個(separate)の構成成分を含まない。固形組成物は、単一成分系または一成分系と呼ばれる。これは、被包、コーティングまたは膜、液体配合物等の構成成分の別個の投与、または構成成分(サシェ、ポーチ等)の物理的分離のための異なる区画を有することの結果として、制御放出される従来の洗剤組成物より有益であり、かつ異なり、また、制御放出速度で所望の活性をもたらすために、異なる洗剤組成物または他の組成物と組み合わせる必要がある。
【0026】
いくつかの態様では、本明細書に記載の固形組成物は、所望のサイクル数の間に送達される洗剤組成物の総濃度を上昇させるために、二相または2つ以上の固相等の多相を含むこともできる。そのような態様では、固形組成物の複数の均質な層が存在し、少なくとも1つの層は、多糖類材料、水酸化物アルカリ性源、および活性成分洗浄剤を含む。別の態様では、第1の相は、多糖類材料、水酸化物アルカリ性源、および活性成分洗浄剤を含む均質な固形物であり、第2の相も、水酸化物アルカリ性源および活性成分洗浄剤を含む均質な固形物である。各態様では、第1の相および/または第2の相は、様々な追加の機能性成分をさらに含むことができる。一態様では、重量基準での第1の相と第2の相の比は、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5、約2:1~約1:2、または約1:1であり、所望の濃度の洗浄剤を送達するように改変されている。そのような二相固形物は、複数区画の固形物および/または液体(例えば、可溶性パケットもしくはエンベロープもしくは他の被包形態)または圧縮および非圧縮配合物とは異なる。これは、2つの相の各々が、均質な固形物であり、一方の相は制御(または遅効性とも称される)放出剤(多糖類材料)を含有し、他方の相が制御放出剤(多糖類材料)を含有しないためである。
【0027】
実施形態の一態様では、固形組成物は、各サイクルにおいて固形組成物の特定の部分または量を放出するように設計されている。例示的な実施形態では、器物洗浄サイクルは、約0.5グラム/サイクルの固形組成物、約1グラム/サイクルの固形組成物、約2グラム/サイクルの固形組成物、約5グラム/サイクルの固形組成物、約6グラム/サイクルの固形組成物、または約10グラム/サイクルの固形組成物(その間の全ての範囲を含む)を放出する。したがって、当業者は、本開示から、固形組成物のサイズが、毎日実行されるサイクルの数(または他の時間の増分)に適し得ることを確認するであろう。
【0028】
一態様では、50グラムの錠剤では、固形組成物は、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクル、少なくとも8サイクル、少なくとも9サイクル、少なくとも10サイクル、少なくとも15サイクル、少なくとも20サイクル、少なくとも25サイクル、少なくとも30サイクル、少なくとも35サイクル、少なくとも40サイクル、またはそれ以上とする。当業者が確認するように、固形組成物がより多く配合されると(例えば、100グラム、250グラム、またはそれ以上)、固形組成物によって提供されるサイクル数の増加が達成され得、本組成物および方法の範囲内に含まれる。
【0029】
一態様では、100グラムの錠剤では、固形組成物は、少なくとも10サイクル、少なくとも11サイクル、少なくとも12サイクル、少なくとも13サイクル、少なくとも14サイクル、少なくとも15サイクル、少なくとも16サイクル、少なくとも17サイクル、少なくとも18サイクル、少なくとも19サイクル、少なくとも20サイクル、少なくとも25サイクル、少なくとも30サイクル、少なくとも35サイクル、少なくとも40サイクル、少なくとも50サイクル、少なくとも60サイクル、少なくとも70サイクル、少なくとも80サイクル、少なくとも90サイクル、少なくとも100サイクル、またはそれ以上とする。
【0030】
水酸化物アルカリ性源
洗剤組成物は、アルカリ性源を含む。一態様では、アルカリ性源は、アルカリ金属水酸化物などの苛性源とも称される水酸化物から選択される。好適なアルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または酸化カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。アルカリ金属水酸化物は、固体ビーズ、水溶液中へ溶解して、またはそれらの組み合わせを含む、当技術分野で既知である任意の形態で組成物に添加され得る。アルカリ金属水酸化物は、約12~100のU.S.メッシュの範囲の混合した粒子サイズを有する小球化された固体またはビーズの形態の固体として、または水性溶液として、例えば、45重量%および50重量%の溶液として市販されている。
【0031】
洗剤組成物は、有効量のアルカリ金属水酸化物アルカリ性源を含み、有効量のアルカリ性源は、約10.5~約13、または好ましくは約10.5~約約12.5のpHを有する使用組成物を提供する量と見なされるべきである。
【0032】
一態様では、組成物は、約20重量%~約95重量%のアルカリ性源、約25重量%~約90重量%のアルカリ性源、約45重量%~約90重量%のアルカリ性源、約50重量%~約90重量%のアルカリ性源、約55重量%~約85重量%のアルカリ性源、約30重量%~約75重量%のアルカリ性源、約40重量%~約75重量%のアルカリ性源、および好ましくは、約45重量%~約75重量%のアルカリ性源を含む。さらに、限定されることなく、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0033】
多糖類材料
本開示による固形器物洗浄組成物としては、所望の測定可能な粘度を有する少なくとも1つの多糖類材料が挙げられる。一態様では、多糖類材料は、多糖類セルロース系材料であり得る。一態様では、多糖類材料は、2つ以上の多糖類セルロース系材料とキサンタンガムとの組み合わせであり得る。別の態様では、多糖類材料は、キサンタンガムであり得る。さらに別の態様では、多糖類材料は、多糖類セルロース系材料(または2つ以上の多糖類セルロース系材料)とキサンタンガムとの組み合わせであり得る。
【0034】
好適なセルロース系材料の例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、硫酸セルロースエステル、酢酸セルロース、および三酢酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。セルロース系材料は、固化剤として、および制御放出剤として機能し得る。セルロース系材料は、水に溶解または拡散する活性成分の量を調節する機能も果たす。放出される活性成分の量は、組成物の構成成分を変更することにより調整される。
【0035】
固形組成物に使用するための追加の好適な多糖類材料としては、例えばキサンタンガム(またはキサンタムガム)等の天然ガムが挙げられるが、これに限定されない。
【0036】
固形組成物で使用するための追加の好適な多糖類材料としては、3つ以上の糖類単位を含む多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。好適な糖類としては、これらに限定されないが、グルコース、フルクトース、ラクツロース ガラクトース、ラフィノース、トレハロース、スクロース、マルトース、ツラノース、セロビオース、ラフィノース、メレジトース、マルトリオース、アカルボース、スタキオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、プシコース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、フコース(fucose)、フクロース、ラムノース、セドヘプロース、オクトゥース(octuse)、ノノース、エリスロース、テオース(theose)、アミロース、アミロペクチン、ペクチン、イヌリン、改変イヌリン、ジャガイモデンプン、改変ジャガイモデンプン、コーンデンプン、改変コーンデンプン、小麦デンプン、改変小麦デンプン、米デンプン、改変米デンプン、セルロース、改変セルロース、デキストリン、デキストラン、マルトデキストリン、シクロデキストリン、グリコーゲンおよびオリゴフルクトース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、直鎖スルホン化アルファ-(1,4)-連結D-グルコースポリマー、γ-シクロデキストリン、アミロース、改変イヌリン、ジャガイモデンプン、改変ジャガイモデンプン、コーンデンプン、改変コーンデンプン、小麦デンプン、改変小麦デンプン、米デンプン、および改変米デンプン等が挙げられる。
【0037】
一つ又は複数の多糖類材料を固形組成物に使用することができる。いくつかの態様では、多糖類セルロース系材料は、好ましくはキサンタンガムおよび/もしくは多糖類材料と共に、またはそれらと組み合わせて使用され得る。好適な市販のキサンタンの例としては、Ketrol(登録商標)、Kelzan(登録商標)AR、Kelzan(登録商標)D35、Kelzan(登録商標)S、Kelzan(登録商標)XZが挙げられるが、これらに限定されない。既知の有機架橋剤も使用できる。
【0038】
一実施形態では、多糖類材料の組み合わせが固形組成物に使用される。一実施形態では、少なくとも2つの多糖類材料が固形組成物に使用される。
【0039】
一実施形態では、約200~約15,000、または好ましくは約200~約3000の重合度を有する一つ又は複数の多糖類材料が、固形組成物に使用される。一実施形態では、約1~約5000cpの約1重量%水溶液粘度(25dC)、または約1~約5000cpの2重量%水溶液粘度(25dC)を有する一つ又は複数の多糖類材料が固形組成物に使用される。一実施形態では、ゼロ~約3、または好ましくは約0.5~約1.5の置換度(D.S.)を有する一つ又は複数の多糖類材料が、固形組成物に使用される。
【0040】
好ましい実施形態では、固形組成物中の一つ又は複数の多糖類材料は、洗剤組成物中の水酸化物アルカリ度の溶解速度が遅くなるか、または溶解を遅延させ(および溶解度を低下させ)、(a)約200~約15,000、または好ましくは約200~約3000の重合度、(b)約1~約5000cpの約1重量%~約2重量%水溶液粘度(25dC)、および/または(c)0~約3、または好ましくは約0.5~約1.5の置換度(D.S.)を伴う、一つ又は複数の多糖類材料を含む。
【0041】
本明細書で言及されるように、一つ又は複数の多糖類材料のD.S.は、セルロース分子の個々のグルコース単位に付着した、カルボキシメチル-、メチル-、エチル-、ヒドロキシエチル-、ヒドロキシプロピル-、ヒドロキシプロピルメチル-、アセテート-、トリアセテート-、アセテート-プロピオネート-、アセテート-ブチレート等の基の頻度を指す。さらに別の態様では、一つ又は複数の多糖類材料のD.S.は、セルロース分子の個々のグルコース単位に付着したカルボキシメチル、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシプロピルメチル、アセテート、トリアセテート、アセテート-プロピオネート、アセテート-ブチレート等の基のうちの一つ又は複数の置換を指すこともある。意外なことに、固形組成物について、本明細書に記載の一つ又は複数の多糖類材料を使用することで、固形組成物の約20重量%未満等、比較的低濃度の多糖類材料の使用により望ましい徐放特性がもたらされる。
【0042】
固形器物洗浄組成物中の一つ又は複数の多糖類材料の好適な濃度は、約1重量%~約20重量%の固形組成物であり得る。固形組成物中の一つ又は複数の多糖類材料のさらなる好適な濃度は、約1重量%~約15重量%の固形組成物であり得る。固形組成物中の一つ又は複数の多糖類材料のさらに好適な濃度は、約5重量%~約20重量%の固形組成物、または約5重量%~約15重量%の固形組成物、または約10重量%~約15重量%の固形組成物、または約5重量%~約10重量%の固形組成物であり得る。非常に高い一つ又は複数の多糖類材料含有量を有する固形組成物では、好適な量の活性成分が組成物に添加されることを防ぎ得、十分な一つ又は複数の多糖類材料を有しない組成物は、水酸化物固形組成物の所望の制御放出を提供することはない。
【0043】
水
水は、独立して、固形組成物に添加され得るか、または固形洗浄組成物に添加される水性物質中に存在している結果として、組成物中に提供され得る。例えば、固形組成物に添加される材料は、水を挙げることができるか、または水性プレミックスで調製されてもよい。典型的には、水は、固化の前に加工するために所望の粘度を提供するため、かつ所望の固化速度を提供するために、組成物中に導入される。概して、水は、加工助剤として存在し得、除去され得るか、または水和水となり得る。水は、脱イオン水、軟水、または硬水として別個に添加され得る。
【0044】
得られる固形組成物中での水の量は、固形組成物が、成形技術(プレスによる固化等)、鋳造(容器内で起こる固化)技術、または他の固化方法によって加工されるか否かに依存する。一般に、構成成分が成形技術によって加工される場合、固形制御放出組成物は、固化のために、鋳造技術と比較して、より少ない量の水を含んでもよい。水の好適な濃度としては、固形組成物の約0重量%~約20重量%が挙げられる。さらに好適な水の濃度としては、固形組成物の約1重量%~約20重量%、または約5重量%~約20重量%が挙げられる。
【0045】
活性成分
固形制御放出組成物は、少なくとも1つの活性成分をさらに含む。「活性成分」としては、水溶液等の使用溶液および/または濃縮溶液に分散または溶解したときに、特定の用途で有益な特性を提供する材料を挙げることができる。活性成分の例としては、キレート剤、酵素、界面活性剤、追加のアルカリ性源等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
組成物は、様々な実施形態のいずれかにおいて提供することができる。一実施形態では、洗剤組成物は、リン、ニトリロ三酢酸(NTA)、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を実質的に含まなくてもよく、および/または含まなくてもよい。無リンとは、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%未満、より具体的には約0.1重量%未満、さらにより具体的には約0.01重量%未満の亜リン酸を有する組成物を意味する。NTA非含有とは、組成物の総重量に基づいて約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、特に約0.01重量%未満のNTAを有する組成物を意味する。組成物がNTAを含まれない場合、この組成物は、再付着防止剤および汚れ除去剤として機能する塩素と相溶性でもある。使用溶液に希釈される場合、洗剤組成物は、約100ppm未満、特に約10ppm未満、より特に約1ppm未満のリン含有成分、NTAおよびEDTA濃度を含む。
【0047】
界面活性剤
一態様では、洗剤組成物は、任意により消泡剤を含んでもよい。好ましい態様では、消泡剤は、非イオン性界面活性剤である。好ましい態様では、消泡剤は、非イオン性アルコキシル化界面活性剤である。例示的な好適なアルコキシル化界面活性剤としては、Pluronicという名称で入手可能なもの等のエチレンオキシド/プロピレンブロックコポリマー(EO/POコポリマー)、キャップ付きEO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、キャップ付きアルコールアルコキシレート、それらの混合物等が挙げられる。
【0048】
他の消泡剤としては、ポリジメチルシロキサン中に分散されるシリカ、ポリジメチルシロキサン、およびAbil B9952の名前で入手可能であるものなどの官能化ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン化合物、脂肪アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪エステル、脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、エトキシレート、鉱物油、ポリエチレングリコールエステル、ならびにリン酸モノステアリルなどのアルキルリン酸エステル等を挙げることができる。消泡剤の考察は、Martinらの米国特許第3,048,548号、Brunelleらの米国特許第3,334,147号、およびRueらの米国特許第3,442,242号に見出すことができ、これらの開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
非イオン性界面活性剤は、概して、有機疎水性基および有機親水性基の存在によって特徴付けられ、典型的には、有機脂肪族、アルキル芳香族、またはポリオキシアルキレン疎水性化合物と、慣例的にはエチレンオキシドまたはその多水和生成物、ポリエチレングリコールである親水性アルカリ酸化物部分との縮合により生成される。具体的には、反応性水素原子を有するヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、またはアミド基を有する任意の疎水性化合物は、エチレンオキシド、もしくはその多水和添加剤、またはプロピレンオキシド等のアルコキシレンとのその混合物と縮合させて、非イオン性表面活性剤を形成することができる。任意の特定の疎水性化合物と縮合する親水性ポリオキシアルキレン部分の長さは、親水性特性と疎水性特性との間の所望の程度の均衡を有する水分散性または水溶性化合物を生成するように、容易に調節することができる。組成物において有用な非イオン性界面活性剤は、低泡性非イオン性界面活性剤である。本組成物に有用な非イオン性低泡性界面活性剤の例としては、以下のものが挙げられる。
開始剤反応性水素化合物としての、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびエチレンジアミンをベースとするブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物。開始剤の連続的なプロポキシル化およびエトキシル化から作製されるポリマー化合物の例は、BASF Corp.製のPluronic(登録商標)およびTetronic(登録商標)の商品名で市販されている。Pluronic(登録商標)は、プロピレングリコールの2個のヒドロキシル基へのプロピレンオキシドの付加によって形成される疎水性塩基とエチレンオキシドを縮合させることによって形成される二官能性(2つの反応性水素)化合物である。分子のこの疎水性部分は、1,000~4,000の分子量を有する。次いで、この疎水性物質を親水性基の間に挟み込むようにエチレンオキシドが付加され、最終的な分子の約10重量%~約80重量%を構成するように長さが制御される。Tetronic(登録商標)化合物は、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの、エチレンジアミンへの逐次付加から得られる四官能性ブロックコポリマーである。プロピレンオキシドハイドロタイプの分子量は、500~7,000の範囲であり、分子の10重量%~80重量%を構成するように、親水性物質であるエチレンオキシドが付加される。
【0050】
直鎖もしくは分岐鎖構成の、または単一もしくは二重アルキル構成物質のアルキル鎖が、8~18個の炭素原子を含有する、1モルのアルキルフェノールと、3~50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルキル基は、例えば、ジイソブチレン、ジ-アミル、ポリマー化プロピレン、イソ-オクチル、ノニル、およびジ-ノニルにより表され得る。これらの界面活性剤は、アルキルフェノールのポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリブチレンオキシド縮合物であり得る。この化学構造の市販の化合物の例は、Rhone-Poulenc製のIgepal(登録商標)、およびDow製のTriton(登録商標)の商品名で市販されている。
【0051】
6~24個の炭素原子を有する、1モルの、飽和または不飽和の、直鎖または分岐鎖アルコールと、3~50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。アルコール部分は、上述された炭素範囲内のアルコールの混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有するアルコールからなり得る。同様の市販の界面活性剤の例は、Shell Chemical Co.製のNeodol(登録商標)、およびVista Chemical Co.製のAlfonic(登録商標)の商品名で市販されている。
【0052】
8~18個の炭素原子を有する、1モルの、飽和または不飽和の、直鎖または分岐鎖カルボン酸と、6~50モルのエチレンオキシドとの縮合生成物。酸部分は、上記に定義された炭素原子範囲内の酸の混合物からなり得るか、またはこの範囲内の特定の数の炭素原子を有する酸からなり得る。この化学構造の市販の化合物の例は、Henkel Corporation製のNopalcol(登録商標)、およびLipo Chemicals,Inc製のLipopeg(登録商標)の商品名で市販されている。
【0053】
次の構造を有する化合物:
RO-(PO)0-5(EO)1-30(PO)1-30
式中、Rは、C8~18の直鎖または分岐鎖アルキル基である;EO=エチレンオキシド;PO=プロピレンオキシド。
エチレンオキシドをエチレングリコールに付加して指定の分子量の親水性物質を提供し、次いで、プロピレンオキシドを付加して分子の外側(端部)に疎水性ブロックを得ることにより改質され、本質的に反転された、(1)からの化合物。この分子の疎水性部分は、1,000~3,100の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の10重量%~80重量%を含む。これらの反転Pluronics(登録商標)は、Pluronic(登録商標)R界面活性剤の商品名でBASF Corporationにより製造されている。
【0054】
プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドをエチレンジアミンに逐次付加することにより生成されるアルコキシル化ジアミン。この分子の疎水性部分は、250~6,700の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の0.1重量%~50重量%を含む。この化学構造の市販の化合物の例は、Tetronic(商標)Surfactantsの商品名でBASF Corporationから入手可能である。
【0055】
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをエチレンジアミンに逐次付加することにより生成されるアルコキシル化ジアミン。この分子の疎水性部分は、250~6,700の分子量を有し、中心の親水性物質は、最終的な分子の0.1重量%~50重量%を含む。この化学構造の市販の化合物の例は、Tetronic R(商標)Surfactantsの商品名でBASF Corporationから入手可能である。
【0056】
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、塩化ベンジル等の疎水性小分子と、1~5個の炭素原子を含有する短鎖脂肪酸、アルコールまたはアルキルハロゲン化物と、それらの混合物との反応による発泡を低減するために、(多官能性部分の)一つ又は複数の末端ヒドロキシ基を「キャッピング」または「端部ブロッキング」することで改質された化合物。また、末端ヒドロキシ基を塩化物基に変換する塩化チオニル等の反応物質も含まれる。末端ヒドロキシ基に対するそのような修飾は、全ブロック、ブロック-ヘテリック、ヘテリック-ブロック、または全ヘテリック非イオン性物質をもたらし得る。
【0057】
本発明の組成物において有利にも使用されるポリオキシアルキレン表面活性剤は、式P\[(C3H6O)n(C2H4O)mH]xに対応し、Pは、8~18個の炭素原子を有し、かつxが、1または2の値を有するx個の反応性水素原子を含有する有機化合物の残基であり、nは、ポリオキシエチレン部分の分子量が少なくとも44となるような値を有し、mは、分子のオキシプロピレン含量が10重量%~90重量%となるような値を有する。いずれの場合においても、オキシプロピレン鎖は、任意選択で、しかし有利に、少量のエチレンオキシドを含有してもよく、オキシエチレン鎖もまた、任意選択で、しかし有利に、少量のプロピレンオキシドを含有してもよい。
【0058】
アルコキシル化アミン、または最も具体的には、アルコールアルコキシル化/アミノ化/アルコキシル化界面活性剤。これらの非イオン性界面活性剤は、少なくとも部分的に、以下の一般式:
R20--(PO)sN-(EO)tH、
R20--(PO)sN-(EO)tH(EO)tH、および
R20--N(EO)tH、
によって表すことができ、式中、R20は、8~20個、好ましくは12~14個の炭素原子のアルキル、アルケニル、もしくは他の脂肪族基、またはアルキル-アリール基であり、EOは、オキシエチレンであり、POは、オキシプロピレンであり、sは、1~20、好ましくは2~5であり、tは、1~10、好ましくは2~5であり、uは、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物の範囲の他の変形は、以下の代替式:
R20--(PO)v--N[(EO)wH][(EO)zH]
によって表すことができ、式中、R20は、上記の定義の通りであり、vは、1~20(例えば、1、2、3、または4(好ましくは2))であり、wおよびzは、独立して、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物は、商業的には、非イオン性界面活性剤としてHuntsman Chemicalsより販売されている製品ラインにより代表される。このクラスの好ましい化学薬品としては、Surfonic PEA 25アミンアルコキシレートが挙げられる。
【0059】
無泡性非イオン性界面活性剤の好適な量としては、洗浄溶液の約0.01重量%~約15重量%が挙げられる。特に好適な量としては、洗浄溶液の約0.1重量%~約12重量%または約0.5重量%~約10重量%が挙げられる。
【0060】
追加の機能性成分
洗剤組成物の構成成分は、器物洗浄用途における使用に好適である様々な機能性構成成分とさらに組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、その中に追加の機能性成分はほとんど、または全く入っていない。他の実施形態では、追加の機能性成分が、本組成物中に含まれてもよい。機能性成分は、組成物に所望の性質および機能性を付与する。本出願の目的のために、「機能性成分」という用語は、用途および/または水溶液などの濃縮溶液中に分散または溶解したときに、特定の用途において有益な特性を提供する材料を含む。機能性材料のいくつかの特定の例は、以下により詳細に考察されるが、考察される特定の材料は単に例として挙げられているだけであり、多様な他の機能性成分が使用されてもよい。例えば、以下に考察される機能性材料の多くは、洗浄、具体的には、器物洗浄用途で使用される材料に関する。しかしながら、他の実施形態は、他の用途における使用のための機能性成分を含み得る。
【0061】
他の実施形態では、組成物は、酵素、消泡剤、再付着防止剤、スケール防止剤、漂白剤、溶解度調整剤、分散剤、金属保護剤、安定剤、腐食防止剤、金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、閾値抑制剤、結晶調整剤、香料および/または染料、レオロジー調整剤または増粘剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝剤、溶媒などを含み得る。組成物は、約0重量%~約50重量%、約0.01重量%~約50重量%、約0.1重量%~約50重量%、約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約25重量%、約5重量%~約25重量%、またはt約5重量%~約20重量%の機能性成分を含み得る。
【0062】
組成物としては、これらに限定されないが、縮合リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、ホスホン酸塩、アミノカルボン酸、および/またはポリカルボン酸等、キレート剤または金属イオン封鎖剤とも呼ばれる一つ又は複数の構築剤(building agent)(例えば、ビルダー)を挙げることができる。一般に、キレート剤は、金属イオンが洗浄組成物の他の清浄性成分の作用に干渉することを防止するように、天然水中に一般的に見られる金属イオンを配位(すなわち、結合)することができる分子である。キレート剤または金属イオン封鎖剤でもあり得るビルダーの好ましい添加レベルは、約0.1重量%~約70重量%、約1重量%~約60重量%、または約1.5重量%~約50重量%である。ビルダーの追加の範囲は、約3重量%~約20重量%、約6重量%~約15重量%、約25重量%~約50重量%、および約35重量%~約45重量%を含む。
【0063】
好適なスケール防止剤、しきい値抑制剤、および分散剤の例としては、アミノカルボキシレートが挙げられる。好適なアミノカルボキシレートとしては、例えば、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、グルタミン酸N,N-二酢酸(GLDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびカルボン酸置換基を有するアミノ基を有する他の同様の酸が挙げられる。有益なことに、アミノカルボキシレートは、NTA含有化合物を実質的に含まないキレート剤を使用しながら強力な洗浄性能を提供し、洗剤組成物をより環境的に許容可能にする。NTAをほとんどまたは全く含有しない有用なアミノカルボン酸材料としては、これらに限定されないが、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、イミノジコハク酸(IDS)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、およびカルボン酸置換基と共にアミノ基を有する他の類似の酸またはそれらの塩が挙げられる。しかしながら、一実施形態では、洗剤組成物は、アミノカルボキシレートを含まない。
【0064】
縮合リン酸塩の例としては、オルトリン酸ナトリウムおよびカリウム、ピロリン酸ナトリウムおよびカリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ならびにヘキサメタリン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。縮合リン酸塩はまた、洗剤組成物中に存在する自由水を水和水として固定することによって、組成物が固化する際に限定された範囲内まで補助し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、ホスホン酸塩を含む。ホスホネートの例としては、これらに限定されるものではないが、米国特許第8,871,699号および同第9,255,242号に記載されているホスフィノコハク酸オリゴマー(PSO)、2-ホスフィノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、CH2C(OH)[PO(OH)2]2;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、N[CH2PO(OH)2]3;アミノトリ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩(ATMP)、N[CH2PO(ONa)2]3;2-ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)、HOCH2CH2N[CH2PO(OH)2]2;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、(HO)2POCH2N[CH2CH2N[CH2PO(OH)2]2]2;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩(DTPMP)、C9H(28-x)N3NaxO15P5(x=7);ヘキサメチレンジアミン(テトラメチレンホスホネート)、カリウム塩、C10H(28-x)N2KxO12P4(x=6);ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(ペンタメチレンホスホン酸)、(HO2)POCH2N[(CH2)2N[CH2PO(OH)2]2]2;モノエタノールアミンホスホネート(MEAP);ホスホン酸ジグリコールアミン(DGAP)、および亜リン酸、H3PO3が挙げられる。好ましいホスホン酸塩は、PBTC、HEDP、ATMP、およびDTPMPである。ホスホン酸塩が加えられるときに、中和反応によって発生される熱もしくはガスがほとんど存在しないか、または全く存在しないように、中和されたもしくはアルカリ性のホスホン酸塩、または混合物に加えられる前にホスホン酸塩とアルカリ源とを組み合わせたものが、好ましい。しかしながら、一実施形態では、組成物はリンを含まない。ホスホン酸塩の好適な量としては、組成物の約0重量%~約25重量%、組成物の約0.1重量%~約20重量%、または組成物の約0.5重量%~約15重量%が挙げられる。
【0065】
追加の水質調整ポリマーは、リン非含有ビルダーとも称され得る。追加の水質調整ポリマーとしては、これに限定されるものではないが、ポリカルボキシレートが挙げられ得る。ビルダーおよび/または水質調整ポリマーとして使用され得る例示的なポリカルボキシレートとしては、これらに限定されるものではないが、ポリアクリル酸ホモポリマー、ポリマレイン酸ホモポリマー、マレイン酸/オレフィンコポリマー、スルホン化コポリマーまたはターポリマー、アクリル/マレイン酸コポリマーまたはターポリマーポリメタクリル酸ホモポリマー、ポリメタクリル酸コポリマーまたはターポリマー、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド-メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル-メタクリロニトリルコポリマー、およびそれらの組み合わせ等のペンダントカルボキシレート(-CO2-)基を有するものが挙げられる。キレート剤/隔離剤のさらなる考察については、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第5巻、339~366ページおよび第23巻、319~320ページを参照されたい。これらの材料はまた、準化学量論的レベルで使用されて結晶調整剤としても機能し得る。
【0066】
酵素
固形組成物は、汚れの除去の促進、再付着の防止、さらに洗浄組成物の使用溶液中の泡の減少を提供する酵素をさらに含むことができる。酵素の目的は、典型的には汚れた表面に見られ、洗剤組成物によって取り除かれて洗浄水源に入る、でんぷんまたはタンパク質性材料などの粘着性の汚れを分解することである。酵素組成物は、基質から汚れを取り除き、基質表面上での汚れの再堆積を防ぐ。酵素は、消泡等の追加の洗浄効果および洗浄性効果をもたらす。
【0067】
洗剤組成物または洗剤使用溶液に組み込むことができる例示的な種類の酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、グルコナーゼ、ペルオキシダーゼおよび/またはそれらの混合物が挙げられる。酵素組成物は、植物、動物、細菌、真菌または酵母起源等の任意の好適な起源由来の2つ以上の酵素を使用してもよい。しかし、好ましい実施形態によれば、酵素はプロテアーゼである。本明細書で使用される場合、「プロテアーゼ」または「プロテイナーゼ」という用語は、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素を指す。
【0068】
当業者が確認するように、酵素は、特定の種類の汚れに働くように設計されている。例えば、一実施形態によれば、器物洗浄用途では、プロテアーゼ酵素は、高温の器物洗浄機において効果的であり、かつタンパク質ベースの汚れを低減するのに効果的であるため、使用してもよい。プロテアーゼ酵素は、血液、皮膚鱗屑、粘液、草、食品(例えば、卵、牛乳、ほうれん草、肉残渣、トマトソース)等のタンパク質を含む汚れを洗浄するのに特に有益である。プロテアーゼ酵素は、アミノ酸残基の巨大分子タンパク質の連結を切断することができ、使用水溶液に容易に溶解または分散する小さい断片に基質を変換する。プロテアーゼは、加水分解として公知である化学反応によって汚れを破壊する能力があるため、洗浄性酵素と呼ばれることが多い。市販のプロテアーゼ酵素の例は、以下の商品名:Esperase、Purafect、Purafect L、Purafect Ox、Everlase、Liquanase、Savinase、Prime L、ProsperaseおよびBlapで入手可能である。
【0069】
使用に好適である酵素組成物のさらなる説明は、米国特許第7,670,549号、同第7,723,281号、同第7,670,549号、同第7,553,806号、同第7,491,362号、同第6,638,902号、同第6,624,132号、および同第6,197,739号、ならびに米国特許公開第2012/0046211号、および第2004/0072714号に開示されており、その各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。加えて、参照文献「Industrial Enzymes」、Scott,D.、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版(編集者Grayson,M.およびEcKroth,D.)第9巻、173~224ページ、John Wiley&Sons、New York、1980年は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
好ましい態様では、酵素組成物は、約0.01重量%~約40重量%、約0.01重量%~約30重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、および好ましくは約0.2重量%~約1重量%の量で固形組成物中に提供される。
【0071】
実施形態
固形器物洗剤組成物の例示的な範囲を、固形洗剤組成物の重量パーセントで表1に示す。
【表1】
【0072】
固形器物洗浄組成物は、様々な製品形態で提供され得る。本明細書で説明するように、任意の好適な製品形態を使用することができる。好適な製品形態としては、カプセル、錠剤、コーティング錠剤、パック、ブリック、ブロック、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい態様では、固形制御放出組成物は、実質的に均質な組成物であり、ブロック、錠剤またはカプセルの形態であり得る。
【0073】
固形器物洗浄組成物は、例えば、少なくとも約25グラム、少なくとも約50グラム、少なくとも約100グラム、少なくとも約250グラム、少なくとも約500グラム、少なくとも約1000グラム、またはそれ以上の質量を有する固形物等、様々な製品サイズで提供することができる。固形器物洗浄組成物中の活性成分の濃度は、濃縮固形器物洗浄組成物の希釈率に応じて変化することを理解されたい。有益には、固形洗剤組成物は、使用溶液に直接分配され、濃縮された使用溶液を作り出す。
【0074】
一態様では、洗剤組成物は、好ましくは、所望の洗浄特性を有する使用溶液を提供する希釈率において固形濃縮物を水で希釈することにより、効果的な洗浄をもたらす。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈水または希釈剤と称され得、場所によって変動し得る。典型的な希釈係数は、およそ1~およそ10,000であるが、水の硬度、除去される汚れの量などの要因に依存するであろう。一実施形態において、濃縮物は、約1:10~約1:10,000の濃縮物と水との比で希釈される。具体的には、濃縮物は、約1:100~約1:5,000の濃縮物と水との比で希釈される。より具体的には、濃縮物は、約1:250~約1:2,000の間の濃縮物と水との比で希釈される。
【0075】
洗浄システム
一態様では、固形制御放出組成物およびホルダー(
図1に示すような)を備える洗浄システムであり、ホルダーは、固形組成物を保持するように構成され、かつ器物洗浄機または食器洗浄機の洗浄槽に固定されるように構成される。ホルダーは、メッシュ、バスケット、ケージ、ネットカートリッジまたはケースを備え得る。有利には、固形制御放出組成物は、従来のディスペンサーを必要としない。
図1に描写されるように、例示的なホルダー10は、器物洗浄機の洗浄槽12に配置される。洗浄槽12の一部分は、独立している。ハンガー14は、ホルダー10を器物洗浄機の支持体に固定させる。固形制御放出錠剤16は、ホルダー10内に置かれる。ホルダー10は、固形制御放出錠剤16を支持する任意の好適な形状を有することができる。例えば、ホルダー10は、底部および側面および開放頂部を有し得る。ホルダー10は、水が出入りできるように構成されている。例えば、ホルダー10は、空隙により水がホルダーに出入りできるメッシュから形成されてもよい。使用中、水は、ホルダー10に入り、固形制御放出錠剤16と接触し、活性成分の一部分が水に放出されて使用溶液を形成する。使用溶液は、ホルダー10を離れ、洗浄槽内で器物に接触する。ホルダー10は、十分な量の水が固形制御放出錠剤16と接触できるようにしながら、制御放出錠剤16を支えるように十分強い。
【0076】
ホルダーは、固形制御放出組成物に取り外し可能または取り外し不可能に取り付けることができる。一例では、ホルダーは、水と組成物の大部分との接触を可能にしつつ、固形制御放出組成物を支えるケージ、バスケット、ネット、カートリッジまたはケースである。別の例では、接着剤により、ホルダーを固形制御放出組成物に取り付けることができる。さらなる例では、制御放出組成物がホルダーの周りに成形される。ホルダーは、水を組成物の大部分に接触させ得るようにし、かつ使用溶液をホルダーから分配できるようにするために、穿孔、穴または空隙を有することができる。ホルダーは、器物洗浄機内で固形制御放出組成物を支える。例えば、接着剤により、ホルダーを器物洗浄機の内側に取り付け得る。追加的に、または代替として、ホルダーは、クリップ、フック、吸引カップ、ひも、ロープまたは他の固定デバイスによって洗浄槽の内側に取り付けられてもよい。器物洗浄機内の構造物を使用して、ホルダーを支えることもできる。例えば、固形制御放出組成物は、機械用ハウジング、または機械設計内の構造に直接固定されてもよい。さらに、固形制御放出組成物は、これらに限定されないが、インサート、ラック、バスケット、食器類、プラスチック製品、調理器具等、器物洗浄機または食器洗浄機に関連する取り外し可能な部品に直接または間接的に保持または固定することができる。
【0077】
有益なことに、固形制御放出組成物は、組成物の分配を制御するための自動ディスペンサーまたは送達デバイスを必要としない。使用のために、現在の固形制御放出組成物は、サイクルの開始前に洗浄槽に入れることができ、サイクル全体を通して水との接触に利用できる可能性がある。固形制御放出組成物は、完全なサイクルの間、洗浄槽に存在していてもよく、1サイクル以上、2サイクル以上、好ましくは1日分のサイクルで洗浄槽に存在するように配合される。現在の制御放出組成物は、水と接触したときに、固形制御放出組成物中の活性洗浄成分が溶解および分散するように配合されており、このため、固形制御放出組成物は、一つ又は複数の活性成分の分配を制御する自動ディスペンサーまたは送達デバイスを必要としない。
【0078】
固形制御放出組成物が水と混合するときに、固形制御放出組成物が、固形制御放出組成物の一つ又は複数の活性成分の水性混合物を形成する。有益なことに、活性成分は、ツーインワン洗剤およびすすぎ補助剤組成物をもたらし得る。
【0079】
使用方法および分配
固形制御放出組成物は、これらに限定されないが、施設用器物洗浄、消費者用食器洗浄、洗濯、ならびに食品用途および飲料用途、硬質表面洗浄、定置洗浄(CIP)システム、車両ケア、ヘルスケア等、産業用途および消費者用途の両方に好適であり得る。固形制御放出組成物を使用する方法も提供される。記述を容易にするために、施設用器物洗浄機で使用する場合の固形制御放出組成物について説明する。しかしながら、当業者は、組成物を消費者用食器洗浄機でも使用できることを認識するであろう。
【0080】
有益には、自動ディスペンサーまたは送達システムでは、洗浄サイクル中等のサイクルの特定の段階中に固形制御放出組成物を分配する必要がない。すなわち、固形制御放出組成物がいつサイクルに追加されるかを制御するシステムまたは機構はない。その代わりに、固形制御放出組成物は、サイクルの開始時(例えば、充填および/または洗浄サイクルの前)に器物洗浄機の洗浄槽内に直接置かれてもよく、サイクル全体にわたって存在していてもよい。固形制御放出組成物は、全サイクルを通して水と接触させるために利用可能であり得る。水と接触すると、固形制御放出組成物は部分的に溶解するか、または消失し、固形制御放出組成物の内容物が、水と混合して水性混合物または水溶液を形成する。例えば、固形制御放出組成物は、洗浄サイクルまたはすすぎサイクルからの水と接触するときに、部分的に溶解するか、または消失する。洗浄またはすすぎサイクルからの水以外の源からの水を固形制御放出組成物に適用して、組成物を部分的に溶解するかもしくは消失させてもよく、または水源の組み合わせを使用してもよい。制御放出固形物は、洗浄槽の水線の上または下に置くことができる。好ましくは、制御放出固形組成物は、洗浄槽内の水線より上に置かれる。
【0081】
使用溶液は、固形組成物を水源と接触させることにより得られる。使用溶液のpHは、十分な洗浄力特性を提供するために、固形構成成分の連続的な制御放出によりアルカリ範囲に維持される。一例では、使用溶液のpHは、約10~約13である。特に、使用溶液のpHは、約10.5~約13、または約10.5~約12.5である。使用溶液のpHが非常に高い場合、例えば13を超える場合、使用溶液のアルカリ性が非常に高いため、洗浄させる表面を攻撃するか、または損傷させる可能性がある。
【0082】
固形制御放出組成物は、複数の洗浄サイクルの間にわたって活性成分を放出できる。一例では、固形制御放出組成物は、2回以上の洗浄サイクルの期間で、好ましくは少なくとも20回の洗浄サイクル、少なくとも25回の洗浄サイクル以上の期間で、活性成分が放出されるように配合される。活性成分が分散される速度は、固形制御放出組成物の組成の調整、固形制御放出組成物のサイズの増減、水にさらされる表面積の量の変更、洗浄槽内の様々なスペースでの制御固形物放出組成物の位置付け、またはこれらに限定されないが、水温およびサイクル時間等のサイクル設定の調整によって変更され得る。例えば、多糖類材料(または多糖類材料の組み合わせ)の重量パーセントを増やすことで、活性成分が分散する速度が低下する可能性があり、交換が必要になるまでに固形制御放出組成物を使用できる洗浄サイクルの回数が増える。
【0083】
製造方法
一般に、固形制御放出組成物は、様々な固形物形成方法に従って構成成分を組み合わせて、均質な固形物を提供することによって作製できる。一例では、それらの構成成分の各々が混合され、圧縮されて、固形物の形態になる。小規模産生等の例示的な方法では、固形制御放出錠剤を1000psiで15~60秒間プレスするか、または2000psiで1分間プレスすることができる。固形制御放出組成物の商業生産は、例えば、時間および圧力によって異なり得る。代替的例では、これらの構成成分が混合され、硬化されて固形物の形態になる。固化プロセスは、形成されたか、または鋳造された組成物のサイズ、組成物の成分、および組成物の温度が挙げられるが、これらに限定されない要因に応じて、数秒から約6時間続くことがある。
【0084】
固形制御放出組成物は、バッチまたは連続混合システムを使用して形成されてもよい。例示的な実施形態では、一軸または二軸スクリュー押出機を使用して、一つ又は複数の成分を高剪断で組み合わせて、混合して、均質な混合物を形成する。いくつかの実施形態では、プロセス混合物は、形成、プレス、鋳造、押出、または他の好適な手段によって混合物から分配されてもよく、そのときに、組成物がプレスまたは硬化され、固形物形態になる。マトリックスの構造は、その硬度、融点、材料分布、結晶構造、および当該技術分野における既知の方法による他の同様の特性に従って、特徴付けられ得る。概して、方法に従って加工される固形制御放出組成物は、その質量全体を通して成分の分布に関して実質的に均質であり、かつ寸法的に安定である。本明細書で言及される通り、寸法安定性は、本明細書で概説した、評価された温度条件および時間条件、ならびに評価された大気の周囲湿度において、長さ、高さ、および/または幅(固化方法に依存して、固形洗剤組成物および/または配合物の形状を、分配用に任意の種類のカプセルまたは他の構成成分の任意の型にする)を測定したときに、3%を超える固形組成物の寸法の変化(亀裂および/または膨張による等)を指す。長さ、高さ、および/または幅の平均成長数は、寸法の変化を表す。
【0085】
「固形物」という用語は、硬化させた固形制御放出組成物が、適度な応力もしくは圧力または単なる重力下で流動することなく、その形状を実質的に保持することを意味する。固形制御放出組成物の硬度は、例えば、コンクリート等の比較的緻密質で硬い溶けた固形生成物の硬度から、硬化されたペーストとして特徴付けられる稠度にわたる範囲であり得る。それに加えて、「固形物」という用語は、固形組成物の予測される貯蔵条件および使用条件下での固形制御放出組成物の状態を指す。概して、固形制御放出組成物は、最大約100°Fおよび特に最大約120°Fの温度に曝露されるときに、固形形態のままであることになり、かつ寸法安定性を保持することが予測される。
【0086】
本明細書における全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の水準を示している。全ての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に参照により組み込まれるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0087】
本発明の実施形態は、以下の非限定的な実施例においてさらに定義される。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているが、例示のみのために与えられていることを理解されたい。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態の種々の変更および修正を行い、これを種々の用途および条件に適合させることができる。したがって、当業者には、本発明の実施形態の種々の修正は、本明細書に示され記載されたものに加えて、前述の説明から明らかであろう。そのような修正もまた、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【0088】
実施例1
多糖類材料が実施形態による水酸化物系洗剤の放出を制御する能力について、様々な固形水酸化物系洗剤組成物を評価した。この実施例では、食器洗浄機の洗浄室内に配置された水酸化物系洗剤ブロックの溶解度を減少させる能力について、キサンタンガムをSTPP含有配合物中で評価した。STPP、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレン界面活性剤、ポリカルボン酸ポリマーを含む有効成分を含む表2の配合物を評価した。
【表2】
【0089】
表2の配合物を使用して、50グラムの圧縮錠剤を作製した。各錠剤について、50gの混合物を、事前に製造した金型に添加した。粉末を金型内において1000PSIで20秒間圧縮した。錠剤を金型から取り出し、少なくとも24時間後に試験するまで室温で貯蔵した。
【0090】
2.5%および5%の増加濃度で、多糖類材料のキサンタンガムの代わりに水酸化物アルカリ度の一部を使用した市販の器物洗浄洗剤の圧縮錠剤を評価した。錠剤は、食器洗浄機において、錠剤が目に見えて溶解するまでに何サイクル要したかを調べるためにテストした。錠剤は、
図1に示すように、マシン洗浄区画の側面にある油受皿(sump)上の小さいスクリーン付きの筐体に保持させた。サイクル0で錠剤を筐体に入れ、各洗浄サイクルの間に30秒間隔で連続的に洗浄した。各錠剤のサイクル数は、錠剤が目に見えて完全に溶解し、筐体内に存在しなくなるまでに完了したサイクルの数とみなした。テスト条件は、次の通りである:
マシン:Hobart AM-15
洗浄温度:155~160°F
すすぎ温度:180~190°F
洗浄時間長:45秒
すすぎ時間長:10秒
【0091】
制御放出剤用の多糖類材料としてキサンタンガムを使用した結果を
図2および
図3に示す。
図2の結果は、サイクル当たりの重量損失のパーセント(
図2)によって測定される場合、キサンタンガムの増加に伴う固体洗剤錠剤の寿命の増加を示す。錠剤からの洗剤の制御放出は、2.5%キサンタンガムと比較して、5%の高濃度でより遅くなった。
図3は、キサンタンガム濃度を増加させるための多糖類材料としてキサンタンガムを使用する錠剤の総サイクル数を示す。5%キサンタンガムでは、錠剤の寿命が少なくとも20サイクルに増加された。
【0092】
実施例2
実施例1の組成物を、表3に示すような様々な濃度で、評価された多糖類物質としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を含有する組成物とさらに比較した。
【表3】
【0093】
キサンタンガムおよびCMCの両方が、サイクルの点で錠剤の寿命を有益に延長することが分かった。CMCを含有する表3からの配合物による結果を
図4、
図5、および
図6に示す。
図4は、CMCを含有する表3の配合物と比較して、0%、2.5%、および5%でのキサンタンの以前の試験からのデータを示す。
図5は、CMCを含有する表3の配合物による(溶解したときの)錠剤の平均変化率を示す。
【0094】
連続した洗浄サイクル後の錠剤の溶解度率も、CMCおよびキサンタンガム多糖類材料を添加して調査した。各実験で、3つの錠剤を各データ点で試験し、150℃のオーブン内で1時間完全に乾燥させた後、重量パーセント損失を記録した。結果は、CMCおよびキサンタンガムの固形配合物への添加は、各洗浄サイクル中に放出される固形物の量を減少させることによって、より長い寿命に寄与することを示す。組成物の特定の機構および/または配合物に限定されることなく、多糖類材料を有する各錠剤のおおよその溶解速度は、より低い多糖類材料含有量を有する錠剤と比較して減少する。したがって、食器洗浄機サンプ中に放出される洗剤の濃度は、錠剤配合物で使用される多糖類の含有量によって操作することができる。有益なことに、これらの結果は、本明細書に開示された組成物が、皿洗浄機のディスペンサーなしのオプションとして使用できることを確認している。
【0095】
実施例3
分子量および置換の程度が異なるNaCMCサンプルを使用して、追加の調査が実行された。NaCMCの置換の程度(D.S.)は、セルロース分子の各個々のグルコース単位に結合しているカルボキシメチル基の頻度を示す。D.S.が1.0の場合、各グルコース単位のヒドロキシル基のうちの1個がカルボキシメチル基の代わりに使用される。Sigma Aldrichから入手可能なCMC (250,000MW、D.S.0.7;250,000MW、D.S.1.2;および90,000MW, D.S.0.9)の原材料を使用して、各条件で3つの錠剤を作製した。これらの錠剤の溶解は、完全に溶解するまで食器洗浄機で観察された。
【0096】
D.S.のない対照(NaCMCが配合物に含まれていない)を、それぞれ0.7、0.9、および1.2D.S.を有するCMCを含有する組成物と比較した。NaCMCのD.S.が各錠剤の溶解速度に著しい影響を与えた。錠剤組成物中の10重量%の組み込みにおいて、0.7のD.S.を有するNaCMCは、約4サイクル持続し、これに対して、NaCMCのD.S.が0.9である場合の約16サイクル、および1.2のD.S.を有するNaCMCについては平均25サイクル持続した。さらに、NaCMCのより高いD.S.は、サンプに付加された伝導率に影響を与え、時間の経過に比べてより均一な分配率を引き起こした。より一貫した繰り返し結果を提供するために、より一貫した分配率は、特に食器洗浄機用途での分配用途に理想的である。
【0097】
実施例4
追加の固形苛性系洗剤組成物を、本組成物の実施形態、ならびにD.S.および粘度を変動させたそれらの溶解速度に従って評価した。表4の配合物を利用して、表5に示すように、DSを0.9~1.2に、粘度を約150cP~約1700cPに変動させて、いくつかのNaCMC多糖類材料を評価した。追加の活性成分としては、界面活性剤およびポリマー材料が挙げられる(評価されたすべての配合物においていずれも一致)。
【表4】
【表5】
【0098】
結果を
図6に示し、各円のサイズおよび標識は、CMCが配合組成物の評価された濃度で含まれるとき、50gの錠剤に由来する平均サイクル数に相関する。データは、洗剤組成物のためのCMC材料の置換の特定の程度および粘度を選択することによって、錠剤の寿命(または錠剤の寿命、およびいくつかのサイクルのために投与できる能力)を特定の用途の必要性に従って調整することができることを示す。
【0099】
実施例5
追加の多糖類およびセルロース誘導体(分岐鎖多糖類を含む)を評価した。評価された材料は、苛性対照(多糖類なし)、CMC(サンプルA、サンプルB(それぞれ表6に示す))、ヒドロキシエチルセルロース(HEC NatrosolサンプルA、CellosizeサンプルB(それぞれ表6に示す))、およびキサンタンガムを含んだ。
【表6】
【0100】
図7には、完全に溶解するまでの平均サイクル数が、2.5~10重量%の多糖類およびセルロース誘導体を有する組成物、ならびに多糖類を有しない同様の苛性アルカリ組成物について示される。示されているように、CMCおよびHECサンプルは、特に10%の多糖類材料において、著しく増加した錠剤の寿命を呈した。これは、固形洗剤組成物の制御放出を提供するのに有益であり得る。
【0101】
実施例6
実施例1~5に記載されているように、均質な制御放出錠剤の様々な最大洗剤濃度は、洗剤溶解速度によって制限される。錠剤が次の二相からなる追加の錠剤を評価した。第1の相は、一つ又は複数の多糖類材料(例えば、CMCおよび/またはキサンタン)を有する洗剤組成物で構成される制御放出部分であり、第2の相は、一つ又は複数の徐放多糖類材料を有しない洗剤組成物で構成される。これらの2つの組成物は、別々に混合され、錠剤が形成されるまで組み合わされず、2つの別個の部位を作製するために別々に添加される。
【0102】
有益なことに、二相制御放出組成物では、制御放出製品を単一の固形物形態で包装できる。この配合物によると、使用者が安全および/または分配の観点から組成物に触れるまたは接触する必要がなく、すなわち、通常の毎日の操作中に、食器洗浄機のために、空にすることおよび補充することを繰り返す必要がないことが有益である。また、二相錠剤は、長持ちするという洗剤錠剤の有利点をもたらす。これは、一つ又は複数の多糖類を含有しない錠剤相の急速溶解に起因して、最初の数サイクルの間に放出される洗剤の量が増加し、その結果、食器洗浄操作の開始時に、食器洗浄機内で、最適化された開始洗剤濃度となるためである。洗剤の濃度は、錠剤の制御放出部分からの制御された洗剤の放出により、長期にわたって維持される。
【0103】
【0104】
図8には、単相制御放出錠剤および二相制御放出錠剤についての、器物洗浄機内での使用溶液の平均伝導率を、器物洗浄サイクルの数に対して示す。伝導率は、使用溶液中で放出される洗剤の量と直線的に相関するため、このグラフは、濃度、したがって使用溶液中の活性洗剤濃度が、急速に上昇しており、かつ単相制御放出錠剤よりも高い最大濃度に達したことを実証している。
図9は、様々なサイクルにわたる二相錠剤の溶解の画像であり、二相錠剤の両側が撮影されている(頂部:制御放出;底部:急速溶解相)。二相錠剤の両側面を撮影したものであり、片側(多糖類材料なし-「急速溶解相」)が完全に崩壊しており、制御放出部分は、4サイクル後も取り込まれたままであることを示す。
【0105】
本発明がこのように記載されていることから、本発明が多くの方法で変更され得ることは明らかであろう。このような変更は、本発明の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのこのような修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。上記明細書は、開示された組成物および方法の製造および使用の説明を提供する。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの実施形態を行うことができるため、本発明は特許請求の範囲に属する。以下の項目[1]~[24]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
器物を洗浄するための固形制御放出組成物であって、
水酸化物アルカリ性源と、
前記組成物の約20重量%未満を構成する少なくとも1つの多糖類材料と、
活性成分洗浄剤と、を含み、
前記固形物が、少なくとも50グラムの質量を有する均質な複数回使用組成物であり、いかなる遅延放出化学物質にも被包されていない、組成物。
[2]
前記水酸化物アルカリ性源がアルカリ金属水酸化物である、項目1に記載の組成物。
[3]
前記アルカリ金属水酸化物アルカリ性源が水酸化ナトリウムである、項目2に記載の組成物。
[4]
一つ又は複数の前記多糖類材料が、前記組成物の約15重量%未満を構成する、項目1~3のいずれか一項に記載の組成物。
[5]
前記多糖類材料が、低、中、または高分子量の多糖類であり、かつ/または前記多糖類材料が、約1~約5000cpsの約1重量%~約2重量%水溶液粘度(25dC)の溶液粘度を有し、かつ/または前記多糖類材料が、約0~約3の置換の程度(D.S.)を有し、かつ/または前記多糖類材料が、約200~約15,000の重合度を有する、項目1~4のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
前記多糖類材料の前記D.S.が、カルボキシメチル基、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシプロピルメチル基、アセテート基、トリアセテート基、アセテート-プロピオネート基、および/またはアセテート-ブチレート基の一つ又は複数で置換されるセルロース分子のグルコース単位の数によって測定される、項目5に記載の組成物。
[7]
前記多糖類材料が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、キサンタン、およびそれらの組み合わせのうちの一つ又は複数である、項目1~6のいずれか一項に記載の組成物。
[8]
前記多糖類材料が、キサンタンおよび/またはカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む、項目1~7のいずれか一項に記載の組成物。
[9]
カルボキシメチルセルロース(CMC)とキサンタンとの比が、約1:1~約30:1である、項目8に記載の組成物。
[10]
前記活性成分洗浄剤が界面活性剤である、項目1~9のいずれか一項に記載の組成物。
[11]
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、項目10に記載の組成物。
[12]
前記固形制御放出組成物が、少なくとも100グラムの質量を有する複数回使用組成物である、項目1~11のいずれか一項に記載の組成物。
[13]
前記固形制御放出組成物が、カプセル、錠剤、コーティング錠剤、パック、ブリック、またはブロックであり、前記固形制御放出組成物が、前記固形組成物を交換することなく、少なくとも24時間、器物洗浄を提供する複数回使用組成物である、項目1~12のいずれか一項に記載の組成物。
[14]
前記水酸化物アルカリ性源が、前記固形組成物の約40重量%~約95重量%を構成し、前記多糖類材料が、前記固形組成物の約0.01重量%~約40重量%を構成し、前記活性成分洗浄剤が、前記固形組成物の約0.1重量%~約40重量%を構成し、かつ任意選択的に、約0.1重量%~約50重量%、約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、または約1重量%~約25重量%の追加の機能性成分をさらに含み、前記追加の機能性成分が、消泡剤、再付着防止剤、スケール防止剤、漂白剤、溶解度調整剤、分散剤、金属保護剤、安定剤、腐食防止剤、追加の金属イオン封鎖剤および/またはキレート剤、閾値抑制剤、結晶調整剤、香料および/または染料、ハイドロトロープまたはカプラー、緩衝液、および溶媒のうちの一つ又は複数であり、任意選択的に、前記組成物が、リン酸塩を含まない、項目1~13のいずれか一項に記載の組成物。
[15]
前記固形組成物が、二相固形物であり、第1の相が、前記多糖類材料、水酸化物アルカリ性源、および活性成分洗浄剤を含む前記均質な固形物であり、前記第2の相が、前記水酸化物アルカリ性源および活性成分洗浄剤を含む均質な固形物である、項目1~14のいずれか一項に記載の組成物。
[16]
前記第1の相および/または前記第2の相が、追加の機能性成分をさらに含む、項目15に記載の組成物。
[17]
重量基準での前記第1の相と前記第2の相との比が、約10:1~約1:10である、項目15または16に記載の組成物。
[18]
項目1~17のいずれか一項に記載の固形制御放出組成物を分配する方法であって、
前記固形組成物を水源と接触させて、前記組成物の使用溶液を生成することと、
汚れを除去および/または可溶化するのに十分な時間、約10.5~約13のpHで器物を前記使用溶液と接触させることと、を含む、方法。
[19]
自動食器洗浄環境で器物を洗浄するためのシステムであって、
水酸化物アルカリ性源と、前記組成物の約20重量%未満を構成する少なくとも1つの多糖類材料と、界面活性剤と、を含む、固形制御放出組成物を含み、
前記固形組成物が、
単一の固形組成物中に洗剤およびすすぎ助剤を提供する均質な2-イン-1組成物であり、前記固形物が、少なくとも50グラムの質量を有する複数回使用組成物であり、前記固形物が、いかなる遅延放出化学物質にも被包されておらず、
前記システムが、分配システムを含んでいない、システム。
[20]
前記固形制御放出組成物が、カプセル、錠剤、コーティング錠、パック、ブリック、またはブロックである、項目19に記載のシステム。
[21]
前記水酸化物アルカリ性源が、アルカリ金属水酸化物であり、前記多糖類材料が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、キサンタン、およびそれらの組み合わせのうちの一つ又は複数であり、前記活性成分が、非イオン性界面活性剤、キレート剤、および/または酵素である、項目19または20に記載のシステム。
[22]
前記多糖類材料が、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびキサンタンを含み、カルボキシメチルセルロース(CMC)とキサンタンとの比が、約1:1~約30:1である、項目21に記載のシステム。
[23]
一つ又は複数の前記多糖類材料が、前記組成物の約15重量%未満を構成する、項目19~22のいずれか一項に記載のシステム。
[24]
前記固形組成物が、圧縮固形物であり、前記自動食器洗浄環境が、消費者用または商業用食器洗浄機である、項目19~23のいずれか一項に記載のシステム。