(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】排気システム
(51)【国際特許分類】
B63H 20/24 20060101AFI20220620BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20220620BHJP
【FI】
B63H20/24
F01N13/08 Z
(21)【出願番号】P 2021500731
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(86)【国際出願番号】 GB2019051923
(87)【国際公開番号】W WO2020012167
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-01-08
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519042375
【氏名又は名称】コックス パワートレイン リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ イートウェル
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】実公昭46-031286(JP,Y1)
【文献】特開平06-033753(JP,A)
【文献】特開2016-160836(JP,A)
【文献】特表2003-527525(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0822385(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/24
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の内燃機関のための排気システムであって、
前記排気システムは、
前記内燃機関の排気ガス出口に連結されるように構成された排気システム入口と、
一つ以上の排気システム出口と、
排気システム入口から前記一つ以上の排気システム出口に延びる排気ガス流路であって、前記排気システム入口から前記一つ以上の排気システム出口に向かう順流方向と、前記一つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つの排気システム出口から前記排気システム入口に延びる逆流方向とを有する排気ガス流路と、
前記逆流方向に流れる液体の流れを制限するための前記排気ガス流路の中の流れ方向変更構成であって、前記液体の第1の細流を前記液体の第2の細流に衝突させるように前記順流方向に方向変更させるように構成された、少なくとも1つの流れ方向変更機能部を有する、流れ方向変更構成とを備え、
前記排気システムは、前記排気ガス流路の前記順流方向に沿った前記排気システム入口の下流側にある入口導管を備え、前記少なくとも1つの流れ方向変更機能部は、前記入口導管内において少なくとも1つの導管流れ方向変更機能部を備える、排気システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流れ方向変更機能部は、前記液体の流れを前記第1の細流と前記第2の細流に分割するように構成される、請求項1に記載の排気システム。
【請求項3】
前記流れ方向変更構成は、前記排気システム内で静止している、請求項1又は2に記載の排気システム。
【請求項4】
前記排気システムは、前記排気ガス流路内に配置されたチャンバを備え、前記少なくとも1つの流れ方向変更機能部が、前記チャンバ内に位置決めされた少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部は、前記液体の流れを前記第1の細流と前記第2の細流に分割するように構成された第1のチャンババッフル部材を備える、請求項4に記載の排気システム。
【請求項6】
前記第1のチャンババッフル部材はバッフルプレートである、請求項5に記載の排気システム。
【請求項7】
前記第1のチャンババッフル部材が、前記第1の細流を前記第1のチャンババッフル部材の第1の側に方向付けかつ前記第2の細流を前記第1のチャンババッフル部材の第2の側に方向付けるように構成される、請求項5又は6に記載の排気システム。
【請求項8】
前記第1のチャンババッフル部材は、前記第1の細流を、前記第1の側に沿って前記バッフル部材を通過させるように案内し、前記第2の細流を、前記バッフル部材から離れるように、前記バッフル部材への接近時に前記液体の流れ方向に対して横方向に方向付けるように構成される、請求項7に記載の排気システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部は、前記チャンバの第1の表面によって画定される凹み領域をさらに有し、前記第1のチャンババッフル部材は、前記第1の細流を前記凹み領域に案内するように構成され、前記凹み領域は、前記第1の細流を前
記第2の細流に向かって戻して衝突させるように方向付けるように構成される、請求項7又は8に記載の排気システム。
【請求項10】
前記チャンバは、排気システム入口に接続されることによって排気ガス入口開口を画定する第1の表面を有し、前記第1のチャンババッフル部材は、前記第1の細流を前記第1の側に沿って前記排気ガス入口開口から離れるように案内するように構成される、請求項7に記載の排気システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部は、前記排気ガス入口開口に隣接しかつ前記第1の表面から離れて延在する、第2のチャンババッフル部材を備える、請求項10に記載の排気システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部は、前記逆流方向に流れる液体を前記排気システム入口から離れるように方向変更するように構成された第3のチャンババッフル部材をさらに備える、請求項5~11のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項13】
前記チャンバが、その中に排気ガス出口開口を画定する第2の表面を備え、前記第3のチャンババッフル部材が、前記排気ガス出口開口に隣接しかつ前記第2の表面から離れて延在する、請求項12に記載の排気システム。
【請求項14】
前記排気ガス入口開口を通る軸線方向の流れ方向は、排気ガス出口開口を通る軸線方向の流れ方向からオフセットされている、請求項10に記載の排気システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの導管流れ方向変更機能部は、前記入口導管の内壁上に形成された導管流れ方向変更機能部を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項16】
前記導管流れ方向変更機能部は、前記入口導管の前記内壁から離れて延在する複数の突起部の配列を有する、請求項15に記載の排気システム。
【請求項17】
前記複数の突起部の配列は、前記入口導管の前記内壁から順流方向に離れて延在する、請求項16に記載の排気システム。
【請求項18】
前記複数の突起部の配列は、前記入口導管の対向する複数の内壁上に設けられる、請求項16又は17に記載の排気システム。
【請求項19】
前記複数の突起部の配列は、前記入口導管の前記内壁の全長にわたって延在する、請求項16~18のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項20】
前記導管流れ方向変更機能部は、前記入口導管の内壁の複数の凹部の配列を有する、請求項15~19のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項21】
前記複数の凹部の配列は、前記入口導管の対向する複数の内壁に設けられる、請求項20に記載の排気システム。
【請求項22】
前記複数の凹部の配列は、前記入口導管の前記内壁の全長にわたって延在する、請求項20又は21に記載の排気システム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの導管流れ方向変更機能部は、前記入口導管内に設けられた少なくとも1つの入口導管バッフルプレートを備える、請求項1~22のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項24】
前記入口導管は、前記排気システム内に取り外し可能に取り付けられる、請求項1~23のいずれか一項に記載の排気システム。
【請求項25】
船舶用モータアセンブリであって、前記船舶用モータアセンブリは、排気ガス出口を画定する船舶用エンジンと、請求項1~24のいずれかに記載の排気システムとを備え、前記排気システム入口が前記船舶用エンジンの前記排気ガス出口に連結されている、船舶用モータアセンブリ。
【請求項26】
請求項25に記載の船舶用モータアセンブリを備える船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の排気システム、及び/又は、船舶のモータアセンブリ、及び/又は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶を推進するために、船外機が船尾部に取り付けられることが多い。この船外機は、一般に、内燃機関を有する上側の発動機と、プロペラハブを有する下側部分と、上側部分から下側部分へ排気ガスを輸送するための排気ガス流路を画定する中間部分の3つの部分から形成される。
【0003】
このような船外機は、典型的には、その排気ガスの大部分を、下側部分のプロペラハブ出口を通して水中に排出する。追加の複数の排気ガス出口を水位線の下方及び上方の両方に設けることができ、これら出口を通して、プロペラハブを通って排出されない残りの排気ガスが出ることができる。
【0004】
船舶が静止しているとき、水位は、典型的には、エンジンの下にある。しかしながら、船舶が急激に前進運動からニュートラル又は後進運動に移るとき、船舶の後方の後進波が船外機に急速に到達しえ、これにより、船外機内の水位、具体的には船外機の中央部分内の水位が上昇する。このような水位の上昇は、外因からの波が船外機に到着した場合や、静止している船舶が急激に急速に逆転した場合にも起こりうる。この中間部分内の水位の上昇で、いくつかの問題を引き起こす可能性がある。一方、排気流路で作り出される急激な背圧によって、内燃機関が失速することがある。上記の現象で、潜在的に内燃機関の中に水が侵入する可能性もある。船舶用エンジンの排気出口に侵入する水の記載された現象は、船内の船舶用エンジンにも同様に当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に関連する1つ以上の課題を克服又は少なくとも緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、船舶の燃焼機関のための排気システムであって、前記排気システムは、前記船舶の燃焼機関の排気ガス出口に連結されるように構成された排気システム入口と、一つ以上の排気システム出口と、前記排気システム入口から前記一つ以上の排気システム出口に延びる排気ガス流路とを備え、排気ガス流路は、前記排気システム入口から前記一つ以上の排気システム出口に向かう順流方向と、前記一つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つの出口から前記排気システム入口に延びる逆流方向と、前記逆流方向に流れる液体の流れを制限するための前記排気ガス流路内の流れ方向変更構成とを備え、前記流れ方向変更構成は、前記液体の第1の細流を前記順流方向に方向変更させて液体の第2の細流に衝突させるように構成された少なくとも1つの流れ方向変更機能部を備える、排気システムが提供される。
【0007】
有利には、逆流方向に沿って流れる液体を制限及び方向変更することで、この液体が排気システム入口から流出し、内燃機関に流入する可能性を減少させる。これにより、内燃機関の失速の可能性を減少させるように働き、及び/又は、液体の内燃機関内への流入による内燃機関の損傷が発生する可能性を減少させる。
【0008】
排気システムは、逆流方向に排気システムに入る液体を、一つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つに向かって方向変更させるように構成される。
【0009】
有利には、これは、1つ以上の出口を介して排気システムに流れる液体のためのより曲がりくねった経路を作り出し、液体の流れをこの1つ以上の出口に向かって逆流させるように方向変更させる。これにより、さらに、液体が1つ以上の出口から内燃機関内に流れる可能性を最小化する。
【0010】
排気システムは、排気システム内を逆流方向に流れる液体を複数の細流に分割し、この複数の細流のうちの少なくとも1つの細流を複数の細流のうちの少なくとも1つの他の細流に向かって戻すように方向付けるように構成することができる。少なくとも1つの流れ方向変更機能部は、液体の流れを第1の細流と第2の細流に分割するように構成されうる。
【0011】
液体の流れを複数の細流に分割し、次いで、該細流を衝突させることで、逆流方向に流れる液体の中で乱流を生じさせ、これにより、流入する逆流のエネルギーを消散させる。
【0012】
流れ方向変更構成は、排気システム内で静止しているものでよい。静止した流れ方向変更構成を提供することは、排気システムが、可動部品を組み込むことなく、逆流方向に流れる液体の流れを順流方向に方向変更させることができる、すなわち、標準的な逆流防止弁が排気システムに不要であるということを意味する。
【0013】
チャンバが排気ガス流路内に配置されうる。少なくとも1つの流れ方向変更機能部は、チャンバ内に位置する少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部を有しうる。少なくとも1つの流れ方向変更機能部は、逆流方向に流れる液体を、1つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つに向かって方向変更するように構成される。
【0014】
有利には、これは、チャンバを通って排気システム入口に向かって流れる(すなわち、排気流路に沿って逆流方向に流れる)液体のためのより曲がりくねった経路を作り出し、したがって、逆流方向に流れる液体が排気システム入口と内燃機関のチャンバ内に流れる可能性を減少させる。
【0015】
少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部は、液体の流れを第1の細流と第2の細流に分割するように構成された第1のチャンババッフル部材を有しうる。
【0016】
有利には、これは、排気システム入口に向かう流路に沿ったより曲がりくねった経路を作り出し、液体が排気システムから内燃機関内に流入する可能性を減少させる。
【0017】
第1のチャンババッフル部材は、バッフルプレートとしうる。
【0018】
第1のチャンババッフル部材は、液体の流れの第1の細流をバッフル部材の第1の側に方向付け、液体の流れの第2の細流をバッフル部材の第2の側に方向付けるように構成されうる。
【0019】
第1のチャンババッフル部材は、液体の流れの第1の細流を第1の側に沿って案内してバッフル部材を通過させ、液体の流れの第2の細流をバッフル部材から離れるように方向付けるように構成されうる。チャンババッフル部材は、液体の流れの第2の細流をバッフル部材から離れ、バッフル部材への接近時の液体の流れ方向に対して実質的に横方向に方向付けるように構成されうる。
【0020】
少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部は、チャンバの第1の表面によって画定される凹み領域をさらに有しうる。第1のチャンババッフル部材は、第1の細流を凹み領域に案内するように構成されてもよく、凹み領域は、第1の細流を第2の細流に向かって戻してそれに衝突させるように方向付けるように構成される。
【0021】
チャンバは、排気ガス入口開口と排気ガス出口開口とを有してもよく、排気ガス入口開口を通る軸線方向の流れ方向は、排気ガス出口開口を通る軸線方向の流れ方向からオフセットされている。当該実施形態において、第1のチャンババッフル部材は、好ましくは、排気ガス出口開口を通る軸線方向の流れ方向と整列され、排気ガス入口開口を通る軸線方向の流れ方向からオフセットされる。このようにして、第1のチャンババッフル部材は、逆流方向に流れる液体の流れとより容易に相互作用することができつつ排気ガスの順方向の流れに対して大きな障害を与えない。
【0022】
チャンバは、チャンバが排気システム入口に接続されることによって排気ガス入口開口を画定する第1の表面を有してもよく、第1のチャンババッフル部材は、第1の細流を第1の側に沿って排気ガス入口開口から離れるように案内するように構成される。
【0023】
少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部は、逆流方向に流れる液体を1つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つに向かって方向変更するように構成された第2のチャンババッフル部材を備えることができる。
【0024】
有利には、これは、一つ以上の排気システム出口を通って入って排気システム入口に向かって逆流方向に流れる液体のためのより曲がりくねった経路を作り出す。
【0025】
チャンバは、排気ガス入口開口を画定する第1の表面を備えうる。第2チャンババッフル部材は、排気ガス入口開口に隣接していてもよく、第1の表面から実質的に離れて延在していてもよい。
【0026】
第2チャンババッフル部材を第1の表面上に設けることは、有利には、液体が第1の表面に沿って入口開口を通って流れないようにする障壁を形成する。第2バッフル部材は、効果的に、第1のチャンバ表面上に凹み領域を形成し、凹み領域に流入する液体は、入口開口から離れるように方向変更させられる。
【0027】
少なくとも1つのチャンバ流れ方向変更機能部は、逆流方向に流れる液体を排気システム入口から離れるように方向変更するように構成された第3のチャンババッフル部材を有しうる。
【0028】
チャンバは、その中に排気ガス出口開口を画定する第2の表面を有しうる。第3のバッフル部材は、排気ガス出口開口に隣接していてもよく、第2の表面から実質的に離れて延在していてもよい。
【0029】
有利には、第3バッフル要素は、排気システムハウジングの壁と組み合わせて出口開口の周囲にチャネルを形成するように、出口開口に近接して延在する。この構成により、逆流する液体を排気システム入口から離れる方向に流す。
【0030】
排気ガス入口開口を通る軸線方向流れ方向は、排気ガス出口開口を通る軸線方向流れ方向からオフセットされうる。
【0031】
排気システムは、排気ガス流路の順流方向に沿って排気システム入口の下流側にある入口導管を備えることができる。少なくとも1つの流れ方向変更機能部は、入口導管内に少なくとも1つの導管流れ方向変更機能部を備えることができる。当該実施形態において、少なくとも1つの導管流れ方向変更機能部は、排気ガス流路に沿って逆流方向に流れる液体を1つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つに向かって方向変更するように構成することができる。
【0032】
この構成により、チャンバから入口に向かって流れる液体の曲がりくねった経路を作ることによって、排気ガス入口に向かう流れをさらに制限する。流れ方向変更構成は、排気ガス流路に沿って順流方向に流れる排気ガスに実質的に抵抗を与えないように構成することができる。排気ガスの流れを妨げる障害物がないことを保証することで、排気システム内に圧力低下/圧力差が存在する可能性を減少させる。
【0033】
少なくとも1つの導管流れ方向変更機能部は、入口導管の内壁上に形成された導管流れ方向変更機能部を備えることができる。流れ方向変更機能部を導管壁の構成要素として提供することで、導管流れ方向変更機能部の製造工程、ひいては全体として導管の製造工程を容易にする。
【0034】
導管流れ方向変更機能部は、入口導管の内壁から離れて延在する複数の突起部の配列を有しうる。複数の突起部の配列は、入口導管の内壁から順流方向に離れて延在しうる。これにより、排気ガス流路に沿った逆流方向の流れ遅延をさらに増す。
【0035】
複数の突起部の配列は、入口導管の対向する複数の内壁上に設けられうる。複数の突起部の配列は、入口導管の内面の実質的に全長にわたって延在しうる。
【0036】
導管流れ方向変更機能部は、入口導管の内壁内で複数の凹部の配列を有しうる。これにより、さらに、入口に向かう方向への液体の流れを制限する。複数の凹部の配列は、入口導管の対向する複数の内壁上に設けることができる。複数の凹部の配列は、入口導管の内面の実質的に全長にわたって延在しうる。
【0037】
少なくとも1つの導管流れ方向変更機能部は、入口導管内に設けられた少なくとも1つの入口導管バッフルプレートを備えることができる。
【0038】
入口導管は、排気システム内に取り外し可能に取り付けられうる。有利には、この構成により、入口導管を修理及び/又は交換のために取り外すことができる。加えて、それにより、入口導管を、異なる材料から排気システムハウジングの残りの部分まで形成することが可能となる。
【0039】
本発明の第2の態様によれば、船舶用のモータアセンブリであって、該モータアセンブリは、排気ガス出口を画定する船舶用エンジンと、第1の態様に係る排気システムとを備え、該排気システム入口は船舶用エンジンの排気ガス出口に連結されている、船舶用のモータアセンブリが提供される。
【0040】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様によるモータアセンブリを備える船舶が提供される。
【0041】
本出願の範囲内において、先の段落、特許請求の範囲、及び/又は、以下の説明及び図面に示された種々の態様、実施態様、実施例及び代替案、特にその個々の特徴は、独立して又は任意の組合せで理解されうることが明確に意図されている。すなわち、全ての実施例、及び/又は、任意の実施例の特徴は、そのような特徴が互換性を有していない限り、任意の方法及び/又は組合せで組み合わせることができる。出願人は、最初に特許請求されていない場合であっても、任意の他の請求項に従属するように、かつ/又は、任意の他の請求項の任意の特徴を組み込むように、最初に提出された請求項を補正する権利を留保する。
【0042】
本発明の実施の形態を添付図面を参照しつつ単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は船外機アセンブリを備える小型船舶の概略側面図である。
【
図2a】
図2aは、その傾斜位置における船外機アセンブリの模式図である。
【
図2b】
図2bは船外機アセンブリの種々の位置調整された位置及び水域内の船舶の対応する方向を示す。
【
図2c】
図2cは船外機アセンブリの種々の位置調整された位置及び水域内の船舶の対応する方向を示す。
【
図2d】
図2dは船外機アセンブリの種々の位置調整された位置及び水域内の船舶の対応する方向を示す。
【
図3】
図3は本発明の一実施形態による船外機アセンブリの概略断面を示す図である。
【
図4】
図4は
図3の船外機アセンブリの排気システムの概略断面を示す図である。
【
図5】
図5は本発明の一実施形態による排気システムの概略断面を示す図である。
【
図6】
図6は本発明の一実施形態による排気システムの概略断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
まず、
図1を参照すると、船外機2を備えた船舶1の概略側面図が示されている。船舶1は、テンダーやスキューバダイビングボートなどの船外機と共に使用するのに適した任意の種類の船舶とすることができる。
図1に示す船外機2は、船舶1の船尾部に取り付けられている。船外機2は、通常、船舶1の船体内に受け入れられている燃料タンク3に接続されている。リザーバ又はタンク3からの燃料は、燃料ライン4を介して船外機2に供給される。燃料ライン4は、燃料タンク3と船外機2との間に配置された、一括して配置された、1つ以上のフィルタと低圧ポンプと(船外機2に入る前に燃料から水蒸気を除去するための)蒸発器タンクを表しうる。
【0045】
以下にさらに詳細に説明するように、船外機2は、概して、3つの部分、すなわち、上側部分21と中間部分22と下側部分23に分割される。プロペラ8は、船外機2のギアボックスとしても知られる、下側部分23におけるプロペラシャフト9上に回転可能に配置されている。当然、作動中、プロペラ8は、少なくとも部分的に水中に沈められ、船舶1を推進させるために、様々な回転速度で作動させることができる。
【0046】
典型的には、船外機2は、ピボットピンによって船舶1の船尾部に回動可能に接続されている。このピボットピンの回りの回動によって、操作者が、公知の方法で、水平軸を中心として船外機を傾斜させて位置調整することを可能にする。さらに、当業界でよく知られているように、船外機2は、船舶1を操舵するためにほぼ直立した軸線を中心として回動可能なように、船舶1の船尾部に回動可能に取り付けられている。
【0047】
傾斜動作とは、船外機2の全体を完全に水面から出るまで十分に船外機2を上昇させる動きである。船外機の傾斜動作は、船外機2の電源を切った状態又は中立状態で行うことができる。しかしながら、いくつかの例では、船外機2は、浅い海域での動作を可能にするように、傾斜範囲での船外機2の制限された運転を可能にするように構成されうる。従って、船外機は、主に、脚の長手軸線を実質的に垂直方向にして作動させられる。したがって、船外機の脚の長手軸線と実質的に平行である、船外機のエンジンのクランク軸は、船外機の通常の作動中では、一般に垂直方向に配向されるであろうが、特定の作動条件下で、特に浅い海域で船舶上で作動させられるとき、非垂直方向に配向されうる。船外機の脚の長手軸線に実質的に平行に配向されている船外機のクランク軸は、垂直クランク軸配置と呼ぶこともできる。船外機の脚の長手軸線に対して実質的に垂直に配向された船外機のクランク軸は、水平クランク軸配置と呼ぶこともできる。
【0048】
前述したように、適切に作動させるためには、船外機2の下側部分23及びプロペラ8が水中に延びる必要がある。しかし、極端に浅い海域では、あるいは、トレーラーからボートを進水させる際に、船外機2の下側部分が下方に傾斜した位置にある場合、船外機2の下側部分23が海底で引きずられたり、ボートが傾斜したりすることがある。船外機2を傾斜させて
図2aに示す位置のように上方に傾斜した位置に傾けると、下側部分23やプロペラ8の損傷を防ぐことができる。
【0049】
対照的に、位置調整は、
図2b~
図2dの3つの例に示すように、完全に下降した位置から数度上向きに、比較的小さな範囲にわたって船外機2を移動させる機構である。位置調整は、対応する船舶1の燃費、加速、及び高速動作の最良の組合せを提供する方向にプロペラ8の推力を方向付けるのに役立つであろう。
【0050】
船舶2が平面上にある場合(すなわち、船舶の重量が、静水揚力ではなく、流体力学的揚力によって主に支持されている場合)、船首上げ構成は、抗力が比較的少なく、比較的大きな安定性及び効率をもたらす。これは、例えば
図2bに示すように、ボート又は船舶1の中心線が約3度~5度で上向き傾斜した場合に一般的に当てはまる。
【0051】
傾斜が多すぎると、
図2cに示す位置などのように、水中でボートの船首が高すぎる状態になる。この形態では、船舶1の船体が水を押しており、その結果、より多くの空気抵抗が生じるので、性能と経済性は減少する。上方への傾斜が多すぎると、プロペラが通気し、性能がさらに低下することもある。さらに厳しい場合には、船舶1が水中で跳び、操作者と乗客をボード外に投げてしまう可能性がある。
【0052】
下方に傾斜すると、船舶1の船首が下がり、立ち上がりからの加速に役立つ。
図2dに示すように、下方への傾斜が多すぎると、ボートが水中を「かきわけ(plough)」、燃費が落ちて速度が上がりにくくなる。高速では、下方への傾斜により船舶1が不安定になることさえある。
【0053】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による排気システムを有する船外機アセンブリ2の概略断面が示されている。
【0054】
船外機2は、前述した傾斜及び位置調整動作を行う傾斜及び位置調整機構7を備えている。この実施形態では、傾斜及び位置調整機構7は、電気制御システムを介して船外機2を傾斜させ位置調整するように作動させることができる流体圧アクチュエータ13を有する。あるいは、
図3に示す流体圧アクチュエータを使用するのではなく、操作者が手で船外機2を回動させる、手動の傾斜及びトリム機構を提供することも実現可能である。
【0055】
前述したように、船外機2は、概ね3つの部分に分割されている。発動機としても知られる上側部分21は、船舶1に動力を供給するための内燃機関30を有する。発動機の上側部分21又は発動機に隣接してその下方に延びている、中間部分22が設けられている。下側部分23は、中間部分22に隣接してその下側に延在し、中間部分22は、上側部分21を下側部分23に接続している。中間部分22は、内燃機関30とプロペラシャフト9との間に延びる駆動軸41を収容している。通気防止プレート11が、表面空気がプロペラ8の負圧側に吸い込まれるのを防止する。
【0056】
中間部分22及び下側部分23は排気システム24を形成し、この排気システムは、内燃機関30のエンジン出口31から下側部分23に向かって排気ガスを輸送するための排気ガス流路を規定する。
【0057】
具体的には、排気システム24は、内燃機関30のエンジン出口31に連結された排気システム入口40を有する。入口導管42が、排気ガス流路に沿って排気システム入口40のすぐ下流に延びている。導管42の下流側端部は、チャンバ入口開口45を介して排気ガス流路内に配置されたチャンバ44内に流入する。チャンバ44の下流側端部は、出口開口46を介して下側部分23と連結されている。
【0058】
例示的な実施形態では、排気ガス入口開口45を通る軸線方向の流れ方向は、排気ガス出口開口46を通る軸線方向の流れ方向からオフセットされている。例示的な図示の実施形態では、入口導管42は排気システム24内に取り外し可能に取り付けられている。これにより、入口導管42をメンテナンスのために取り外すことができ、また、入口導管42を異なる材料から排気システム24の残りの部分まで形成することができる。代替的な構成では、入口導管42は排気システム24と一体としうることが理解されるであろう。
【0059】
排気システム24は、プロペラ8を収容することに加えて、1つ以上の排気ガス出口を画定する。例示的な実施形態において、下側部分23は、プロペラ駆動軸9に隣接する第1の排気出口32を提供する。船舶1を推進するためにプロペラ8が内燃機関30によって駆動される時、プロペラ8によって生成された負圧が、中間部分22を通って第1の排気出口32に向かって排気ガスを吸引する。この構成によって、大部分の排気ガスを第1の排気出口32を通って水中で排出する。
【0060】
追加の複数の排気ガス出口を設けることもでき、これら出口は、水位線の下方及び上方の両方に設けられうる。これにより、プロペラ排気出口32を通って排出されない残りの排気ガスを船外機2から排出することができる。特に、追加の排気ガス出口を設けることにより、プロペラ8によって発生する負圧がない場合(すなわち、プロペラ8がアイドル状態の場合)に、排気ガスをより容易に船外機2から排出することができる。例示的な図示の実施形態では、第2の排気ガス出口33が中間部分22内に設けられている。
図2bに例示されているように、船舶が平面上にあるとき、第2の排気ガス出口33は、水位線の上方に位置するように配置される。
【0061】
排気ガス流路は、排気システム入口40から一つ以上の排気システム出口32、33へ延びる順流方向と、一つ以上の排気システム出口32、33の少なくとも1つから排気システム入口40へ延びる逆流方向とを画定する。
【0062】
上述したように、いくつかの例では、船外機2に当たる波によって生じる背圧により、排気ガス出口32、33を介して船外機2に水を導きうる。次に、これにより、内燃機関30へ水を導きうる。その結果、内燃機関30の失速をもたらす可能性がある。これは、過給機15が内燃機関30の下側の下流側端部により近く(すなわち、内燃機関の排気出口31に近くかつ静止している水位の近くに)位置決めされているという状況では特に問題になることがある。これらの例では、特に、排気システム24内の水の背圧及び逆流で、非常に高温の過給機を急速に冷却し、潜在的に過給機の構造的損傷を引き起こす可能性がある。このような問題を緩和又は最小化するために、排気システム24は、排気ガス流路に沿って逆流方向に流れる液体の流れを制限するように構成される。具体的には、排気システム24は、逆流方向に流れる液体の少なくとも一部を順流方向(すなわち、排気システム出口32、33のうちの少なくとも1つに向かって)に方向変更するように構成されており、これは、排気流路に沿って逆流方向に流れる液体のための曲がりくねった経路を作り出す。排気システム24は、排気システム24内を逆流方向に流れる液体を複数の細流に分割し、この複数の細流のうちの少なくとも1つの細流をこの複数の細流のうちの少なくとも1つの他の細流に向かって戻すように方向付けるように構成される。排気システムは、排気システム24内に静止している(すなわち固定している)流れ方向変更構成を有しており、排気ガス流路に沿った液体の逆流を制限/方向変更するために、標準的な(可動式の)逆流防止弁は不要である。
【0063】
図4を参照すると、排気システム24が概略的に示されている。チャンバ44には、排気ガス流路に沿って逆流方向に流れる液体を排気システム出口32、33の少なくとも1つに向かって方向変更するように構成された流れ方向変更構成が設けられている。
【0064】
チャンバ44、より具体的には、流れ方向変更構成は、排気システム入口40に向かって流れる液体の流れを制限するための第1のチャンババッフル部材48の形態のチャンバ流れ方向変更機能部を有する。
図4に図示されるように、第1のチャンババッフル部材48は、液体流の第1の細流(矢印Aで示される)をバッフル部材48の第1の側に流れさせ、液体流の第2の細流(矢印Bで示される)をバッフル部材48の第2の側に流れさせるように働く。
【0065】
例示的な図示の実施形態では、第1のチャンババッフル部材は、バッフルプレート48である。バッフルプレート48は、液体の流れAをバッフルプレート48に沿ってかつそれを通過するように案内し、液体の細流Bを、バッフルプレート48へ接近中の液体の流れ方向に対して実質的に横方向にバッフルプレート48から離れるように案内する。
【0066】
当然のことながら、代替の構成では、任意の適切な形状のバッフル部材を使用してもよく、例えば、湾曲形状、三角形、丸形などとしうる。バッフル部材48を設けることにより、いかなる可動部品も必要とせずに、チャンバ44内の液体の逆流を制限する(すなわち、この制限構成は、排気システム24に取り付けられるべき典型的な逆流防止弁を必要としない)。
【0067】
例示的な図示の実施形態では、流れ方向変更構成は、第2チャンババッフル部材50の形態の第2チャンバ流れ方向変更機能部を有する。第2チャンババッフル部材50は、排気ガス経路に沿って逆流方向に流れる液体が、一つ以上の排気システム出口32、33のうちの少なくとも1つの出口の方へ方向変更させられるように構成される。
【0068】
第2チャンババッフル部材50は、チャンバ44の第1の表面又は上側表面52から離れて(すなわち、下方に)突出する。第1の表面52は、入口開口45を有している。第2のチャンババッフル部材50は、入口導管42の下流側の延長部を画定するように、入口導管42の下流側の端部に隣接して位置決めされている。第2チャンババッフル部材50は、入口導管42と第1の表面52との間で障壁を形成し、第1の表面52に沿って入口開口45を通る液体の流れを最小化する。
【0069】
第2のチャンババッフル部材50は、矢印Aで示される液体の流れが凹み領域に流れ込むように(すなわち、入口開口45から離れるように方向変更されるように)、第1のチャンバ表面52上に凹み領域54を効果的に形成する。したがって、バッフルプレート48に沿って導かれた液体の流れは、凹み領域に案内され、この凹み領域は、逆流方向の液体の流れをさらに乱す。次いで、第2バッフル部材50は、
図4の矢印Cで示すように、液体の流れを排気ガス入口から離れる方向に案内する。従って、流体細流Cは、細流Bに向かって戻ってそれと衝突するように方向付けられる。この衝突で、液体の流れからのエネルギーの一部を消散させ、さらに逆流方向の流体流れを乱す。
【0070】
図示されていないが、凹み領域54は、実質的に曲面を画定しうる。凹状の曲面は、液体経路Aのための滑らかな流路を作り出し、その結果、経路Cに沿った液体の速度がより大きくなる。流体細流Cの速度の増大によって、細流Bと細流Cの間の衝突で失われる液体の流れのエネルギーを増す。
【0071】
例示的な図示の実施形態では、チャンバ44は、第3チャンババッフル部材56の形態のチャンバ流れ方向変更機能部も有する。第3チャンババッフル部材56は、チャンバ44の第2の表面58又は下側の表面58から離れて延在する突起として設けられる。第3チャンババッフル部材56は、出口開口46の周囲にチャネルを形成するように、第2の表面58の出口開口46に隣接して位置決めされている。液体が出口開口46を介してチャンバ44に入る時に、チャネルは逆流方向の流路に沿って流れる液体を第1のチャンババッフル部材48に向かって案内する。この構成により、液体の流れの2つの細流又はいくつかの部分への分離を促進する。
【0072】
3つの固定した又は静止したチャンババッフル部材の形態の流量制限手段を提供することで、例えば、標準的な逆流防止弁を必要としないような、いかなる可動部分も必要としない流れ方向変更構成を提供する。
【0073】
本発明の例示的実施形態が、第1のチャンババッフル部材48、第2のチャンババッフル部材50及び第3のチャンババッフル部材56を組み込むものとして説明されたが、代替的な構成では、これらのチャンババッフル部材48、50、56のうちの1つ又は2つのいずれかが設けられうることが理解されるであろう。さらなる代替の構成では、チャンババッフル部材なしでチャンバを設けうる。
【0074】
排気システム24の入口導管42には、入口導管に沿った逆流方向の液体の流れを制限し、そのような液体を一つ以上の排気システム出口32、33の内の少なくとも1つの方へ方向変更させるように構成された、導管流れ方向変更機能部が設けられている。更に、導管流れ方向変更機能部は、排気ガス流路に沿って船外機2の下側部分21に向かって流れる排気ガスに実質的に抵抗を与えないように構成されている。通常の排気ガスの流れに障害物がないことを保証することで、排気システム24内の圧力差を最小化する。
【0075】
例示的な図示の実施形態では、導管流量制限機能部は、入口導管42の内壁60上に形成された導管流れ方向変更機能部として設けられている。
【0076】
導管流れ方向変更機能部は、入口導管42の対向する複数の内壁60から離れて延在する複数の突起部62の配列の形態で設けられている。具体的には、複数の突起部62の配列は、入口導管42の内壁60から離れて実質的に順流方向に延在する。代替の構成では、複数の突起部62の配列は、入口導管42の単一の内壁60上にのみ設けられうることが理解されよう。
【0077】
例示的な図示の実施形態では、複数の突起部62の配列は、入口導管42の内面60の実質的に全長にわたって延在する。代替的な構成では、複数の突起部62の配列は、導管42の長さの一部分にわたってのみ延在することができ、又は、単一対の対向する複数の突起62のみを設けることができる。
【0078】
導管流れ方向変更機能部は、導管42内に固定されており、逆流を排気システム入口40から離れるように方向変更するように構成される。
図4の矢印Dによって図示されるように、入口導管42に沿って逆流方向に流れる液体の少なくとも一部は、複数の突起62の配列に遭遇する。これら突起部62により、液体の流れの一部を、導管42の中心に向かって、そして出口32、33に向かって、方向変更させる。方向変更された液体の流れは、複数の突起の配列を迂回した任意の液体流と衝突し、したがって、液体の流れのエネルギーを消散することが理解されよう。
【0079】
排気システム24は、チャンバ出口開口46のすぐ下流に出口導管36も有する。図示されていないが、出口導管36は、出口導管流量制限構成を備えることができる。このような流れ方向変更構成は、本明細書に記載される上記の流れ方向変更機能部のいずれか又は全てを用いて設けることができることが理解されるであろう。例えば、出口導管36は、複数の突起部の配列(入口導管42の突起部62と同様の方法で)、及び/又は、出口導管36の1つ以上の内壁上の複数の凹部の配列、及び/又は、出口導管36内に位置決めされた1つ以上のバッフルプレートを有しうる。
【0080】
次に、
図5を参照すると、本発明のさらなる実施形態による排気システム124が概略的に示されている。
図3及び4に関連して接頭辞の「1」が付いた同様な特徴について、相違点のみを説明されている。
【0081】
図5の実施形態では、チャンバ144には、第2のチャンババッフル部材が設けられず、代わりに、チャンバ144の第1の表面152が湾曲している。具体的には、第1の面152は、凹み領域154を形成するように凹状に湾曲している。湾曲した凹み領域は、凹み領域154内に流れる液体を入口開口145から離れるように方向変更する。
【0082】
加えて、図示の構成では、チャンバ144は、また、第3のチャンババッフル部材を有しない。第3チャンババッフル部材を除去しつつ逆流方向の液体流制限を減少させると、排気流路に沿って流れる排気ガスの背圧を減少させることが見出されている。
【0083】
排気システム124の入口導管142には、入口導管に沿った逆流方向の液体の流れ(すなわち、排気入口140に向かって流れる液体)を制限するように構成された流れ方向変更構成が設けられている。例示的な図示の実施形態では、流れ方向変更構成は、入口導管142の内壁160上に形成された導管流れ方向変更機能部を有する。導管流れ方向変更機能部は、入口導管142の側壁160内の複数の凹部164の配列の形態で設けられる。具体的には、複数の凹部164は、入口導管142の対向する複数の内壁160上に配列として設けられる。例示的な図示の実施形態では、複数の凹部164は、入口導管142の対向する複数の内壁160上に交互配列として設けられる。代替的な構成において、複数の凹部164の配列は、入口導管142の単一の内壁160上にのみ設けられうることが理解されよう。
【0084】
例示的な図示の実施形態では、複数の凹部164の配列は、入口導管142の内面160の実質的に全長にわたって延在する。代替の構成では、複数の凹部の配列は、導管142の長さの一部分のみにわたって延在してもよく、又は、単一の凹部164のみが設けられうる。
【0085】
導管流れ方向変更構成は、また、複数の導管バッフル部材166の配列の形態の導管流れ方向変更機能部を有する。複数の導管バッフル部材166は、導管142の長さにわたって配列状に設けられる。例示的な図示の実施形態では、導管バッフル部材166は、入口導管142の対向する複数の内壁160上に交互配列として設けられる。代替の構成では、複数のバッフル部材は、導管142の一部の上にのみ設けられてもよく、導管142の単一の内面160上にのみ設けられてもよく、又は、単一の導管バッフル部材166のみが設けられうる。
【0086】
図4に関連して説明したように、図示はしないが、出口導管136は、本明細書に記載される構成のいずれかよる、突起部、及び/又は、凹部、及び/又は、バッフルプレートの形態の導管流量制限構成を備えうることが理解されるであろう。
【0087】
次に、
図6を参照すると、本発明のさらなる実施形態による排気システム224が概略的に示されている。
図3及び4に関連して接頭辞の「2」が付いた同様な特徴について、相違点のみを説明されている。
【0088】
図5の実施形態を関して説明した方法と同様の方法で、排気システム224は、第2又は第3のチャンババッフル部材を有しない。
【0089】
チャンバ244の第1の表面252は、チャンバ244の第1の表面252内に凹み領域254を画定するように湾曲している。具体的には、第1の面252は凹状に湾曲している。凹状の曲面を設けることは、凹み領域254に流入する液体を入口開口245から離れるように案内/方向変更するように機能する。
【0090】
排気システム224の入口導管242には、入口導管に沿った逆流方向の液体の流れ(すなわち、排気入口240に向かって流れる液体)を制限するように構成された流れ方向変更構成が設けられている。例示的な図示の実施形態では、導管流れ方向変更構成は、入口導管242の内壁260上に形成された導管流れ方向変更機能部を有する。導管流れ偏向機能部は、入口導管242の側壁260内に形成された複数の凹部264の配列の形態で設けられる。
【0091】
例示的な図示の実施形態では、複数の凹部264の配列は、入口導管242の内面260の実質的に全長にわたって延在する。代替の構成では、複数の凹部264は、導管242の長さの一部分のみにわたって延在してもよく、又は、単一の凹部264のみが設けられうる。
【0092】
図4に関連して説明したように、図示はしないが、出口導管236は、本明細書に記載される構成のいずれかによる、突起部、及び/又は、凹部、及び/又は、バッフルプレートの形態の流量制限構成を設けうることが理解されるであろう。
【0093】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して上述されたが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更又は修正を行いうることが理解されよう。
【0094】
また、本発明は、以下の節に従って記載又は規定されうる。
1.船舶の燃焼機関のための排気システムであって、前記排気システムは、船舶の燃焼機関の排気ガス出口に連結されるように構成された排気システム入口と、一つ以上の排気システム出口と、を有し、前記排気システムは、前記排気システム入口から前記一つ以上の排気システム出口に延びる排気ガス流路を画定し、前記排気ガス流路は、前記排気システム入口から前記一つ以上の排気システム出口への順流方向と、前記一つ以上の排気システム出口の少なくとも1つから前記排気システム入口へ延びる逆流方向とを有し、排気システムは、液体の少なくとも一部を順流方向に方向変更させることによって、逆流方向に流れる液体の流れを制限するように構成された、少なくとも1つの流れ方向変更機能部を備える、排気システム。
2.前記排気システムは、前記排気システムに逆流方向に入る液体を、前記一つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つの方へ方向変更させるように構成される、第1節に記載の排気システム。
3.前記排気システムは、前記排気システム内を逆流方向に流れる液体を複数の細流に分割し、前記複数の細流のうちの少なくとも1つの細流を前記複数の細流のうちの少なくとも1つの他の細流に向かって戻すように方向付けるように構成される、第1節又は第2節に記載の排気システム。
4.流量制限機能部が排気システム内で静止している、第1節~第3節のいずれか一節に記載の排気システム。
5.前記排気システムは、前記排気ガス流路内に配置されたチャンバを備え、前記チャンバは、前記逆流方向に流れる液体を前記一つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つの方へ方向変更させるように構成された前記少なくとも1つの流れ方向変更機能部を備える、第1節~第4節のいずれか一節に記載の排気システム。
6.前記少なくとも1つの流れ方向変更機能部は、前記排気ガス流路に沿って逆流方向に流れる液体の流れを制限するように構成された第1のチャンババッフル部材を備える、第5節に記載の排気システム。
7.前記第1のチャンババッフル部材は、バッフルプレートである、第6節に記載の排気システム。
8.前記第1のチャンババッフル部材が、前記液体の流れの第1の部分を前記バッフルプレートの第1の側に流れさせ、前記液体の流れの第2部分を前記バッフルプレートの第2側に流れさせるように構成される、第6節又は第7節に記載の排気システム。
9.前記第1のチャンババッフル部材は、前記液体の流れの前記第1の部分が前記バッフル部材に沿ってこれを通過するように案内され、前記液体の流れの前記第2部分が、前記バッフル部材への接近時の液体の流れ方向に対して実質的に横方向に、前記バッフル部材から離れる方向に方向付けられるように構成される、第8節に記載の排気システム。
10.前記少なくとも1つの流れ方向変更機能部は、逆流方向に流れる液体を前記1つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つに向かって方向変更するように構成された第2のチャンババッフル部材を備える、第6節~第9節のいずれか一節に記載の排気システム。
11.前記チャンバが、排気ガス入口開口を画定する第1の表面を備え、前記第2のチャンババッフル部材が、前記排気ガス入口開口に隣接しかつ前記第1の表面から実質的に離れて延在する、第10節に記載の排気システム。
12.前記少なくとも1つの流れ方向変更機能部は、前記逆流方向に流れる液体を前記排気システム入口から離れるように方向変更するように構成された第3のチャンババッフル部材を備える、第6節~第11節のいずれか一節に記載の排気システム。
13.前記チャンバが、その中に排気ガス出口開口を画定する第2の表面を備え、前記第3のバッフル部材が、前記排気ガス出口開口に隣接しかつ前記第2の表面から実質的に離れて延在する、第12節に記載の排気システム。
14.前記排気ガス入口開口を通る軸線方向流れ方向は、前記排気ガス出口開口を通る軸線方向流れ方向からオフセットされる、第11節に従属する場合の第13節に記載の排気システム。
15.前記排気システムは、前記排気ガス流路の前記順流方向流れ方向に沿って前記排気システム入口の下流側にある入口導管を備え、前記入口導管は、前記排気ガス流路に沿って前記逆流方向に流れる液体が前記一つ以上の排気システム出口の少なくとも1つの方へ方向変更させられるように構成された、流量制限構成を備える、第1節~第14節のいずれか一節に記載の排気システム。
16.前記流量制限構成は、前記排気ガス流路に沿って前記順流方向に流れる排気ガスに実質的に抵抗を与えないように構成される、第15節に記載の排気システム。
17.前記流量制限構成は、前記入口導管の内壁上に形成された流れ偏向機能部を備える、第15節又は第16節に記載の排気システム。
18.前記流れ偏向機能部は、前記入口導管の前記内壁から離れて延在する複数の突起部の配列を有する、第17節に記載の排気システム。
19.前記複数の突起部の配列は、前記入口導管の前記内壁から順流方向に離れるように延在する、第18節に記載の排気システム。
20.前記複数の突起部の配列は、前記入口導管の対向する複数の内壁に設けられる、第18節又は第19節に記載の排気システム。
21.前記複数の突起部の配列は、前記入口導管の内面の実質的に全長にわたって延在する、第18節~第20節のいずれか一節に記載の排気システム。
22.前記流量制限構成は、前記入口導管の側壁において複数の凹部の配列を備える、第15節~第21節のいずれか一節に記載の排気システム。
23.前記複数の凹部の配列は、前記入口導管の対向する複数の内壁上に設けられる、第22節に記載の排気システム。
24.前記複数の凹部の配列は、前記入口導管の前記内面の実質的に全長にわたって延在する、第22節又は第23節に記載の排気システム。
25.少なくとも1つの入口導管バッフルプレートが前記入口導管内に設けられている、第15節~第24節のいずれか一節に記載の排気システム。
26.前記入口導管は、前記排気システム内に取り外し可能に取り付けられる、第15節~第25節のいずれか一節に記載の排気システム。
27.前記排気システムは、チャンバと、前記排気ガス流路の前記順流方向に沿って前記チャンバの下流側にある出口導管とを備え、前記出口導管は、前記排気ガス流路に沿って逆流方向に流れる液体が前記一つ以上の排気システム出口のうちの少なくとも1つの方へ方向変更させられるように構成された流量制限構成を備える、第1節~第26節のいずれか一節に記載の排気システム。
28.前記出口導管の流量制限構成は、前記排気ガス流路に沿って前記順流方向に流れる排気ガスに実質的に抵抗を与えないように構成される、第27節に記載の排気システム。
29.前記流量制限構成は、前記出口導管の少なくとも1つの内壁に形成された流れ偏向機能部を備える、第27節又は第28節に記載の排気システム。
30.前記流れ偏向機能部は、前記出口導管の前記内壁から離れて延在する複数の突起部の配列を有する、第29節に記載の排気システム。
31.前記複数の突起部の配列は、前記出口導管の内壁から順流方向に離れて延在する、第30節に記載の排気システム。
32.前記複数の突起部の配列は、前記出口導管の内面の実質的に全長にわたって延在する、第30節又は第31節に記載の排気システム。
33.前記流量制限構成は、前記出口導管の少なくとも1つの側壁内の複数の凹部の配列を備える、第27節~第32節のいずれか一節に記載の排気システム。
34.前記複数の凹部の配列は、前記出口導管の内面の実質的に全長にわたって延在する、第33節に記載の排気システム。
35.少なくとも1つの出口導管バッフルプレートが前記出口導管内に設けられている、第27節~第34節のいずれか一節に記載の排気システム。
36.船舶用モータアセンブリであって、モータアセンブリは、排気ガス出口を画定する船舶用エンジンと、第1節~第35節のいずれか一節に記載の排気システムとを備え、前記排気システム入口が前記船舶用エンジンの前記排気ガス出口に連結されている、船舶用モータアセンブリ。
37.第36節に記載のモータアセンブリを備える船舶。