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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-17
(45)【発行日】2022-06-27
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/042 20140101AFI20220620BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20220620BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20220620BHJP
   B03C 7/06 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
H01L31/04 500
B09B3/35 ZAB
B09B5/00 Z
B03C7/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022506970
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2022004085
【審査請求日】2022-02-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506347517
【氏名又は名称】DOWAエコシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(72)【発明者】
【氏名】森田 宜典
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮栄
(72)【発明者】
【氏名】淀瀬 達也
(72)【発明者】
【氏名】三浦 健吾
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113769895(CN,A)
【文献】特開2018-118223(JP,A)
【文献】特開2001-347189(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0095921(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/056
B09B 3/00-5/00
B03C 7/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールからフレーム部材を取り外し、フレーム除去物を得る準備工程と、
前記フレーム除去物を破砕して破砕物を得る破砕工程と、
前記破砕物を、接地金属ドラム電極を備える静電分離装置に供給し、静電分離を行う静電分離工程と、を有し、
前記太陽電池モジュールは、太陽電池セルと、前記太陽電池セルから配線される金属配線と、前記太陽電池セルおよび金属配線を封止する樹脂製の封止材と、前記封止材の一方の面に設けられる樹脂製の保護部材と、前記封止材の他方の面に設けられるガラス基板と、これらの周囲を囲むフレーム部材と、を備え、
前記破砕物は、前記フレーム除去物を構成する各部材に由来する金属粉末、セル粉末、樹脂粉末およびガラス粉末を含み、
前記静電分離工程では、前記破砕物を帯電させて、前記破砕物に含まれる粉末を、密度および導電性に応じて、前記接地金属ドラム電極からの落下位置ごとに跳躍物、落下物および付着物に分離する、
太陽電池モジュールの処理方法。
【請求項2】
前記破砕工程では、前記破砕物の粒径を5mm以下となるように破砕する、
請求項に記載の太陽電池モジュールの処理方法。
【請求項3】
前記静電分離工程では、印加電圧を18kV以上30kV未満とする、
請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの処理方法。
【請求項4】
前記静電分離工程では、前記破砕物を、接地金属ドラム電極を備える静電分離装置に供給し、前記接地金属ドラム電極の回転数を20rpm以上60rpm以下とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの処理方法。
【請求項5】
前記静電分離工程では、前記破砕物を、接地金属ドラム電極を備える静電分離装置に供給し、前記接地金属ドラム電極からの落下位置ごとに分離した分離物に対して、静電分離を1回以上繰返す、
請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの処理方法。
【請求項6】
前記静電分離工程では、後段に行う静電分離における前記接地金属ドラム電極の回転数を前段の静電分離よりも小さくする、及び/又は、後段に行う静電分離における前記接地金属ドラム電極の印加電圧を前段の静電分離よりも大きくする、
請求項に記載の太陽電池モジュールの処理方法。
【請求項7】
前記跳躍物には前記金属粉末および前記セル粉末が含まれ、前記落下物には前記ガラス粉末が含まれ、前記付着物には前記樹脂粉末が含まれる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池発電は、太陽光というクリーンエネルギーを利用し、環境負荷が小さいことから、再生可能エネルギーとして着目されている。この太陽電池発電に使用される太陽電池モジュールは、例えば、太陽電池セルと、太陽電池セルを封止する封止材と、保護部材(いわゆるバックシート)と、太陽電池セルから配線される金属配線と、ガラス基板と、封止材の周囲に設けられるフレーム部材と、を備えて構成される。
【0003】
これまで太陽電池モジュールは、一定期間、使用された後に廃棄処分されていたが、近年、太陽電池モジュールを処理し、有価金属を回収してリサイクルすることが求められている。
【0004】
そこで、太陽電池モジュールを処理する方法として、例えば特許文献1が開示されている。特許文献1には、太陽電池モジュールのガラス基板を破砕して分離した後、その残渣物から金属と樹脂とを選別することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-192942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した処理方法では、ガラスの選別と、金属や樹脂の選別とを別々の工程で行うため、処理工程が複雑であり、多量の太陽電池モジュールを効率よく処理できないことがある。太陽電池モジュールは、フレーム部材以外には、ガラス、樹脂、金属配線(タブ線など)及びセルより構成されるものであり、資源価値の高い有価物としてタブ線及びセルを濃縮して分離することが有効である。
【0007】
本発明は、太陽電池モジュールから簡易なプロセスにより有価物を選別して濃縮する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、太陽電池モジュールからガラス基板を取り除かずにそのまま破砕し、得られる破砕物を選別することに着目した。この場合、破砕物には、金属や樹脂だけでなく、ガラスも含まれることになるが、このような破砕物を選別する際に静電分離を採用するとよいことを見出した。静電分離によれば、破砕物に含まれる金属、樹脂およびガラスを、その導電性や密度に応じてそれぞれ分離することが可能であり、ガラスを含む破砕物であっても、有価物を選別して濃縮することができる。
【0009】
以上の知見を基に創出されたのが以下の各態様である。
【0010】
本発明の第1の態様は、
太陽電池モジュールからフレーム部材を取り外し、フレーム除去物を得る準備工程と、
前記フレーム除去物を破砕して破砕物を得る破砕工程と、
前記破砕物に対して静電分離を行う静電分離工程と、を有し、
前記静電分離工程では、前記破砕物を帯電させて密度および導電性に応じて分離する、
太陽電池モジュールの処理方法である。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
前記太陽電池モジュールは、
太陽電池セルと、前記太陽電池セルから配線される金属配線と、前記太陽電池セルおよび金属配線を封止する樹脂製の封止材と、前記封止材の一方の面に設けられる樹脂製の保護部材と、前記封止材の他方の面に設けられるガラス基板と、これらの周囲を囲むフレーム部材と、を備える。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記破砕工程では、前記破砕物の粒径を5mm以下となるように破砕する。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1~第3のいずれかの態様において、
前記静電分離工程では、印加電圧を18kV以上30kV未満とする。
【0014】
本発明の第5の態様は、第1~第4のいずれかの態様において、
前記静電分離工程では、前記破砕物を、接地金属ドラム電極を備える静電分離装置に供給し、前記接地金属ドラム電極の回転数を20rpm以上60rpm以下とする。
【0015】
本発明の第6の態様は、第1~第5のいずれかの態様において、
前記静電分離工程では、前記破砕物を、接地金属ドラム電極を備える静電分離装置に供給し、前記接地金属ドラム電極からの落下位置ごとに分離した分離物に対して、静電分離を1回以上繰返す。
【0016】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、
前記静電分離工程では、後段に行う静電分離における前記接地金属ドラム電極の回転数を前段の静電分離よりも小さくする、及び/又は、後段に行う静電分離における前記接地金属ドラム電極の印加電圧を前段の静電分離よりも大きくする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、太陽電池モジュールから簡易なプロセスにより有価物を選別して濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、太陽電池モジュールの断面概略図である。
図2図2は、静電分離装置の概略構成図である。
図3図3は、第1および第2の静電分離工程を行う場合のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの処理方法ついて説明する。
【0020】
(準備工程)
まず、処理対象として、太陽電池モジュールからフレーム部材を取り外したフレーム除去物を準備する。以下、太陽電池モジュールおよびフレーム除去物のそれぞれの構成について説明する。
【0021】
太陽電池モジュール1は、例えば図1に示すように、複数の太陽電池セル11と、太陽電池セル11から配線される金属配線12と、太陽電池セル11および金属配線12を封止する封止材13と、封止材13の一方の面に設けられる保護部材14と、封止材13の他方の面に設けられるガラス基板15と、封止材13やガラス基板15などの積層体の周囲を囲むフレーム部材16と、を備えて構成される。
【0022】
太陽電池セル11は、例えばシリコン(Si)などを含む半導体から形成され、その表面には表面電極(図示略)が設けられる。表面電極は、例えば、主に銀(Ag)などの金属を含んで構成される。金属配線12は、太陽電池セル11から配線され、太陽電池セル11の間を電気的に接続するものである。金属配線12は、例えば、主に銅(Cu)などの金属を含んで構成される。封止材13は、例えばエチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)やポリエチレンなどの樹脂から形成される。保護部材14は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やフッ素樹脂などの樹脂から形成される。ガラス基板15は例えばガラスから形成される。フレーム部材16は、例えば金属や樹脂などから形成される。
【0023】
フレーム除去物は、太陽電池モジュール1から従来公知の方法によりフレーム部材16を除去したものである。
【0024】
(破砕工程)
続いて、太陽電池モジュール1のフレーム除去物をその一部であるガラス基板15ごと破砕し、破砕物を得る。
【0025】
破砕物には、太陽電池セル11を形成する半導体材料に由来するシリコン粉末(Si粉末、以下、セル粉末ともいう)、金属配線12や表面電極に由来する金属粉末、封止材13や保護部材14などに由来する樹脂粉末、ガラス基板15に由来するガラス粉末などが含まれる。
【0026】
破砕工程では、各部材は、各部材の材質や物性に応じた粒径の粒子に破砕される。
太陽電池セル11(Si)は脆いので、細かく破砕されやすく、得られるセル粉末は粒径が比較的小さくなる傾向がある。
封止材13や保護部材14などは軟質で粘りのある樹脂から形成されるため、粗く破砕され、得られる樹脂粉体は粒径が比較的大きくなる傾向がある。
ガラス基板15を構成するガラスは、硬いので、得られるガラス粉末は粒径が比較的大きくなる傾向がある。
【0027】
破砕物の粒径は、特に限定されないが、5mm以下であることが好ましい。ここでいう粒径は目開き5mmの篩を通過する粒度であることを示す。破砕物を篩分けして5mm以下の破砕物とすることもできる。粒径が過度に大きくなると、破砕物が重くなり、後述の静電分離工程において、破砕物を密度や導電性に応じて効率よく分離できないことがある。例えば、金属粉末や樹脂粉末は、粒径が大きくなると自重により落下物として分離されやすく、金属粉末を跳躍物として、樹脂粉末を付着物として、それぞれ分離しにくくなる。この点、破砕物の粒径を5mm以下とすることにより、静電分離工程の際に金属粉末や樹脂粉末の自重落下を抑制し、各粉末を効率よく分離することができる。一方、金属粉末は、粒径が小さいほど、帯電により跳躍しやすくなる。
【0028】
破砕方法としては、例えばせん断破砕など従来公知の破砕方法を採用することができる。せん断破砕する場合の破砕条件は特に限定されないが、破砕物の粒径が上記範囲となるように刃の数、刃のクリアランス、および刃の回転数などを適宜調整するとよい。例えば、ガラス粉末の粒径が上記範囲を満たすように破砕することにより、それよりも脆い金属粉末や粘りのある樹脂粉末の粒径について上記範囲を満たすことができる。
【0029】
(静電分離工程)
続いて、得られた破砕物を静電分離する。本実施形態では、接地金属ドラム電極を備える静電分離装置を用いて静電分離を行い、破砕物に含まれる各粉末を、密度および導電性に応じて、接地金属ドラム電極からの落下位置ごとに分離する。
【0030】
ここで、まず静電分離装置について図2を用いて説明する。図2は、静電分離装置の概略構成図である。
【0031】
例えば、静電分離装置100は、図2に示すように、破砕物を供給する供給部110と、回転可能に支持される接地金属ドラム電極120と、接地金属ドラム電極120に対向して設けられる針状または刃状の高電圧電極130と、接地金属ドラム電極120の回転方向(図中の時計回り)において高電圧電極130の下流側に、接地金属ドラム電極120に対向して設けられる静電電極140と、接地金属ドラム電極120に付着する粉末を取り除くブラシ150と、選別された粉末を別々に収容する分離容器160と、を備えて構成される。
【0032】
各構成部材は従来公知のものを用いることができる。例えば、供給部110としては振動フィーダーなどを、高電圧電極130としてはピン電極などを、静電電極140としてはオーバル電極などを、それぞれ用いることができる。図2では、分離容器160が5つに仕切られている場合を図示するが、分離容器160は、後述する付着物、落下物および跳躍物を区別できるように少なくとも3つに仕切られていればよい。なお、高電圧電極130や静電電極140の位置、これらの接地金属ドラム電極120までの距離、そして、分離容器160を仕切る仕切り板の位置(図2中のL~L)は、後述する静電条件に応じて適宜変更するとよい。
【0033】
続いて、破砕物の静電分離について説明する。
【0034】
まず、静電分離装置100において、接地金属ドラム電極120と高電圧電極130との間に電圧を印加してコロナ放電を発生させる。これにより、接地金属ドラム電極120と高電圧電極130との間の空気がイオン化される。続いて、破砕物を供給部110から接地金属ドラム電極120上に供給する。破砕物は、接地金属ドラム電極120の回転にしたがい、接地金属ドラム電極120と高電圧電極130との間の領域に搬送される。このとき、イオンにより破砕物は電極と同じ符号に帯電する。そして、帯電した破砕物は、空気がイオン化された領域を通過し、接地金属ドラム電極120と静電電極140との間の領域(静電界)に搬送される。帯電した破砕物は、静電界にて、電荷を放出する。このとき、破砕物に含まれる各粉末は、それぞれの導電性に応じた速度で電荷を放出することになる。例えば、破砕物のうち、導電性の高い粉末は、素早く電荷を放出し、電気的に中性となった後、接地金属ドラム電極120から電荷を受け取り、接地金属ドラム電極120から反発して跳躍し、静電電極140に引き付けられながら落下する。一方、非導電性の粉末は、電荷を放出する速度が遅い、もしくは放出しないため、接地金属ドラム電極120の持つ反対符号の電荷に引き付けられて、接地金属ドラム電極120に付着したまま、搬送されることになる。また、非導電性の粉末は、その密度によって付着の仕方が異なり、密度が高いものほど自由落下しやすく、密度が小さいものほど付着したまま搬送されやすい。このように、破砕物に含まれる各粉末は、その導電性や密度に応じて、接地金属ドラム電極120から所定の位置に落下し、落下位置ごとに適宜分離される。
【0035】
具体的には、破砕物に含まれる金属粉末、セル粉末、樹脂粉末およびガラス粉末は、静電分離により、それぞれの密度および導電性に応じて、接地金属ドラム電極120に付着して分離される付着物と、接地金属ドラム電極120から自重落下して分離される落下物と、接地金属ドラム電極120から跳躍して分離される跳躍物と、に分離される。図2では、分離容器160の空間1~3に付着物が、空間4に落下物が、空間5に跳躍物がそれぞれ分離して収容される。
【0036】
金属粉末は、接地金属ドラム電極120から跳躍したり、自重落下したりするので、跳躍物や落下物として分離される。金属粉末でも、密度が大きく重いものは、跳躍しにくく自重落下して、落下物として分離されることもある。例えば、金属配線12に由来する金属粉末の中でも、粒径が比較的大きなものは重いため、自重落下しやすく、落下物として分離されることがある。
【0037】
樹脂粉末は、接地金属ドラム電極120に付着したり、自重落下したりするので、主に付着物や落下物として分離される。樹脂粉末は、印加電圧が高くなるほど接地金属ドラム電極120に付着しやすくなるため、接地金属ドラム電極120に付着したまま搬送され、ブラシ150により物理的に回収される。また、樹脂粉末の一部は、例えば粒径が大きかったり、接地金属ドラム電極120の回転数が大きくなり、作用する遠心力が高くなったりすることで、落下物としても分離されることがある。なお、樹脂粉末は、微量ではあるが、跳躍物としても分離されることがある。
【0038】
ガラス粉末は、落下物や跳躍物として分離される。ガラス粉末は、樹脂粉末と同様に非導電性であるものの、樹脂粉末と比較して密度が高いため、自重落下により落下物として分離されやすい。また、接地金属ドラム電極120の回転数や印加電圧によっては、回転による遠心力により跳躍することがあり、跳躍物としても分離されることがある。
【0039】
なお、太陽電池セル11に由来するシリコン粉末(以下、セル粉末ともいう)は、金属粉末と同様に分離されるが、金属粉末と比較して密度が小さく軽量であるため、落下物よりも跳躍物として分離される傾向がある。
【0040】
破砕物を静電分離するときの静電条件としては、接地金属ドラム電極120への印加電圧、接地金属ドラム電極120の回転数、高電圧電極130や静電電極140の設置位置があるが、これらは、破砕物を跳躍物、落下物および付着物に分離できるような条件となるように適宜変更するとよい。なお、図2に示す静電分離装置では、1つの高電圧電源から配線が分岐して高電圧電極130と静電電極140の双方へ同じ印加電圧がかかる構成となっている。以下の高電圧電極130と静電電極140への印加電圧は同じであることを前提としている。高電圧電極130と静電電極140への印加電圧は異なる電圧としてもよい。
【0041】
印加電圧は、破砕物のうち特に、金属粉末の跳躍や樹脂粉末の付着を制御するパラメータとなる。金属粉末を跳躍させつつ、樹脂粉末を付着させる観点からは、印加電圧は高いことが望ましい。具体的には、印加電圧は18kV以上30kV未満とすることが好ましく、20kV以上30kV未満とすることがより好ましい。18kV以上とすることにより、コロナ放電を発生させて破砕物を十分に帯電させることができ、跳躍物に占める金属粉末の比率を高めることができる。一方、印加電圧を30kV未満とすることで、スパークの発生を抑制しつつ、破砕物を効率よく分離することができる。
【0042】
接地金属ドラム電極120の回転数は、破砕物にかかる遠心力の大きさを変動させ、主に、破砕物に含まれる金属粉末とガラス粉末の跳躍を制御するパラメータとなる。この回転数は、金属粉末を跳躍させる一方で、ガラス粉末の跳躍を抑制して、ガラス粉末を自重落下させるような値に設定するとよい。具体的には、回転数は20rpm以上60rpm以下とすることが好ましい。20rpm以上60rpm以下の範囲の適切な値とし、印加電圧を適切に設定することにより、ガラス粉末の跳躍を抑制しながらも金属粉末の跳躍を促すことができ、金属粉末を跳躍物として、ガラス粉末を落下物として、より確実に分離することができる。
【0043】
また、高電圧電極130や静電電極140の設置について、接地金属ドラム電極120との距離DやD、接地金属ドラム電極120の回転方向への角度θやθは、特に限定されず、供給部110から供給される破砕物の内容、印加電圧や接地金属ドラム電極120の回転数に応じて適宜変更するとよい。また同様に、分離容器160の接地金属ドラム電極120からの距離dも、供給部110から供給される破砕物の内容、印加電圧や接地金属ドラム電極120の回転数に応じて適宜変更するとよい。また、分離容器160内の仕切られた空間1~5のそれぞれの幅L~Lも静電条件に応じて適宜変更するとよい。
【0044】
また、静電分離工程では、静電分離を繰り返し行ってもよく、破砕物を静電分離し、接地金属ドラム電極120からの落下位置ごとに分離した分離物に対して、静電分離を1回以上繰り返すことができる。例えば、図3に示すように、上述した破砕物を静電分離する工程を第1静電分離工程としたとき、第1静電分離工程で落下位置ごとに分離した分離物に対して、さらに静電分離を行う第2静電分離工程を設けるとよい。このとき、落下位置ごとに分離した分離物のうち、第1の跳躍物および第1の落下物のそれぞれに対して第2静電分離工程を行うことが好ましい。第1の跳躍物や第1の落下物には、金属粉末だけでなく、ガラス粉末や樹脂粉末が含まれており、これらをさらに静電分離することにより、それぞれに含まれる金属粉末とガラス粉末および樹脂粉末とをより好適に分離することができる。このように静電分離工程で得られる分離物をより分けて繰返し静電分離工程を行うことで分離物中のセル粉末、金属、樹脂及びガラスの品位を高めることができる。
【0045】
具体的には、第1の跳躍物には、セル粉末や金属粉末や微量のガラス粉末が含まれるが、第1の跳躍物に対してさらに静電分離を行うことにより、第1の跳躍物に含まれるガラス粉末を自重落下させつつ、セル粉末、金属粉末を跳躍させて、これらを分離することができる。これにより、第1の跳躍物から、セル粉末、金属粉末の比率がより高い第2の跳躍物と、ガラス粉末の比率の高い第2の落下物とを得ることができる。
また、第1の落下物には、ガラス粉末や樹脂粉末だけでなく、金属粉末が含まれるが、第1の落下物に対して静電分離を行うことにより、第1の落下物に含まれる各粉末をより分離することができる。これにより、第1の落下物から、セル粉末、金属粉末の比率が高い第3の跳躍物と、ガラス粉末の比率の高い第3の落下物と、樹脂粉末の比率の高い第3の付着物とを得ることができる。
【0046】
第2静電分離工程では、接地金属ドラム電極120の回転数を、第1静電分離工程よりも小さくすることが好ましい。回転数を小さくすることにより、各粉末にかかる遠心力を低減し、導電性を有するセル粉末、金属粉末の跳躍を促しながらも、ガラス粉末(特に、粒径が小さく、軽量のガラス粉末)の跳躍を抑制することができる。つまり、跳躍物および落下物をそれぞれ静電分離するときに、セル粉末、金属粉末とガラス粉末とをより分離することができる。具体的には、回転数を40rpm以上60rpm以下とすることが好ましい。なお、印加電圧については、第1静電分離工程より上げつつ、ドラム回転数を小さくすることで、セル粉末、金属粉末とガラス粉末との分離を促せる。また、分離工程を繰り返すことで分離性を向上することができる。
【0047】
なお、図3では、静電分離を2回行う場合を説明したが、3回以上としてもよい。この場合、破砕物に対して静電分離を行い、得られる分離物に対して静電分離を2回以上繰り返し行うとよい。例えば、静電分離により得られる分離物のうち、跳躍物と落下物に対して静電分離を繰り返し行うとよい。各静電分離の条件は特に限定されないが、後段に行う静電分離における接地金属ドラム電極120の回転数を前段の静電分離よりも小さくすることが好ましい。もしくは、後段に行う静電分離における接地金属ドラムの印加電圧を前段の静電分離よりも大きくすることが好ましい。より好ましくは、後段に行う静電分離における回転数を前段よりも小さくしつつ、後段に行う静電分離における印加電圧を前段よりも大きくするとよい。
【0048】
以上のように、太陽電池モジュール1を破砕した破砕物について静電分離を行うことにより、セル、金属、樹脂およびガラスのそれぞれを、導電性や密度に応じて、跳躍物、落下物および付着物として分離することができる。
【0049】
太陽電池モジュール1から高い濃縮倍率で金属を回収する観点からは、第1静電分離工程した後に得られる第1の跳躍物を回収するとよい。また、第2静電分離工程をさらに行う場合であれば、第2の跳躍物と第3の跳躍物を回収するとよい。
【0050】
なお、第2の跳躍物には、金属粉末とともに、太陽電池セル11に由来するシリコン粉末(セル粉末)も含まれているが、金属粉末とセル粉末とを分離するために、第2の跳躍物をさらに静電分離してもよい。金属粉末は金属配線12に由来するため、その形状は細長く、粒径が大きい傾向にある。一方、セル粉末は、金属粉末と比較して微細に破砕され、粒径が小さい傾向にある。そのため、金属粉末はセル粉末と比較して重いため、静電分離により、金属粉末を落下物として、セル粉末を跳躍物として分離することができる。このときの静電条件としては、金属粉末を自重落下させる一方でセル粉末を跳躍させる観点からは、印加電圧を小さくするとともに、接地金属ドラム電極120の回転数を小さくすることが好ましい。例えば、印加電圧を18kV以上22kV以下、回転数を20rpm以上40rpm以下とすることが好ましい。
【0051】
本実施形態によれば、太陽電池モジュール1のフレーム除去物からガラス基板15を除去せずにそのまま破砕し、その破砕物を静電分離することにより、金属、樹脂およびガラスを、その導電性や密度に応じて分離し、それぞれを跳躍物、落下物および付着物として分離することができる。そのため、太陽電池モジュールからフレームを除去することは容易であり、従来必要とされたガラス除去を省略して簡易なプロセスで金属を分離回収することができる。しかも、破砕および静電分離によれば、簡易なプロセスであるため、既存の装置を使用して太陽電池モジュール1を大量に処理することができる。
【0052】
また、フレーム除去物の破砕物からセル及び金属を高い濃縮倍率かつ回収率で分離することができる。具体的には、濃縮倍率を13倍以上、回収率を52%以上とすることができる。ここで、濃縮倍率とは、例えば回収された金属の濃度を、原料の金属濃度で除した比率を示す。また、回収率とは、例えば回収された金属の重量を、原料の金属重量で除した比率を示す。
【0053】
また、静電分離工程においては、印加電圧を18kV以上30kV未満とすることが好ましい。これにより、スパークの発生を抑制しながらも、樹脂粉末を付着物として分離させやすくするとともに、金属粉末を跳躍物として分離させやすくすることができる。つまり、金属粉末、樹脂粉末およびガラス粉末をより分離することができる。
【0054】
また、静電分離工程においては、接地金属ドラム電極120の回転数を20rpm以上60rpm以下とすることが好ましい。回転数の調整により、破砕物にかかる遠心力を低減し、特に粒径の小さなガラス粉末の跳躍を抑制して、跳躍する金属粉末との分離を促進することができる。
【0055】
また、破砕物に対して第1静電分離工程を施した後、得られる落下物および跳躍物に対してさらに第2静電分離工程を施し、第2静電分離工程での接地金属ドラム電極120の回転数を第1静電分離工程よりも小さくすることが好ましい。これにより、跳躍物や落下物において混在する金属粉末とガラス粉末とをさらに分離することができる。つまり、破砕物から金属をより高い濃縮倍率で回収することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態では、金属粉末を回収するために破砕物から跳躍物を採取するだけでなく、樹脂粉末を回収するために付着物を、ガラス粉末を回収するために落下物を、それぞれ採取してもよい。
【実施例
【0057】
次に、本発明について実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0058】
(実施例1)
実施例1では、太陽電池モジュールからフレームを除去したフレーム除去物の構成成分を想定したサンプルとして、金属粉末、樹脂粉末およびガラス粉末をそれぞれ準備し、これらの粉末について、静電条件や粒径による分離の違いを確認した。
【0059】
具体的には、太陽電池セル(以下、単にセルともいう)を破砕し、セルの粉末(Si粉末)を準備した。セルの粉末の粒径は0.5mm~2mmであった。
【0060】
また、金属配線いわゆるタブ線(銅)を破砕し、タブ線の粉末(タブ線粉末)を準備した。タブ線粉末の粒径は1mm~5mmであった。
【0061】
また、封止材や保護部材として使用されるエチレン‐酢酸ビニル共重合体(EVA)とPETを準備し、これらを破砕し、樹脂粉末を準備した。樹脂粉末としては、粒径が3mm以下のものと、粒径が3mm~5mmのものとの2種類を準備した。
【0062】
また、ガラス基板を破砕し、ガラス粉末を準備した。ガラス粉末としては、粒径が3mm以下のものと、粒径が3mm~5mmのものとの2種類を準備した。
【0063】
静電分離には、図2に横断面の概略を示す静電分離装置を使用した。接地金属ドラム電極は、時計回りに回転するように構成され、その半径は150mmであった。高電圧電極であるピン電極は、θが45°、接地金属ドラム電極からの距離Dが40mmとなるように配置した。静電電極であるオーバル電極は、θが70°、接地金属ドラム電極からの距離Dが120mmとなるように配置した。また、分離容器は、空間1~5となるように5つに仕切った。各空間の幅L~Lは、Lが100mm、Lが140mm、Lが140mm、Lが100mm、Lが200mmであった。そして、分離容器は、空間1~3で付着物を回収、空間4で落下物を回収、空間5で跳躍物を回収するように、設置した。また、分離容器と接地金属ドラム電極との距離dは30mmであった。
【0064】
続いて、サンプルとして準備した各粉末について、上述した静電分離装置を用いて、静電条件として、接地金属ドラム電極の回転数と印加電圧とを種々変更し、静電分離を行った。具体的には、回転数を0rpm、20rpm、40rpm、60rpm、印加電圧を0kV、18kV、22kV、26kVにそれぞれ変更した。そして、分離容器の各空間に回収された重量を測定し、各空間への分配率を算出した。その結果を以下の表1~3に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
表1に示すように、タブ線粉末は、ドラム回転数が小さくなるほど、印加電圧を高くしても、跳躍しにくく、空間4で落下物として分離されやすいことが分かった。導電性を有する金属粉末は、一般的には跳躍しやすいものの、粒径が大きく、重量が増えると、電気的な力だけでは跳躍しにくくなるためと考えられる。一方、ドラム回転数の増加にともない、粉末にかかる遠心力が大きくなるため、タブ線粉末は跳躍しやすくなり、空間5で跳躍物として分離されやすくなることが分かった。
【0067】
セル粉末は、タブ線粉末と同様に分離される傾向があるが、タブ線粉末と比較してドラム回転数による影響が小さいことが分かった。これは、セル粉末は、密度が小さく軽量であるため、遠心力による影響が小さく、電気的な力による影響が強くでることで、跳躍しやすいと考えられる。
【0068】
表1に示すように、金属配線に由来するタブ線粉末とセル粉末とを静電分離する観点からは、印加電圧を小さくするとともに、接地金属ドラム電極の回転数を小さくするとよいことが確認された。例えば、印加電圧を18kV以上22kV以下、回転数を20rpm以上40rpm以下とするとよい。
【0069】
【表2】
【0070】
表2に示すように、樹脂粉末は、ドラム回転数によらず、印加電圧を高くするほど、接地金属ドラム電極に付着しやすくなり、空間1~3において付着物として分離されやすいことが分かった。この傾向は、樹脂粉末の粒径によらず同じであった。また、樹脂粉末は、ドラム回転数を増やしても跳躍しにくいことが分かった。これは、樹脂粉末においては、回転による遠心力よりも電気的な力による付着が大きく作用するためと考えられる。
【0071】
【表3】
【0072】
表3に示すように、ガラス粉末は、粒径によらず、空間4にて落下物として、もしくは空間5にて跳躍物として分離され、付着物としては分離されないことが分かった。また、ガラス粉末は、ドラム回転数が小さいほど自重落下しやすく、ドラム回転数が大きくなるほど跳躍しやすくなることが分かった。また、ドラム回転数を増やしても、印加電圧を高くすることにより、接地金属ドラム電極へ付着させて、跳躍を抑制できることが分かった。
【0073】
以上の結果から、ドラム回転数や印加電圧を調整することにより、タブ線粉末、セル粉末、樹脂粉末およびガラス粉末を分離できることが確認された。例えば、樹脂粉末およびガラス粉末の粒径が3mm以下の場合に、接地金属ドラム電極の回転数を60rpm、印加電圧を26kVとして静電分離を行うことにより、セル粉末の35%を落下物として空間4に、その65%を跳躍物として空間5に、分離することができる。また、タブ線粉末の60%を落下物として空間4に、その40%を跳躍物として空間5に、分離することができる。また、樹脂粉末の92%を付着物として空間1~3に分離することができる。そして、ガラス粉末の94%を落下物として空間4に分離することができる。
【0074】
(実施例2)
実施例2では、実際の太陽電池モジュールのフレーム除去物の破砕物を模擬したサンプルを作製し、このサンプルに対して実施例1と同様の静電分離装置を用いて静電分離を行った。
【0075】
まず、サンプルを作製した。具体的には、実施例1で用いたタブ線粉末を6g、セル粉末を12g、封止材および保護部材に由来する粒径が3mm以下の樹脂粉末を48g、そして、粒径が3mm以下のガラス粉末を320g、混合し、386gのサンプルを得た。このサンプルは、太陽電池モジュールと同様の構成比(ガラス78.8質量%、樹脂11.8質量%、セル3.2質量%、タブ線1.4質量%、)となっている。サンプルの各粉末の重量を下記表4にまとめる。
【0076】
【表4】
【0077】
続いて、作製したサンプルに対して、接地金属ドラム電極の回転数を60rpm、印加電圧を26kVの条件で静電分離を行い、空間1~3にて第1の付着物、空間4にて第1の落下物、空間5にて第1の跳躍物を分離回収した。第1の付着物は41.35gであって、主に樹脂粉末が含まれていた。第1の落下物は323.12gであって、ガラス粉末、セル粉末、タブ線粉末、そして樹脂粉末が含まれていた。第1の跳躍物は19.98gであって、ガラス粉末、セル粉末、およびタブ線粉末が含まれていた。サンプルの静電分離結果を下記表5にまとめる。
【0078】
【表5】
【0079】
実施例2では、空間4に分離された第1の落下物、空間5に分離された第1の跳躍物のそれぞれに対して、接地金属ドラム電極の回転数を40rpm、印加電圧を26kVの条件で静電分離をさらに行った。
【0080】
第1の跳躍物を静電分離することにより、空間4にて第2の落下物を、空間5にて第2の跳躍物を分離回収した。第2の落下物は12.93gであり、主にガラス粉末が含まれ、微量のセル粉末やタブ線粉末が確認された。第2の跳躍物は5.65gであり、主にタブ線粉末やセル粉末が含まれ、少量のガラス粉末が確認された。第1の跳躍物の静電分離結果を下記表6にまとめる。
【0081】
【表6】
【0082】
一方、第1の落下物を静電分離することにより、空間1~3にて第3の付着物、空間4にて第3の落下物、空間5にて第3の跳躍物を分離回収した。第3の付着物は6.18gであり、主に樹脂粉末が含まれていた。第3の落下物は299.5gであり、主にガラス粉末が含まれていた。第3の跳躍物は8.44gであり、主にタブ線粉末やセル粉末が含まれ、少量のガラス粉末が確認された。第1の落下物の静電分離結果を下記表7にまとめる。
【0083】
【表7】
【0084】
続いて、第2の落下物、第2の跳躍物および第3の跳躍物について手選別を行い、タブ線粉末およびセル粉末と、ガラス粉末とに分離し、それぞれの重量を測定した。その結果を下記表8にまとめる。表8に示すように、第1の跳躍物をさらに静電分離して得られる第2の跳躍物には、タブ線粉末およびセル粉末が合計で5.47g含まれ、ガラス粉末が0.16gと極少量であることが確認された。一方、このとき分離される第2の落下物には、タブ線粉末およびセル粉末が合計で3.3g含まれるものの、ガラス粉末が9.62g含まれていた。このことから、第1の跳躍物をさらに静電分離することにより、ガラス粉末を高い比率で分離できることが確認された。また、第1の落下物をさらに静電分離して得られる第3の跳躍物には、ガラス粉末が4.51g、タブ線粉末およびセル粉末が合計で3.89g含まれていた。このことから、第1の落下物をさらに静電分離することで、混入するタブ線粉末などの金属を回収できることが確認された。
【0085】
【表8】
【0086】
以上のように、本発明によれば、太陽電池モジュールからフレーム部材を除去したフレーム除去物を破砕し、破砕物に対して静電分離を行うことにより、破砕物に含まれるセルおよび金属配線から、樹脂やガラスを、導電性や密度に応じて分離することができる。言い換えれば、有価物であるセル及び金属配線を選別して濃縮することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 太陽電池モジュール
11 太陽電池セル
12 金属配線
13 封止材
14 保護部材
15 ガラス基板
16 フレーム部材
【要約】
太陽電池モジュールからフレーム部材を取り外し、フレーム除去物を得る準備工程と、フレーム除去物を破砕して破砕物を得る破砕工程と、破砕物に対して静電分離を行う静電分離工程と、を有し、静電分離工程では、破砕物を帯電させて密度および導電性に応じて分離する、太陽電池モジュールの処理方法である。
図1
図2
図3