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特許7091582積層セラミックキャパシタ及びその実装基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ及びその実装基板
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20220621BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H01G4/30 201E
H01G4/30 513
H01G4/30 201B
H05K1/18 J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017241363
(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公開番号】P2018207091
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2017-0069135
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0101132
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】オー、ベオム セオック
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ジン ユン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨウン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ジェ ヨル
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-196263(JP,A)
【文献】特開平07-272975(JP,A)
【文献】特開2015-216343(JP,A)
【文献】特開平06-140283(JP,A)
【文献】特開平02-251125(JP,A)
【文献】特開平06-029156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/232
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで交互に配置される複数の第1~第3内部電極を含み、積層方向に互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、及び前記第1及び第2面と連結され、前記第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、前記第1内部電極の両端が第3及び第4面にそれぞれ露出し、前記第2内部電極が第5または第6面に露出する部分を有し、前記第3内部電極が第5及び第6面にそれぞれ露出する部分を有するキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、前記第1内部電極と接続される第1及び第2外部電極と、
前記キャパシタ本体の第5及び第6面にそれぞれ配置され、前記第2内部電極及び前記第3内部電極と接続される第3及び第4外部電極と、を含み、
前記キャパシタ本体は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極が積層されている一定領域毎に前記第3内部電極が配置された積層構造を複数含み、
前記積層構造のそれぞれは、一つの前記第3内部電極と、交互に積層された複数の前記第1内部電極及び複数の前記第2内部電極とを有する、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第2内部電極は、前記第1内部電極と積層方向に重なる第1本体部と、前記第1本体部から前記キャパシタ本体の第5または第6面に向かって延長される第1リード部と、を含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第3内部電極は、前記第1または第2内部電極と積層方向に重なる第2本体部と、前記第2本体部から前記キャパシタ本体の第5及び第6面に向かってそれぞれ延長される第2及び第3リード部と、を含む、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記第2内部電極は、積層方向に前記キャパシタ本体の第5及び第6面に交互に露出するように配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記複数の第2内部電極は、前記キャパシタ本体の第5面に露出する部分を有する少なくとも一つ以上の第2内部電極と、前記キャパシタ本体の第6面に露出する部分を有する少なくとも一つ以上の第2内部電極と、を含む、請求項4に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第1及び第2外部電極は、前記キャパシタ本体の第3及び第4面から第1及び第2面の一部までそれぞれ延長され、前記第3及び第4外部電極は、前記キャパシタ本体の第5及び第6面から第1及び第2面の一部までそれぞれ延長される、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第3及び第4外部電極は、前記キャパシタ本体の第3及び第4面から離隔するように配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記キャパシタ本体の第1及び第2面のうち少なくとも一面に位置し、前記第3及び第4外部電極を電気的に接続するように形成される連結電極をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
複数の第1~第3内部電極を含み、積層方向に互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、前記積層方向と直交する長さ方向に互いに対向する第3及び第4面、及び前記第1及び第2面と連結され、前記第3及び第4面と連結され、且つ前記積層方向及び長さ方向と直交する幅方向に互いに対向する第5及び第6面を含むキャパシタ本体を含み、
前記複数の第1内部電極は、前記キャパシタ本体の第5及び第6面から離隔しており、
前記複数の第2内部電極は、前記キャパシタ本体の第3及び第4面から離隔し、且つ前記キャパシタ本体の第5及び第6面のうち少なくとも一つから離隔し、
前記第3内部電極は、前記キャパシタ本体の第3及び第4面から離隔し、
前記キャパシタ本体は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極が積層されている一定領域毎に前記第3内部電極が配置された積層構造を複数含み、
前記積層構造のそれぞれは、一つの前記第3内部電極と、交互に積層された複数の前記第1内部電極及び複数の前記第2内部電極とを有する、積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、前記複数の第1内部電極と電気的に連結される第1及び第2外部電極と、
前記キャパシタ本体の第5及び第6面にそれぞれ配置され、前記複数の第3内部電極と電気的に連結される第3及び第4外部電極と、をさらに含み、
前記第3及び第4外部電極のうち少なくとも一つが前記複数の第2内部電極と電気的に連結される、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記複数の第2内部電極がすべて前記キャパシタ本体の第6面から離隔する、請求項9または10に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記複数の第2内部電極のうち少なくとも一つ以上は、前記キャパシタ本体の第5面から離隔しており、
前記複数の第2内部電極のうち少なくとも一つ以上は、前記キャパシタ本体の第6面から離隔する、請求項または10に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
複数の第1~第3内部電極を含み、積層方向に互いに対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、前記積層方向と直交する長さ方向に互いに対向する第3及び第4面、及び前記第1及び第2面と連結され、前記第3及び第4面と連結され、且つ前記積層方向及び前記長さ方向と直交する幅方向に互いに対向する第5及び第6面を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、前記複数の第1内部電極と電気的に連結される第1及び第2外部電極と、
前記キャパシタ本体の第5及び第6面にそれぞれ配置され、前記複数の第3内部電極と電気的に連結される第3及び第4外部電極と、を含み、
前記複数の第1内部電極は、前記キャパシタ本体の第5及び第6面から離隔し、前記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ露出し、且つ互いに対向する端部を有し、
前記複数の第2内部電極は、前記キャパシタ本体の第3及び第4面から離隔し、前記キャパシタ本体の第6面に露出するか、または前記キャパシタ本体の第6面から離隔し、前記キャパシタ本体の第5面に露出する部分を有し、
前記複数の第3内部電極は、前記キャパシタ本体の第3及び第4面から離隔し、前記キャパシタ本体の第5及び第6面にそれぞれ露出する部分を有し、
前記第3及び第4外部電極のうち少なくとも一つは、前記複数の第2内部電極と電気的に連結され、
前記キャパシタ本体は、前記第1内部電極及び前記第2内部電極が積層されている一定領域毎に前記第3内部電極が配置された積層構造を複数含み、
前記積層構造のそれぞれは、一つの前記第3内部電極と、交互に積層された複数の前記第1内部電極及び複数の前記第2内部電極とを有する、積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
上面に複数の電極パッドを有する基板と、
前記複数の電極パッド、及びそれぞれ対応する外部電極が接続されるように前記基板に実装される請求項1から13のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタと、を含む、積層セラミックキャパシタの実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックキャパシタ及びその実装基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料を用いる電子部品としては、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタ、及びサーミスタなどが挙げられる。
【0003】
かかるセラミック電子部品のうち積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、小型でありながら高容量が保障され、実装が容易であるという長所を有する。
【0004】
上記積層セラミックキャパシタは、液晶表示装置(LCD、Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP、Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末(PDA、Personal Digital Assistants)、及び携帯電話などの多様な製品の回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0005】
このような積層セラミックキャパシタは、複数の誘電体層と内部電極を交互に積層して積層体を形成した後、上記積層体を焼成して外部電極を設置することで製造される。一般に、内部電極の積層数に応じて、製品の容量が決定される。
【0006】
一方、上記積層セラミックキャパシタをプリント回路基板に実装するためには一定の面積が必要となる。
【0007】
この際、様々な電気特性を有する複数の積層セラミックキャパシタを一つのプリント回路基板に実装する場合、それぞれの積層セラミックキャパシタを正常に動作させるためには一定の空間を確保する必要がある。
【0008】
最近、電子製品の小型化に伴い、かかる電子製品に用いられる積層セラミックキャパシタにも超小型化及び超高容量化が求められている。
【0009】
しかし、電気製品がスリム(slim)化及び小型化する場合、積層セラミックキャパシタを実装することができる空間が限定されるため製品設計が困難となる。
【0010】
特に、IT製品のサイズが小型化し、持続使用時間の増加のためのバッテリーサイズが増加しつつあるため、プリント回路基板のサイズはもちろん、受動素子の数とサイズへの制約が大きくなっている。
【0011】
これを背景に、より小さいサイズの製品に加えて、さらに高容量を有する積層セラミックキャパシタ(MLCC)に対する要求が増加している。
【0012】
メーカーでは、市場のニーズに合わせて、小さいサイズの高容量製品を製作するために、カバー及びマージンの厚さを減少するとともに、各層の厚さを薄層化して高積層設計への発展を遂げている。
【0013】
すなわち、積層セラミックキャパシタの超高容量化及び小型化に伴い、薄層化及び積層数の増加が行われ、その結果、電気特性を実現するためのリード部の数も増加している。
【0014】
このように、リード部の数が増加すると、積層体の累積段差が増加するようになる。その結果、リード部のない周辺部との逆段差が激しくなって、製品の歩留まり及び信頼性に悪影響を及ぼす。
【0015】
また、単位体積当たりの容量を増加させるために、積層体のカバー及びマージンの厚さを減らす傾向にある。これにより、上述の段差による悪影響はさらに大きくなっているのが実情である。
【0016】
このような観点から、電気特性が低下することなく、段差により発生するいくつかの副作用を除去することができる方案が要求されている。
【0017】
例えば、ネガ(negative)印刷を行い、内部電極がない部分に誘電体を充填する技術が開示されているが、この場合、工程が複雑であるため実用的ではないという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】特開2012-138415号公報
【文献】特開2015-076591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、電気特性が低下することなく、段差を減少させることができる積層セラミックキャパシタ及びその実装基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一側面は、誘電体層、及び上記誘電体層を挟んで交互に配置される複数の第1~第3内部電極を含み、積層方向に互いに対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、及び上記第1及び第2面と連結され、上記第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、上記第1内部電極の両端が第3及び第4面にそれぞれ露出し、上記第2内部電極が第5または第6面に露出する部分を有し、上記第3内部電極は、第5及び第6面に露出する部分を有するキャパシタ本体と、上記キャパシタ本体の第3及び第4面にそれぞれ配置され、上記第1内部電極と接続される第1及び第2外部電極と、上記キャパシタ本体の第5及び第6面にそれぞれ配置され、上記第2内部電極及び上記第3内部電極と接続される第3及び第4外部電極と、を含む積層セラミックキャパシタを提供する。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記第2内部電極は、上記第1内部電極と積層方向に重なる第1本体部と、上記第1本体部から上記キャパシタ本体の第5または第6面に向かって延長される第1リード部と、を含むことができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、上記第3内部電極は、上記第1または第2内部電極と積層方向に重なる第2本体部と、上記第2本体部から上記キャパシタ本体の第5及び第6面に向かってそれぞれ延長される第2及び第3リード部と、を含むことができる。
【0023】
本発明の一実施形態において、上記第2内部電極は、積層方向に上記キャパシタ本体の第5及び第6面に交互に露出するように配置されることができる。
【0024】
本発明の一実施形態において、上記複数の第2内部電極は、上記キャパシタ本体の第5面に露出する部分を有する少なくも一つ以上の第2内部電極と、上記キャパシタ本体の第6面に露出する部分を有する少なくも一つ以上の第2内部電極と、を含むことができる。
【0025】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極は、上記キャパシタ本体の第3及び第4面から第1及び第2面の一部までそれぞれ延長され、上記第3及び第4外部電極は、上記キャパシタ本体の第5及び第6面から第1及び第2面の一部までそれぞれ延長されることができる。
【0026】
本発明の一実施形態において、上記第3及び第4外部電極が、上記キャパシタ本体の第3及び第4面から離隔するように配置されることができる。
【0027】
本発明の一実施形態において、上記キャパシタ本体の第1及び第2面のうち少なくとも一面に位置し、上記第3及び第4外部電極を電気的に接続するように形成される連結電極をさらに含むことができる。
【0028】
本発明の他の側面は、上面に複数の電極パッドを有する基板と、上記複数の電極パッド、及びそれぞれ対応する外部電極が接続されるように上記基板に実装される上記積層セラミックキャパシタと、を含む積層セラミックキャパシタの実装基板を提供する。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、幅方向に配置された外部電極の電気的接続性を維持しながら、キャパシタ本体の幅方向に露出する内部電極のリード部の数を減らすことにより、同一の特性を実現するとともに、内部電極の露出によるキャパシタ本体における周辺部との段差を改善することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】比較例による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
図2図1の内部電極構造を概略的に示す分離斜視図である。
図3図1のキャパシタ本体の中央部における幅-厚さ面の切断面を概略的に示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
図5図4の内部電極構造を概略的に示す分離斜視図である。
図6図4のキャパシタ本体における中央部の幅-厚さ面の切断面を概略的に示す断面図である。
図7】(a)~(c)は、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの内部電極を概略的に示す平面図である。
図8】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタのキャパシタ本体の中央部における幅-厚さ面の切断面を示す断面図である。
図9】(a)~(d)は、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの内部電極を概略的に示す平面図である。
図10図8の実施形態による積層セラミックキャパシタの内部電極の露出部分を撮影したものである。
図11】本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシタのキャパシタ本体の中央部における幅-厚さ面の切断面を概略的に示す断面図である。
図12図4の実施形態に連結電極が追加されたことを示す透視斜視図である。
図13図4の実施形態による積層セラミックキャパシタが実装された基板を示す透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0032】
また、各実施形態の図面に示す同一思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。
【0033】
本発明の実施形態を明確に説明するための六面体の方向を定義すると、図面上に示すL、W及びTは、それぞれキャパシタ本体の長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念で用いることができる。
【0034】
図1は比較例による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図であり、図2図1の内部電極構造を概略的に示す分離斜視図であり、図3図1のキャパシタ本体の中央部における幅-厚さ面の切断面を概略的に示す断面図である。
【0035】
図1図3を参照すると、比較例による積層セラミックキャパシタ1は、複数の誘電体層11が積層されて形成されるキャパシタ本体10と、キャパシタ本体10の外側に配置される第1~第4外部電極31~34と、を含む。
【0036】
キャパシタ本体10は、内部に誘電体層11を挟んでT方向に互いに対向するように交互に配置される第1内部電極21及び第2内部電極22を含む。
【0037】
第1内部電極21は、両端がL方向の両端面に露出し、第2内部電極22は、W方向の両端面にリード部22aを介して露出する。
【0038】
この際、第1内部電極21は信号(signal)部であることができ、第2内部電極22は接地(GND)部であることができる。
【0039】
このように、第1内部電極21と第2内部電極22が交差積層されると、第2内部電極22のリード部22aの一部が部分的に切れてダミーパターン25を形成するようになる。例えば、ダミーパターン25は、第1内部電極21と同一の層において第2内部電極22のリード部22aと対応する位置に配置されることができる。
【0040】
このようなキャパシタ本体10の幅方向のマージンに配置されるリード部22a及びダミーパターン25により、リード部22a及びダミーパターン25が形成されていない周辺部と、リード部22a及びダミーパターン25が形成された部分との段差が著しく増加し、その結果、極端な不均衡が発生することがある。これにより、リード部22aの周辺に微細なギャップ(gap)が発生する可能性があり、リード部22aの上下部はクラックに弱い構造になり得る。よって、このような段差の増加を防止することができる方案が必要とされている。
【0041】
図4は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図であり、図5図4の内部電極構造を概略的に示す分離斜視図であり、図6図4のキャパシタ本体における中央部の幅-厚さ面の切断面を概略的に示す断面図であり、図7(a)~(c)は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの内部電極を概略的に示す平面図である。
【0042】
図4図7(c)を参照して、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタについて説明する。
【0043】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、キャパシタ本体110と、第1~第3内部電極121~123と、第1~第4外部電極131~134と、を含む。
【0044】
キャパシタ本体110は、複数の誘電体層111を含む。上記キャパシタ本体110の形状に特に制限はないが、図4に示すようにおおむね六面体形状であることができる。
【0045】
キャパシタ本体110は、T方向に互いに対向する第1及び第2面1、2と、第1及び第2面1、2と連結され、L方向に互いに対向する第3及び第4面3、4と、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、且つW方向に互いに対向する第5及び第6面5、6と、を含むことができる。
【0046】
この際、誘電体層111は、焼結された状態であって、隣接する誘電体層111同士の境界は確認できないほど一体化されていることができる。
【0047】
また、誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤、及び有機バインダーを含むことができる。
【0048】
上記セラミック粉末は、高誘電率を有する物質であって、これに制限されるものではないが、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)系材料などを用いることができる。
【0049】
また、キャパシタ本体110は、内部に複数の内部電極が誘電体層111を挟んで互いに分離されて配置されることができる。
【0050】
本実施形態では、複数の第1及び第2内部電極121、122が誘電体層111を挟んでT方向に交互に配置されることができる。
【0051】
第1内部電極121は、両端がキャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に露出する。
【0052】
第2内部電極122は、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6のいずれかに露出することができる。本実施形態では、第2内部電極122がキャパシタ本体110の第5面5に露出するように示して説明しているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0053】
また、第2内部電極122は、第1内部電極121の少なくとも一部とT方向に重なる第1本体部122aと、第1本体部122aからキャパシタ本体110の第5面5に向かって露出するように延長される第1リード部122bと、を含むことができる。
【0054】
本実施形態では、第2内部電極122は、第1リード部122bがキャパシタ本体110のW方向の一側にのみ配置される。このように、第2内部電極122の第1リード部122bがキャパシタ本体110の一側にのみ露出するようにすることにより、リード部が形成されていない周辺部との段差を減少させることができる。
【0055】
第3内部電極123は、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6に露出することができる。
【0056】
第3内部電極123は、第1及び第2内部電極121、122が積層されている一定領域毎に配置することができるが、その間に位置する第1及び第2内部電極の数を特定の数に限定するものではない。但し、第3内部電極123の数が多すぎると段差の改善効果が減少する可能性があるため、適切に調整する必要がある。
【0057】
また、第3内部電極123は、第1内部電極121の少なくとも一部または第2内部電極122の第1本体部122aとT方向に重なる第2本体部123aと、第2本体部123aからキャパシタ本体110の第5及び第6面5、6に向かってそれぞれ露出するように延長される第2及び第3リード部123b、123cと、を含むことができる。
【0058】
一方、積層セラミックキャパシタ100に第3及び第4外部電極133、134とともに接続される内部電極がまったく存在しない場合には、比較例に比べて容量が約半分に減少するという問題が発生する可能性がある。特に、アプリケーション(application)では、接地(GND)と回路を介して接続されているため問題がない場合もあるが、選別過程で問題が発生するようになる。
【0059】
これに対し、本実施形態による第3内部電極123は、このような問題を防ぐことができる。すなわち、第3内部電極を含ませることにより、選別過程において容量が減少することを防止し、積層セラミックキャパシタ100の容量が低下することを防止することができる。
【0060】
かかる第1~第3内部電極121、122、123は、導電性金属を含む導電性ペーストによって形成することができる。
【0061】
上記導電性金属は、これに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金であることができる。
【0062】
本実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、キャパシタ本体110の外側に形成され、且つ内部電極と選択的に接続されて電気的に連結される第1~第4外部電極131~134を含むことができる。
【0063】
第1及び第2外部電極131、132は、キャパシタ本体110の第3及び第4面3、4に配置されることができる。第1及び第2外部電極131、132は、第1内部電極121の両端と接続されて上記第1内部電極121と電気的に連結されることができる。
【0064】
この際、第1及び第2外部電極131、132は、キャパシタ本体110の第1及び第2面1、2の一部まで延長されることができる。また、第1及び第2外部電極131、132は、必要に応じて、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6の一部までさらに延長されることができる。
【0065】
第3及び第4外部電極133、134は、キャパシタ本体110の第5及び第6面5、6に配置されることができる。第3外部電極133は、第2内部電極121の第1リード部122bと第3内部電極123の第2リード部123bとがともに接続されて電気的に連結されることができる。第4外部電極134は、第3内部電極123の第3リード部123cと接続されて電気的に連結されることができる。
【0066】
この際、第3及び第4外部電極133、134は、キャパシタ本体110の第1及び第2面1、2の一部まで延長されることができる。
【0067】
また、第3及び第4外部電極133、134は、キャパシタ本体110の第3及び第4面3、4から所定の間隔離隔するように配置されることができる。
【0068】
また、第1~第4外部電極131~134は、導電性金属を含む導電性ペーストによって形成されることができる。
【0069】
この際、上記導電性金属は、これに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、またはこれらの合金であることができる。
【0070】
また、上記導電性ペーストは、絶縁性物質をさらに含むことができ、これに制限されるものではないが、例えば、上記絶縁性物質はガラスであってもよい。
【0071】
また、第1~第4外部電極131~134を形成する方法は、特に制限されず、例えば、キャパシタ本体110をディッピング(dipping)して形成してもよく、スパッタリングやめっきなどの他の方法を用いて形成してもよい。
【0072】
また、第1~第4外部電極131~134上にめっき層を形成することができる。上記めっき層は、外部電極上に形成されるニッケルめっき層と、上記ニッケルめっき層上に形成されるスズめっき層と、を含むことができる。
【0073】
このように構成された本実施形態による積層セラミックキャパシタは、第2内部電極122の第1リード部122bを幅方向の一側にのみ配置することによりリード部による段差の問題を解決することができるとともに、第3内部電極123が第3及び第4外部電極133、134と互いに接続されるように形成することにより電気的接続性を高めて選別過程で発生する問題を解決することができる。
【0074】
特に、内部電極の幅方向に露出しているリード部の数が減り、キャパシタ本体のカバー領域の損傷を減少させることができ、リード部の周辺部において段差により発生し得る微細なギャップ(gap)及びクラックの発生も減少させることができる。
【0075】
一方、本実施形態では、積層セラミックキャパシタ100が、総4つの外部電極を有する4端子キャパシタを示して説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて、さらに多くの外部電極を含むように変更することもできる。
【0076】
図8は本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタのキャパシタ本体の中央部における幅-厚さ面の切断面を示す断面図であり、図9(a)~(d)は本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタの内部電極を概略的に示す平面図である。
【0077】
図8図9(d)を参照すると、本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタは、第4内部電極124をさらに含むことができる。
【0078】
第4内部電極124は、第2内部電極122と類似した構造であって、第2内部電極122の第1本体部122aとT方向に重なる第3本体部124aと、第3本体部124aからキャパシタ本体110の第6面6に露出するように延長され、第2内部電極122の第1リード部122bとW方向に対向するように形成される第4リード部124bと、を含むことができる。
【0079】
このように、第2内部電極122及び第4内部電極124は、各リード部がW方向の両側に交差して一側にのみ露出するように配置することにより、比較例による積層セラミックキャパシタに比べてキャパシタ本体110の一側面に露出するリード部の総数を減少させることができる。
【0080】
すなわち、第2内部電極122の第1リード部122b及び第4内部電極124の第4リード部124bがキャパシタ本体110の一側にのみそれぞれ露出するように配置することにより、リード部122b、124bが形成されていない周辺部との段差を減少させることができる。
【0081】
この際、第2及び第4内部電極122、124の第1及び第4リード部122b、124bは、第1及び第4リード部122b、124bの位置を分散させて積層することができる。
【0082】
以下、上記の説明を除いて重複する説明は省略する。
【0083】
図10図8の実施形態による積層セラミックキャパシタの内部電極の露出部分を撮影したものである。
【0084】
図10を参照すると、一側に露出するリード部の数を、図1の比較例による積層セラミックキャパシタに比べて1/2に減らして評価した結果、リード部による段差が影響をほとんど与えないことを確認できる。
【0085】
図11は本発明のさらに他の実施形態による積層セラミックキャパシタのキャパシタ本体の中央部における幅-厚さ面の切断面を概略的に示す断面図である。
【0086】
図11を参照すると、第3内部電極123をキャパシタ本体110の上下カバー領域内に配置することができる。すなわち、第3内部電極123は、キャパシタ本体110内において上下の内部電極として用いられることができる。
【0087】
また、他の実施形態として、第3内部電極123は、キャパシタ本体110の中央部及び上下カバー部にともに配置することもできる。
【0088】
この際、第3内部電極123の積層数は、チップの特性に応じて、一つであってもよく、複数個を連続して配置してもよい。本実施形態では、上下カバー領域にそれぞれ3つを連続して配置すると説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0089】
以下、上記の説明を除いて重複する説明は省略する。
【0090】
図12図4の実施形態に連結電極が追加されたことを示す透視斜視図である。
【0091】
本発明による積層セラミックキャパシタは、上述した選別過程で発生する問題を解決するために、図12のように、キャパシタ本体110の第1面1または第2面2に、第3及び第4外部電極133、134と接続される連結電極140をさらに配置することができる。
【0092】
図12には、連結電極140がキャパシタ本体110の第2面2に形成されて第3及び第4外部電極133、134と接続されるように示して説明しているが、本発明の連結電極140は、キャパシタ本体110の第1面1のみに形成してもよく、キャパシタ本体110の第1及び第2面1、2にともに形成してもよい。
【0093】
また、本実施形態における連結電極140は、長方体形状に示されているが、本発明はこれに限定されず、必要に応じて、曲線状またはジグザグ状などで構成してもよい。
【0094】
また、必要に応じて、連結電極140上に連結電極140をカバーするように誘電体層(図示せず)をさらに配置することで、連結電極140が外部に露出することを防止するように構成することができる。
【0095】
かかる連結電極140の材料は、特に制限されるものではなく、例えば、第1~第4内部電極121~124と同様に、導電性金属を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0096】
この際、上記導電性金属は、これに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金であることができる。
【0097】
以下、上記の説明を除いて重複する説明は省略する。
【0098】
図13図4の実施形態による積層セラミックキャパシタが実装された基板を示す斜視図である。
【0099】
図13を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの実装基板は、一面に第1~第4電極パッド221~224を有する基板210と、基板210の一面において第1~第4外部電極131~134が第1~第4電極パッド221~224上にそれぞれ接続されるように実装される積層セラミックキャパシタ100と、を含む。図13における図面符号230は、電極パッドと外部電極とを接合させるための半田を示す。
【0100】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0101】
100 積層セラミックキャパシタ
110 キャパシタ本体
111 誘電体層
121、122、123、124 第1~第4内部電極
122a、123a、124a 第1~第3本体部
122b、123b、123c、124b 第1~第4リード部
131、132、133、134 第1~第4外部電極
140 連結電極
210 基板
221、222、223、224 第1~第4電極パッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13