(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】留置針組立体
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20220621BHJP
A61M 5/158 20060101ALI20220621BHJP
A61M 39/06 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M5/158 500H
A61M39/06 110
A61M39/06 122
(21)【出願番号】P 2018139238
(22)【出願日】2018-07-25
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河内 一成
(72)【発明者】
【氏名】中川 大輔
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-517327(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141366(WO,A1)
【文献】特開2015-80707(JP,A)
【文献】特表2016-506855(JP,A)
【文献】国際公開第2019/17129(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
A61M 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空筒状体からなり血管に穿刺された状態で留置される外針と、
中空筒状体からなり該外針を先端部で支持する一方、基端部にルアー端子を接続可能なルアーテーパー部を備える外針基と、
該外針基の内部の基端側に配置される中空円筒部材と、
該外針基の軸方向に直交する面に開閉自在のスリットを備え該中空円筒部材に内嵌される止血弁と、
該外針基の内部の先端部に配置され、該中空円筒部材が該ルアー端子により先端方向に押動されたときに該止血弁のスリットに挿入されて該スリットの前後を連通させる接続部材とを備える留置針組立体であって、
該外針基は該ルアーテーパー部より先端側に位置する小径部と、該小径部より先端側に延在する大径部とを備え、
該中空円筒部材は基端側に第1の切欠部を備え、外周面に先端部と該第1の切欠部とを接続し気体を通過させる一方液体の通過を抑制する通気溝部を備え、その外周面が該小径部に当接する基端位置から該第1の切欠部の少なくとも一部が該大径部に配置される先端位置へと前進可能であり、
該接続部材は、少なくとも1つの第2の切欠部を備え該止血弁のスリットに挿入される突起部を備え、該第2の切欠部は該第1の切欠部と異なる方向に開口していることを特徴とする留置針組立体。
【請求項2】
請求項1記載の留置針組立体において、前記第2の切欠部は前記第1の切欠部に対し、直角となる方向に開口していることを特徴とする留置針組立体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の留置針組立体において、前記接続部材は前記外針基と別体であることを特徴とする留置針組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留置針組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外針を先端部で支持し基端部にルアー端子を接続可能なルアーテーパー部を備える外針基と、該外針基の内部に配設された通気性止血弁と、該止血弁を開閉する接続部材とを備える留置針組立体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記留置針組立体において、前記止血弁は中空有底筒状体からなり該中空有底筒状体の底部に開閉自在のスリットを備えている。一方、前記接続部材は、前記外針基の内部の先端部に一体的に形成された中空筒状体からなる。前記接続部材は、前記止血弁のスリットに向かって先細となっており、前記スリットに挿入されることにより前記止血弁を開弁する。
【0004】
前記留置針組立体は、内針を、基端部から前記止血弁の内部を介して前記外針の内部に挿入し、該内針の鋭利な先端部を該外針の先端部から突出させた状態で静脈の血管に穿刺する。このとき、前記内針は前記止血弁と前記接続部材との間で前記外針基内に開口する開口部を備えており、血管に穿刺すると、該開口部から前記外針基の内部に血液が流出する。そこで、前記外針基を透明又は半透明の材料で構成しておき、前記開口部から流出した血液を視認することにより前記内針が血管に穿刺されたことを確認することができる。
【0005】
前記内針が血管に穿刺されたならば、前記外針を該内針に沿って前進させ、血管に穿刺する。そして、前記外針が血管に穿刺された状態で前記内針を抜去することにより、該外針が血管に穿刺された状態で留置されることになる。
【0006】
前記留置針組立体では、前記外針が血管に穿刺された状態で、輸液装置等の先端に設けられたルアー端子が基端部に挿入されると、前記止血弁が該ルアー端子により押動されることにより前記接続部材が該止血弁のスリットに挿入され、該止血弁を開弁させる。この結果、前記輸液装置から供給される薬液等が前記外針を介して血管内に送られる。
【0007】
ところが、前記外針基の内部に流出した血液がそのまま滞留すると、細菌の繁殖源となったり、血栓源となったりするという問題がある。
【0008】
前記問題を解決するために、前記接続部材を前記止血弁の基端部側に配置し、該接続部材が前記ルアー端子により先端部側に押動されて前記スリットに挿入されるようにする一方、該接続部材の先端部の側面に切欠部を備える留置針組立体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
前記特許文献2に記載された留置針組立体によれば、前記輸液装置から供給される薬液等を前記接続部材先端部の側面に設けられた切欠部から流出させることにより前記外針基の内部に滞留する血液を洗い流して血管に流入させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特表2016-506855号公報
【文献】特許第5651597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記特許文献2に記載の留置針組立体では、止血弁のスリットの先端側に突出した接続部材先端部の側面に設けられた切欠部から前記薬液等が流出されるので、外針基の内部で該接続部材先端部の該切欠部から遠い領域に滞留する血液の排出に時間がかかったり、排出が不完全になったりすることがあるという不都合がある。
【0012】
本発明は、かかる不都合を解消して、外針基の内部に滞留する血液を短時間で完全に排出することができる留置針組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために、本発明の留置針組立体は、中空筒状体からなり血管に穿刺された状態で留置される外針と、中空筒状体からなり該外針を先端部で支持する一方、基端部にルアー端子を接続可能なルアーテーパー部を備える外針基と、該外針基の内部の基端側に配置される中空円筒部材と、該外針基の軸方向に直交する面に開閉自在のスリットを備え該中空円筒部材に内嵌される止血弁と、該外針基の内部の先端部に配置され、該中空円筒部材が該ルアー端子により先端方向に押動されたときに該止血弁のスリットに挿入されて該スリットの前後を連通させる接続部材とを備える留置針組立体であって、該外針基は該ルアーテーパー部より先端側に位置する小径部と、該小径部より先端側に延在する大径部とを備え、該中空円筒部材は基端側に第1の切欠部を備え、外周面に先端部と該第1の切欠部とを接続し気体を通過させる一方液体の通過を抑制する通気溝部を備え、その外周面が該小径部に当接する基端位置から該第1の切欠部の少なくとも一部が該大径部に配置される先端位置へと前進可能であり、該接続部材は、少なくとも1つの第2の切欠部を備え該止血弁のスリットに挿入される突起部を備え、該第2の切欠部は該第1の切欠部と異なる方向に開口していることを特徴とする。
【0014】
本発明の留置針組立体では、前記中空円筒部材が前記基端位置にある状態で、前記従来の留置針組立体と同様に、基端部から内針を挿入し、該内針を前記止血弁を介して前記外針の内部に挿入し、該内針の鋭利な先端部を静脈の血管に穿刺する。そして、前記内針の開口部から前記外針基の内部に血液を流出させる。このとき、前記外針基の内部には空気が存在しているが、本発明の留置針組立体では、前記中空円筒部材の外周面に前記通気溝部が形成されているので、該空気は該通気溝部を介して前記第1の切欠部に排気される。前記通気溝部は、気体を通過させる一方、液体の通過を抑制するので、前記血液は実質的に通気溝部を通過できず、前記外針基の内部が前記血液で円滑に満たされる。
【0015】
前記内針が血管に穿刺されたならば、前記外針を該内針に沿って前進させて血管に穿刺した後、前記内針を抜去することにより、該外針を血管に穿刺された状態で留置することができる。
【0016】
次に、前記外針が血管に穿刺された状態で、輸液装置等の先端に設けられたルアー端子が前記留置針組立体の基端部に挿入されると、前記中空円筒部材が該ルアー端子により押動されることにより、前記基端位置から前記先端位置に前進する。このようにすると、前記接続部材の突起部が前記止血弁のスリットに挿入されて該止血弁を開弁させ、該スリットの前後を連通させる。この結果、前記輸液装置から供給される薬液等が、前記中空円筒部材の内部及び前記接続部材の第2の切欠部を通り、前記外針を介して血管内に送られる。
【0017】
このとき、本発明の留置針組立体では、前記中空円筒部材は前記先端位置にあり、前記第1の切欠部の少なくとも一部が前記大径部に配置される一方、該中空円筒部材の外周面と該外針基の内周面との間には間隙がある。そこで、前記薬液等の一部は、前記中空円筒部材の第1の切欠部から該中空円筒部材の外周面と前記外針基の内周面との間隙を経て該外針基内に流出し、該外針基内部に満たされた血液を前記接続部材の第2の切欠部から前記外針に押し流す。
【0018】
従って、本発明の留置針組立体によれば、前記外針基の内部に滞留する血液を短時間で完全に排出し、前記第2の切欠部から前記外針を介して血管内に戻すことができる。また、本発明の留置針組立体では、前記第2の切欠部が前記第1の切欠部と異なる方向に開口しているので、該第1の切欠部から前記外針基内に流出した前記薬液等は該第2の切欠部に流入するために、該外針基の内周面に沿って回転して流れることとなり、前記外針基の内部に滞留する血液をさらに短時間で完全に排出することができる。
【0019】
本発明の留置針組立体において、前記第2の切欠部は前記第1の切欠部に対し、直角となる方向に開口していることが好ましい。このようにするときには、前記第1の切欠部から前記外針基内に流出した前記薬液等が前記第2の切欠部に流入するために該外針基の内周面に沿って回転して流れる際に、該第1の切欠部から流出し該第2の切欠部に流入するまでの該薬液等の流れる長さが等しくなる。従って、前記外針基の内部に滞留する血液を効率良く排出することができる。
【0020】
また、本発明の留置針組立体において、前記接続部材は、前記外針基と一体に形成されていてもよいが、該外針基と別体であることが好ましい。
【0021】
前記止血弁のスリットは、中空有底筒状体からなる該止血弁の底面の中央に形成されていることが望ましいが、加工精度により中央から外れて形成されることがあると、前記接続部材を該スリットに挿入することが難しくなることがある。しかし、本発明の留置針組立体において、前記接続部材が前記外針基と別体である場合には、該外針基の軸に対して任意の角度で傾斜させることができる。従って、前記接続部材が傾斜して前記止血弁のスリットを指向したときに、該接続部材を該スリットに挿入することができ、該スリットが該止血弁の底面の中央から外れて形成されている場合にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】Aは本発明の留置針組立体の一構成例を示す斜視図、BはAの部分拡大斜視図。
【
図3】
図1に示す本発明の留置針組立体の作動を示す説明的断面図。
【
図4】
図3に示す状態における薬液の流れを示す説明的斜視図。
【
図5】本発明の留置針組立体の他の構成例を示す説明的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0024】
図1Aに示すように、本実施形態の留置針組立体1は、中空筒状体からなる外針2と、外針2を先端部で支持する外針基3と、外針基3内の基端側に配設される中空円筒部材4と、外針基3の内部の先端部で外針2と中空円筒部材4との間に配設される接続部材5とを備える。
【0025】
外針基3は透明又は半透明の樹脂からなる中空筒状体であり、先端部に形成されて外針2を支持する小径の支持部31と、支持部31から基端部に向かって次第に拡径する拡径部32と、拡径部32の基端側に連接する大径部33と、大径部33の基端側に連接する小径部34と、小径部34の基端側に連接し小径部34から基端部に向かって次第に拡径するルアーテーパー部35とを備えている。外針基3は、換言すれば、ルアーテーパー部35より先端側に位置する小径部34と、小径部34より先端側に延在する大径部33とを備えている。
【0026】
中空円筒部材4は、基端側に例えば1対の第1の切欠部41,41を備え、第1の切欠部41,41は中空円筒部材4の軸に対して対称に設けられている。また、中空円筒部材4は、先端部42と第1の切欠部41との間の外周面に、先端部42と第1の切欠部41とを接続する複数の通気溝部43を備えている。通気溝部43は例えば100~200μmの幅を備えており、空気等の気体を通過させる一方、血液等の液体の通過を抑制する構成となっている。
【0027】
また、中空円筒部材4は、先端部42の外周面の全面が小径部34に当接する基端位置と、該基端位置から先端側であって、第1の切欠部41の少なくとも一部が大径部33に配置される先端位置へと前進可能とされており、先端部42には中空有底筒状体からなる止血弁44が内嵌されている。止血弁44は、軟質樹脂からなり、外針基3の軸方向に直交する面である底面に開閉自在のスリット45を備えている。尚、止血弁44は、円盤状又は中実円柱状であってもよい。
【0028】
図1Bに示すように、接続部材5は、硬質樹脂からなり、外針基3の内部の拡径部32に遊嵌される円錐状の嵌合部51と、嵌合部51の後端側に連接されてスリット45に挿入される挿入部52とを備える。挿入部52は嵌合部51よりも小径であり、後端部に向かって次第に縮径するように形成されている。嵌合部51は、その先端部から基端側に軸に沿って形成され嵌合部51の側面に開口する第1のU字溝部53を備え、挿入部52はその先端部から基端側に軸に沿って形成され軸に対してU字溝部53と対称となる側に開口する第2のU字溝部54を備えている。第1のU字溝部53と第2のU字溝部54とは、嵌合部51と挿入部52との境界で連通孔55を介して連通している。また、挿入部52は、軸に対してU字溝部54の開口部と対称となる側に平坦部56を備えている。
【0029】
接続部材5では、第1のU字溝部53と第2のU字溝部54とにより第2の切欠部が形成されており、第1のU字溝部53と第2のU字溝部54とはそれぞれ第1の切欠部41と異なる方向に開口しており、例えば1対の第1の切欠部41を結ぶ線と直交する方向に開口している。
【0030】
次に、本実施形態の留置針組立体1の作動について説明する。
【0031】
留置針組立体1を使用するときには、まず
図1に示すように、中空円筒部材4が、先端部42の外周面の全面が小径部34に当接する基端位置にある状態で、図示しない内針を、ルアーテーパー部35の基端部から止血弁44のスリット45に挿入する。中空円筒部材4が基端位置にある状態では、接続部材5の爪部53,53は止血弁44のスリット45に挿入されていない。
【0032】
そこで、止血弁44のスリット45に挿入された前記内針は、接続部材5の第2の切欠部(第2のU字溝部54及び第1のU字溝部53)を介して外針2の内部に挿入され、該内針の鋭利な先端部が外針3の先端部から突出された状態で静脈の血管に穿刺される。前記内針は止血弁44と接続部材5との間で外針基3の大径部33に開口する開口部を備えており、血管に穿刺すると、該開口部から大径部33の内部に血液が流出(フラッシュバック)する。
【0033】
このとき、大径部33の内部には空気が存在しているが、該空気は中空円筒部材4の外周面に形成されている通気溝部43を介して、先端部42から第1の切欠部41に排気され、大径部33の内部が前記血液で円滑に満たされる。尚、通気溝部43は、空気等の気体を通過させる一方、血液等の液体の通過を抑制するので、前記血液は通気溝部43に侵入することはあるものの実質的に通気溝部43を通過することはできない。
【0034】
またこのとき、外針基3は透明又は半透明の樹脂からなるので、外部から大径部33の内部を透視することができ、大径部33の内部の血液を視認することにより前記内針が血管に穿刺されたことを確認することができる。
【0035】
次に、前記内針が血管に穿刺されたならば、外針3を該内針に沿って前進させ、血管に穿刺する。そして、外針3が血管に穿刺された状態で前記内針を抜去することにより、外針3を血管に穿刺された状態で留置することができる。
【0036】
次に、留置針組立体1では、
図3に示すように、輸液装置等の先端に設けられたルアー端子6をルアーテーパー部35に挿入する。このようにすると、中空円筒部材4がルアー端子6により先端側に押動され、先端位置に前進し、第1の切欠部41の少なくとも一部が大径部33に配置される。また、同時に、接続部材5の挿入部52が止血弁44のスリット45に挿入されて止血弁44を開弁させる。この結果、接続部材5の挿入部52によりスリット45の前後が連通されることとなり、前記輸液装置から供給される薬液等が止血弁44、第2のU字溝部54及び第1のU字溝部53から外針2を介して血管内に送られる。
【0037】
このとき、
図4に示すように、前記薬液等の主流S
1は、中空円筒部材4から接続部材5の第2のU字溝部54及び第1のU字溝部53を介して外針2の内部に流入するが、中空円筒部材4は第1の切欠部41を備え、前記先端位置では先端部42の外周面と外針基3の大径部33の内周面との間に間隙が存している。そこで、前記薬液等の一部が、第1の切欠部41から先端部42の外周面と外針基3の大径部33の内周面との間隙を通って大径部33に流入することとなり、支流S
2が形成される。これにより、通気溝部43に血液が侵入している場合でも、該血液が前記薬液等の支流S
2により大径部33方向に洗い流される。そして、前記薬液等の支流S
2は、第2のU字溝部54に流入し、主流S
1に合流する。さらに、支流S
2の一部は、軸に対して第2のU字溝部54と対称となる側に形成されている平坦部56に沿って流れる支流S
3を形成し、支流S
3は第1のU字溝部53に流入して主流S
1に合流する。
【0038】
この結果、大径部33を満たしている血液は前記薬液等の支流S2、S3により第2のU字溝部54及び第1のU字溝部53から外針2の内部に流入することができ、該血液を短時間で完全に外針基3の内部から排出することができる。
【0039】
このとき、第2のU字溝部54及び第1のU字溝部53は、1対の第1の切欠部41,41を結ぶ線に対し、例えば直交する方向に開口しているので、第1の切欠部41から流出した前記薬液等の支流S2は、中空円筒部材4の先端部42の周囲から外針基3の大径部33の内周面に沿って回転しながら第2のU字溝部54に流入することになり、また前記薬液等の支流S3は、中空円筒部材4の先端部42の周囲から外針基3の大径部33の内周面に沿って回転しながら平坦部56から第1のU字溝部53に流入することになるので、前記血液を外針基3の内部から効率良く排出することができる。
【0040】
また、止血弁44のスリット45は、加工精度により止血弁44の中央(軸)から外れて形成されることがある。しかし、本実施形態の留置針組立体1では、
図1に示すように、接続部材5の嵌合部51は外針基3の拡径部32に対して遊嵌されており、嵌合部51の外周面と、拡径部32の内周面との間には間隙がある。
【0041】
そこで、接続部材5は、外針基3の軸に対して任意の角度で傾斜することができ、スリット45が止血弁44の中央から外れて形成されているときには、外針基3の軸に対して傾斜した爪部53,53がスリット45を指向したときに、爪部53,53をスリット45に挿入することができる。
【0042】
また、止血弁44のスリット45の加工精度が優れている場合には、
図4に示すように、接続部材5としての挿入部52が、外針基3の先端部で外針基3の拡径部32と一体に形成されていてもよい。
図4に示す接続部材5において挿入部52は後端部に向かって次第に縮径するように形成されており、側面に1対の第2の切欠部57を備えている。
【0043】
尚、本実施形態では、外針基3を透明又は半透明の樹脂で構成することにより外部から大径部33の内部の血液を視認して前記内針が血管に穿刺されたことを確認するようにしている。しかし、外針基3は、大径部33の内部の血液を外部から確認できる構成であれば、不透明な樹脂により構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…留置針組立体、 2…外針、 3…外針基、 4…中空円筒部材、 5…接続部材、 6…ルアー端子、 33…大径部、 34…小径部、 35…ルアーテーパー部、 41…第1の切欠部、 43…通気溝部、 44…止血弁、 45…スリット、 53,54,57…第2の切欠部。