(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】正極、電池およびその製造方法、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置ならびに電力システム
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20220621BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220621BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20220621BHJP
C01G 23/00 20060101ALI20220621BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20220621BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20220621BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20220621BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20220621BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20220621BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/13
H01M4/139
C01G23/00 C
H01M50/284
H01M50/247
H01M50/249
H01M50/251
H01M10/052
(21)【出願番号】P 2017056232
(22)【出願日】2017-03-22
【審査請求日】2019-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】古池 陽祐
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-241665(JP,A)
【文献】特開2005-123185(JP,A)
【文献】特開平06-064924(JP,A)
【文献】特開2016-162602(JP,A)
【文献】特開2001-283861(JP,A)
【文献】特開2013-054973(JP,A)
【文献】国際公開第2008/050875(WO,A1)
【文献】特開2013-054909(JP,A)
【文献】特開平06-231749(JP,A)
【文献】特開2013-069555(JP,A)
【文献】L. Affleck, C. Leach,Microstructures of BaTiO3 based PTC thermistors with Ca, Sr and Pb additions,Journal of the European Ceramic Society,2005年,Vol.25, No.12,pp.3017-3020
【文献】J. Seaton, C. Leach,Local property measurement in PTC thermistors,Acta Materialia,2003年,Vol.51, No.20,pp.6027-6034
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13-4/62
H01M 4/66
H01M 10/052
H01M 50/204-50/284
C01G 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極と電解質とを備え、
前記正極は、正極活物質層を含み、
前記正極
活物質層は、置換型チタン酸バリウムを含み、
前記置換型チタン酸バリウムは、前記正極活物質層内の全体に存在しており、
前記置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛により構成されており、
前記正極
活物質層は、さらに正極活物質を含み、
前記置換型チタン酸バリウムの平均粒径は、300nm以上、前記正極活物質の平均粒径以下である、電池。
【請求項2】
前記置換型チタン酸バリウムは、PTC機能を有する請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記正極は、PTC機能を有する請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛は、以下の式(3)で表される請求項1から3のいずれかに記載の電池。
(Ba
1-x-y-zPb
xSr
yCa
z)TiO
3 ・・・(3)
(但し、式(3)中、xは0<x≦0.5、yは0<y≦0.2、zは0<z≦0.2である。)
【請求項5】
前記PTC機能は、前記置換型チタン酸バリウムの抵抗が100℃以上200℃以下の範囲内において2倍以上に増加する機能である請求項2または3に記載の電池。
【請求項6】
30℃の前記電池のインピーダンスZ1と150℃の前記電池のインピーダンスZ2とのインピーダンス比(Z2/Z1)が、7.0以上である請求項1から5のいずれかに記載の電池。
【請求項7】
正極活物質および置換型チタン酸バリウムを含
む正極活物質層を含み、
前記置換型チタン酸バリウムは、前記正極活物質層内の全体に存在しており、
前記置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛により構成されており、
前記置換型チタン酸バリウムの平均粒径は、300nm以上、前記正極活物質の平均粒径以下である、正極。
【請求項8】
正極活物質と結着剤と導電剤とを混合した後に、置換型チタン酸バリウムを添加することにより塗料を作製し、
前記塗料を用いて正極活物質層を形成する
ことを含み、
前記置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛により構成されており、
前記置換型チタン酸バリウムの平均粒径は、300nm以上、前記正極活物質の平均粒径以下である、電池の製造方法。
【請求項9】
請求項1から
6のいずれかに記載の電池と、
前記電池を制御する制御部と、
を備える電池パック。
【請求項10】
請求項1から
6のいずれかに記載の電池を備え、
前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
【請求項11】
請求項1から
6のいずれかに記載の電池と、
前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
前記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を備える電動車両。
【請求項12】
請求項1から
6のいずれかに記載の電池を備え、
前記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
【請求項13】
請求項1から
6のいずれかに記載の電池を備え、
前記電池から電力の供給を受ける電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、正極、電池およびその製造方法、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置ならびに電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池は、携帯電話、ノートパソコン、電動工具および電気自動車などの電源として広く用いられている。電池特性は、電池に用いる電極、電解質およびセパレータに大きく左右されるため、それらの部材に関して様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、正極に関しては以下に示す技術が提案されている。
特許文献1では、正極合剤層中に誘電率の高いチタン酸バリウム(平均粒径300nm以下)を分散させ、チタン酸バリウムの分極効果により正極合剤中のイオン伝導性を向上し、リチウムイオン二次電池の電池容量を向上する技術が提案されている。
【0004】
特許文献2では、電極合剤層やセパレータに粒径が200nm以下の誘電体粒子(チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛)を分散させることにより、誘電体粒子近傍における局所的なリチウム塩の解離度を向上し、短時間出力特性を高める技術が提案されている。
【0005】
特許文献3では、電極合剤層中に比誘電率12以上の無機化合物(チタン酸バリウム、チタニア)を含有させることにより、リチウム塩の解離度を向上し、負荷特性を良好なものとする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5825006号公報
【文献】特開2016-119180号公報
【文献】特開2001-283861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本技術の目的は、安全性を向上できる正極、電池およびその製造方法、その電池を備える電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置ならびに電力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本技術の電池は、正極と負極と電解質とを備え、正極は、正極活物質層を含み、正極活物質層は、置換型チタン酸バリウムを含み、置換型チタン酸バリウムは、正極活物質層内の全体に存在しており、置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛により構成されており、正極活物質層は、さらに正極活物質を含み、置換型チタン酸バリウムの平均粒径は、300nm以上、正極活物質の平均粒径以下である。
【0010】
本技術の正極は、正極活物質および置換型チタン酸バリウムを含む正極活物質層を含み、置換型チタン酸バリウムは、正極活物質層内の全体に存在しており、置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛により構成されており、置換型チタン酸バリウムの平均粒径は、300nm以上、正極活物質の平均粒径以下である。
【0011】
本技術の電池の製造方法は、正極活物質と導電剤とを混合した後に、置換型チタン酸バリウムを添加することにより塗料を作製し、塗料を用いて正極活物質層を形成することを含み、置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛により構成されており、置換型チタン酸バリウムの平均粒径は、300nm以上、正極活物質の平均粒径以下である。
【0012】
本技術の電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システムは、上述の電池を備える。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、電池の安全性を向上できる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果またはそれらと異質な効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本技術の第1の実施形態に係る二次電池の構成の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した巻回型電極体の一部を拡大して表す断面図である。
【
図3】
図3は、本技術の第2の実施形態に係る二次電池の構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線に沿った巻回型電極体の断面図である。
【
図5】
図5は、本技術の第3の実施形態に係る二次電池の構成の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、応用例としての電子機器の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、応用例としての車両における蓄電システムの構成の一例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、応用例としての住宅における蓄電システムの構成の一例を示す概略図である。
【
図9】
図9は、実施例1、比較例1の電池のインピーダンスの温度依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本技術の実施形態について以下の順序で説明する。
1 第1の実施形態(置換型ペロブスカイト酸化物を含む正極を備える円筒型電池の例)
2 第2の実施形態(置換型ペロブスカイト酸化物を含む正極を備えるラミネートフィルム型電池の例)
3 第3の実施形態(置換型ペロブスカイト酸化物を含む中間層を備える円筒型電池の例)
4 応用例1(電池パックおよび電子機器)
5 応用例2(車両における蓄電システム)
6 応用例3(住宅における蓄電システム)
【0016】
<1 第1の実施形態>
[電池の構成]
以下、
図1を参照しながら、本技術の第1の実施形態に係る二次電池の一構成例について説明する。この二次電池は、例えば、負極の容量が、電極反応物質であるリチウム(Li)の吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池である。この二次電池はいわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して積層し巻回された巻回型電極体20を有している。電池缶11は、ニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、液状の電解質としての電解液が注入され、正極21、負極22およびセパレータ23に含浸されている。また、巻回型電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
【0017】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、封口ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられている。これにより、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回型電極体20との電気的接続を切断するようになっている。封口ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0018】
巻回型電極体20の中心には、例えばセンターピン24が挿入されている。巻回型電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
【0019】
30℃の電池のインピーダンスZ1と150℃の電池のインピーダンスZ2とのインピーダンス比(Z2/Z1)が、電池の安全性を向上する観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、さらにより好ましくは6以上、特に好ましくは7以上である。
【0020】
上記のインピーダンス比(Z2/Z1)は以下のようにして求められる。まず、熱感抵抗素子16などの安全機構や保護回路を除去または機能しない状態としたのち、バッテリハイテスタ(日置電機社製、型式:3561)用いて、30℃、150℃の電池のインピーダンスZ1、Z2を測定する。次に、測定したインピーダンスZ1、Z2を用いて、インピーダンス比(Z2/Z1)を求める。
【0021】
以下、
図2を参照しながら、二次電池を構成する正極21、負極22、セパレータ23、および電解液について順次説明する。
【0022】
(正極)
正極21は、PTC機能を有している。このPTC機能は、100℃以上200℃以下の範囲内において抵抗が急激に上昇する特性を有するものであることが好ましい。正極21は、例えば、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔またはステンレス箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質と、置換型ペロブスカイト酸化物とを含んでいる。正極活物質層21Bは、必要に応じて添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、導電剤および結着剤のうちの少なくとも1種を用いることができる。
【0023】
(正極活物質)
正極活物質は、正極活物質粒子の粉末である。リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質としては、例えば、リチウム酸化物、リチウムリン酸化物、リチウム硫化物またはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。エネルギー密度を高くするには、リチウムと遷移金属元素と酸素(O)とを含むリチウム含有化合物が好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(A)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(B)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられる。リチウム含有化合物としては、遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル、マンガン(Mn)および鉄からなる群のうちの少なくとも1種を含むものであればより好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えば、式(C)、式(D)もしくは式(E)に示した層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(F)に示したスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、または式(G)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩などが挙げられ、具体的には、LiNi0.50Co0.20Mn0.30O2、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)、Lic1Nic2Co1-c2O2(c1≒1,0<c2<1)、LidMn2O4(d≒1)またはLieFePO4(e≒1)などがある。
【0024】
LipNi(1-q-r)MnqM1rO(2-y)Xz ・・・(A)
(但し、式(A)中、M1は、ニッケル、マンガンを除く2族~15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p、q、y、zは、0≦p≦1.5、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、-0.10≦y≦0.20、0≦z≦0.2の範囲内の値である。)
【0025】
LiaM2bPO4 ・・・(B)
(但し、式(B)中、M2は、2族~15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a、bは、0≦a≦2.0、0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。)
【0026】
LifMn(1-g-h)NigM3hO(2-j)Fk ・・・(C)
(但し、式(C)中、M3は、コバルト、マグネシウム(Mg)、アルミニウム、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)およびタングステン(W)からなる群のうちの少なくとも1種を表す。f、g、h、jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0.5、0≦h≦0.5、g+h<1、-0.1≦j≦0.2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。)
【0027】
LimNi(1-n)M4nO(2-p)Fq ・・・(D)
(但し、式(D)中、M4は、コバルト、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。m、n、pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0.005≦n≦0.5、-0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。)
【0028】
LirCo(1-s)M5sO(2-t)Fu ・・・(E)
(但し、式(E)中、M5は、ニッケル、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。r、s、tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、-0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。)
【0029】
LivMn2-wM6wOxFy ・・・(F)
(但し、式(F)中、M6は、コバルト、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。)
【0030】
LizM7PO4 ・・・(G)
(但し、式(G)中、M7は、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、ニオブ(Nb)、銅、亜鉛、モリブデン、カルシウム、ストロンチウム、タングステンおよびジルコニウムからなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。)
【0031】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質としては、これらの他にも、MnO2、V2O5、V6O13、NiS、MoSなどのリチウムを含まない無機化合物も挙げられる。
【0032】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極活物質は、上記以外のものであってもよい。また、上記で例示した正極活物質は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
【0033】
(置換型ペロブスカイト酸化物)
置換型ペロブスカイト酸化物は、主に置換型チタン酸バリウムを含有する。置換型ペロブスカイト酸化物は、正極活物質層21B内の全体に存在していてもよいし、正極活物質層21B内の一部に存在していてもよいが、電池の安全性を向上する観点からすると、正極活物質層21B内の全体に存在していることが好ましい。置換型ペロブスカイト酸化物の濃度分布が、正極活物質層21Bの厚さ方向に一定であってもよいし、変化していてもよい。
【0034】
置換型ペロブスカイト酸化物は、置換型ペロブスカイト酸化物粒子の粉末である。具体的には、置換型ペロブスカイト酸化物は、置換型チタン酸バリウム粒子を含有する粉末である。置換型ペロブスカイト酸化物粒子の形状としては、例えば、球状、楕円体状、針状、板状、鱗片状、チューブ状、ワイヤー状、棒状(ロッド状)、不定形状などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。なお、上記形状の粒子を2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0035】
置換型ペロブスカイト酸化物は、PTC機能を有する置換型ペロブスカイト酸化物である。置換型ペロブスカイト酸化物は、100℃以上200℃以下の範囲内にキュリー温度を有していることが好ましい。すなわち100℃以上200℃以下の範囲内において抵抗が急激に上昇する特性を有していることが好ましい。
【0036】
PTC機能は、電池の安全性を向上する観点から、置換型ペロブスカイト酸化物のペレット抵抗値が100℃以上200℃以下の範囲内において、好ましくは2倍以上、より好ましくは10倍以上、さらにより好ましくは1000倍以上、特に好ましくは10000倍以上に増加する機能である。ここで、“n倍以上に増加する”とは、100℃以上200℃以下の範囲内の抵抗の最小値を基準として、100℃以上200℃以下の範囲内において抵抗値がn倍以上に増加することを意味する。
【0037】
上記の置換型ペロブスカイト酸化物の抵抗値の増加は次のようにして測定される。まず、置換型ペロブスカイト酸化物の粉末を直径3.5mm、厚さ0.5mm、体積密度5.5g/ccのペレット状に圧縮成型後1300℃で焼成することにより、測定サンプルを作製したのち、測定サンプルの両面に金(Au)からなる電極を形成する。次に、100℃以上200℃以下の範囲内で測定サンプルを加温しながら、2端子法により測定サンプルの抵抗値を測定する。
【0038】
置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムに含まれるバリウムの一部をアルカリ土類金属のうちの少なくとも1種で元素置換したもの、チタン酸バリウムに含まれるバリウムの一部をアルカリ土類金属のうちの少なくとも1種と鉛とで元素置換したもの、およびチタン酸バリウムに含まれるバリウムの一部をアルカリ金属のうちの少なくとも1種とビスマスとで元素置換したもののうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。ここで、アルカリ土類金属は、ストロンチウムおよびカルシウムのうちの少なくとも1種が好ましい。アルカリ金属は、ナトリウムおよびカルシウムのうちの少なくとも1種が好ましい。
【0039】
より具体的には、置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムビスマスナトリウムおよびチタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムビスマスナトリウム、チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛はそれぞれ、以下の式(1)、(2)、(3)で表されるものであることが好ましい。
(Ba1-vSrv)TiO3 ・・・(1)
(但し、式(1)中、vは0<v≦0.5である。)
(Ba1-u-wBiuNaw)TiO3 ・・・(2)
(但し、式(2)中、uは0<u<0.5、wは0<w<0.5である。)
(Ba1-x-y-zPbxSryCaz)TiO3 ・・・(3)
(但し、式(3)中、xは0<x≦0.5、yは0<y≦0.2、zは0<z≦0.2である。)
【0040】
置換型ペロブスカイト酸化物粒子の平均粒径は、好ましくは20nm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらにより好ましくは1μm以上、特に好ましくは5μm以上である。置換型ペロブスカイト酸化物粒子の平均粒径が20nm以上であると、粒子としてのPTC機能を更に向上することができる。したがって、異常昇温時におけるジュール熱の発生を抑制する効果を更に向上することができる。また、正極合剤塗料(正極合剤スラリー)の性状(例えば沈降性、チキソ性など)の悪化を抑制することができる。置換型ペロブスカイト酸化物の平均粒径は、好ましくは正極活物質粒子の平均粒径以下である。置換型ペロブスカイト酸化物の平均粒径が正極活物質粒子の平均粒径を超える場合、プレス時の正極合剤密度が低くなり、セルの体積当たりのエネルギー密度が低下する。
【0041】
上記の置換型ペロブスカイト酸化物粒子の平均粒径は以下のようにして求められる。まず、イオンミリングなどにより正極21の断面を作製し、断面SEM像を撮影する。次に、この断面SEM像から、無作為に100個の置換型ペロブスカイト酸化物粒子を選び出して、これらの粒子の粒径Dを測定し、置換型ペロブスカイト酸化物粒子の粒度分布を得る。ここで、粒子が球形でない場合には、粒子の輪郭に接するように、あらゆる角度から引いた2本の平行線間の距離のうち最大のもの(いわゆる最大フェレ径)を粒子の粒径とする。続いて、得られた粒度分布からメジアン径(50%径、D50)を求めて、これを平均粒子径とする。
【0042】
上記の正極活物質粒子の平均粒径は、断面SEM像から無作為に100個の正極活物質粒子を選び出す以外のことは、上記の置換型ペロブスカイト酸化物粒子の平均粒径の求め方と同様にして求められる。
【0043】
正極活物質層21B中における置換型ペロブスカイト酸化物の含有量は、好ましくは0.01質量%以上2質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上0.2質量%以下である。置換型ペロブスカイト酸化物の含有量が0.01質量%以上であると、電池の異常昇温時におけるジュール熱の発生を特に抑制することができる。したがって、電池の安全性を特に向上することができる。一方、置換型ペロブスカイト酸化物の含有量が2質量%以下であると、電子およびイオンの動きの阻害を抑制できるので、充放電特性(具体的には電池容量、サイクル特性など)の低下を抑制することができる。
【0044】
上記の置換型ペロブスカイト酸化物の含有量は以下のようにして求められる。まず、置換型ペロブスカイト酸化物を含む正極21を洗浄後、アルミ箔などの正極集電体21Aから正極活物質層21Bをはがす。次に、熱重量分析装置(TG)を用い、1000℃までの正極活物質層21Bの重量減少を測定する。850℃付近の重量減少分を結着剤と導電剤とし、残分を正極活物質と置換型ペロブスカイト酸化物の重量和とする。続いて、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置を用いて、正極活物質と置換型ペロブスカイト酸化物の含有比率を測定する。正極活物質(例えばLiCoO2)と置換型ペロブスカイト酸化物(例えばBa0.9Sr0.1TiO3)の場合、金属元素の重量比率から置換型ペロブスカイト酸化物の含有量や組成を特定することが可能である(必要に応じてICPの前にXRDを用いて、正極活物質や置換型ペロブスカイト酸化物の物質同定をしてもよい)。
【0045】
置換型ペロブスカイト酸化物粒子と導電剤粒子との比表面積比(置換型ペロブスカイト酸化物粒子の比表面積/導電剤粒子の比表面積)は、0.01以上0.2以下であることが好ましい。
【0046】
(結着剤)
結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などの樹脂材料、ならびにこれらの樹脂材料を主体とする共重合体などから選択される少なくとも1種が用いられる。
【0047】
(導電剤)
導電剤は、導電剤粒子の粉末である。導電剤としては、例えば、黒鉛、炭素繊維、カーボンブラック、ケッチェンブラックまたはカーボンナノチューブなどの炭素材料が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料または導電性高分子材料などを用いるようにしてもよい。
【0048】
(負極)
負極22は、例えば、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、銅箔、ニッケル箔またはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0049】
負極活物質層22Bは、リチウムを吸蔵および放出することが可能な1種または2種以上の負極活物質を含んでいる。負極活物質層22Bは、必要に応じて結着剤や導電剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0050】
なお、この二次電池では、負極22または負極活物質の電気化学当量が、正極21の電気化学当量よりも大きくなっており、理論上、充電の途中において負極22にリチウム金属が析出しないようになっていることが好ましい。
【0051】
(負極活物質)
負極活物質としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
【0052】
また、高容量化が可能な他の負極活物質としては、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素(例えば、合金、化合物または混合物)として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本技術において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0053】
このような負極活物質としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、チタン、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0054】
負極活物質としては、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、より好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。このような負極活物質としては、例えば、ケイ素の単体、合金または化合物や、スズの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
【0055】
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
【0056】
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
【0057】
中でも、Sn系の負極活物質としては、コバルトと、スズと、炭素とを構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下であり、かつスズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合が30質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において高いエネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるからである。
【0058】
このSnCoC含有材料は、必要に応じて更に他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン(P)、ガリウムまたはビスマスが好ましく、2種以上を含んでいてもよい。容量またはサイクル特性を更に向上させることができるからである。
【0059】
なお、このSnCoC含有材料は、スズと、コバルトと、炭素とを含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、このSnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下はスズなどが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集あるいは結晶化を抑制することができるからである。
【0060】
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(XPS)が挙げられる。XPSでは、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、SnCoC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
【0061】
なお、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
【0062】
その他の負極活物質としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物または高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物としては、例えば、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)などのチタンとリチウムとを含むリチウムチタン酸化物、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどが挙げられる。
【0063】
(結着剤)
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、スチレンブタジエンゴムおよびカルボキシメチルセルロースなどの樹脂材料、ならびにこれら樹脂材料を主体とする共重合体などから選択される少なくとも1種が用いられる。
【0064】
(導電剤)
導電剤としては、正極活物質層21Bと同様の炭素材料などを用いることができる。
【0065】
(セパレータ)
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの樹脂製の多孔質膜によって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は短絡防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特にポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ23を構成する材料として好ましい。他にも、化学的安定性を備えた樹脂を、ポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合またはブレンド化した材料を用いることができる。あるいは、多孔質膜は、ポリプロピレン層と、ポリエチレン層と、ポリプロピレン層とを順次に積層した3層以上の構造を有していてもよい。
【0066】
セパレータ23は、基材と、基材の片面または両面に設けられた表面層を備える構成を有していてもよい。表面層は、電気的な絶縁性を有する無機粒子と、無機粒子を基材の表面に結着するとともに、無機粒子同士を結着する樹脂材料とを含んでいる。この樹脂材料は、例えば、フィブリル化し、フィブリルが相互連続的に繋がった三次元的なネットワーク構造を有していてもよい。無機粒子は、この三次元的なネットワーク構造を有する樹脂材料に担持されることにより、互いに連結することなく分散状態を保つことができる。また、樹脂材料はフィブリル化せずに基材の表面や無機粒子同士を結着してもよい。この場合、より高い結着性を得ることができる。上述のように基材の片面または両面に表面層を設けることで、耐酸化性、耐熱性および機械強度を基材に付与することができる。
【0067】
基材は、多孔性を有する多孔質層である。基材は、より具体的には、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性の膜から構成される多孔質膜であり、基材の空孔に電解液が保持される。基材は、セパレータの主要部として所定の機械的強度を有する一方で、電解液に対する耐性が高く、反応性が低く、膨張しにくいという特性を要することが好ましい。
【0068】
基材を構成する樹脂材料は、例えばポリプロピレン若しくはポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂またはナイロン樹脂などを用いることが好ましい。特に、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状ポリエチレンなどのポリエチレン、若しくはそれらの低分子量ワックス分、またはポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂は溶融温度が適当であり、入手が容易なので好適に用いられる。また、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造、もしくは、2種以上の樹脂材料を溶融混練して形成した多孔質膜としてもよい。ポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜を含むものは、正極21と負極22との分離性に優れ、内部短絡の低下をいっそう低減することができる。
【0069】
基材としては、不織布を用いてもよい。不織布を構成する繊維としては、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、またはナイロン繊維などを用いることができる。また、これら2種以上の繊維を混合して不織布としてもよい。
【0070】
無機粒子は、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物および金属硫化物などの少なくとも1種を含んでいる。金属酸化物としては、酸化アルミニウム(アルミナ、Al2O3)、ベーマイト(水和アルミニウム酸化物)、酸化マグネシウム(マグネシア、MgO)、酸化チタン(チタニア、TiO2)、酸化ジルコニウム(ジルコニア、ZrO2)、酸化ケイ素(シリカ、SiO2)または酸化イットリウム(イットリア、Y2O3)などを好適に用いることができる。金属窒化物としては、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化硼素(BN)または窒化チタン(TiN)などを好適に用いることができる。金属炭化物としては、炭化ケイ素(SiC)または炭化ホウ素(B4C)などを好適に用いることができる。金属硫化物としては、硫酸バリウム(BaSO4)などを好適に用いることができる。また、ゼオライト(M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O、Mは金属元素、x≧2、y≧0)などの多孔質アルミノケイ酸塩、層状ケイ酸塩、チタン酸バリウム(BaTiO3)またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの鉱物を用いてもよい。中でも、アルミナ、チタニア(特にルチル型構造を有するもの)、シリカまたはマグネシアを用いることが好ましく、アルミナを用いることがより好ましい。無機粒子は耐酸化性および耐熱性を備えており、無機粒子を含有する正極対向側面の表面層は、充電時の正極近傍における酸化環境に対しても強い耐性を有する。無機粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状、板状、繊維状、キュービック状およびランダム形状などのいずれも用いることができる。
【0071】
表面層を構成する樹脂材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどの含フッ素樹脂、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体などの含フッ素ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体またはその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体またはその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体またはその水素化物、メタクリル酸エステル-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体、エチレンプロピレンラバー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルなどのゴム類、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、全芳香族ポリアミド(アラミド)などのポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、アクリル酸樹脂またはポリエステルなどの融点およびガラス転移温度の少なくとも一方が180℃以上の高い耐熱性を有する樹脂などが挙げられる。これら樹脂材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、耐酸化性および柔軟性の観点からは、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂が好ましく、耐熱性の観点からは、アラミドまたはポリアミドイミドを含むことが好ましい。
【0072】
無機粒子の粒径は、1nm~10μmの範囲内であることが好ましい。1nmより小さいと、入手が困難であり、また入手できたとしてもコスト的に見合わない。一方、10μmより大きいと電極間距離が大きくなり、限られたスペースで活物質充填量が十分得られず電池容量が低くなる。
【0073】
表面層の形成方法としては、例えば、マトリックス樹脂、溶媒および無機物からなるスラリーを基材(多孔質膜)上に塗布し、マトリックス樹脂の貧溶媒且つ上記溶媒の親溶媒浴中を通過させて相分離させ、その後、乾燥させる方法を用いることができる。
【0074】
なお、上述した無機粒子は、基材としての多孔質膜に含有されていてもよい。また、表面層が無機粒子を含まず、樹脂材料のみにより構成されていてもよい。
【0075】
(電解液)
セパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。電解液は、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。電解液が、電池特性を向上するために、公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0076】
溶媒としては、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの環状の炭酸エステルを用いることができ、炭酸エチレンおよび炭酸プロピレンのうちの一方、特に両方を混合して用いることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。
【0077】
溶媒としては、また、これらの環状の炭酸エステルに加えて、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸メチルプロピルなどの鎖状の炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。高いイオン伝導性を得ることができるからである。
【0078】
溶媒としては、さらにまた、2,4-ジフルオロアニソールあるいは炭酸ビニレンを含むこと好ましい。2,4-ジフルオロアニソールは放電容量を向上させることができ、また、炭酸ビニレンはサイクル特性を向上させることができるからである。よって、これらを混合して用いれば、放電容量およびサイクル特性を向上させることができるので好ましい。
【0079】
これらの他にも、溶媒としては、炭酸ブチレン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピロニトリル、N,N-ジメチルフォルムアミド、N-メチルピロリジノン、N-メチルオキサゾリジノン、N,N-ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチルなどが挙げられる。
【0080】
なお、これらの非水溶媒の少なくとも一部の水素をフッ素で置換した化合物は、組み合わせる電極の種類によっては、電極反応の可逆性を向上させることができる場合があるので、好ましい場合もある。
【0081】
電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、ジフルオロ[オキソラト-O,O']ホウ酸リチウム、リチウムビスオキサレートボレート、あるいはLiBrなどが挙げられる。中でも、LiPF6は高いイオン伝導性を得ることができるとともに、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
【0082】
[正極電位]
満充電状態における正極電位(vsLi/Li+)は、好ましくは4.30V以上、より好ましくは4.35V以上、更により好ましくは4.40V以上、特に好ましくは4.45V以上である。但し、満充電状態における正極電位(vsLi/Li+)が、4.30V未満(例えば4.2Vまたは4.25V)であってもよい。満充電状態における正極電位(vsLi/Li+)の上限値は、特に限定されるものではないが、好ましくは6.00V以下、より好ましくは4.60V以下、更により好ましくは4.50V以下である。
【0083】
[電池の動作]
上述の構成を有する非水電解質二次電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
【0084】
[電池の製造方法]
次に、本技術の第1の実施形態に係る二次電池の製造方法の一例について説明する。
【0085】
まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの溶剤と混合(混練)することにより、混合物を得る。次に、この混合物に、置換型チタン酸バリウムを含有する置換型ペロブスカイト酸化物を加えて分散させて、塗料としての正極合剤スラリーを作製する。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を形成する。
【0086】
また、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN-メチル-2-ピロリドンなどの溶剤に分散させて、塗料としての負極合剤スラリーを作製する。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
【0087】
次に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けるとともに、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。次に、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回する。次に、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接するとともに、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12、13で挟み電池缶11の内部に収納する。次に、正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。次に、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16を封口ガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、
図1に示した二次電池が得られる。
【0088】
[効果]
第1の実施形態に係る二次電池では、正極活物質層21Bは置換型チタン酸バリウムを含有する置換型ペロブスカイト酸化物を含んでいる。これにより、短絡や加温などによる電池の異常昇温時に、正極活物質層21Bに含まれる置換型ペロブスカイト酸化物の抵抗が上昇し、正極活物質層21Bに流れる電流(例えば短絡電流など)が抑制されるため、正極21におけるジュール熱の発生が抑制される。したがって、ジュール熱発生に伴う熱暴走を抑制し、短絡系安全性(例えば衝突試験や釘刺し試験により評価される安全性)と加熱系安全性(例えば加熱試験により評価される安全性)を向上できる。
【0089】
第1の実施形態に係る二次電池の製造方法では、塗料作製工程の最後、すなわち正極活物質と結着剤と導電剤とを混合(混練)した後、置換型ペロブスカイト酸化物を加えているため、置換型ペロブスカイト酸化物粒子と導電剤粒子との接点を少なくすることができる。したがって、導電剤による異常昇温時の抵抗上昇機能の阻害を抑制することができる。すなわち、正極21のPTC機能を更に向上し、電池の安全性を更に向上することができる。
【0090】
置換型ペロブスカイト酸化物は、PTC機能だけでなく誘電機能も有しているので、リチウム塩の解離度を向上し、電池の出力特性を改善することもできる。
【0091】
PTC機能を有する材料として無機化合物を使用しているため、抵抗上昇の瞬間応答性を向上することができる。
【0092】
[変形例]
(変形例1)
置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムに含まれるバリウムの一部をアルカリ土類金属および希土類金属のうちの少なくとも1種で置換したもの、ならびにチタン酸バリウムに含まれるバリウムの一部をアルカリ土類金属および希土類金属のうちの少なくとも1種と鉛とで置換したもののうちの少なくとも1種であってもよい。また、置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムに含まれるバリウムおよびチタンの一部をアルカリ土類金属および希土類金属のうちの少なくとも1種で置換したもの、ならびにチタン酸バリウムに含まれるバリウムおよびチタンの一部をアルカリ土類金属および希土類金属のうちの少なくとも1種と鉛とで置換したもののうちの少なくとも1種であってもよい。また、置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムに含まれるチタンの一部をアルカリ土類金属および希土類金属のうちの少なくとも1種で置換したもの、ならびにチタン酸バリウムに含まれるチタンの一部をアルカリ土類金属および希土類金属のうちの少なくとも1種と鉛とで置換したもののうちの少なくとも1種であってもよい。ここで、アルカリ土類金属は、例えば、ストロンチウムおよびカルシウムのうちの少なくとも1種である。希土類金属は、例えば、イットリウム、ネオジウム、サマリウムおよびジスプロシウムのうちの少なくとも1種である。
【0093】
(変形例2)
正極活物質層21Bは、難燃剤をさらに含んでいてもよい。難燃剤は、正極活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆している。より具体的には、難燃剤は、正極活物質粒子の表面を部分的に被覆しているか、または正極活物質粒子の表面全体を被覆している。正極21の安全性およびガス発生を抑制する観点からすると、難燃剤は、正極活物質粒子の表面全体を被覆していることが好ましい。
【0094】
難燃剤は、正極活物質層21Bの全体に存在していてもよいし、正極活物質層21Bの一部に存在していてもよいが、電池の安全性を向上する観点からすると、正極活物質層21Bの全体に存在していることが好ましい。難燃剤の濃度分布が、正極活物質層21Bの厚さ方向に一定であってもよいし、変化していてもよい。
【0095】
難燃剤は、メラミン系化合物を含んでいる。メラミン系化合物は、メラミンおよびメラミン誘導体のうちの少なくとも1種を含み、安全性を向上する観点からすると、メラミン誘導体を含むことが好ましい。メラミン系化合物の熱分解開始温度は、電池の安全性を向上する観点から、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上、さらにより好ましくは350℃以上である。
【0096】
上記の熱分解開始温度は、次のようにして求められる。測定サンプルをサンプルパン(アルミナパン)に収容し、TG‐DTA(Thermogravimetry‐Differential Thermal Analysis)分析装置を用いて重量曲線を取得する。その後、取得したTG曲線に現れる重量減少開始温度を読み取る。
【0097】
メラミン誘導体は、例えば、メラミン化合物塩である。メラミン化合物塩は、例えば、無機酸とメラミンとの単塩(以下「第1の無機酸塩」という。)、無機酸とメラミンとメレムとメラムとの複塩(以下「第2の無機酸塩」という。)、および有機酸とメラミンとの有機酸塩のうちの少なくとも1種を含んでいる。
【0098】
第1の無機酸塩は、ホウ酸メラミン、ポリホウ酸メラミン、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、メタリン酸メラミンおよびポリリン酸メラミンのうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。ポリリン酸メラミンは、環状であってもよいし、鎖状であってもよい。
【0099】
第2の無機酸塩は、ピロリン酸メラミン・メレム・メラム複塩、リン酸メラミン・メレム・メラム複塩、メタリン酸メラミン・メレム・メラム複塩およびポリリン酸メラミン・メレム・メラム複塩のうちの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。ポリリン酸メラミン・メレム・メラム複塩は、環状であってもよいし、鎖状であってもよい。
【0100】
有機酸塩は、メラミンシアヌレートを含んでいることが好ましい。
【0101】
難燃剤は、上記のメラミン系化合物に加えて、赤燐および下記の式で表される化合物のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0102】
【化1】
(但し、式中、X1、X2、X3はメラミン系化合物、R1、R2は炭化水素基である。nは重合度を表す。)
【0103】
(変形例3)
正極活物質と、置換型ペロブスカイト酸化物と、導電剤と、結着剤とを混合(混練)して正極合剤を調製し、この正極合剤をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させて、塗料としての正極合剤スラリーを作製するようにしてもよい。但し、置換型ペロブスカイト酸化物粒子と導電剤粒子との接点を少なくし、導電剤による異常昇温時の抵抗上昇機能の阻害を抑制するためには、第1の実施形態におけるように、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合(混練)したのちに、置換型ペロブスカイト酸化物を添加することが好ましい。
【0104】
(変形例4)
第1の実施形態では、正極活物質層21Bが置換型ペロブスカイト酸化物を含む場合について説明したが、負極活物質層22Bが置換型ペロブスカイト酸化物を含んでいてもよいし、正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bの両方が置換型ペロブスカイト酸化物を含んでいてもよい。
【0105】
<2.第2の実施形態>
[電池の構成]
図3は、本技術の第2の実施形態に係る二次電池の一構成例を示す分解斜視図である。この二次電池はいわゆる扁平型または角型といわれるものであり、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回型電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。
【0106】
正極リード31および負極リード32は、それぞれ、外装部材40の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード31および負極リード32は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0107】
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルム側と巻回型電極体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0108】
なお、外装部材40は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルムまたは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。あるいは、アルミニウム製フィルムを心材として、その片面または両面に高分子フィルムを積層したラミネートフィルムを用いても良い。
【0109】
図4は、
図3に示した巻回型電極体30のIV-IV線に沿った断面図である。巻回型電極体30は、正極33と負極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
【0110】
正極33は、正極集電体33Aの片面あるいは両面に正極活物質層33Bが設けられた構造を有している。負極34は、負極集電体34Aの片面あるいは両面に負極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、負極活物質層34Bと正極活物質層33Bとが対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ第1の実施形態における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
【0111】
電解質層36は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層36は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液は、第1の実施形態に係る電解液である。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、ポリスチレンまたはポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
【0112】
なお、第1の実施形態にてセパレータ23の樹脂層の説明で述べた無機物と同様の無機物が、ゲル状の電解質層36に含まれていても良い。より耐熱性を向上できるからである。また、電解質層36に代えて電解液を用いるようにしてもよい。
【0113】
[電池の製造方法]
次に、本技術の第2の実施形態に係る二次電池の製造方法の一例について説明する。
【0114】
まず、正極33および負極34のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層36を形成する。次に、正極集電体33Aの端部に正極リード31を溶接により取り付けると共に、負極集電体34Aの端部に負極リード32を溶接により取り付ける。次に、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して巻回型電極体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40の間に巻回型電極体30を挟み込み、外装部材40の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間には密着フィルム41を挿入する。これにより、
図4および
図4に示した二次電池が得られる。
【0115】
また、この二次電池は、次のようにして作製してもよい。まず、上述のようにして正極33および負極34を作製し、正極33および負極34に正極リード31および負極リード32を取り付ける。次に、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、巻回体を形成する。次に、この巻回体を外装部材40に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材40の内部に収納する。次に、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材40の内部に注入する。
【0116】
次に、電解質用組成物を外装部材40内に注入したのち、外装部材40の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封する。次に、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成する。以上により、
図4に示した二次電池が得られる。
【0117】
[効果]
第1の実施形態に係る電池では、正極活物質層33Bが置換型チタン酸バリウを含むので、第1の実施形態と同様に、電池の安全性を向上できる。
【0118】
<3 第3の実施形態>
[電池の構成]
本技術の第3の実施形態に係る二次電池は、
図5に示すように、正極21に代えて正極27を備える点において、第1の実施形態に係る二次電池とは異なっている。正極27は、正極集電体27Aと、正極活物質層27Bと、正極集電体27Aおよび正極活物質層27Bの間に設けられた中間層27Cとを備える。中間層27Cは、正極集電体27Aの片面に設けられていてもよいし、正極集電体27Aの両面に設けられていてもよいが、異常昇温時におけるジュール熱の発生を抑制する観点からすると、正極集電体27Aの両面に設けられていることが好ましい。
【0119】
正極集電体27Aは、第1の実施形態における正極集電体21Aと同様である。正極活物質層27Bは、置換型ペロブスカイト酸化物を含有していない点以外では第1の実施形態における正極活物質層21Bと同様である。
【0120】
中間層27Cは、PTC機能を有している。このPTC機能は、100℃以上200℃以下の範囲内において抵抗が急激に上昇する特性を有するものであることが好ましい。中間層27Cは、置換型ペロブスカイト酸化物と、結着剤と、導電剤とを含んでいる。置換型ペロブスカイト酸化物、結着剤、導電剤は、それぞれ第1の実施形態において正極活物質層21Bに含まれる置換型ペロブスカイト酸化物、結着剤、導電剤と同様である。
【0121】
[電池の製造方法]
次に、本技術の第3の実施形態に係る二次電池の製造方法の一例について説明する。
まず、例えば、導電剤と、結着剤とを混合して合剤を調製し、この合剤をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの溶剤と混合(混練)することにより、混合物を得る。次に、この混合物に置換型ペロブスカイト酸化物を加えて、分散させることにより、中間層形成用塗料としての合剤スラリーを作製する。続いて、この合剤スラリーを正極集電体27Aに塗布し溶剤を乾燥させることにより、中間層27Cを形成する。必要に応じて、ロールプレス機などにより中間層27Cを圧縮成型するようにしてもよい。
【0122】
次に、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。続いて、この正極合剤スラリーを中間層27C上に塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより、正極活物質層27Bを形成する。これにより、正極27が得られる。これ以降の工程は、第1の実施形態における二次電池の製造方法と同様である。
【0123】
[効果]
第3の実施形態に係る二次電池では、正極集電体27Aと正極活物質層27Bとの間に中間層27Cが備えられているので、短絡や加温などによる電池の異常昇温時に、中間層27Cに含まれる置換型ペロブスカイト酸化物の抵抗が上昇し、中間層27Cに流れる電流(例えば短絡電流など)が抑制されるため、正極21におけるジュール熱の発生が抑制される。したがって、ジュール熱発生に伴う熱暴走を抑制し、短絡系安全性(例えば衝突試験や釘刺し試験により評価される安全性)と加熱系安全性(例えば加熱試験により評価される安全性)を向上できる。
【0124】
第3の実施形態に係る二次電池の製造方法では、塗料作製工程の最後、すなわち結着剤と導電剤とを混合(混練)した後、置換型ペロブスカイト酸化物を添加しているため、置換型ペロブスカイト酸化物粒子と導電剤粒子との接点を少なくすることができる。したがって、導電剤による異常昇温時の抵抗上昇機能の阻害を抑制することができる。すなわち、中間層27CのPTC機能を更に向上し、電池の安全性を更に向上することができる。
【0125】
[変形例]
(変形例1)
正極活物質層27Bが置換型ペロブスカイト酸化物を含んでいてもよい。また、正極活物質層27Bが、難燃剤を含んでいてもよいし、置換型ペロブスカイト酸化物と難燃剤との両方を含んでいてもよい。置換型ペロブスカイト酸化物は、第1の実施形態における正極活物質層21Bに含まれる置換型ペロブスカイト酸化物と同様である。難燃剤は、第1の実施形態の変形例2における難燃剤と同様である。
【0126】
(変形例2)
置換型ペロブスカイト酸化物と、導電剤と、結着剤とを混合(混練)して合剤を調製し、この合剤をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させて、中間層形成用塗料としての合剤スラリーを作製するようにしてもよい。但し、置換型ペロブスカイト酸化物粒子と導電剤粒子との接点を少なくし、導電剤による異常昇温時の抵抗上昇機能の阻害を抑制するためには、第3の実施形態におけるように、導電剤と、結着剤とを混合(混練)したのちに、置換型ペロブスカイト酸化物を添加することが好ましい。
【0127】
(変形例3)
第3の実施形態では、正極27が中間層27Cを備える場合について説明したが、負極22が中間層27Cを備えるようにしてもよいし、正極27および負極22の両方が中間層27Cを備えるようにしてもよい。負極22が中間層27Cを備える場合には、この中間層27Cは、負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの間に設けられる。
【0128】
(その他の変形例)
中間層27Cが、第1の実施形態の変形例1における置換型チタン酸バリウムを含んでいてもよい。また、第2の実施形態に係る二次電池が、正極33の代わりに、正極27を備えるようにしてもよい。
【0129】
<4 応用例1>
「応用例としての電池パックおよび電子機器」
応用例1では、第1から第3の実施形態のいずれかに係る電池を備える電池パックおよび電子機器について説明する。
【0130】
[電池パックおよび電子機器の構成]
以下、
図5を参照して、応用例としての電池パック300および電子機器400の一構成例について説明する。電子機器400は、電子機器本体の電子回路401と、電池パック300とを備える。電池パック300は、正極端子331aおよび負極端子331bを介して電子回路401に対して電気的に接続されている。電子機器400は、例えば、ユーザにより電池パック300を着脱自在な構成を有している。なお、電子機器400の構成はこれに限定されるものではなく、ユーザにより電池パック300を電子機器400から取り外しできないように、電池パック300が電子機器400内に内蔵されている構成を有していてもよい。
【0131】
電池パック300の充電時には、電池パック300の正極端子331a、負極端子331bがそれぞれ、充電器(図示せず)の正極端子、負極端子に接続される。一方、電池パック300の放電時(電子機器400の使用時)には、電池パック300の正極端子331a、負極端子331bがそれぞれ、電子回路401の正極端子、負極端子に接続される。
【0132】
電子機器400としては、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話(例えばスマートフォン等)、携帯情報端末(Personal Digital Assistants:PDA)、表示装置(LCD、ELディスプレイ、電子ペーパ等)、撮像装置(例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等)、オーディオ機器(例えばポータブルオーディオプレイヤー)、ゲーム機器、コードレスフォン子機、電子書籍、電子辞書、ラジオ、ヘッドホン、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機等が挙げられるが、これに限定されるものでなない。
【0133】
(電子回路)
電子回路401は、例えば、CPU、周辺ロジック部、インターフェース部および記憶部等を備え、電子機器400の全体を制御する。
【0134】
(電池パック)
電池パック300は、組電池301と、充放電回路302とを備える。組電池301は、複数の二次電池301aを直列および/または並列に接続して構成されている。複数の二次電池301aは、例えばn並列m直列(n、mは正の整数)に接続される。なお、
図6では、6つの二次電池301aが2並列3直列(2P3S)に接続された例が示されている。二次電池301aとしては、第1から第3の実施形態のいずれかに係る電池が用いられる。
【0135】
ここでは、電池パック300が、複数の二次電池301aにより構成される組電池301を備える場合について説明するが、電池パック300が、組電池301に代えて1つの二次電池301aを備える構成を採用してもよい。
【0136】
充放電回路302は、組電池301の充放電を制御する制御部である。具体的には、充電時には、充放電回路302は、組電池301に対する充電を制御する。一方、放電時(すなわち電子機器400の使用時)には、充放電回路302は、電子機器400に対する放電を制御する。
【0137】
<5.応用例2>
「応用例としての車両における蓄電システム」
本開示を車両用の蓄電システムに適用した例について、
図7を参照して説明する。
図7に、本開示が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0138】
このハイブリッド車両7200には、エンジン7201、発電機7202、電力駆動力変換装置7203、駆動輪7204a、駆動輪7204b、車輪7205a、車輪7205b、バッテリー7208、車両制御装置7209、各種センサ7210、充電口7211が搭載されている。バッテリー7208に対して、上述した本開示の蓄電装置が適用される。
【0139】
ハイブリッド車両7200は、電力駆動力変換装置7203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置7203の一例は、モータである。バッテリー7208の電力によって電力駆動力変換装置7203が作動し、この電力駆動力変換装置7203の回転力が駆動輪7204a、7204bに伝達される。なお、必要な個所に直流-交流(DC-AC)あるいは逆変換(AC-DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置7203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ7210は、車両制御装置7209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ7210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
【0140】
エンジン7201の回転力は発電機7202に伝えられ、その回転力によって発電機7202により生成された電力をバッテリー7208に蓄積することが可能である。
【0141】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置7203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置7203により生成された回生電力がバッテリー7208に蓄積される。
【0142】
バッテリー7208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0143】
図示しないが、二次電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
【0144】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モーターで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモーターの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モーターのみで走行、エンジンとモーター走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本開示は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本開示は有効に適用可能である。
【0145】
以上、本開示に係る技術が適用され得るハイブリッド車両7200の一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、バッテリー7208に好適に適用され得る。
【0146】
<6.応用例3>
「応用例としての住宅における蓄電システム」
本開示を住宅用の蓄電システムに適用した例について、
図8を参照して説明する。例えば住宅9001用の蓄電システム9100においては、火力発電9002a、原子力発電9002b、水力発電9002c等の集中型電力系統9002から電力網9009、情報網9012、スマートメータ9007、パワーハブ9008等を介し、電力が蓄電装置9003に供給される。これと共に、家庭内発電装置9004等の独立電源から電力が蓄電装置9003に供給される。蓄電装置9003に供給された電力が蓄電される。蓄電装置9003を使用して、住宅9001で使用する電力が給電される。住宅9001に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0147】
住宅9001には、発電装置9004、電力消費装置9005、蓄電装置9003、各装置を制御する制御装置9010、スマートメータ9007、各種情報を取得するセンサー9011が設けられている。各装置は、電力網9009および情報網9012によって接続されている。発電装置9004として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置9005および/または蓄電装置9003に供給される。電力消費装置9005は、冷蔵庫9005a、空調装置9005b、テレビジョン受信機9005c、風呂9005d等である。さらに、電力消費装置9005には、電動車両9006が含まれる。電動車両9006は、電気自動車9006a、ハイブリッドカー9006b、電気バイク9006cである。
【0148】
蓄電装置9003に対して、上述した本開示のバッテリユニットが適用される。蓄電装置9003は、二次電池又はキャパシタから構成されている。例えば、リチウムイオン電池によって構成されている。リチウムイオン電池は、定置型であっても、電動車両9006で使用されるものでも良い。スマートメータ9007は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網9009は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
【0149】
各種のセンサー9011は、例えば人感センサー、照度センサー、物体検知センサー、消費電力センサー、振動センサー、接触センサー、温度センサー、赤外線センサー等である。各種センサー9011により取得された情報は、制御装置9010に送信される。センサー9011からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置9005を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置9010は、住宅9001に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0150】
パワーハブ9008によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置9010と接続される情報網9012の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、Wi-Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network) またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0151】
制御装置9010は、外部のサーバ9013と接続されている。このサーバ9013は、住宅9001、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ9013が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されても良い。
【0152】
各部を制御する制御装置9010は、CPU(Central Processing Unit )、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置9003に格納されている。制御装置9010は、蓄電装置9003、家庭内発電装置9004、電力消費装置9005、各種センサー9011、サーバ9013と情報網9012により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
【0153】
以上のように、電力が火力9002a、原子力9002b、水力9002c等の集中型電力系統9002のみならず、家庭内発電装置9004(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置9003に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置9004の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置9003に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置9003に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置9003によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0154】
なお、この例では、制御装置9010が蓄電装置9003内に格納される例を説明したが、スマートメータ9007内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム9100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0155】
以上、本開示に係る技術が適用され得る蓄電システム9100の一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、蓄電装置9003が有する二次電池に好適に適用され得る。
【実施例】
【0156】
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0157】
[実施例1~4]
(正極の作製)
正極を次にようにして作製した。まず、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)と、導電剤としてケッチェンブラックと、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を表1に示す質量比で混合後、自公転式ミキサーにて混練した。次に、その混練物に置換型チタン酸バリウム粒子粉として表1に示す平均粒径を有するチタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛((Ba0.65Pb0.25Sr0.05Ca0.05)TiO3)粒子粉と適当量のNMP(N-メチル-2-ピロリドン)と混合し、自公転式ミキサーにて分散することでスラリー状の正極合剤塗料を得た。続いて、この正極合剤塗料を厚さ15μmのアルミニウム箔に塗布、120℃で乾燥し、ハンドプレス機にて体積密度1.8g/ccになるまで圧力をかけたのち、真空乾燥することにより、帯状の正極を作製した。最後に、正極の正極集電体露出部分に正極リードを取り付けた。
【0158】
(負極の作製)
負極を次のようにして作製した。まず、負極活物質としてケイ素10質量%およびメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)85.5質量%と、導電剤として繊維状カーボン1質量%およびカーボンブラック0.5質量%と、結着剤としてPVdF3wt%とを混合することにより負極合剤を調製した。次に、負極合剤を適当量のNMPと混合し、自公転式ミキサーにて混練、分散することでスラリー状の負極合剤塗料を得た。続いて、この負極合剤塗料を厚さ12μmの銅箔に塗布、120℃で乾燥し、ハンドプレス機にて体積密度1.8g/ccになるまで圧力をかけたのち、真空乾燥することにより、帯状のケイ素/黒鉛混合負極を作製した。最後に、負極の負極集電体露出部分に負極リードを取り付けた。
【0159】
(非水電解液の調製)
非水電解液を次のようにして作製した。まず、エチレンカーボネート(EC)と炭酸プロピレン(PC)とを体積比でEC:PC=1:1となるように混合し、混合溶媒を調製したのち、この混合溶媒にフルオロエチレンカーボネート(4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン:FEC)を3質量%添加した。続いて、この混合溶媒に電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1Mの濃度となるように溶解させて非水電解液を調製した。
【0160】
(二次電池の作製)
ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池を次のようにして作製した。まず、上述のようにして作製した正極および負極を、厚み7μmの微多孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータを介して密着させ、長手方向に巻回して、最外周部に保護テープを貼り付けることにより、扁平状を有する巻回電極体を作製した。続いて、この巻回電極体を外装部材の間に装填し、外装部材の3辺を熱融着し、一辺は熱融着せずに開口を有するようにした。この際、正極リードと外装部材との間に密着フィルム(50μm厚の酸変性プロピレンフィルム)を挿入すると共に、負極リードと外装部材との間に密着フィルムを挿入した。外装部材としては、最外層から順に25μm厚のナイロンフィルムと、40μm厚のアルミニウム箔と、30μm厚のポリプロピレンフィルムとが積層された防湿性のアルミラミネートフィルムを用いた。その後、上述のようにして調製した非水電解液を外装部材の開口から注入し、外装部材の残りの1辺を減圧下において熱融着し、密封した。これにより、目的とするラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池が得られた。なお、このリチウムイオン二次電池は、正極活物質量と負極活物質量とを調整し、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.45Vになるように設計されたものである。
【0161】
[実施例5]
置換型チタン酸バリウム粒子粉として表1に示す平均粒径を有するチタン酸バリウムビスマスナトリウム(Ba0.8Bi0.1Na0.1)TiO3粒子粉を用い、各材料(正極活物質、導電剤、結着剤および置換型チタン酸バリウム粒子粉)を表1に示す質量比で混合することにより正極合剤を調製したこと以外は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
【0162】
[実施例6]
置換型チタン酸バリウム粒子粉として表1に示す平均粒径を有するチタン酸バリウムストロンチウム((Ba0.9Sr0.1)TiO3)粒子粉を用い、各材料(正極活物質、導電剤、結着剤および置換型チタン酸バリウム粒子粉)を表1に示す質量比で混合することにより正極合剤を調製したこと以外は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
【0163】
[比較例1]
置換型チタン酸バリウム粒子粉を用いずに、置換型チタン酸バリウム粒子粉以外の各材料(正極活物質、導電剤および結着剤)を表1に示す質量比で混合することにより正極合剤を調製したこと以外は実施例1と同様にして正極を作製した。
【0164】
[比較例2]
置換型チタン酸バリウム粒子粉に代えて表1に示す平均粒径を有するチタン酸バリウム(BaTiO3)粒子粉を用い、各材料(正極活物質、導電剤、結着剤およびチタン酸バリウム粒子粉)を表1に示す質量比で混合することにより正極合剤を調製したこと以外は実施例1と同様にして二次電池を作製した。
【0165】
[評価]
(インピーダンス、インピーダンス比)
まず、バッテリハイテスタ(日置電機社製、型式:3561)用いて、30℃から160℃の範囲で4.45V満充電状態の電池を加温しながら、1kHzのインピーダンスを測定した。次に、測定したインピーダンスのうち、30℃、150℃のインピーダンスZ(30℃)、Z(150℃)を用いて、インピーダンス比(Z(150℃)/Z(30℃))を求めた。その結果を表1に示す。また、
図9に、実施例1、比較例1の電池のインピーダンスの温度依存性を示す。
【0166】
表1は、実施例1~6、比較例1、2の電池の構成および評価結果を示す。
【表1】
【0167】
実施例1~6では、正極活物質層が置換型チタン酸バリウムを含有する置換型ペロブスカイト酸化物を含んでいるので、インピーダンス比(Z(150℃)/Z(30℃))を4.4以上にすることができる。
比較例1では、正極活物質層が置換型チタン酸バリウムを含有する置換型ペロブスカイト酸化物を含んでいないので、インピーダンス比(Z(150℃)/Z(30℃))が3.3と低い値となっている。
比較例2では、正極活物質層がチタン酸バリウムを含んでいるので、インピーダンス比(Z(150℃)/Z(30℃))を4.0にすることができる。しかしながら、チタン酸バリウムの添加によるインピーダンス比の増加率は、置換型ペロブスカイト酸化物の添加によるインピーダンス比の増加率よりも低い。
したがって、正極活物質層が置換型チタン酸バリウムを含有する置換型ペロブスカイト酸化物を含むことで、電池の異常昇温時に、正極におけるジュール熱の発生を抑制し、電池の安全性を向上することができる。また、置換型ペロブスカイト酸化物の添加による安全性向上の効果は、チタン酸バリウムの添加による安全性向上の効果よりも高い。
【0168】
以上、本技術の実施形態および実施例について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0169】
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0170】
また、上述の実施形態および実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0171】
また、上述の実施形態および実施例では、円筒型およびラミネートフィルム型の二次電池に本技術を適用した例について説明したが、電池の形状は特に限定されるものではない。例えば、角型やコイン型などの二次電池に本技術を適用することも可能であるし、スマートウオッチ、ヘッドマウントディスプレイ、iGlass(登録商標)などのウェアラブル端末に搭載されるフレキシブル電池などに本技術を適用することも可能である。
【0172】
また、上述の実施形態および実施例では、巻回型およびスタック型の二次電池に対して本技術を適用した例について説明したが、電池の構造はこれに限定されるものではなく、例えば、正極および負極を折り畳んだ構造を有する二次電池などに対しても本技術は適用可能である。
【0173】
また、上述の実施形態および実施例では、本技術をリチウムイオン二次電池およびリチウムイオンポリマー二次電池に適用した例について説明したが、本技術を適用可能な電池の種類はこれに限定されるものではい。例えば、バルク型全固体電池などに本技術を適用してもよい。
【0174】
また、上述の実施形態および実施例では、電極が集電体と活物質層とを備える構成を例として説明したが、電極の構成はこれに限定されるもではない。例えば、電極が活物質層のみからなる構成としてもよい。
【0175】
また、本技術は以下の構成を採用することもできる。
(1)
正極と負極と電解質とを備え、
前記正極は、置換型チタン酸バリウムを含む電池。
(2)
前記置換型チタン酸バリウムは、PTC機能を有する(1)に記載の電池。
(3)
前記正極は、PTC機能を有する(1)または(2)に記載の電池。
(4)
前記置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムのバリウムの一部をアルカリ土類金属のうちの少なくとも1種で元素置換したもの、チタン酸バリウムのバリウムの一部をアルカリ土類金属のうちの少なくとも1種と鉛とで元素置換したもの、およびチタン酸バリウムのバリウムの一部をアルカリ金属のうちの少なくとも1種とビスマスとで元素置換したもののうちの少なくとも1種を含む(1)から(3)のいずれかに記載の電池。
(5)
前記置換型チタン酸バリウムは、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムビスマスナトリウムおよびチタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛のうちの少なくとも1種を含む(1)から(3)のいずれかに記載の電池。
(6)
前記チタン酸バリウムストロンチウム、前記チタン酸バリウムビスマスナトリウム、前記チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛はそれぞれ、以下の式(1)、(2)、(3)で表される(5)に記載の電池。
(Ba1-vSrv)TiO3 ・・・(1)
(但し、式(1)中、vは0<v≦0.5である。)
(Ba1-u-wBiuNaw)TiO3 ・・・(2)
(但し、式(2)中、uは0<u<0.5、wは0<w<0.5である。)
(Ba1-x-y-zPbxSryCaz)TiO3 ・・・(3)
(但し、式(3)中、xは0<x≦0.5、yは0<y≦0.2、zは0<z≦0.2である。)
(7)
前記PTC機能は、前記置換型チタン酸バリウムの抵抗が100℃以上200℃以下の範囲内において2倍以上に増加する機能である(1)から(6)のいずれかに記載の電池。
(8)
前記正極は、正極活物質を含み、
前記置換型チタン酸バリウムの平均粒径は、20nm以上、前記正極活物質の平均粒径以下である(1)から(7)のいずれかに記載の電池。
(9)
30℃の前記電池のインピーダンスZ1と150℃の前記電池のインピーダンスZ2とのインピーダンス比(Z2/Z1)が、4以上である(1)から(8)のいずれかに記載の電池。
(10)
前記正極は、
正極集電体と、
正極活物質層と、
前記正極集電体および前記正極活物質層の間に設けられた中間層と
を備え、
前記中間層は、前記置換型チタン酸バリウムを含む(1)から(9)のいずれかに記載の電池。
(11)
前記正極は、正極活物質層を含み、
前記置換型チタン酸バリウムは、前記正極活物質層内の全体に存在している(1)から(9)のいずれかに記載の電池。
(12)
正極と負極と電解質とを備え、
前記正極は、PTC機能を有する置換型ペロブスカイト酸化物を含む電池。
(13)
置換型チタン酸バリウムを含む正極。
(14)
正極活物質と結着剤と導電剤とを混合した後に、置換型チタン酸バリウムを添加することにより塗料を作製し、
前記塗料を用いて正極活物質層を形成する
ことを含む電池の製造方法。
(15)
(1)から(12)のいずれかに記載の電池と、
前記電池を制御する制御部と、
を備える電池パック。
(16)
(1)から(12)のいずれかに記載の電池を備え、
前記電池から電力の供給を受ける電子機器。
(17)
(1)から(12)のいずれかに記載の電池と、
前記電池から電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、
前記電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行う制御装置と
を備える電動車両。
(18)
(1)から(12)のいずれかに記載の電池を備え、
前記電池に接続される電子機器に電力を供給する蓄電装置。
(19)
(1)から(12)のいずれかに記載の電池を備え、
前記電池から電力の供給を受ける電力システム。
【符号の説明】
【0176】
11 電池缶
12、13 絶縁板
14 電池蓋
15 安全弁機構
15A ディスク板
16 熱感抵抗素子
17 ガスケット
20 巻回型電極体
21、27 正極
21A、27A 正極集電体
21B、27B 正極活物質層
22 負極
22A 負極集電体
22B 負極活物質層
23 セパレータ
24 センターピン
25 正極リード
26 負極リード
27C 中間層