(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20220621BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 104
G03G15/01 112A
(21)【出願番号】P 2018034891
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】永島 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】竹中 秀典
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-255804(JP,A)
【文献】特開昭63-043173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0179050(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像を形成する複数の色毎に設けられる感光体ドラム
のそれぞれを含む複数のユニットと、
前記感光体ドラムのそれぞれにレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、
前記感光体ドラムのそれぞれの回転軸の端部が支持される保持部材と、
前記保持部材を鉛直面内で移動させて、前記レーザー光のスキューを調整する主調整部材と、を備え
、
前記感光体ドラムは並列に配置され、
前記保持部材は、前記並列方向の一端部に設けられた支軸と、他端部に設けられた可動軸と、を有し、
前記主調整部材は、前記可動軸を移動させることで、前記支軸を中心として前記保持部材を鉛直面内で回動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記回転軸の端部が挿入される溝を有し、
前記溝内で前記回転軸の端部を移動させて前記レーザー光のスキューを調整する副調整部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
カラー画像を形成する複数の色毎に設けられる感光体ドラムのそれぞれを含む複数のユニットと、
前記感光体ドラムのそれぞれにレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、
前記感光体ドラムのそれぞれの回転軸の端部が支持される保持部材と、
前記保持部材を鉛直面内で移動させて、前記レーザー光のスキューを調整する主調整部材と、を備え、
前記保持部材は、前記回転軸の端部が挿入される溝を有し、
前記溝内で前記回転軸の端部を移動させて前記レーザー光のスキューを調整する副調整部材を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体ドラムは並列に配置され、
前記保持部材は、前記並列方向の一端部に設けられた支軸と、他端部に設けられた可動軸と、を有し、
前記主調整部材は、前記可動軸を移動させることで、前記支軸を中心として前記保持部材を鉛直面内で回動させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記支軸は、前記複数の色の内の基準色に対応する前記ユニットに最も近い位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記副調整部材は、前記複数の色の内の
前記基準色以外の色に対応する前記ユニットに含まれる前記感光体ドラムの前記回転軸を移動させることを特徴とする請求
項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記副調整部材は、前記基準色に対応する前記ユニットに含まれる前記感光体ドラムの前記回転軸を移動させることを特徴とする請求
項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記副調整部材は、全ての前記ユニットに含まれる前記感光体ドラムの前記回転軸を移動させることを特徴とする請求
項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記副調整部材は回転可能に設けられ、前記溝に挿入された前記回転軸に当接して該回転軸を前記溝の縁に押し当てて該縁と共に前記回転軸を支持する円弧状の外周縁を有し、
前記外周縁は、前記副調整部材の回転中心からの半径が異なるように形成され、前記副調整部材を回転させることで前記外周縁と前記回転軸との当接位置が変化して、前記回転軸が前記縁に押し当てられる位置が該縁に沿って移動することで、前記回転軸を前記溝内で移動させることを特徴とする請求項
3~8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像が形成される感光体ドラムを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置では、露光装置の光学素子から出力されるレーザー光によって感光体ドラムが露光されて、感光体ドラムに静電潜像が形成される。この際、レーザー光と感光体ドラムとが僅かに位置ずれしていると、感光体ドラム上の画像にスキュー(ゆがみ)が発生し、色ずれが生じる。一般的に、光学素子と感光体ドラムとの間には複数の部品が介在するため、両者を精度よく位置決めすることは困難である。
【0003】
特許文献1には、感光体ドラムの回転軸に対して傾きを持つように配置された露光装置を備え、トナー像の傾きが露光装置の傾きと同一となるように、感光体ドラムの周速を微調整する画像形成装置が開示されている。また、特許文献2には、ミラーをステッピングモーターで微調整する露光装置を備える画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-146317号公報
【文献】特開2000-98685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記特許文献1や特許文献2に記載されている露光装置のように、露光装置内の部品を微調整する構成を有する場合、構成や制御が複雑化したり露光装置が大型化したりするという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情を考慮して、簡易な構成でレーザー光のスキューを調整できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、カラー画像を形成する複数の色毎に設けられる感光体ドラムと、前記感光体ドラムのそれぞれにレーザー光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、前記感光体ドラムのそれぞれの回転軸の端部が支持される保持部材と、前記保持部材を鉛直面内で移動させて、前記レーザー光のスキューを調整する主調整部材と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置において、前記感光体ドラムは並列に配置され、前記保持部材は、前記並列方向の一端部に設けられた支軸と、他端部に設けられた可動軸と、を有し、前記主調整部材は、前記可動軸を移動させることで、前記支軸を中心として前記保持部材を鉛直面内で回動させることを特徴としても良い。
【0009】
本発明の画像形成装置において、前記支軸は、前記複数の色の内の基準色に対応する前記ユニットに最も近い位置に設けられていることを特徴としても良い。
【0010】
本発明の画像形成装置において、前記保持部材は、前記回転軸の端部が挿入される溝を有し、前記溝内で前記回転軸の端部を移動させて前記レーザー光のスキューを調整する副調整部材を備えていることを特徴としても良い。
【0011】
本発明の画像形成装置において、前記副調整部材は回転可能に設けられ、前記溝に挿入された前記回転軸に当接して該回転軸を前記溝の縁に押し当てて該縁と共に前記回転軸を支持する円弧状の外周縁を有し、前記外周縁は、前記副調整部材の回転中心からの半径が異なるように形成され、前記副調整部材を回転させることで前記外周縁と前記回転軸との当接位置が変化して、前記回転軸が前記縁に押し当てられる位置が該縁に沿って移動することで、前記回転軸を前記溝内で移動させることを特徴としても良い。
【0012】
本発明の画像形成装置において、前記副調整部材は、前記複数の色の内の基準色以外の色に対応する前記ユニットに含まれる前記感光体ドラムの前記回転軸を移動させることを特徴としても良い。
【0013】
本発明の画像形成装置において、前記副調整部材は、前記基準色に対応する前記ユニットに含まれる前記感光体ドラムの前記回転軸を移動させることを特徴としても良い。
【0014】
本発明の画像形成装置において、前記副調整部材は、全ての前記ユニットに含まれる前記感光体ドラムの前記回転軸を移動させることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、全ての感光体ドラムの回転軸が1つの保持部材に支持されているので、保持部材を鉛直面内で移動させることで、全ての感光体ドラムに対してスキューを調整することができる。したがって、スキューの調整を簡易な構成で効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンターの内部構造を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、ドラムユニットが装着された作像フレームを示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、ドラムユニットを示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、第1の実施形態に係るスキュー調整方法における外側板と右側板とを示す正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、主調整機構を示す正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、主調整機構を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、調整板を示す正面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、ダイヤルギアを示す斜視図である。
【
図9A】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、ダイヤルギアを示す裏面図である。
【
図9B】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、ダイヤルギアの断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、溝と可動軸とを示す正面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、外側板の回動を説明する正面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、傾斜した感光体ドラムを説明する側面図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、書き込み位置のずれを説明する図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、位置ズレ量とスキュー量との関係を説明するグラフである。
【
図15】本発明の一実施形態に係るカラープリンターにおいて、第2の実施形態に係るスキュー調整方法における外側板と右側板とを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に画像形成装置について説明する。
【0018】
まず、
図1を参照して、画像形成装置としてのカラープリンター1の全体の構成について説明する。
図1はカラープリンターの内部構成を模式的に示す正面図である。以下の説明において、
図1の紙面左側をカラープリンター1の前側(正面側)とし、左右方向は、カラープリンター1を前側から見た方向を基準とする。各図に示されるFr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれカラープリンター1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を示す。
【0019】
カラープリンター1の装置本体2には、用紙Pが収容される給紙カセット3と、給紙カセット3から用紙Pを給紙する給紙装置5と、フルカラーのトナー像を用紙Pに形成する画像形成部7と、トナー像を用紙に定着する定着装置9と、トナー像が定着された用紙Pを排紙トレイ11に排出する排紙装置13と、が備えられている。さらに、装置本体には、用紙Pの搬送経路が形成されている。搬送経路は、給紙装置5から画像形成部7と定着装置9とを通って排紙装置13に向かっている。
【0020】
画像形成部7は、作像ユニット17と、作像ユニット17の下方に配置される露光装置19と、作像ユニット17の上方に配置される4つのトナーコンテナ21と、を備えている。
【0021】
次に、
図1と
図2を参照して作像ユニット17について説明する。
図2は、ドラムユニットと現像ユニットとが装着された作像フレームを示す斜視図である。
【0022】
作像ユニット17は、4つのドラムユニット23と、4つの現像ユニット25と、中間転写ユニット27と、ドラムユニット23と現像ユニット25とが支持される作像フレーム28(
図2参照)と、を備えている。4つのドラムユニット23と4つの現像ユニット25とは、トナー(現像剤)の4つの色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)にそれぞれ対応している。
【0023】
次に、
図3を参照してドラムユニット23について説明する。
図3はドラムユニットの斜視図である。
【0024】
ドラムユニット23は、静電潜像が形成される感光体ドラム31を含むユニットである。感光体ドラム31の両端の開口部にはそれぞれフランジ部材37が固定されている。両フランジ部材37間には、感光体ドラム31の軸心に沿って回転軸39が貫通している。左側のフランジ部材37と回転軸39の右端部は、それぞれ押圧レバー41に挿通されている。左側のフランジ部材37と押圧レバー41との間、及び、回転軸39と押圧レバー41との間には、それぞれフランジ部材37と回転軸39とを下方に付勢する付勢部材としてのバネ43が介装されている。
【0025】
ドラムユニット23は、さらに、感光体ドラム31を帯電する帯電装置33と、感光体ドラム31の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置35と、を含んでいる。帯電装置33とクリーニング装置35とは、感光体ドラム31の外周面に沿って、感光体ドラム31の回転方向(
図1の時計回り方向)に沿って順に配置されている。
【0026】
再度
図1を参照して、現像ユニット25は、感光体ドラム31に形成された静電潜像をトナーで現像する現像装置を備えている。現像ユニット25は、感光体ドラム31の回転方向において、帯電装置33とクリーニング装置35の間に配置されている。
【0027】
中間転写ユニット27は、無端状の中間転写ベルト47と、中間転写ベルト47の中空部に配置される4本の一次転写ローラー49と、を備えている。各一次転写ローラー49は、現像ユニット25とドラムユニット23のクリーニング装置35との間において、中間転写ベルト47を挟んで感光体ドラム31に対向している。また、装置本体2には、中間転写ユニット27の後方に、中間転写ベルト47に対向する二次転写ローラー48が設けられている。
【0028】
4つのトナーコンテナ21には、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーがそれぞれ収容されている。4つのトナーコンテナ21から、それぞれ対応する現像ユニット25にトナーが供給される。
【0029】
露光装置19は、各ドラムユニット23の感光体ドラム31に向かってレーザー光を照射する。
図13を参照して後述するが、感光体ドラム31の表面の接線方向Tへのレーザー光Lの入射角はゼロである。また、感光体ドラム31の中心を通る鉛直線Vに対するレーザー光Lの照射角度φは約10度である。
【0030】
次に、画像形成動作について説明する。画像形成部7において、各ドラムユニット23の感光体ドラム31が帯電装置33で帯電された後、露光装置19によって画像データに対応する露光が行われて、感光体ドラム31に静電潜像が形成される。静電潜像は、各現像ユニット25の現像装置によってトナー像に現像される。各トナー像は、中間転写ユニット27の一次転写ローラー49によって、感光体ドラム31から中間転写ベルト47に転写される。これにより、中間転写ベルト47にフルカラーのトナー像が形成される。フルカラーのトナー像は、二次転写ローラー48によって中間転写ベルト47から用紙Pに転写される。また、感光体ドラム31に残留したトナーは、各ドラムユニット23のクリーニング装置35で除去される。フルカラーのトナー像が転写された用紙Pは定着装置9に搬送されてトナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着された用紙Pは、排紙装置13から排紙トレイ11に排出される。
【0031】
次に、作像フレーム28について、
図2と
図4とを参照して説明する。
図4は右側板と外側板とを示す正面図である。
図2に示されるように、作像フレーム28は、四角筒状の本体枠29と、保持部材としての外側板32と、外側板32を鉛直面内で移動させる主調整機構30と、を備えている。
【0032】
本体枠29は、前後方向に対向する前側板29a及び後側板29bと、左右方向に対向する左側板29c及び右側板29dと、を有している。左右側板29c、29dの間には、ドラムユニット23と現像ユニット25とが装着される4つの装着区画Sが、前後方向に並列して形成されている。4つの装着区画Sは、本体枠29の前方から後方に向かって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、の順序で配置されている。本実施形態では、ブラックを基準色とする。
【0033】
左側板29cの各装着区画Sには、左側板29cの上縁から下方に切り欠かれたフランジ受け溝51が形成されている。フランジ受け溝51には、ドラムユニット23に含まれる感光体ドラム31の左側のフランジ部材37が挿入される。
【0034】
右側板29dの後端部と前端部とには、軸孔52と溝53とがそれぞれ設けられている(
図4参照)。溝53は、軸孔52を中心とする円の円周方向に沿って形成されている。
【0035】
外側板32について、
図4を参照して説明する。外側板32は、右側板29dとほぼ同形状を有している。外側板32の内側の面(右側板29dに対向する面)の後端部と前端部とには、それぞれ支軸62と可動軸63とが突設されている。支軸62は、右側板29dの軸孔52に挿入される。可動軸63は、右側板29dの溝53に挿入される。
【0036】
外側板32にも、ドラムユニット23と現像ユニット25とが装着される4つの装着区画Sが、前後方向に並列して形成されている。各装着区画Sには、外側から内側に凹んだ凹部55が形成されている。凹部55には、外側板32の上縁から切り欠かれた縦溝57が形成されている。溝57には、感光体ドラム31の回転軸39の右端部が挿入される。さらに、溝57の下方と斜め前下方とに、それぞれ下開口59と横開口61とが形成されている。装着区画Sにドラムユニット23と現像ユニット25とが装着されると、下開口59からドラムユニット23に含まれる帯電装置33が露出し、横開口61から現像ユニット25の現像装置が露出するようになっている。両開口59、61は、凹部55と連通している。
【0037】
次に、主調整機構30について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は主調整機構を示す正面図、
図6は主調整機構を示す断面図である。主調整機構30は、調整板65と、ダイヤルギア67と、を有している。調整板65は、外側板32を鉛直面内で移動させる調整部材である。ダイヤルギア67は、調整板65を動作させるための部材である。
【0038】
主調整機構30は、右側板29dの、溝53の斜め前下方に支持されている。右側板29dには、第1軸29gと第2軸29hと形成されている。第1軸29gは、溝53の下端部の斜め下方から前方に突設し、第2軸29hは、第1軸29gの斜め下方から前方に突設している。さらに、右側板29dには、第2軸29hから後方に水平に延びる凸部29iが形成されている。
【0039】
まず、調整板65について、
図7を参照して説明する。
図7は調整板の正面図である。
【0040】
調整板65は、円板状の部材であり、円筒状の軸孔部71と、軸孔部71を中心として一方の側(後側)に設けられた略半円状の調整部73と、軸孔部71を中心として他方の側(前側)に設けられた略半円状のギア部75と、を有している。調整部73の外周縁には、円周方向に沿って順に第1円弧77、第2円弧78、第3円弧79と、が形成されている。第1円弧77、第2円弧78、第3円弧79は、軸孔部71の中心からの半径が異なり、この順に半径が徐々に大きくなっている。一例として、隣接する円弧間の半径の差は0.1mmである。隣接する円弧は、径方向に沿った段部80で接続している。ギア部75には、円周方向に沿ってギア歯81が所定の間隔で形成されている。さらに、ギア部75には、ギア歯81の内側に沿って円弧状のリブ83が形成されている。リブ83の先端は、断面半円状に形成されている。
【0041】
調整板65は、
図6及び
図7に示されるように、軸孔部71と調整部73とが一体に形成された部品Aと、ギア部75と軸孔85とが形成された部品Bとを、軸孔部71と軸孔85を同軸上となるように重ね合せて結合することで形成されている。部品Aは板金材料で形成され、部品Bは樹脂で形成されている。なお、調整板65の構成はこの構成に限らない。
【0042】
調整板65は、リブ83が外側板32に面する姿勢で、第1軸29gに回転可能に支持されている。調整部73の外周縁の一部は、溝57の下端部内に下方から露出している。
【0043】
次に、ダイヤルギア67について、
図8と、
図9A及び
図9Bを参照して説明する。
図8はダイヤルギアの斜視図、
図9Aはダイヤルギアの裏面図、
図9Bはダイヤルギアの断面図である。
【0044】
ダイヤルギア67は、円板状の部材であり、軸孔部91と、軸孔部91と同軸上に設けられるギア部93及びラック部95と、を有している。ラック部95の外径は、ギア部93の外径よりも大きい。ギア部93には、調整板65のギア部75のギア歯81と噛み合い可能なギア歯97が、外周縁に沿って形成されている。ラック部95には、ラック歯99が、外周縁に沿って所定の間隔で形成されている。
【0045】
ダイヤルギア67の一方の面(ギア部93側の面)には、軸孔部91の周囲に、円環状の溝101が形成されている。
図9A及び
図9Bに示されるように、ダイヤルギア67の他方の面(ラック部95側の面)には、軸孔部91の周囲に、円環状のリブ103が形成されている。リブ103には、複数個(例えば5個)の凹部105が、円周方向に沿って等しい中心角度で形成されている。各凹部105の両側面は、円周方向の外方向に傾斜している。
【0046】
図5及び
図6に示されるように、ダイヤルギア67は、ギア部93が外側板32の内面に対向する姿勢で、軸孔部91が、右側板29dの第2軸29hに挿通されている。
図6に示されるように、ダイヤルギア67の溝101と外側板32との間には、バネ111が介装されている。バネ111は、ダイヤルギア67を、該ダイヤルギア67の軸方向に沿って右側板29dの方向に付勢している。これにより、リブ103に形成された複数の凹部105(
図9A及び
図9B参照)の一つが第2内板29fの凸部29iに係合して、ダイヤルギア67の回転が規制されている。ギア部93のギア歯97は、調整板65のギア部75のギア歯81と噛み合って、調整板65とダイヤルギア67とが係合している。さらに、ラック部95のラック歯99は、外側板32の横開口61から覗いている。
【0047】
ダイヤルギア67を一方向に回転させると、調整板65はダイヤルギア67とは反対方向に回転する。これにより、調整板65の調整部73の外周縁が、溝53の下端部内に露出する位置が変化する。つまり、ダイヤルギア67を回転させることで、調整板65の第1円弧77、第2円弧78、第3円弧79のいずれかを、溝53の下端部内に露出させることができる。
【0048】
また、ダイヤルギア67は、調整板65の円弧のいずれかが溝53の下端部内に露出する位置において、右側板29dに対する回転が規制されるようになっている。詳細には、ダイヤルギア67を回転させると、凸部29iと係合した凹部105の一方の傾斜側面が凸部29iに当接し、傾斜側面が凸部29iから離れる方向に案内され、バネ111の付勢力に抗してリブ103が凸部29iに乗り上げる。さらにダイヤルギア67を回転させると、やがて、ダイヤルギア67がバネ111で凸部29iの方向に付勢されて、次の凹部105が凸部29iに係合する。この際、ダイヤルギア67の回転にクリック感が付与される。調整板65の各円弧の中心角やダイヤルギア67の凹部105の数、ダイヤルギア67のギア歯及び調整板65のギア部のギア歯の歯数等を適宜に設定することで、クリック感が得られるまでダイヤルギア67を回転させると、調整板65のいずれかの円弧が溝53の下端部内に下方から露出するようになっている。
【0049】
上記説明した装着区画Sにドラムユニット23が装着されると、
図2に示されるように、感光体ドラム31の左側のフランジ部材37は、左側板29cのフランジ受け溝51に挿入される。また、押圧レバー41が左側板29cと係合して、バネ43が押圧レバー41に対して左側のフランジ部材37を下方に押圧して、フランジ部材37が位置決めされる。また、
図4に示されるように、感光体ドラム31の回転軸39の右端部は、外側板32の縦溝57に挿入される。また、各押圧レバー41が外側板32と係合して、バネ43が押圧レバー41に対して回転軸39を下方に押圧して、回転軸39が位置決めされる。
【0050】
上記構成を有する作像ユニット17において、第1の実施形態に係るスキュー調整方法について、
図4及び
図5と、
図10~
図13とを参照して説明する。
図10は可動軸と溝とを示す正面図、
図11は外側板の回動を説明する図、
図12は外側板の回動による感光体ドラムの傾きを説明する図、
図13は書き込み位置のズレを説明する図である。
【0051】
図10に示されるように、外側板32の可動軸63は、右側板29dの溝53内において、調整板65の調整部73の外周縁(例えば第1円弧77)に当接している。外側板32の横開口61から指を入れて、ダイヤルギア67のラック部95のラック歯99に指を掛け、ダイヤルギア67を、クリック感が得られる毎に
図5の時計回り方向に回転させる。すると、すると、調整板65が
図5の反時計回り方向に回転して、調整板65の調整部73の第2円弧78と第3円弧とが溝53の下端部内に順に露出する。これにより、可動軸63は、第2円弧78と第3円弧78とによって、溝53に沿って押し上げられる。
【0052】
このように可動軸63が押し上げられると、
図11に示されるように、外側板32は支軸62を中心として鉛直面内を上方向へ回動する。同時に、
図12に示されるように、各感光体ドラム31は右上がりに傾斜する。
【0053】
図12に示されるように感光体ドラム31が右上がりに傾斜すると、レーザー光の書き込み位置の鉛直方向に沿った変位量Dが、回転軸39の軸方向において左から右に向かって徐々に大きくなる。
図13に示されるように、感光体ドラム31の表面の接線方向Tへのレーザー光Lの入射角はゼロであり、感光体ドラム31の中心を通る鉛直線Vに対するレーザー光Lの照射角度φは約10度である。書き込み位置が鉛直方向に沿って変位すると、
図13に示されるように、感光体ドラム31の周方向における書き込み位置がずれる。書き込み位置のズレαは、書き込み位置の鉛直方向に沿った変位量Dが大きいほど大きくなる。
図12に示されるように、変位量Dは回転軸39の軸方向において左から右に向かって大きくなっているので、書き込み位置のズレαは左から右に向かって大きくなる。この結果、書き込み位置が回転軸39の軸方向に対して斜めにずれることになり、スキューの調整が可能となる。
【0054】
さらに、
図11に示されるように、外側板32が支軸62を中心として鉛直面内を上方向に回動すると、支軸62からの距離に比例して感光体ドラム31の移動量が増加する。具体的には、支軸62に近いブラックに対応するドラムユニットの移動量は少なく、支軸62から最も遠いイエローに対応する感光体ドラムの移動量が最も多くなる。
【0055】
ここで、各感光体ドラム31のスキュー量について、
図14を参照して説明する。
図14は、基準色(ブラック)の感光体ドラムに対する各色の感光体ドラムの位置ズレ量とスキュー量の関係の一例を示すグラフである。グラフの横軸は位置ズレ量を示し、縦軸はスキュー量を示す。
図14の実線はブラック、一点鎖線はマゼンタ、二点鎖線はシアン、点線はイエローを示す。
【0056】
一般に、基準色であるブラックに対応するドラムユニット23は精度よく位置決めされており、ブラックから遠くなるほど位置決めの精度が低くなる。したがって、ブラックからの距離に比例してスキュー量は増加する。つまり、
図4グラフに示されるように、ブラックから最も遠いイエローのスキュー量が最も大きくなっている。
【0057】
上記説明したように本発明によれば、全ての感光体ドラム31の回転軸39が1つの外側板32に支持されているので、各色間のズレ量(ステーション間ピッチ)は少なくなる。そして、主調整機構30によって外側板32を鉛直面内で移動させることで、全ての感光体ドラム31に対してスキューを調整することができる。すなわち、一度の調整作業で全ての感光体ドラム31に対するスキューの調整が可能となり、スキューの調整を簡易な構成で効率的に行うことができる。
【0058】
また、感光体ドラム31の移動量は、支軸62からの距離に比例して増加する。支軸62は、基準色であるブラックのドラムユニット23の装着区画Sに近接して配置されているので、位置決めの精度の影響で、ブラックからの距離に比例してスキュー量は増加する。このように、ドラムユニット23毎のスキュー量の増加傾向は、感光体ドラム31の移動量の増加傾向と同じであるので、書き込み位置のズレ量をスキューの量に合わせることができる。
【0059】
また、全ての感光体ドラム31の回転軸39は1つの外側板32に支持されているので、いずれか一つの感光体ドラム31のスキューを補正すれば、他の感光体ドラム31のスキューも自動的に補正される。この場合、最も調整幅の広い、言い換えると、回転軸39の移動量が最も長いイエローの感光体ドラム31でスキューを調整すると、調整作業を行いやすい。
【0060】
本実施形態では、基準色のブラックに対応するドラムユニット23の装着区画Sが並列方向の端部(後端部)に配置されているが、他の色が基準色の場合は、基準色に対応するドラムユニット23の装着区画Sの近傍に支軸62を設けることが好ましい。
【0061】
なお、外側板32の可動軸63を移動させる構成は、本実施の形態に限らない。
【0062】
次に、第2の実施形態に係るスキュー調整方法について、
図15を参照して説明する。
図15は右側板と外側板とを示す正面図である。
【0063】
第2の実施形態においては、ブラック以外の色(シアン、マゼンタ、イエロー)に対応するドラムユニット23の各装着区画Sに、副調整機構40が備えられている。副調整機構40は、主調整機構30と同様の副調整部材としての調整板65と、ダイヤルギア67と、を使用することができる。すなわち、外側板32の各装着区画Sの凹部55の内側の面には、副調整部材としての調整板65とダイヤルギア67とが回転可能に支持されている。調整板65の調整部73の円弧77の一部は、縦溝57の下端部に前斜め下方から露出している。回転軸39の右端部は、調整部73の円弧77によって縦溝57の後側の側縁に押し当てられている。ダイヤルギア67を操作して調整板65を回転させることで、回転軸39を後側の側縁に沿って方向に移動させることができる。
【0064】
第2の実施形態においては、各感光体ドラム31の回転軸39が支持される外側板32を鉛直面内で移動させるのみではなく、シアン、マゼンタ、イエローに対応する感光体ドラム31の回転軸39を個別に移動させて、書き込み位置を調整することができる。回転軸39の移動と書き込み位置の変位については、
図12や
図13を参照して前述したとおりである。なお、副調整板65によって回転軸39の右端部が押し当てられる側縁の方向を、鉛直方向、斜め方向、あるいは、水平方向とすることで、調整感度を変えることができる。
【0065】
ブラックに対応する感光体ドラム31の回転軸39は、前述のように、高い精度で位置決めされている。また、外側板32を回動させる動作によってブラックに対応する感光体ドラム31のスキューが調整されると、他の色に対応する感光体ドラム31のスキューも自動的に調整されるようになっている。しかし、外側板32を回動させる動作で、ブラックに対応する感光体ドラム31のスキューが調整されても、他の色に対応する感光体ドラム31のスキューが所望のとおり調整されない場合は、副調整機構40によって微調整を行うことで、他の色に対応する感光体ドラム31のスキューをより確実に調整することができる。
【0066】
なお、副調整機構40は、ブラックに対応するドラムユニット23の装着区画Sに設けられても良い。この場合は、基準色であるブラックのスキューをより確実に調整できる。
【0067】
あるいは、副調整機構40は、全ての色に対応するドラムユニット23の装着区画Sに設けられても良い。この場合は、全ての感光体ドラム31のスキューをより確実に調整することができる。
【0068】
第1及び第2の実施形態では、外側板32は支軸62を中心として回動可能に右側板29dに支持されている。一方、他の実施形態では、外側板32は、回転軸39の左端部を支持するようにしても良い。あるいは、外側板32を、鉛直面内で上下方向や左右方向に移動可能に支持しても良い。
【0069】
なお、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係る画像形成装置における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、この態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、且つ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0070】
1 カラープリンター(画像形成装置)
19 露光装置
23 ドラムユニット(ユニット)
31 感光体ドラム
21 外側板(保持部材)
39 回転軸
57 縦溝(溝)
57a 側縁
62 支軸
63 可動軸
65 主調整板、副調整板(主調整部材、副調整部材)
77、78、79 円弧