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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02M3/28 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018048948
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019161968
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 央
【審査官】土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-336908(JP,A)
【文献】特開2009-268325(JP,A)
【文献】特開2000-069748(JP,A)
【文献】特開2010-166729(JP,A)
【文献】特開2001-309655(JP,A)
【文献】特開2011-130625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0063246(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0150521(US,A1)
【文献】特開2010-158145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部からの電力を導入する第1電源回路と、
2次側出力電圧を生成する第2電源回路と、
前記第1電源回路に接続される1次巻線および前記第2電源回路に接続される2次巻線を備え、前記第1電源回路と前記第2電源回路との間を絶縁しつつ電力授受可能に構成される変圧器と、
前記1次巻線の電圧が所定の基準電圧以下であるか否かを検出する電圧検出部と、を備え、
前記第1電源回路は、
前記1次巻線に印加する電圧のオンまたはオフを切り替えるスイッチ素子と、
前記スイッチ素子のオンまたはオフを切り替えるための制御電圧を出力し、前記1次巻線に供給する電力制御を行う1次側制御部と、を備え、
前記1次側制御部は、前記1次巻線および前記2次巻線の何れにも電流が流れない期間を有するような電力制御を行うように構成され、
前記第2電源回路は、
前記2次巻線に直列接続された同期整流素子と、
前記同期整流素子に印加される電圧に基づいて前記同期整流素子のオンまたはオフを切り替える2次側制御部と、
前記電圧検出部が前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下であることを検出した場合に、前記同期整流素子をオフする遮断部と、を備え
前記遮断部は、前記電圧検出部が前記1次巻線の電圧が基準電圧以下であることを検出した場合に、前記1次側制御部の前記スイッチ素子に対するスイッチングの一周期において前記同期整流素子がオンしてから所定時間経過後に、前記同期整流素子をオフするように構成される、スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記同期整流素子は、前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下である場合に、ボディダイオードに電流が流れることで前記2次巻線の電圧を整流するような電界効果トランジスタである、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記変圧器は、2次側に設けられ、前記1次巻線と同じ極性を有する電圧検出用巻線を有しており、
前記電圧検出部は、前記電圧検出用巻線から出力される電圧に基づいて前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下であるか否かを検出する、請求項1または2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記電圧検出部は、ツェナーダイオードを備え、
前記ツェナーダイオードの降伏電圧は、前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下である場合に前記ツェナーダイオードに印加される電圧より高い電圧であるように設定され
前記電圧検出部は、前記ツェナーダイオードに逆電流が流れなくなることにより前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下であることを検出するよう構成される、請求項1からの何れかに記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置等の燃焼装置には、燃焼用のファンや湯水循環用のポンプ等の負荷が設けられている。従来の燃焼装置は、安全性確保のため、電源からの電力を導入し、負荷に駆動電力を供給するスイッチング電源装置において、電源部が接続される1次側の第1電源回路と、負荷が接続される2次側の第2電源回路とが変圧器により絶縁されている。
【0003】
このようなスイッチング電源装置には、第1電源回路に、FET等のスイッチ素子およびこれの動作制御を行う1次側制御ICが設けられる。1次側制御ICは、PWM方式等による電力制御のためのデューティ比を設定し、FET等のスイッチ素子のスイッチングを行う。第1電源回路で生成された1次側出力電圧は、変圧器を介して1次側出力電圧によって生じるエネルギーとして2次側の第2電源回路に伝えられる。2次側においてこれを整流するための方式として、2次側の第2電源回路にFET等の同期整流素子を用いた同期整流方式を採用するものがある。同期整流方式のスイッチング電源装置において、第2電源回路には、同期整流素子およびこれの動作制御を行う2次側制御ICが設けられる。2次側制御ICは、同期整流素子の主端子間電圧(FETにおけるドレイン-ソース間電圧VDS)を検出し、このドレイン-ソース間電圧VDSに基づいて同期整流素子のスイッチングを行う。
【0004】
ここで、このような同期整流方式のスイッチング電源装置の制御方式として電流連続モードおよび電流不連続モードがある。電流連続モードは、1次巻線および2次巻線の何れかに電流が流れている(1次巻線および2次巻線の何れにも電流が流れない期間がない)ように動作する制御モードである。一方、電流不連続モードは、1次巻線および2次巻線の何れにも電流が流れない期間を有するように動作する制御モードである。理想的には、電流連続モードで制御を行う方が、損失が小さくなるため好ましい。
【0005】
しかし、電流連続モードでは、2次巻線に比較的大きい電流が流れている途中で1次側のスイッチ素子がオンするため、これに伴うドレイン-ソース間電圧VDSの変化が急峻となる。したがって、2次側制御ICにおける同期整流素子のオフ動作に遅れが生じる。この結果、1次側のスイッチ素子および2次側の同期整流素子の双方がオンする状態が発生し、同期整流素子に逆電流が流れる。すなわち、同期整流素子には、電圧が印加されている状態で逆電流が流れることになる。したがって、同期整流素子における電力消費が過大になり、同期整流素子が破損する恐れがある。
【0006】
このような問題を回避するため、1次側のスイッチング波形をモニタすることにより同期整流素子のスイッチングのタイミングを取得したり、1次側のスイッチング期間に応じて、同期整流素子のオン期間を設定し、同期整流素子のオン動作後、予め設定されたオン期間経過後にオフ動作させるタイマ制御を採用したりすることが行われている。
【0007】
1次側のスイッチング波形をモニタすることにより同期整流素子のスイッチングのタイミングを取得するためには、非常に厳密かつ高精度な制御が必要となる。また、タイマ制御を行う場合には、1次側のスイッチング期間に対してある程度のマージンを取る必要があるため、損失が大きくなる。
【0008】
このような問題により、現実的なコストで実用的なスイッチング電源装置を構成するためには、結局、上記のような対策を講じる代わりに、電流不連続モードを採用する方が低コストで損失が少ない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5115317号公報
【文献】特開2006-6094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、電流不連続モードを採用してスイッチング電源装置を構成した場合であっても、電源部からの入力電圧がオフ状態になったり、瞬断したりすると、電流連続モードと同様の問題が生じる場合がある。すなわち、第1電源回路に入力される電圧が低下した場合に、1次側制御ICが第1電源回路の出力電圧を維持しようとデューティ比を変化させるような制御を行うと、これによってデューティ比が大きく(1次側のスイッチ素子のオン時間が長く)なる。このため、2次巻線に流れる電流が十分低下する前に次の周期における1次側のスイッチ素子のオンタイミングが来てしまい、1次巻線および2次巻線の何れにも電流が流れない状態が生じることなく電流連続モードと同様の状況に移行してしまう。
【0011】
この結果、電流不連続モードで動作するように設計したにも拘らず、1次側のスイッチ素子のオンタイミングにおいて、2次側制御ICにおける同期整流素子のオフ動作に遅れが生じる。その結果、1次側のスイッチ素子および2次側の同期整流素子の双方がオンする状態が発生し、同期整流素子に逆電流が流れる恐れが生じる。
【0012】
特許文献1,2には、電流不連続モードにおける同期整流素子のオフ動作に基づくドレイン-ソース間電圧VDSの低下により再度同期整流素子がオンしないようにする態様が開示されている。このために、これらの従来技術では、第2電源回路の軽負荷時を検出している。しかし、これらの従来技術においても、電流不連続モードでの動作時を想定しており、電流不連続モードから意図しない電流連続モードに移行した状況に対処することはできない。
【0013】
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、電流不連続モードで動作するように設計されたスイッチング電源装置において、電源部からの入力電圧の低下が生じた場合であっても、簡単な構成で、同期整流素子に逆電流が流れることを防止することができるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係るスイッチング電源装置は、電源部からの電力を導入する第1電源回路と、2次側出力電圧を生成する第2電源回路と、前記第1電源回路に接続される1次巻線および前記第2電源回路に接続される2次巻線を備え、前記第1電源回路と前記第2電源回路との間を絶縁しつつ電力授受可能に構成される変圧器と、前記1次巻線の電圧が所定の基準電圧以下であるか否かを検出する電圧検出部と、を備え、前記第1電源回路は、前記1次巻線に印加する電圧のオンまたはオフを切り替えるスイッチ素子と、前記スイッチ素子のオンまたはオフを切り替えるための制御電圧を出力し、前記1次巻線に供給する電力制御を行う1次側制御部と、を備え、前記1次側制御部は、前記1次巻線および前記2次巻線の何れにも電流が流れない期間を有するような電力制御を行うように構成され、前記第2電源回路は、前記2次巻線に直列接続された同期整流素子と、前記同期整流素子に印加される電圧に基づいて前記同期整流素子のオンまたはオフを切り替える2次側制御部と、前記電圧検出部が前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下であることを検出した場合に、前記同期整流素子をオフする遮断部と、を備えている。
【0015】
上記構成によれば、電圧検出部により1次巻線の電圧が基準電圧以下であるか否かが検出される。電圧検出部が1次巻線の電圧が基準電圧以下であることを検出した場合、遮断部により同期整流素子がオフされる。これにより、同期整流素子に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況が生じた場合に、同期整流素子が強制的にオフされることにより、同期整流素子に逆電流が流れるのを防止することができる。したがって、電流不連続モードで動作するように設計されたスイッチング電源装置において、電源部からの入力電圧の低下が生じた場合であっても、簡単な構成で、同期整流素子に逆電流が流れることを防止することができる。
【0016】
前記同期整流素子は、前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下である場合に、ボディダイオードに電流が流れることで前記2次巻線の電圧を整流するような電界効果トランジスタであってもよい。これにより、遮断部により同期整流素子がオフされた場合に、ボディダイオードに電流が流れることで、別途ダイオードを接続することなく非同期整流方式(ダイオード整流方式)のスイッチング電源装置として機能させることができる。
【0017】
前記変圧器は、2次側に設けられ、前記1次巻線と同じ極性を有する電圧検出用巻線を有しており、前記電圧検出部は、前記電圧検出用巻線から出力される電圧に基づいて前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下であるか否かを検出してもよい。これにより、2次側の第2電源回路において容易に1次巻線の電圧が基準電圧以下であるか否かを検出することができる。
【0018】
前記遮断部は、前記電圧検出部が前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下であることを検出した場合に、前記同期整流素子をオンまたはオフに切り替えるための前記同期整流素子の制御端子をグランドに接地させるように構成されてもよい。これにより、2次側制御部の同期整流素子への信号出力にかかわらず、同期整流素子をオフすることができる。
【0019】
前記遮断部は、前記電圧検出部が前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下であることを検出した場合に、前記2次側制御部に電力を供給する電源ラインを遮断するように構成されてもよい。これにより、2次側制御部への電力供給が遮断されるため、2次側制御部の同期整流素子への信号出力を停止させることにより、確実に同期整流素子をオフすることができる。
【0020】
前記遮断部は、前記電圧検出部が前記1次巻線の電圧が基準電圧以下であることを検出した場合に、前記1次側制御部の前記スイッチ素子に対するスイッチングの一周期において前記同期整流素子がオンしてから所定時間経過後に、前記同期整流素子をオフするように構成されてもよい。これによれば、1次巻線の電圧が基準電圧以下となり、同期整流素子に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合には、遮断部により、スイッチングの一周期において同期整流素子がオンしてから所定時間経過後に、同期整流素子の制御端子がオフされる。これにより、同期整流素子に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合に、2次側制御部による同期整流素子のスイッチング制御を実行しつつ同期整流素子に逆電流が流れることを防止することができる。
【0021】
前記電圧検出部は、ツェナーダイオードを備え、前記ツェナーダイオードの降伏電圧は、前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下である場合に前記ツェナーダイオードに印加される電圧より高い電圧であるように設定され、前記電圧検出部は、前記ツェナーダイオードに逆電流が流れなくなることにより前記1次巻線の電圧が前記基準電圧以下であることを検出するよう構成されてもよい。これにより、ツェナーダイオードに逆電流が流れなくなるか否かを検出することで1次巻線の電圧が基準電圧以下であるか否かが検出される。したがって、簡単な構成で、1次巻線の電圧が基準電圧以下であるか否かを検出することができる。
【発明の効果】
【0022】
一態様によれば、電流不連続モードで動作するように設計されたスイッチング電源装置において、電源部からの入力電圧の低下が生じた場合であっても、簡単な構成で、同期整流素子に逆電流が流れることを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。
図2図2は、本発明の実施の形態2に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。
図3図3は、本発明の実施の形態3に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。
図4図4は、図3の遅延回路における各点の電圧波形を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態4に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。
図6図6は、本発明の実施の形態5に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。
図7図7は、本発明の一実施の形態におけるスイッチング電源装置が適用される給湯装置の一例を示す作動原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0025】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。図1に示すように、本実施の形態におけるスイッチング電源装置1は、電源部3からの電力を導入する第1電源回路4と、2次側出力電圧V2を生成する第2電源回路5と、第1電源回路4と第2電源回路5との間を絶縁しつつ電力授受可能に構成される変圧器6と、を備えている。
【0026】
第1電源回路4は、電源部3から入力される交流電力を整流する整流回路8を備えている。整流回路8は、例えばブリッジダイオードとして構成される。ブリッジダイオードである整流回路8は入力側端子に電源部3からの交流電圧が入力され、当該交流電圧を直流成分に整流して出力側正極端子から出力する。整流回路8の出力側端子には、コンデンサ9が接続され、出力側正極端子から出力された電荷が蓄えられる。これにより、第1電源回路4は、1次側出力電圧V1を出力する。なお、第1電源回路4は、1次側出力電圧V1の安定化のための力率改善回路要素等をさらに備えていてもよい。
【0027】
第1電源回路4で生成された1次側出力電圧V1は、少なくとも1つの負荷(図1においては図示せず)を駆動するための駆動電力として各負荷に供給される。また、1次側出力電圧V1は、変圧器6により所定の電圧に変圧され、第2電源回路5に供給される。変圧器6は、第1電源回路4が接続される1次巻線である第1巻線61と、第2電源回路5が接続される2次巻線である第2巻線62と、を備えている。1次側出力電圧V1が生成されることにより、第1巻線61に電流が流れ、それに応じて第2巻線62に電磁誘導による電流が流れる。
【0028】
整流回路8の出力側端子には、スイッチ素子41が接続される。スイッチ素子41は、例えばnチャンネルの電界効果トランジスタ(FET)により構成される。スイッチ素子41の制御端子には1次側制御部42が接続される。1次側制御部42は、公知のPFC制御動作を行い得る集積回路やマイクロコントローラにより構成される。1次側制御部42は、スイッチ素子41の一対の主端子間(ドレイン-ソース間)を導通状態(オン)または非導通状態(オフ)に切り替える制御信号(制御電圧)を出力するように構成される。1次側制御部42から出力される制御信号は出力電圧および入力電流に対するPWM制御信号である。このような制御信号によりスイッチ素子41のオンまたはオフが切り替えられることにより、第1巻線61に印加する電圧のオンまたはオフが切り替えられる。
【0029】
変圧器6は、第1電源回路4に接続され、1次側制御部42に電力を供給するための第3巻線63をさらに備えている。第3巻線63は、1次側かつ第1巻線61と同極に構成される。第1巻線61および第3巻線63は共通のグランドPGに接地されている。第1電源回路4は、変圧器6の第3巻線63に接続されたダイオード12およびコンデンサ13を備えている。ダイオード12は、第3巻線63に生じた電流を整流し、当該電流に基づく電荷がコンデンサ13に蓄えられる。
【0030】
第2電源回路5は、変圧器6の第2巻線62に直列接続された同期整流素子10と、第2巻線62および同期整流素子10に直列接続されたコンデンサ11とを備えている。同期整流素子10は、例えばnチャンネルの電界効果トランジスタ(FET)により構成される。同期整流素子10は、ボディダイオード(寄生ダイオードとも称される)10dを有している。同期整流素子10は、一対の主端子(ドレインおよびソース)と制御端子(ゲート)を有し、一対の主端子の一方が第2巻線62の一端部に接続されている。
【0031】
同期整流素子10の制御端子には、2次側制御部43が接続される。2次側制御部43は、集積回路やマイクロコントローラにより構成される。なお、2次側制御部43は、第2巻線62の電圧(2次側出力電圧)V2から供給される電力により動作するが、図1において実施の形態2で説明するような電源ラインは図示を省略している。
【0032】
2次側制御部43は、同期整流素子10(の一対の主端子間)に印加される電圧(ドレイン-ソース間電圧VDS)に基づいて同期整流素子10の制御端子に印加する電圧を変化させることにより、同期整流素子10の導通状態(オン)または非導通状態(オフ)を切り替える制御を行う。図1の例では、同期整流素子10のソースはグランドSGに接地されており、2次側制御部43も同じグランドSGに接地されている。このため、2次側制御部43は、同期整流素子10のドレイン-ソース間電圧VDSを検出するために、同期整流素子10のドレインの電位を取得するように構成されている。
【0033】
これに基づいて、同期整流素子10は、第2巻線62に生じた電流を整流し、当該電流に基づく電荷がコンデンサ11に蓄えられる。これにより、第2電源回路5は、2次側出力電圧V2を出力する。
【0034】
以上のような構成において、1次側制御部42は、第1巻線61および第2巻線62の何れにも電流が流れない期間を有するような電力制御(電流不連続モードによる制御)を行うように構成されている。電流不連続モードとするか電流連続モードとするかは、1次側制御部42のPWM周波数と、変圧器6の第1巻線61および第2巻線62のインダクタンスとを設定することにより、設計時に設定される。
【0035】
さらに、スイッチング電源装置1は、第1巻線61の電圧が所定の基準電圧Vs以下であるか否かを検出する電圧検出部27を備えている。変圧器6は、第1巻線61と同じ極性を有する電圧検出用巻線である第4巻線64を備えている。第4巻線64は2次側に設けられ、第1巻線61と同じインダクタンスを有する。電圧検出部27は、第4巻線64に生じる電流を整流するダイオード45と、ダイオード45に直列接続されるコンデンサ14とを備えている。これにより、第4巻線64に接続されたコンデンサ14に基づいて生成される電圧Vrは、1次側出力電圧V1とほぼ等しくなる。このように、第1巻線61の電圧V1を監視するための電圧検出用巻線を2次側に設けることにより、2次側の第2電源回路5において容易に第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であるか否かを検出することができる。
【0036】
電圧検出部27は、第4巻線64から出力される電圧Vrに基づいて(第1巻線61の電圧である1次側出力電圧V1とみなして)、1次側出力電圧V1が基準電圧Vs以下であるか否かを検出する。すなわち、電圧検出部27は、電圧Vrが基準電圧Vs以下であるか否かを検出する。基準電圧Vsは、電流不連続モードから電流連続モードに移行する1次側出力電圧V1の最大値に基づいて(それ以上に)設定される。
【0037】
本実施の形態において、電圧検出部27は、ツェナーダイオード29を備えている。ツェナーダイオード29のカソードが第4巻線64の出力部に接続されている。ツェナーダイオード29の降伏電圧は、電圧Vrが基準電圧Vs以下である場合にツェナーダイオード29に印加される電圧より高い電圧であるように設定される。これにより、ツェナーダイオード29には、電圧Vrが基準電圧Vs以下である場合に、降伏電圧より低い電圧が印加される。
【0038】
電圧検出部27は、ツェナーダイオード29に逆電流が流れなくなることにより第1巻線61の電圧(1次側出力電圧V1)が基準電圧Vs以下であることを検出するよう構成される。このために、電圧検出部27は、ツェナーダイオード29に並列接続された第1の分圧抵抗素子25(25a,25b)と、ツェナーダイオード29のアノードに直列接続された第2の分圧抵抗素子26(26a,26b)と、第2の分圧抵抗素子26の一方26bに並列接続されたコンデンサ23と、第2の分圧抵抗素子26に電流が流れることにより生じる電圧で動作するトランジスタ28とを備える。トランジスタ28の一対の主端子は、第1の分圧抵抗素子25aおよび25bの間と、グランドSGとにそれぞれ接続されている。
【0039】
第1巻線61の電圧V1として得られる第4巻線64の電圧Vrが基準電圧Vsより高い場合、ツェナーダイオード29には、降伏電圧より高い電圧が印加される。これにより、ツェナーダイオード29には逆電流が流れ、第2の分圧抵抗素子26に電流が流れる。この電流によりコンデンサ23が充電され、コンデンサ23に印加される電圧により、トランジスタ28がオンする。トランジスタ28がオンすることにより、第1の分圧抵抗素子25aおよび25bの間がグランドSGに接地される。
【0040】
一方、第4巻線64の電圧Vrが基準電圧Vs以下である場合、ツェナーダイオード29には降伏電圧より低い電圧が印加される。これにより、ツェナーダイオード29には逆電流は流れず、第2の分圧抵抗素子26にも電流が流れない。したがって、コンデンサ23には電圧が印加されないため、トランジスタ28はオフする。この結果、第1の分圧抵抗素子25aおよび25bの間には、電圧Vrを第1の分圧抵抗素子25の分圧比に応じて分圧した電圧が印加される。
【0041】
電圧検出部27は、第1の分圧抵抗素子25aおよび25bの間が出力部として機能する。すなわち、電圧検出部27は、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vsより高い場合に、当該出力部からグランド電位を出力し、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下である場合に、当該出力部から所定の電圧(後述するスイッチ素子24をオンするための電圧)を出力する。
【0042】
このように、ツェナーダイオード29に逆電流が流れなくなるか否かを検出することで第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であるか否かが検出される。したがって、簡単な構成で、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であるか否かを検出することができる。
【0043】
第2電源回路5は、電圧検出部27が第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であることを検出した場合に、同期整流素子10をオフする遮断部30を備えている。遮断部30は、電圧検出部27が第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であることを検出した場合に、同期整流素子10の制御端子をグランドSGに接地させるように構成されている。このために、遮断部30は、FET等のスイッチ素子(2次側のスイッチ素子)24を備えている。スイッチ素子24の一対の主端子は、2次側制御部43の信号出力部とグランド接続部とに、それぞれ接続されている。スイッチ素子24の制御端子は、電圧検出部27の出力部である第1の分圧抵抗素子25aおよび25bの間に接続されている。
【0044】
上述の通り、電圧検出部27において、第1巻線61の電圧が基準電圧Vsより高い場合に、第1の分圧抵抗素子25aおよび25bの間がグランド電位となるため、スイッチ素子24は、オフ状態となる。したがって、同期整流素子10は、2次側制御部43の出力信号に基づいてスイッチング動作する。
【0045】
一方、電圧検出部27において、第1巻線61の電圧が基準電圧Vs以下である場合に、第1の分圧抵抗素子25aおよび25bの間に所定の電圧が印加されるため、スイッチ素子24は、オン状態となる。したがって、同期整流素子10の制御端子は、スイッチ素子24を介してグランドSGに接地される。この結果、同期整流素子10は、2次側制御部43の出力信号にかかわらずオフ状態となる。
【0046】
上記構成によれば、電圧検出部27により第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であるか否かが検出される。電圧検出部27が第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であることを検出した場合、遮断部30により同期整流素子10がオフされる。これにより、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況が生じた場合に、同期整流素子10が強制的にオフされることにより、同期整流素子10に逆電流が流れるのを防止することができる。したがって、電流不連続モードで動作するように設計されたスイッチング電源装置1において、電源部3からの入力電圧の低下が生じた場合であっても、簡単な構成で、同期整流素子10に逆電流が流れることを防止することができる。
【0047】
また、本実施の形態においては、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下である場合に、同期整流素子10の制御端子をグランドSGに接地させるように構成される。これにより、2次側制御部43の同期整流素子10の制御端子への信号出力にかかわらず、同期整流素子10を確実にオフすることができる。したがって、同期整流素子10に逆電流が流れるのを確実に阻止することができる。
【0048】
ここで、同期整流素子10は、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下である場合に、ボディダイオード10dに電流が流れることで第2巻線62の電圧V2を整流するように構成される。これにより、遮断部30により同期整流素子10がオフされた場合に、ボディダイオード10dに電流が流れることで、別途ダイオードを接続することなく非同期整流方式(ダイオード整流方式)のスイッチング電源装置として機能させることができる。
【0049】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。図2は、本発明の実施の形態2に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態におけるスイッチング電源装置1Bが実施の形態1と異なる点は、電圧検出部27Bが、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であることを検出した場合に、遮断部30Bが、2次側制御部43に電力を供給する電源ライン31を遮断するように構成されることである。
【0050】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、電圧検出部27Bは、ツェナーダイオード29、分圧抵抗素子26(26a,26b)、コンデンサ23およびトランジスタ28を備えている。電圧検出部27Bにおいて、第4巻線64の電圧Vrが基準電圧Vsより高い場合、トランジスタ28がオンし、第4巻線64の電圧Vrが基準電圧Vs以下である場合、トランジスタ28がオフする。
【0051】
本実施の形態において、トランジスタ28における一対の主端子の一方にFET等のスイッチ素子34の制御端子が接続される。スイッチ素子34における一対の主端子は、2次側制御部43の電源ライン31に介挿される。電源ライン31には、コンデンサ32および抵抗素子33が接続されている。
【0052】
トランジスタ28がオンすると、スイッチ素子34がオンする。これにより、2次側制御部43に電源電圧VCCが入力される。これにより、2次側制御部43が同期整流素子10に対して信号出力可能となり、同期整流素子10がスイッチング制御される。一方、トランジスタ28がオフすると、スイッチ素子34がオフする。これにより、電源ライン31が遮断されるため、2次側制御部43は動作しない。これにより、同期整流素子10は、オフ状態が継続される。
【0053】
以上のように、本実施の形態においては、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vsより高い通常時においては、スイッチ素子34がオンし、2次側制御部43へ電力が供給される。このため、2次側制御部43のスイッチング制御により同期整流素子10がスイッチング動作を行う。一方、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下となり、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合には、スイッチ素子34がオフし、2次側制御部43への電力供給が遮断されるため、2次側制御部43による同期整流素子10への信号出力が停止する。これにより、本実施の形態においても、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合に確実に同期整流素子10をオフすることができる。
【0054】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について説明する。図3は、本発明の実施の形態3に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態におけるスイッチング電源装置1Cが実施の形態1と異なる点は、遮断部30Cが、電圧検出部27Cが第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であることを検出した場合に、1次側制御部42のスイッチ素子41に対するスイッチングの一周期において同期整流素子10がオンしてから所定時間経過後に、同期整流素子10をオフするように構成されることである。
【0055】
より具体的には、遮断部30Cは、電圧検出部27Cが第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であることを検出した場合に動作する遅延回路40を備えている。遮断部30Cは、遅延回路40が動作することにより、スイッチングの一周期において同期整流素子10がオンしてから所定時間経過後に、同期整流素子10の制御端子をグランドSGに接地させるように構成される。
【0056】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、電圧検出部27Cは、ツェナーダイオード29、分圧抵抗素子26(26a,26b)、およびコンデンサ23を備えている。分圧抵抗素子26aおよび26bの間には、FET等のスイッチ素子24の制御端子が接続されている。電圧検出部27Cにおいて、第4巻線64の電圧Vrが基準電圧Vsより高い場合、スイッチ素子24がオンし、第4巻線64の電圧Vrが基準電圧Vs以下である場合、スイッチ素子24がオフする。
【0057】
遅延回路40は、2次側制御部43から同期整流素子10をオンするための制御電圧が出力されてから(図3におけるA点の電圧がハイ状態となってから)所定時間経過後に同期整流素子10の制御端子をグランドSGに接地させるように構成されている。このために、遅延回路40は、例えば公知のシュミットトリガ回路35と、シュミットトリガ回路35の電圧入力端子Bに印加される電圧を生成する抵抗素子36およびコンデンサ37と、2次側制御部43の信号出力部(A点)とグランド接続部とに、一対の主端子がそれぞれ接続されたFET等のスイッチ素子38と、を備えている。
【0058】
シュミットトリガ回路35の電圧入力端子Bは、抵抗素子39を介してA点に接続されている。シュミットトリガ回路35の電圧出力端子Cは、スイッチ素子38の制御端子に接続される。シュミットトリガ回路35の電源入力端子Eは、スイッチ素子24の一対の主端子の一方に接続される。これにより、シュミットトリガ回路35とスイッチ素子24とは、並列に接続される。本実施の形態において、シュミットトリガ回路35は2つのトランジスタ35a,35bおよび複数の抵抗素子を備えている。
【0059】
第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vsより高い通常時においては、スイッチ素子24がオンするため、シュミットトリガ回路35の電源入力端子EがグランドSGに接地される。したがって、遅延回路40は動作せず、2次側制御部43のスイッチング制御により同期整流素子10がスイッチング動作を行う。
【0060】
一方、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下となり、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合には、スイッチ素子24がオフし、シュミットトリガ回路35の電源入力端子Eに電力が供給され、遅延回路40が動作可能となる。
【0061】
図4は、図3の遅延回路における各点の電圧波形を示す図である。図4には、同期整流素子10に印加される制御電圧波形(A点の電圧波形)、シュミットトリガ回路35の電圧入力端子Bに印加される電圧波形(B点の電圧波形)、および、シュミットトリガ回路35の電圧出力端子Cに印加される電圧波形(C点の電圧波形)が同じ時間軸上に示されている。
【0062】
スイッチ素子24がオフしている状態において、2次側制御部43が同期整流素子10をオンするための制御電圧を出力していない場合(A点の電圧がロー状態)では、1段目のトランジスタ35aがオフ状態であり、2段目のトランジスタ35bがオン状態である。このとき、C点の電圧は、2段目のトランジスタ35bのエミッタ端子およびコレクタ端子に接続される抵抗素子の分圧比の設定により、グランド電位に近い電圧(スイッチ素子38をオンしないような電圧)となっている。
【0063】
2次側制御部43が同期整流素子10をオンするための制御電圧を出力する(A点の電圧がハイ状態になる)と、抵抗素子36およびコンデンサ37によりB点の電圧が徐々に上昇する(図4の矢符T1参照)。B点の電圧が所定の電圧以上になると、シュミットトリガ回路35を構成する1段目のトランジスタ35aがオンし、それにより2段目のトランジスタ35bがオフする。これにより、C点の電圧は、電源入力端子Eの電圧に近い電圧に上昇する(図4の矢符T2参照)。この結果、スイッチ素子38がオンする。
【0064】
スイッチ素子38がオンすると、同期整流素子10の制御端子がグランドSGに接地される。これによりA点の電圧は強制的にロー状態となる(図4の矢符T3参照)。この結果、2次側制御部43から出力される制御電圧に拘わらず、スイッチングの一周期において同期整流素子10がオンしてから所定時間経過後に同期整流素子10がオフする。このような時間による遮断動作は、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下である期間において周期ごとに実行される。
【0065】
図4に示すA点の電圧波形において破線で示している部分Sは、時間による遮断動作が行われない場合のA点の電圧波形(2次側制御部43の出力波形)と時間による遮断動作が行われる場合のA点の電圧波形(図4に示すA点の電圧波形における実線部分)との差分波形である。差分波形が生じている時間(A点の電圧波形において2次側制御部43の出力波形の一部がカットされる期間)においては同期整流素子10のボディダイオード10dに電流が流れることにより、非同期の整流素子として機能する。
【0066】
以上のように、本実施の形態においては、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下となり、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合には、遅延回路40により、スイッチングの一周期において同期整流素子10がオンしてから所定時間経過後に、同期整流素子10の制御端子をグランドSGに接地させる。すなわち、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合にのみ、同期整流素子10のオンタイミングを起点とする時間による遮断動作が実行される。これにより、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合に、2次側制御部43による同期整流素子10のスイッチング制御を実行しつつ同期整流素子10に逆電流が流れることを防止することができる。
【0067】
[実施の形態4]
上記実施の形態1~3においては、電圧検出部27,27B,27Cにおいて第1巻線61の電圧V1(第4巻線64の電圧Vr)が基準電圧Vs以下であることを検出する構成として、ツェナーダイオード29を用いた構成について説明したが、本発明はこれに限られない。
【0068】
図5は、本発明の実施の形態4に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態におけるスイッチング電源装置1Dが実施の形態1と異なる点は、電圧検出部27Dが、第1巻線61の電圧V1と基準電圧Vsとを比較するコンパレータ44を備えていることである。遮断部30の構成は、実施の形態1と同様である。
【0069】
さらに、電圧検出部27Dは、分圧抵抗素子46a,46bにより構成され、第1巻線61の電圧V1(第4巻線64の電圧Vr)を分圧して第1比較電圧を生成する第1比較電圧生成部46と、分圧抵抗素子47a,47bにより構成され、第2巻線62の電圧V2を分圧して第2比較電圧を生成する第2比較電圧生成部47とを備えている。
【0070】
コンパレータ44の反転入力端子(-)には第1比較電圧が入力され、非反転入力端子(+)には第2比較電圧が入力されるように構成されている。コンパレータ44の出力端子には、スイッチ素子24の制御端子が接続されている。スイッチ素子24は、実施の形態1と同様に、一対の主端子が2次側制御部43の信号出力部とグランド接続部とに、それぞれ接続されている。
【0071】
電圧検出部27Dにおいて、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vsより高い場合、コンパレータ44に入力される電圧のうち反転入力端子(-)に入力される第1比較電圧が非反転入力端子(+)に入力される第2比較電圧より高くなる。このため、コンパレータ44は、ロー状態を出力し、スイッチ素子24はオフ状態となる。したがって、同期整流素子10は、2次側制御部43の出力信号に基づいてスイッチング動作する。
【0072】
一方、電圧検出部27Dにおいて、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下である場合、コンパレータ44に入力される電圧のうち非反転入力端子(+)に入力される第2比較電圧が反転入力端子(-)に入力される第1比較電圧より高くなる。このため、コンパレータ44はハイ状態を出力し、スイッチ素子24はオン状態となる。このとき、同期整流素子10の制御端子は、スイッチ素子24を介してグランドSGに接地される。この結果、同期整流素子10は、2次側制御部43の出力信号にかかわらずオフ状態となる。
【0073】
上記構成によっても、コンパレータ44を用いた簡単な構成の電圧検出部27Dにより第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であるか否かを検出することができる。そして、電圧検出部27Dが第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下であることを検出した場合、遮断部30により同期整流素子10がオフされる。これにより、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況が生じた場合に、同期整流素子10が強制的にオフされることにより、同期整流素子10に逆電流が流れるのを防止することができる。
【0074】
なお、本実施の形態における電圧検出部27Dと、上記実施の形態3における遮断部30Cとを組み合わせることも可能である。すなわち、図3におけるスイッチ素子24の制御端子に図5に示す電圧検出部27Dにおけるコンパレータ44の出力端子が接続された構成とすることにより、ツェナーダイオード29を用いる代わりにコンパレータ44を用いつつ実施の形態3と同様の動作を実現することができる。
【0075】
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5について説明する。図6は、本発明の実施の形態5に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路図である。本実施の形態において、実施の形態2と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態におけるスイッチング電源装置1Eが実施の形態2と異なる点は、電圧検出部27Eが、第1巻線61の電圧V1を分圧する分圧抵抗素子48(48a,48b)と、出力電圧端子(カソード)が遮断部30Bのスイッチ素子24に接続され、リファレンス端子が分圧抵抗素子48aおよび48b間に接続されるシャントレギュレータ49とを備えていることである。遮断部30Bの構成は、実施の形態2と同様である。
電圧検出部27Eにおいて、シャントレギュレータ49は、リファレンス端子に入力される電圧の大きさに応じて出力電圧端子から出力される電圧の大きさ(カソードの電位)が変化する。したがって、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vsより高い場合、シャントレギュレータ49から出力される電圧も大きくスイッチ素子34をオンする電圧がスイッチ素子34の制御端子に入力される。一方、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下になると、シャントレギュレータ49から出力される電圧も小さくなり、スイッチ素子34をオンできる電圧がスイッチ素子34の制御端子には印加されなくなる。この結果、スイッチ素子34はオフし、電源ライン31が遮断されるため、2次側制御部43は動作しない。これにより、同期整流素子10は、オフ状態が継続される。
【0076】
以上のように、本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vsより高い通常時においては、スイッチ素子34がオンし、2次側制御部43へ電力が供給されるため、2次側制御部43のスイッチング制御により同期整流素子10がスイッチング動作を行う。一方、第1巻線61の電圧V1が基準電圧Vs以下となり、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合には、スイッチ素子34がオフし、2次側制御部43への電力供給が遮断されるため、2次側制御部43による同期整流素子10への信号出力が停止する。これにより、同期整流素子10に逆電流が流れる恐れのある過渡的な状況となった場合に確実に同期整流素子10をオフすることができる。
【0077】
[適用例]
以下、上記スイッチング電源装置1,1B~1Eが適用される給湯装置の例を示す。図7は、本発明の一実施の形態におけるスイッチング電源装置が適用される給湯装置の一例を示す作動原理図である。図7に示す給湯装置201は、給湯機能と風呂の追い焚き機能とを備えた多機能型の給湯装置である。給湯装置201は、燃料ガスを燃焼する燃焼装置202と、燃焼装置202へ燃料ガスを供給する燃料ガス供給路221と、燃焼装置202に空気を供給する送風機222と、給湯流路203と、追い焚き流路204と、追い焚き流路204に設けられた風呂ポンプ241と、制御装置205とを備えている。さらに、給湯装置201は、燃焼装置202で生じたドレンを回収するためのドレン回収機構207を備えている。
【0078】
燃焼装置202にはバーナ部224が設けられており、このバーナ部224に燃料ガス供給路221から燃料ガスが供給される。燃料ガス供給路221には、燃料ガスの供給と遮断とを切り替える元ガス電磁弁225と、燃料ガスの供給量を調整するためのガス比例弁226とが設けられている。また、バーナ部224には、風呂ガス電磁弁230、複数の給湯能力切替ガス電磁弁228、および給湯ガス電磁弁229が設けられている。
【0079】
給湯流路203は、水道等から送給された水を給水入口231から後述する給湯側熱交換部233へ送る往路部232と、水を燃焼装置202で生成された燃焼ガスと熱交換させて加熱する給湯側熱交換部233と、湯を給湯側熱交換部233から給湯出口234へ送る復路部235とを形成する配管から構成されている。復路部235には、給湯の水量と温度とを調整するために、給湯水量を調整する給湯水量調整弁236と、水と湯との混合比率を調整する混合弁237が設けられている。
【0080】
追い焚き流路204は、風呂水を戻り口242から後述する追い焚き側熱交換部244へ送る戻り部243と、風呂水を燃焼装置202で生成された燃焼ガスと熱交換させて加熱する追い焚き側熱交換部244と、加熱された風呂水を追い焚き側熱交換部244から往き口245へ送る往き部246とを形成する配管から構成されている。風呂ポンプ241は、追い焚き流路204のうち戻り部243に設けられている。
【0081】
ドレン回収機構207は、給湯側熱交換部233および追い焚き側熱交換部244で生じた排ガス中の水蒸気が凝縮したドレンが流れるドレン排水路250と、ドレンを中和するための中和器247と、中和されたドレンを一時貯留するドレンタンク248と、ドレンタンク248に貯留されたドレンをドレン排出口251から外部へ排出するためのドレンポンプ249とを備えている。
【0082】
送風機222、風呂ポンプ241およびドレンポンプ249は、上記実施の形態におけるスイッチング電源装置1,1B~1Eにおける電力供給対象となり得る負荷である。風呂ポンプ241およびドレンポンプ249は、配管に液体を圧送させるためのポンプとして構成され、DC141Vを含む所定の動作許容電圧範囲を有している。
【0083】
制御装置205は、演算装置208およびスイッチング電源装置206を含んでいる。演算装置208は、CPU、ROM、およびRAM等で構成されたマイクロコントローラや集積回路を備えている。制御装置205には、送風機222、風呂ポンプ241およびドレンポンプ249をはじめとする各電装品等との間に、各電装品等を制御する信号経路(図示略)が設けられている。演算装置208は、演算装置208に記憶された制御プログラムに従って給湯装置201の各種制御を実行する。制御プログラムには、各電装品の運転に関する各種プログラムが含まれており、これらのプログラムに基づいて各電装品の制御が行われる。
【0084】
制御装置205には、図示されない外部電源から電力が供給され、スイッチング電源装置206によって、この給湯装置201で用いられる電源(例えば送風機222や各ポンプを駆動するDC141V電源、送風機222や各ポンプを制御するための負荷制御電圧Vccを生成したり、その他の機器を駆動したりするためのDC15V電源等)が生成される。スイッチング電源装置206により必要に応じた電圧に変換されて、演算装置208や、燃焼装置202、送風機222、風呂ポンプ241、ドレンポンプ249、各種電磁弁、各種センサ等の各電装品へ供給される。
【0085】
以上説明したような給湯装置201のスイッチング電源装置206として、送風機222、風呂ポンプ241、ドレンポンプ249等の負荷に電源を供給するために、上記実施の形態におけるスイッチング電源装置1,1B~1Eが適用可能である。上記実施の形態におけるスイッチング電源装置1,1B~1Eが適用される給湯装置は、上記給湯装置201に限られない。例えば、給湯装置201の給湯機能および風呂の追い焚き機能に加えて温水暖房機能を備えた多機能型の給湯装置であってもよい。温水暖房経路に設けられる暖房ポンプに対し、上記実施の形態におけるスイッチング電源装置1,1B~1Eにより電源供給を行うことができる。また、給湯装置201においてドレンポンプ249を用いない構成としてもよい。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0087】
例えば、上記実施の形態では、同期整流素子10のオフ時においてボディダイオード10dに逆電流を流すこととしたが、これに加えてまたはこれに代えて、同期整流素子10の一対の主端子間に、別途ダイオード素子を同期整流素子10と並列に接続してもよい。
【0088】
また、電圧検出部の構成は、第1巻線61の電圧V1が所定の基準電圧Vs以下であるか否かを検出可能な構成であればよく、上記実施の形態における電圧検出部27,27B~27Eの構成に限られない。すなわち、ツェナーダイオード29、コンパレータ44、シャントレギュレータ49以外の素子を用いて電圧検出部を構成してもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、電圧検出部27,27B~27Eが、第1巻線61の電圧V1が所定の基準電圧Vs以下であるか否かを、2次側に設けられ、同極性かつ同じインダクタンスを有する第4巻線64から出力される電圧Vrの変化に基づいて判定する構成としているが、これに限られない。例えば、電圧検出用巻線として第1巻線61とは異なるインダクタンスを有する2次側の巻線を用いてもよい。1次側の第1電源回路4に、第1巻線61の電圧V1が所定の基準電圧Vs以下であるか否かを検出可能な構成を設け、フォトカプラ等の非接触等信号伝達回路を介して第2電源回路5に信号伝達する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係るスイッチング電源装置は、電流不連続モードで動作するように設計されたスイッチング電源装置において、電源部からの入力電圧の低下が生じた場合であっても、簡単な構成で、同期整流素子に逆電流が流れることを防止するために有用である。
【符号の説明】
【0091】
1,1B~1E,206 スイッチング電源装置
3 電源部
4 第1電源回路
5 第2電源回路
6 変圧器
10 同期整流素子
10d ボディダイオード
27,27B~27E 電圧検出部
29 ツェナーダイオード
30,30B,30C 遮断部
31 電源ライン
41 スイッチ素子
42 1次側制御部
43 2次側制御部
61 第1巻線(1次巻線)
62 第2巻線(2次巻線)
64 第4巻線(電圧検出用巻線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7