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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】電気集塵機の集塵部
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/40 20060101AFI20220621BHJP
   B03C 3/47 20060101ALI20220621BHJP
   B03C 3/66 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B03C3/40 A
B03C3/47
B03C3/66
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018065077
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019171334
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】青木 博則
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-207208(JP,A)
【文献】特開2009-095799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0312170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00 - 3/88
H05K 7/12
A61L 9/00
A61L 9/16
F24F 7/003
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電された塵埃を捕集する電極部と、前記電極部を収容する枠部とを備え、
前記電極部は、平板状に形成された複数の高圧電極と、平板状に形成された複数の接地電極と、前記高圧電極の端部に接続されて同高圧電極に給電する給電部材と、を備えるとともに、前記高圧電極と前記接地電極とが交互に配置され、
前記給電部材は、前記高圧電極の一端側に配置される第1の給電部と、前記高圧電極の他端側に配置される第2の給電部と、前記第1の給電部と前記第2の給電部とを接続して導通させる導通部と、を有し、
前記導通部は、板状の導電部材で形成されるとともに、前記高圧電極および前記接地電極に対して平行に配置され、
前記枠部は、前記電極部の外周を囲む筒状に形成されるとともに、前記給電部材の前記導通部が配置される導通部配置部を有し、前記導通部配置部と前記接地電極の間には、前記導通部と前記接地電極間の絶縁距離を確保する第1のリブ部と、前記第1のリブ部と協働して前記導通部を保持する第2のリブ部と、を備え、
前記導通部は前記第1のリブ部と前記第2のリブ部とで挟持される、電気集塵機の集塵部。
【請求項2】
前記枠部には、前記導通部が前記第1のリブ部よりも前記接地電極側に誤配置されてしまうのを防止する第3のリブ部が形成されている、請求項に記載の電気集塵機の集塵部。
【請求項3】
前記第1のリブ部と前記第2のリブ部との間には導通部収容空間が形成され、
前記第3のリブ部は、同第3のリブ部の前記導通部に対向する面が、前記導通部収容空間よりも所定距離だけ前記接地電極側に位置する、請求項に記載の電気集塵機の集塵部。
【請求項4】
前記第1のリブ部と前記第2のリブ部は、
前記給電部材を前記導通部配置部の底部方向へ案内するテーパ部が、前記第1のリブ部と前記第2のリブ部とにおける前記導通部配置部の開口側にそれぞれ形成される、請求項からのいずれか一つに記載の電気集塵機の集塵部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気集塵機の集塵部に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気を吸引し、吸引した空気から塵埃を除去する電気集塵機のなかには、塵埃に電荷を帯電させる荷電部と、帯電させた塵埃を捕集する集塵部とを備えたものがある。集塵部としては、平板状の高圧電極と平板状の接地電極とを、互いに平行となるよう交互に配置した構成のものが知られている。
【0003】
かかる電気集塵機の集塵部の一例として、高圧電極に給電する給電部材を、高圧電極の両側端部にそれぞれ接触するように配置するとともに、これら2つの給電部材に接触する電圧維持部材である導通部材を配置したものがある。かかる構成により、高圧電極に対し、両端側から均一な電圧を印加できるようにしている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-95799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にあっては、異極である導通部材と接地電極との距離が、空間距離においても沿面距離においても小さくなるため、通部材と接地電極間で短絡が発生してしまうおそれがある。他方、導通部材と接地電極との距離を大きくすれば、導通部材と接地電極間の短絡は発生しにくくなるものの、集塵部が大型化してしまうという問題が生じる。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、導通部材と接地電極間の短絡を防止するとともに、集塵部の大型化を抑制することのできる電気集塵機の集塵部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する電気集塵機の集塵部の一態様は、帯電された塵埃を捕集する集塵電極部と、集塵電極部を収容する枠部とを備える。集塵電極部は、平板状に形成された複数の高圧電極と、平板状に形成された複数の接地電極と、高圧電極の端部に接続されて高圧電極に給電する給電部材と、を備えるとともに、高圧電極と接地電極とが交互に配置される。給電部材は、高圧電極の一端側に配置される第1の給電部と、高圧電極の他端側に配置される第2の給電部と、第1の給電部と第2の給電部とを接続して導通させる導通部と、を有する。導通部は、板状の導電部材で形成されるとともに、高圧電極および接地電極に対して平行に配置される。枠部は、集塵電極部の外周を囲む筒状に形成されるとともに、給電部材の導通部が配置される導通部配置部を有する。さらに、枠部は、導通部配置部と接地電極との間に、導通部と接地電極間の絶縁距離を確保する第1のリブ部と、第1のリブ部と協働して導通部を保持する第2のリブ部と、を備える。導通部は第1のリブ部と第2のリブ部とで挟持される。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する電気集塵機の集塵部の一態様によれば、互いに極性が異なる給電部材と接地電極との間で短絡することを防止することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例の空気清浄機の概略構成図である。
図2図2は、実施例の電気集塵機の集塵部を示す斜視図である。
図3図3は、実施例の電気集塵機の集塵部の集塵部を示す分解斜視図である。
図4図4は、実施例の電気集塵機の集塵部の高圧電極部を示す斜視図である。
図5図5は、実施例の電気集塵機の集塵部の高圧電極部の平面図である。
図6図6は、実施例における高圧電極部の連結部を示す斜視図である。
図7図7は、実施例における給電部材が連結部の溝部に保持される一態様を説明するための模式図である。
図8A図8Aは、実施例における連結部の溝部を示す平面図である。
図8B図8Bは、実施例における給電部材が連結部の溝部に保持された状態を示す平面図である。
図9図9は、実施例の集塵部の平面図である。
図10図10は、図9におけるA部拡大図である。
図11図11は、実施例における導通部配置部の構造を示すための図10におけるXI-XI断面図である。
図12図12は、図11における導通部配置部と給電部材の導通部との位置関係を示すための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する電気集塵機の集塵部の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する電気集塵機の集塵部が限定されるものではない。また、以下の説明による構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【実施例
【0011】
まず、実施例の電気集塵機の集塵部を備える空気清浄機の概略について説明する。図1は、実施例の空気清浄機1の概略構成図である。一実施例である空気清浄機1は、図1に示すように、空気を清浄化するための装置類を収納するとともに、室内の空気を吸引する吸込口11と、清浄化された空気を室内に吹き出す吹出口12とが形成された筐体10を備える。筐体10は、合成樹脂材で成形された複数のパネルによって略直方体状に形成されている。
【0012】
筐体10内には、吸引された空気から大きな塵埃を除去するプレフィルタ14と、プレフィルタ14を通過した空気中の塵埃を電気的に集塵する複数の電気集塵機2と、電気集塵機2を通過した空気を脱臭処理する脱臭フィルタ5とが設けられる。
【0013】
プレフィルタ14は、例えば糸状のPET材を編みこんだ網目構造を有し、図示しない樹脂枠で保持されており、筐体10の内部に吸い込まれた空気に含まれている比較的大きな塵埃を捕集する。脱臭フィルタ5は、触媒フィルタを有し、プレフィルタ14および電気集塵機2で塵埃が除かれた後、触媒フィルタで例えばアンモニアやメチルメルカプタン等の臭気成分やホルムアルデヒド等の有害成分を取り除く脱臭処理を行う。なお、触媒フィルタは、加熱により臭気の吸着機能が再生できる加熱再生型の構造を有することが好ましい。
【0014】
電気集塵機2は、本実施例においては筐体10内に3つ上下に配置されている。各電気集塵機2は、後に詳述する荷電部3と集塵部4とを有し、荷電部3には、荷電部3の電極に電力を供給する荷電部用高圧電源30が設けられる。
【0015】
また、筐体10内には、脱臭フィルタ5の下流側に配置されるファン6と、ファン6を回転させるモータ61と、電気集塵機2やモータ61を制御する制御部を有する電源制御基板7とが設けられる。さらに、筐体10内には、電気集塵機2の集塵部4に電力を供給する集塵部用高圧電源40と、吸込口11から吸引された空気の塵埃濃度を検出する埃センサ13とが設けられる。なお、筐体10には、運転開始操作、運転停止操作、風量設定などを行う操作部(図示せず)と接続する操作表示基板15が設けられる。なお、操作部は、筐体10の上面部に設けられており、電源ボタンや運転モード切り換えボタン等の空気清浄機1を操作するボタンが配置されるとともに、空気清浄機1の運転状態や埃センサ13等における検出結果を表示する表示部が配置される。
【0016】
こうして、図中の矢印fで示されるように、吸込口11から吸引された室内の空気は、空気中の塵埃がプレフィルタ14と電気集塵機2とにより捕集されることで除塵される。そして、清浄化された清浄空気が吹出口12から室内に吹き出される。特に、本実施例に係る空気清浄機1は、脱臭フィルタ5を備えているため、脱臭効果も奏する。
【0017】
ここで、電気集塵機2の集塵作用について簡単に説明する。電気集塵機2の荷電部3を構成する荷電部放電電極(不図示)に予め設定された正極の高電圧(例えば+4.7kV)を印加し、荷電部対向電極412(図2参照)を荷電部用高圧電源30の接地極(アース)に接続することで、荷電部放電電極と荷電部対向電極412との間でコロナ放電が起こる。すると、荷電部放電電極と荷電部対向電極412との間には、電子と空気分子が正に帯電したイオンが満たされる。そして、正イオンで満たされた空間を塵埃が通過する際に、その通過時間と荷電部放電電極と荷電部対向電極412とで作られる電界の強さに応じて、イオンと塵埃の衝突による電荷の移動が起こり、塵埃に正の電荷が帯電する。
【0018】
一方、集塵部4の高圧電極部42を構成する高圧電極421(図3参照)に予め設定された正極の高電圧(例えば+4.7kV)を印加し、集塵部4の集塵電極部43を構成する接地電極431(図3参照)を集塵部用高圧電源40の接地極(アース)に接続すると、両電極間に所定の静電界が形成される。荷電部3で正に帯電した塵埃は、集塵部4に移動すると、同極性の高圧電極部42の高圧電極421から反発する方向に斥力を受けるとともに、静電界により塵埃と反対極性の集塵電極部43の接地電極431に吸引される方向に力を受け、集塵部4の接地電極431に到達する。そして、接地電極431に塵埃が付着することで、塵埃が捕集される。さらに、正に帯電されていた塵埃が接地電極431に触れると、塵埃に帯電していた電荷がアースに流される。そのため、帯電した塵埃の付着により集塵電極部43の接地電極431が正極に帯電してしまうことが防止され、捕集力の低下が抑制されている。
【0019】
塵埃の捕集率を高める方法のひとつは、安定した集塵能力を維持することであり、そのために、電気集塵機2には、集塵部4の高圧電極部42を構成する高圧電極421(図3参照)に安定した給電がなされる構成が求められる。
【0020】
以下、実施例に係る電気集塵機2の集塵部4について、図面を参照しながら具体的に説明する。図2は、実施例の電気集塵機2を示す斜視図、図3は、電気集塵機2の集塵部4を示す分解斜視図である。図2に示すように、電気集塵機2は、それぞれ複数の電極を有する荷電部3と集塵部4とが、空気の流れる方向(矢印fを参照)に対し、荷電部3を風上側として重ね合わせた状態に組み合わされて構成されている。なお、荷電部3の風上側には空気流入孔が形成された電極保護パネル200が配設される。
【0021】
荷電部3は、複数の荷電部放電電極(不図示)と、かかる荷電部放電電極とは異なる極性をもつ複数の荷電部対向電極412とが、荷電部枠31に保持されている。複数の荷電部放電電極と荷電部対向電極412とは、所定の間隔をあけて交互に配置されている。荷電部放電電極は、ワイヤやニードルなど、細く又は鋭利な形状であって、図1に示した荷電部用高圧電源30と接続する。荷電部対向電極412は、平板状に形成され、アースに接続される。なお、荷電部対向電極412は、一枚の板金に打ち抜き加工および折り曲げ加工などを施して一体的に成形される。そして、荷電部3の風下側には、図2に示すように、集塵部4が荷電部3と重なり合った状態で配置される。
【0022】
集塵部4は、図3に示すように、荷電部3で荷電された塵埃を捕集する電極部45と、電極部45を収容する枠部41とを備えている。枠部41は、電極部45の外周を囲む、断面が矩形の筒状に形成されている。電極部45は、枠部41に保持される高圧電極部42と、これも枠部41に保持される集塵電極部43と、高圧電極部42に装着される給電部材44とを備える。高圧電極部42が備える高圧電極421と、集塵電極部43が備える接地電極431とは、集塵部用高圧電源40の異なる極性に電気的に接続される。
【0023】
矩形状の枠部41は、絶縁性の合成樹脂により形成されており、長辺をなす第1側壁41a,41aおよび短辺をなす第2側壁41b,41bを有する。枠部41は、例えばPPE(ポリフェニレンエーテル)などの、体積抵抗率が1016Ωm程度の樹脂材料で形成される。図3に示すように、第1側壁41a,41aの内側面には、高圧電極部42を載置するための凸部413aと高圧電極部42を係止するための係合爪413bとを有する高圧電極搭載部413が、それぞれ所定間隔をあけて設けられている。他方、第2側壁41b,41bの内側面には、集塵電極部43を係止するための集塵電極係止爪414aが両端側に形成されている。なお、集塵電極係止爪414aは、第1側壁41a,41aの内側面における2つの高圧電極搭載部413,413の間にも設けられている。
【0024】
高圧電極部42は、半絶縁性の樹脂によりそれぞれ平板状に形成され、所定の間隔をあけて平行に設けられた複数の高圧電極421と、これら複数の高圧電極421の端部を連結する連結部423とにより、ブロック状に一体成形されている。高圧電極部42は、例えばPA(ポリアミド)やABS樹脂を混合した体積抵抗率が1011Ωm程度の樹脂材料で形成される。また、集塵電極部43も、それぞれ半絶縁性の樹脂により平板状に形成され、所定の間隔をあけて平行に設けられた複数の接地電極431と、これら複数の接地電極431の端部を連結する連結部433とにより、ブロック状に一体成形されている。接地電極部43は、例えばPA(ポリアミド)やABS樹脂を混合した体積抵抗率が10Ωm程度の樹脂材料で形成される。そして、高圧電極部42と集塵電極部43とが、共に枠部41に取付けられた状態では、高圧電極421と接地電極431とが所定の間隔をあけて交互に配置される。
【0025】
また、詳しくは後述するが、高圧電極部42の連結部423には、複数の高圧電極421に対して直交方向に溝部422が形成されている。かかる溝部422の中に給電部材44が装着され、連結部423に接続された給電部材44を介して高圧電極部42へ集塵部用高圧電源40から電力が供給される。また、集塵電極部43の連結部433には、接地するために接触部432が設けられている。
【0026】
高圧電極部42の連結部423に形成された溝部422に装着される給電部材44は、金属製の帯状体が板金加工され、図3に示すように略コ字状に形成されている。すなわち、給電部材44は、第1の給電部441と、第2の給電部442と、第1の給電部441と第2の給電部442とを接続して導通させる導通部443とにより略コ字状に形成される。第1の給電部441は、高圧電極421の一端側から給電できるように高圧電極421の一端側に配置されている。第2の給電部442は、高圧電極421の他端側から給電できるように高圧電極421の他端側に配置される。そして、第1の給電部441と第2の給電部442とを接続する導通部443は、高圧電極421に対しても接地電極431に対しても平行に配置されている。
【0027】
給電部材44の第1の給電部441の端部には、電圧を印加するための接触部444が形成されている。この接触部444は、給電部材44が高圧電極部42の連結部423に装着された状態では、図2に示すように、集塵部4の枠部41の外側面に露出する。
【0028】
ここで、高圧電極部42に給電する給電部材44の保持構造、すなわち、給電部材44が高圧電極部42の連結部423に形成された溝部422へ保持される構造について、図面に基づいてより具体的に説明する。図4は、電気集塵機2の集塵部4の高圧電極部42を示す斜視図、図5は、電気集塵機2の集塵部4の高圧電極部42の平面図である。また、図6は、高圧電極部42の連結部423を示す斜視図である。また、図7は、給電部材44が連結部423の溝部422に保持される一態様を説明するための模式図である。
【0029】
図4に示すように、給電部材44は、ブロック状に形成された高圧電極部42の3つの側面を囲むように装着される。すなわち、図4および図5に示すように、複数の高圧電極421の端部を連結する連結部423には、枠部41(図3参照)に設けられた高圧電極搭載部413と対応する複数のリブ424が外方へ突出するように形成されており、かかるリブ424と連結部423の側面との間に溝部422が形成されている。給電部材44は、かかる溝部422内に挿入されて連結部423と接触し、高圧電極部42への給電がなされる。
【0030】
本実施例に係るリブ424は、図5に示すように、連結部423の中央に形成された中央リブ424dと、この中央リブ424dを挟んで左右対称に、第1のリブ424a、第2のリブ424b、第3のリブ424cと3つずつ形成されている。すなわち、一側の連結部423に合計7つのリブ424が形成されている。
【0031】
そして、かかるリブ424のうち、相対的に狭幅な第2のリブ424bを除いて、第1のリブ424a、第3のリブ424c、および中央リブ424dの内側に、第1の突出部であるリブ側突出部425が溝部422に臨むように形成されている。他方、連結部423の側面には、高圧電極421の配列方向においてリブ側突出部425とはずれた位置に、第2の突出部である一対の連結部側突出部426,427が形成されている。そして、かかるリブ側突出部425と連結部側突出部426,427とにより、三点支持構造が形成される。こうして、給電部材44の第1の給電部441(第2の給電部442)は、複数個所に設けられた三点支持構造により、各突出部(リブ側突出部425、連結部側突出部426、427)に密着した状態で支持される。
【0032】
すなわち、図6等に示すように、第1のリブ424aおよび第3のリブ424cおよび中央リブ424dの内側面にリブ側突出部425が形成されるとともに、このリブ側突出部425と対向する連結部423の側面に、高圧電極421の配列方向においてリブ側突出部425とずれた位置に一対の連結部側突出部426,427が形成されて三点支持構造が構成される。
【0033】
このように、給電部材44の一方の側面に当接する第1の突出部であるリブ側突出部425と、給電部材44の他方の側面に当接する第2の突出部である連結部側突出部426,427とは、給電部材44を挟む位置であって、高圧電極421の配列方向において互いにずれた位置に設けられる。かかる第1の突出部と一対の第2の突出部とで構成される三点支持構造は、連結部423において均等な間隔で複数個所に設けられることが望ましいが、一か所に設けても構わない。
【0034】
したがって、溝部422の対向する内側面それぞれには、一方の内側面から他方の内側面に向かって突出する突出部(リブ側突出部425および連結部側突出部426,427)が形成され、給電部材44は、挟持部としての対向する突出部(リブ側突出部425と連結部側突出部426、427)同士で挟持されることになる。
【0035】
ところで、図6に示すように、突出部(リブ側突出部425および連結部側突出部426,427)は、溝部422の深さ方向に沿ってリブ状に形成されている。そして、突出部における先端側、すなわち溝部422の開口側には、給電部材44を溝部422の底部方向へ案内するテーパ部428が形成されている。このように、突出部を、所定の高さを有するリブ状に形成するとともに、先端側にはテーパ部428を設けたため、給電部材44を溝部422へ装着する際に、円滑に挿入できるとともに、挿入した際には、突出部により給電部材44の厚み方向へと加わる十分な押圧力で給電部材44を挟持することができる。
【0036】
図8Aは、連結部423の溝部422を示す平面図、図8Bは、給電部材44が連結部423の溝部422に保持された状態を示す平面図である。図8Aに示すように、溝部422の幅をW、突出部(リブ側突出部425および連結部側突出部426,427)の各幅をそれぞれdとするとともに、図8Bに示すように、給電部材44の第1の給電部441(第2の給電部442)の厚みをtとしたとする。その場合、例えば、以下の式が成立するように、給電部材44の厚み、溝部422や突出部の幅などの寸法を決定することができる。
W-2d<t<W-d・・・・(式1)
【0037】
かかる寸法とすることにより、給電部材44は、図8Bに示すように、リブ側突出部425および連結部側突出部426,427による3点支持によって、あたかも波状になるようにしっかりと押圧された状態で連結部423に接触することになる。しかも、板金で形成された給電部材44は、波状に変形した状態から元の平板状に戻ろうとする復元力によって、更にリブ側突出部425および連結部側突出部426,427へと押し付けられる。そのため、給電部材44が元の形状に戻ろうとして連結部423から離れてしまうことを抑制できるので、給電部材44と高圧電極部42との間で接触状態が変化することを防止することができる。したがって、給電部材44と高圧電極部42との接触状態の変化に起因する集塵性能の変動も防止でき、本実施例に係る電気集塵機2の集塵部4は、安定した集塵能力を発揮することができる。
【0038】
また、図7に示すように、溝部422を形成する複数のリブ424の連結部423の側面からの突出長さDは、給電部材44を突出部が確実に挟持可能な長さを確保できるだけでよい。そのため、突出長さDが大きくなるのを抑制することができるので、高圧電極部42が外方へ大きくなるのを抑えることが可能となり、集塵部4、ひいては電気集塵機2、さらには空気清浄機1の大型化を抑制することができる。
【0039】
次に、実施例における給電部材44の導通部443(図3参照)が、集塵部4の枠部41に保持される構造について説明する。図9は、実施例の集塵部4の平面図であり、図10は、図9におけるA部拡大図である。また、図11は、実施例における導通部配置部の構造を示すための図10におけるXI-XI断面図であり、図12は、図11における導通部配置部と給電部材44の導通部443との位置関係を示すための斜視図である。なお、便宜上、図9図12に示す集塵部4では、集塵電極部43を枠部41から外した状態を示している。
【0040】
図9に示すように、給電部材44を高圧電極部42に装着した状態では、第1の給電部441および第2の給電部442が、高圧電極部42の連結部423に設けられた溝部422に配置されている。他方、第1の給電部441と第2の給電部442を接続する導通部443については、高圧電極部42や集塵電極部43を保持する枠部41に設けられた導通部配置部410に配置される。そして、導通部配置部410と接地電極431の間には、枠部41から立設する第1のリブ部415(リブ4151およびリブ4152)が配置されている。
【0041】
また、図10および図11に示すように、枠部41には、第1のリブ部415として、集塵電極部43の接地電極431からそれぞれ所定距離だけ離隔した位置に立設されたリブ4151およびリブ4152と、このリブ4152と協働して給電部材44の導通部443を保持する第2のリブ部416,416とが設けられている。
【0042】
第1のリブ部415(4151,4152)は、導通部443と平行な方向に対して所定の幅を有する略壁状に形成されている。また、第2のリブ部416,416は、第1のリブ部415のリブ4152の両端部に対峙する位置に、それぞれ柱状に形成されている。そして、対峙するリブ4152と第2のリブ部416との間に、導通部443が収容される導通部収容空間418が形成される。
【0043】
かかる構成により、図11および図12に示すように、給電部材44の導通部443は、第1のリブ部415(4151,4152)によって、異極である接地電極431との間の絶縁距離が確保される。すなわち、枠部41は、導通部配置部410が接地電極431間の絶縁距離を確保する第1のリブ部415を備えることになる。そのため、集塵部4の枠部41が大型化するのを抑制しつつ、高圧電極421に給電する給電部材44の導通部443と、該導通部443とは異極である接地電極431との空間距離および沿面距離を確保することができる。このように、本実施例に係る電気集塵機2の集塵部4では、集塵部4の大型化を抑制しつつ、互いに異なる極性を有する高圧電極421と接地電極431との間で短絡することを防止することができる。
【0044】
また、図11に示すように、第1のリブ部415および第2のリブ部416には、給電部材44の導通部443を導通部配置部410の底部方向へ案内する案内テーパ415a,416aが、導通部配置部410の開口側にそれぞれ形成されている。したがって、給電部材44の導通部443を、導通部配置部410へ容易に案内することができる。
【0045】
また、図11に示すように、第2のリブ部416の案内テーパ416aの終端部には、導通部収容空間418を形成する底部となる段差部416bが設けられている。かかる構成により、案内テーパ415a,416aによって導通部収容空間418へ案内される給電部材44の導通部443を受け止めることができる。したがって、導通部443を、導通部配置部410における所望する位置で保持することができる。
【0046】
ところで、図10図12に示すように、枠部41には、上述してきた第1のリブ部415および第2のリブ部416の他に、第3のリブ部417が形成されている。この第3のリブ部417は、給電部材44の導通部443が第1のリブ部415よりも接地電極431側に配置されるのを防止している。したがって、第3のリブ部417の存在により、導通部443は、例えば、第1のリブ部415であるリブ4151,4152間に形成された空間419に誤って挿通されることがない。そのため、導通部443の誤配置によって導通部443と接地電極431との絶縁距離(空間距離および沿面距離)が確保できなくなってしまうのを防止することができる。
【0047】
また、かかる第3のリブ部417は、給電部材44の導通部443に対向する面が、第1のリブ部415と第2のリブ部416との間に形成される導通部収容空間418(図11参照)よりも所定距離だけ接地電極431側に位置している。そのため、第3のリブ部417は、導通部収容空間418に位置する導通部443と接触するおそれがない。したがって、導通部443が接地電極431と近接した位置にある第3のリブ部417に接触して短絡するおそれもない。
【0048】
以上、本願の実施例を図面に基づいて説明したが、あくまでも例示であって、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施すことができる。
【0049】
上述してきた実施例より、以下の電気集塵機2の集塵部4が実現される。
【0050】
(1)荷電された塵埃を捕集する電極部45と、電極部45を収容する枠部41とを備え、電極部45は、平板状に形成された複数の高圧電極421と、平板状に形成された複数の接地電極431と、高圧電極421の端部に接続されて高圧電極421に給電する給電部材44と、を備えるとともに、高圧電極421と接地電極431とが交互に配置され、給電部材44は、高圧電極421の一端側に配置される第1の給電部441と、高圧電極421の他端側に配置される第2の給電部442と、第1の給電部441と第2の給電部442とを接続して導通させる導通部443と、を有し、導通部443は、板状の導電部材で形成されるとともに、高圧電極421および接地電極431に対して平行に配置され、枠部41は、電極部45の外周を囲む筒状に形成されるとともに、給電部材44の導通部443が配置される導通部配置部410を有し、導通部配置部410と接地電極431との間には、導通部443と接地電極431間の絶縁距離を確保する第1のリブ部415(リブ4151おおびリブ4152)を備える、電気集塵機2の集塵部4。
【0051】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、集塵部4を大型化することなく、導通部443と接地電極431との距離を、空間距離においても沿面距離においても確保することができるため、互いに異なる極性を有する高圧電極421と接地電極431との間で短絡することを防止して、集塵効率が低下することを抑制することができる。
【0052】
(2)上記(1)において、第1のリブ部415(リブ4152)は、接地電極431から所定距離だけ離隔した位置に立設され、第1のリブ部415(リブ4152)と協働して導通部443を挟持する第2のリブ部416をさらに有し、導通部443は第1のリブ部415(リブ4152)と第2のリブ部416とで挟持される、電気集塵機2の集塵部4。
【0053】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、上記(1)の効果に加え、接地電極431に対する絶縁距離を確保しながら導通部443を確実に枠部41に対して保持することができる。
【0054】
(3)上記(2)において、枠部41には、導通部443が第1のリブ部415よりも接地電極431側に配置されるのを防止する第3のリブ部417が形成される、電気集塵機2の集塵部4。
【0055】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、上記(2)の効果に加え、第1のリブ部415よりも接地電極431側に導通部443が誤配置されてしまうことがない。そのため、導通部443の誤配置によって導通部443と接地電極431間の絶縁距離が確保できなくなってしまうのを防止することができる。
【0056】
(4)上記(3)において、第1のリブ部415と第2のリブ部416との間には導通部収容空間418が形成され、第3のリブ部417は、第3のリブ部417の導通部443に対向する面が、導通部収容空間418よりも所定距離だけ接地電極413側に位置する、電気集塵機2の集塵部4。
【0057】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、上記(3)の効果に加え、導通部443が、接地電極431と近接した位置にある第3のリブ部417に接触することがない。そのため、導通部443が第3のリブ部417に接触して接地電極431と短絡してしまうことが防止されるので、集塵効率の低下を防止できる。
【0058】
(5)上記(2)~(4)のいずれかにおいて、第1のリブ部415(リブ4152)と第2のリブ部416は、給電部材44を導通部配置部410の底部方向へ案内する案内テーパ415a,416aが、第1のリブ部415(リブ4152)と第2のリブ部416とにおける導通部配置部410の開口側にそれぞれ形成される、電気集塵機2の集塵部4。
【0059】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、上記(2)~(4)の効果に加え、給電部材44の導通部443を導通部配置部410へ円滑に案内することができる。
【0060】
(6)平板状に形成された複数の高圧電極421と、複数の高圧電極421の端部を連結する連結部423と、連結部423に接続されて高圧電極421に給電する給電部材44とを備え、連結部423は、高圧電極421に対して直交方向に溝部422が形成され、給電部材44は、溝部422に設けられた挟持部で挟持される、電気集塵機2の集塵部4。
【0061】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、高圧電極部42と、この高圧電極部42を構成する高圧電極421に給電する給電部材44との間の接触状態の変化を抑制し、安定した集塵性能を維持することができる。
【0062】
(7)上記(6)において、挟持部は、溝部422の対向する内側面それぞれに形成された突出部(リブ側突出部425および連結部側突出部426,427)を有し、突出部は、給電部材44の一方の側面に当接する第1の突出部425と、給電部材44の他方の側面に当接する第2の突出部426,427とを有し、給電部材44は、対向する第1の突出部425と第2の突出部426,427とで挟持される、電気集塵機2の集塵部4。
【0063】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、給電部材44に対して突出部(425,426,427)を両側から食い込ませるようにして挟持することができるため、上記(6)の効果に加え、より強固な保持が可能となって、より安定した集塵性能の維持を図ることができる。
【0064】
(8)上記(7)において、突出部は、給電部材44を挟んで設けられる、第1の突出部であるリブ側突出部425と、第2の突出部である連結部側突出部426,427とは、高圧電極421の配列方向において互いにずれた位置に設けられる、電気集塵機2の集塵部4。
【0065】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、給電部材44が波状に変形した状態で溝部422に設けられた挟持部で固定される。その上、波状に変形した給電部材44は、元の平板状に戻ろうとする復元力によって、溝部422の内側面に形成された突出部(425,426,427)へと更に密着する方向に力を受ける。そのため、給電部材44が元の形状に戻ろうとして連結部423から離れてしまうことを抑制できるので、給電部材44と高圧電極部42との間で接触状態が変化してしまうのを更に抑制することができる。また、リブ側突出部425および連結部側突出部426,427による三点支持で給電部材44をしっかりと挟持できるため、上記(7)の効果をより高めることができる。
【0066】
(9)上記(6)~(8)のいずれかにおいて、リブ側突出部425および連結部側突出部426,427は、溝部422の深さ方向に沿ってリブ状に形成される、電気集塵機2の集塵部4。
【0067】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、リブ側突出部425および連結部側突出部426,427は十分な強度を有し、上記(6)~(8)の効果をより高めることができる。
【0068】
(10)上記(7)~(9)のいずれかにおいて、リブ側突出部425および連結部側突出部426,427は、溝部422の開口側に、給電部材44を溝部422の底部方向へ案内するテーパ部428が形成される、電気集塵機2の集塵部4。
【0069】
かかる構成を備える電気集塵機2の集塵部4によれば、上記(7)~(9)の効果に加え、給電部材44を溝部422へ円滑に案内することができる。
【0070】
なお、本実施例では、各溝部422において、第1の突起部が1つ(リブ側突出部425)、第2の突出部が2つ(連結部側突出部426、427)設けられた場合を例示したが、各溝部422に設けられる第1の突起部および第2の突起部は、1つずつでも、2つ以上ずつでもよい。この場合であっても、給電部材44は、波状となった状態で第1の突起部および第2の突起部によって挟持される。そのため、給電部材44が元の平板状に戻ろうとする復元力によって第1の突起部および第2の突起部に更に押し付けられるので、給電部材44と連結部42の安定した接触状態を維持することができる。そのため、安定した集塵能力を発揮することができる。
【0071】
また、本実施例では、第1の突出部であるリブ側突出部425と、第2の突出部である連結部側突出部426、427とを、高圧電極の配列方向において互いにずれた位置に配置した場合を例示したが、第1の突出部425と第2の突出部とは、高圧電極の配列方向において同じ位置に配置されていてもよい。この場合は、給電部材44を挟んで互いに対向する第1の突出部と第2の突出部とで、給電部材44を挟持することができ、給電部材44と高圧電極部42との接触状態が変化するのを抑制し、安定した集塵能力を発揮することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 空気清浄機
2 電気集塵機
3 荷電部
4 集塵部
41 枠部
42 高圧電極部
44 給電部材
45 電極部
410 導通部配置部
415 第1のリブ部
4151,4152 リブ
416 第2のリブ部
415a,416a 案内テーパ(テーパ部)
417 第3のリブ部
418 導通部収容空間
421 高圧電極
422 溝部
423 連結部
425 リブ側突出部(第1の突出部)
426,427 連結部側突出部(第2の突出部)
428 テーパ部
431 接地電極
441 第1の給電部
442 第2の給電部
443 導通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12