IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

特許7091786画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム
<>
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図1
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図2
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図3
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図4
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図5
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図6
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図7
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図8
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図9
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図10
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図11
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図12
  • 特許-画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】画像形成装置、トレイ決定方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220621BHJP
   B65H 3/44 20060101ALI20220621BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B65H3/44 342
G03G21/00 370
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018070790
(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公開番号】P2019181703
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】松田 英之
(72)【発明者】
【氏名】御子柴 祐介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 達児
(72)【発明者】
【氏名】武貞 義和
(72)【発明者】
【氏名】川村 勇司
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0017916(US,A1)
【文献】特開2016-128228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0205281(US,A1)
【文献】特開平08-011394(JP,A)
【文献】特開2016-021604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0011555(US,A1)
【文献】特開2003-131831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0076525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
B65H 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙がセットされかつ優先順位が予め与えられる複数のトレイと、
印刷手段と、
前記用紙として、種類が判別されている第一の用紙が前記複数のトレイのうちのいずれかのトレイである第一のトレイにセットされており、種類が判別されていない第二の用紙が他のいずれかのトレイである第二のトレイにセットされており、かつ、当該第一の用紙および当該第二の用紙の両方が対象画像を印刷するためのサイズの条件を満たす、という第一の状態である場合に、前記複数のトレイのうちの前記印刷手段へ前記用紙を供給する供給元トレイを、当該第二のトレイよりも優先して当該第一のトレイに決定し、前記用紙として、前記第一の用紙が前記第一のトレイにセットされており、前記第二の用紙が前記第二のトレイにセットされており、当該第二の用紙だけが前記条件を満たし、前記対象画像が印刷される印刷先用紙の種類が指定され、かつ、当該第二の用紙が残っている当該第二のトレイである残留トレイが複数あるという第二の状態である場合に、前記供給元トレイを、当該複数の残留トレイのうちの前記優先順位が最も高い残留トレイに決定する、決定手段と、
を有し、
前記第二の用紙が前記第二のトレイから前記印刷手段へ搬送されている間に当該第二の用紙の種類を判別するセンサを有し、
前記印刷手段は、前記センサによって判別された種類と前記指定された種類とが一致することが判明すると前記対象画像を印刷し、一致しないことが判明すると印刷せず、
前記決定手段は、前記一致しないことが判明してから所定の時間が経過すると、前記供給元トレイを前記複数の残留トレイのうちの前記優先順位が最も高い残留トレイに決定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記決定手段が決定した前記供給元トレイから前記用紙を前記印刷手段へ搬送する搬送手段を有する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記所定の時間が経過するまでに、新たな画像を前記対象画像として印刷する新たな指示が当該画像形成装置に対して行われると、前記第一の用紙が前記第一のトレイにセットされており、前記第二の用紙が前記第二のトレイにセットされており、かつ、当該第一の用紙および当該第二の用紙の両方が、前記条件として当該新たな画像を印刷するためのサイズの条件を満たすことができるものである、という第三の状態である場合に、当該新たな画像を印刷するために、前記供給元トレイを当該第二のトレイよりも優先して当該第一のトレイに決定し、少なくとも当該第二の用紙が当該第二のトレイにセットされており、かつ、当該第二の用紙だけが当該条件を満たすことができるものである、という第四の状態であり、さらに、当該新たな画像が印刷される印刷先用紙の新たな種類が指定された場合に、当該新たな画像を印刷するために当該供給元トレイを当該第二のトレイに決定する、
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記センサは、前記新たな画像を印刷するために、前記決定された第二のトレイから前記印刷手段へ搬送された前記第二の用紙の種類を判別し、
前記決定手段は、前記決定された第二のトレイの前記第二の用紙が前記条件を満たし、かつ、前記センサによって判別された、当該決定された第二のトレイの当該第二の用紙の種類と、前記指定された種類と、が一致すれば、前記新たな画像を印刷するために、前記供給元トレイを当該決定された第二のトレイに決定する、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記決定手段に、第一の対処処理、第二の対処処理、および第三の対処処理のうちのいずれを実行させるのかを指定するための画面を表示する表示手段、を有し、
前記決定手段は、前記センサによって判別された種類と前記指定された種類とが一致しないことが判明した場合は、改めて、前記画面において前記第一の対処処理が指定されたならば、前記供給元トレイを前記複数の残留トレイのうちの前記優先順位が最も高い残留トレイに決定し、前記第二の対処処理が指定されたならば、前記一致しないことが判明してから前記所定の時間が経過した後、当該供給元トレイを決定し、前記第三の対処処理が指定されたならば、前記対象画像を印刷することを中止するので当該供給元トレイを決定しない、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
用紙がセットされかつ優先順位が予め与えられる複数のトレイの中から印刷部へ当該用紙を供給する供給元トレイを決定するトレイ決定方法であって、
前記用紙として、種類が判別されている第一の用紙が前記複数のトレイのうちのいずれかのトレイである第一のトレイにセットされており、種類が判別されていない第二の用紙が他のいずれかのトレイである第二のトレイにセットされており、かつ、当該第一の用紙および当該第二の用紙の両方が対象画像を印刷するためのサイズの条件を満たす、という第一の状態である場合に、前記供給元トレイを、当該第二のトレイよりも優先して当該第一のトレイに決定し、前記用紙として、前記第一の用紙が前記第一のトレイにセットされており、前記第二の用紙が前記第二のトレイにセットされており、当該第二の用紙だけが前記条件を満たし、前記対象画像が印刷される印刷先用紙の種類が指定され、かつ、当該第二の用紙が残っている当該第二のトレイである残留トレイが複数あるという第二の状態である場合に、前記供給元トレイを、当該複数の残留トレイのうちの前記優先順位が最も高い残留トレイに決定する第一の決定ステップと、
前記第二の用紙が前記第二のトレイから前記印刷部へ搬送されている間に当該第二の用紙の種類を判別する判別ステップと、
前記判別ステップで判別された種類と前記指定された種類とが一致することが判明すると前記対象画像を前記印刷部によって印刷し、一致しないことが判明すると印刷しない、印刷制御ステップと、
前記一致しないことが判明してから所定の時間が経過すると、前記供給元トレイを前記複数の残留トレイのうちの前記優先順位が最も高い残留トレイに決定する第二の決定ステップと、
を有することを特徴とするトレイ決定方法。
【請求項7】
用紙がセットされかつ優先順位が予め与えられる複数のトレイと印刷部とを有する画像形成装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記画像形成装置に、
前記用紙として、種類が判別されている第一の用紙が前記複数のトレイのうちのいずれかのトレイである第一のトレイにセットされており、種類が判別されていない第二の用紙が他のいずれかのトレイである第二のトレイにセットされており、かつ、当該第一の用紙および当該第二の用紙の両方が対象画像を印刷するためのサイズの条件を満たす、という第一の状態である場合に、前記複数のトレイのうちの前記印刷部へ前記用紙を供給する供給元トレイを、当該第二のトレイよりも優先して当該第一のトレイに決定し、前記用紙として、前記第一の用紙が前記第一のトレイにセットされており、前記第二の用紙が前記第二のトレイにセットされており、当該第二の用紙だけが前記条件を満たし、前記対象画像が印刷される印刷先用紙の種類が指定され、かつ、当該第二の用紙が残っている当該第二のトレイである残留トレイが複数あるという第二の状態である場合に、前記供給元トレイを、当該複数の残留トレイのうちの前記優先順位が最も高い残留トレイに決定する第一の決定処理を実行させ、
前記第二の用紙が前記第二のトレイから前記印刷部へ搬送されている間にセンサによって判別された、当該第二の用紙の種類を取得する取得処理を実行させ、
前記取得処理で取得された種類と前記指定された種類とが一致することが判明すると前記対象画像を前記印刷部に印刷させ、一致しないことが判明すると印刷させない、印刷制御処理を実行させ、
前記一致しないことが判明してから所定の時間が経過すると、前記供給元トレイを前記複数の残留トレイのうちの前記優先順位が最も高い残留トレイに決定する第二の決定処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷に用いるための用紙を供給するトレイを決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」と呼ばれる画像形成装置が普及している。
【0003】
画像形成装置は、様々な種類(例えば、普通紙、薄紙、および厚紙など)の用紙に画像を印刷することができる。一方で、ユーザは、より高品質な印刷物を得るために、印刷しようとする用紙の種類を事前に確認し、その種類を画像形成装置に指定するのが望ましい。すると、画像形成装置は、指定された用紙に適した条件で画像を印刷する。しかし、これらの作業は、ユーザにとって面倒である。
【0004】
そこで、搬送されている用紙の種類を検出するためのセンサを画像形成装置に設けて、用紙に画像を印刷する処理を開始するまでに、そのセンサに搬送されている用紙の紙種を検出させることが、行われている。
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置は,搬送経路上の画像形成部による用紙への画像形成位置よりも上流に設けられ,用紙の搬送方向に対する幅方向に並ぶ複数の検出位置にて,用紙の厚みの指標値である厚み指標値を検出して出力する厚み出力部を有する。そして,判定部は,用紙の幅方向における複数の検出位置についての厚み指標値が異なる値であるときに,その用紙が封筒であると判定する封筒判定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-193390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
印刷する前に用紙の種類を検出するようにすると、種類を検出する分、印刷し終えるまでに要する時間が長くなる。その結果、時間当たりの印刷できる枚数が低下することがある。この問題は、特許文献1に記載された画像形成装置では解決できない。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑み、印刷する前に用紙の種類を検出することができる画像形成装置において、印刷する指令を受けてから印刷し終えるまでに要する時間を従来よりも短くすることを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、用紙がセットされかつ優先順位が予め与えられる複数のトレイと、印刷手段と、前記用紙として、種類が判別されている第一の用紙が前記複数のトレイのうちのいずれかのトレイである第一のトレイにセットされており、種類が判別されていない第二の用紙が他のいずれかのトレイである第二のトレイにセットされており、かつ、当該第一の用紙および当該第二の用紙の両方が対象画像を印刷するためのサイズの条件を満たす、という第一の状態である場合に、前記複数のトレイのうちの前記印刷手段へ前記用紙を供給する供給元トレイを、当該第二のトレイよりも優先して当該第一のトレイに決定し、前記用紙として、前記第一の用紙が前記第一のトレイにセットされており、前記第二の用紙が前記第二のトレイにセットされており、当該第二の用紙だけが前記条件を満たし、前記対象画像が印刷される印刷先用紙の種類が指定され、かつ、当該第二の用紙が残っている当該第二のトレイである残留トレイが複数あるという第二の状態である場合に、前記供給元トレイを、当該複数の残留トレイのうちの前記優先順位が最も高い残留トレイに決定する、決定手段と、を有し、前記第二の用紙が前記第二のトレイから前記印刷手段へ搬送されている間に当該第二の用紙の種類を判別するセンサを有し、前記印刷手段は、前記センサによって判別された種類と前記指定された種類とが一致することが判明すると前記対象画像を印刷し、一致しないことが判明すると印刷せず、前記決定手段は、前記一致しないことが判明してから所定の時間が経過すると、前記供給元トレイを前記複数の残留トレイのうちの前記優先順位が最も高い残留トレイに決定する
【0010】
または、前記決定手段が決定した前記供給元トレイから前記用紙を前記印刷手段へ搬送する搬送手段を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、印刷する前に用紙の種類を検出することができる画像形成装置において、印刷する指令を受けてから印刷し終えるまでに要する時間を従来よりも短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】画像形成装置の外観の例を示す図である。
図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図3】給紙ユニットのハードウェア構成の例を示す図である。
図4】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
図5】用紙情報の例を示す図である。
図6】第一の決定処理の流れの例を示すフローチャートである。
図7】第二の決定処理の流れの例を示すフローチャートである。
図8】画像形成装置の全体的な処理の流れの例を示す図である。
図9】紙切れが発生したときの用紙情報の例を示す図である。
図10】自動用紙種類検知処理における用紙情報の例を示す図である。
図11】管理者用画面の例を示す図である。
図12】ジョブ設定画面および詳細設定画面の例を示す図である。
図13】管理者用画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は画像形成装置1の外観の例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、給紙ユニット10kのハードウェア構成の例を示す図である。図4は、画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。
【0017】
図1に示す画像形成装置1は、コピー、PCプリント、クラウド印刷、ファックス、スキャナ、およびボックスなどの機能を集約した装置である。一般に、「複合機」または「MFP(Multi Function Peripherals)」などと呼ばれることがある。
【0018】
PCプリント機能は、画像形成装置1と同じLAN(Local Area Network)内にある端末装置から受信した画像データに基づいて、画像を用紙に印刷する機能である。「ネットワークプリンティング」または「ネットワークプリント」などと呼ばれることもある。
【0019】
クラウド印刷機能は、インターネット上のサーバを経由して外部の端末装置から画像データを受信し画像を用紙に印刷する機能である。
【0020】
ボックス機能は、ユーザごとに「ボックス」または「パーソナルボックス」などと呼ばれる記憶領域を与えておき、各ユーザが自分の記憶領域によって画像データなどを保存し管理するための機能である。グループごとにボックスを設けておき、グループのメンバで共用することもできる。ボックスは、パーソナルコンピュータにおける「フォルダ」または「ディレクトリ」に相当する。
【0021】
画像形成装置1は、図1または図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、補助記憶装置10d、タッチパネルディスプレイ10e、操作キーパネル10f、NIC(Network Interface Card)10g、スキャンユニット10h、フィニッシャ10i、プリントユニット10j、および給紙ユニット10kなどによって構成される。
【0022】
CPU10aは、画像形成装置1のメインCPUである。RAM10bは、画像形成装置1のメインメモリである。
【0023】
タッチパネルディスプレイ10eは、ユーザに対するメッセージを示す画面、ユーザがコマンドまたは情報を入力するための画面、およびCPU10aが実行した処理の結果を示す画面などを表示する。さらに、タッチされた位置を示す信号をCPU10aへ送る。
【0024】
操作キーパネル10fは、いわゆるハードウェアキーボードであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
【0025】
NIC10gは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで他の装置との通信を行う。
【0026】
スキャンユニット10hは、ADF(Auto Document Feeder)またはプラテンガラスの上にセットされた原稿(シート)に記されている画像を読み取って画像データを生成する。また、スキャンユニット10hには、原稿のサイズを検出するための原稿サイズセンサ11hが設けられている。
【0027】
フィニッシャ10iは、プリントユニット10jによって得られた印刷物に対して、必要に応じて後処理を施す。後処理は、ステープルで綴じる処理、パンチ穴を開ける処理、または折り曲げる処理などである。
【0028】
プリントユニット10jは、スキャンユニット10hによって読み取られた画像のほか、NIC10gによって外部の装置から受信した画像データに示される画像を用紙に印刷する。
【0029】
給紙ユニット10kは、プリントユニット10jへ用紙を供給するためのユニットである。給紙ユニット10kは、図3に示すように、カセット111、112、113、114、用紙サイズセンサ121、122、123、124、残量センサ131、132、133、134、ピックアップローラ141、142、143、144、145、146、147、148、搬送路15、搬送ローラ161、162、163、164、165、166、および検紙センサ17などによって構成される。
【0030】
以下、カセット111ないし114を「カセット11」と総称する。用紙サイズセンサ121ないし124を「用紙サイズセンサ12」と総称する。残量センサ131ないし134を「残量センサ13」と総称する。ピックアップローラ141ないし148を「ピックアップローラ14」と総称する。搬送ローラ161ないし166を「搬送ローラ16」と総称する。
【0031】
なお、「カセット」は、一般に「トレイ」または「給紙トレイ」と呼ばれることがある。
【0032】
カセット111には、用紙がセットされる。また、用紙サイズセンサ121、残量センサ131、ピックアップローラ141、142が設けられる。用紙サイズセンサ121は、セットされた用紙のサイズを検出する。残量センサ131は、セットされた用紙の残量を検出する。ピックアップローラ141および142は、セットされた用紙を1枚ずつピックアップして搬送路15へ搬出する。
【0033】
カセット111と同様に、カセット112および113のそれぞれにも、用紙がセットされる。また、同様の手段として、カセット112には、用紙サイズセンサ122、残量センサ132、およびピックアップローラ143、144が設けられ、カセット113には、用紙サイズセンサ123、残量センサ133、およびピックアップローラ145、146が設けられる。
【0034】
なお、ユーザに容易に識別させるために、カセット111、112、および113にはそれぞれ、「カセット01」、「カセット02」、および「カセット03」という名称が与えられている。
【0035】
カセット114には、用紙が手差しによってセットされる。カセット114は、一般に「手差しトレイ」と呼ばれることがある。また、カセット114として、図1または図3に示すように、蓋がないタイプ、つまり、オープンであるタイプの手差しトレイが用いられることがある。また、カセット114は、画像形成装置1に着脱でき、または、用紙がセットされていない状態で、画像形成装置1に向かって折りたたみできるようになってもよい。
【0036】
カセット114にセットされる用紙は、カセット111ないし113に収容することができないサイズの用紙、または、カラー用紙または裏紙などのように比較的に使用頻度の少ない用紙である。
【0037】
カセット114には、セットされた用紙の位置決めのための可動式の搬送ガイド、セットされた用紙のサイズを検出する用紙サイズセンサ124、およびセットされている用紙の残量を検出する残量センサ134が設けられている。ピックアップローラ147および148は、カセット114から用紙を1枚ずつピックアップして搬送路15へ搬出する。なお、カセット114には、「カセット04」という名称が与えられている。
【0038】
搬送路15および搬送ローラ16は、カセット11から搬出された用紙をプリントユニット10jへ搬送する。
【0039】
検紙センサ17は、透過型の超音波センサである。搬送路15に設けられ、例えば、用紙の表側から超音波を当てて用紙の裏側で受信することで、搬送される用紙の種類(例えば、普通紙または厚紙など)を、検出する。以下、用紙の種類を「紙種」と記載することがある。
【0040】
なお、検紙センサ17が設けられる位置として、プリントユニット10jの中の二次転写ローラより上流の位置であれば、搬送路15以外の位置であってもよい。
【0041】
ROM10cまたは補助記憶装置10dには、上述のコピーなどの機能を実現するためのアプリケーションが記憶されている。さらに、カセット決定プログラム10P(図4参照)が記憶されている。
【0042】
カセット決定プログラム10Pは、あるジョブが受け付けられた際に、そのジョブを実行するために用紙を供給するカセット(以下、「供給元カセット」と記載することがある。)を決定するためのプログラムである。カセット決定プログラム10Pの詳細については、後に説明する。
【0043】
これらのプログラムは、RAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。補助記憶装置10dとして、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
【0044】
カセット決定プログラム10Pによると、図4に示す用紙情報記憶部101~印刷設定部106が画像形成装置1に実現される。
【0045】
図5は、用紙情報6Aの例を示す図である。図6は、第一の決定処理の流れの例を示すフローチャートである。図7は、第二の決定処理の流れの例を示すフローチャートである。
以下、用紙情報記憶部101~印刷設定部106の動作を、ユーザが最初にA3の原稿をコピーし次にA4の原稿をコピーする場合を例に、図4図7を参照しながら説明する。
【0046】
用紙情報記憶部101には、図5に示すような、セットされた用紙のサイズおよび紙種を示す用紙情報6Aが、カセット111ないし114ごとに記憶されている。
【0047】
以下、カセット111、カセット112、カセット113、およびカセット114それぞれの用紙情報を、「用紙情報6A1」、「用紙情報6A2」、「用紙情報6A3」および「用紙情報6A4」と記載する。なお、ユーザがA3の原稿をコピーしようとする直前、用紙情報6A1~6A4は、図5(A)に示す状態であるものとする。
【0048】
図5(A)の例においては、用紙情報6A2は、カセット112にセットされている用紙のサイズが「A4」であり紙種が「普通紙」であることを示している。
【0049】
しかし、用紙がセットされていないことがある。この場合は、用紙情報6A3のように、サイズおよび紙種としてそれぞれ「紙切れ」および「未登録」が示される。
【0050】
また、用紙がセットされているが、紙種が未だ判別されていない場合は、用紙情報6A1のように、紙種として「未登録」が示される。
【0051】
用紙情報記憶部101には、さらに、順位情報6Bが記憶されている。順位情報6Bは、カセット11についての順位であって、供給元カセットとして相応しいか否かを決定するための処理を行う順位を示す。本例では、カセット111、112、113、114の順番に高い順位が設定されている。
【0052】
本例では、ユーザは、最初に、A3の原稿の画像をA3の普通紙である用紙にコピーしたいと考える。しかし、いずれのカセット11にも、A3の用紙はセットされていない。(図5(A)参照)。そこで、ユーザは、紙切れのカセット11であるカセット113にA3の普通紙をセットする。
【0053】
すると、残量センサ133は、カセット113の用紙の残量を検出する。用紙サイズセンサ123は、カセット113にセットされた用紙のサイズがA3であることを検出する。
【0054】
用紙状態取得部102は、用紙サイズセンサ12が検出した結果を受け取り、その用紙サイズセンサ12のカセット11の用紙情報6Aの「サイズ」を、その結果に基づいて更新する。
【0055】
本例では、用紙状態取得部102は、用紙サイズセンサ123が検出した結果を受け取る。図5(B)に示すように、用紙情報6A3の「サイズ」を「紙切れ」から「A3」に更新する。
【0056】
続けて、ユーザは、このA3の原稿をスキャンユニット10hのADFにセットする。すると、原稿サイズセンサ11hは、ADFにセットされた原稿のサイズを検出する。本例では、原稿のサイズがA3であることを検出する。
【0057】
続けて、ユーザは、画像形成装置1に対してコピーのジョブの実行を指示する。すると、以下の処理が行われる。
【0058】
カセット決定部103は、原稿サイズセンサ11hが検出した結果を受け取る。受け取った結果に基づいて、供給元カセットを図6に示すような手順で決定する。以下、この手順による処理を「第一の決定処理」と記載することがある。
【0059】
カセット決定部103は、順位情報6Bに示される順位が1位である用紙情報6Aに注目する(図6の#701)。注目した用紙情報6Aに示されるサイズと原稿サイズセンサ11hが検出したサイズとを比較する(#702)。
【0060】
両者が一致し(#703でYes)、かつ、この用紙情報6Aに示される紙種が「未登録」でなければ(#704でNo)、カセット決定部103は、供給元カセットを、この用紙情報6Aに対応するカセット11に決定する(#705)。そして、第一の決定処理を終了する。
【0061】
一方、両者が一致せず(#703でNo)、または、この用紙情報6Aに示される紙種が「未登録」であれば(#704でYes)、カセット決定部103は、未注目の用紙情報6Aが残っていれば(#706でYes)、次に順位が高い用紙情報6Aに新たに注目し(#707)、ステップ#702に戻って上述の処理を実行する。
【0062】
このように、カセット決定部103は、ADFにセットされた原稿のサイズと同じサイズでありかつ紙種が既に検出されている用紙がセットされたカセット11を、順位が高いものから順に、見つかるまで検索する。そして、このようなカセット11が1つ見つかったら検索を終了し、供給元カセットを、見つかったカセット11に決定する。
【0063】
しかし、このようなカセット11が1つも見つからない場合がある。その場合は(#706でNo)、カセット決定部103は、原稿サイズセンサ11hが検出したサイズと同じサイズを示す用紙情報6Aがあれば(#708でYes)、供給元カセットを、このような用紙情報6Aそれぞれに対応するカセット11のうち最も順位の高いカセット11に決定する(#709)。このような用紙情報6Aがなければ(#708でNo)、供給元カセットを決定せず、原稿のサイズに一致するサイズの用紙が無い旨をタッチパネルディスプレイ10eに表示させて、コピーを中止する(#710)。これにより、第一の決定処理が終了する。
【0064】
本例では、カセット決定部103は、原稿サイズセンサ11hが検出した結果を受け取る。順位情報6Bにしたがって、「サイズ」が「A3」である用紙情報6Aを検索する。用紙情報6A3が見つかるが、用紙情報6A3の「紙種」は「未登録」であるので、「サイズ」が「A3」である用紙情報6Aを継続して検索する。用紙情報6Aを検索し終えた結果、「サイズ」が「A3」である用紙情報6A(用紙情報6A3)が1つだけ見つかる。そこで、カセット決定部103は、供給元カセットを、用紙情報6A3のカセット11つまりカセット113に決定する。
【0065】
ローラ動作部104は、カセット決定部103によって供給元カセットが決定されると、用紙が搬送路15を経て供給元カセットからプリントユニット10jへ搬送されるように、ピックアップローラ14および搬送ローラ16を動作させる。
【0066】
このとき、ローラ動作部104は、供給元カセットに決定されたカセット11の用紙情報6A(以下、「供給元カセットの用紙情報6A」と記載することがある。)の「紙種」が「未登録」である場合、通常の速度よりも遅い速度で用紙が搬送されるように、ピックアップローラ14および搬送ローラ16を動作させる。これは、搬送された用紙の紙種をより確実に検紙センサ17が検出できるようにするためである。
【0067】
なお、複数の用紙が1のカセット11から搬出される場合(例えば、複数枚のコピーが実行された場合)は、ローラ動作部104は、1枚目の用紙が検紙センサ17を通過するときだけ遅い速度にすればよい。
【0068】
本例では、用紙情報6A3の「紙種」は「未登録」であるため、ローラ動作部104は、通常よりも遅い速度で1枚目の用紙が搬送されるように、ピックアップローラ145、146および搬送ローラ16を動作させる。
【0069】
紙種取得部105は、ローラ動作部104によってピックアップローラ14および搬送ローラ16が動作され始めると、供給元カセットの用紙情報6Aの「紙種」が「未登録」である場合、搬送される用紙の紙種を検出する指令を検紙センサ17へ与える。
【0070】
検紙センサ17は、紙種取得部105から指令を与えられると、用紙が検紙センサ17自身を通過するときに、その用紙の紙種を検出する。検出した結果を紙種取得部105へ通知する。
【0071】
紙種取得部105は、検紙センサ17が検出した結果を受け取り、供給元カセットの用紙情報6Aの「紙種」を、その結果に基づいて更新する。
【0072】
なお、複数の用紙が1のカセット11から搬出される場合は、紙種取得部105は、1枚目の用紙が通過したときのみ紙種を検出するように指令を与えればよい。
【0073】
本例では、用紙情報6A3の「紙種」が「未登録」であるため、紙種取得部105は、搬送される用紙の紙種を検出する指令を検紙センサ17へ与える。検紙センサ17は、用紙の紙種が普通紙であることを検出する。紙種取得部105は、検出されたその結果を受け取る。そして、図5(C)に示すように、用紙情報6A3の「紙種」を「未登録」から「普通紙」に更新する。
【0074】
印刷設定部106は、供給元カセットの用紙情報6Aの「紙種」に応じた条件で印刷するための設定を、プリントユニット10jに対して行う。
【0075】
本例では、印刷設定部106は、供給元カセットの用紙情報6A3の「紙種」である普通紙に応じた条件で印刷するための設定を、プリントユニット10jに対して行う。例えば、定着ローラの温度または速度を、普通紙に応じた温度または速度に調整する。
【0076】
その後、プリントユニット10jによって、設定された条件にしたがって、用紙に画像が印刷される。
【0077】
次に、ユーザは、A4の原稿の画像をA4の用紙にコピーすることを試みる。ユーザは、A4の原稿をスキャンユニット10hのADFにセットする。すると、原稿サイズセンサ11hは、ADFにセットされた原稿のサイズがA4であることを検出する。
【0078】
続けて、ユーザは、画像形成装置1に対してコピーのジョブの実行を指示する。すると、以下の処理が行われる。
【0079】
カセット決定部103は、原稿サイズセンサ11hが検出した結果を受け取り、受け取った結果および順位情報6Bに基づいて、第一の決定処理(図6参照)に示した手順で供給元カセットを決定する。
【0080】
本例では、供給元カセットが、サイズが「A4」であるかつ紙種が「未登録」でない用紙情報6Aのうち順位が最も高い用紙情報6A(用紙情報6A2)に対応するカセット11(カセット112)に決定される(図5(C)参照)。
【0081】
ローラ動作部104は、用紙が搬送路15を経てカセット112からプリントユニット10jへ搬送されるように、ピックアップローラ143、144および搬送ローラ16を動作させる。用紙情報6A2の「紙種」は「未登録」でないため、上述のように、通常の速度で用紙が搬送されるように動作させる。
【0082】
紙種取得部105は、用紙情報6A2の「紙種」は「未登録」でないため、搬送される用紙の紙種を検出する指令を検紙センサ17へ与えない。また、用紙情報6A2を更新しない。
【0083】
印刷設定部106は、用紙情報6A2の「紙種」である普通紙に応じた条件で印刷するための設定を、プリントユニット10jに対して行う。そして、プリントユニット10jによって、用紙に画像が印刷される。
【0084】
なお、ユーザは、コピーのジョブの実行を指示するときに、使用する用紙の紙種を指定することができる。この場合、カセット決定部103は、供給元カセットを図7に示すような手順で決定する。以下、ユーザが指定した紙種を「指定紙種」と記載し、図7に示す手順による処理を「第二の決定処理」と記載することがある。
【0085】
カセット決定部103は、順位情報6Bに示される順位が1位である用紙情報6Aに注目する(図7の#721)。注目した用紙情報6Aに示されるサイズと原稿サイズセンサ11hが検出したサイズとを比較する(#702)。
【0086】
両者が一致し(#723でYes)、かつ、この用紙情報6Aに示される紙種と指定紙種とが一致すれば(#724でYes)、カセット決定部103は、供給元カセットを、この用紙情報6Aに対応するカセット11に決定する(#725)。そして、第二の決定処理を終了する。
【0087】
一方、両者が一致せず(#723でNo)、または、この用紙情報6Aに示される紙種と指定紙種とが一致しなければ(#724でNo)、カセット決定部103は、未注目の用紙情報6Aが残っていれば(#726でYes)、次に順位が高い用紙情報6Aに新たに注目し(#727)、ステップ#722に戻って上述の処理を実行する。しかし、このような用紙情報6Aがなければ(#726でNo)、供給元カセットを決定せず、原稿のサイズおよび指定紙種に一致する用紙が無い旨をタッチパネルディスプレイ10eに表示させて、コピーを中止する(#728)。これにより、第二の決定処理が終了する。
【0088】
図8は、画像形成装置1の全体的な処理の流れの例を示す図である。次に、画像形成装置1における全体的な処理の流れを、図6図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0089】
画像形成装置1は、カセット決定プログラム10Pに基づいて、図8に示す手順で処理を実行する。
【0090】
画像形成装置1は、カセット11のいずれかに用紙がセットされると(図8の#601でYes)、セットされた用紙の残量およびサイズを検出し、用紙情報6Aを更新する(#602)。ユーザからコピーのジョブの実行が指示されると(#603でYes)、原稿のサイズを取得し、また、ユーザが紙種を指定していた場合は指定紙種を取得する(#604)。
【0091】
指定紙種を取得しなかった場合(#605でNo)、画像形成装置1は第一の決定処理を行う(#606)。第一の決定処理の手順は、前に図6で説明したとおりである。
【0092】
一方、指定紙種を取得した場合(#605でYes)、画像形成装置1は第二の決定処理を行う(#607)。第二の決定処理の手順は、前に図7で説明したとおりである。
【0093】
画像形成装置1は、第一の決定処理または第二の決定処理で供給カセットを決定していた場合は(#608でYes)、供給元カセットから用紙を搬出するとともに(#609)、その用紙の紙種に応じた条件を設定する(#610)。そして、原稿から画像を読み取って、その用紙に画像を印刷する(#611)。つまり、その画像をその用紙にコピーする。
【0094】
画像形成装置1は、電源が切断されるまで(#6112でNo)、上述のステップ#601ないし#611の処理を適宜、実行する。
【0095】
本実施形態によると、印刷する前に用紙の種類を検出することができる画像形成装置1において、印刷する指令を受けてから印刷し終えるまでに要する時間を従来よりも短くすることができる。
【0096】
図9は、紙切れが発生したときの用紙情報6Aの例を示す図である。図10は、自動用紙種類検知処理における用紙情報6Aの例を示す図である。図11は、管理者用画面5Aの例を示す図である。図12は、ジョブ設定画面51Bおよび詳細設定画面52Bの例を示す図である。図13は、管理者用画面5Cの例を示す図である。
【0097】
本実施形態において、ユーザによっていずれかのカセット11が画像形成装置1の本体から取り外されると、用紙状態取得部102は、その取り外されたカセット11の用紙情報6Aの設定をクリア(つまり「サイズ」を「紙切れ」に、「紙種」を「未登録」に更新)してもよい。そして、画像形成装置1の本体にそのカセット11が収納されると、そのカセット11の用紙サイズセンサ12は、そのカセット11にセットされた用紙のサイズを検出すればよい。用紙状態取得部102は、その用紙サイズセンサ12が検出した結果を受け取り、その用紙情報6Aの「サイズ」をその結果に基づいて更新すればよい。
【0098】
本実施形態では、原稿の印刷物を、コピーのジョブを実行することによって生成する場合を例に説明したが、PCプリントまたはクラウド印刷のジョブを実行することによって生成する場合にも、本発明を適用することができる。
【0099】
〔紙切れの発生〕
本実施形態において、印刷している最中に紙切れが発生した場合、画像形成装置1は以下のような処理を行ってもよい。
【0100】
前提として、ユーザは、A4の原稿の画像を複数枚のA4の用紙に、紙種を指定することなくコピーすることを試みたとする。また、用紙情報記憶部101には、図5(C)に示すような用紙情報6Aが記憶されているとする。また、現在の供給元カセットはカセット112であるとする。
【0101】
印刷している最中に、供給元カセットに紙切れが発生すると、残量センサ132は、カセット112の用紙の残量を検出できなくなる。
【0102】
用紙状態取得部102は、供給元カセットの残量センサ13が用紙の残量を検出できなくなると、供給元カセットの用紙情報6Aの「サイズ」を「紙切れ」に更新し、「紙種」を「未登録」に更新する。
【0103】
本例では、用紙状態取得部102は、図9に示すように、用紙情報6A2の「サイズ」を「紙切れ」に、「紙種」を「未登録」に、それぞれ更新する。
【0104】
紙切れが発生することによって用紙情報6Aが更新されると、カセット決定部103は、供給元カセットを、このコピーのジョブの実行が指示されたときに原稿サイズセンサ11hが検出した結果および順位情報6Bに基づいて、図6に示した手順によって決定し直す。
【0105】
本例では、カセット決定部103は、「サイズ」が「A4」である用紙情報6Aを検索する。用紙情報6A1が最初に見つかるが、用紙情報6A1の「紙種」は「未登録」であるので、「サイズ」が「A4」である用紙情報6Aを継続して検索する。次に、用紙情報6A4が見つかる。用紙情報6A4の「紙種」は「未登録」でなく「厚紙」であるため、供給元カセットを用紙情報6A4のカセット11(カセット114)に決定する。
【0106】
ローラ動作部104は、本実施形態と同様に、ピックアップローラ147、148および搬送ローラ16を通常の速度で動作させる。
【0107】
印刷設定部106は、用紙情報6A4の「紙種」である厚紙に応じた条件で印刷するための設定を、プリントユニット10jに対して行う。そして、プリントユニット10jによって、用紙に画像が印刷される。
【0108】
〔自動用紙種類検知処理〕
本実施形態では、指定紙種が取得された場合に(つまり使用する用紙の紙種をユーザが指定した場合に)、サイズが一致するすべての用紙情報6Aの「紙種」と指定紙種とが一致しなければ、コピーが中止された。しかし、これらすべての用紙情報6Aのいずれかの「紙種」が「未登録」である場合は、サイズが一致するすべての用紙情報6Aの「紙種」と指定紙種とが一致しないことが判明した直後(つまり図7のステップ#726でNo)に、次に説明する自動用紙種類検知処理を行ってもよい。
【0109】
前提として、ユーザは、紙種を普通紙に指定して、A4の原稿の画像をA4の普通紙にコピーすることを試みたとする(以下、このコピーのジョブを「実行中ジョブ」と記載することがある)。また、用紙情報記憶部101には、図10(A)に示すような用紙情報6Aが記憶されているとする。
【0110】
カセット決定部103は、原稿サイズセンサ11hが検出した結果(A4)に一致しかつ紙種が「未登録」である用紙情報6A(用紙情報6A1~6A3)のうちの、順位情報6Bに示される順位が最も高い用紙情報6A(用紙情報6A1)を特定する。供給元カセットを、その用紙情報6Aのカセット11(カセット111)に決定する。
【0111】
ローラ動作部104は、本実施形態と同様に、供給元カセットのピックアップローラ14(ピックアップローラ141、142)および搬送ローラ16を通常よりも遅い速度で動作させる。
【0112】
紙種取得部105は、本実施形態と同様に、搬送される用紙の紙種を検出する指令を検紙センサ17へ与える。検紙センサ17が検出した結果を受け取ると、供給元カセットの用紙情報6A(用紙情報6A1)の「紙種」を、その結果に基づいて更新する。
【0113】
指定紙種が取得された場合に用紙情報6Aが更新されると、印刷設定部106は、更新後の供給元カセットの用紙情報6A(用紙情報6A1)の「紙種」(以下、「更新後紙種」と記載することがある。)と指定紙種とが一致すれば、更新後紙種に応じた条件で印刷するための設定を、プリントユニット10jに対して行う。その後、プリントユニット10jによって用紙に画像が印刷される。
【0114】
更新後紙種と指定紙種とが一致しなければ、印刷設定部106は、すでに搬出された用紙に画像を印刷しないための設定を、プリントユニット10jに対して行う。これにより、すでに供給元カセット(カセット111)から搬出された用紙は印刷されずに白紙のまま排出される。さらに、指定紙種に一致する紙種の用紙が無い旨をタッチパネルディスプレイ10eに表示させて、コピーのジョブを中止する。
【0115】
本例では、カセット111にセットされた用紙が普通紙であれば、用紙に画像が印刷される。そうでなければ、用紙は白紙のまま排出され、実行中ジョブは中止される。
【0116】
または、更新後紙種と指定紙種とが一致しなければ、画像形成装置1は、画像を印刷しないための設定を行った後に、原稿サイズセンサ11hが検出した結果、更新後紙種、および順位情報6Bにしたがって、供給元カセットを決定し直してもよい。この場合、以下の処理が継続して行われる。
【0117】
前提として、更新後紙種(用紙情報6A1の「紙種」)と指定紙種とが一致しないことが判明した直後の用紙情報記憶部101には、図10(B)のような用紙情報6Aが記録されているとする。
【0118】
カセット決定部103は、原稿サイズセンサ11hが検出した結果(A4)にサイズが一致しかつ紙種が「未登録」である他の用紙情報6A(用紙情報6A2、6A3)のうちの、供給元カセットの用紙情報6A(用紙情報6A1)の次に順位が高い用紙情報6A(用紙情報6A2)を、新たに特定する。供給元カセットを、その用紙情報6Aのカセット11(カセット112)に決定する。
【0119】
なお、他の用紙情報6Aのうちから用紙情報6Aを新たに特定できなければ(つまり供給元カセットの用紙情報6Aよりも低い順位の他の用紙情報6Aがなければ)、カセット決定部103は、指定紙種に一致する紙種の用紙が無い旨をタッチパネルディスプレイ10eに表示させて、コピーのジョブ(本例では実行中ジョブ)を中止する。
【0120】
ローラ動作部104および紙種取得部105は、本実施形態と同様に処理を行う。印刷設定部106は、指定紙種が取得された場合に用紙情報6Aが更新されているので、上述と同様に、更新後紙種(つまり更新後の用紙情報6A2の「紙種」)と指定紙種とが一致すれば、更新後紙種に応じた条件で印刷するための設定を、プリントユニット10jに対して行う。その後、プリントユニット10jによって用紙に画像が印刷される。
【0121】
更新後紙種と指定紙種とが一致しなければ、印刷設定部106は、すでに搬出された用紙に画像を印刷しないための設定を、プリントユニット10jに対して行う。カセット決定部103は、用紙情報6Aを新たに特定し直す(つまり供給元カセットを決定し直す)。
【0122】
または、更新後紙種と指定紙種とが一致しなければ、画像形成装置1は、画像を印刷しないための設定を行った後に、コピーを一時停止してもよい。そして、一時停止されてから所定の時間(例えば5分)が経過すると、コピーを中止してもよい。または、図8のステップ#607に戻って供給元カセットを決定する処理をやり直してもよい。
【0123】
また、画像形成装置1は、コピーのジョブを一時停止している間に、他のコピー(以下、「後続ジョブ」と記載することがある。)の実行をユーザから指示されることがある。このとき、一時停止されているコピー(以下、「先行ジョブ」と記載することがある。)よりも優先して、後続ジョブを上述の実施形態と同様に実行してもよい。
【0124】
ところで、後続ジョブで使用する用紙のサイズおよび紙種のそれぞれが先行ジョブで使用する用紙のサイズおよび紙種と一致することがある。そのため、先行ジョブと同様に後続ジョブも一時停止されることがある。
【0125】
このとき、後続ジョブで使用する用紙のサイズおよび紙種に一致する用紙をユーザがカセット11にセットし直すと、後続ジョブおよび先行ジョブそれぞれの再開が可能になることがある。この場合、後続ジョブの実行が一時停止されている間に、以下のような処理を継続して行えばよい。
【0126】
前提として、ユーザは、先行ジョブおよび後続ジョブとして、紙種を普通紙に指定して、A4の原稿の画像をA4の普通紙にコピーするジョブを与えたとする。また、用紙情報6A1の「紙種」が更新後紙種であるとする。また、その更新後紙種と指定紙種とが一致しないことが判明した直後の用紙情報記憶部101には、図10(B)のような用紙情報6Aが記録されていたとする。また、先行ジョブおよび後続ジョブが一時停止されているとする。
【0127】
後続ジョブが一時停止されている間にユーザがいずれかのカセット11に用紙をセットし直すと、残量センサ13および用紙サイズセンサ12は、本実施形態と同様に、そのカセット11の用紙の残量およびサイズをそれぞれ検出する。
【0128】
本例では、ユーザは、カセット114に、A4サイズの普通紙をセットし直す。残量センサ134は、カセット114の用紙の残量を検出する。用紙サイズセンサ124は、カセット114にセットされた用紙のサイズがA4であることを検出する
用紙状態取得部102は、本実施形態と同様に、用紙サイズセンサ12が検出した結果を受け取る。その用紙サイズセンサ12のカセット11の用紙情報6Aの「サイズ」(以下、「更新後サイズ」と記載することがある。)をその結果に基づいて更新する。本例では、用紙情報6A4の「サイズ」を図10(C)のように更新する。
【0129】
カセット決定部103は、更新後サイズと後続ジョブの原稿のサイズとが一致する場合、供給元カセットを、その用紙情報6Aのカセット11に決定する。一致しない場合、後続ジョブを一時停止したままにする。または、中止してもよい。本例では、供給元カセットをカセット114に決定する。
【0130】
ローラ動作部104および紙種取得部105は、本実施形態と同様に処理を行う。本例において、紙種取得部105は、図10(D)のように、用紙情報6A4の「紙種」を「普通紙」に更新する。
【0131】
指定紙種が取得された場合に用紙情報6Aが更新されているので、印刷設定部106は、上述と同様に、更新後紙種と指定紙種とが一致すれば、更新後紙種に応じた条件で印刷するための設定を、プリントユニット10jに対して行う。その後、プリントユニット10jによって用紙に画像が印刷される。すなわち、後続ジョブの一時停止が解除され、後続ジョブが実行される。
【0132】
本例では、更新後紙種(更新後の用紙情報6A4の紙種)と指定紙種とは普通紙で一致するため、印刷設定部106は、普通紙に応じた条件で印刷するための設定を、プリントユニット10jに対して行う。そして、プリントユニット10jによって、用紙に画像が印刷される。
【0133】
後続ジョブの実行が完了すると、カセット決定部103は、供給元カセットの用紙情報6Aの「サイズ」および「紙種」のそれぞれが、先行ジョブの原稿のサイズおよび指定紙種のそれぞれと一致する場合、供給元カセットをそのまま維持する。一致しない場合、先行ジョブを一時停止したままにする。または、中止してもよい。本例では、供給元カセットをカセット114にしたままにする。
【0134】
なお、先行ジョブの原稿のサイズおよび指定紙種は、後続ジョブの実行が指示されたときに、補助記憶装置10dなどに一時的に記憶させればよい。そして、後続ジョブの実行が完了したときに呼び出されればよい。
【0135】
ローラ動作部104は、通常の速度でピックアップローラ14(ピックアップローラ147、148)および搬送ローラ16を、通常の速度で動作させる。紙種取得部105は、検紙センサ17への指令および用紙情報6Aの更新を行わない。
【0136】
印刷設定部106は、更新後紙種(用紙情報6A4の「紙種」)に応じた条件(つまり普通紙に応じた条件)で印刷するための設定を、プリントユニット10jに対して行う。その後、プリントユニット10jによって用紙に画像が印刷される。すなわち、先行ジョブの一時停止が解除され、先行ジョブが実行される。
【0137】
なお、自動用紙種類検知処理において、印刷している最中に紙切れが発生した場合、残量センサ13および用紙状態取得部102は、上述の紙切れが発生したときと同様の処理を行えばよい。カセット決定部103は、上述の紙切れが発生したときの処理に代えて、以下の処理を行えばよい。
【0138】
すなわち、紙切れが発生することによって用紙状態取得部102が用紙情報6Aを更新すると、カセット決定部103は、現在紙切れとなっているコピーのジョブの実行が指示されたときに原稿サイズセンサ11hが検出した結果(サイズ)に「サイズ」が一致しかつ紙種が「未登録」である他の用紙情報6Aのうちの、順位情報6Bに示される順位が供給元カセットの用紙情報6Aの次に高い用紙情報6Aを、新たに特定する。そして、供給元カセットを、その用紙情報6Aのカセット11に決定する。
【0139】
上述のように、自動用紙種類検知処理において更新後紙種と指定紙種とが一致しなければ、画像形成装置1は、一時停止することなくコピーのジョブを中止し、供給元カセットを決定し直し、または、所定の時間コピーを一時停止した後に、コピーを中止しまたは供給元カセットを決定し直した(以下、それぞれを「第一の対処処理」、「第二の対処処理」、「第三の対処処理」と記載する)。ここで、第一の対処処理、第二の対処処理、および第三の対処処理のいずれを画像形成装置1に行わせるのかを、ユーザに予め決定させてもよい。
【0140】
例えば、図11のような管理者用画面5Aを介して、第一の対処処理、第二の対処処理、および第三の対処処理のいずれを画像形成装置1に行わせるのかをユーザに決定させる。ユーザがチェックボックス71Aをチェックすると、画像形成装置1は、更新後紙種と指定紙種とが一致しなかったときに第一の対処処理を行う。チェックボックス72Aをチェックすると、第二の対処処理を行う。チェックボックス73Aをチェックすると、第三の対処処理を行う。
【0141】
さらに、管理者用画面5Aを介して、自動用紙種類検知処理の対象となるカセット11をユーザに決定させてもよい。例えば、図11のように、カセット01およびカセット02の「する」のラジオボタンをユーザが選択すると、画像形成装置1は、自動用紙種類検知処理をカセット01およびカセット02に対して行う。
【0142】
または、第一の対処処理、第二の対処処理、および第三の処理のいずれを画像形成装置1に行わせるのかを、ジョブごとに(つまりジョブ単位で)、ユーザに決定させてもよい。
【0143】
例えば、PCプリント機能などによって端末装置からジョブの実行をユーザが指示するときに、図12(A)のようなジョブ設定画面51Bが端末装置に表示される。ジョブ設定画面51Bの中の詳細設定ボタン7Bをユーザがタッチすると、図12(B)のような詳細設定画面52Bが端末装置に表示される。ユーザは、そのジョブに対して、第一の対処処理、第二の対処処理、および第三の処理のいずれを画像形成装置1に行わせるのかを、上述の図11と同様に、チェックボックス71B~73Bのいずれかをチェックすることで決定する。
【0144】
または、第一の対処処理、第二の対処処理、および第三の処理のいずれを画像形成装置1に行わせるのかを、ユーザごとに(つまりユーザ単位で)、画像形成装置1を管理する管理ユーザに決定させてもよい。
【0145】
例えば、管理ユーザは、自動用紙種類検知処理を実行することを許可するユーザ名およびアカウント名を、図13のような管理者用画面5Cの欄74C、75Cのそれぞれに入力する。管理ユーザは、そのユーザが、第一の対処処理、第二の対処処理、および第三の処理のいずれを画像形成装置1に行わせることができるのかを、上述の図11と同様に、チェックボックス71C~73Cのいずれかをチェックすることで決定する。そして、画像形成装置1に登録する。画像形成装置1は、画像形成装置1自身にログインしたユーザが登録されていれば、そのユーザが、管理ユーザによって決定された処理を自動用紙種類検知処理として実行する。
【0146】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0147】
5A 管理者用画面(画面)
5B 詳細設定画面(画面)
6B 順位情報(優先順位)
10e タッチパネルディスプレイ(表示手段)
11 カセット(複数のトレイ、第一のトレイ、第二のトレイ)
15 搬送路(搬送手段)
17 検紙センサ(センサ)
103 カセット決定部(決定手段)
111 カセット(第二のトレイ)
112 カセット(第一のトレイ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13