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特許7091792画像処理装置、原稿読取装置、画像出力装置及び画像処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】画像処理装置、原稿読取装置、画像出力装置及び画像処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20220621BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H04N1/387 800
H04N1/387 700
H04N1/04 106Z
H04N1/12 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018075183
(22)【出願日】2018-04-10
(65)【公開番号】P2019186737
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】小林 健
(72)【発明者】
【氏名】山田 健二
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-056465(JP,A)
【文献】特開2010-258803(JP,A)
【文献】特開平02-101865(JP,A)
【文献】特開昭58-087652(JP,A)
【文献】特開平10-285379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
H04N 1/38- 1/393
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取られた原稿画像を受け付ける原稿画像受付手段と、
前記原稿画像受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された補正量を記憶させるように制御する記憶制御手段と、
を有し、
前記演算手段は、原稿画像の傾きを補正するように原稿画像を回転させる角度を演算し、かつ原稿画像の傾きを補正した後に、平行四辺形となった原稿画像が長方形となるよう補正量を演算する画像処理装置。
【請求項2】
前記記憶制御手段は、
原稿の一方の面の原稿画像の搬送ずれを補正する第一の補正量と、
原稿の他方の面の原稿画像の搬送ずれを補正する第二の補正量と、
をそれぞれ記憶させる請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
原稿画像を読み取る読取手段を有し、
前記読取手段で読み取られた原稿画像を原稿画像受付手段が受け付け、前記原稿画像受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれを補正する補正量が演算手段により演算され、前記演算手段により演算された補正量を記憶させるように記憶制御手段が制御し
前記演算手段は、原稿画像の傾きを補正するように原稿画像を回転させる角度を演算し、かつ原稿画像の傾きを補正した後に、平行四辺形となった原稿画像が長方形となるよう補正量を演算する
原稿読取装置。
【請求項4】
原稿画像を出力する出力手段を有し、
前記出力手段は、原稿受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれに関するデータの搬送ずれを補正するように演算手段が演算した補正量であって、記憶制御手段が記憶させた前記補正量を用いて搬送ずれが補正された原稿画像を出力し
前記演算手段は、原稿画像の傾きを補正するように原稿画像を回転させる角度を演算し、かつ原稿画像の傾きを補正した後に、平行四辺形となった原稿画像が長方形となるよう補正量を演算する
画像出力装置。
【請求項5】
原稿画像を読み取る原稿読取装置と、
前記原稿読取装置で読み取られた原稿画像を処理する画像処理装置と、
前記画像処理装置で処理された原稿画像を出力する出力装置と、
を有し、
前記画像処理装置は、
前記原稿読取装置で読み取られた原稿画像を受け付ける原稿画像受付手段と、
前記原稿画像受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を演算する演算手段と、
前記演算手段により演算された補正量を記憶させるように制御する記憶制御手段と、
を有し、
前記演算手段は、原稿画像の傾きを補正するように原稿画像を回転させる角度を演算し、かつ原稿画像の傾きを補正した後に、平行四辺形となった原稿画像が長方形となるよう補正量を演算する
画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、原稿読取装置、画像出力装置及び画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿を読取位置に搬送する原稿搬送装置と、前記読取位置において搬送中の原稿の画像を読み取る読取手段とを有する画像読取装置であって、前記原稿搬送装置が、前記読取手段を有する画像読取装置本体とは別ユニットとして形成され、前記画像読取装置本体に対して取り付けられる、画像読取装置において、前記原稿搬送装置の一辺の一方の端部に第一取付部、他方の端部に第二取付部がそれぞれ設けられ、前記第一取付部は、前記原稿搬送装置を前記画像読取装置に対して変位可能に、前記第二取付部は、前記原稿搬送装置を前記画像読取装置本体に対して回転可能に、それぞれ前記原稿搬送装置を前記画像読取装置に取り付けるように構成され、且つ、前記第一取付部における変位が行われた位置に、前記原稿搬送装置を固定する固定手段が設けられたことを特徴とする画像読取装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、少なくとも一方の面にスキュー検知用画像が印刷された搬送中の原稿を両面から読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段で読み取られたスキュー検知用画像に基づいて、原稿のスキューを補正するための補正量を演算する補正量演算手段と、前記補正量演算手段によって演算された補正量に基づいて、前記画像読取手段で読み取られた表面及び裏面の少なくとも一方の画像のスキューを補正する補正手段と、を含む画像処理装置が記載されている。
【0004】
特許文献3には、画像が形成されている原稿が載置される載置台と、前記載置台に載置された原稿を搬送方向に1枚ずつ順次に搬送して読取位置を通過させる原稿搬送部と、前記読取位置を通過する原稿上の画像を読み取って画像信号を生成する原稿読取部と、前記搬送方向に関し前記読取位置よりも上流側に配置され、搬送されてきた原稿の先端の突当てを受けて該原稿の傾きを補正する第一の傾き補正部と、前記第一の傾き補正部を作用させるか否かを切り替える補正切替制御部と、前記第一の傾き補正部よりも前記原稿の搬送方向上流側に配置され、前記載置台から搬送されてきた原稿の姿勢を検出する原稿姿勢検出部とを備え、前記補正切替制御部は、前記載置台から搬送されてきた原稿について、前記原稿姿勢検出部によりあらかじめ定められた第一閾値以上に傾いた姿勢にあることが検出された場合には、前記第一の傾き補正部を作用させる第一の補正モードに切り替え、該搬送されてきた原稿について該第一閾値未満の傾きが検出された場合には、前記第一の傾き補正部を作用させない第二の補正モードに切り替えるものであることを特徴とする画像読取装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-261742号公報
【文献】特開2007-19854号公報
【文献】特開2015-162724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原稿を搬送させ、その原稿を読み取った原稿画像に生じるずれである搬送ずれを低減させるように、原稿を搬送する搬送部と原稿を走査する走査部との位置関係を機械的に調整する原稿読取装置が知られている。しかしながら、上述の原稿読取装置では、走査部と読取部の位置関係を調整するための機構が必要になり装置構造が複雑になる虞がある。
【0007】
本発明は、原稿画像の搬送ずれに関するデータや、原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を記憶させない場合と比較して、原稿読取装置の構造を簡単にするこことができる画像処理装置、原稿読取装置、画像出力装置及び画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、
読み取られた原稿画像を受け付ける原稿画像受付手段と、
前記原稿画像受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶させるように制御する記憶制御手段と、
を有する画像処理装置である。
【0009】
請求項2に係る本発明は、
読み取られた原稿画像を受け付ける原稿画像受付手段と、
前記原稿画像受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を演算する演算手段と、
前記補正演算手段により演算された補正量を記憶させるように制御する記憶制御手段と、
を有する画像処理装置である。
【0010】
請求項3に係る本発明は、
前記演算手段は、原稿画像の傾きを補正するように原稿画像を回転させる角度を演算する請求項2記載の画像処理装置である。
【0011】
請求項4に係る本発明は、前記演算手段は、平行四辺形原稿画像が長方形となるよう補正量を演算する請求項3記載の画像処理装置である。
【0012】
請求項5に係る本発明は、
前記記憶制御手段は、
原稿の一方の面の原稿画像の搬送ずれを補正する第一の補正量と、
原稿の他方の面の原稿画像の搬送ずれを補正する第二の補正量と、
をそれぞれ記憶させる請求項2から4いずれか記載の画像処理装置である。
【0013】
請求項6に係る本発明は、
原稿画像を読み取る読取手段を有し、
前記読取手段で読み取られた原稿画像を原稿画像受付手段が受け付け、前記原稿画像受付部が受け付けた原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶するように記憶制御手段が制御する
原稿読取装置である。
【0014】
請求項7に係る本発明は、
原稿画像を読み取る読取手段を有し、
前記読取手段で読み取られた原稿画像を原稿画像受付手段が受け付け、前記原稿画像受付部が受け付けた原稿画像の搬送ずれを補正する補正量が演算手段により演算され、前記演算手段により演算された補正量を記憶させるように記憶制御手段が制御する
原稿読取装置である。
【0015】
請求項8に係る本発明は、
原稿画像を出力する出力手段を有し、
前記出力手段は、原稿画像受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれに関するデータであって、記憶制御手段が記憶させた搬送ずれに関するデータを用いて搬送ずれが補正された原稿画像を出力する
画像出力装置である。
【0016】
請求項9に係る本発明は、
原稿画像を出力する出力手段を有し、
前記出力手段は、原稿受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれに関するデータの搬送ずれを補正するように演算手段が演算した補正量であって、記憶制御手段が記憶させた前記補正量を用いて搬送ずれが補正された原稿画像を出力する画像出力装置である。
【0017】
請求項10に係る本発明は、
原稿画像を読み取る原稿読取装置と、
前記原稿読取装置で読み取られた原稿画像を処理する画像処理装置と、
前記画像処理装置で処理された原稿画像を出力する出力装置と、
を有し、
前記画像処理装置は、
前記原稿読取装置で読み取られた原稿画像を受け付ける原稿画像受付手段と、
前記原稿画像受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶させるように制御する記憶制御手段と、
を有する画像処理システムである。
【0018】
請求項11に係る本発明は、
原稿画像を読み取る原稿読取装置と、
前記原稿読取装置で読み取られた原稿画像を処理する画像処理装置と、
前記画像処理装置で処理された原稿画像を出力する出力装置と、
を有し、
前記画像処理装置は、
前記原稿読取装置で読み取られた原稿画像を受け付ける原稿画像受付部と、
前記原稿画像受付手段が受け付けた原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を演算する演算手段と、
前記補正演算手段により演算された補正量を記憶させるように制御する記憶制御手段と、
を有する画像処理システムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る本発明によれば、原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶させない場合と比較して、原稿読取装置の構造を簡単にするこことができる画像処理装置を提供することができる。
【0020】
請求項2に係る本発明によれば、原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を記憶させない場合と比較して、原稿読取装置の構造を簡単にするこことができる画像処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項3に係る本発明によれば、原稿画像の傾きを補正することができる。
【0022】
請求項4に係る本発明によれば、長方形の画像が菱形になるとの搬送ずれを補正することができる。
【0023】
請求項5に係る本発明によれば、原稿の一方の面の補正量だけを記憶する場合と比較して、原稿の両面の画像データの補正を簡単にすることができる。
【0024】
請求項6に係る本発明によれば、原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶させない場合と比較して、構造が簡単な原稿読取装置を提供することができる。
【0025】
請求項7に係る本発明によれば、原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を記憶させない場合と比較して、構造が簡単な原稿読取装置を提供することができる。
【0026】
請求項8に係る本発明によれば、原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶させない場合と比較して、原稿読取装置の構造を簡単にするこことができる画像出力装置を提供することができる。
【0027】
請求項9に係る本発明によれば、原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を記憶させない場合と比較して、原稿読取装置の構造を簡単にするこことができる画像出力装置を提供することができる。
【0028】
請求項10に係る本発明によれば、原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶させない場合と比較して、原稿読取装置の構造を簡単にするこことができる画像処理システムを提供することができる。
【0029】
請求項11に係る本発明によれば、原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を記憶させない場合と比較して、原稿読取装置の構造を簡単にするこことができる画像処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態で用いられる画像形成装置の第一の例の概略構成を示す図である。
図2図1に示す画像形成装置が有する読取部の一例を示す図である。
図3図1に示す画像形成装置が有する原稿読取装置の原稿搬送機構の一例を示す図である。
図4図1に示す画像形成装置が有する制御部を示すブロック図である。
図5図4に示す制御部の機能的構成を説明するブロック図である。
図6】原稿画像の搬送ずれを補正する補正量の演算を説明し、図6(A)は、読み取られる原稿を示す図であり、図6(B)は、読み取られた原稿画像を示す図であり、図6(C)は、読み取られた原稿画像を回転させるように補正した原稿画像を示す図であり、図6(D)は、回転させるように補正した原稿画像の歪み低減させるようにさらに補正をした原稿画像を示す図である。
図7】原稿画像の搬送ずれを補正する補正量の演算を説明し、図7(A)は、テスト原稿画像が読み取られる状態を示す図であり、図7(B)は、補正途中の原稿画像を示す第1の時であり、図7(C)は、補正途中の原稿画像を示す第2の図であり、図7(D)は、補正された原稿が像を示す図であり、図7(E)は、読テストチャート原稿を示す図である。
図8】本発明の実施形態で用いられる画像形成装置の第二の例の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態で用いられる画像処理装置10の第一の例を示す図である。図1に示すように、画像処理装置10は、原稿読取装置100と画像出力装置500とを有する。
【0032】
画像出力装置500は、特許請求の範囲に記載の画像出力装置の一例であるとともに、特許請求の範囲に記載の画像処理装置の一例でもある。また、画像出力装置500は、画像出力装置本体512を有し、画像出力装置本体512の上側の面が画像の形成された記録媒体が排出される排出部514として用いられている。また、画像出力装置本体512内には、画像出力部530が配置されている。
【0033】
画像出力部530は、原稿画像を出力する出力手段の一例であって、例えば原稿読取装置100が読み取った原稿の画像等の画像を記録媒体に出力する。ここで、原稿画像とは、原稿を搬送させ、その原稿を読み取った画像をいう。画像出力部530としては、例えば、電子写真方式を採用することができる。
【0034】
画像出力部530は、感光体ドラム532と、感光体ドラム532を帯電する帯電装置534と、感光体ドラム532の表面に静電潜像を形成する潜像形成部536と、が感光体ドラム532の表面に形成された潜像を現像する現像装置538と、現像装置538が現像した画像を記録媒体に転写させる転写装置540と、感光体ドラム532の表面を清掃する清掃装置542と、記録媒体に転写された画像を記録媒体に定着させる定着装置544とを有する。
【0035】
以上の説明においては、電子写真方式を採用した構成を例として示して画像出力部530を説明したものの、画像出力部530は、例えばインクジェット方式等、電子写真以外の方式を採用したものであってもよい。また、以上の説明においては、単色の画像を形成する構成を例として画像出力部530を説明したものの、画像出力部530は、多色の画像を形成する構成としてもよい。
【0036】
また、画像出力部530は、原稿読取装置100が読み取った原稿の画像等の画像を補正した補正後の画像データを所定の形式の画像データファイルとして出力してHDD(HardDiskDrive)装置や通信経路を介して接続されたサーバ装置の外部装置等に記憶させるように構成してもよい。
【0037】
画像出力装置本体512内には、供給装置600がさらに配置されている。供給装置600は、積層された状態の記録媒体を収納する収納部602と、収納部602に収納された記録媒体を画像出力部530へと向けて供給する供給ローラ604とを有する。
【0038】
また、画像出力装置本体512内には搬送路650が形成されている。搬送路650は、供給装置600から転写装置540へと記録媒体を搬送し、さらには定着装置544へと記録媒体を搬送し、さらには排出部514へと記録媒体を排出するように記録媒体を搬送する。
【0039】
画像出力装置本体512内には、搬送路650に沿って、記録媒体の搬送方向における上流側から順に、先述の供給ローラ604と、レジストローラ652と、先述の転写装置540と、先述の定着装置544と、排出ローラ654とが配置されている。
【0040】
レジストローラ652は、記録媒体の先端の移動を一時的に停止させ、画像出力部530が画像を形成するタイミングに一致させるように、記録媒体の先端の移動を再開させる。
【0041】
排出ローラ654は、定着装置544によってトナー像が定着された記録媒体を排出部514へと排出する。
【0042】
また、画像処理装置10は、制御部700と記憶部780とさらに有し、制御部700と記憶部780とは、例えば画像出力装置本体512内に配置されている。制御部700は、原稿読取装置100で読み取られた原稿画像を受け付け、受け付けた原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶部780に記憶させたり、受け付けた原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を演算して、演算された補正量を記憶部780に記憶させたりする。尚、制御部700の詳細は後述する。ここで、搬送ずれとは、原稿Dを搬送させ、その原稿を読み取った画像である原稿画像に生じる原稿からの位置や形状のずれをいう。
【0043】
記憶部780は、制御部700が受け付けた原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶したり、制御部700が演算した原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を記憶したりする。
【0044】
この画像処理装置10においては、制御部700と記憶部780とは、画像出力装置本体512内に配置され、画像出力装置500に設けられているものの、制御部700及び記憶部780の少なくとも一方を、原稿読取装置100が有するように構成してもよい。また、制御部700及び記憶部780の少なくとも一方を、画像処理装置10に接続されたパーソナルコンピュータやサーバ等の外部装置(不図示)が有するように構成してもよい。この場合、画像処理装置10と外部装置とは、有線で接続されるものであっても、無線で接続されるものであってもよく、例えばインターネットやローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して接続されるものであってもよい。
【0045】
原稿読取装置100は、原稿読取装置本体112と、読み取られる原稿Dが置かれる原稿台120とを有する。また、原稿読取装置本体112の一部に、例えばガラス等の光を透過する材料から形成されている光透過部材114が装着されている。
【0046】
原稿読取装置100は、読取部140をさらに有する。読取部140は、原稿読取装置本体112内における光透過部材114近傍に配置されていて、搬送中の原稿Dを光学的に読み取る。また、光透過部材114の読取部140と逆側の位置(光透過部材114の上側の位置)が、搬送中の原稿が読み取られる読取位置Pとなっている。尚、読取部140の詳細は後述する(図2を参照)。
【0047】
原稿読取装置100は、原稿搬送機構300をさらに有する。原稿搬送機構300は、原稿台120に置かれた原稿Dを読取位置Pへと向けて搬送し、読取位置Pから排出部116へと原稿Dを搬送するために用いられ、さらには、原稿Dを反転させるために用いられる。尚、原稿搬送機構300の詳細は後述する(図3を参照)。
【0048】
図2には、読取部140の一例が示されている。図2に示されるように、読取部140は、読取部本体142を有し、読取部本体142の上向きの面には、例えばガラス等の光を透過する材料から形成される光透過性部材144が装着されている。また、読取部本体142内には、原稿に向けて光を照射する照射部として用いられるLED(Light Emitting Diode)照射ヘッド146、146と、LED照射ヘッド146、250とからの光を結像させる結像部として用いられるレンズアレイ148と、レンズアレイ148で結像された光が入射する光電変換部材150とが装着されている。
【0049】
光電変換部材150は、LED照射ヘッド146、146から照射され、原稿台120に置かれた原稿Dで反射された光を読み取って画像データを生成する画像データ生成手段として用いられていて、例えばCCDアレイが用いられ、配電等に用いられる基板152を有し、基板152のレンズアレイ148側の面には、原稿Dの幅方向(図2における紙面と直行する方向)に複数の受光センサ154が直線状に装着されている。
【0050】
以上のように構成される読取部140においては、複数の受光センサ154が直線状に並べられる方向、すなわち図2における紙面と直行する方向が、読取部140が原稿Dを走査する走査方向L1(図6(A)を参照)となっている。
【0051】
図3には、原稿搬送機構300の一例が示されている。原稿搬送機構300は、図3に示す主搬送路302に沿って、原稿台120から読取位置Pへと原稿Dを搬送し、読取位置Pから排出部116に排出するように原稿を搬送する。また、原稿搬送機構300は、一方の面が読取位置Pで読み取られた原稿の他方の面を読み取る際に、図3に示す反転搬送路304で原稿Dを反転させつつ、原稿Dを再び読取位置Pへと向けて搬送する。
【0052】
また、原稿搬送機構300は、原稿台120から原稿Dを送り出すピックアップローラ310と、原稿Dを捌き、原稿Dの重送を抑制するフィードローラ320及び分離ローラ322と、原稿を搬送する搬送ローラ330及び搬送ローラ332と、原稿Dの斜行を修正するレジストローラ340及び対向ローラ342と、原稿Dを搬送する搬送ローラ350及び搬送ローラ352とを有する。
【0053】
また、原稿搬送機構300は、排出ローラ360及び対向ローラ362をさらに有する。排出ローラ360は、矢印a1に示すように反時計回り方向に回転して原稿Dを排出部116へと排出し、矢印a2に示すように、時計回り方向に回転し、一方の面が読み取られた原稿Dを、後端部側から反転搬送路304へと送り込む。
【0054】
図4は、制御部700の構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御部700は、制御回路702を有し、例えば読取部140で読み取られた原稿画像等の画像データが、通信インターフェイス704を介して制御回路702へと入力される。また、制御回路702からの出力で、画像出力部530と供給装置600とが制御される。また、制御回路702は、記憶部780にデータを記憶させ、記憶部780に記憶されたデータを読み出す。
【0055】
図5は、制御部700の機能的構成の一例を示すブロック図である。図5に示すように、制御部700は、原稿画像受付部720を有する。原稿画像受付部720は、原稿画像受付手段の一例であって、読取部140で読み取られた原稿画像を受け付ける。
【0056】
制御部700は、演算部730をさらに有する。演算部730は、演算手段の一例であって、原稿画像受付部720が受け付けた原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を演算する。尚、演算部730による原稿画像の搬送ずれの演算の詳細は後述する。
【0057】
制御部700は、記憶制御部740をさらに有する。記憶制御部740は、記憶制御手段の一例であって、演算部730で演算された補正量を記憶部780に記憶させるように制御する。
【0058】
図6は、演算部730による原稿画像の搬送ずれを補正する補正量の演算を説明し、図6(A)は、読み取られる原稿Dを示す図であり、図6(B)は、読み取られた原稿画像Iを示す図であり、図6(C)は、読み取られた原稿画像Iを回転させるように補正した原稿画像Iを示す図であり、図6(D)は、回転させるように補正した原稿画像の歪み低減させるようにさらに補正をした原稿画像Iを示す図である。
【0059】
図6(A)に示すように、読取部140が原稿Dを走査する走査方向L1と、矢印b方向に搬送される原稿Dの先端部L2とが平行でないと、読取部140で読み取られた原稿画像Iが傾き、図6(B)に示すように読み取られた原稿画像Iが平行四辺形となるとの搬送ずれが生じる。このため、演算部730は、原稿画像Iの全体を矢印cに示す方向に回転させて、原稿画像の傾きを低減させる補正量である傾き補正量を演算する。
【0060】
傾き補正量を用いて図6(C)に破線で示す位置から図6(C)に実線で示す位置へと原稿画像Iを回転させるように補正すると、図6(C)に実線で示すように、原稿画像Iは歪み、本来は長方形である原稿画像Iが平行四辺形または台形となる搬送ずれが生じる。このため、演算部730は、原稿画像Iの直角度を補正し、原稿画像Iの歪みを低減させる補正量である直角度補正量を演算する。直角度補正量を用いて、図6(D)に破線で示す形状から図6(D)に実線で示す形状へとさらに原稿画像Iを補正すると、原稿画像Iは、図6(D)に実線で示すように、歪が低減されたものとなる。
【0061】
図7は、テストチャート原稿を読み込ませて取得した画像データから演算部730で原稿画像の搬送ずれを補正する補正量の演算を説明を示す図である。図7(E)に示すように、テストチャート原稿D2は、テストチャート原稿D2の読み取りの先端部(エッジ)に沿って読取部140が原稿を走査する主走査方向に線E1が描かれるとともに、上述の主走査方向と垂直方向の副走査方向に線V1が描かれており、線E1と線V1とは垂直の関係にある。
【0062】
図7(A)に示すように、読取部140がテストチャート原稿D2を走査する走査方向L1と、矢印b方向に搬送されるテストチャート原稿D2の先端部L2およびその近傍に先端部L2に沿って描かれた線E1とが平行でないと、読取部140で読み取られた原稿画像I2が傾き、図7(B)に示すように読み取られた原稿画像I2が平行四辺形となり、読み取られたテストチャート原稿D2の画像として、図7(B)に示すような線E2と線V2との原稿画像I2が生成される。
【0063】
このため、演算部730は、図7(B)に示すテストチャート原稿D2の原稿画像I2の線E2と基準線S1との角度を演算し、全体を矢印cに示す方向に回転させて、原稿画像の傾きを低減させる補正量である傾き補正量を演算する。基準線S1は、テストチャート原稿D2の原稿画像I2の搬送方向の両側のエッジの方向が検出できればこの方向と垂直に設定してもよいし、テストチャート原稿D2の原稿画像I2の線V2と垂直の方向に設定してもよい。
【0064】
以上のようにして演算された傾き補正量を用いてテストチャート原稿D2の原稿画像I2を回転させるように補正すると、回転させるように補正された原稿画像I2は、図7(C)に示すように、線E3と線V3とが描かれたものとなり、原稿画像I2は歪み、テストチャート原稿D2の本来は長方形である原稿画像I2が平行四辺形または台形となる。このため、演算部730は、原稿画像I2の直角度を補正するために、線E3と線V3との交点から線E3に対し垂直な基準線S2を設定し、基準線S2と線V3とのずれ量である直角度補正量を演算する。この原稿画像Iの歪みを低減させる補正量である直角度補正量を用いてさらに原稿画像Iを補正すると、原稿画像Iは、図7(D)に示すように、歪が低減されたものとなる。
【0065】
以上で説明をした傾き補正量と直角度補正量とは、記憶制御部740が記憶部780に記憶させる。そして、原稿読取装置100で原稿Dを読み取った際に、記憶部780から傾き補正量と直角度補正量とが読み出され、読み出された傾き補正量と直角度補正量とを用いて原稿読取装置100で読み取られた原稿画像Iが補正される。
【0066】
原稿読取装置100においては、以上で説明をしたように読み取られた原稿画像Iが、記憶部780に記憶された傾き補正量と直角度補正量とを用いて補正されるため、例えば出荷の前等に、原稿搬送機構300と読取部140との物理的な位置関係の調整をしなくてもよい。
【0067】
以上で説明をした傾き補正量と直角度補正量とは、原稿Dの一方の面と原稿Dの他方の面との両方について演算部730で演算し、記憶部780に記憶させておくことが望ましい。すなわち、原稿Dの原稿台120から搬送され読取部140によって最初に読み取られる面の傾き補正量及び直角度補正量と、原稿Dの反転搬送路304を通過し、反転した後に読取部140によって読み取られる面の傾き補正量及び直角度補正量との両方を演算し、記憶部780に記憶させておくことが望ましい。
【0068】
以上で説明をした制御部700においては、演算部730が原稿画像受付部720が受け付けた原稿画像の搬送ずれを補正する補正量を演算部730が演算し、演算部730が演算した補正量を記憶制御部740が記憶部780に記憶させたものの、原稿画像受付部720で受け付けた原稿画像の搬送ずれに関するデータを、記憶制御部740が記憶部780に記憶させるようにしてもよい。
【0069】
そして、原稿画像の搬送ずれに関するデータを記憶部780に記憶させるようにした場合は、原稿読取装置100で原稿Dを読み取った際に、記憶部780から搬送ずれに関するデータが読み出され、読み出された搬送ずれに関するデータを用いて原稿読取装置100で読み取られた原稿画像Iが補正される。
【0070】
図8は、本発明の実施形態で用いられる画像処理装置10の第二の例を示す図である。先述の画像処理装置10の第一の例では、原稿読取装置100は、一つの読取部140と、反転搬送路304とを有し、原稿Dの一方の面を読取部140で読み取った後に、反転搬送路304を用いて原稿Dを反転させて、原稿Dの他方の面を読取部140で読み取ることで、原稿Dの両面を読み取っていた。
【0071】
これに対して、この第二の例では、原稿読取装置100は、反転搬送路304を有せず、原稿Dの一方の面を読み取る読取部140aと原稿Dの他方の面を読み取る読取部140bとを有し、主搬送路302を搬送中の原稿の両面の画像を、読取部140aと読取部140bとを用いて同時に読み取るように構成されている。
【0072】
また、先述の画像処理装置10の第一の例では、読取部140からの出力が制御回路702に入力された。これに対して、この第二の例では、読取部140aからの出力と、読取部140bからの出力とが、それぞれに制御部700に入力される。そして、読取部140aから入力された原稿画像を用いて、演算部730が原稿Dの一方の面の原稿画像の傾き補正量と直角度補正量とを演算する。また、読取部140bから入力された原稿画像を用いて、演算部730が原稿Dの他方の面の傾き補正量と直角度補正量を演算する。
【0073】
また、この画像処理装置10の第二の例では、読取部140aが読み取った原稿Dの一方の面の原稿画像の搬送ずれに関するデータと、読取部140bが読み取った原稿Dの他方の面の原稿画像の搬送ずれに関するデータとを用いて、原稿読取装置100で読み取られた原稿画像Iの一方の面の原稿画像と、原稿画像の他方の面の原稿画像とをそれぞれに補正するようにしてもよい。以上で説明をした部分を除き、この画像処理装置10の第二の例は、先述の第一の画像処理装置10と同一であるため、同一部分の説明は要略する。
【0074】
また、以上で説明した画像処理装置10は、これに限定されるものではなく、演算部730を画像読取装置100と画像出力装置500とは別のパーソナルコンピュータ装置に設け、画像読取装置100で読み取られた画像を取得して演算部730が演算した傾き補正量や直角度補正量のデータを画像読取装置100または画像出力装置500に渡して記憶させるようにする画像処理システムとして構成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
10・・・画像処理装置
100・・・原稿読取装置
140、140a、140b・・・読取部
304・・・反転搬送路
500・・・画像出力装置
530・・・画像出力部
700・・・制御部
702・・・制御回路
720・・・原稿画像受付部
730・・・演算部
740・・・記憶制御部
780・・・記憶部
L1・・・走査方向
L2・・・先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8