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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20220621BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K5/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018077977
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019187159
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博明
(72)【発明者】
【氏名】初田 匡之
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-084924(JP,A)
【文献】実開昭54-064211(JP,U)
【文献】特開2010-045890(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0106219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
H02K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びるモータシャフトを有するモータ部と、
前記モータシャフトの軸方向一方側または軸方向他方側に連結される減速機構と、
前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトを有する出力部と、
前記モータ部、前記減速機構、および前記出力部を収容するハウジングと、
を備え、
前記モータシャフトと前記出力シャフトとは、前記モータシャフトの径方向に離れて配置され、
前記ハウジングは、
軸方向一方側に開口する平面視多角形状のハウジング本体と、
前記ハウジング本体の軸方向一方側の開口部に固定される蓋部材と、
を有し、
前記出力シャフトは、前記ハウジングの第1角部に位置し、
前記蓋部材と前記ハウジング本体とは、前記蓋部材を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結され、
前記複数のボルトは、
前記第1角部以外の前記ハウジングの各々の角部に位置する複数の角部ボルトと、
前記第1角部と前記第1角部に隣り合う第2角部との中間に位置する中間位置ボルトと、
を含み、
前記中間位置ボルトは、平面視において、前記第1角部と前記第2角部とを結ぶ辺縁よりも前記ハウジングの中心側、かつ、前記出力シャフトの中心と前記第2角部の角部ボルトとを結ぶ仮想線よりも前記ハウジングの外縁側に位置
前記ハウジングは、前記第1角部に隣り合う第3角部を有し、
前記出力シャフトの中心は、平面視において、前記第2角部の前記角部ボルトと前記第3角部の前記角部ボルトとを結ぶ仮想線よりも前記ハウジングの外縁側に位置する、
電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記出力シャフトの中心は、平面視において、前記第3角部の角部ボルトと前記中間位置ボルトとを結ぶ仮想線よりも前記ハウジングの外縁側に位置する、
請求項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記出力シャフトは、前記第2角部と前記第3角部との中間位置よりも前記第3角部側に位置し、
前記中間位置ボルトは、前記第1角部と前記第2角部との中間位置よりも前記第1角部側に位置する、
請求項またはに記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記ハウジング本体の開口部に位置する回路基板を有し、
前記蓋部材は、前記ハウジング本体の開口部に沿って延びる枠状の平坦部と、前記平坦部の内側に位置し、軸方向他方側に開口する収容凹部と、を有し、
前記平坦部は、各々の前記ボルトの位置において、前記蓋部材の外縁から内側に広がる幅広部を有し、
前記ハウジングの角部において、前記幅広部と前記回路基板とが軸方向に重なる、
請求項1からのいずれか1項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記ハウジングは平面視五角形状であり、前記出力シャフトが配置される前記第1角部と、前記第1角部に隣り合う前記第2角部および第3角部と、前記第2角部に隣り合う第4角部と、前記第3角部および前記第4角部に隣り合う第5角部と、を有し、
前記第4角部と前記第5角部は平面視で直角である、
請求項1からのいずれか1項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ部と、モータ部に連結される減速機構と、減速機構を介してモータ部の回転が伝達される出力部と、を備える電動アクチュエータが知られる。例えば、特許文献1には、車両用エンジンの電子スロットルに搭載される電動アクチュエータが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-050159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の電動アクチュエータでは、電動アクチュエータにより駆動されるシャフトが、モータの径方向外側に位置する。そのため、電動アクチュエータの平面寸法が、モータの径方向に大型化しやすい。
【0005】
本発明の一態様は、平面寸法が小型化された電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、軸方向に延びるモータシャフトを有するモータ部と、前記モータシャフトの軸方向一方側または軸方向他方側に連結される減速機構と、前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトを有する出力部と、前記モータ部、前記減速機構、および前記出力部を収容するハウジングと、を備え、前記モータシャフトと前記出力シャフトとは、前記モータシャフトの径方向に離れて配置され、前記ハウジングは、軸方向一方側に開口する平面視多角形状のハウジング本体と、前記ハウジング本体の軸方向一方側の開口部に固定される蓋部材と、を有し、前記出力シャフトは、前記ハウジングの第1角部に位置し、前記蓋部材と前記ハウジング本体とは、前記蓋部材を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結され、前記複数のボルトは、前記第1角部以外の前記ハウジングの各々の角部に位置する複数の角部ボルトと、前記第1角部と前記第1角部に隣り合う第2角部との中間に位置する中間位置ボルトと、を含み、前記中間位置ボルトは、平面視において、前記第1角部と前記第2角部とを結ぶ辺縁よりも平面中心側、かつ、前記出力シャフトの中心と前記第2角部とを結ぶ仮想線よりも外縁側に位置する、電動アクチュエータが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、平面寸法が小型化された電動アクチュエータが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の電動アクチュエータの斜視図である。
図2図2は、実施形態の電動アクチュエータの平面図である。
図3図3は、蓋部材を取り外した状態を示す斜視図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿う電動アクチュエータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す仮想軸である中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向である。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向の両方と直交する方向である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向Z」と呼び、X軸方向と平行な方向を「第1方向X」と呼び、Y軸方向と平行な方向を「第2方向Y」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0010】
本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当する。本実施形態において、平面視とは、軸方向に沿って上側または下側から観察することを意味する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1から図4に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。図4に示すように、電動アクチュエータ10は、モータ部40と、減速機構50と、出力部60と、回路基板70と、ハウジング11と、を備える。
【0012】
モータ部40は、モータシャフト41と、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ロータ本体42と、ステータ43と、モータ部用センサマグネット45と、マグネットホルダ46と、を有する。モータシャフト41は、軸方向Zに延びる。
【0013】
第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41を中心軸J1周りに回転可能に支持する。本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。
【0014】
モータシャフト41のうち第3ベアリング44cに支持される部分である偏心軸部41aは、中心軸J1と平行で中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
【0015】
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定される。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されるロータコアと、ロータコアの外周部に固定されるロータマグネットとを含む。
【0016】
ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に隙間を介して配置される。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコアと、複数のインシュレータと、複数のコイルとを含む。各々のコイルは、インシュレータを介してステータコアのティースに装着される。
【0017】
マグネットホルダ46は、中心軸J1を中心とする円環状である。マグネットホルダ46は、モータシャフト41の上側の端部における外周面に固定される。モータ部用センサマグネット45は、中心軸J1を中心とする円環板状である。モータ部用センサマグネット45の板面は、軸方向Zと直交する。モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46の上面のうち径方向外周縁部に固定される。これにより、モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46を介してモータシャフト41に取り付けられる。本実施形態において、モータ部用センサマグネット45は、回路基板70の下側の面と隙間を介して上下方向に対向する。
【0018】
減速機構50は、モータシャフト41の下側に連結される。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置される。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、を有する。なお、減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結されてもよい。
【0019】
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に拡がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア51は、モータシャフト41に第3ベアリング44cを介して接続される。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結される。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング44cはモータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2周りに相対的に回転可能に連結する。
【0020】
外歯ギア51は、外歯ギア51を軸方向Zに貫通する複数の孔51aを有する。複数の孔51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。孔51aの軸方向Zに沿って視た形状は、円形状である。
【0021】
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側を囲む。内歯ギア52の歯車部は、外歯ギア51の歯車部と噛み合う。内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52の外周部は、例えば正十二角形などの多角形状とされ、後述する第2蓋部材14に回転止めされた状態で固定される。
【0022】
出力ギア53は、出力ギア本体53aと、複数のピン53bと、を有する。出力ギア本体53aは、外歯ギア51および内歯ギア52の下側に配置される。出力ギア本体53aは、中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。出力ギア本体53aの径方向外側面には、歯車部が設けられる。出力ギア本体53aは、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続される。
【0023】
複数のピン53bは、出力ギア本体53aの上面から上側に突出する円筒状である。複数のピン53bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。ピン53bの外径は、孔51aの内径よりも小さい。複数のピン53bは、複数の孔51aのそれぞれに上側から通される。ピン53bの外周面は、孔51aの内周面と内接する。孔51aの内周面は、ピン53bを介して、外歯ギア51を中心軸J1周りに揺動可能に支持する。
【0024】
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部60は、モータ部40の径方向外側に配置される。出力部60は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、マグネットホルダ64と、を有する。
【0025】
出力シャフト61は、モータシャフト41の軸方向Zに延びる筒状である。このように、出力シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びるため、モータシャフト41の回転を出力シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。本実施形態において出力シャフト61は、仮想軸である出力中心軸J3を中心とする円筒状である。出力中心軸J3は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1から径方向に離れて配置される。すなわち、モータシャフト41と出力シャフト61とは、モータシャフト41の径方向に離れて配置される。
【0026】
出力シャフト61は、軸方向両側に開口する。出力シャフト61は、内周面に、図示しないスプライン溝を有する。出力シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置される。出力シャフト61には、下側から被駆動シャフトDSが挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、出力シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト61と被駆動シャフトDSとが連結される。被駆動シャフトDSには、出力シャフト61を介して電動アクチュエータ10の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ10は、被駆動シャフトDSを出力中心軸J3周りに回転させる。
【0027】
駆動ギア62は、出力シャフト61に固定され出力ギア53と噛み合う。本実施形態において駆動ギア62は、出力シャフト61の外周面に固定される。駆動ギア62は、出力シャフト61から出力ギア53に向かって延びる。駆動ギア62は、平面視で扇形のギアである。駆動ギア62は、出力ギア53側の端部に歯車部を有する。駆動ギア62の歯車部は、出力ギア53の歯車部と噛み合う。
【0028】
マグネットホルダ64は、出力中心軸J3を中心として軸方向Zに延びる略円筒状の部材である。マグネットホルダ64は、軸方向両側に開口する。マグネットホルダ64は、出力シャフト61の上側に配置される。本実施形態の場合、マグネットホルダ64は、モータ部40の第4ベアリング44dの径方向外側に配置される。マグネットホルダ64は、軸方向Zに見て、回路基板70と部分的に重なる。マグネットホルダ64は、回路基板70よりも下側に配置される。マグネットホルダ64を軸方向Zに貫通して、被駆動シャフトDSの上端部が圧入される。これにより、マグネットホルダ64は、被駆動シャフトDSに固定される。
【0029】
出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3を中心とする円環状である。出力部用センサマグネット63は、マグネットホルダ64の上面の外周部に固定される。被駆動シャフトDSにマグネットホルダ64が固定されることで、出力部用センサマグネット63は、マグネットホルダ64を介して被駆動シャフトDSに固定される。出力部用センサマグネット63は、回路基板70の下側の面と隙間を介して対向する。
【0030】
被駆動シャフトDSの上端部は、マグネットホルダ64の上側に突出する。被駆動シャフトDSの上端部は、回路基板70の側端面を通過して回路基板70よりも上側に突出する。被駆動シャフトDSの上端部には、工具を嵌合可能な操作部OPが設けられる。操作部OPは、例えば、出力中心軸J3に沿って延びる四角柱状または六角柱状とされる。
【0031】
モータシャフト41が中心軸J1周りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、孔51aの内周面とピン53bの外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
【0032】
ここで、本実施形態では、内歯ギア52は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2周りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2周りの回転は、孔51aとピン53bとを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1周りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
【0033】
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う駆動ギア62が出力中心軸J3周りに回転する。これにより、駆動ギア62に固定された出力シャフト61が出力中心軸J3周りに回転する。このようにして、出力シャフト61には、減速機構50を介してモータシャフト41の回転が伝達される。
【0034】
回路基板70は、モータ部40および出力部60よりも上側に配置される。回路基板70は、板面が軸方向Zと直交する板状である。回路基板70の軸方向Zに沿って視た形状は、図3に示すように、概ね正方形状である。回路基板70の4つの角部は、四角形状に切り欠かれる。回路基板70は、ステータ43のコイルから上側へ引き出される引出線43aと接続される。すなわち、回路基板70は、モータ部40と電気的に接続される。
【0035】
図4に示すように、モータ部センサ71は、回路基板70の下面に固定される。より詳細には、モータ部センサ71は、回路基板70の下側の面のうちモータ部用センサマグネット45と隙間を介して軸方向Zに対向する部分に固定される。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出する磁気センサである。モータ部センサ71は、例えば、ホール素子である。モータ部センサ71は、本実施形態では、周方向に沿って3つ設けられる。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出することでモータ部用センサマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
【0036】
出力部センサ72は、回路基板70の下面に固定される。より詳細には、出力部センサ72は、回路基板70の下側の面のうち出力部用センサマグネット63と隙間を介して軸方向Zに対向する部分に固定される。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出する磁気センサである。出力部センサ72は、例えば、ホール素子である。図示は省略するが、出力部センサ72は、例えば、出力中心軸J3を中心とする周方向に沿って3つ設けられる。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して被駆動シャフトDSの回転を検出する。
【0037】
ハウジング11は、モータ部40、減速機構50、出力部60、および回路基板70を収容する。ハウジング11は、上側に開口する平面視多角形状のハウジング本体12と、ハウジング本体12の上側の開口部12aに固定される第1蓋部材13と、ハウジング本体12の下側の開口部12bに固定される第2蓋部材14と、を有する。
【0038】
ハウジング本体12は、電動アクチュエータ10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に固定されるモータ保持部32および出力シャフト保持部33と、を有する。外壁部30は、本実施形態では、軸方向Zに見て五角形の角筒状である。外壁部30の上側の開口部が、ハウジング本体12の上側の開口部12aである。底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁31aが設けられる。筒状壁31aに囲まれる開口部が、ハウジング本体12の下側の開口部12bである。モータ保持部32および出力シャフト保持部33は、底壁部31の上面に固定される。
【0039】
モータ保持部32は、頂壁32aを有し、下側に開口する筒状である。モータ保持部32は、モータ部40を内側に保持する。モータ保持部32は、径方向に広がる円板状の頂壁32aと、頂壁32aの径方向外側の端部から下側に延びる筒部32bとを有する。筒部32bの下端は底壁部31に固定される。筒部32bの内周面にモータ部40のステータ43が固定される。
【0040】
モータ保持部32は、軸方向Zに見て、頂壁32aの中央にベアリング保持部32cを有する。ベアリング保持部32cは、軸方向Zに沿って延びる円筒状である。ベアリング保持部32cの内周面に、第2ベアリング44bが保持される。
【0041】
モータ保持部32の下向きの開口部に、減速機構50が配置される。第2蓋部材14は、減速機構50を下側から覆う。第2蓋部材14は、本実施形態では金属製である。第2蓋部材14は、中心軸J1を中心とする円筒状の内側筒部14aと、中心軸J1を中心とする角筒状の外側筒部14bと、ハウジング本体12に固定される固定筒部14cと、内側筒部14aの下側の端部に位置する底壁部14dと、出力部60と軸方向Zに重なる開口部14eと、を有する。
【0042】
内側筒部14aは、外側筒部14bよりも内径が小さく、外側筒部14bよりも下側に位置する。内側筒部14aの径方向内側には、第1ベアリング44aが保持される。したがって、モータシャフト41は、第2蓋部材14に保持される第1ベアリング44aと、モータ保持部32に保持される第2ベアリング44bとによって、軸周りに回転可能に支持される。
【0043】
第1ベアリング44aと底壁部14dとの軸方向Zの間には、予圧部材47が配置される。すなわち、電動アクチュエータ10は、予圧部材47を備える。予圧部材47は、周方向に沿って延びる円環状のウェーブワッシャである。予圧部材47は、底壁部14dの上側の面と第1ベアリング44aの外輪の下側の端部とに接触する。予圧部材47は、第1ベアリング44aの外輪に対して上向きの予圧を加える。
【0044】
外側筒部14bの径方向内側には、内歯ギア52が保持される。これにより、減速機構50は、第2蓋部材14を介してハウジング11の底部に保持される。
固定筒部14cは、ハウジング本体12の筒状壁31aの外周面に固定される。これにより、第2蓋部材14がハウジング本体12に固定される。
【0045】
出力シャフト保持部33は、軸方向Zに沿って延びる円筒状である。出力シャフト保持部33の側面の一部は、モータ保持部32の側面に固定される。出力シャフト保持部33の下端は、底壁部31に固定される。出力シャフト保持部33は、出力シャフト保持部33を軸方向Zに貫通する貫通孔33aを有する。貫通孔33aの内側には、円筒状のブッシュ65が嵌め合わされる。
【0046】
ブッシュ65は、下側の端部に出力中心軸J3を中心とする径方向の外側に突出するフランジ部を有する。ブッシュ65のフランジ部は、駆動ギア62に上面によって下側から支持される。ブッシュ65の内側には、出力シャフト61が嵌め合わされる。ブッシュ65は、出力シャフト61を出力中心軸J3周りに回転可能に支持する。出力シャフト61は、出力シャフト61の外周面から径方向外側に広がるフランジ部61bを有する。フランジ部61bは、第2蓋部材14により下側から支持される。出力シャフト61の下側の端部は、第2蓋部材14の開口部14eを通じて下側に露出する。
【0047】
図2から図4に示すように、ハウジング本体12の上側の開口部12aに、回路基板70が収容される。開口部12aに、回路基板70を上側から覆う第1蓋部材13が取り付けられる。ハウジング本体12および第1蓋部材13は、軸方向Zに沿って見て五角形状である。すなわち、ハウジング11およびハウジング本体12は、平面視多角形状である。またハウジング11およびハウジング本体12は、平面視五角形状である。
【0048】
ハウジング11は、第1角部C1、第2角部C2、第3角部C3、第4角部C4、および第5角部C5の5つの角部を有する。本実施形態の場合、第1蓋部材13の外縁は、軸方向Zに見て、ハウジング本体12の外縁と重なって配置される。第1蓋部材13の形状は、ハウジング本体12の外縁形状と異なる形状であってもよい。
【0049】
ハウジング本体12は、図3に示すように、ほぼ正方形の回路基板70を収容する正方形部分P1と、正方形部分P1の一辺から側方に突出する三角形部分P2とを有する。正方形部分P1は、第2角部C2、第4角部C4、第5角部C5、および第3角部C3を順に結ぶほぼ正方形状の部分である。三角形部分P2は、第1角部C1、第2角部C2、および第3角部C3を順に結ぶ三角形状の部分である。
【0050】
回路基板70は、開口部12aの平面領域のうち、正方形部分P1に位置する平面領域に配置される。本実施形態では、回路基板70は、軸方向Zに見た中央部に位置する2本のボルト96、97により、モータ保持部32の頂壁32aに締結される。
【0051】
回路基板70の第1方向Xに沿う二辺と第2方向Yに沿う一辺は、それぞれ、開口部12aの第1方向Xに沿う二辺および第2方向Yに沿う一辺に近接して配置される。ハウジング本体12の三角形部分P2には、出力部60の一部が配置される。より詳細には、ハウジング本体12のうち、正方形部分P1から第1方向Xに沿う側方に突出する第1角部C1の部分に、出力シャフト61、出力部用センサマグネット63、およびマグネットホルダ64が配置される。すなわち、出力シャフト61は、ハウジング11の第1角部C1に位置する。
【0052】
このように、軸方向Zに沿って視て多角形状のハウジング本体12の角部に出力シャフト61が配置されることで、モータシャフト41と出力シャフト61とを径方向に離して配置した場合であっても、電動アクチュエータ10全体を小型化しやすい。したがって、本実施形態によれば、モータシャフト41と出力シャフト61とが径方向に離れて配置され、かつ、径方向に小型化できる構造を有する電動アクチュエータ10が得られる。
【0053】
また本実施形態では、第4角部C4と第5角部C5は軸方向Zに見て直角である。すなわち、出力シャフト61が設けられる第1角部C1は、矩形の一辺を外側に突出させた角部である。この構成によれば、ハウジング本体12のうち、出力シャフト61が配置されない平面視矩形状の領域に回路基板70を配置できるので、回路基板70の面積を大きく確保できる。回路基板70が矩形状であることにより、電子部品等の実装において制限が少なくなる。また、第1角部C1は、第1方向Xにのみ突出するので、ハウジング本体12の第2方向Yに沿う方向の長さが大きくならない。したがって、ハウジング11は、小型であり、かつ外部装置への設置がしやすい形状となる。
【0054】
図3に示すように、ハウジング本体12の開口部12aのうち、回路基板70が配置されない平面領域に、出力部用センサマグネット63およびマグネットホルダ64の一部が露出する。この構成により、マグネットホルダ64を貫通する被駆動シャフトDSの先端部を回路基板70の上側へ配置可能である。
【0055】
ハウジング本体12の上側の端部において、回路基板70、出力部用センサマグネット63およびマグネットホルダ64が配置されない領域に、第1蓋部材13を下側から支持する支持面部121~125が設けられる。支持面部121~125は、軸方向Zに直交する方向に広がる平坦面である。
【0056】
第1蓋部材13は、下側に開口する容器状の金属部材である。第1蓋部材13とハウジング本体12とは、第1蓋部材13を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結される。ハウジング本体12と第1蓋部材13を締結する複数のボルトは、第1角部C1と第1角部C1に隣り合う第2角部C2との中間に位置する中間位置ボルト91と、第1角部C1以外のハウジング11の第2角部C2、第3角部C3、第4角部C4、および第5角部C5に位置する複数の角部ボルト92~95と、を含む。
【0057】
第1蓋部材13は、図1および図4に示すように、ハウジング本体12の開口部12aに沿って延びる枠状の平坦部13aと、平坦部13aの内側に位置し、下側に開口する収容凹部13bと、を有する。本実施形態の場合、第1蓋部材13は板金製であり、収容凹部13bが設けられる部分の第1蓋部材13の上面は、平坦部13aよりも上側に突出する。収容凹部13bが設けられることにより、第1蓋部材13の剛性が高くなる。
【0058】
図4に示すように、収容凹部13bには、回路基板70の上面に実装される電子部品および被駆動シャフトDSの操作部OPが収容される。収容凹部13bには、例えば、キャパシタ73およびトランジスタ74が収容される。
【0059】
平坦部13aに、第1蓋部材13とハウジング本体12とを締結するボルトが通される貫通孔(図示省略)が設けられる。図3に示すように、平坦部13aは、開口部12a内に位置する支持面部121~125の上面に配置される。中間位置ボルト91および角部ボルト92~95は、支持面部121~125に設けられるネジ穴に締め込まれる。
【0060】
図2に示すように、第1蓋部材13の平坦部13aは、各々のボルトの位置において、第1蓋部材13の外縁から内側に広がる幅広部191~195を有する。
本実施形態において、中間位置ボルト91の周囲の幅広部191と、収容凹部13bとの境界線は、中間位置ボルト91を部分的に囲む円弧状である。第2角部C2の角部ボルト92の周囲の幅広部192と収容凹部13bとの境界線は、角部ボルト92の位置で屈曲する形状である。第3角部C3の角部ボルト93の周囲の幅広部193と収容凹部13bとの境界線は、角部ボルト93の位置で屈曲する形状である。第4角部C4の角部ボルト94の周囲の幅広部194と収容凹部13bとの境界線は、第4角部C4の両側の辺縁とほぼ45°で交差する直線形状である。第5角部C5の角部ボルト95の周囲の幅広部195と収容凹部13bとの境界線は、第5角部C5の両側の辺縁とほぼ45°で交差する直線形状である。
【0061】
図3に示すように、ハウジング11の第2角部C2~第5角部C5に位置する幅広部192~195は、それぞれ、支持面部122~125上に配置される。幅広部192~195の平面領域は、軸方向Zに見て、支持面部122~125の平面領域よりも大きい。したがって、本実施形態では、ハウジング11の第2角部C2~第5角部C5において、幅広部191~195と回路基板70の角に位置する端部とが軸方向Zに重なる。
【0062】
上記構成により、第1蓋部材13とハウジング本体12とによって、回路基板70の外縁部分を軸方向Zに挟んで固定できる。また、回路基板70の中央部は、2本のボルト96、97により固定される。これにより、回路基板70の中央部が固定され、且つ外縁部が位置規制されるため、動作時に回路基板70がハウジング11内で振動するのを抑制できる。その結果、電動アクチュエータ10の振動音および回路基板70の故障が抑制される。また、少ないボルトで、回路基板70を安定して固定できる。
【0063】
図2に示すように、中間位置ボルト91は、軸方向Zに見て、第1角部C1と第2角部C2とを結ぶ辺縁11aよりもハウジング11の中心側、かつ、出力シャフト61の中心である出力中心軸J3と第2角部C2の角部ボルト92とを結ぶ仮想線Aよりもハウジング11の外縁側に位置する。
この構成によれば、第1角部C1にボルトが配置されず、中間位置ボルト91の締結位置は、第1角部C1よりも外側に突出しない。したがって、ハウジング11の大型化が抑制される。また、第1角部C1の近傍に中間位置ボルト91が配置されるため、第1角部C1の周辺をボルト締結しない場合よりも、第1蓋部材13とハウジング本体12との間の封止性が良好になる。
【0064】
本実施形態では、出力シャフト61の中心である出力中心軸J3は、軸方向Zに見て、第2角部C2の角部ボルト92と第3角部C3の角部ボルト93とを結ぶ仮想線Bよりもハウジング11の外縁側に位置する。
この構成によれば、出力シャフト61の第2方向Yにおける両側部分が、第1方向Xにおいて、第1角部C1よりもハウジング11の側方へ突出しない。これにより、ハウジング11の容積を小さくできる。
【0065】
本実施形態では、出力シャフトの中心である出力中心軸J3は、軸方向Zに見て、第3角部C3の角部ボルト93と中間位置ボルト91とを結ぶ仮想線Dよりもハウジング11の外縁側に位置する。
この構成によれば、中間位置ボルト91が、出力シャフト61よりもハウジング11の側方へ突出しない。これにより、中間位置ボルト91を設けることによるハウジング11の容積拡大が抑制される。
【0066】
本実施形態では、出力シャフト61は、第2角部C2と第3角部C3との中間位置よりも第3角部C3側に位置する。また中間位置ボルト91は、第1角部C1と第2角部C2との中間位置よりも第1角部C1側に位置する。
この構成によれば、出力シャフト61の近くに、中間位置ボルト91と角部ボルト93とが配置される。これにより、出力シャフト61の周辺における第1蓋部材13とハウジング本体12との封止性を高めることができる。
【0067】
第1蓋部材13は、出力シャフト61の上側に位置する開口部13cを有する。開口部13cには、取り外し可能なキャップ15が取り付けられる。キャップ15は、例えばゴム製である。キャップ15を取り外すことにより、開口部13cを介して、操作部OPに工具を接続可能となる。
【0068】
図1および図2に示すように、電動アクチュエータ10は、ハウジング本体12の側面から外側へ突出するコネクタ部81を有する。コネクタ部81は、外部装置が接続される部分である。外部装置は、例えば、モータ部40に電源を供給する電源装置等である。
図2に示すように、コネクタ部81は、軸方向Zに沿って視て、ハウジング11よりも外側に突出する。コネクタ部81は、ハウジング11から径方向外側へ延びる先端側に開口する筒状である。
【0069】
上述した実施形態の電動アクチュエータの用途は、特に限定されず、車両以外に搭載されてもよい。また、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0070】
10…電動アクチュエータ、11…ハウジング、11a…辺縁、12…ハウジング本体、12a,12b,13c,14e…開口部、13a…平坦部、13b…収容凹部、40…モータ部、41…モータシャフト、50…減速機構、60…出力部、61…出力シャフト、70…回路基板、91…中間位置ボルト、92,93,94,95…角部ボルト、191,192,193,194,195…幅広部、A,B,D…仮想線、C1…第1角部、C2…第2角部、C3…第3角部、C4…第4角部、C5…第5角部、Z…軸方向
図1
図2
図3
図4