(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220621BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220621BHJP
G10L 13/00 20060101ALI20220621BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B41J29/38 202
G03G21/00 376
G03G21/00 386
G10L13/00 100C
H04N1/00 C
H04N1/00 L
(21)【出願番号】P 2018093209
(22)【出願日】2018-05-14
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】チッパソン ブンター
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-095984(JP,A)
【文献】特開2003-108182(JP,A)
【文献】特開2003-131773(JP,A)
【文献】特開平11-309924(JP,A)
【文献】特開2007-140376(JP,A)
【文献】特開2011-040046(JP,A)
【文献】米国特許第06243682(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
H04N 1/00
G03G 21/00
G10L 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示に従ってジョブの動作条件を設定する設定手段と、
ジョブの動作条件についての
、ユーザー毎に設定された1個または複数個のデフォルト値を記憶するとともに、少なくとも何れかの前記デフォルト値が変更されたときは変更内容を記憶する記憶手段と、
前記ジョブの実行前に、前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示の内容を含む音声による確認用のメッセージを、音声出力装置から出力させる制御手段と、
前記ジョブの実行前に、
ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかの前記デフォルト値が変更されているかどうかを判断する判断手段と、
を備え、
前記判断手段により前記デフォルト値が変更されていると判断されたときは、前記制御手段は、デフォルト値が変更された内容も含めて前記メッセージを前記音声出力装置から出力させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示に従ってジョブの動作条件を設定する設定手段と、
ジョブの動作条件についての
、ユーザー毎に設定された1個または複数個のデフォルト値を記憶する記憶手段と、
前記ジョブの実行前に、前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示の内容を含む音声による確認用のメッセージを、音声出力装置から出力させる制御手段と、
前記ジョブの実行前に、自装置の状態に起因して
、ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかの前記デフォルト値を使用できない状態かどうかを判断する判断手段と、
を備え、
前記判断手段により、自装置の状態に起因して少なくとも何れかの前記デフォルト値を使用できない状態と判断されたときは、前記制御手段は、デフォルト値を使用できない内容も含めて前記メッセージを前記音声出力装置から出力させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示が、少なくとも何れかの前記デフォルト値を変更する設定指示である場合、前記制御手段は、デフォルト値が既に変更されていてもデフォルト値が変更された内容を含めることなく前記メッセージを前記音声出力装置から出力させる請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記デフォルト値が複数回に亘って変更された場合、前記記憶手段は、変更内容を上書きすることにより最新の変更内容のみを記憶する請求項1または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記音声出力
装置による前記メッセージの出力後に、前記ユーザーにより、デフォルト値から変更された設定値を元のデフォルト値に変更する設定指示が音声により行われ、この設定指示に従って前記設定手段により設定値が元のデフォルト値に変更されたときは、当該ジョブについてその後に前記ユーザーによりジョブの動作条件の設定指示が行われても、前記制御手段は、デフォルト値が変更された内容を含めることなく前記メッセージを前記音声出力装置から出力させる請求項1、3または4の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
自装置の状態に起因する前記デフォルト値を使用できない状態が解除された場合、前記制御手段は、使用可能となった前記デフォルト値を反映して前記メッセージを前記音声出力装置に出力させる請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記音声入力装置と前記音声出力装置の少なくとも一方は、自装置以外の外部装置により構成されている請求項1~
6の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
ジョブの動作条件についての
、ユーザー毎に設定された1個または複数個のデフォルト値を記憶する記憶手段を備えた画像処理装置のコンピュータに、
音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられたジョブの動作条件の設定指示に従ってジョブの動作条件を設定する設定ステップと、
少なくとも何れかの前記デフォルト値が変更されたときは前記記憶手段に変更内容を記憶させる記憶ステップと、
前記ジョブの実行前に、前記受付ステップにより受け付けられたジョブの動作条件の設定指示の内容を含む確認用の第1のメッセージを、音声出力装置から音声により出力させる制御ステップと、
前記ジョブの実行前に、
ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかの前記デフォルト値が変更されているかどうかを判断する判断ステップと、
を実行させ、
前記判断ステップにより前記デフォルト値が変更されていると判断されたときは、前記制御ステップでは、デフォルト値が変更された内容も含めて前記第1のメッセージを前記音声出力装置から出力させる処理を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
ジョブの動作条件についての
、ユーザー毎に設定された1個又は複数個のデフォルト値を記憶する記憶手段を備えた画像処理装置のコンピュータに、
音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップにより受け付けられたジョブの動作条件の設定指示に従ってジョブの動作条件を設定する設定ステップと、
前記ジョブの実行前に、前記受付ステップにより受け付けられたジョブの動作条件の設定指示の内容を含む音声による確認用のメッセージを、音声出力装置から出力させる制御ステップと、
前記ジョブの実行前に、自装置の状態に起因して少なくとも何れかの前記デフォルト値を使用できない状態かどうかを判断する判断ステップと、
を実行させ、
前記判断ステップにより、自装置の状態に起因して
、ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかの前記デフォルト値を使用できないと判断されたときは、前記制御ステップでは、デフォルト値を使用できない内容も含めて前記メッセージを前記音声出力装置から出力させる処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタあるいはMFP(Multi Function Peripheral)と称される多機能デジタル複合機等の画像処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような画像処理装置として、音声を入力可能なマイク等の音声入力装置を介してユーザーの音声によりジョブの動作条件の設定指示が可能な装置が、従来より知られている。
【0003】
音声入力によりジョブの動作条件の設定指示を行う場合、動作条件の全てを指示するのではなく、一部の動作条件のみを音声入力し、音声入力されなかった動作条件についてはデフォルト値が採用されるのが通常である。
【0004】
また、音声入力による設定指示に従って画像処理装置が動作条件を設定したときは、ジョブの実行の前に、設定指示された動作条件の内容を含む音声によるメッセージをスピーカー等の音声出力装置を介して出力し、ユーザーに確認してもらうことも行われている。例えば、「2部コピー」と音声により指示したときは「2部コピーですね?」というような音声メッセージが音声出力装置から出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-66500号公報
【文献】特開2007-140376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ジョブの動作条件のデフォルト値は常に固定値であるとは限らず、例えば管理者や他のユーザーにより爾後的に変更されることがある。
【0007】
しかし、前述したように従来では、ユーザーが設定指示しなかった動作条件についてはデフォルト値が採用され、このデフォルト値は動作条件の確認のためのメッセージには含まれないことから、ユーザーがデフォルト値が変更されていることに気づかないままジョブが実行されてしまい、ユーザーの意図した実行結果が得られず、ミスコピー等につながってしまうという問題がある。
【0008】
また、自装置の状態に起因してデフォルト値を使用できない場合もある。例えばA4サイズの用紙がデフォルト値である場合に、給紙トレイにA4サイズの用紙が無い場合である。この場合も、ユーザーはデフォルト値を使用できないことに気付かず、他の用紙サイズでジョブが実行されてしまい、ユーザーの意図した実行結果が得られない、という問題がある。
【0009】
なお、上記特許文献1には、画像形成動作や画像読取動作に関する設定を容易にして設定ミスを減らし、且つ不注意による設定ミスを減らすことを目的として、制御部13が、設定記憶部12に記憶された画像形成動作に関する設定の使用頻度を算出し、その算出した使用頻度が高い設定と異なる設定を検出した場合に、画像形成部14が画像形成動作を実行する前に設定の確認を促す情報をアナウンス出力部15によって外部へ出力させ、また、設定記憶部12に記憶された画像読取動作に関する設定の使用頻度を算出し、その算出した使用頻度が高い設定と異なる設定を検出した場合に、画像読取部が画像読取動作を実行する前に設定の確認を促す情報をアナウンス出力部15によって外部へ出力させる画像処理装置が提案されている。
【0010】
また、上記特許文献2には、ユーザによる設定変更忘れ等による誤設定を防ぐために、設定内容に関する情報を、ユーザに対して必要な設定情報を効率的かつ網羅的に音声出力することを目的として、予め設定された複数の設定値を指示入力操作に基づいて変更する設定変更手段101と、前記設定変更を検出する設定変更検出手段102と、前記設定変更の検出結果に基づいて設定情報を音声出力する優先度を決定する音声出力優先度決定手段103と、前記優先度に従って設定情報を音声出力する音声出力手段104とを備える画像処理装置が提案されている。
【0011】
しかしながら、これらの特許文献によっても、音声入力によりジョブの動作条件の設定指示を行う場合に、ユーザーがデフォルト値が変更されていることやデフォルト値を使用できないことに気づかないままジョブが実行されてしまい、ユーザーの意図したジョブの実行結果が得られないという上述した問題を解決することはできない。
【0012】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、音声入力によりジョブの動作条件の設定指示を行う画像処理装置において、デフォルト値が変更されていたり、画像処理装置の状態に起因してデフォルト値を使用できない場合に、ユーザーが意図したジョブの実行結果が得られないという問題を解消できる画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、以下の手段によって達成される。
(1)音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示に従ってジョブの動作条件を設定する設定手段と、ジョブの動作条件についての、ユーザー毎に設定された1個または複数個のデフォルト値を記憶するとともに、少なくとも何れかの前記デフォルト値が変更されたときは変更内容を記憶する記憶手段と、前記ジョブの実行前に、前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示の内容を含む音声による確認用のメッセージを、音声出力装置から出力させる制御手段と、前記ジョブの実行前に、ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかの前記デフォルト値が変更されているかどうかを判断する判断手段と、を備え、前記判断手段により前記デフォルト値が変更されていると判断されたときは、前記制御手段は、デフォルト値が変更された内容も含めて前記メッセージを前記音声出力装置から出力させることを特徴とする画像処理装置。
(2)音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示に従ってジョブの動作条件を設定する設定手段と、ジョブの動作条件についての、ユーザー毎に設定された1個または複数個のデフォルト値を記憶する記憶手段と、前記ジョブの実行前に、前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示の内容を含む音声による確認用のメッセージを、音声出力装置から出力させる制御手段と、前記ジョブの実行前に、自装置の状態に起因して、ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかの前記デフォルト値を使用できない状態かどうかを判断する判断手段と、を備え、前記判断手段により、自装置の状態に起因して少なくとも何れかの前記デフォルト値を使用できない状態と判断されたときは、前記制御手段は、デフォルト値を使用できない内容も含めて前記メッセージを前記音声出力装置から出力させることを特徴とする画像処理装置。
(3)前記受付手段により受け付けられたジョブの動作条件の設定指示が、少なくとも何れかの前記デフォルト値を変更する設定指示である場合、前記制御手段は、デフォルト値が既に変更されていてもデフォルト値が変更された内容を含めることなく前記メッセージを前記音声出力装置から出力させる前項1に記載の画像処理装置。
(4)前記デフォルト値が複数回に亘って変更された場合、前記記憶手段は、変更内容を上書きすることにより最新の変更内容のみを記憶する前項1または3に記載の画像処理装置。
(5)前記音声出力手段による前記メッセージの出力後に、前記ユーザーにより、デフォルト値から変更された設定値を元のデフォルト値に変更する設定指示が音声により行われ、この設定指示に従って前記設定手段により設定値が元のデフォルト値に変更されたとき
は、当該ジョブについてその後に前記ユーザーによりジョブの動作条件の設定指示が行われても、前記制御手段は、デフォルト値が変更された内容を含めることなく前記メッセージを前記音声出力装置から出力させる前項1、3または4の何れかに記載の画像処理装置。
(6)自装置の状態に起因する前記デフォルト値を使用できない状態が解除された場合、前記制御手段は、使用可能となった前記デフォルト値を反映して前記メッセージを前記音声出力装置に出力させる前項2に記載の画像処理装置。
(7)前記音声入力装置と前記音声出力装置の少なくとも一方は、自装置以外の外部装置により構成されている前項1~6の何れかに記載の画像処理装置。
(8)ジョブの動作条件についての、ユーザー毎に設定された1個または複数個のデフォルト値を記憶する記憶手段を備えた画像処理装置のコンピュータに、音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付ける受付ステップと、前記受付ステップにより受け付けられたジョブの動作条件の設定指示に従ってジョブの動作条件を設定する設定ステップと、少なくとも何れかの前記デフォルト値が変更されたときは前記記憶手段に変更内容を記憶させる記憶ステップと、前記ジョブの実行前に、前記受付ステップにより受け付けられたジョブの動作条件の設定指示の内容を含む確認用の第1のメッセージを、音声出力装置から音声により出力させる制御ステップと、前記ジョブの実行前に、ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかの前記デフォルト値が変更されているかどうかを判断する判断ステップと、を実行させ、前記判断ステップにより前記デフォルト値が変更されていると判断されたときは、前記制御ステップでは、デフォルト値が変更された内容も含めて前記第1のメッセージを前記音声出力装置から出力させる処理を実行させるためのプログラム。
(9)ジョブの動作条件についての、ユーザー毎に設定された1個又は複数個のデフォルト値を記憶する記憶手段を備えた画像処理装置のコンピュータに、音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付ける受付ステップと、前記受付ステップにより受け付けられたジョブの動作条件の設定指示に従ってジョブの動作条件を設定する設定ステップと、前記ジョブの実行前に、前記受付ステップにより受け付けられたジョブの動作条件の設定指示の内容を含む音声による確認用のメッセージを、音声出力装置から出力させる制御ステップと、前記ジョブの実行前に、自装置の状態に起因して少なくとも何れかの前記デフォルト値を使用できない状態かどうかを判断する判断ステップと、を実行させ、前記判断ステップにより、自装置の状態に起因して、ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかの前記デフォルト値を使用できないと判断されたときは、前記制御ステップでは、デフォルト値を使用できない内容も含めて前記メッセージを前記音声出力装置から出力させる処理を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0014】
前項(1)に記載の発明によれば、音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーが音声によりジョブの動作条件の設定指示を行うと、これが受け付けられるとともに、受け付けられたジョブの動作条件の設定指示に従ってジョブの動作条件が設定される。また、ジョブの実行前に、受け付けられたジョブの動作条件の設定指示の内容を含む音声による確認用のメッセージが、音声出力装置から出力される。また、記憶手段にはジョブの動作条件についての、ユーザー毎に設定された1個または複数個のデフォルト値が記憶されており、少なくとも何れかのデフォルト値が変更されたときは変更内容も記憶手段に記憶される。
【0015】
そしてジョブの実行前に、ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されているデフォルト値が変更されているかどうかが判断され、変更されていると判断されたときは、デフォルト値が変更された内容も含めてメッセージが音声出力装置から出力される。
【0016】
このように、デフォルト値が変更されているときは、デフォルト値が変更された内容も含めてメッセージが音声により出力されるから、ユーザーはデフォルト値が変更されていることを認識することができる。従って、ユーザーは変更後の設定値が意図した値でなければ、この設定値を再度変更することができるから、ユーザーがデフォルト値の変更に気づかないままジョブが実行されてしまい、意図したジョブの実行結果が得られないという不都合を解消することができる。
【0017】
前項(2)に記載の発明によれば、自装置の状態に起因してデフォルト値を使用できない場合、デフォルト値を使用できない内容も含めてメッセージが音声出力装置から出力されるから、例えば給紙トレイにデフォルト値であるA4サイズの用紙がなくなっていてA4サイズの用紙を使用できないような場合に、ユーザーはそのことを認識することができ、デフォルト値を使用できない状態を解消するための措置を講ずることができる。その結果、ユーザーが意図したジョブの実行結果が得られないという不都合を解消することができる。
【0018】
前項(3)に記載の発明によれば、受け付けられたジョブの動作条件の設定指示が、少なくとも何れかのデフォルト値を変更する設定指示である場合、デフォルト値が既に変更されていても、デフォルト値が変更された内容を含めることなくメッセージが出力される。これによりユーザーへの無駄な通知を避けることができる。
【0019】
前項(4)に記載の発明によれば、デフォルト値が複数回に亘って変更された場合、変更内容を上書きすることにより最新の変更内容のみが記憶手段に記憶されるから、全ての変更内容が記憶される場合に較べ記憶手段における記憶領域の使用量が少なくて済む。
【0020】
前項(5)に記載の発明によれば、音声出力手段による前記第1のメッセージの出力後に、前記ユーザーにより、デフォルト値から変更された設定値を元のデフォルト値に変更する設定指示が音声により行われ、この設定指示に従って前記設定手段により設定値が元のデフォルト値に変更されたときは、ユーザーの意思によってデフォルト値が変更されたから、当該ジョブについて前記ユーザーによりジョブの動作条件の設定指示が行われても、デフォルト値が変更された内容を含めることなくメッセージの出力が行われる。これによりユーザーへの無駄な通知を避けることができる。
【0021】
前項(6)に記載の発明によれば、自装置の状態に起因する前記デフォルト値を使用できない状態が解除された場合、使用可能となったデフォルト値が反映されたメッセージが音声出力装置から出力されるから、ユーザーはデフォルト値が使用可能になったことを認識できる。
【0023】
前項(7)に記載の発明によれば、音声入力装置と前記音声出力装置の少なくとも一方を、自装置以外の外部装置により構成することができる。
【0024】
前項(8)に記載の発明によれば、音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付け、設定指示に従ってジョブの動作条件を設定し、ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかのデフォルト値が変更されているかどうかを判断し、変更されていると判断されたときは、デフォルト値が変更された内容も含めてメッセージを音声出力装置から出力させる処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【0025】
前項(9)に記載の発明によれば、音声を入力可能な音声入力装置を介してユーザーの音声により行われるジョブの動作条件の設定指示を受け付け、設定指示に従ってジョブの動作条件を設定し、自装置の状態に起因して、ジョブの動作条件の設定指示を行ったユーザーに設定されている少なくとも何れかのデフォルト値を使用できない状態かどうかを判断し、使用できない状態と判断されたときは、デフォルト値を使用できない内容も含めてメッセージを音声出力装置から出力させる処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明の一実施形態に係る画像処理装置が用いられた画像処理システムの構成図である。
【
図2】
図1に示した画像処理システムにおける画像処理装置と音声端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】画像処理装置の記憶装置に、ジョブ及びそのジョブの動作条件に関するデフォルト値が記憶されている状態を説明するための説明図図である。
【
図4】
図3に示したデフォルト値が変更された状態を説明するための説明図である。
【
図5】ユーザーが、デフォルト値が変更されていることを知らないまま、音声入力により動作条件の設定指示を行った場合の説明図である。
【
図6】確認用メッセージが発話された状態の説明図である。
【
図7】
図6のメッセージを聞いたユーザーが再度の設定指示を音声入力により行った状態の説明図である。
【
図8】再度の確認用メッセージが発話された状態の説明図である。
【
図9】ジョブの実行を指示する音声入力が行われた状態の説明図である。
【
図10】画像処理装置によるデフォルト値の記憶処理を示すフローチャートである。
【
図11】ユーザーの音声によるジョブの動作条件の設定指示を受けた画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図12】この発明の他の実施形態を説明するための図で、コピージョブの用紙サイズのデフォルト値であるA4用紙は残量がゼロであることを示す図である。
【
図13】確認用メッセージが発話された状態の説明図である。
【
図14】再度の確認用メッセージが発話された状態の説明図である。
【
図15】ジョブの実行を指示する音声入力が行われた状態の説明図である。
【
図16】画像処理装置によるデフォルト値の記憶処理を示すフローチャートである。
【
図17】ユーザーの音声によるジョブの動作条件の設定指示を受けた画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像処理装置としての画像形成装置1が用いられた画像処理システムの構成図である。この画像処理システムは、画像形成装置1の他に音声端末装置2を備えており、これらの画像形成装置1と音声端末装置2がネットワーク3を介して相互に接続されている。
【0029】
図2は、
図1に示した画像処理システムにおける画像形成装置1と音声端末装置2の構成を示すブロック図である。この実施形態では、画像形成装置1として、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、スキャン機能等を備えた多機能デジタル複合機である前述したMFPが用いられている。以下、画像形成装置をMFPともいう。
【0030】
図2に示すように、MFP1は、制御部100、記憶装置110、画像読取装置120、操作パネル130、画像出力装置140、プリンタコントローラ150及びネットワークインターフェイス(ネットワークI/F)160、無線通信インターフェース(無線通信I/F)170、認証部180等を備え、互いにシステムバス175を介して接続されている。
【0031】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、S-RAM(Static Random Access Memory)103、NV-RAM(Non Volatile RAM)104及び時計IC105等を備えている。
【0032】
CPU101は、ROM102等に保存されている動作プログラムを実行することにより、MFP1の全体を統括的に制御する。例えばコピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等を実行可能に制御する。更にこの実施形態では、音声端末装置2から入力されたユーザーの音声入力データをネットワークインターフェース160を介して受け付けると共に、この音声入力データを解析することにより、ユーザーによって設定指示されたジョブの動作条件である設定値を設定したり、設定が正しいかどうかをジョブの実行前にユーザーに確認させるためのメッセージを音声端末装置2から出力させるための音声出力データをネットワークインターフェース160を介して音声端末装置2に送信したり、ジョブの動作条件のデフォルト値が変更されているかどうかを判断したり、判断結果に基づいてメッセージの内容を変更する等の処理を行うが、詳細は後述する。
【0033】
ROM102は、CPU101が実行するプログラムやその他のデータを格納する。
【0034】
S-RAM103は、CPU101がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に保存する。
【0035】
NV-RAM104は、バッテリでバックアップされた不揮発メモリであり、画像形成に係わる各種の設定等を記憶するものである。
【0036】
時計IC105は、時刻を計時すると共に、内部タイマーとして機能し処理時間の計測等を行う。
【0037】
記憶装置110は、ハードディスク等からなり、プログラムや各種データ等を保存する。特にこの実施形態では、コピージョブ、プリントジョブ、ファクシミリ送信ジョブ、スキャンジョブ等の各種のジョブを実行するための動作条件のデフォルト値等が記憶されている。また、記憶装置110には、デフォルト値が他の設定値に変更されたときや、変更後の設定値がさらに変更されたときは、変更後の設定値を含む変更内容が記憶されるが、この実施形態では、最新の設定値を含む最新の変更内容に上書きされることにより、最新の変更内容のみが保持されるようになっている。
【0038】
画像読取装置120は、スキャナ等を備え、プラテンガラス上にセットされた原稿を走査することによって読み取り、読み取った原稿を画像データに変換する。
【0039】
操作パネル130は、ユーザーがMFP1へジョブ等の指示や各種設定を行う際に用いられるものであり、リセットキー131、スタートキー132、ストップキー133、表示部134及びタッチパネル135等を備えている。
【0040】
リセットキー131は、設定をリセットする際に使用されるものであり、スタートキー132はスキャン等の開始操作に使用されるものであり、ストップキー133は動作を中断する場合等に押下されるものである。
【0041】
表示部134は、例えば液晶表示装置からなりメッセージや各種の操作画面等を表示するものであり、タッチパネル135は表示部134の画面上に形成され、ユーザーのタッチ操作を検出する。
【0042】
画像出力装置140は、画像読取装置120で読み取られた原稿の画像データや、端末装置3から送信されたプリントデータから生成された複写画像を用紙上に印字し印刷物として出力するものである。
【0043】
プリンタコントローラ150は、ネットワークインターフェース160によって受信されたプリントデータから複写画像を生成するものである。
【0044】
ネットワークI/F160は、前述した音声端末装置2等の外部装置との間でネットワーク3を介してデータの送受信を行う通信手段として機能し、無線通信I/F170は近距離無線通信により外部装置と通信を行うためのインターフェースである。
【0045】
認証部180はログインするユーザーの認証用情報を取得し、この認証用情報を予め固定記憶装置110等に保存されている照合用の情報と比較照合して認証を行うものである。なお、ユーザーの認証用情報と照合用の情報との比較照合は、外部の認証サーバーにより行い、認証部180が認証サーバーから認証結果を受信することにより認証が行われても良い。
【0046】
音声端末装置2は音声入力装置として機能するマイク部21と、音声出力装置として機能するスピーカー部22を備えている。マイク部21は、入力された音声データをネットワーク3を介してMFP1に送信し、スピーカー部22はMFP1からネットワーク3を介して送信されてきた音声データを音声として出力(発話)させる。
【0047】
なお、音声端末装置2のマイク部21に入力されたユーザーの音声は、MFP1で解析されるものとしたが、図示しない解析サーバー等の外部装置でキーワード等に解析されて、MFP1は解析サーバーから解析結果のデータを受信して受け付ける構成としても良い。
[第1の実施形態]
次に、この発明の第1の実施形態として、ユーザーが音声端末装置2を介して音声によりMFP1に対してジョブの実行を指示する時のMFP1の動作を説明する。
【0048】
図3のテーブルT1に示すように、MFP1の記憶装置110には、例えば管理者等により、ジョブ及びそのジョブの動作条件に関して予めデフォルト値が記憶されている。
図3の例では、デェフォルトのジョブとしてコピージョブが設定されている。従って、ユーザーが音声によりジョブの種類を指定しなければ、コピージョブが実行されることになる。
【0049】
また、コピージョブの動作条件のデフォルト値として、例えば、用紙サイズ:A4、部数:1、カラーモード:カラー、出力:両面、ステープル(の位置):左上、が予め設定されている。
【0050】
この状態で、管理者や他のユーザーにより、上記1個又は複数個のデフォルト値のうち、少なくとも1個のデフォルト値が変更されあるいは変更後の設定値がさらに他の設定値に更に変更されることがある。この場合、
図4のテーブルT1に示すように、デフォルト値が変更後の設定値で上書きされ、さらにテーブルT2に示すように、変更された日時、変更者、変更内容が記憶される。
図4に示す例では、用紙サイズがデフォルト値であるA4からA3に変更され、出力がデフォルト値である両面から片面に変更されている。これにより、制御部100のCPU101は、デフォルト値であるA4サイズが現在A3サイズに変更されていることを認識できる。
【0051】
なお、同じユーザーあるいは他のユーザーにより、例えば用紙サイズが変更後の設定値であるA3からさらにB4に変更された場合、
図4のテーブルT1の用紙サイズの項目がB4に上書きされると共に、テーブルT2の上段の欄における日付、変更者が上書きされ、さらに変更内容の項目において「A4→B4」に上書きされる。
【0052】
このように、デフォルト値が複数回に亘って変更された場合には、変更内容が上書きされることにより、最新の変更内容のみが記憶装置110に記憶保持されるから、全ての変更内容が記憶される場合に較べ記憶装置110における記憶領域の使用量を可及的に少なくすることができる。
【0053】
その後、別のユーザーがコピージョブを実行する際に、デフォルト値が変更されていることを知らないまま、
図5に示すように、音声端末装置2のマイク部21を介して音声入力により「2部コピー」と動作条件の設定指示を行ったとする。
【0054】
従来では、MFP1は例えば「2部コピーしていいですか?」といった確認用のメッセージを音声端末装置2のスピーカー部22を介して音声出力するが、デフォルト値が変更されていることはユーザーに通知されない。このため、ユーザーが確認用のメッセージに対して、「はい」というようなジョブの実行を指示する音声入力を行うと、コピージョブが開始されるが、自身が指示した設定以外はデフォルト値でのコピーを期待したユーザーにとっては、デフォルト値とは異なる設定値でコピージョブが実行されてしまい、ミスコピー等が発生してしまう。
【0055】
そこで、この実施形態では、デフォルト値が変更されているときはコピージョブの実行前に、ユーザーによって音声入力された設定指示の内容とともにデフォルト値が変更された内容をも含む確認用のメッセージを、音声端末装置2のスピーカー部22から音声出力してユーザーに通知する。
【0056】
確認用メッセージの一例として、
図6に示すように、「以前用紙サイズ/出力のデフォルトが変更されました。こちらは、2部、A3、片面でコピーしてもよろしいですか?」を挙げることができる。
【0057】
このメッセージを聞いたユーザーがデフォルト値の変更に気付き、例えば
図7に示す「いいえ、A4,両面にして」というような再度の設定指示を音声入力すると、MFP1はその設定指示を受け付けて設定へ反映させる。そして、反映された設定内容の再度の確認のために、
図8に示すように、「はい、A4、2部、両面でコピーですね?」というような確認用のメッセージを、音声端末装置2のスピーカー部22から音声出力させる。
【0058】
このメッセージを受けたユーザーは、メッセージ通りの設定内容で良ければ
図9に示す「はい」というようなジョブの実行を指示する音声入力を行う。MFP1はこの音声入力を受け付け、ユーザーによる最終確認が得られたものとして、コピージョブを開始する。
【0059】
このようにこの実施形態では、デフォルト値が変更されているときは、デフォルト値が変更された内容も含めて確認用のメッセージが音声により出力されるから、ユーザーはデフォルト値が変更されていることを認識することができる。従って、ユーザーは変更後の設定値が意図した値でなければ、この設定値を再度変更することができるから、ユーザーがデフォルト値の変更に気づかないままコピージョブが実行されてしまい、コピーミスとなってしまうという不都合を解消することができる。
【0060】
なお、ユーザーがデフォルト値を変更する設定指示を行った場合は、デフォルト値が既に変更されていても、デフォルト値が変更された内容を含めることなく、ユーザーの設定指示の内容のみを含むメッセージが、音声端末装置2から出力される。例えば、用紙サイズのデフォルト値がA4であるとして、管理者や他のユーザー等がデフォルト値をA3に変更した後に、ユーザーが音声入力によりB4サイズを設定指示しても、デフォルト値がA4からA3に変更されていることは通知されない。このような通知は無駄であるためである。
【0061】
図10は、MFP1によるデフォルト値の記憶処理を示すフローチャートである。このフローチャート及び
図11以降のフローチャートに示される動作は、MFP1の制御部100におけるCPU101がROM102等の記録媒体に記録された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0062】
ステップS01で、管理者等の操作に従いデフォルト値を記憶装置110に記憶する。デフォルト値が変更されたときは、ステップS02で変更内容を記憶する。
【0063】
図11は、上述したようなユーザーの音声によるジョブの動作条件の設定指示を受けたMFP1の動作を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS11で、音声端末装置2のマイク部21を介して、ユーザーによる音声入力データを受信したかどうかを判断する。受信していなければ(ステップS11でNO)、受信するまで待つ。
【0065】
受信すると(ステップS11でYES)、ステップS12でこれを受け付けて解析し、ステップS13で、例えば「はい」「OK」等のジョブの実行を許可する音声入力かどうかを判断する。ジョブの実行を許可する音声入力でなければ(ステップS13でNO)、動作条件の設定指示であるから、ステップS14で、音声入力に対応する動作条件(設定値)を設定する。
【0066】
次いで、ステップS15で、デフォルト値は変更されているかどうかを判断する。変更されていれば(ステップS15でYES)、ステップS16で、入力された設定指示内容と共に、デフォルト値が変更された内容を含むメッセージの音声出力用データを作成し、音声端末装置2に送信したのち、ステップS01に戻る。
【0067】
音声端末装置2は音声出力用データをスピーカー部22を介して音声出力する。例えば、音声入力が「2部コピー」の場合において、用紙サイズがデフォルト値のA4からA3に変更され、デフォルト値である両面出力が片面出力に変更されていたときは、「以前用紙サイズ/出力のデフォルトが変更されました。こちらは、2部、A3、片面でコピーしてもよろしいですか?」といったような確認メッセージが発話される。
【0068】
メッセージを聞いたユーザーが、自身の意図と違う設定であれば、例えば「いいえ、A4,両面にして」と入力すると、MFP1はステップS11でその音声データを受信し、ステップS12での受付・解析、ステップS13の判断を経てステップS14で、用紙サイズ及び出力に関してA4,両面出力の設定に変更する。
【0069】
次いでステップS15で、デフォルト値が変更されているかどうかを判断するが、1回目の音声入力に対してデフォルト値が変更されていることを既に通知しているから、2回目以降ついてはこの変更を無視し、ステップS6で、入力された設定指示内容のみを含むメッセージの音声出力用データを音声端末装置2に送信する。これにより、音声端末装置2のスピーカー部22から、「はい、A4、2部、両面でコピーですね?」というような確認用のメッセージが発話される。
【0070】
通知された動作条件で良ければ、ユーザーは「はい」「OK」等のジョブの実行を許可する音声入力を行う。MFP1はステップS11でその音声データを受信し、ステップS12で受付・解析し、ステップS13で、ジョブの実行を許可する音声入力かどうかを判断する。ジョブの実行を許可する音声入力であれば(ステップS13でYES)、ステップS18に進み、ジョブを開始する。
【0071】
ステップS15において、デフォルト値が変更されていなければ(ステップS15でNO)、ステップS17で、入力された設定指示内容のみを含むメッセージ(例えば「2部コピー」の音声入力に対して「2部コピーしていいですか?」)の音声出力用データを作成し、音声端末装置2に送信する。
【0072】
また、ユーザーがデフォルト値を変更する設定指示を行った場合は、ステップS15でデフォルト値が変更されていると判断されても、デフォルト値が変更された内容を含めることなく、ユーザーの設定指示の内容のみを含むメッセージが、音声端末装置2から出力される。これによって無駄な通知をなくすことができる。
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態を説明する。この実施形態は、MFP1が自装置状態に起因して少なくとも何れかのデフォルト値を使用できない状態であるときに、デフォルト値を使用できない内容も含めてメッセージを音声端末装置2から出力させるものである。
【0073】
具体例を説明すると、MFP1の記憶装置110には、例えば管理者等により、ジョブ及びそのジョブの動作条件に関して予めデフォルト値が記憶されている。この例では、
図3のテーブルT1の場合と同様に、デェフォルトのジョブとしてコピージョブが設定されており、さらにコピージョブの動作条件のデフォルト値として、例えば、用紙サイズ:A4、部数:1、カラーモード:カラー、出力:両面、ステープル(の位置):左上、が予め設定されている。
【0074】
ここで、MFP1の状態に起因して予め設定された上記1個又は複数個のデフォルト値のうち、少なくとも1個のデフォルト値を使用できない場合がある。例えば、用紙サイズのデフォルト値がA4である場合に、給紙トレイ内のA4用紙が無くなった場合や、他のサイズの用紙が収容されている場合である。また、各色のトナーの内、少なくとも何れかのトナーが無くなった場合や、後処理装置において用紙の左上へのステープル処理がデフォルト値である場合に、ステープルが無くなった場合等である。以後、給紙トレイ内のA4用紙が無くなった場合を例にして説明する。
【0075】
図12は、用紙サイズがA4、A3、B4の3個の給紙トレイの用紙残量を黒塗り部分の高さで示しており、コピージョブの用紙サイズのデフォルト値であるA4用紙は残量がゼロであることを示している。
【0076】
この状態で、ユーザーがコピージョブの実行に際してA4用紙が無いことを知らないまま、
図5の場合と同様に、音声端末装置2のマイク部21を介して音声入力により「2部コピー」と動作条件の設定指示を行ったとする。
【0077】
従来では、MFP1は例えば「2部コピーしていいですか?」といった確認用のメッセージを音声端末装置2のスピーカー部22を介して音声出力するが、デフォルト値であるA4用紙を使用できないことはユーザーに通知されない。このため、ユーザーが確認用のメッセージに対して、「はい」というようなジョブの実行を指示する音声入力を行うと、コピージョブが開始されるが、自身が指示した設定以外はデフォルト値でのコピーを期待したユーザーにとっては、デフォルト値とは異なる設定値例えばA3用紙でコピージョブが実行されてしまい、ミスコピー等が発生してしまう。
【0078】
そこで、この実施形態では、デフォルト値を使用できないときはコピージョブの実行前に、ユーザーによって音声入力された設定指示の内容とともにデフォルト値を使用できないこと、つまりこの例ではA4用紙を使用できない内容も含めて、確認用のメッセージを音声端末装置2のスピーカー部22から音声出力してユーザーに通知する。
【0079】
確認用メッセージの一例として、
図13に示すように、「A4の用紙が無くなっています。このまま2部、A3でコピーしていいですか?」を挙げることができる。
【0080】
このメッセージを聞いたユーザーがデフォルト値であるA4用紙を使用できないことに気付き、A4用紙を給紙トレイに補給したとする。すると、MFP1は用紙を使用可能になったことを判断し、入力された設定指示内容(2部コピー)とともに、使用可能となったデフォルト値(A4)を反映したメッセージ、例えば
図14に示すような「A4、2部でいいですか?」というようメッセージを音声端末装置2を介して音声出力する。
【0081】
このメッセージを受けたユーザーは、メッセージ通りの設定内容で良ければ
図15に示す「はい」というようなジョブの実行を指示する音声入力を行う。MFP1はこの音声入力を受け付け、ユーザーによる最終確認が得られたものとして、コピージョブを開始する。
【0082】
このようにこの実施形態では、MFP1の状態に起因してデフォルト値を使用できないときは、デフォルト値を使用できない内容も含めて確認用のメッセージが音声により出力されるから、ユーザーはデフォルト値を使用できないことを認識することができ、デフォルト値を使用できない状態を解消するための用紙補給等の措置を講ずることができる。その結果、ユーザーが意図したジョブの実行結果が得られないという不都合を解消することができる。
【0083】
図16は、MFP1によるデフォルト値の記憶処理を示すフローチャートである。
【0084】
ステップS21で、管理者等の操作に従いデフォルト値を記憶装置110に記憶する。ステップS21では、自装置の状態に起因してデフォルト値を使用できなくなったことを記憶する。
【0085】
図17は、ユーザーの音声によるジョブの動作条件の設定指示を受けたMFP1の動作を示すフローチャートである。
【0086】
ステップS31で、音声端末装置2のマイク部21を介して、ユーザーによる音声入力データを受信したかどうかを判断する。受信していなければ(ステップS31でNO)、受信するまで待つ。
【0087】
受信すると(ステップS31でYES)、ステップS32でこれを受け付けて解析し、ステップS33で、例えば「はい」「OK」等のジョブの実行を許可する音声入力かどうかを判断する。ジョブの実行を許可する音声入力でなければ(ステップS33でNO)、動作条件の設定指示であるから、ステップS34で、音声入力に対応する動作条件(設定値)を設定する。
【0088】
次いで、ステップS35で、自装置の状態に起因してデフォルト値を使用できないかどうかを判断する。使用できなければ(ステップS35でYES)、ステップS36で、入力された設定指示内容と共に、デフォルト値を使用できない内容を含むメッセージの音声出力用データを作成し、音声端末装置2に送信する。メッセージは例えば「「A4の用紙が無くなっています。このまま2部、A3でコピーしていいですか?」である。
【0089】
次いでステップS37で、デフォルト値が使用可能になったかどうかを判断し、使用可能にならなければ(ステップS37でNO)、ステップS31に戻る。ステップS36のメッセージを聞いたユーザーがデフォルト値を使用できないことに気付き、用紙補給等、使用できなくなっている原因を解消すると、デフォルト値が使用可能になる(ステップS37でYES)。この場合は、ステップS38で、入力された設定指示内容と共に使用可能になったデフォルト値を反映したメッセージの音声出力用データを音声端末装置2に送信したのち、ステップS31に戻る。メッセージは例えば「A4、2部でいいですか?」である。
【0090】
メッセージを聞いたユーザーが、通知された動作条件で良ければ、ユーザーは「はい」「OK」等のジョブの実行を許可する音声入力を行う。MFP1はステップS31でその音声データを受信し、ステップS32で受付・解析し、ステップS33で、ジョブの実行を許可する音声入力かどうかを判断する。ジョブの実行を許可する音声入力であれば(ステップS33でYES)、ステップS39に進み、ジョブを開始する。
【0091】
ステップS35において、デフォルト値を使用可能であれば(ステップS35でNO)、ステップS40で、入力された設定指示内容のみを含むメッセージ(例えば「2部コピー」の音声入力に対して「2部コピーしていいですか?」の音声出力用データを作成し、音声端末装置2に送信する。
【0092】
以上、本発明の第1、第2の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0093】
例えば、上記の各実施形態では、全てのユーザーに共通のデフォルト値が設定され記憶装置110に記憶されている場合を示したが、ユーザー毎にデフォルト値を設定しても良い。この場合は、認証部180によって認証を受けてログインしたユーザーに対応するデフォルト値が適用され、デフォルト値が変更されたかどうかや、MFP1の状態に起因してデフォルト値を使用できない状態かどうかの判断も、ログインしたユーザーに応じて判断される。
【0094】
また、音声端末装置2がMFP1とは別の外部装置により構成されている例を示したが、音声端末装置2のマイク部21またはスピーカー部22の少なくとも一方は、MFP1に備えられていても良い。
【0095】
また、画像処理装置がMFPである場合を示したが、ユーザーの音声による設定指示によって動作条件を設定できるものであれば他の画像処理装置であっても良い。
【符号の説明】
【0096】
1 画像処理装置
2 音声端末装置
3 ネットワーク
21 マイク部21
22 スピーカー部
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
110 記憶装置
140 画像出力装置
160 ネットワークインターフェース