(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220621BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/01 451
B41J2/01 305
B41J2/01 301
B41J2/165
(21)【出願番号】P 2018100982
(22)【出願日】2018-05-25
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【氏名又は名称】丸山 英一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕介
(72)【発明者】
【氏名】宗田 唱
(72)【発明者】
【氏名】小田 昌司
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-241533(JP,A)
【文献】特開2011-255366(JP,A)
【文献】特開2012-051241(JP,A)
【文献】特開2013-208874(JP,A)
【文献】特開2009-056738(JP,A)
【文献】特開2002-172804(JP,A)
【文献】特開平03-227654(JP,A)
【文献】特開2018-043840(JP,A)
【文献】特開2000-190465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する第1搬送装置と、
それぞれがインクを吐出して画像形成を行う複数のノズルが前記第1搬送装置による記録媒体の搬送方向と交差する方向に配列された画像形成領域をなすノズル面を有し、該ノズル面を前記記録媒体の表面に対向させて配置された記録ヘッドと、
検査用記録媒体を、前記第1搬送装置による前記記録媒体の搬送方向と同一方向に搬送する第2搬送装置とを備え、
前記記録ヘッド及び前記第2搬送装置は、前記ノズル面に前記検査用記録媒体が対向する状態と、該ノズル面に該検査用記録媒体が対向しない状態とに亘って、互いの相対位置が変更可能となされており、
前記第2搬送装置は、前記記録媒体の搬送方向に直交する方向の幅が、前記画像形成領域の幅よりも狭く、
前記記録ヘッドは、前記検査用記録媒体に対して該検査用記録媒体よりも幅の広い検査用画像を形成するにあたり、該検査用画像を前記検査用記録媒体の幅方向について複数に時分割して形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検査用記録媒体に対する前記検査用画像の形成は、前記第2搬送装置により該検査用記録媒体を搬送させながら行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記録ヘッド及び前記第2搬送装置の互いの相対位置の変更は、該第2搬送装置を移動操作する駆動装置によって行われることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録ヘッド及び前記第2搬送装置の互いの相対位置の変更は、該記録ヘッドを移動操作する駆動装置によって行われることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、画像形成装置全体の荷重を保持する骨格部により保持されていることを特徴とする請求項
3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検査用記録媒体に形成された検査用画像を撮像する検査装置を備え、
前記検査装置は、前記骨格部により保持されることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検査用記録媒体に形成された検査用画像を撮像する検査装置を備え、
前記検査装置は、前記第2搬送装置により保持されていることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドに対する相対位置が変更可能となされ、該記録ヘッドの前記ノズル面をメンテナンスするメンテナンスユニットとを備え、前記駆動装置によって前記メンテナンスユニットを移動操作することを特徴とする請求項
3~5の何れかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、記録ヘッドの吐出状態を確認するための検査用画像を形成する検査用記録媒体の平面精度を良好に維持することが容易となされた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるシングルパス方式のインクジェットプリンタ(画像形成装置)においては、画像形成がされて製品となる記録媒体(布等)を無駄にせずに、事前に記録ヘッドの吐出状態の確認ができることが求められている。シングルパス方式のインクジェットプリンタは、大面積の大量の記録媒体に対して高速で画像形成を行うため、画像形成を開始した後に記録ヘッドの吐出状態の不具合が発覚すると、極めて大量の記録媒体が無駄になってしまうためである。
【0003】
そのため、このようなインクジェットプリンタでは、記録媒体を搬送する第1搬送装置とは別に、検査用の第2搬送装置により検査用記録媒体(光沢紙)を搬送し、この検査用記録媒体にインクを吐出させて吐出状態の確認を行うようにしたものが提案されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-241533号公報
【文献】特開2013-208874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2では、第2搬送装置は、第1搬送装置と同等の幅を有するベルトを用いて、記録媒体の幅と同等の幅を有する検査用記録媒体をベルト搬送する構成である。この検査用記録媒体を搬送して、記録ヘッドに対する1回の走査(シングルパス方式)で検査用画像を形成する。第2搬送装置により搬送される検査用記録媒体の平面精度は、第1搬送装置により搬送される記録媒体の平面精度と同等に維持する必要がある。
【0006】
しかし、これら従来のインクジェットプリンタにおいては、検査用記録媒体の平面精度は、搬送方向及び幅方向の両方向について同等の平面精度が求められ、第1搬送装置により搬送される記録媒体の平面精度と同等に維持することが困難であった。
【0007】
そこで本発明の課題は、記録ヘッドの吐出状態を確認するための検査用画像を形成する検査用記録媒体の平面精度を良好に維持することが容易となされた画像形成装置を提供することにある。
【0008】
さらに本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0010】
1.
記録媒体を搬送する第1搬送装置と、
それぞれがインクを吐出して画像形成を行う複数のノズルが前記第1搬送装置による記録媒体の搬送方向と交差する方向に配列された画像形成領域をなすノズル面を有し、該ノズル面を前記記録媒体の表面に対向させて配置された記録ヘッドと、
検査用記録媒体を、前記第1搬送装置による前記記録媒体の搬送方向と同一方向に搬送する第2搬送装置とを備え、
前記記録ヘッド及び前記第2搬送装置は、前記ノズル面に前記検査用記録媒体が対向する状態と、該ノズル面に該検査用記録媒体が対向しない状態とに亘って、互いの相対位置が変更可能となされており、
前記第2搬送装置は、前記記録媒体の搬送方向に直交する方向の幅が、前記画像形成領域の幅よりも狭く、
前記記録ヘッドは、前記検査用記録媒体に対して該検査用記録媒体よりも幅の広い検査用画像を形成するにあたり、該検査用画像を前記検査用記録媒体の幅方向について複数に時分割して形成することを特徴とする画像形成装置。
2.
前記検査用記録媒体に対する前記検査用画像の形成は、前記第2搬送装置により該検査用記録媒体を搬送させながら行うことを特徴とする前記1記載の画像形成装置。
3.
前記記録ヘッド及び前記第2搬送装置の互いの相対位置の変更は、該第2搬送装置を移動操作する駆動装置によって行われることを特徴とする前記1又は2記載の画像形成装置。
4.
前記記録ヘッド及び前記第2搬送装置の互いの相対位置の変更は、該記録ヘッドを移動操作する駆動装置によって行われることを特徴とする前記1又は2記載の画像形成装置。
5.
前記駆動装置は、画像形成装置全体の荷重を保持する骨格部により保持されていることを特徴とする前記1~4の何れかに記載の画像形成装置。
6.
前記検査用記録媒体に形成された検査用画像を撮像する検査装置を備え、
前記検査装置は、前記骨格部により保持されることを特徴とする前記5記載の画像形成装置。
7.
前記検査用記録媒体に形成された検査用画像を撮像する検査装置を備え、
前記検査装置は、前記第2搬送装置により保持されていることを特徴とする前記1~5の何れかに記載の画像形成装置。
8.
前記記録ヘッドに対する相対位置が変更可能となされ、該記録ヘッドの前記ノズル面をメンテナンスするメンテナンスユニットとを備え、前記駆動装置によって前記メンテナンスユニットを移動操作することを特徴とする前記1~7の何れかに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、記録ヘッドの吐出状態を確認するための検査用画像を形成する検査用記録媒体の平面精度を良好に維持することが容易となされた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の画像形成装置を示す概略側面図
【
図3】前記画像形成装置の第2搬送装置を示す概略斜視図
【
図5】前記画像形成装置の第2搬送装置を示す概略平面図
【
図8】前記画像形成装置により検査用記録媒体上に形成される検査用画像の例を示す平面図
【
図9】前記画像形成装置において検査用画像を形成する前の第2搬送装置の位置を示す平面図
【
図10】前記画像形成装置において検査用画像の形成を開始したときの第2搬送装置の位置を示す平面図
【
図11】前記画像形成装置において検査用画像の形成を行っているときの第2搬送装置の位置を示す平面図
【
図12】前記画像形成装置において検査用画像の形成を完了したときの第2搬送装置の位置を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の画像形成装置を示す概略側面図である。
【0014】
この画像形成装置は、
図1に示すように、第1搬送装置1を備えている。第1搬送装置1は、記録媒体101を粘着させて平面性を維持して搬送し、この記録媒体101に対する記録ヘッド2による画像形成を可能とする装置である。記録媒体101は、各種の紙、布帛、合成樹脂シート、金属箔などであり、その表面(
図1中の上側)に記録ヘッド2による画像形成が行えるものである。この実施形態では、記録媒体101は、布帛を想定している。
【0015】
この実施形態においては、記録媒体101として、長尺状(ロール状)のシートを用いているが、枚葉式のシートであってもよい。記録ヘッド2は、この実施形態においては、画像形成中は固定して配置されるインクジェット記録ヘッドであり、画像形成装置として、いわゆるシングルパス方式のインクジェット記録装置3を構成している。インクジェット記録装置3は、第1搬送装置1と、画像形成を行う記録ヘッド2とを備えて構成されている。
【0016】
記録ヘッド2は、イエロー色インク用のイエロー記録ヘッド、マゼンタ色インク用のマゼンタ記録ヘッド及びシアン色インク用のシアン記録ヘッドを含む計6色からなり各プリントユニットにはそれぞれ3個の単色ヘッド2aからなるが、これに限定されず単色ヘッド2aの数は適宜増減することができる。
【0017】
1個の単色ヘッド2aは、
図1中矢印Aで示す記録媒体101の搬送方向及びこれに直交する幅方向に配列された複数のヘッドから構成されている。各単色ヘッド2aを構成するヘッドは、それぞれがインクを吐出して画像形成を行う複数のノズルが第1搬送装置1による記録媒体101の搬送方向と交差する方向に配列された画像形成領域9をなすノズル面を有し、このノズル面を記録媒体101の表面に対向させて配置されている。
【0018】
第1搬送装置1は、記録媒体101を粘着させる粘着性ベルト4を備えている。粘着性ベルト4は、ゴムや合成樹脂などの可撓性材料により形成された無端ベルトである。粘着性ベルト4は、記録媒体101を粘着させた状態で移動操作されることにより、
図1中矢印Aで示すように、粘着させた記録媒体101を搬送する。
【0019】
粘着性ベルト4は、複数のローラ5,6,7,8に巻き掛けられている。これらローラ5,6,7,8のうちの少なくとも1つは、駆動モータの駆動力によって回転操作される駆動ローラである。粘着性ベルト4は、駆動ローラが回転操作されることにより、所定の速度で移動操作(送り操作)される。記録媒体101の搬送速度は、特に限定されない。
【0020】
粘着性ベルト4は、何れか2個のローラ5、6間に亘る部分が、記録媒体101を平面状に保持して記録ヘッド2による画像形成が可能な画像形成領域9を通過する。
【0021】
粘着性ベルト4には、供給機構10により、ロール体101aから巻き出された記録媒体101が供給される。画像形成領域9には、粘着性ベルト4の送り方向の上流側より、記録媒体101が搬入される。また、画像形成領域9からは、粘着性ベルト4の送り方向の下流側へ、記録媒体101が搬出される。画像形成領域9から離れる粘着性ベルト4からは、図示しない排出機構により、記録媒体101が排出される。
【0022】
画像形成領域9において、粘着性ベルト4の裏面(
図1中の下側)には、粘着性ベルト4を支持する図示しないローラが記録ヘッド2の直下に設けられている。粘着性ベルト4は、裏面を支持されて、平面性を維持される。
【0023】
図2は、前記画像形成装置の要部を示す概略側面図である。
図3は、前記画像形成装置の第2搬送装置を示す概略斜視図である。
【0024】
このインクジェット記録装置3は、
図2に示すように、第2搬送装置11を備えている。この第2搬送装置11は、各単色ヘッド2aの吐出状況を判定するためのテストチャートを形成するための検査用記録媒体13を搬送するものである。第2搬送装置11は、
図3に示すように、検査用記録媒体13を載置させる搬送ベルト12を備えている。検査用記録媒体13としては、例えば、光沢紙や布帛が挙げられる。搬送ベルト12は、ゴムや合成樹脂などの可撓性材料により形成された無端ベルトである。搬送ベルト12は、検査用記録媒体13を載置させた状態で移動操作されることにより、
図3中矢印Bで示すように、載置させた検査用記録媒体13を搬送する。第2搬送装置11により搬送される検査用記録媒体13は、第1搬送装置1による記録媒体101の搬送方向と同一方向に搬送される。
【0025】
第2搬送装置11は、記録媒体101の搬送方向に直交する方向の幅が、画像形成領域9の幅よりも狭い。また、第2搬送装置11は、記録媒体101の搬送方向の長さが、記録媒体101の長さよりも短いことが好ましい。また、検査用記録媒体13は、搬送方向に直交する方向の幅が、第1搬送装置1により搬送される記録媒体101の幅よりも狭いことが好ましい。
【0026】
検査用記録媒体13は、第1搬送装置1により搬送される記録媒体101と同等の平面精度に維持される必要がある。検査用記録媒体13には、各単色ヘッド2aの吐出状況を判定するためのテストチャートが形成されるので、第1搬送装置1により搬送される記録媒体101と同等の平面精度に維持されていなければ、吐出状況の判定が正しく行えないからである。
【0027】
搬送ベルト12は、複数のローラ14,15に巻き掛けられている。これらローラ14,15は、支持枠16により、軸心を互いに平行にして回転可能に支持されている。これらローラ14,15のうちの一方は、駆動モータの駆動力によって回転操作される駆動ローラである。搬送ベルト12は、駆動ローラが回転操作されることにより、所定の速度で移動操作(送り操作)される。検査用記録媒体13の搬送速度は、特に限定されない。
【0028】
第2搬送装置11は、
図2に示すように、第1搬送装置1と記録ヘッド2との間に挿入されるようになっている。第2搬送装置11が挿入されるときには、記録ヘッド2が上方に移動操作され、第1搬送装置1と記録ヘッド2との間が、第2搬送装置11が挿入され得る距離に離間されるようになっている。
【0029】
第2搬送装置11の搬送ベルト12は、各ローラ14、15間に亘る部分が、検査用記録媒体13を平面状に保持して記録ヘッド2による画像形成が可能な画像形成領域9を通過する。
【0030】
このインクジェット記録装置3においては、第2搬送装置11の幅が画像形成領域9の幅よりも狭いことにより、検査用記録媒体13の平面精度を良好に維持することが容易である。第1搬送装置1は、記録媒体101の幅が広いので、記録媒体101の平面精度を所望の精度内に維持することは容易ではないが、所望の精度内に維持できるように構成されている。これに対して、第2搬送装置11は、幅が狭いために、各ローラ14、15等に求められる精度が第1搬送装置1におけるよりも低くて済むので、検査用記録媒体13の平面精度を維持することが容易である。
【0031】
なお、第2搬送装置11の幅を狭くせず、検査用記録媒体13の幅のみを狭くしても、第2搬送装置11の平面精度の誤差の影響を受けにくくなり、検査用記録媒体13の平面精度の維持は容易になる。
【0032】
図4は、前記画像形成装置の要部を示す概略斜視図である。
図5は、前記画像形成装置の第2搬送装置を示す概略平面図である。
【0033】
記録ヘッド2及び第2搬送装置11は、
図4及び
図5に示すように、記録ヘッド2のノズル面に検査用記録媒体13が対向する状態(検査用記録媒体13に画像形成がされる状態)と、ノズル面に検査用記録媒体13が対向しない状態(検査用記録媒体13に画像形成がされない状態)とに亘って、互いの相対位置が変更可能となされている。
【0034】
記録ヘッド2及び第2搬送装置11の互いの相対位置の変更は、この実施形態では、第2搬送装置11を移動操作する図示しない駆動装置により、
図4中矢印Cで示すように、記録媒体101の搬送方向に交差する方向に第2搬送装置11を移動させて行っている。ただし、記録ヘッド2を移動操作する駆動装置によって、記録ヘッド2を記録媒体101の搬送方向に交差する方向に移動させることにより行ってもよい。
【0035】
記録ヘッド2及び第2搬送装置11の互いの相対位置を変更する駆動装置は、インクジェット記録装置3全体の荷重を保持する骨格部により保持されていることが好ましい。
【0036】
このインクジェット記録装置3は、
図5に示すように、検査用記録媒体13に形成された検査用画像を撮像する検査装置17を備えることが好ましい。この検査装置17は、撮像カメラ及び画像処理回路等を有して構成され、第2搬送装置11が退避状態で検査できるように骨格部により保持されていることが好ましい。この検査装置17は、第2搬送装置11により保持されてもよい。
【0037】
このインクジェット記録装置3は、メンテナンスユニット18を備えることが好ましい。第2搬送装置11は、メンテナンスユニット18の一部として配置してもよい。メンテナンスユニット18は、記録ヘッド2のノズル面をメンテナンスするクリーニングユニット19、欠陥検知ユニット20及び第2搬送装置11によって構成され、これらが一体的に記録ヘッド2に対する相対位置が変更可能となされている。
【0038】
メンテナンスユニット18及び記録ヘッド2の互いの相対位置の変更は、この実施形態では、メンテナンスユニット18を移動操作する図示しない第2駆動装置により、
図5中矢印Dで示すように、記録媒体101の搬送方向に交差する方向にメンテナンスユニット18を移動させて行っている。ただし、記録ヘッド2を移動操作する駆動装置によって、記録ヘッド2を記録媒体101の搬送方向に交差する方向に移動させることにより行ってもよい。
【0039】
メンテナンスユニット18は、ガイド部(ガイドレール)21によって移動可能に支持されており、このガイド部21に沿って移動操作される。このガイド部21は、記録ヘッド2又は第2搬送装置11を移動操作する構成を採る場合には、これら記録ヘッド2又は第2搬送装置11の移動操作を案内することが好ましい。
【0040】
【0041】
このインクジェット記録装置3は、
図6に示すように、制御回路22を備えていることが好ましい。この制御回路22は、メモリ23に記憶されたデータに基づいて、記録ヘッド2を制御する。また、制御回路22は、第1搬送装置1を制御する。すなわち、制御回路22は、粘着性ベルト4の移動操作(送り操作)及び供給機構10における供給動作の駆動源となる駆動モータを制御する。また、制御回路22は、第2搬送装置11を制御する。すなわち、制御回路22は、搬送ベルト12の移動操作(送り操作)の駆動源となる駆動モータ及び第2搬送装置11を移動操作する駆動装置を制御する。
【0042】
【0043】
このインクジェット記録装置3において、記録ヘッド2は、
図7に示すように、検査用記録媒体13に対して、この検査用記録媒体13及び第2搬送装置11よりも幅の広い画像形成領域9の幅に亘る検査用画像24を形成する。
図7(a)は、検査用画像24の一部を示し、
図7(b)は、検査用画像24の一部を拡大して示している。検査用画像24は、細線パターン等からなるテストチャートであって、各単色ヘッド2aを構成するヘッドごとに検査用記録媒体13上の異なる場所にヘッドを識別する番号とともに画像形成させることにより、各ヘッドの吐出状況が個別に判定できるようになっている。検査用記録媒体13上に形成された検査用画像24の各部を検査することにより、各ヘッドの吐出状況が個別に判定できる。
【0044】
図8は、前記画像形成装置により検査用記録媒体上に形成される検査用画像の例を示す平面図である。
【0045】
記録ヘッド2は、検査用記録媒体13に検査用画像24を形成するにあたり、
図8に示すように、検査用画像24を記録媒体101の幅方向について複数に時分割して形成する。つまり、検査用画像24は、検査用記録媒体13よりも幅が広いので、検査用画像24の全体を一度に検査用記録媒体13上に形成することはできない。そこで、検査用画像24のうちの検査用記録媒体13の位置及び幅に相当する部分のみをまず検査用記録媒体13上に形成し、次に、検査用記録媒体13を記録媒体101の幅方向に移動させるとともに、第2搬送装置11により送り操作して、このときの検査用記録媒体13の位置及び幅に相当する部分を検査用記録媒体13上に形成する。このようにして検査用画像24を時分割して形成することにより、検査用画像24の全体を検査用記録媒体13上に形成することができる。
【0046】
この実施形態においては、
図5(a)に示すように、各単色ヘッド2aを構成するヘッドは、1番ヘッド、3番ヘッド、5番ヘッド・・・と奇数番ヘッドが記録媒体101の幅方向に配列され、2番ヘッド、4番ヘッド、6番ヘッド・・・と偶数番ヘッドが、奇数番ヘッドとは異なる位置で記録媒体101の幅方向に配列されている。奇数番ヘッドと偶数番ヘッドとは、記録媒体101の幅方向及び搬送方向の両方について異なる位置となっている。
【0047】
図8(a)に示す出力例1は、1番ヘッド及び2番ヘッドによる画像形成を行った後に、検査用記録媒体13を幅方向に移動させ第2搬送装置11により送り操作して、3番ヘッド及び4番ヘッドによる画像形成を行い、さらに、検査用記録媒体13を幅方向に移動させ第2搬送装置11により送り操作して、5番ヘッド及び6番ヘッドによる画像形成を行うという順序で画像形成したものである。この場合、奇数番ヘッドにより形成された画像が検査用記録媒体13の搬送方向に配列され、これらとは異なる位置に偶数番ヘッドにより形成された画像が検査用記録媒体13の搬送方向に配列された画像となる。
【0048】
図8(b)に示す出力例2は、1番ヘッド及び2番ヘッドによる画像形成を行った後に、検査用記録媒体13を幅方向に移動させ第2搬送装置11により送り操作して、3番ヘッド及び4番ヘッドによる画像形成を行うものであるが、2番ヘッドによる画像と3番ヘッドによる画像との一部が重なるように形成したものである。その後の5番ヘッド及び6番ヘッドによる画像形成も同様である。この場合には、奇数番ヘッドにより形成された画像が検査用記録媒体13の搬送方向に配列され、これらとは異なる位置に偶数番ヘッドにより形成された画像が一部重複して検査用記録媒体13の搬送方向に配列された画像となる。
【0049】
検査用記録媒体13に対する検査用画像の形成は、第2搬送装置11により検査用記録媒体13を搬送させながら行うこともできる。
図8(c)に示す出力例3は、検査用記録媒体13を搬送させながら画像形成を行ったものであり、画像形成の順序等は出力例1と同様であるが、各ヘッドにおける吐出の順序と検査用記録媒体13の搬送との相対移動軌跡に相当する画像が形成される。
【0050】
これら何れの出力例においても、検査用画像24が時分割されることによって、検査用画像24の全体が検査用記録媒体13上に形成される。
【0051】
以下、出力例2の検査用画像24を形成する場合の第2搬送装置11の移動のしかたを説明する。
図9は、前記画像形成装置において検査用画像を形成する前の第2搬送装置の位置を示す平面図である。
【0052】
このインクジェット記録装置3において、
図9(a)に示すように、検査用画像24を形成する前には、第2搬送装置11は、記録ヘッド2に対向しない位置(画像形成領域9の外)にある。次に、検査用画像24の形成を開始するときには、第2搬送装置11は、
図9(b)に示すように、記録ヘッド2の一部(1番ヘッド、2番ヘッドを含む領域)に検査用記録媒体13を対向させる位置(画像形成領域9内)に移動される。
【0053】
図10は、前記画像形成装置において検査用画像の形成を開始したときの第2搬送装置の位置を示す平面図である。
【0054】
検査用画像24の形成を開始したときには、
図10(a)に示すように、検査用記録媒体13が対向している記録ヘッド2の一部(1番ヘッド、2番ヘッド)からインクを吐出させつつ検査用記録媒体13を搬送させることにより、検査用記録媒体13上に検査用画像24の一部を形成する。その後、
図10(b)に示すように、第2搬送装置11は、記録ヘッド2の一部(3番ヘッド、4番ヘッドを含む領域)に検査用記録媒体13を対向させる位置(画像形成領域9内)に移動される。そして、検査用記録媒体13が対向している記録ヘッド2の一部(3番ヘッド、4番ヘッド)により、検査用記録媒体13上に検査用画像24の一部を形成する。
【0055】
図11は、前記画像形成装置において検査用画像の形成を行っているときの第2搬送装置の位置を示す平面図である。
【0056】
次に、
図11(a)に示すように、検査用記録媒体13を送り操作し、
図11(b)に示すように、第2搬送装置11は、記録ヘッド2の一部(5番ヘッド、6番ヘッドを含む領域)に検査用記録媒体13を対向させる位置(画像形成領域9内)に移動される。そして、検査用記録媒体13が対向している記録ヘッド2の一部(5番ヘッド、6番ヘッド)により、検査用記録媒体13上に検査用画像24の一部を形成する。
【0057】
図12は、前記画像形成装置において検査用画像の形成を完了したときの第2搬送装置の位置を示す平面図である。
【0058】
次に、
図12(a)に示すように、検査用画像24の形成を完了後、
図12(b)に示すように、第2搬送装置11は、記録ヘッド2に対向しない位置(画像形成領域9の外)に移動される。検査用記録媒体13上には、全てのヘッド(1番ヘッド~6番ヘッド)により検査用画像24の全体の形成が完了されている。
【0059】
次に、検査用画像24を目視または検査用装置17で撮像することにより記録ヘッドの吐出状態を確認し、この結果を製品の画像形成にフィードバックすることで画像形成時の不良を防止する。
【0060】
本発明は、前述した各実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってよい。具体的な細部構造や数値等についても適宜に変更可能であることは勿論である。加えて、今回開示された各実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 第1搬送装置
2 記録ヘッド
3 インクジェット記録装置
4 粘着性ベルト
5,6,7,8 ローラ
9 画像形成領域
10 供給機構
11 第2搬送装置
12 搬送ベルト
13 検査用記録媒体
14 ローラ
15 ローラ
16 支持枠
17 検査装置
18 メンテナンスユニット
19 クリーニングユニット
20 欠陥検知ユニット
21 ガイド部(ガイドレール)
22 制御回路
23 メモリ
24 検査用画像
101 記録媒体