(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20220621BHJP
F24F 1/0083 20190101ALI20220621BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F24F1/0083
B01D53/26 200
(21)【出願番号】P 2018133497
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】壁田 知宜
(72)【発明者】
【氏名】藤城 直
(72)【発明者】
【氏名】▲若▼井 寛
(72)【発明者】
【氏名】新井 知史
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-282902(JP,A)
【文献】特開2007-237068(JP,A)
【文献】特開平06-221596(JP,A)
【文献】特開2004-043530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
F24F 1/0083、1/02、
11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に室内空気を取り込み、取り込んだ前記室内空気から水分を除去する除湿手段と、
前記室内空気の温度を検出する温度検出手段と、
前記室内空気の湿度を検出する湿度検出手段と、
前記除湿手段が前記室内空気から除去した水を貯溜する貯水タンクと、
前記貯水タンクの貯水量を検出する貯水量検出手段と、
前記室内空気の温度及び湿度、並びに、前記除湿手段の除湿能力及び運転時間に基づいて、前記除湿手段により前記室内空気から除去された水分量を算出し、算出した水分量から前記貯水タンクの貯水量を予測する貯水量予測手段と、
前記除湿手段の動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記貯水量検出手段により検出された前記貯水タンクの貯水量が予め設定された第1の貯水量以上である場合、及び、前記貯水量予測手段により予測された前記貯水タンクの貯水量が予め設定された第2の貯水量以上である場合の少なくとも一方の場合に、前記除湿手段の運転を停止させ
、
前記第2の貯水量は、前記第1の貯水量より大きく、
前記貯水量予測手段により予測された前記貯水タンクの貯水量が前記第2の貯水量以上であり、かつ、前記貯水量検出手段により検出された前記貯水タンクの貯水量が前記第1の貯水量未満である場合、前記貯水量検出手段が異常であると判定する異常判定手段をさらに備えた除湿機。
【請求項2】
前記貯水量検出手段は、前記貯水タンク内の水位を検出するフロートを備えた請求項
1に記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱交換器により生成された除湿水を、タンク内に貯水する一体型空気調和機(除湿機)において、タンク内の貯水量の増加により回動するフロートを有するフロートスイッチによりタンク内の貯水量を検出し、満水を検出すると運転を停止するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような一体型空気調和機(除湿機)においては、フロートスイッチに異常が発生してタンク内の貯水量を正しく検出できない場合に、タンクから水があふれてしまうおそれがある。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、除湿により生じた水を貯溜する貯水タンクの貯水量を検出するフロートスイッチ等の貯水量検出手段に異常が発生した場合であっても、貯水タンクから水があふれることを防止できる除湿機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る除湿機は、筐体と、前記筐体内に室内空気を取り込み、取り込んだ前記室内空気から水分を除去する除湿手段と、前記室内空気の温度を検出する温度検出手段と、前記室内空気の湿度を検出する湿度検出手段と、前記除湿手段が前記室内空気から除去した水を貯溜する貯水タンクと、前記貯水タンクの貯水量を検出する貯水量検出手段と、前記室内空気の温度及び湿度、並びに、前記除湿手段の除湿能力及び運転時間に基づいて、前記除湿手段により前記室内空気から除去された水分量を算出し、算出した水分量から前記貯水タンクの貯水量を予測する貯水量予測手段と、前記除湿手段の動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記貯水量検出手段により検出された前記貯水タンクの貯水量が予め設定された第1の貯水量以上である場合、及び、前記貯水量予測手段により予測された前記貯水タンクの貯水量が予め設定された第2の貯水量以上である場合の少なくとも一方の場合に、前記除湿手段の運転を停止させ、前記第2の貯水量は、前記第1の貯水量より大きく、前記貯水量予測手段により予測された前記貯水タンクの貯水量が前記第2の貯水量以上であり、かつ、前記貯水量検出手段により検出された前記貯水タンクの貯水量が前記第1の貯水量未満である場合、前記貯水量検出手段が異常であると判定する異常判定手段をさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る除湿機によれば、除湿により生じた水を貯溜する貯水タンクの貯水量を検出するフロートスイッチ等の貯水量検出手段に異常が発生した場合であっても、貯水タンクから水があふれることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る除湿機の外観斜視図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係る除湿機が備える風向可変手段の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係る除湿機の内部構成を模式的に示す図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係る除湿機の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図5】この発明の実施の形態1に係る除湿機が備える制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図6】この発明の実施の形態1に係る除湿機の動作例を示すフロー図である。
【
図7】この発明の実施の形態2に係る除湿機が備える制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図8】この発明の実施の形態2に係る除湿機の動作例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1から
図6は、この発明の実施の形態1に係るものである。
図1は除湿機の外観斜視図である。
図2は除湿機が備える風向可変手段の構成を模式的に示す斜視図である。
図3は除湿機の内部構成を模式的に示す図である。
図4は除湿機の制御系統の構成を示すブロック図である。
図5は除湿機が備える制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。そして、
図6は除湿機の動作例を示すフロー図である。
【0011】
この実施の形態に係る除湿機は、
図1に示すように、筐体100を備えている。筐体100は、自立可能に構成される。筐体100には、吸込口101及び排気口103が形成されている。吸込口101は、筐体100内に室内空気Pを取り込むための開口である。排気口103は、水分が除去された乾燥空気Qを筐体100から室内へ排出するための開口である。筐体100の下部には、貯水タンク102が着脱可能に取り付けられている。
【0012】
この実施の形態に係る除湿機は、風向可変部1を備えている。風向可変部1は、排気口103に設けられている。風向可変部1は、排気口103から吹き出す乾燥空気Qの風向を変更させる風向可変手段である。
【0013】
図2に示すように、風向可変部1は、縦方向ルーバー1a、横方向ルーバー1b、縦方向可変モーター1c及び横方向可変モーター1dを備えている。縦方向ルーバー1aは、乾燥空気Qの鉛直方向の風向を変更する。横方向ルーバー1bは、乾燥空気Qの水平方向の風向を変更する。縦方向可変モーター1cは、縦方向ルーバー1aの向きを鉛直方向に回転させる。横方向可変モーター1dは、横方向ルーバー1bの向きを水平方向に回転させる。
【0014】
縦方向ルーバー1aは、筐体100の幅方向に延びる長方形状の開口を有する。縦方向ルーバー1aは、縦方向可変モーター1cの回転軸を軸として鉛直方向に回転可能に構成されている。横方向ルーバー1bは、縦方向ルーバー1a内に等間隔に例えば複数配置される。各横方向ルーバー1bは、縦方向ルーバー1aの開口とは反対側の奧側において、水平方向に回転可能に軸支されている。各横方向ルーバー1bの水平方向の向きは、横方向可変モーター1dの駆動に連動するように構成されている。
【0015】
筐体100の内部には、吸込口101から排気口103まで通じる風路が形成されている。
図3に示すように、この風路中には、送風ファン2及び除湿装置5が設けられている。送風ファン2は、ファンモーター2aにより回転する。送風ファン2は、前述の風路中に吸込口101から排気口103へと向かう空気流を生成する。
【0016】
除湿装置5は、当該除湿装置5を通過する風路中の空気中に含まれる水分を除去する。除湿装置5は、空気中の水分を除去して凝縮させることができるものであればよく、例えば、一般的なコンプレッサー方式、デシカント方式等を用いることができる。
【0017】
ファンモーター2aによって送風ファン2が回転すると、吸込口101から室内空気Pが筐体100内に吸い込まれる。筐体100内に吸い込まれた室内空気Pは、前述した風路中を進み、除湿装置5を通過する際に水分が除去されて乾燥空気Qとなる。そして、生成された乾燥空気Qは、排気口103から室内へと吹き出される。このようにして、送風ファン2及び除湿装置5は、筐体100内に室内空気Pを取り込み、取り込んだ室内空気Pから水分を除去する除湿手段を構成している。
【0018】
除湿装置5の下方には、貯水タンク102が配置されている。除湿装置5によって室内空気Pから除去された水分は、凝縮されて凝縮水Cとなり、貯水タンク102内に落下する。こうして凝縮水Cは、貯水タンク102内に貯溜される。
【0019】
筐体100の前述した風路内における除湿装置5よりも吸込口101側には、温度センサー3及び湿度センサー4が設置されている。温度センサー3は、風路中の空気の温度を検出する。すなわち、温度センサー3は、室内空気Pの温度を検出する温度検出手段である。湿度センサー4は、風路中の空気の湿度を検出する。すなわち、室内空気Pの湿度を検出する湿度検出手段である。
【0020】
この実施の形態に係る除湿機は、赤外線センサー6を備えている。赤外線センサー6は、室内の物体の表面温度を非接触で検出する表面温度検出手段である。赤外線センサー6は、具体的に例えば熱起電力効果を利用して物体表面から発せられる熱放射(赤外線)の強度を検出する。赤外線センサー6は、赤外線吸収膜6a及びサーミスタ6bを備えている。赤外線吸収膜6aは、赤外線領域の電磁波をよく吸収する膜体である。サーミスタ6bは、赤外線吸収膜6aの温度を検出する。
【0021】
赤外線センサー6は、熱放射を吸収することによって昇温する赤外線吸収膜6aの感熱部分の温度(温接点)と、サーミスタ6bによって検出される赤外線吸収膜6aの温度(冷接点)との差を電圧等の電気信号に変換して出力する。後述する制御装置10は、赤外線センサー6から出力された電気信号の大きさから物体の表面温度を検出できる。
【0022】
図2に示すように、赤外線センサー6は、縦方向ルーバー1a内に配置されたほぼ中央の横方向ルーバー1bの片面に取り付けられている。このようにすることで、赤外線センサー6による表面温度の検出方向は、排気口103から吹き出す乾燥空気Qの方向とほぼ同一となる。したがって、このように構成された赤外線センサー6は、風向可変部1により乾燥空気Qを送風可能な範囲内の全領域にある物体である被乾燥物、具体的に例えば洗濯後の濡れた衣類、タオル等の表面温度を検出することができる。
【0023】
貯水タンク102には、フロートスイッチ9が設けられている。この実施の形態におけるフロートスイッチ9は、貯水タンク102の貯水量を検出する貯水量検出手段の一例である。フロートスイッチ9は、図示しないフロートを備えている。このフロートは、貯水タンク102内に配置され、水に浮く性質を有する。したがって、フロートは貯水タンク102内の凝縮水Cの水面上に浮き、貯水タンク102内の凝縮水Cの水面の上下動に伴ってフロートの位置も上下する。すなわち、フロートの位置により貯水タンク102内の水位を検出できる。
【0024】
フロートスイッチ9は、フロートの位置が予め設定された位置になった場合に動作する。フロートスイッチ9が動作するフロートの位置は、貯水タンク102内の貯水量が第1の貯水量となったときの水位に対応する位置である。第1の貯水量は、貯水タンク102が満水になったことを判定するための貯水量として予め設定される。
【0025】
この実施の形態に係る除湿機は、制御装置10を備えている。制御装置10は、例えばマイクロ・コンピュータを備えている。制御装置10は、
図4に示すように、入力回路10a、出力回路10b、CPU10c及び記憶部10dを備えている。制御装置10は、記憶部10dに記憶されたプログラムをCPU10cが実行することにより、予め設定された処理を実行し、除湿機の動作を制御する。また、記憶部10dには、この際の処理に使用されるデータ等も記憶されている。
【0026】
除湿機は、
図4に示すように、表示部7及び運転スイッチ8を備えている。運転スイッチ8は、除湿機の運転の開始及び停止、運転モードの設定等を行うための操作スイッチである。表示部7は、除湿機の運転モード、室内空気の温度、湿度等の各種情報を表示する液晶ディスプレイである。なお、除湿機は、表示部7と運転スイッチ8とを兼ねるタッチパネルを備えるようにしてもよい。
【0027】
制御装置10の入力回路10aには、運転スイッチ8から出力された操作信号、温度センサー3及び湿度センサー4のそれぞれから出力された検出信号、並びに、フロートスイッチ9から出力された信号が入力される。なお、
図4では図示していないが、
図3に示すように、赤外線センサー6から出力された信号も制御装置10に入力される。
【0028】
CPU10cは、入力回路10aに入力された各種の信号に対して、予め定められた処理を行う。そして、その処理結果に応じて、出力回路10bから、除湿装置5、ファンモーター2a及び表示部7へと制御信号を出力する。また、
図4では図示していないが、
図3に示すように、CPU10cでの処理結果に応じて、出力回路10bから、縦方向可変モーター1c及び横方向可変モーター1dへも制御信号が出力される。
【0029】
この実施の形態に係る制御装置10は、
図5に示すように、運転制御部11、タイマー部12及び水位予測部13を備えている。これらの各部の機能は、記憶部10dに記憶されたプログラムにより規定される処理をCPU10cが実行することで実現される。
【0030】
運転制御部11は、入力回路10aに入力された各種の信号に応じて、除湿装置5、送風ファン2及び風向可変部1の動作を制御する。すなわち、運転制御部11は、特に前述の除湿手段の動作を制御する制御手段である。タイマー部12は、ある時点からの経過時間を計時するものである。タイマー部12による計時結果は、例えは、運転制御部11による前述の除湿手段の制御に利用される。
【0031】
水位予測部13は、貯水タンク102内に貯溜された水の水位すなわち貯水タンク102の貯水量を予測する。この実施の形態の水位予測部13は、貯水タンク102の貯水量を予測する貯水量予測手段である。水位予測部13は、まず、室内空気Pの温度及び湿度、並びに、前述した除湿手段の除湿能力及び運転時間に基づいて、前述の除湿手段が室内空気Pから除去した水分量を算出する。そして、水位予測部13は、算出した水分量から、貯水タンク102の水位すなわち貯水タンク102の貯水量を予測する。
【0032】
この水位予測部13による貯水タンク102の貯水量の予測について、さらに詳しく説明する。水位予測部13は、まず、室内空気Pの温度及び湿度(相対湿度)から、室内空気Pの絶対湿度すなわち室内空気Pに含まれる水分量を算出する。この際、室内空気Pの温度及び湿度は、温度センサー3及び湿度センサー4の検出結果を用いる。
【0033】
次に、水位予測部13は、前述した除湿手段の除湿能力を求める。前述した除湿手段の除湿能力は、例えば、除湿装置5の性能と、除湿装置5を通過する室内空気Pの単位時間当たりの量とから求めることができる。除湿装置5の性能は、例えば除湿機の仕様から予め定まる。したがって、除湿装置5の性能の具体的な値については、例えば予め記憶部10dに記憶しておくことが考えられる。また、除湿装置5を通過する室内空気Pの単位時間当たりの量は、すなわち送風ファン2の風量から求めることができる。送風ファン2の風量の情報は、例えば運転制御部11から取得することが考えられる。
【0034】
続いて、水位予測部13は、室内空気Pに含まれる水分量と前述した除湿手段の除湿能力とから、前述の除湿手段が室内空気Pから除去する単位時間当たりの水分量を算出する。そして、水位予測部13は、前述の除湿手段が室内空気Pから除去する単位時間当たりの水分量に、前述の除湿手段の運転時間を乗じることで、除湿機が運転を開始してから今までに、前述の除湿手段が室内空気Pから除去した水分量のいわば理論値を算出する。前述した除湿手段の運転時間は、例えばタイマー部12により計時された結果を用いる。
【0035】
水位予測部13は、以上のようにして算出した前述の除湿手段により除去された水分量を積算していくことで、貯水タンク102の水位すなわち貯水タンク102の貯水量を予測する。この際の水分量の積算値は、例えば、貯水タンク102を筐体100から取り外し、貯水タンク102内の水を捨てる都度リセットされるようにしておく。
【0036】
運転制御部11は、前述した除湿手段の運転中において、次に述べる第1の条件及び第2の条件の少なくとも一方が成立した場合に、除湿手段の運転を停止させる。
【0037】
まず、第1の条件は、前述した貯水量検出手段すなわちフロートスイッチ9により検出された貯水タンク102の貯水量が前述した第1の貯水量以上となることである。前述したように、第1の貯水量は、貯水タンク102が満水になったことを判定するための貯水量である。そこで、貯水タンク102の貯水量が前述した第1の貯水量に達し、フロートスイッチ9が動作した場合、制御装置10の運転制御部11は、除湿装置5及び送風ファン2の動作を停止させる。
【0038】
次に、第2の条件は、前述した貯水量予測手段すなわち水位予測部13により予測された貯水タンク102の貯水量が第2の貯水量以上となることである。第2の貯水量も、前述した第1の貯水量と同様に、貯水タンク102が満水になったことを判定するための貯水量として予め設定される。第1の貯水量と第2の貯水量とは、同じ値としてもよいし、異なる値としてもよい。いずれにしても、第1の貯水量及び第2の貯水量は、その量まで貯水タンク102内に凝縮水Cが貯溜されても、貯水タンク102から水があふれ出すことがない量に設定される。
【0039】
以上のように構成された除湿機によれば、貯水量検出手段であるフロートスイッチ9に異常が発生し、貯水タンク102の貯水量を検出することができなくなってしまった場合であっても、貯水量予測手段である水位予測部13により予測された貯水量が前述した第2の貯水量以上となった場合に、除湿装置5の運転を停止できる。このため、フロートスイッチ9に異常が発生しても、貯水タンク102から水があふれることを防止することが可能である。
【0040】
次に、
図6のフロー図を参照しながら、この実施の形態に係る除湿機の動作の一例を説明する。まず、ステップS1において、運転スイッチ8が操作され、除湿機が除湿運転を開始すると、運転制御部11は、送風ファン2及び除湿装置5の除湿手段の運転を開始させる。
【0041】
除湿手段の運転が開始されると、続くステップS2で、まず、水位予測部13は、室内空気Pの温度及び湿度、並びに、除湿手段の除湿能力及び運転時間に基づいて、除湿手段が室内空気Pから除去した水分量を算出する。そして、水位予測部13は、算出した除湿手段により除去された水分量すなわち凝縮水Cの量を積算していく。ステップS2の後、処理はステップS3へと進む。
【0042】
ステップS3においては、運転制御部11は、貯水量検出手段の検出結果による貯水タンク102の満水判定を行う。すなわち、運転制御部11は、貯水タンク102の貯水量が前述した第1の貯水量に達してフロートスイッチ9が動作したか否かを確認する。フロートスイッチ9が動作した場合、処理はステップS5へと進む。
【0043】
ステップS5においては、運転制御部11は、送風ファン2及び除湿装置5の除湿手段の運転を停止させる。ステップS5の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
【0044】
一方、ステップS3でフロートスイッチ9が動作していない場合、処理はステップS4へと進む。ステップS3においては、運転制御部11は、貯水量予測手段の予測結果による貯水タンク102の満水判定を行う。すなわち、運転制御部11は、ステップS2で水位予測部13が凝縮水Cの量を積算した結果、貯水タンク102の貯水量の予測値が前述した第2の貯水量に達したか否かを確認する。貯水タンク102の貯水量の予測値が前述した第2の貯水量に達していない場合、処理はステップS2へと戻る。一方、貯水タンク102の貯水量の予測値が前述した第2の貯水量に達した場合、処理はステップS5へと進む。
【0045】
実施の形態2.
図7及び
図8は、この発明の実施の形態2に係るものである。
図7は除湿機が備える制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。そして、
図8は除湿機の動作例を示すフロー図である。
【0046】
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、貯水量検出手段に異常が発生したことを判定できるようにしたものである。以下、この実施の形態2に係る除湿機について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。
【0047】
この実施の形態に係る除湿機においては、まず、前述した第2の貯水量は、前述した第1の貯水量より大きい値に設定される。水位予測部13により予測された貯水量は、あくまでも予測値であるため、フロートスイッチ9により検出された貯水量の方が、より正確である。そこで、第2の貯水量を第1の貯水量より大きくすることで、フロートスイッチ9が正常であるうちは、貯水タンク102の貯水量が第1の貯水量以上となったことをフロートスイッチ9が検出した時点で、運転制御部11はタンク満水を判定して、除湿装置5等の運転を停止させる。
【0048】
そして、フロートスイッチ9に異常が発生し、貯水タンク102の貯水量が第1の貯水量に達してもフロートスイッチ9が動作しなかった場合に、水位予測部13により予測された貯水量が第2の貯水量に達した時に、運転制御部11はタンク満水を判定して、除湿装置5等の運転を停止させることができる。このように、前述した第2の貯水量を前述した第1の貯水量より大きい値に設定し、フロートスイッチ9による満水検知を、水位予測部13の予測値による満水判定よりも優先させることで、貯水タンク102に貯水できる量にバラつきが発生することを抑制できる。
【0049】
この実施の形態に係る除湿機においては、
図7に示すように、制御装置10は、運転制御部11、タイマー部12及び水位予測部13に加えて、フロート異常判定部14をさらに備えている。フロート異常判定部14は、前述の貯水量検出手段であるフロートスイッチ9に異常が発生したことを判定する異常判定手段である。フロート異常判定部14は、前述の貯水量検出手段による検出結果と前述の貯水量予測手段による予測結果とを用いて、貯水量検出手段に異常が発生したことを判定する。
【0050】
より具体的には、フロート異常判定部14は、フロートスイッチ9が動作せず、すなわち、フロートスイッチ9からスイッチの動作信号が入力回路10aに入力されていない状況で、水位予測部13により予測された貯水量が前述した第2の貯水量に達した場合に、フロートスイッチ9が異常であると判定する。
【0051】
前述したように、ここでは、前述した第2の貯水量は、前述した第1の貯水量より大きい値に設定されている。したがって、水位予測部13により予測された貯水量が前述した第2の貯水量以上である場合、水位予測部13による予測が正しければ、貯水タンク102の貯水量は前述した第1の貯水量以上でもあるはずである。にもかかわらず、フロートスイッチ9が動作していないことから、この場合、フロート異常判定部14は、フロートスイッチ9に何らかの異常が発生していると判定する。
【0052】
ここで、フロートスイッチ9からスイッチの動作信号が出力されない状態とは、貯水量検出手段としては、貯水タンク102の貯水量が前述した第1の貯水量未満であることを検出している状態であると言える。したがって、異常判定手段であるフロート異常判定部14は、前述の貯水量予測手段により予測された貯水タンク102の貯水量が前述した第2の貯水量以上であり、かつ、前述の貯水量検出手段により検出された貯水タンク102の貯水量が前述した第1の貯水量未満である場合、前述の貯水量検出手段が異常であると判定する。
【0053】
フロートスイッチ9が異常であるとフロート異常判定部14が判定した場合、例えば、フロート異常信号が出力回路10bから表示部7に出力される。そして、表示部7にフロートに異常が発生したことが表示される。
【0054】
次に、
図8のフロー図を参照しながら、この実施の形態に係る除湿機の動作の一例を説明する。
図8のフロー図におけるステップS1からS5は、
図6のステップS1からS5と、それぞれ同じである。このため、これらのステップのここでの説明は省略する。この実施の形態に係る
図8のフロー図では、ステップS4で貯水タンク102の貯水量の予測値が前述した第2の貯水量に達した場合、処理はステップS6へと進む。
【0055】
ステップS6においては、フロート異常判定部14は、フロートスイッチ9が異常であると判定する。そして、ステップS6の後、処理はステップS5へと進み、運転制御部11は、送風ファン2及び除湿装置5の除湿手段の運転を停止させる。ステップS5の処理が完了すると、一連の動作は終了となる。
【0056】
以上のように構成された除湿機においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。さらに、この実施の形態の除湿機では、フロート異常判定部14により、前述の貯水量検出手段による検出結果と前述の貯水量予測手段による予測結果とを用いて、貯水量検出手段に異常が発生したことの判定を行う。そして、貯水量検出手段に異常が発生したと判定された場合に、その旨を表示部7等に表示して使用者に報知できる。このため、フロートスイッチ9の確認、点検、修理の手配等の対応を使用者に促すことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 風向可変部
1a 縦方向ルーバー
1b 横方向ルーバー
1c 縦方向可変モーター
1d 横方向可変モーター
2 送風ファン
2a ファンモーター
3 温度センサー
4 湿度センサー
5 除湿装置
6 赤外線センサー
6a 赤外線吸収膜
6b サーミスタ
7 表示部
8 運転スイッチ
9 フロートスイッチ
10 制御装置
10a 入力回路
10b 出力回路
10c CPU
10d 記憶部
11 運転制御部
12 タイマー部
13 水位予測部
14 フロート異常判定部
100 筐体
101 吸込口
102 貯水タンク
103 排気口
C 凝縮水
P 室内空気
Q 乾燥空気