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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】空気電池およびそれに用いる負極複合体
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/08 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
H01M12/08 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018172530
(22)【出願日】2018-09-14
(65)【公開番号】P2020047380
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】泉 博章
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207494(JP,A)
【文献】特開2017-027735(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187888(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気電池用の負極複合体であって、
負極集電体と、
前記負極集電体の空気極側に積層され、空気電池の負極活物質である金属を含む負極層と、
前記負極層の空気極側に積層され、前記金属のイオンおよび有機電解液が通過可能な複数の空孔を有する第1のセパレータと、
前記第1のセパレータの空気極側に、前記第1のセパレータに対して電極間方向に移動可能に設けられ、前記金属のイオンおよび有機電解液が通過可能な複数の空孔を有する第2のセパレータと
前記第1のセパレータの負極層側および空気極側、並びに前記第2のセパレータの負極層側および空気極側からなる群から選ばれる少なくとも1つの位置に配置されるセラミックス粒子層と
を備える負極複合体。
【請求項2】
前記セラミックス粒子層のセラミックスが、アルミニウム、ジルコニウム、シリコン、及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種類の元素の酸化物である請求項1に記載の負極合体。
【請求項3】
前記セラミックス粒子層の粒子の中心粒径が、0.1~2.0μmの範囲である請求項1又は2に記載の負極複合体。
【請求項4】
前記負極集電体と前記第1のセパレータとにより前記負極層を封止してなる請求項1~3のいずれか一項に記載の負極複合体。
【請求項5】
前記第2のセパレータが、前記第1のセパレータに対して間隔をおいて配置されている請求項1~4のいずれか一項に記載の負極複合体。
【請求項6】
前記第2のセパレータの前記複数の空孔は、少なくとも一部において前記第1のセパレータの前記複数の空孔と位置が異なるように配置されている請求項1~5のいずれか一項に記載の負極複合体。
【請求項7】
前記負極集電体の空気極と反対側に積層され、前記有機電解液に耐性を有する樹脂シートを更に備える請求項1~6のいずれか一項に記載の負極複合体。
【請求項8】
前記第2のセパレータの空気極側に固体電解質を更に備え、前記第2のセパレータは、ガスが通過可能な開口を有する請求項1~7のいずれか一項に記載の負極複合体。
【請求項9】
前記負極集電体の両側にそれぞれ前記負極層が積層され、これら2つの負極層の外側にそれぞれ前記第1のセパレータが積層され、これら2つの第1のセパレータの外側にそれぞれ前記第2のセパレータが設けられ、これら2つの第2のセパレータの外側にそれぞれ固体電解質を更に備える請求項1~8のいずれか一項に記載の負極複合体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の負極複合体と、空気極とを備える空気電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気電池およびそれに用いる負極複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
空気電池は、負極活物質として金属リチウム等を使用し、正極活物質として大気中の酸素を使用するものであり、エネルギー密度が高く、本格的電気自動車の普及に必要とされる700Wh/kgのエネルギー密度を得られる電池として期待されている。このエネルギー密度は、現在車載が始まっているリチウムイオン電池を7倍上回るものである。
【0003】
従来、特許文献1に開示されるように、空気電池の負極複合体の内部構造は、固体電解質(ガラスセラミック)とLi負極の直接の接触を防ぐために、多孔質樹脂シート、例えば、リチウムイオン電池用セパレータ(多孔質のポリエチレンやポリプロピレン、セルロース等のシート)に非水系電解液等を含浸させたものやポリマー電解質等の保護層を緩衝層として設けている。しかしながら、充電時に負極に析出したLiが微粉化し分散することで、負極集電体近傍に保持できなくなり、充放電に寄与せず、充放電特性が低下する課題がある。
【0004】
また、特許文献2に開示されるように、気密性の高い金属箔ラミネート材を空気電池の外装材として使い、空気孔の位置を電極接合体の拘束された面と対向しない位置に設けて、正極に均一な圧力を加えることにより、正極と負極の距離を均一にして、デンドライトの抑制を行う方法がある。しかしながら、デンドライトを緩和できたとしても、充電時のLiを負極集電体近傍に保持するのは困難であり、充放電特性の向上に課題がある。
【0005】
更に、特許文献3に開示されるLiイオンキャパシタでは、金属Li板の両表面を2枚のセパレータで覆って端部を融着接合し、金属Li板を封止した構造により、セル作製初期のプレドープの過程にて、電解液注入後に金属Li板が溶解してLiイオンとして電解液中に拡散させているが、その際にLi金属の小片の遊離物がセル内に流出することを防ぎ、短絡などによる特性劣化を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-122295号公報
【文献】特開2013-020724号公報
【文献】特開2009-054712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
空気電池の負極側において、充放電サイクルを重ねるうちに、負極集電体の表面において負極活物質であるLi等の金属のデンドライトが析出し、更にデンドライトが折れて微粉化し、負極複合体内部に分散することとなると、このような分散したLi等の金属は充放電に寄与せず、よって、空気電池の充放電特性が低下するという問題がある。また、非水溶液系の空気電池では、この微粉化したLi等の金属が正極に至ると、正極と負極の間での内部短絡が生じるおそれもある。一方、水溶液系の空気電池では、微粉化したLi等の金属が固体電解質に至ると、固体電解質を劣化させるおそれがある。
【0008】
そこで、本出願人は、先に出願した特願2016-087103において、金属Liの負極層を、Liイオンを通す材料のセパレータで封止し、袋状等とする構造にしたり、先に出願した特願2017-164226において、この構造に加えて更に、固体電解質の保護層として、Liイオンを通す材料の第2のセパレータを設け、外装体にその端部を溶着させる構成にすることにより、充放電サイクルを繰り返しても、微粉化したLiが負極複合体内に分散したり、固体電解質に到達したりするのを防止することができ、よって、充放電サイクル特性を向上できることを提案している。
【0009】
本出願人は更に研究を重ねたところ、上述した保護層を設ける構造にすることで、充放電で微粉化したLiが、負極層を封止する最初のセパレータを通過しても固体電解質までには至らず、固体電解質の劣化が抑制される効果を持つことを確認したが、所望する優れた充放電サイクル特性を達成するのには、更なる改善が必要である。
【0010】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、長期間の充放電サイクルによっても、微粉化した負極活物質であるLi等の金属が負極層から離れて分散することを防ぐことができ、且つ充放電サイクル特性を更に向上することができる空気電池およびそれに用いる負極複合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、その一態様として、空気電池用の負極複合体であって、この負極複合体は、負極集電体と、前記負極集電体の空気極側に積層され、空気電池の負極活物質である金属を含む負極層と、前記負極層の空気極側に積層され、前記金属のイオンおよび有機電解液が通過可能な複数の空孔を有する第1のセパレータと、前記第1のセパレータの空気極側に、前記第1のセパレータに対して電極間方向に移動可能に設けられ、前記金属のイオンおよび有機電解液が通過可能な複数の空孔を有する第2のセパレータと、前記第1のセパレータの負極層側および空気極側、並びに前記第2のセパレータの負極層側および空気極側からなる群から選ばれる少なくとも1つの位置に配置されるセラミックス粒子層とを備えるものである。セラミックス粒子層は、前記第1のセパレータの負極層側に配置されることが好ましく、前記第1のセパレータの負極層側と空気極側の両方に配置されることがさらに好ましい。なお、「電極間方向」とは、負極から空気極への方向又はその逆方向を意味する。また、「移動可能」とは、第2のセパレータの一部が第1のセパレータに対して着いたり離れたりする等の移動ができることを意味する。
【0012】
前記セラミックス粒子層のセラミックスは、アルミニウム、ジルコニウム、シリコン、及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種類の元素の酸化物であることが好ましい。
【0013】
前記セラミックス粒子層の粒子の中心粒径は、0.1~2.0μmの範囲であることが好ましい。
【0014】
前記負極集電体と前記第1のセパレータとにより前記負極層を封止してなることが好ましい。
【0015】
前記第2のセパレータは、前記第1のセパレータに対して間隔をおいて配置されていてもよい。
【0016】
前記第2のセパレータの前記複数の空孔は、少なくとも一部において前記第1のセパレータの前記複数の空孔と位置が異なるように配置されていることが好ましい。
【0017】
前記負極集電体の空気極と反対側に積層され、前記有機電解液に耐性を有する樹脂シートを更に備えることが好ましい。
【0018】
前記第2のセパレータの空気極側に固体電解質を更に備えてもよく、この場合、前記第2のセパレータは、ガスが通過可能な少なくとも1箇所の開口部を有することが好ましい。なお、この開口部は、負極複合体ないし空気電池の製造時においては、混入するアルゴン等の不活性ガスのガス抜き用として機能し、また、負極複合体ないし空気電池の使用時においては、有機電解液の浸入口用としても機能するものである。
【0019】
前記負極集電体の両側にそれぞれ前記負極層が積層され、これら2つの負極層の外側にそれぞれ前記第1のセパレータが積層され、これら2つの第1のセパレータの外側にそれぞれ前記第2のセパレータが設けられ、これら2つの第2のセパレータの外側にそれぞれ固体電解質を更に備えるという構成にしてもよい。
【0020】
本発明は、別の態様として、空気電池であって、この空気電池は、上述した負極複合体と、空気極とを備えるものである。非水溶液系の空気電池の場合、負極複合体の負極集電体と空気極との間の空間に有機電解液を備えるという構成にしてもよい。また、水溶液系の空気電池の場合、負極複合体は固体電解質を備え、負極複合体の負極集電体と固体電解質との間の空間に有機電解液を備え、固体電解質と空気極との間の空間に水溶液系電解質を備えるという構成にしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る空気電池用の負極複合体によれば、負極層が、負極集電体と、前記負極集電体の空気極側に積層され、空気電池の負極活物質である金属を含む負極層と、前記負極層の空気極側に積層され、前記金属のイオンおよび有機電解液が通過可能な複数の空孔を有する第1のセパレータと、前記第1のセパレータの空気極側に、前記第1のセパレータに対して電極間方向に移動可能に設けられ、前記金属のイオンおよび有機電解液が通過可能な複数の空孔を有する第2のセパレータと、前記第1のセパレータの負極層側および空気極側、並びに前記第2のセパレータの負極層側および空気極側からなる群から選ばれる少なくとも1つの位置に配置されるセラミックス粒子層とを備える構成とすることで、負極層で発生した負極活物質である金属の微粉は、第1のセパレータ内の圧力上昇によって第1のセパレータを通過しても、第2のセパレータには圧力が掛かりにくいため、すなわち、第1のセパレータと第2のセパレータとの間に圧力緩和空間が生じるため、第2のセパレータを金属の微粉が通り抜けるのを抑制することができるとともに、セラミックス粒子層を設けた第1又は第2のセパレータの表面の状態が変わり、有機電解液の浸透性が向上し、第1又は第2のセパレータの負極層側と空気極側とで有機電解液の入れ替わりが速くなり、有機電解液の劣化やガス発生に伴うガス溜まりによるセル内部抵抗の増大及び負極層の劣化を抑制し、よって、充放電サイクル特性を向上させることができる。
【0022】
特に、本発明者は、前記第2のセパレータを設けることによって負極活物質であるリチウム等の金属の微粉が固体電解質まで至るのを抑制できたものの、長時間の充放電サイクルにより、金属の微粉が第1のセパレータと第2のセパレータとの間に留まり、デッドリチウム化(充放電に寄与しないLi粉)し、これも負極容量の減少及び負極の劣化の原因となっていることを見出した。そこで、セラミックス粒子層を、第1のセパレータの負極層側に配置、さらに空気極側に配置することで、少なくとも一方の表面に配置する構成とすることで、第1のセパレータの空孔が部分的に塞がれて、第1のセパレータの空孔から、負極活物質である金属がデンドライト状に成長するのを防ぐことができ、第1のセパレータよりも空気極側に負極活物質である金属の微粉が漏洩するのを防ぐことができる。よって、長期間の充放電サイクルによっても、負極活物質である金属の微粉を負極集電体の近傍に留めることができ、充放電サイクル特性を更に向上させることができる。
【0023】
前記セラミックス粒子層のセラミックスを、アルミニウム、ジルコニウム、シリコン、及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種類の元素の酸化物とすることで、これらは負極活物質であるLi等の金属及び有機電解液に対して電気化学的に安定であり、よって、電池の充放電反応に大きな影響を及ぼすことなく、充放電サイクル特性を向上させることができる。
【0024】
前記セラミックス粒子層の粒子の粒径を0.1~2.0μmの範囲とすることで、第1のセパレータまたは第2のセパレータの空孔の目詰まりを抑制しつつ、また、電池の内部抵抗の増加を抑制しつつ、更に、負極活物質であるLi等の金属のデンドライトがセラミックス粒子層から漏洩するのを抑制しつつ、充放電サイクル特性を向上させることができる。
【0025】
前記負極集電体と前記第1のセパレータとにより前記負極層を封止する構成にすることで、負極層で発生した負極活物質である金属の微粉が、第1のセパレータを容易に通り抜けるのを防ぐことができる。よって、多くの金属微粉を負極集電体のより近傍に留めることができ、充放電サイクル特性を更に向上することができる。
【0026】
前記第2のセパレータが前記第1のセパレータに対して間隔をおいて配置される構成とすることで、第1のセパレータと第2のセパレータとの間の圧力緩和空間を十分にとることができ、第2のセパレータを金属の微粉が通り抜けるのをより確実に防止することができる。
【0027】
前記第2のセパレータの前記複数の空孔は、少なくとも一部において前記第1のセパレータの前記複数の空孔と位置が異なるように配置される構成とすることで、第1のセパレータの空孔を通過した金属の微粉が、そのまま第2のセパレータの空孔を通過してしまうことを防止することができ、よって、第2のセパレータでより確実に金属の微粉を留めることができる。
【0028】
前記第2のセパレータの空気極側に固体電解質を更に備え、前記第2のセパレータが、ガスが通過可能な開口を有する構成にすることで、固体電解質と第2のセパレータとの間の領域に、負極複合体の製造時に侵入するガスによるガス溜まりができるのを防ぐことができ、よって、セルの内部抵抗増加を抑制することができ、充放電サイクル特性が低下するのを防ぐことができる。また、このようなガス溜まりを考慮して製造する必要がなくなることから、歩留まりを良くすることができる。
【0029】
前記負極集電体の空気極と反対側(すなわち、裏面)に積層され、前記有機電解液に耐性を有する樹脂シートを更に備える構成とすることで、充放電時に負極集電体の裏面に負極活物質である金属が析出するのを防止することができ、よって、金属の微粉化も抑制することができる。また、負極集電体の強度および剛性を高くすることができ、よって、放充電時の負極集電体の耐久性を向上できるとともに、負極複合体の作製時の作業性も向上できる。
【0030】
前記負極集電体の両側にそれぞれ前記負極層が積層され、これら2つの負極層の外側にそれぞれ前記第1のセパレータが積層され、これら2つの第1のセパレータの外側にそれぞれ前記第2のセパレータが設けられる構成にすることで、1つの負極複合体の両面にそれぞれ空気極を配置して容器に封入する構造の空気電池にすることができ、1つの空気極の一面を1つの負極複合体の一面に正対させて容器に封入する構造の空気電池に比べて、体積を小さくすることができる。
【0031】
本発明に係る負極複合体は、非水溶液系の空気電池にも、水溶液系の空気電池にも用いることができる。本発明に係る空気電池は、上述した負極複合体と、空気極とを備えるものであり、そして、充放電サイクル特性を更に向上することができるとともに、非水溶液系の空気電池では、微粉化した負極活物質である金属が正極に至るのを抑制することができ、正極と負極の間での内部短絡を抑制することができ、水溶液系の空気電池では、微粉化した負極活物質である金属が固体電解質に至るのを抑制することができ、固体電解質の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1の実施形態に係る空気電池用の負極複合体を模式的に示す断面図である。
図2図1に示す空気電池用の負極複合体を模式的に示す平面図である。
図3図1に示す空気電池用の負極複合体の一部を拡大して示す断面図である。
図4】第2の実施形態に係る空気電池用の負極複合体を模式的に示す断面図である。
図5】(a)は第2の実施形態における第1のセパレータを折り返して袋状にして負極集電体の集電部を挿入した状態を模式的に示す平面図であり、(b)はその裏面図である。
図6】第3の実施形態に係る空気電池用の負極複合体を模式的に示す断面図である。
図7】第4の実施形態に係る空気電池を模式的に示す断面図である。
図8】第5の実施形態に係る空気電池を模式的に示す断面図である。
図9】実施例における空気電池のサイクル回数ごとの放電と充電の平均、最終電圧、及び放電と充電の達成率の関係を示すグラフである。
図10】比較例における空気電池のサイクル回数ごとの放電と充電の平均、最終電圧、及び放電と充電の達成率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る空気電池用の負極複合体およびそれを用いた空気電池の実施形態について説明する。なお、負極活物質が金属Liの場合の空気電池について説明するが、本発明はこれに限定されず、Mgや、Al、In等の金属とのLi合金を負極活物質とする空気電池でも同様の効果を得ることができる。
【0034】
[第1の実施形態]
まず図1及び図2を用いて、第1の実施形態に係る水溶液系のリチウム空気電池用の負極複合体について説明する。図1に示すように、第1の実施形態に係る負極複合体1は、図1において上下に設けられた2枚の金属箔ラミネートフィルム20a、20bの間に、固体電解質から構成されている隔離層5と、第2のセパレータ36と、負極積層体30とが挟まれた積層構造となっている。空気電池の空気極(図示省略)側に位置する一方の金属箔ラミネートフィルム20aには、その平面においてほぼ中央の位置に、開口部4が設けられている。
【0035】
開口部4を有する金属箔ラミネートフィルム20aは、負極複合体1の内側から外側に向けて(図中、下から上へ向けて)、第1の樹脂層21、金属箔層22、第2の樹脂層23の順に3つの層が積層されたシートとなっている。他方の金属箔ラミネートフィルム20bも、同様に、負極複合体1の内側から外側に向けて(図中、上から下へ向けて)、第1の樹脂層21、金属箔層22、第2の樹脂層23の順に3つの層が積層されたシートとなっている。2枚の金属箔ラミネートフィルム20a、20bの周縁部は熱溶着によって接合されており、これにより外装体2を形成する。
【0036】
第1の樹脂層21には、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、融点が低く、熱加工が容易でヒートシール(熱溶着)に適しており、負極複合体1の製造を容易とする。
【0037】
金属箔層22は、ガスバリア性及び強度向上のためのものであり、例えば、アルミ箔、SUS箔、銅箔等の金属箔を使用することができる。
【0038】
第2の樹脂層23には、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂や、ナイロン系樹脂を用いることができる。これらの樹脂材料は、耐熱性及び強度に優れている。そのため、負極複合体1の強度等を向上することができる。
【0039】
なお、本第1の実施形態では、金属箔ラミネートフィルム20は3層構造となっているが、各層の間に、例えばナイロンフィルム等の1層又は複数の樹脂フィルムを積層し、4層以上の構造としてもよい。
【0040】
金属箔ラミネートフィルム20aの開口部4は、図2に示すように、平面において四角形の形状を有している。そして、金属箔ラミネートフィルム20aの内側に、開口部4を塞ぐように、隔離層5が配置されている。すなわち、隔離層5の平面における大きさは、金属箔ラミネートフィルム20の開口部4よりも大きく、隔離層5の周縁部5aが金属箔ラミネートフィルム20aの開口部4の内側周縁部に溶着され固定されている。
【0041】
隔離層5は、固体電解質で構成されており、電圧を印可することによりリチウムイオン等の負極活物質である金属のイオンを透過することができる。固体電解質としては、例えば、リチウムイオン伝導性に優れ不燃性であるガラスセラミック等を用いることができる。また特に、電解液に水溶液系の電解液を用いた場合には、耐水性の高いLATP系ガラスセラミック電解質を用いることができる。LATPとはNASICON型の結晶構造をもつLi、Ti、Al、P、Si、O等からなる酸化物である。
【0042】
もう一方の開口部のない金属箔ラミネートフィルム20bと隔離層5との間に、隔離層5側から順に、第2のセパレータ36と、負極積層体30とが配置されている。負極積層体30は、その4辺の端が、上下の金属箔ラミネートフィルム20a、20bに挟まれ、溶着され固定されている。
【0043】
負極積層体30は、開口部のない金属箔ラミネートフィルム20bの側から順に、フィルム31、負極集電体32、金属リチウムからなる負極層33、セラミックス粒子層40、第1のセパレータ34の順に5つの層が積層した構造となっている。第1のセパレータ34の4辺の端は、負極集電体32に溶着され、固定されており、これによって負極集電体32と第1のセパレータ34とにより負極層33を封止する構成となっている。なお、セラミックス粒子層40は負極層33に対しては固定されていない。
【0044】
負極集電体32は、図1及び図2に示すように、フィルム31と負極層33とに挟まれている集電部32aと、そこから外装体2の外方まで延伸している端子部32bとから構成される。負極集電体32の集電部32aは、平面において四角形の形状(例えば、外装体2の開口部4と同様の形状)を有し、端子部32bは、それよりも幅の狭い線形の形状を有している。負極集電体32の集電部32aは、4辺の端部まで全て第1のセパレータ34に覆われるように、第1のセパレータ34と接合している。
【0045】
負極集電体32の材料は、空気電池の動作範囲で安定して存在でき、所望する導電性を有していればよく、例えば、銅、ニッケルなどを挙げることができる。
【0046】
負極層33は、上述したように第1のセパレータ34と負極集電体32との間で封止されており、よって、負極層33の平面における大きさは、第1のセパレータ34よりも小さいものとなっている。また、負極層33の負極複合体1における平面上の位置は、隔離層5の平面上の位置にほぼ対応する場所に配置されている。
【0047】
負極層33の負極活物質としては、上述したように、リチウム以外の金属であってもよく、例えば、亜鉛などの金属を用いることができるが、開放電圧が高く、実用的な観点からリチウムがより好ましい。また、負極活物質は、金属リチウムに限定されず、リチウムを主成分とする合金もしくは化合物であってもよい。リチウムを主成分とする合金は、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛等を含むことができる。
【0048】
第1のセパレータ34は、リチウムイオン等の負極活物質である金属のイオンや有機電解液が通過可能な複数の空孔を有するものである。このような第1のセパレータ34として、例えば、リチウムイオン電池等のセパレータとして使用されている多孔質のポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、セルロース等のシートを用いることができる。これらの材料以外に、多孔質構造を持つアラミド、ポリテトラフルオロエチレン、毛細管状構造の酸化アルミニウム等の材質を用いることができる。また、これら材料のシートに有機電解液を含浸させたものを用いることができる。
【0049】
第1のセパレータ34の材料としては、空孔率が約40%~90%、厚みが約10~300μm程度のものを用いることができ、約15~100μmのものが、より好適に用いることができる。空孔の大きさは、約20nm~500nm程度であればよく、より好ましくは約20~70nm程度であればよい。また、第1のセパレータ34自体にある程度の剛性、強度を有するものがより好ましい。
【0050】
第2のセパレータ36は、その4辺の端37が、開口部4を有する金属箔ラミネートフィルム20aの内側に熱溶着によって接合されている。なお、図2に示すように、第2のセパレータ36の端の一部分を、金属箔ラミネートフィルム20aと接合しないことで、第1のセパレータ34と第2のセパレータ36の間の空間と、第2のセパレータ36と隔離層5の間の空間との間でガスが連通可能な開口9を設けることができる。負極複合体1の製造過程において、第2のセパレータ36と隔離層5の間の空間にガスが侵入し、ガス溜まりができるおそれがあるが、この開口9を設けることで、ガス溜まりができるのを抑制することができる。
【0051】
また、第2のセパレータ36は、図1に示すように、隔離層5とも負極積層体30の第1のセパレータ34とも、それぞれ間隔をおいて設けられている。そして、開口部4を隔離層5で塞がれた2枚の金属箔ラミネートフィルム20a、20bの間の空間3には、有機電解液等が封入されている。
【0052】
第2のセパレータ36の材料としては、上述した第1のセパレータ34と同じ材料を用いることができる。また、空孔率、厚み、空孔の大きさの各条件も、第1のセパレータ34と同様のものを用いることができる。
【0053】
第1のセパレータ34の空孔6の位置と第2のセパレータ36の空孔6の位置とは、図3に示すように、おおむね互いに重ならないように配置されている。また、上述したように、第2のセパレータ36は周縁部のみが接合されており、第1のセパレータ34に対して電極間方向に移動可能に設けられている。
【0054】
セラミックス粒子層40は、複数のセラミックス粒子によって構成されている層である。セラミックス粒子層40は、第1のセパレータ34の負極層33側の表面に設けられている。セラミックス粒子層40に用いるセラミックスとしては、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、シリコン、及びマグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種類の元素の酸化物を用いることができる。特にこれらのセラミックスは、Li金属及び有機電解液に電気化学的に安定であるため、電池の充放電反応に影響を及ぼすことなく好ましい。さらにコストの観点からアルミニウムの酸化物が特に好ましい。
【0055】
セラミックス粒子層40に用いるセラミックス粒子の中心粒径としては、0.1~2.0μmの範囲が好ましく、0.2~1.2μmの範囲がより好ましい。セラミックス粒子の中心粒径が0.1μm未満となると、第1のセパレータ34の空孔の孔径より小さくなるため、第1のセパレータ34の空孔が目詰まりしやすくなる。また、セラミックス粒子の中心粒径が2.0μmより大きくなると、セラミックス粒子層40が厚くなりすぎたり、厚みにムラが生じ易くなるため、電池の内部抵抗増加の要因となったり、粒子間に大きな隙間が生じることで、Liデンドライトがセラミックス粒子層40を突き抜けて漏洩の可能性が高まることになる。このような範囲の中心粒径を有するセラミックス粒子は市販されている。また、セラミックス粒子の中心粒径は、市販されているレーザー回折式粒度分布測定装置で測定することができ、測定により得られた体積基準の粒度分布曲線における50%積算値(50%粒子径)を指す。
【0056】
セラミックス粒子層40の厚さは、セラミックス粒子層40を設ける第1のセパレータ34の通気性を損なわず、電池の内部抵抗の増加しない範囲であれば、特に限定されないが、例えば、塗布の作業性及び実用性の観点から、1~10μmの範囲が好ましく、2~8μmの範囲がより好ましい。
【0057】
第1のセパレータ34の表面にセラミックス粒子層40を設ける方法としては、例えば、セラミックス粉末のスラリーを作製し、このスラリーを第1のセパレータ34に塗布機で塗布する方法が挙げられる。セラミックス粉末のスラリーを作製するために、例えば、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤や、例えば、N-メチル-2-ピロリドン等の有機溶剤の分散溶剤を用いることができる。結着剤や分散溶剤は、電池に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されず、スラリーの固形分の分散性を良好にするため、必要に応じて添加剤等を加えてもよい。セラミックス粒子層40は、第1のセパレータ34の表面全体に塗布してもよいし、負極層33に相当する領域の部分に塗布してもよい。
【0058】
フィルム31は、負極集電体32の集電部32aの裏側全面を覆っている。なお、フィルム31は、集電部32aの裏側全面を接合してもよいし、周縁部のみを接合してもよい。また、フィルム31は、負極集電体32の全面のみならず、側面(端部)まで覆ってもよい。フィルム31としては、有機電解液を通さず且つ有機電解液に対して耐性のある、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂シート等を用いることができる。特に、セラミックス粒子層40を第1のセパレータ34の負極層側の表面全体に形成した場合、第1のセパレータ34のこの面を、フィルム31と熱溶着接合するためには、フィルム31として、有機電解液に対する耐性を有するとともに、熱溶着可能な酸変性ポリプロピレン等の熱溶着樹脂シートを用いることがより好ましい。この場合、フィルム31の大きさを、負極集電体32の集電部32aより一回り大きな形状とし、集電部32aの外周の3辺でフィルム31と第1のセパレータ34とを重ね合わせて熱溶着接合することが好ましい。
【0059】
有機電解液としては、例えば、PC(プロピレンカーボネート)、EC(エチレンカーボネート)、DMC(ジメチルカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)等の炭酸エステル系や、EGDME(エチレングリコールジメチルエーテル)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系の有機溶媒やその混合溶媒に、電解質であるLiPF(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO(過塩素酸リチウム)、LiBF(テトラフルオロほう酸リチウム)、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)等を添加したものを用いることができる。有機電解液の他には、リチウム塩をポリマーに分散させた固体電解質であってもよいし、リチウム塩を溶解した有機電解液をポリマーに膨潤させたゲル電解質であってもよい。リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiBF、LiTFSI(LiN(SOCF)、LiFSI(LiN(SOF))、LiBOB(ビスオキサラトホウ酸リチウム)等を挙げることができる。ゲル電解質のホストとなるポリマーは、PEO(ポリエチレンオキシド)、PPO(ポリプロピレンオキシド)、PVA(ポリビニルアルコール)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PVP(ポリビニルピロリドン)、PEO-PMA(ポリエチレンオキシド修飾ポリメタクリレートの架橋体)、PVdF(ポリフッ化ビリニデン)、PVA(ポリビニルアルコール)、PAA(ポリアクリル酸)、PVdF-HFP(ポリフッ化ビリニデンとヘキサフロオロプロピレンとの共重合体)等を挙げることができる。
【0060】
このような構成によれば、図1に示すように、負極層33は第1のセパレータ34に包まれた構造となっており、負極層33から負極複合体1内へのLiの微粉の分散を抑制することができ、充放電サイクル特性が改善されている。しかし、長期間の充放電サイクルにより第1のセパレータ34の内部に生成する微粉化したLi(図3中の符号7)の体積が多くなり、第1のセパレータ34の内部の圧力が上昇することにより、僅かに微粉化したLiが第1のセパレータ34から通り抜けてしまい、これが隔離層5に到達すると、隔離層5の固体電解質を劣化させ、セルが破損するという問題が生じ得る。
【0061】
本実施の形態では、第1のセパレータ34と隔離層5との間に、第2のセパレータ36が設けられていることから、微粉化したLiが固体電解質と接触するためには、第1のセパレータ34の空孔6を通過した後、更に第2のセパレータ36の空孔6も通過しなければならない。特に、第2のセパレータ36は、上述したように第1のセパレータ34に対して電極間方向に移動可能に設けられていることから、第2のセパレータ36には、第1のセパレータ34とは異なり、圧力が掛かりにくいため、第2のセパレータ36からLi粉が漏洩し難く、固体電解質の劣化を大きく抑制することができる。また、第1のセパレータ34と第2のセパレータ36とでは、空孔6の位置が互いに重なっていないため、微粉化したLiが第2のセパレータ36の空孔6を通過しにくく、よって、Li粉が固体電解質と接触する可能性は更に低くなる。
【0062】
なお、図1では、第1のセパレータ34と第2のセパレータ36との間に間隔を設けたが、上述したように第2のセパレータ36は第1のセパレータ34に対して電極間方向に移動可能に設けられていることから、第2のセパレータ36を第1のセパレータ34に隣接して設けた場合であっても、第1のセパレータ34と第2のセパレータ36との間に、圧力緩和空間(図3の符号3a)が生じ、よって、第2のセパレータ36には圧力が掛かりにくいため、第2のセパレータ36からLi粉が漏洩するのを防ぐことができる。
【0063】
また、本実施の形態では、第1のセパレータ34の負極層側の表面にセラミックス粒子層40が設けられていることから、第1のセパレータ34の表面の状態が変わり、有機電解液の浸透性が向上し、第1のセパレータ34の負極層側と空気極側とで有機電解液の入れ替わりが速くなり、有機電解液の劣化やガス発生に伴うガス溜まりによるセル内部抵抗の増大及び負極層の劣化を抑制し、セルの耐久性も上がり、充放電サイクル特性が向上する。
【0064】
なお、図1では、セラミックス粒子層40を、第1のセパレータ34の負極層側の表面に配置しているが、本発明はこれに限定されず、このセラミックス粒子層40に替えて又は加えて、図3に示すように、第1のセパレータ34の空気極側の表面にセラミックス粒子層41を配置してもよい。また、これに替えて又は加えて、図3に示すように、第2のセパレータ36の負極層側の表面にセラミックス粒子層42を配置してもよし、これに替えて又は加えて、第2のセパレータ36の空気極側の表面にセラミックス粒子層43を配置してもよい。第1及び第2のセパレータ34、36のいずれのセパレータであっても、負極層側および空気極側の少なくとも一方の表面にセラミックス粒子層40~43を設けることで、上述したように第1又は第2のセパレータ34、36の表面の状態が変わり、有機電解液の浸透性が向上し、第1又は第2のセパレータ34、36の負極層側と空気極側とで有機電解液の入れ替わりが速くなり、上述したように充放電サイクル特性を向上させることができる。
【0065】
特に、第1のセパレータ34の負極層側および空気極側の少なくとも一方の表面にセラミックス粒子層40、41を設けることによって、第1のセパレータ34の空孔が部分的に塞がれて、第1のセパレータ34の空孔からLiがデンドライト状に成長するのを抑制することができ、よって、第1のセパレータ34よりも空気極側にLi粉が漏洩するのが抑制され、第1のセパレータ34と第2のセパレータ36との間に留まるLi粉のデッドリチウム化の問題が解消されて、充放電サイクル特性を更に向上することができる。
【0066】
[第2の実施形態]
図4を用いて、第2の実施形態に係る水溶液系のリチウム空気電池用の負極複合体について説明する。なお、本第2の実施形態は、第1の実施形態(図1~3)の変形例であるため、図面における同一部分については同一番号を付して重複する説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
【0067】
図4に示すように、第2の実施形態における負極複合体1Aにおいては、負極層33の空気極側に積層した第1のセパレータ34Aが、負極層33の3辺の端で負極層33の空気極とは反対側(すなわち、裏面)にまで折り返した構造となっている。さらに、第1のセパレータ34Aは、図1のフィルム31に代わって、負極集電体32の集電部32aの全面を覆っている。すなわち、第1のセパレータ34Aが袋状に構成され、この袋の中に負極層33及び負極集電体32の集電部32aが挿入されている。
【0068】
セラミックス粒子層40は、図4では、負極層33の空気極側を覆う第1のセパレータ34Aの表面にのみ形成されているが、本発明はこれに限定されず、負極集電体32の集電部32aを覆う第1のセパレータ34Aの表面にも形成してよい。このように第1のセパレータ34Aの表面全体にセラミックス粒子層40が形成されている場合、このセラミックス粒子層40が覆われた部分同士で第1のセパレータ34Aを熱溶着接合することは難しいことから、酸変性ポリプロピレンフィルム等の熱溶着樹脂シートを用いて第1のセパレータ34A同士を接合することが好ましい。例えば、図5(a)、(b)に示すように、負極層33を覆う側および集電部32aを覆う側の両方の第1のセパレータ34Aの大きさ(図中破線)をそれぞれ、負極集電体32の集電部32aより一回り大きな形状とし、集電部32aの外周の3辺で第1のセパレータ34A同士を重ね合わせ、更にこの3辺の端部をその外側から、熱溶着樹脂シートからなる3つのテープ35をそれぞれ二つ折りにして挟んで、熱溶着接合してもよい。または、上記の外側から挟むテープ35に替えて、負極集電体32の集電部32aの裏面に、第1のセパレータ34Aと同様に集電部32aより一回り大きな形状の熱溶着樹脂シート(図示省略)を接合し、集電部32aの外周の3辺で第1のセパレータ34A同士を、熱溶着樹脂シートを介して重ね合わせて熱溶着接合してもよい。なお、集電部32aの端子部32b側の辺の端部も、必要により、熱溶着樹脂シート(図示省略)を介して集電部32aと第1のセパレータ34Aとを熱溶着接合してもよい。
【0069】
第2のセパレータ36Aの周縁部は、第1のセパレータ34Aと、負極層33よりも平面上外周側に位置する部分において、熱溶着によって接合されている。例えば、図1に示すように、第2のセパレータ36Aの周縁部38は、第1のセパレータ34Aが負極集電体32と直接的に接合している部分で第1のセパレータ34Aと接合されている。また、第2のセパレータ36Aの周縁部39は、第1のセパレータ34Aが負極層33の側面と直接的に接合している部分で第1のセパレータ34Aと接合されている。
【0070】
このような構成によれば、先ず、第1のセパレータ34Aが、負極集電体32の裏面まで折り返されて負極集電体32と接合した構造となっているので、充放電時に負極活物質であるLi等の金属を負極集電体32の面上に効果的に保持することができる。そのため、負極複合体1Aの内部における負極活物質である金属の微粉化の発生及び分散を抑制することができ、充放電サイクル特性を更に向上することができる。
【0071】
また、第2のセパレータ36Aの周縁部が、第1のセパレータ34Aの周縁部と接合した構成となっているので、負極層33の平面上で位置する領域において、第2のセパレータ36Aは第1のセパレータ34Aに対して電極間方向に移動可能となっている。よって、第1のセパレータ34Aと第2のセパレータ36Aとの間に圧力緩和空間3aが生じ、第2のセパレータ36Aには圧力が掛かりにくく、よって、第2のセパレータ36Aから金属微粉が漏洩するのを抑制でき、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
[第3の実施形態]
図6を用いて、第3の実施形態に係る水溶液系のリチウム空気電池用の負極複合体について説明する。なお、本第3の実施形態は、第1の実施形態(図1~3)の変形例であるため、重複する説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
【0073】
図6に示すように、本第3の実施形態における負極複合体1Bにおいては、負極集電体32を境界に図中上下両面に、負極層33a、33b、セラミックス粒子層40a、40b、第1のセパレータ34a、34b、第2のセパレータ36a、36b、隔離層5a、5b、金属箔ラミネートフィルム20a、20bをそれぞれ設けた構造となっている。
【0074】
このような構成とすることで、第1の実施形態では負極集電体32の裏面を覆っていたフィルム31や、負極複合体1の裏面を覆う金属箔ラミネートフィルム20bを省いて、負極複合体の両面にそれぞれ空気極を配置するという構造の空気電池にすることができる。よって、1つの空気極の一面を1つの負極複合体の一面に正対させる構造の空気電池に比べて、体積を小さくすることができる。
【0075】
[第4の実施形態]
図7を用いて、第4の実施形態に係る水溶液系のリチウム空気電池について説明する。なお、本第4の実施形態は、第1の実施形態(図1~3)および第2の実施形態(図4図5)の負極複合体の変形例を用いたものであるため、重複する説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
【0076】
図7に示すように、水溶液系のリチウム空気電池100は、金属箔ラミネートフィルム20aの外側に、開口部4を塞ぐように、空気極50が配置されている。空気極50の平面における大きさは、金属箔ラミネートフィルム20aの開口部4よりも大きく、空気極50の周縁部は、金属箔ラミネートフィルム20aの開口部4の外側周縁部と支持体24を介して固定されている。そして、隔離層5と空気極50との間の空間8には水溶液系電解液が封入されている。
【0077】
空気極50としては、例えば、白金、金、イリジウム、ルテニウムなどの触媒活性を示す貴金属や、それらの酸化物等、もしくは、触媒活性を示す二酸化マンガン等を、導電性の高いカーボン等を導電助剤、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム等を混合して、導電性とガス拡散性有する空気極集電体に担持させたものを使用することができる。この空気極集電体には、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボン不織布、多孔質ニッケル(ニッケルの金属発泡体)や多孔質アルミニウム(アルミの金属発泡体)、ニッケルやチタン、ステンレス等の耐腐食性の高い金属を使用した金属メッシュ等を用いることができる。なお、ここでいうカーボンクロスとは、カーボンファイバー等で織られた布状のシートのことを指し、カーボン不織布は、カーボンファイバー等をランダムに絡み合わせたシート状のものを指す。なお、電解液に水溶液系の電解液を用いる場合には、空気極集電体には、電解液に対する耐腐食性も必要となる。そのため、導電性が高く、酸及びアルカリ水溶液にも耐腐食性が高く、軽量であるカーボンファイバー等が好適に使用できる。
【0078】
水溶液系電解液には、電解質として、例えば、LiCl(塩化リチウム)、LiOH(水酸化リチウム)、LiNO(硝酸リチウム)、CHCOOLi(酢酸リチウム)等のリチウム塩が挙げられ、これらの1つ又は複数を水に溶解させた液体を用いることができる。また、例えばLiOHを使用する場合には、LiClを混合させて水溶液のpHを低くすることが望ましい。より好ましくはpH10以下であり、接する部材の劣化を抑制することが可能となる。
【0079】
支持体24としては、負極複合体の外装体である金属箔ラミネートフィルムと同様の構成にすることができる。好ましくは、空間8内に封入されている水溶液系電解液等がリチウム空気電池100から漏洩しない構成にする必要があり、かつ空気極部分からは空気が取り込める構成である必要がある。
【0080】
リチウム空気電池100が、放電を行う際、負極層33(金属リチウム)は、リチウムイオン(Li)と電子(e)となる。そして、リチウムイオン(Li)は電解液に溶解し、電子(e)は負極集電体32の集電部32aを介して端子部32bに供給される。したがって、負極層5の厚さや面積を変えることで、電池容量の設計値をコントロールすることができる。
【0081】
また、空気極50は、電子が供給され、空気中の酸素と水が反応して水酸イオン(OH)が生じる。さらに、この水酸イオン(OH)が空気極50でリチウムイオン(Li)と反応し、水酸化リチウム(LiOH)となる。
【0082】
一方、このリチウム空気電池100を充電する際には、負極複合体では、空気極50から供給されたリチウムイオンが固体電解質の隔離層5、第1及び第2のセパレータ34、36、並びにセラミックス粒子層40を通り抜けて負極集電体32の集電部32aの表面に達することで、金属リチウムの析出反応が生じる。長期間にわたり充放電を繰り返すと、金属リチウムが析出するが、上述したように第2のセパレータ36及びセラミックス粒子層40によってこの金属リチウムが分散するのを抑制し、負極集電体32近傍に留めることができ、よって、充放電サイクル特性を向上することができる。また、この析出した金属リチウムが固体電解質からなる隔離層5に至るのを抑制することもできるので、固体電解質の劣化も抑制することができる。
【0083】
[第5の実施形態]
図8を用いて、第5の実施形態に係る非水溶液系のリチウム空気電池について説明する。なお、本第5の実施形態は、第1の実施形態(図1~3)、第2の実施形態(図4図5)の負極複合体の変形例を用いた第4の実施形態の変形例であるため、重複する説明を省略し、相違点について詳細に説明する。
【0084】
図8に示すように、非水溶液系のリチウム空気電池100Aは、隔離層5(固体電解質)のない負極複合体を用いたものである。すなわち、開口部4Aのある金属箔ラミネートフィルム20Aの内側には、開口部4Aを塞ぐように第2のセパレータ36が設けられている。開口部4Aの構成は、上述した実施形態と実質的に同様の条件で、金属箔ラミネートフィルム20Aに設けられている。そして、第2のセパレータ36と空気極50との間の空間8Aには、負極複合体内と同様に有機電解液が封入されている。
【0085】
このような構成によれば、非水溶液系のリチウム空気電池100Aも、水溶液系のリチウム空気電池100と同様に、長期間にわたり充放電を繰り返すと、金属リチウムが析出するが、上述したように第2のセパレータ36及びセラミックス粒子層40によってこの析出した金属リチウムが分散するのを抑制し、負極集電体32近傍に留めることができ、よって、充放電サイクル特性を向上することができる。また、この析出した金属リチウムが空気極50に至るのを抑制することもできるので、空気極50と負極集電体32との間での内部短絡を抑制することができる。
【0086】
[その他の態様]
前述した実施形態の説明は、本発明に係る空気電池およびそれに用いる負極複合体を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は前述した実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0087】
例えば、第1の実施形態で示した負極複合体1のうち、図中下側の金属箔ラミネートフィルム20bを用いる代わりに、負極集電体32の裏面全体を、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂や、ナイロン系樹脂等の耐熱性及び強度の高い樹脂シートを用いて覆ったものを用いて負極複合体外装とすることもでき、これによっても、負極集電体32の裏面に発生するデンドライトを抑制することができるとともに、部品点数を削減して薄肉化及び軽量化が可能となる。
【0088】
また、例えば、上記の実施形態において、負極層33、負極集電体の集電部32、固体電解質からなる隔離層5等は、長方形や正方形である必要はなく、円形や多角形、用途に応じて様々な形に変形することができる。また、負極層33は、複数の層にしてもよい。更に、負極複合体は、必ずしも平面状である必要はなく、用途に応じて変形が可能であり、例えば立体的な形状であってもよい。
【実施例
【0089】
図1に示す構成と同様の負極複合体を採用した水溶液系のリチウム空気電池を作製し、これについて放電・充電実験を行った。
【0090】
[負極複合体の作製]
負極複合体は、先ず、実施例と同様に、PP樹脂/Al箔/PET樹脂の金属箔ラミネートフィルムの中心部分を2×2cm角に打ち抜いた外装材、酸変性ポリプロピレンフィルム打ち抜き品(外周部3×3cm、内周2×2cm)、2.5×2.5cm角の固体電解質(LATP)、酸変性ポリプロピレンフィルム打ち抜き品(外周部3×3cm、内周2×2cm)の順に重ねて、固体電解質4辺をヒートシーラーで熱溶着接合して上側外装体とした。
【0091】
この上側外装体の内側(負極側)の固体電解質を、リチウムイオン電池用のPP樹脂セパレ-タ(第2のセパレータに相当)で覆い、7mm程度のガス抜き穴を残してセパレータ4辺を熱溶着接合した。その後、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内に移し、裏面に酸変性ポリプロピレンフィルムが接合された負極集電体及び端子が一体化された銅箔(銅箔厚さ:10μm、集電体サイズ:2×7cm、酸変性PPフィルムサイズ:2.2×2.2cm)の先端部の2×2cmの部分の表面中央部に金属Li箔(サイズ1.45×1.4cm、厚さ0.2mm)を接合し、セラミックス粒子層が裏面に塗布されたリチウムイオン電池用のPP樹脂セパレ-タ(第1のセパレータ)で覆い、負極集電体裏面の熱変性PPフィルムの端部4辺を接合面として熱溶着接合し、一体化して負極とした。これに、固体電解質部分と負極面が対向するように、上側外装体、一体化した負極、下側外装体の金属箔ラミネートフィルム(開口部がないもの)を重ねて、端部3辺をヒートシーラーにより熱溶着接合した。
【0092】
そして、接合していない端部より、非水溶液系電解液(4M(mol/l)LiFSI/EGDME)を負極複合体内に1ml注入した。外装体中のガスを出した後、最後に残りの1辺の端部(負極集電体のタブがある部分)をヒートシーラーで接合させて密閉し、負極複合体を作製した。負極集電体と上側及び下側外装体は酸変性PP樹脂等の熱溶着シートを介して熱溶着されている。なお、固体電解質にはLATP(株式会社オハラ製)を用いた。また、リチウムイオン電池用セパレ-タとしては、ポリプロピレン樹脂で、厚さ24μm、空孔率44%、透気度450sec/100ccのものを使用した。また、セラミックス粒子層のセラミックス粒子としては、中心粒径が0.7μmのアルミナ粒子を用い、塗布機(RKプリントコートインスツルメント社製)でPP樹脂セパレ-タの片面に塗布した。塗布後のPP樹脂セパレ-タの厚さは26μmであった。
【0093】
[空気極の作製]
空気極(正極)を、以下の手順で作製した。
(1)正極触媒として触媒活性を持つMnO(比表面積300m/g)を0.8gと、導電助剤としてケッチェンブラック(比表面積800m/g)0.1gと、バインダー(結着剤)としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)分散液0.1gを計り取り、メノウ乳鉢に移し、分散剤としてエタノール(濃度70%)を5ml加えて混練し、正極材料とした。
(2)上記(1)の正極材料を2等分し、2.5×2.5cmの圧着部と1×5.5cmのタブ部とが一体となったTiメッシュの圧着部の両面に配置し、20kNの力でプレスすることで圧着した。その後、空気中で24時間自然乾燥させて、正極を作製した。
【0094】
[空気電池の作製]
正極側の水溶液系電解液は、LiOHとLiClの混合液を用い、pHが10以下になるように調製した。LiOH水溶液を保持するため、3×3cmのポリアクリルアミドのシート上に1.5ml滴下し、正極と負極複合体との間に配置し、84mAh相当のセルを作製した。
【0095】
[比較例の空気電池の作製]
比較例としてセラミックス粒子層のないセパレ-タを使用した負極複合体(図4においてセラミックス粒子層がない例)の作製方法を説明する。負極複合体は、先ず、実施例と同様に、PP樹脂/Al箔/PET樹脂の金属箔ラミネートフィルムの中心部分を2×2cm角に打ち抜いた外装材、酸変性ポリプロピレンフィルム打ち抜き品(外周部3×3cm、内周2×2cm)、2.5×2.5cm角の固体電解質(LATP)、酸変性ポリプロピレンフィルム打ち抜き品(外周部3×3cm、内周2×2cm)の順に重ねて、固体電解質4辺をヒートシーラーで熱溶着接合して上側外装体とした。
【0096】
この上側外装体の内側(負極側)の固体電解質を、リチウムイオン電池用のPP樹脂セパレ-タ(第2のセパレータに相当)で覆い、7mm程度のガス抜き穴を残してセパレータ4辺を熱溶着接合した。その後、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内に移し、裏面に酸変性ポリプロピレンフィルムが接合された負極集電体及び端子が一体化された銅箔(銅箔厚さ:10μm、集電体サイズ:2×7cm)の先端部の2×2cm部分の表面中央部に金属Li箔(サイズ1.45×1.4cm、厚さ0.2mm)を接合した。また、リチウムイオン電池用のPP樹脂セパレ-タを二つ折りにして側面側の両端部を熱溶着して袋状にし、その袋の中に負極層を接合した負極集電体の先端部を挿入し、挿入口の端部において負極集電体裏面の酸変性ポリプロピレンフィルムを介して負極集電体とPP樹脂セパレ-タとを熱溶着接合し、一体化した負極とした。
【0097】
これに、固体電解質部分と負極面が対向するように、上側外装体、一体化した負極、下側外装体の金属箔ラミネートフィルム(開口部がないもの)を重ねて、端部3辺をヒートシーラーにより熱溶着接合した。そして、接合していない端部より、非水系電解液(4M(mol/l)LiFSI/EGDME)を負極複合体内に1ml注入した。外装体中のガスを出した後、最後に残りの1辺の端部(負極集電体のタブがある部分)をヒートシーラーで接合させて密閉し、負極複合体を作製した。これに、実施例と同一方法で作製した空気極を組わせて、実施例と同一方法で空気電池を作製した。
【0098】
[放電・充電試験]
上記の通りに作製した84mAh相当のセル(実施例)を、4mA(電流密度2mA/cm相当)で6時間放電し、理論容量の70%の負極容量に調整した。その後、4mA(電流密度2mA/cm相当)で4時間の充電、放電(負極容量70%-90%間)を繰り返した際の電圧の推移を25℃の温度にて北斗電工社製HJ1001SD8で測定した。その結果を図9に示す。また、比較のため、比較例のセルについても同様の試験を行った。その結果を図10に示す。図10(a)、(b)に示すように、比較例では、81サイクル目で放電時の下限電圧が0Vとなってしまったのに対し、図10(a)、(b)に示すように、実施例では、100サイクルまで続けても放電時の下限電圧が0Vとならず、充放電サイクル特性が大きく向上したことが確認された。
【符号の説明】
【0099】
1 負極複合体
2 外装体
3a 圧力緩和空間
4 開口部
5 隔離層
6 空孔
9 開口
20 金属箔ラミネートフィルム
21 第1の樹脂層
22 金属箔層
23 第2の樹脂層
30 負極積層体
31 フィルム
32 負極集電体
33 負極層
34 第1のセパレータ
36 第2のセパレータ
40、41、42、43 セラミックス粒子層
50 空気極
100 空気電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10