(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-20
(45)【発行日】2022-06-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20220621BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G21/00 500
(21)【出願番号】P 2018243497
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2018012823
(32)【優先日】2018-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018123291
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆
(72)【発明者】
【氏名】功刀 聡彦
(72)【発明者】
【氏名】深澤 竜司
(72)【発明者】
【氏名】中祖 幸治
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-132042(JP,A)
【文献】特開2017-083683(JP,A)
【文献】特開2010-217792(JP,A)
【文献】特開2006-243288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータの温度を計測するセンサと、
前記ヒータを制御する第1制御部と、
前記ヒータを制御する第2制御部と
を具える画像形成装置において、
前記第1制御部は、
前記センサから出力値を取得する第1センサ出力値取得部と、
前記第1センサ出力値取得部を用いて取得した第1出力値を前記第2制御部へ送信する第1出力値送信部と、
前記第1出力値と、前記第2制御部から受信した第2出力値とを用いて、温度の差分が所定の許容温度差範囲を超えた場合、前記ヒータを停止させる第1ヒータ制御部と
を有し、
前記第2制御部は、
前記センサから出力値を取得する第2センサ出力値取得部と、
前記第2センサ出力値取得部を用いて取得した前記第2出力値を前記第1制御部へ送信する第2出力値送信部と、
前記第2出力値と、前記第1制御部から受信した前記第1出力値とを用いて、温度の差分が前記許容温度差範囲を超えた場合、前記ヒータを停止させる第2ヒータ制御部と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記第1ヒータ制御部は、前記第2制御部が異常な状態であると判断した場合、前記ヒータを停止させ、
前記第2ヒータ制御部は、前記第1制御部が異常な状態であると判断した場合、前記ヒータを停止させる
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1出力値送信部は、正常時においては一定時間間隔で前記第1出力値を前記第2制御部へ送信する一方、前記第1出力値と前記第2出力値との差分が前記許容温度差範囲を超えた場合、前記一定時間間隔以内に前記第1出力値を再度前記第2制御部へ送信し、
前記第1ヒータ制御部は、前記第1出力値と前記第2出力値との差分が、前記許容温度差範囲を再度超えた場合、前記ヒータを停止させる
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ヒータ制御部は、前記第1出力値を前記第2制御部へ前記第1出力値送信部が送信してから所定時間以内に前記第2制御部から前記第2出力値を受信できなかった場合、前記ヒータを停止させる
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2ヒータ制御部は、前記第1制御部から前記第1出力値を受信した後に、所定時間以内に前記第1制御部から前記第1出力値を受信できなかった場合、前記ヒータを停止させる
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記センサは、前記ヒータで媒体を加熱することにより該媒体にトナーを定着する定着器の温度を計測する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1制御部は、
前記第1出力値に基づいて、前記許容温度差範囲を第1許容温度差範囲又は第2許容温度差範囲に切り替える第1温度判定切替部
をさらに有し、
前記第1ヒータ制御部は、前記第1出力値と前記第2出力値とを用いて、温度の差分が前記第1温度判定切替部が選択した前記許容温度差範囲を超えた場合、前記ヒータを停止させ、
前記第2制御部は、
前記第2出力値に基づいて、前記許容温度差範囲を前記第1許容温度差範囲又は前記第2許容温度差範囲に切り替える第2温度判定切替部
をさらに有し、
前記第2ヒータ制御部は、前記第2出力値と前記第1出力値とを用いて、温度の差分が前記第2温度判定切替部が選択した前記許容温度差範囲を超えた場合、前記ヒータを停止させる
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記センサは、前記ヒータで媒体を加熱することにより該媒体にトナーを定着する定着器の温度を計測し、
前記第1温度判定切替部は、前記第1出力値が前記媒体に前記トナーを定着させる際の温度帯域である定着温度帯域内である場合に前記許容温度差範囲を前記第1許容温度差範囲に切り替える一方、前記第1出力値が前記定着温度帯域外である場合に前記許容温度差範囲を前記第1許容温度差範囲よりも大きい範囲である前記第2許容温度差範囲に切り替え、
前記第2温度判定切替部は、前記第2出力値が前記定着温度帯域内である場合に前記許容温度差範囲を前記第1許容温度差範囲に切り替える一方、前記第2出力値が前記定着温度帯域外である場合に前記許容温度差範囲を前記第2許容温度差範囲に切り替える
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記センサは、温度特性が非線形である
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1許容温度差範囲及び前記第2許容温度差範囲は、前記センサの温度特性に応じて設定される
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1温度判定切替部は、前記第1出力値が、前記センサの分解能が高い温度帯域である場合に
は前記許容温度差範囲を前記第1許容温度差範囲に切り替え
る一方、前記センサの分解能が低い温度帯域である場合には前記許容温度差範囲を前記第1許容温度差範囲よりも大きい範囲である前記第2許容温度差範囲に切り替え、
前記第2温度判定切替部は、前記第2出力値が、
前記センサの分解能が高い温度帯域である場合には前記許容温度差範囲を前記第1許容温度差範囲に切り替える一方、前記センサの分解能が低い温度帯域である場合に
は前記許容温度差範囲を
前記第2許容温度差範囲に切り替える
請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記センサは、サーミスタにより構成される
請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第1制御部は、
前記第1センサ出力値取得部が取得した前記第1出力値をアナログデジタル変換し前記第1出力値送信部及び前記第1ヒータ制御部へ送出する第1アナログデジタルコンバータ
をさらに有し、
前記第1出力値送信部は、前記第1アナログデジタルコンバータから取得したアナログデジタル変換後の前記第1出力値を前記第2制御部へ送信し、
前記第1ヒータ制御部は、前記第1アナログデジタルコンバータから取得したアナログデジタル変換後の前記第1出力値と、前記第2制御部から受信した前記第2出力値とを用いて、温度の差分が前記許容温度差範囲を超えた場合、前記ヒータを停止させ、
前記第2制御部は、
前記第2センサ出力値取得部が取得した前記第2出力値をアナログデジタル変換し前記第2出力値送信部及び前記第2ヒータ制御部へ送出する第2アナログデジタルコンバータ
をさらに有し、
前記第2出力値送信部は、前記第2アナログデジタルコンバータから取得したアナログデジタル変換後の前記第2出力値を前記第1制御部へ送信し、
前記第2ヒータ制御部は、前記第2アナログデジタルコンバータから取得したアナログデジタル変換後の前記第2出力値と、前記第1制御部から受信した前記第1出力値とを用いて、温度の差分が前記許容温度差範囲を超えた場合、前記ヒータを停止させ、
前記第1アナログデジタルコンバータによる前記第1出力値のアナログデジタル変換と、前記第2アナログデジタルコンバータによる前記第2出力値のアナログデジタル変換とは、異なるタイミングで行われる
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第2制御部は、
前記第2アナログデジタルコンバータが前記アナログデジタル変換を開始する際に、アナログデジタル変換開始通知を前記第1制御部へ送信するアナログデジタル変換開始通知部
をさらに有し、
前記第1アナログデジタルコンバータは、前記第2制御部から前記アナログデジタル変換開始通知を受信すると、前記アナログデジタル変換を一定期間停止する
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記第2制御部は、
前記第2アナログデジタルコンバータが前記アナログデジタル変換を開始する際に、アナログデジタル変換開始通知を前記第1制御部へ送信するアナログデジタル変換開始通知部と、
前記第2アナログデジタルコンバータが前記アナログデジタル変換を完了した際に、アナログデジタル変換完了通知を前記第1制御部へ送信するアナログデジタル変換完了通知部と
をさらに有し、
前記第1アナログデジタルコンバータは、前記第2制御部から前記アナログデジタル変換開始通知を受信すると、前記第2制御部から前記アナログデジタル変換完了通知を受信するまで前記アナログデジタル変換を停止する
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記第1アナログデジタルコンバータの駆動クロックの方が、前記第2アナログデジタルコンバータの駆動クロックよりも速い
請求項13に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、例えば、定着器を備えた電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ機、複写機等の画像形成装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、定着器を備えた画像形成装置は、用紙等の記録媒体に現像剤で形成された画像(現像剤像とも呼ぶ)を転写した後、記録媒体に転写された現像剤像を定着器により溶融して記録媒体に定着させる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような画像形成装置においては、定着器を制御する例えば2つの下位のCPU(Central Processing Unit)と、それぞれの下位のCPUに対してリセットを実行可能な上位のCPUとを有し、下位のCPUが動作異常となった場合、上位のCPUが下位のCPUにリセットを掛け正常復帰させるものがある。またそのような画像形成装置では、上位のCPUから下位のCPUに対して定期的にコマンド発行とレスポンス確認とを行うことで動作状態をポーリングしており、レスポンス確認が得られない場合に動作異常と判断し、定着器への電力を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような画像形成装置では、上位のCPUから下位のCPUにコマンドを送信し、下位のCPUからのレスポンスを上位のCPUが監視することで、下位のCPUが暴走状態にあるか否かを監視していた。
【0006】
しかしながらそのような画像形成装置では、上位のCPUは下位のCPUが異常状態にあることをレスポンスの確認だけで判断するため、例えば、下位のCPUがセンサの温度を正しく読み取れていない場合は、レスポンスはできても不適切な動作をしてしまう恐れがあるが、そのような場合であっても上位のCPUは、レスポンス自体は下位のCPUから受け取るため、下位のCPUがセンサの温度を正しく読み取れていないことを検知できなかった。
【0007】
そのためそのような画像形成装置では、下位のCPUが表面上は上位のCPUへ応答ができていても、温度計測が滞っていることを上位のCPUへ伝えることができなかった。このためそのような画像形成装置では、定着器の温度が異常に上昇していることを下位のCPUが上位のCPUへ伝えることができないため、より高温の上限温度チェックで定着器を停止させることとなり、定着器の耐熱温度を超えてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、信頼性を向上し得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、ヒータの温度を計測するセンサと、ヒータを制御する第1制御部と、ヒータを制御する第2制御部とを具える画像形成装置において、第1制御部は、センサから出力値を取得する第1センサ出力値取得部と、第1センサ出力値取得部を用いて取得した第1出力値を第2制御部へ送信する第1出力値送信部と、第1出力値と、第2制御部から受信した第2出力値とを用いて、温度の差分が所定の許容温度差範囲を超えた場合、ヒータを停止させる第1ヒータ制御部とを設け、第2制御部は、センサから出力値を取得する第2センサ出力値取得部と、第2センサ出力値取得部を用いて取得した第2出力値を第1制御部へ送信する第2出力値送信部と、第2出力値と、第1制御部から受信した第1出力値とを用いて、温度の差分が許容温度差範囲を超えた場合、ヒータを停止させる第2ヒータ制御部とを設けるようにした。
【0010】
これにより本発明は、温度検出過程に異常があるか否かを第1制御部と第2制御部とで相互に判断し、第1制御部か第2制御部かの少なくともどちらか一方で異常を検出した場合、ヒータを速やかに停止させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、信頼性を向上し得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】画像形成装置のハードウェア構成を示す側面図である。
【
図3】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施の形態による定着制御部の回路構成を示す回路図である。
【
図5】第1の実施の形態による定着制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】第1及び第2の実施の形態による正常時の相互監視処理手順を示すシーケンスチャートである。
【
図7】第1及び第2の実施の形態による異常時の相互監視処理手順を示すシーケンスチャートである。
【
図8】メインCPUによる相互監視開始処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施の形態によるメインCPU相互監視処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施の形態によるサブCPU相互監視処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】メインCPU検出温度及びサブCPU検出温度を示す表である。
【
図13】相互監視タイミングリストを示す表である。
【
図15】第2の実施の形態による定着制御部の回路構成を示す回路図である。
【
図16】第2の実施の形態による定着制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図17】第2の実施の形態によるメインCPU相互監視処理手順を示すフローチャートである。
【
図18】第2の実施の形態によるサブCPU相互監視処理手順を示すフローチャートである。
【
図21】定着温度帯域、温度閾値、第1許容温度差及び第2許容温度差を示すグラフである。
【
図22】第3の実施の形態による定着制御部の回路構成を示す回路図である。
【
図23】第3の実施の形態による定着制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図24】第3の実施の形態による正常時の相互監視処理手順を示すシーケンスチャートである。
【
図25】第3の実施の形態による異常時の相互監視処理手順(1)を示すシーケンスチャートである。
【
図26】第3の実施の形態による異常時の相互監視処理手順(2)を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.画像形成装置のハードウェア構成]
図1に示すように画像形成装置1は、略箱型の筐体2を有している。筐体2の内部には、媒体カセット3、複数の画像形成ユニット4(4A~4E)、中間転写ユニット5、定着器6、ピックアップローラ7、レジストローラ8及び9、搬送ローラ10~15、排出ローラ16及び17、媒体通過センサ18~21が設けられている。
【0015】
媒体カセット3は、用紙等の記録媒体Pを収容する部分であり、筐体2内の下部に設けられている。複数の画像形成ユニット4(4A~4E)は、電子写真方式での画像形成プロセスを実行するユニットであり、筐体2内の上部に設けられている。複数の画像形成ユニット4(4A~4E)は、それぞれ扱う現像剤が異なっており、例えば、画像形成ユニット4Aは白やクリア等の特色、画像形成ユニット4Bはシアン、画像形成ユニット4Cはマゼンタ、画像形成ユニット4Dはイエロー、画像形成ユニット4Eはブラックの現像剤を扱う。具体的に現像剤としては、例えばトナーが用いられる。
【0016】
中間転写ユニット5は、電子写真方式での転写プロセスを実行するユニットであり、複数の画像形成ユニット4(4A~4E)の下方に設けられている。中間転写ユニット5は、ベルト張架ローラ30と、ベルト駆動ローラ31と、中間転写ベルト32と、複数の一次転写ローラ33(33A~33E)と、二次転写ローラ34と、二次転写バックアップローラ35とを有している。
【0017】
中間転写ベルト32は、ベルト張架ローラ30、ベルト駆動ローラ31及び二次転写バックアップローラ35によって、上側が平坦で下側が下方に凸する逆三角形状に張架されている。中間転写ベルト32の上側の平坦部分の内側には、複数の画像形成ユニット4A~4Eのそれぞれと対向するように、一次転写ローラ33A~33Eが配置されている。また中間転写ベルト32の下側の凸部分の外側には、二次転写バックアップローラ35と対向するように二次転写ローラ34が配置されている。
【0018】
この中間転写ベルト32は、図中時計回り方向に走行しながら、上側の平坦部分の外側に、複数の画像形成ユニット4(4A~4E)と複数の一次転写ローラ33(33A~33E)によって、現像剤像が転写される。このようにして中間転写ベルト32に転写された現像剤像は、中間転写ベルト32と共に図中時計回り方向に運ばれ、二次転写ローラ34と二次転写バックアップローラ35との間に形成されるニップ部へと搬送されてきた記録媒体Pがニップ部を通過する際に、この記録媒体Pへ転写される。
【0019】
定着器6は、電子写真方式での定着プロセスを実行する部分であり、二次転写ローラ34と二次転写バックアップローラ35との間に形成されるニップ部よりも、記録媒体Pの搬送方向の下流側に設けられている。
図2に示すように定着器6は、定着ベルト40と、加圧ローラ41と、センサ42及び43と、ヒータ44とを主に有している。定着ベルト40と加圧ローラ41とは互いに圧接するように対向配置されている。センサ42は、定着ベルト40の内部に設けられたヒータ44の温度を検出する素子であり、センサ43は、定着ベルト40の裏面(内側の面)の温度を検出する素子である。具体的にセンサ42及び43としては、例えばサーミスタが用いられる。
【0020】
ピックアップローラ7は、媒体カセット3から記録媒体Pを繰り出すためのローラである。レジストローラ8及び9は、媒体カセット3から繰り出された記録媒体Pのスキューを補正するためのローラであり、互いに圧接するように対向配置されている。搬送ローラ10及び11と搬送ローラ12及び13とは、それぞれ、レジストローラ8及び9によってスキューの補正が行われた記録媒体Pを、二次転写ローラ34と二次転写バックアップローラ35との間のニップ部へと搬送するためのローラであり、それぞれ互いに圧接するように対向配置されている。なお、搬送ローラ10及び11よりも搬送ローラ12及び13の方が、ニップ部に近い位置に配置されており、画像形成装置1は、この搬送ローラ12及び13の駆動を制御することで、記録媒体Pへの現像剤像の転写タイミングを制御することが可能となっている。
【0021】
搬送ローラ14及び15と、排出ローラ16及び17とは、それぞれ定着器6によって現像剤像が定着した記録媒体Pを筐体2の天板部に設けられた排出トレー22へと搬送するためのローラであり、互いに圧接するように対向配置されている。
【0022】
媒体通過センサ18~21は、それぞれ記録媒体Pの通過を認識するためのメカセンサであり、記録媒体Pが通過することに伴って機械的に動作する。媒体通過センサ18は、レジストローラ8及び9と搬送ローラ10及び11との間を記録媒体Pが通過したかどうかを検出する。媒体通過センサ19は、搬送ローラ10及び11と搬送ローラ12及び13との間を記録媒体Pが通過したかどうかを検出する。媒体通過センサ20は、搬送ローラ12及び13と、中間転写ユニット5のニップ部との間を記録媒体Pが通過したかどうかを検出する。媒体通過センサ21は、定着器6と搬送ローラ14及び15との間を記録媒体Pが通過したかどうかを検出する。
【0023】
画像形成装置1はこのような構成であり、記録媒体Pへの印刷時、媒体カセット3から繰り出した記録媒体Pを中間転写ユニット5のニップ部へと搬送して、このニップ部を通過させることにより、中間転写ベルト32に形成された現像剤像を記録媒体Pに転写させる。また画像形成装置1は、現像剤像が転写された記録媒体Pを定着器6へと搬送して、この定着器6を通過させる際に記録媒体Pを加熱及び加圧することにより、記録媒体Pに現像剤像を定着させた後、排出トレー22へと排出する。
【0024】
[1-2.画像形成装置の機能構成]
図3に示すように画像形成装置1は、CPU50が全体を統轄制御する。CPU50は、ROM(Read Only Memory)51から所定のプログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)52をワーキングエリアとして使用して実行することにより、各部を制御し、上位装置からLAN(Local Area Network)ケーブル53を介し印刷データ及び制御コマンドを受信して画像形成装置1の全体を制御する。
【0025】
EEPROM54は、画像形成装置1の設定情報を格納する。ネットワークI/F55は、LANケーブル53等の電気信号線を介して接続された上位装置との通信を制御する。LEDヘッド制御部56は、CPU50により生成及び編集された画像データに基づきLEDヘッド58の駆動を制御する。
【0026】
画像形成部57は、主にLEDヘッド58及び定着制御部59により構成されており、画像データに基づくトナー像を画像形成ユニット4(
図1)により記録媒体P上に転写し、現像剤像を定着器6により記録媒体P上に定着させる。LEDヘッド58は、画像形成ユニット4それぞれに設けられており、LEDヘッド制御部56の制御に基づき、画像形成ユニット4それぞれの感光ドラム上に光を照射することにより、該感光ドラム上に静電潜像を形成する。定着制御部59は、定着器6を制御することにより、ヒータ44の温度を制御し、定着器6内部の温度を所定の目標温度に保持する。
【0027】
[1-3.定着制御部の回路構成]
図4に示すように定着制御部59は、バッファ群61、メインCPU65m、サブCPU65s及びヒータオンオフ回路62により構成されている。バッファ群61は、4つのバッファ61a、バッファ61b、バッファ61c及びバッファ61dにより構成されている。
【0028】
ヒータオンオフ回路62は、トライアック63及び保護用のリレー64により構成されている。このヒータオンオフ回路62は、サブCPU65sから出力されるヒータオンオフ信号に基づきトライアック63をオンオフすることにより、定着器6内部のヒータ44のオンオフを制御してヒータ44の温度を制御し、定着器6内部の温度を所定の目標温度に保持する。またヒータオンオフ回路62は、メインCPU65m又はサブCPU65sから出力される保護信号に基づきリレー64をオフすることにより、トライアック63、メインCPU65m又はサブCPU65sの暴走等のアブノーマル対策を行っている。
【0029】
センサ42とセンサ43とはほぼ同様の構成となっているため、以下ではセンサ42について主に説明する。センサ42は、回路電源Vddにサーミスタ42tの一端が接続され、サーミスタ42tのもう一方の端子には図示しない抵抗の一端の端子が接続されている。また抵抗の他端の端子はグランドに接続されている。サーミスタ42tは、温度が変化するとそれ自身の抵抗値が変化するサーミスタ素子である。センサ42は、サーミスタ42tにより検出した信号を、それぞれバッファ61cを介して検出温度信号m1としてメインCPU65mに、バッファ61aを介して検出温度信号s1としてサブCPU65sに送出する。
【0030】
センサ43は、センサ42と同様に構成されており、サーミスタ43tにより検出した信号を、それぞれバッファ61dを介して検出温度信号m2としてメインCPU65mに、バッファ61bを介して検出温度信号s2としてサブCPU65sに送出する。
【0031】
メインCPU65mとサブCPU65sとはほぼ同様の構成となっているため、以下ではメインCPU65mについて主に説明する。メインCPU65mは、ADC(ADコンバータ)66m、RAM67m、タイマ68m、コマンド制御部69m及びUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)70mにより構成されている。
【0032】
ADC66mは、取得した検出温度信号m1及びm2をアナログデジタル変換することによりデジタルデータである温度データへ変換し、RAM67mへ送出する。RAM67mは、ADC66mから取得した温度データを一時的に格納する。タイマ68mは、定期的に温度データを取得するために一定時間を測定する。コマンド制御部69mは、サブCPU65sへ送出するコマンドを作成すると共に、サブCPU65sから取得したコマンドを解析する。UART70mは、サブCPU65sとコマンド及び温度データのやり取りを行う。
【0033】
サブCPU65sは、メインCPU65mとほぼ同様に構成されており、ADC66s、RAM67s、タイマ68s、コマンド制御部69s及びUART70sが、それぞれADC66m、RAM67m、タイマ68m、コマンド制御部69m及びUART70mと対応している。サブCPU65sは、取得した検出温度信号s1及びs2をADC66sにより温度データへ変換してRAM67sへ格納すると共に、UART70sを介しメインCPU65mとコマンド及び温度データのやり取りを行う。
【0034】
かかる構成において定着制御部59のサブCPU65sは、ヒータ44からセンサ42及びセンサ43により温度を採取し、タイマ68sで一定時間間隔を置きながら、ADC66sで検出温度信号s1及びs2を温度データに変換して一旦RAM67s上に格納し、その温度データを随時取り出し、ヒータオンオフ回路62のトライアック63を制御することによりヒータ44を制御する。
【0035】
さらに定着制御部59は、2つのCPUであるメインCPU65mとサブCPU65sとでセンサ42とセンサ43との温度データを定期的に交換し、互いのセンサ42の温度データが許容温度差を超えた場合か、互いのセンサ43の温度データが許容温度差を超えた場合は、メインCPU65m又はサブCPU65sのどちらかがリレー64をオフすることにより、ヒータ44を停止させる。これにより定着制御部59は、メインCPU65mとサブCPU65sとのヒータ44の温度制御に関するお互いの一連の機能を検証し、耐熱温度に至る前に安全に定着器6を停止させるよう制御できる。
【0036】
[1-4.定着制御部の機能構成]
ここで、定着制御部59における後述する相互監視処理に関係する基本的な機能を機能ブロック図により表すと、
図5のようになる。
図5において制御部71mは、メインCPU65m(
図4)と対応しており、該メインCPU65mにおいて後述するメインCPU相互監視プログラムが実行されることにより、センサ出力値取得部73m、出力値送信部74m及びヒータ制御部76mの各機能ブロックを実現する。制御部71sは、サブCPU65s(
図4)と対応しており、該サブCPU65sにおいて後述するサブCPU相互監視プログラムが実行されることにより、センサ出力値取得部73s、出力値送信部74s及びヒータ制御部76sの各機能ブロックを実現する。
【0037】
センサ出力値取得部73mは、センサ42及び43から第1出力値としての検出温度信号m1及びm2を取得する。出力値送信部74mは、センサ出力値取得部73mが取得した第1出力値を制御部71sへ送信する。ヒータ制御部76mは、第1出力値と制御部71sから受信した第2出力値との差分が所定の許容温度差範囲を超えた場合、ヒータ44を停止させる。この許容温度差範囲は、メインCPU65mとサブCPU65sとの回路による温度誤差と、通信リトライによる温度誤差と、測定位置による温度誤差とを加算した値に基づき設定されている。
【0038】
センサ出力値取得部73sは、センサ42及び43から第2出力値としての検出温度信号s1及びs2を取得する。出力値送信部74sは、センサ出力値取得部73sが取得した第2出力値を制御部71mへ送信する。ヒータ制御部76sは、第2出力値と制御部71mから受信した第1出力値との差分が所定の許容温度差範囲を超えた場合、ヒータ44を停止させる。
【0039】
[1-5.相互監視処理手順]
画像形成装置1による相互監視処理手順について、
図6及び
図7のシーケンスチャートを用いて説明する。メインCPU65mとサブCPU65sとはUART70m及び70sにより通信を行う。
【0040】
[1-5-1.正常時の相互監視処理手順]
画像形成装置1による正常時の相互監視処理手順RT1について、
図6のシーケンスチャートを用いて説明する。ステップSP1においてメインCPU65mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして取得し、ステップSP2へ移る。ステップSP2においてメインCPU65mは、コマンドと共に第1温度データをサブCPU65sへ送信する。
【0041】
ステップSP3においてサブCPU65sは、センサ42及び43から検出温度信号s1及びs2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第2温度データとして取得し、ステップSP4へ移る。ステップSP4においてサブCPU65sは、コマンドレスポンスとして第2温度データをメインCPU65mへ送信し、ステップSP5へ移る。
【0042】
ステップSP5においてサブCPU65sは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、正常時であるため第1温度データと第2温度データとが一致した判定結果を得て、OKとする。
【0043】
第2温度データをサブCPU65sから受信すると、ステップSP6においてメインCPU65mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして再度取得し、ステップSP7へ移る。ステップSP7においてメインCPU65mは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、正常時であるため第1温度データと第2温度データとが一致した判定結果を得て、OKとする。
【0044】
上述したステップSP1からステップSP7までの一連の動作は、通信時間Tcとして0.5[ms]を要する。メインCPU65mは、定着制御を行っている間、通信間隔CTとして500[ms]間隔で、この一連の処理を繰り返す。
【0045】
[1-5-2.異常時の相互監視処理手順]
画像形成装置1による異常時の相互監視処理手順RT2について、
図7のシーケンスチャートを用いて説明する。前回の通信から通信間隔CTである500[ms]後、ステップSP11においてメインCPU65mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを再度受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして取得し、ステップSP12へ移る。ステップSP12においてメインCPU65mは、コマンドと共に第1温度データをサブCPU65sへ送信する。
【0046】
ステップSP13においてサブCPU65sは、センサ42及び43から検出温度信号s1及びs2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第2温度データとして取得し、ステップSP14へ移る。ステップSP14においてサブCPU65sは、コマンドレスポンスとして第2温度データをメインCPU65mへ送信し、ステップSP15へ移る。
【0047】
ステップSP15においてサブCPU65sは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、異常時であるため第1温度データと第2温度データとが不一致した判定結果を得て、NGとする。
【0048】
第2温度データをサブCPU65sから受信すると、ステップSP16においてメインCPU65mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして再度取得し、ステップSP17へ移る。ステップSP17においてメインCPU65mは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、異常時であるため第1温度データと第2温度データとが不一致した判定結果を得て、NGとし、ステップSP18へ移る。ステップSP18においてメインCPU65mは、コマンドと共に第1温度データをサブCPU65sへ再度送信する。
【0049】
ステップSP19においてサブCPU65sは、センサ42及び43から検出温度信号s1及びs2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第2温度データとして再度取得し、ステップSP20へ移る。ステップSP20においてサブCPU65sは、コマンドレスポンスとして第2温度データをメインCPU65mへ再度送信し、ステップSP21へ移る。
【0050】
ステップSP21においてサブCPU65sは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、異常時であるため第1温度データと第2温度データとが不一致した判定結果を得て、NGとし、2回連続でNGとなったためリレー64をオフにする。
【0051】
第2温度データをサブCPU65sから受信すると、ステップSP22においてメインCPU65mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして再度取得し、ステップSP23へ移る。ステップSP23においてメインCPU65mは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、異常時であるため第1温度データと第2温度データとが不一致した判定結果を得て、NGとし、2回連続でNGとなったためリレー64をオフにする。
【0052】
このようにメインCPU65mは、異常時において1回NG判定を行うと、正常時のように通信間隔CTとして500[ms]待機することなく、第1温度データをサブCPU65sへ再度送信すると共に第2温度データをサブCPU65sから再度受信して、第1温度データと第2温度データとを再度比較する。再度比較した結果がNG判定となると、メインCPU65mは、リレー64をオフにする。このステップSP11からステップSP21及びステップSP23までの一連の動作は、通信時間Tcとして1[ms]以内に行われる。
【0053】
[1-6.相互監視開始処理手順]
次に、メインCPU65mによる相互監視開始処理の具体的な処理手順について、
図8のフローチャートを用いて説明する。画像形成装置1の電源が投入されるとメインCPU65mは、ROM(図示せず)から相互監視開始処理プログラムを読み出して実行することにより相互監視開始処理手順RT3を開始し、ステップSP31へ移る。ステップSP31においてメインCPU65mは、装置状態が相互監視実施状態か否かを
図13に示す相互監視タイミングリストTLに基づき判定し、ここで肯定結果が得られると、このときメインCPU65mはステップSP32へ移る。
【0054】
相互監視タイミングリストTLに示すように、装置状態が定常状態のうちのオフ状態、すなわち画像形成装置1の電源が投入されていない状態である場合、メインCPU65m及びサブCPU65sは相互監視及び定着制御を実施しない。また装置状態が定常状態のうちの起動時、すなわち画像形成装置1の電源が投入された直後の状態である場合、メインCPU65m及びサブCPU65sは相互監視及び定着制御を実施する。さらに装置状態が定常状態のうちの待機時、すなわち画像形成装置1の電源が投入されており印刷データを上位装置から受信することを待機している状態である場合、メインCPU65m及びサブCPU65sは相互監視及び定着制御を実施しない。さらに装置状態が定常状態のうちの印刷時、すなわち画像形成装置1の電源が投入されており印刷データを印刷中の状態である場合、メインCPU65m及びサブCPU65sは相互監視及び定着制御を実施する。さらに装置状態がエラー状態であるジャム発生時である場合、メインCPU65m及びサブCPU65sは相互監視及び定着制御を実施しない。
【0055】
ステップSP32においてメインCPU65mは、メインCPU定着許可フラグをオンにすることにより定着制御の実施を許可し、ステップSP33へ移り、
図9に示すメインCPU相互監視処理手順SRT1を経てステップSP34へ移る。ステップSP34においてメインCPU65mは、装置状態が相互監視実施状態か否かを判定し、ここで肯定結果が得られると、このことは引き続き相互監視を実施することを示し、このときメインCPU65mはステップSP32へ戻る。一方ステップSP34において否定結果が得られると、このことは相互監視を終了することを示し、このときメインCPU65mはステップSP35へ移り相互監視開始処理手順RT3を終了する。
【0056】
このようにメインCPU65mは、装置状態を判定し、相互監視及び定着制御を実施するか否かを判断すると共に、相互監視及び定着制御を実施する場合、メインCPU定着許可フラグをオンにすることにより定着制御の実施を許可する。
【0057】
[1-7.メインCPU相互監視処理手順]
次に、メインCPU65mによるメインCPU相互監視処理の具体的な処理手順について、
図9のフローチャートを用いて説明する。メインCPU65mは、相互監視開始処理手順RT3(
図8)のステップSP33において
図9に示すメインCPU相互監視処理手順SRT1を開始し、通信NG回数及びメインCPU監視NG回数を0回にリセットしてステップSP41へ移る。
【0058】
ステップSP41においてメインCPU65mは、前回の監視結果がメインCPU監視OKであったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、正常時であるため通常通り通信間隔CTとして500[ms]を待機することを表し、このときメインCPU65mは、ステップSP42へ移る。一方ステップSP41において否定結果が得られると、このことは異常時である可能性があるため通信間隔CTとして500[ms]を待機せずに次の判定を行う必要があることを表し、このときメインCPU65mは、ステップSP42をスキップしてステップSP43へ移る。因みにメインCPU65mは、初めてステップSP41を実行する際は、ステップSP41において否定結果を得て、ステップSP42をスキップしてステップSP43へ移る。ステップSP43においてメインCPU65mは、通信間隔CTとして500[ms]だけ待機し、ステップSP43へ移る。
【0059】
ステップSP43においてメインCPU65mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして取得し、ステップSP44へ移る。ステップSP44においてメインCPU65mは、コマンドと共に第1温度データをサブCPU65sへ送信し、ステップSP45へ移る。ステップSP45においてメインCPU65mは、サブCPU65sの返信タイムアウト時間を計測するためのタイマである返信タイムアウトタイマをセットし、ステップSP46へ移る。返信タイムアウトタイマは、システムタイマが使用されるため5[ms]に設定されている。ステップSP46においてメインCPU65mは、第2温度データをサブCPU65sから受信し、ステップSP47へ移る。
【0060】
ステップSP47においてメインCPU65mは、返信タイムアウトタイマをセットしてから5[ms]が経過し返信タイムアウトタイマがタイムアウトしたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは返信タイムアウトタイマがセットされてから5[ms]経過してもサブCPU65sから返信がないため通信NGであったことを表し、このときメインCPU65mはステップSP48へ移る。一方ステップSP48において否定結果が得られると、このことは返信タイムアウトタイマがセットされてから5[ms]経過する前にサブCPU65sから返信があったことを表し、このときメインCPU65mはステップSP48へ移る。
【0061】
ステップSP48においてメインCPU65mは、温度データ以外のNACK(受信拒絶)を受信したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは通信NGであったことを表し、このときメインCPU65mはステップSP52へ移る。
【0062】
ステップSP52においてメインCPU65mは、通信NG回数に1を加算し、ステップSP53へ移る。ステップSP53においてメインCPU65mは、通信NG回数がメインCPU送信リトライ上限回数である4回未満であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このときメインCPU65mは、ステップSP41へ戻る。このようにメインCPU65mは、サブCPU65sとの間で通信エラーが発生したとしても、通信NG回数がメインCPU送信リトライ上限回数に達するまで、4回はサブCPU65sとの通信をリトライし、コマンド及び第1温度データを再送する。
【0063】
一方ステップSP53において否定結果が得られると、このことは通信NG回数がメインCPUリトライ上限回数に達したためメインCPUリトライエラーであることを表し、このときメインCPU65mはステップSP56へ移る。ステップSP56においてメインCPU65mは、メインCPU定着許可フラグをオフにすることにより定着制御の実施を不許可にし、ステップSP57へ移る。ステップSP57においてメインCPU65mは、リレー64をオフにすると共にエラーが発生したことをCPU50(
図3)に通知するメインCPUエラー処理を行い、ステップSP58へ移りメインCPU相互監視処理手順SRT1を終了し、相互監視開始処理手順RT3(
図8)のステップSP34へ移る。
【0064】
一方ステップSP49においてメインCPU65mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして取得し、ステップSP50へ移る。ステップSP50においてメインCPU65mは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定する。具体的にメインCPU65mは、第1温度データと第2温度データとの温度差が後述する許容温度差範囲内にある場合、第1温度データと第2温度データとが一致したと判定する。
【0065】
本実施の形態において許容温度差範囲は、7[℃]未満に設定されている。このため画像形成装置1は、第1温度データと第2温度データとの温度差が7[℃]未満である場合は第1温度データと第2温度データとが一致すると判定する一方、第1温度データと第2温度データとの温度差が7[℃]以上である場合は第1温度データと第2温度データとが一致しないと判定する。具体的には、
図11に示す検出温度表TBのように、検出温度信号s1が140[℃]、検出温度信号s2が155[℃]、検出温度信号m1が150[℃]、検出温度信号m2が155[℃]であるとする。この検出温度信号s1と検出温度信号m1とは、センサ42が検出した同一の信号であるため、本来であれば同一の値となる。またこの検出温度信号s2と検出温度信号m2とは、センサ43が検出した同一の信号であるため、本来であれば同一の値となる。本実施の形態においては、検出温度信号s2と検出温度信号m2とは、互いに155[℃]であるため正常となっているものの、検出温度信号s1と検出温度信号m1とは、検出温度信号s1が140[℃]である一方、検出温度信号m1が150[℃]であるため、温度差が7[℃]以上となってしまっている。このとき画像形成装置1は、異常であると判定する。
【0066】
ステップSP50において肯定結果が得られると、このことはメインCPU65mとサブCPU65sとは定着器6の温度を互いに正常に検出できており、メインCPU監視OKであったことを表し、このときメインCPU65mはステップSP51へ移る。ステップSP51においてメインCPU65mは、メインCPU定着許可フラグをオンにすることにより定着制御の実施を許可すると共に、メインCPU監視NG回数を0にリセットし、ステップSP58へ移りメインCPU相互監視処理手順SRT1を終了し、相互監視開始処理手順RT3(
図8)のステップSP34へ移る。
【0067】
一方ステップSP50において否定結果が得られると、このことはメインCPU監視NGであったことを表し、このときメインCPU65mはステップSP54へ移る。ステップSP54においてメインCPU65mは、メインCPU監視NG回数に1を加算し、ステップSP55へ移る。ステップSP55においてメインCPU65mは、メインCPU監視NG回数がメインCPU監視連続NG上限回数である2回未満であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このときメインCPU65mは、ステップSP41へ戻る。このようにメインCPU65mは、メインCPU65mによる定着器6の温度検出結果とサブCPU65sによる定着器6の温度検出結果との不一致が発生したとしても、メインCPU監視NG回数がメインCPU監視連続NG上限回数に達するまで、2回は第1温度データと第2温度データとの比較をリトライする。
【0068】
一方ステップSP55において否定結果が得られると、このことはメインCPU監視NG回数がメインCPU監視連続NG上限回数に達したためメインCPU相互温度監視エラーであることを表し、このときメインCPU65mはステップSP56へ移り、メインCPU定着許可フラグをオフにし、ステップSP57へ移り、メインCPUエラー処理を行い、ステップSP58へ移りメインCPU相互監視処理手順SRT1を終了し、相互監視開始処理手順RT3(
図8)のステップSP34へ移る。
【0069】
[1-8.サブCPU相互監視処理手順]
次に、サブCPU65sによるサブCPU相互監視処理の具体的な処理手順について、
図10のフローチャートを用いて説明する。画像形成装置1の電源が投入されるとサブCPU65sは、ROM(図示せず)からサブCPU相互監視処理プログラムを読み出して実行することによりサブCPU相互監視処理手順RT4を開始し、サブCPU監視NG回数を0回にリセットしてステップSP61へ移る。ステップSP61においてサブCPU65sは、メインCPU相互監視処理手順SRT1(
図9)のステップSP22においてメインCPU65mから送信されたコマンド及び第1温度データを受信し、ステップSP62へ移る。
【0070】
ステップSP62においてサブCPU65sは、メインCPU65mからの前回の温度データの受領から(すなわちタイムアウトカウンタに500[ms]をセットしスタートさせてから)500[ms]が経過しタイムアウトカウンタがタイムアウトしたか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはタイムアウトカウンタがスタートしてから500[ms]経過してもメインCPU65mから温度データの送信がないためメインCPU65mが正常に動作していないサブCPUタイムアウトエラーであったことを表し、このときサブCPU65sはステップSP72へ移る。因みにサブCPU65sは、初めてステップSP62を実行する際は、未だタイムアウトカウンタをリセットさせていないため、ステップSP62において否定結果を得る。
【0071】
ステップSP72においてサブCPU65sは、サブCPU定着許可フラグをオフにすることにより定着制御の実施を不許可にし、ステップSP73へ移る。ステップSP73においてサブCPU65sは、リレー64をオフにすると共にエラーが発生したことをCPU50に通知するサブCPUエラー処理を行い、ステップSP74へ移りサブCPU相互監視処理手順RT4を終了する。以下ではメインCPU相互温度監視エラーとサブCPU相互温度監視エラーとをまとめても相互温度監視エラーとも呼ぶ。
【0072】
一方ステップSP62において否定結果が得られると、このことはメインCPU65mからの前回の温度データの受領から(すなわちタイムアウトカウンタをスタートさせてから)500[ms]経過する前にメインCPU65mから温度データが送信されたことを表し、このときサブCPU65sはステップSP63へ移る。ステップSP63においてサブCPU65sは、ステップSP61において受信したコマンドが停止コマンドであるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはメインCPU65mの指示に基づき相互監視及び定着制御を終了させることを表し、このときサブCPU65sはステップSP69へ移る。ステップSP69においてサブCPU65sは、サブCPU定着許可フラグをオフにすることにより定着制御の実施を不許可にし、ステップSP74へ移りサブCPU相互監視処理手順RT4を終了する。
【0073】
一方ステップSP63において否定結果が得られると、このことは引き続き相互監視及び定着制御を行うことを表し、このときサブCPU65sはステップSP64へ移る。ステップSP64においてサブCPU65sは、メインCPU65mから500[ms]に1回温度データを受信しているか否かを判定する際に500[ms]を計測するためのカウンタであるタイムアウトカウンタに500[ms]をセットしスタートさせ、ステップSP65へ移る。
【0074】
ステップSP65においてサブCPU65sは、センサ42及び43から検出温度信号s1及びs2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第2温度データとして取得し、ステップSP66へ移る。ステップSP66においてサブCPU65sは、第2温度データをメインCPU65mへ送信し、ステップSP67へ移る。メインCPU相互監視処理手順SRT1(
図9)のステップSP46においてメインCPU65mは、この第2温度データをサブCPU65sから受信する。
【0075】
ステップSP67においてサブCPU65sは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定する。具体的にサブCPU65sは、第1温度データと第2温度データとの温度差が許容温度差範囲内にある場合、第1温度データと第2温度データとが一致したと判定する。ここで肯定結果が得られると、このことはメインCPU65mとサブCPU65sとは定着器6の温度を互いに正常に検出できており、サブCPU監視OKであったことを表し、このときサブCPU65sはステップSP68へ移る。ステップSP68においてサブCPU65sは、サブCPU定着許可フラグをオンにすることにより定着制御の実施を許可すると共に、サブCPU監視NG回数を0にリセットし、ステップSP61へ戻り、上述した処理を繰り返し行い、メインCPU65mから受信した第1温度データと、自身で取得した第2温度データとが一致するか否かを判定する。
【0076】
一方ステップSP67において否定結果が得られると、このことはサブCPU監視NGであったことを表し、このときサブCPU65sはステップSP70へ移る。ステップSP70においてサブCPU65sは、サブCPU監視NG回数に1を加算し、ステップSP71へ移る。ステップSP71においてサブCPU65sは、サブCPU監視NG回数がサブCPU監視連続NG上限回数である2回未満であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このときサブCPU65sは、ステップSP61へ戻る。このようにサブCPU65sは、メインCPU65mによる定着器6の温度検出結果とサブCPU65sによる定着器6の温度検出結果との不一致が発生したとしても、サブCPU監視NG回数がサブCPU監視連続NG上限回数に達するまで、2回は第1温度データと第2温度データとの比較をリトライする。
【0077】
一方ステップSP71において否定結果が得られると、このことはサブCPU監視NG回数がサブCPU監視連続NG上限回数に達したためサブCPU相互温度監視エラーであることを表し、このときサブCPU65sはステップSP72へ移り、サブCPU定着許可フラグをオフにし、ステップSP73へ移り、サブCPUエラー処理を行い、ステップSP74へ移りサブCPU相互監視処理手順RT4を終了する。
【0078】
[1-9.効果等]
以上の構成において画像形成装置1は、ヒータ44の温度監視によりセンサ42及び43から得た温度データを定期的にメインCPU65mからサブCPU65sに送信し、メインCPU65mから受信した温度データとサブCPU65s自身が検出した温度データとが一致しているか否かをサブCPU65sで判定すると共に、温度監視で得た温度データをサブCPU65sからメインCPU65mに送信し、サブCPU65sから受信した温度データとメインCPU65m自身が検出した温度データとが一致しているか否かをメインCPU65mで判定するようにした。このように画像形成装置1は、一方のCPUが温度制御中に暴走してしまい、正常に温度データが検出できなくなった際に、許容温度差範囲を逸脱したことを他方のCPUが検知してヒータ44を停止させるようにした。
【0079】
このため画像形成装置1は、一連の温度検出過程に異常があるか否かをメインCPU65mとサブCPU65sとで相互に判断し、メインCPU65mかサブCPU65sかの少なくともどちらか一方で異常を検出した場合、ヒータ44を速やかに停止させることができる。これにより画像形成装置1は、温度制御中に異常が発生しても、耐熱温度を超えることなくヒータ44を停止させることができる。また画像形成装置1は、ファームウェアのバグが発生しメインCPU65m又はサブCPU65sのどちらか一方の処理能力が著しく低下したとしても、影響を受けない他方のCPUが一方のCPUを監視するため、信頼性を向上できる。
【0080】
ここで、検出温度信号m1、m2、s1及びs2の検出温度グラフGRを
図12に示すように、検出温度信号m2及びs2は常に一致しているため、以下では検出温度信号m1及びs1について述べる。検出温度グラフGRにおいて、12[s]までは検出温度信号s1と検出温度信号m1とは一致していたものの、12[s]の時点から検出温度信号s1と検出温度信号m1との温度差が広がっていき、ほぼ12.5[s]の時点である時点t1においてメインCPU65mとサブCPU65sとが検出温度信号m1と検出温度信号s1とを比較した際には、検出温度信号m1と検出温度信号s1との温度差が許容温度差範囲を外れている。このときメインCPU65mとサブCPU65sとは、検出温度信号m1と検出温度信号s1との不一致を検出し、NGと判断する。続いて、時点t1から500[ms]経過するよりも前の時点である時点t2において、メインCPU65mとサブCPU65sとは検出温度信号m1と検出温度信号s1とを再度比較する。このとき検出温度信号m1と検出温度信号s1との温度差は未だ許容温度差範囲を外れている。このときメインCPU65mとサブCPU65sとは、検出温度信号m1と検出温度信号s1との不一致を再度検出し、リレー64をオフすることにより、時点t2においてヒータ44の加熱を停止させる。これにより画像形成装置1は、検出温度信号m1、検出温度信号m2、検出温度信号s1及び検出温度信号s2の何れも、上限温度Tulである250[℃]と耐熱温度Thpである200[℃]との両方を超えないようにすることができる。
【0081】
また画像形成装置1は、メインCPU65mがサブCPU65sへコマンドを送信してから5[ms]以内にレスポンスを受信できなかった場合、メインCPU相互温度監視エラーとするようにした。これにより画像形成装置1は、サブCPU65sが暴走したり停止したりしており、定着器6の温度を正常に検出できない異常状態であることをメインCPU65mにより検出し、ヒータ44を速やかに停止させることができる。
【0082】
さらに画像形成装置1は、サブCPU65sがメインCPU65mから500[ms]に1回温度データを受信できなかった場合、サブCPU相互温度監視エラーとするようにした。これにより画像形成装置1は、メインCPU65mが暴走したり停止したりしており、定着器6の温度を正常に検出できない異常状態であることをサブCPU65sにより検出し、ヒータ44を速やかに停止させることができる。
【0083】
さらに画像形成装置1は、メインCPU65mとサブCPU65sとの温度検出結果の不一致が1回発生したとしても、すぐに相互温度監視エラーとは判定せずに、メインCPU65mとサブCPU65sとの温度検出結果の不一致が連続して2回発生した場合に、相互温度監視エラーと判定するようにした。これにより画像形成装置1は、メインCPU65mとサブCPU65sとの温度検出結果の不一致が測定誤差等の原因により発生した等、ヒータ44を直ちに停止させる必要がない場合はすぐには停止させないようにできる。
【0084】
ここで
図14に示すように、メインCPU65mとサブCPU65sとは、通信間隔CTである500[ms]間隔で相互監視を行う。
図14においてメインCPU65mとサブCPU65sとは、時点t11においては、第1温度データと第2温度データとが一致したと判定したとする。その後時点t12においては、実際には第1温度データと第2温度データとは不一致だったにも関わらず、ノイズにより、第1温度データと第2温度データとが一致したとメインCPU65mとサブCPU65sとが偶然判定したとする。このためメインCPU65mとサブCPU65sとは、本来であれば時点t12の後は500[ms]の間隔を空けずに、第1温度データと第2温度データとを再度比較するべきであるが、時点t12においては第1温度データと第2温度データとが一致したと判定されたため、それを行うことはできない。続いて時点t13においてメインCPU65mとサブCPU65sとは、第1温度データと第2温度データとが不一致であったと判定する。このためメインCPU65mとサブCPU65sとは、時点t13の後は500[ms]の間隔を空けない時点t14において、第1温度データと第2温度データとを再度比較し、第1温度データと第2温度データとが不一致であったと再度判定する。この時点t14においてメインCPU65mとサブCPU65sとは、メインCPU65mとサブCPU65sとの何れか一方が異常な状態であると判断し、リレー64をオフにする。
【0085】
このようにメインCPU65mは、異常時において1回NG判定を行うと、正常時のように通信間隔CTとして500[ms]待機することなく、第1温度データをサブCPU65sへ再度送信すると共に第2温度データをサブCPU65sから再度受信して、第1温度データと第2温度データとを再度比較する。再度比較した結果がNG判定となると、メインCPU65mは、リレー64をオフにするようにした。
【0086】
このため、例えば時点t12において、ノイズにより、第1温度データと第2温度データとが一致したとメインCPU65mとサブCPU65sとが偶然判定したとしても、その後の時点t13における判定と、時点t13から500[ms]待機せずに行う時点t14における判定とにより、時点t12から1[s]以内には、メインCPU65m及びサブCPU65sは異常を検出し、ヒータ44を停止できる。
【0087】
以上の構成によれば画像形成装置1は、ヒータ44の温度を計測するセンサ42及び43と、ヒータ44を制御する制御部71mと、ヒータ44を制御する制御部71sとを具え、制御部71mは、センサ42及び43から出力値を取得するセンサ出力値取得部73mと、センサ出力値取得部73mを用いて取得した第1出力値としての検出温度信号m1及びm2を制御部71sへ送信する出力値送信部74mと、検出温度信号m1及びm2と制御部71sから受信した第2出力値としての検出温度信号s1及びs2とを用いて、温度の差分が所定の許容温度差範囲を超えた場合、ヒータ44を停止させるヒータ制御部76mとを有し、制御部71sは、センサ42及び43から出力値を取得するセンサ出力値取得部73sと、センサ出力値取得部73sを用いて取得した検出温度信号s1及びs2を制御部71mへ送信する出力値送信部74sと、検出温度信号s1及びs2と制御部71mから受信した検出温度信号m1及びm2とを用いて、温度の差分が許容温度差範囲を超えた場合、ヒータ44を停止させるヒータ制御部76sとを有するようにした。これにより画像形成装置1は、温度検出過程に異常があるか否かを制御部71mと制御部71sとで相互に判断し、制御部71mか制御部71sかの少なくともどちらか一方で異常を検出した場合、ヒータ44を速やかに停止させることができる。
【0088】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.画像形成装置及び画像形成部の構成]
第2の実施の形態による画像形成装置101(
図1及び
図3)は、第1の実施の形態による画像形成装置1と比較して、画像形成部57に代わる画像形成部157を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2の実施の形態による画像形成部157(
図3)は、第1の実施の形態による画像形成部57と比較して、定着制御部59に代わる定着制御部159を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0089】
[2-2.定着制御部の回路構成]
図4と対応する部材に同一符号を付した
図15に示すように、第2の実施の形態による定着制御部159は、第1の実施の形態による定着制御部59と比較して、メインCPU65m及びサブCPU65sに代わるメインCPU165m及びサブCPU165sを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0090】
第2の実施の形態によるメインCPU165mは、第1の実施の形態によるメインCPU65m(
図4)と比較して、温度判定切替部178mが追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。温度判定切替部178mは、第1温度データに応じて、後述する第1許容温度差ΔT1又は第2許容温度差ΔT2の何れかに許容温度差を切り替える。
【0091】
第2の実施の形態によるサブCPU165sは、第1の実施の形態によるサブCPU65s(
図4)と比較して、温度判定切替部178sが追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。温度判定切替部178sは、第2温度データに応じて、後述する第1許容温度差ΔT1又は第2許容温度差ΔT2に許容温度差を切り替える。
【0092】
[2-3.定着制御部の機能構成]
図5と対応する部材に同一符号を付した
図16に示すように、第2の実施の形態による定着制御部159は、第1の実施の形態による定着制御部59(
図5)と比較して、制御部71m及び制御部71sに代わる制御部171m及び制御部171sを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0093】
第2の実施の形態による制御部171mは、第1の実施の形態による制御部71m(
図5)と比較して、ヒータ制御部76mに代わるヒータ制御部176mを有すると共に温度判定切替部178mが追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0094】
第2の実施の形態による制御部171sは、第1の実施の形態による制御部71s(
図5)と比較して、ヒータ制御部76sに代わるヒータ制御部176sを有すると共に温度判定切替部178sが追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0095】
図16において制御部171mは、メインCPU165m(
図15)と対応しており、該メインCPU165mにおいて後述するメインCPU相互監視プログラムが実行されることにより、センサ出力値取得部73m、出力値送信部74m、ヒータ制御部176m及び温度判定切替部178mの各機能ブロックを実現する。制御部171sは、サブCPU165s(
図15)と対応しており、該サブCPU165sにおいて後述するサブCPU相互監視プログラムが実行されることにより、センサ出力値取得部73s、出力値送信部74s、ヒータ制御部176s及び温度判定切替部178sの各機能ブロックを実現する。
【0096】
センサ出力値取得部73mは、センサ42及び43から第1出力値としての検出温度信号m1及びm2を取得する。出力値送信部74mは、センサ出力値取得部73mが取得した第1出力値を制御部171s及び温度判定切替部178mへ送信する。温度判定切替部178mは、第1出力値に応じて、後述する第1許容温度差ΔT1又は第2許容温度差ΔT2の何れかの許容温度差を選択する。ヒータ制御部176mは、第1出力値と制御部171sから受信した第2出力値との差分が温度判定切替部178mによって選択された許容温度差を超えた場合、ヒータ44を停止させる。
【0097】
センサ出力値取得部73sは、センサ42及び43から第2出力値としての検出温度信号s1及びs2を取得する。出力値送信部74sは、センサ出力値取得部73sが取得した第2出力値を制御部171m及び温度判定切替部178sへ送信する。温度判定切替部178sは、第2出力値に応じて、後述する第1許容温度差ΔT1又は第2許容温度差ΔT2の何れかの許容温度差を選択する。ヒータ制御部176sは、第2出力値と制御部171mから受信した第1出力値との差分が、温度判定切替部178sによって選択された許容温度差を超えた場合、ヒータ44を停止させる。
【0098】
[2-4.相互監視処理手順]
画像形成装置101のメインCPU165m及びサブCPU165sは、上述した正常時の相互監視処理手順RT1(
図6)及び異常時の相互監視処理手順RT2(
図7)において、第1の実施の形態において説明した処理を行う。
【0099】
[2-5.相互監視開始処理手順]
次に、メインCPU165mによる相互監視開始処理の具体的な処理手順について、
図8のフローチャートを用いて説明する。相互監視開始処理手順RT103は相互監視開始処理手順RT3と比較して、ステップSP33においてメインCPU相互監視処理手順SRT1に代えてメインCPU相互監視処理手順SRT101が設けられている。
【0100】
画像形成装置101の電源が投入されるとメインCPU165mは、ROM(図示せず)から相互監視開始処理プログラムを読み出して実行することにより相互監視開始処理手順RT103を開始し、ステップSP31へ移る。ステップSP31及びSP32においてメインCPU165mは、相互監視開始処理手順RT3と同様の処理を行い、ステップSP33へ移り、
図17に示すメインCPU相互監視処理手順SRT101を経てステップSP34へ移る。ステップSP34においてメインCPU165mは、相互監視開始処理手順RT3と同様の処理を行い、ステップSP35へ移り相互監視開始処理手順RT103を終了する。
【0101】
[2-6.メインCPU相互監視処理手順]
次に、メインCPU165mによるメインCPU相互監視処理の具体的な処理手順について、
図9と対応するステップに同一符号を付した
図17のフローチャートを用いて説明する。メインCPU相互監視処理手順SRT101はメインCPU相互監視処理手順SRT1と比較して、ステップSP159及びSP160が追加されていると共に、ステップSP50に代えてステップSP150が設けられている。ステップSP41~SP49においてメインCPU165mは、メインCPU相互監視処理手順SRT101と同様の処理を行い、ステップSP150へ移る。
【0102】
ステップSP150においてメインCPU165mは、第1温度データが温度閾値T以下であるか否かを判定する。本実施の形態において温度閾値Tは、後述する低温度帯域tr(
図21)の上限と定着温度帯域trf(
図19)の下限とからマージンを取って100[℃]に設定されている。ここで肯定結果が得られると、このことは第1温度データがまだ温度閾値T以下であるため許容温度差は第2許容温度差ΔT2で良いことを表し、このときメインCPU165mはステップSP159へ移る。
【0103】
ステップSP159においてメインCPU165mは、第1温度データと第2温度データとを比較し、第1温度データと第2温度データとの温度差が第2許容温度差範囲内にある、すなわち、温度差が第2許容温度差ΔT2以下であるか否かを判定する。本実施の形態において第2許容温度差ΔT2は、25[℃]に設定されている。
【0104】
ステップSP159において肯定結果が得られると、このことはメインCPU165mとサブCPU165sとは定着器6の温度を互いに正常に検出できており、メインCPU監視OKであったことを表し、このときメインCPU165mはステップSP51へ移る。ステップSP51においてメインCPU165mは、メインCPU相互監視処理手順SRT1(
図9)と同様の処理を行い、ステップSP58へ移りメインCPU相互監視処理手順SRT101を終了し、相互監視開始処理手順RT103(
図8)のステップSP34へ移る。
【0105】
一方ステップSP159において否定結果が得られると、このことはメインCPU監視NGであったことを表し、このときメインCPU165mはステップSP54へ移り、以降はメインCPU相互監視処理手順SRT1(
図9)と同様の処理を行う。
【0106】
一方ステップSP150において否定結果が得られると、このことは第1温度データが温度閾値Tを上回ったため許容温度差を第2許容温度差ΔT2から第1許容温度差ΔT1に切り替える必要があることを表し、このときメインCPU165mはステップSP160へ移る。
【0107】
ステップSP160においてメインCPU165mは、第1温度データと第2温度データとを比較し、第1温度データと第2温度データとの温度差が第1許容温度差範囲内にある、すなわち、温度差が第1許容温度差ΔT1以下であるか否かを判定する。本実施の形態において第1許容温度差ΔT1は、7[℃]に設定されている。このため第2許容温度差ΔT2(25[℃])は、第1許容温度差ΔT1(7[℃])よりも大きい値に設定されている。
【0108】
ステップSP160において肯定結果が得られると、このことはメインCPU165mとサブCPU165sとは定着器6の温度を互いに正常に検出できており、メインCPU監視OKであったことを表し、このときメインCPU165mはステップSP51へ移る。ステップSP51においてメインCPU165mは、メインCPU相互監視処理手順SRT1(
図9)と同様の処理を行い、ステップSP58へ移りメインCPU相互監視処理手順SRT101を終了し、相互監視開始処理手順RT103(
図8)のステップSP34へ移る。
【0109】
一方ステップSP160において否定結果が得られると、このことはメインCPU監視NGであったことを表し、このときメインCPU165mはステップSP54へ移り、以降はメインCPU相互監視処理手順SRT1(
図9)と同様の処理を行う。
【0110】
[2-7.サブCPU相互監視処理手順]
次に、サブCPU165sによるサブCPU相互監視処理の具体的な処理手順について、
図10と対応するステップに同一符号を付した
図18のフローチャートを用いて説明する。サブCPU相互監視処理手順RT104はサブCPU相互監視処理手順RT4と比較して、ステップSP175及びSP176が追加されていると共に、ステップSP67に代えてステップSP167が設けられている。ステップSP61~SP66においてサブCPU165sは、サブCPU相互監視処理手順RT4と同様の処理を行い、ステップSP167へ移る。
【0111】
ステップSP167においてサブCPU165sは、第2温度データが温度閾値T以下であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは第2温度データがまだ温度閾値T以下であるため許容温度差は第2許容温度差ΔT2で良いことを表し、このときサブCPU165sはステップSP175へ移る。
【0112】
ステップSP175においてサブCPU165sは、第1温度データと第2温度データとを比較し、第1温度データと第2温度データとの温度差が第2許容温度差範囲内にある、すなわち、温度差が第2許容温度差ΔT2以下であるか否かを判定する。
【0113】
ステップSP175において肯定結果が得られると、このことはメインCPU165mとサブCPU165sとは定着器6の温度を互いに正常に検出できており、サブCPU監視OKであったことを表し、このときサブCPU165sはステップSP68へ移る。ステップSP68へ移り、以降はサブCPU相互監視処理手順RT4(
図10)と同様の処理を行う。
【0114】
一方ステップSP175において否定結果が得られると、このことはサブCPU監視NGであったことを表し、このときサブCPU165sはステップSP70へ移り、以降はサブCPU相互監視処理手順RT4(
図10)と同様の処理を行う。
【0115】
一方ステップSP167において否定結果が得られると、このことは第2温度データが温度閾値Tを上回ったため許容温度差を第2許容温度差ΔT2から第1許容温度差ΔT1に切り替える必要があることを表し、このときサブCPU165sはステップSP176へ移る。
【0116】
ステップSP176においてサブCPU165sは、第1温度データと第2温度データとを比較し、第1温度データと第2温度データとの温度差が第1許容温度差範囲内にある、すなわち、温度差が第1許容温度差ΔT1以下であるか否かを判定する。
【0117】
ステップSP176において肯定結果が得られると、このことはメインCPU165mとサブCPU165sとは定着器6の温度を互いに正常に検出できており、サブCPU監視OKであったことを表し、このときサブCPU165sはステップSP68へ移り、以降はサブCPU相互監視処理手順RT4(
図10)と同様の処理を行う。
【0118】
一方ステップSP176において否定結果が得られると、このことはサブCPU監視NGであったことを表し、このときサブCPU165sはステップSP70へ移り、以降はサブCPU相互監視処理手順RT4(
図10)と同様の処理を行う。
【0119】
[2-8.効果等]
ここで、画像形成装置101の定着器6においては、140[℃]~160[℃]程度の温度帯域が、画像を記録媒体Pに定着させるために適した
図19に示す定着温度帯域trfとなっている。一方、定着温度帯域trf以外の温度帯域である、140[℃]未満の温度帯域と160[℃]よりも大きい温度帯域とは、画像を記録媒体Pに定着させるためには適していない
図19に示す非定着温度帯域trnfとなっている。
【0120】
またここで、センサ42及び43に用いられるサーミスタは、温度に応じて抵抗値(すなわち出力電圧)が変化するものの、その温度特性は非線形であり、温度変化に応じてリニアな電圧を出力するわけではない。
図19にセンサ42及び43の温度特性グラフGRtを示す。本実施の形態において用いられるサーミスタのような安価な温度センサでは、温度反応特性がセンサの種類によって異なる。温度特性グラフGRtは、センサ42及び43が検出した温度と、センサ42及び43の出力電圧(すなわち検出温度信号s1、s2、m1及びm2)がADC66m及び66sによりアナログデジタル変換された値であるAD値との関係を温度特性曲線Ctcとして示している。
【0121】
図21の検出温度グラフGR2に示す例えば60[℃]以下の低温度帯域trのような、特に温度が低い温度帯域ではセンサ42及び43の分解能が荒いため、
図20に示すようにAD値が1つ異なるだけで温度が4[℃]も変化してしまい、メインCPU165mとサブCPU165sとが測定する温度に温度差が生じやすい。さらにメインCPU165mとサブCPU165sとでは温度を取得するタイミングが異なる。このため許容温度差範囲を狭く設定すると、特に低温度帯域trでは、実際には温度検出過程に異常が発生していないにも関わらず許容温度差範囲を外れてしまい、メインCPU165m及びサブCPU165sは相互温度監視エラーと誤検知してしまう可能性がある。
【0122】
一方で、画像を記録媒体Pに定着させるために適した定着温度帯域trfでは、センサ精度が高く分解能が高いため、メインCPU165mとサブCPU165sとが測定する温度の温度差は小さくなる。また定着温度帯域trfでは安全を担保するため許容温度差範囲は狭く設定し、定着温度を厳密に管理する必要がある。
【0123】
これに対し画像形成装置101は、2つの許容温度差である第1許容温度差ΔT1(7[℃])と第2許容温度差ΔT2(25[℃])とを記憶しておき、第1温度データ及び第2温度データが温度閾値Tに達するまでの間は広い(すなわち緩い)許容温度差である第2許容温度差ΔT2(25[℃])を許容温度差として適用する一方、第1温度データ及び第2温度データが温度閾値Tに達した後は狭い(すなわち厳しい)許容温度差である第1許容温度差ΔT1(7[℃])を許容温度差として適用するようにした。
【0124】
すなわち画像形成装置101は、第1温度データ及び第2温度データが、定着温度帯域trfの範囲内であるか否か、すなわち、温度に応じて変化するセンサ42及び43の分解能に応じて、許容温度差を異なる値に切り替えるようにした。
【0125】
ここで、
図21の検出温度グラフGR2に示すように、温度閾値Tは、温度閾値Tと第2許容温度差ΔT2と相互温度監視エラー検知までの温度上昇とを加算した値が上限温度Tulに達しない温度に設定されている。
【0126】
画像形成装置101は、温度閾値Tよりも高い温度帯域においては、定着温度帯域trfですぐに上限温度Tulに達してしまう可能性があることから、温度差の許容値を広げずに、第1の実施の形態と同様の許容温度差である第1許容温度差ΔT1(7[℃])とする。この第1許容温度差ΔT1は、メインCPU165mとサブCPU165sとの回路による温度誤差と、通信リトライによる温度誤差とを加算した値に基づき設定されている。この通信リトライによる温度誤差は、(メインCPU送信リトライ上限回数×1回の通信リトライに要する時間)×最大温度上昇勾配により設定される。また第2許容温度差ΔT2は、メインCPU165mとサブCPU165sとの回路による温度誤差と、通信リトライによる温度誤差と、センサ42及び43の温度特性とに応じて設定される。
【0127】
一方画像形成装置101は、温度閾値Tよりも低い温度帯域においては、分解能が荒く、AD値が1つ異なるだけで温度差が大きく見えるため、許容温度差を第1許容温度差ΔT1(7[℃])よりも広い第2許容温度差ΔT2(25[℃])とする。この温度閾値Tよりも低い温度帯域は、上限温度Tulよりも充分低い温度帯域であるため、第1許容温度差ΔT1よりも許容温度差を緩和しても、画像形成装置101は、上限温度Tulに達する前にヒータ44を停止できる。
【0128】
このように画像形成装置101は、AD値に応じた換算温度がリニアな温度反応特性ではないサーミスタ等の安価なセンサ42及び43を用いて、測定された温度が温度閾値T以下である場合、第1温度データと第2温度データとが一致していると判定する許容温度差を、測定された温度が温度閾値Tより大きい場合よりも大きくするようにした。これにより画像形成装置101は、サーモパイル等のリニアな温度反応特性を持つ高価なセンサを用いることなく、誤検知による相互温度監視エラー発生の可能性を抑制することができる。
【0129】
その他の点においても、第2の実施の形態による画像形成装置101は、第1の実施の形態による画像形成装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0130】
以上の構成によれば画像形成装置101は、ヒータ44を制御する制御部171mと、ヒータ44を制御する制御部171sとを設け、制御部171mは、検出温度信号m1及びm2に基づいて、許容温度差範囲を第1許容温度差範囲又は第2許容温度差範囲に切り替える第1温度判定切替部としての温度判定切替部178mと、検出温度信号m1及びm2と検出温度信号s1及びs2とを用いて、温度の差分が温度判定切替部178mが選択した許容温度差範囲を超えた場合、ヒータ44を停止させるヒータ制御部176mとを有し、制御部171sは、検出温度信号s1及びs2に基づいて、許容温度差範囲を第1許容温度差範囲又は第2許容温度差範囲に切り替える第2温度判定切替部としての温度判定切替部178sと、検出温度信号s1及びs2と検出温度信号m1及びm2とを用いて、温度の差分が温度判定切替部178sが選択した許容温度差範囲を超えた場合、ヒータ44を停止させるヒータ制御部176sとを有するようにした。
【0131】
これにより画像形成装置101は、リニアな温度反応特性を持つ高価なセンサを用いることなく、誤検知による相互温度監視エラー発生の可能性を抑制しつつ、温度検出過程に異常があるか否かを制御部171mと制御部171sとで相互に判断し、制御部171mか制御部171sかの少なくともどちらか一方で異常を検出した場合、ヒータ44を速やかに停止させることができる。
【0132】
[3.第3の実施の形態]
[3-1.画像形成装置及び画像形成部の構成]
第3の実施の形態による画像形成装置201(
図1及び
図3)は、第1の実施の形態による画像形成装置1と比較して、画像形成部57に代わる画像形成部257を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第3の実施の形態による画像形成部257(
図3)は、第1の実施の形態による画像形成部57と比較して、定着制御部59に代わる定着制御部259を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0133】
[3-2.定着制御部の回路構成]
図4と対応する部材に同一符号を付した
図22に示すように、第3の実施の形態による定着制御部259は、第1の実施の形態による定着制御部59と比較して、メインCPU65m及びサブCPU65sに代わるメインCPU265m及びサブCPU265sを有すると共に、バッファ群61が省略されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0134】
第3の実施の形態によるメインCPU265mは、第1の実施の形態によるメインCPU65m(
図4)と比較して、ADC66mに代わるADC266mを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。ADC266mは、取得した検出温度信号m1及びm2をアナログデジタル変換することによりデジタルデータである温度データへ変換し、RAM67mへ送出する。またメインCPU265mの駆動クロックは、サブCPU265sの駆動クロックに比べて十分に速くなっている。このためADC266mの駆動クロックは、サブCPU265sのADC266sの駆動クロックよりも十分に速くなっている。
【0135】
第3の実施の形態によるサブCPU265sは、第1の実施の形態によるサブCPU65s(
図4)と比較して、ADC66sに代わるADC266sを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。ADC266sは、取得した検出温度信号s1及びs2をアナログデジタル変換することによりデジタルデータである温度データへ変換し、RAM67sへ送出する。
【0136】
[3-3.定着制御部の機能構成]
図5と対応する部材に同一符号を付した
図23に示すように、第3の実施の形態による定着制御部259は、第1の実施の形態による定着制御部59(
図5)と比較して、制御部71m及び制御部71sに代わる制御部271m及び制御部271sを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0137】
第3の実施の形態による制御部271mは、第1の実施の形態による制御部71m(
図5)と比較して、ADC266mが追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0138】
第3の実施の形態による制御部271sは、第1の実施の形態による制御部71s(
図5)と比較して、ADC266s及びADC開始通知部280sが追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0139】
図23において制御部271mは、メインCPU265m(
図22)と対応しており、該メインCPU265mにおいて後述するメインCPU相互監視プログラムが実行されることにより、センサ出力値取得部73m、出力値送信部74m、ヒータ制御部76m及びADC266mの各機能ブロックを実現する。制御部271sは、サブCPU265s(
図22)と対応しており、該サブCPU265sにおいて後述するサブCPU相互監視プログラムが実行されることにより、センサ出力値取得部73s、出力値送信部74s、ヒータ制御部76s、ADC266s及びADC開始通知部280sの各機能ブロックを実現する。
【0140】
センサ出力値取得部73mは、センサ42及び43から第1出力値としての検出温度信号m1及びm2を取得しADC266mへ送出する。ADC266mは、取得した検出温度信号m1及びm2をアナログデジタル変換することによりデジタルデータである温度データへ変換し、出力値送信部74m及びヒータ制御部76mへ送出する。またADC266mは、制御部271sのADC266sがアナログデジタル変換を開始する旨を示す通知であるアナログデジタル変換開始通知をサブCPU265sから受信した場合、第1温度データに対するアナログデジタル変換を含む一連の動作を一定時間である停止時間Tsだけ停止させて待機する。この停止時間Tsは、サブCPU265sがアナログデジタル変換に要する時間より長い時間であり、本実施の形態においては、0.2[ms]に設定されている。出力値送信部74mは、ADC266mがアナログデジタル変換した第1出力値を制御部271sへ送信する。ヒータ制御部76mは、第1出力値と制御部271sから受信した第2出力値との差分が所定の許容温度差を超えた場合、ヒータ44を停止させる。
【0141】
センサ出力値取得部73sは、センサ42及び43から第2出力値としての検出温度信号s1及びs2を取得しADC266sへ送出する。ADC266sは、取得した検出温度信号s1及びs2をアナログデジタル変換することによりデジタルデータである温度データへ変換し、出力値送信部74s及びヒータ制御部76sへ送出する。アナログデジタル変換開始通知部としてのADC開始通知部280sは、ADC266sがアナログデジタル変換を開始する際に、第2温度データのアナログデジタル変換を開始する旨を示す通知であるアナログデジタル変換開始通知を制御部271mへ送信する。出力値送信部74sは、ADC266sがアナログデジタル変換した第2出力値を制御部271mへ送信する。ヒータ制御部76sは、第2出力値と制御部271mから受信した第1出力値との差分が所定の許容温度差を超えた場合、ヒータ44を停止させる。
【0142】
[3-4.相互監視処理手順]
画像形成装置201による相互監視処理手順について、
図24、
図25及び
図26のシーケンスチャートを用いて説明する。
【0143】
[3-4-1.正常時の相互監視処理手順]
画像形成装置201による正常時の相互監視処理手順RT201について、
図6と対応するステップに同一符号を付した
図24のシーケンスチャートを用いて説明する。正常時の相互監視処理手順RT201は正常時の相互監視処理手順RT1(
図6)と比較して、ステップSP201、SP202、SP203、SP204、SP205及びSP206が追加されている。ステップSP1においてメインCPU265mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして取得し、ステップSP201へ移る。ステップSP201においてメインCPU265mは、第1温度データをアナログデジタル変換し、ステップSP2へ移る。ステップSP2においてメインCPU265mは、コマンドと共に第1温度データをサブCPU265sへ送信し、ステップSP202へ移る。
【0144】
ステップSP202においてメインCPU265mは、アナログデジタル変換開始通知をサブCPU265sから受信したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このときメインCPU265mはステップSP1へ戻る。
【0145】
ステップSP3においてサブCPU265sは、センサ42及び43から検出温度信号s1及びs2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第2温度データとして取得し、ステップSP203へ移る。ステップSP203においてサブCPU265sは、アナログデジタル変換開始通知をメインCPU265mへ送信し、ステップSP205へ移る。
【0146】
アナログデジタル変換開始通知をサブCPU265sから受信すると、メインCPU265mは、ステップSP202において否定結果を得て、ステップSP204へ移る。ステップSP204においてメインCPU265mは、第1温度データに対するアナログデジタル変換を含む一連の動作を停止時間Tsだけ停止させる。
【0147】
ステップSP205においてサブCPU265sは、第2温度データをアナログデジタル変換し、ステップSP4へ移る。ここで、サブCPU265sがアナログデジタル変換している間は、メインCPU265mはアナログデジタル変換を一時的に停止しているため、メインCPU265mのアナログデジタル変換によるノイズのキックバック(逆流)の影響をサブCPU265sが受けることはないと共に、サブCPU265sのアナログデジタル変換によるノイズのキックバックの影響をメインCPU265mが受けることはない。すなわちメインCPU265m及びサブCPU265sは、互いのアナログデジタル変換によるノイズのキックバックの影響を受けることはない。ステップSP4においてサブCPU265sは、コマンドレスポンスとして第2温度データをメインCPU265mへ送信し、ステップSP5へ移る。
【0148】
ステップSP5においてサブCPU265sは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、正常時であるため第1温度データと第2温度データとが一致した判定結果を得て、OKとする。
【0149】
第2温度データをサブCPU265sから受信すると、ステップSP6においてメインCPU265mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして再度取得し、ステップSP206へ移る。ステップSP206においてメインCPU265mは、第1温度データをアナログデジタル変換し、ステップSP7へ移る。ステップSP7においてメインCPU265mは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、正常時であるため第1温度データと第2温度データとが一致した判定結果を得て、OKとする。
【0150】
上述したステップSP1からステップSP7までの一連の動作は、通信時間Tcとして0.5[ms]を要する。メインCPU265mは、定着制御を行っている間、通信間隔CTとして500[ms]間隔で、この一連の処理を繰り返す。
【0151】
[3-4-2.異常時の相互監視処理手順]
画像形成装置201による異常時の相互監視処理手順RT202について、
図7と対応するステップに同一符号を付した
図25及び
図26のシーケンスチャートを用いて説明する。異常時の相互監視処理手順RT202は異常時の相互監視処理手順RT2(
図7)と比較して、ステップSP211、SP212、SP213、SP214、SP215、SP216、SP217、SP218、SP219、SP220及びSP221が追加されている。前回の通信から通信間隔CTである500[ms]後、ステップSP11においてメインCPU265mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを再度受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして取得し、ステップSP211へ移る。ステップSP211においてメインCPU265mは、第1温度データをアナログデジタル変換し、ステップSP12へ移る。ステップSP12においてメインCPU265mは、コマンドと共に第1温度データをサブCPU265sへ送信し、ステップSP212へ移る。
【0152】
ステップSP212においてメインCPU265mは、アナログデジタル変換開始通知をサブCPU265sから受信したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このときメインCPU265mはステップSP11へ戻る。
【0153】
ステップSP13においてサブCPU265sは、センサ42及び43から検出温度信号s1及びs2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第2温度データとして取得し、ステップSP213へ移る。ステップSP213においてサブCPU265sは、アナログデジタル変換開始通知をメインCPU265mへ送信し、ステップSP215へ移る。
【0154】
アナログデジタル変換開始通知をサブCPU265sから受信すると、メインCPU265mは、ステップSP212において否定結果を得て、ステップSP214へ移る。ステップSP214においてメインCPU265mは、第1温度データに対するアナログデジタル変換を含む一連の動作を停止時間Tsだけ停止させる。
【0155】
ステップSP215においてサブCPU265sは、第2温度データをアナログデジタル変換し、ステップSP14へ移る。ここで、サブCPU265sがアナログデジタル変換している間は、メインCPU265mはアナログデジタル変換を一時的に停止しているため、メインCPU265m及びサブCPU265sは、互いのアナログデジタル変換によるノイズのキックバックの影響を受けることはない。ステップSP14においてサブCPU265sは、コマンドレスポンスとして第2温度データをメインCPU265mへ送信し、ステップSP15へ移る。
【0156】
ステップSP15においてサブCPU265sは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、異常時であるため第1温度データと第2温度データとが不一致した判定結果を得て、NGとする。
【0157】
第2温度データをサブCPU65sから受信すると、ステップSP16においてメインCPU265mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして再度取得し、ステップSP216へ移る。ステップSP216においてメインCPU265mは、第1温度データをアナログデジタル変換し、ステップSP17へ移る。ステップSP17においてメインCPU265mは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、異常時であるため第1温度データと第2温度データとが不一致した判定結果を得て、NGとし、ステップSP217(
図26)へ移る。
【0158】
ステップSP217においてメインCPU265mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして再度取得し、ステップSP218へ移る。ステップSP218においてメインCPU265mは、第1温度データをアナログデジタル変換し、ステップSP18へ移る。ステップSP18においてメインCPU265mは、コマンドと共に第1温度データをサブCPU265sへ再度送信し、ステップSP219へ移る。
【0159】
ステップSP219においてメインCPU265mは、レスポンスとして第2温度データをサブCPU265sから受信するまで待ち受ける。このようにメインCPU265mは、レスポンスである第2温度データをサブCPU265sから受信するまでは、第1温度データ取得及びアナログデジタル変換の繰り返し動作を行わずに待機する。
【0160】
ステップSP19においてサブCPU265sは、センサ42及び43から検出温度信号s1及びs2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第2温度データとして再度取得し、ステップSP220へ移る。ステップSP220においてサブCPU265sは、第2温度データをアナログデジタル変換し、ステップSP20へ移る。ここで、サブCPU265sがアナログデジタル変換している間は、メインCPU265mはアナログデジタル変換を一時的に停止しているため、メインCPU265m及びサブCPU265sは、互いのアナログデジタル変換によるノイズのキックバックの影響を受けることはない。ステップSP20においてサブCPU265sは、コマンドレスポンスとして第2温度データをメインCPU265mへ再度送信し、ステップSP21へ移る。
【0161】
ステップSP21においてサブCPU265sは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、異常時であるため第1温度データと第2温度データとが不一致した判定結果を得て、NGとし、2回連続でNGとなったためリレー64をオフにする。
【0162】
第2温度データをサブCPU265sから受信すると、メインCPU265mは、ステップSP219において肯定結果を得て、ステップSP22へ移る。ステップSP22においてメインCPU265mは、センサ42及び43から検出温度信号m1及びm2それぞれを受信して温度データに変換してこれを第1温度データとして再度取得し、ステップSP221へ移る。ステップSP221においてメインCPU265mは、第1温度データをアナログデジタル変換し、ステップSP23へ移る。ステップSP23においてメインCPU265mは、第1温度データと第2温度データとを比較して一致するか否かを判定し、異常時であるため第1温度データと第2温度データとが不一致した判定結果を得て、NGとし、2回連続でNGとなったためリレー64をオフにする。
【0163】
このようにメインCPU265mは、異常時において1回NG判定を行うと、正常時のように通信間隔CTとして500[ms]待機することなく、第1温度データをサブCPU265sへ再度送信すると共に第2温度データをサブCPU265sから再度受信して、第1温度データと第2温度データとを再度比較する。再度比較した結果がNG判定となると、メインCPU265mは、リレー64をオフにする。このステップSP11からステップSP21及びステップSP23までの一連の動作は、通信時間Tcとして1[ms]以内に行われる。
【0164】
[3-5.相互監視開始処理手順]
画像形成装置201のメインCPU265mは、上述した相互監視開始処理手順RT3(
図8)において、第1の実施の形態において説明した処理を行う。
【0165】
[3-6.メインCPU相互監視処理手順]
画像形成装置201のメインCPU265mは、上述した第3の実施の形態による正常時の相互監視処理手順RT201(
図24)及び第3の実施の形態による異常時の相互監視処理手順RT202(
図25及び
図26)と対応するメインCPU相互監視処理を行う。
【0166】
[3-7.サブCPU相互監視処理手順]
画像形成装置201のサブCPU265sは、上述した第3の実施の形態による正常時の相互監視処理手順RT201(
図24)及び第3の実施の形態による異常時の相互監視処理手順RT202(
図25及び
図26)と対応するサブCPU相互監視処理を行う。
【0167】
[3-8.効果等]
ここで、同一のセンサ42及び43に接続されたメインCPU265m及びサブCPU265sにおいては、一方のCPU(メインCPU265m又はサブCPU265s)が検出温度信号をアナログデジタル変換する際に、ノイズがキックバック(逆流)してしまい、他方のCPU(サブCPU265s又はメインCPU265m)におけるアナログデジタル変換の結果に悪影響を及ぼしてしまう可能性があった。このキックバックの原因は、スイッチドキャパシタ回路で構成されたADC266m及び266sにおける、スイッチ切り替えによるコンデンサの充放電電流が逆流するためである。
【0168】
これに対し画像形成装置1(
図4)においては、センサ42及び43とメインCPU65m及びサブCPU65sとの間にバッファ群61を設けることにより、アナログデジタル変換によるキックバックの影響を防止している。しかしながらその場合、バッファ群61を設ける必要があった。
【0169】
これに対し画像形成装置201は、サブCPU265sがアナログデジタル変換を開始する際に、アナログデジタル変換開始通知をメインCPU265mへ送信し、メインCPU265mは、アナログデジタル変換開始通知をサブCPU265sから受信した場合、第1温度データに対するアナログデジタル変換を停止時間Tsだけ中断するようにした。
このため画像形成装置201は、メインCPU265mとサブCPU265sとにおけるアナログデジタル変換を異なるタイミングで行われるようにし、同時には行われないようにできる。これにより画像形成装置201は、一方のCPUが検出温度信号をアナログデジタル変換する際に、ノイズがキックバックして他方のCPUにおけるアナログデジタル変換の結果に悪影響を及ぼしてしまうことを防止できる。
【0170】
さらに画像形成装置201は、画像形成装置1のようなバッファ群61を設けることなく、アナログデジタル変換を行うタイミングをファームウェアで調整するようにした。これにより画像形成装置201は、画像形成装置1(
図4)のようなバッファ群61を省略でき構成を簡素化しつつ、他方のCPUが一方のCPUからアナログデジタル変換に伴うノイズのキックバックを受けてしまうこと防止できる。
【0171】
その他の点においても、第3の実施の形態による画像形成装置201は、第1の実施の形態による画像形成装置1と同様の作用効果を奏し得る。
【0172】
以上の構成によれば画像形成装置201は、ヒータ44を制御する制御部271mと、ヒータ44を制御する制御部271sとを設け、制御部271mは、検出温度信号m1及びm2をアナログデジタル変換し出力値送信部74m及びヒータ制御部76mへ送出する第1アナログデジタルコンバータとしてのADC266mを有し、制御部271sは、検出温度信号s1及びs2をアナログデジタル変換し出力値送信部74s及びヒータ制御部76sへ送出する第2アナログデジタルコンバータとしてのADC266sを有し、ADC266mによるアナログデジタル変換と、ADC266sによるアナログデジタル変換とを異なるタイミングで行うようにした。
【0173】
これにより画像形成装置201は、一方のCPUが検出温度信号をアナログデジタル変換する際に、ノイズがキックバックして他方のCPUにおけるアナログデジタル変換の結果に悪影響を及ぼしてしまうことを防止できる。
【0174】
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、サーミスタ42t及び43tにより定着器6の温度を検出する場合について述べた。本発明はこれに限らず、サーモパイル、NCセンサ等、温度を電気信号に変換する他の種々の温度センサにより定着器6の温度を検出しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0175】
また上述した第1の実施の形態においては、許容温度差範囲を7[℃]未満に設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、許容温度差範囲は任意の範囲として良い。第3の実施の形態においても同様である。
【0176】
さらに上述した第1の実施の形態においては、センサ42でヒータ44の温度を検出し、センサ43で定着ベルト40の裏面の温度を検出する場合について述べた。本発明はこれに限らず、センサ42又はセンサ43で、加圧ローラ41の温度等、他の種々の箇所の温度を検出しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0177】
さらに上述した第1の実施の形態においては、それぞれ、メインCPU送信リトライ上限回数を4回、メインCPU監視連続NG上限回数を2回、サブCPU監視連続NG上限回数を2回に設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、メインCPU送信リトライ上限回数、メインCPU監視連続NG上限回数及びサブCPU監視連続NG上限回数は任意の回数として良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0178】
さらに上述した第1の実施の形態においては、メインCPU65mとサブCPU65sとの合計2個のCPUで定着器6の温度制御を行う場合について述べた。本発明はこれに限らず、3個以上の任意の個数のCPUで定着器6の温度制御を行っても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0179】
さらに上述した第1の実施の形態においては、センサ42とセンサ43の合計2個のセンサで定着器6の温度を測定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、3個以上の任意の個数のセンサで定着器6の温度を測定しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0180】
さらに上述した第1の実施の形態においては、サブCPU65sでトライアック63を制御する場合について述べた。本発明はこれに限らず、メインCPU65mとサブCPU65sとの両方でトライアック63を制御しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0181】
さらに上述した第1の実施の形態においては、メインCPU65mからサブCPU65sへコマンド及び第1温度データを送信してから5[ms]の間だけ返信を待つ場合について述べた。本発明はこれに限らず、サブCPU65sからメインCPU65mへ第2温度データを送信してから所定時間の間だけ返信を待っても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0182】
また、相互温度監視エラーが発生したことを画像形成装置1における所定の表示部に表示することにより、画像形成装置1の使用者に提示しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0183】
さらに上述した第1の実施の形態においては、同一のセンサ42から取得した、検出温度信号m1に基づく温度データと検出温度信号m2に基づく温度データとを比較する場合について述べた。本発明はこれに限らず、測定対象であるヒータ44の温度を測定する異なるセンサから取得した温度検出信号に基づく温度データ同士を比較しても良い。センサ43についても同様である。要は、複数のセンサである第1センサと第2センサとで定着器6内部における同じ箇所の温度を計測する場合、第1センサの温度検出信号に基づく温度データと第2センサの温度検出信号に基づく温度データとを比較しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0184】
さらに上述した第2の実施の形態においては、第1許容温度差ΔT1を7[℃]に、第2許容温度差ΔT2を25[℃]に設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、第1許容温度差ΔT1及び第2許容温度差ΔT2は任意の値として良い。
【0185】
さらに上述した第2の実施の形態においては、温度閾値Tを100[℃]に設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、温度閾値Tは任意の範囲として良い。温度閾値Tを100[℃]よりも低く設定した場合、温度閾値Tが低温度帯域trに近づくため、温度閾値Tが100[℃]の場合と比較して、実際にはヒータ44を停止させる必要がないのに相互温度監視エラーと誤検知してしまう可能性は高まるものの耐熱温度Thp及び上限温度Tulに達する前にヒータ44を確実に停止できる。一方温度閾値Tを100[℃]よりも高く設定した場合、温度閾値Tが100[℃]の場合と比較して、温度閾値Tが低温度帯域trから離れるため、ヒータ44を停止させるまでに耐熱温度Thp及び上限温度Tulに達してしまう可能性は高まるものの、相互温度監視エラーと誤検知してしまう可能性を低くできる。
【0186】
さらに上述した第2の実施の形態においては、温度判定切替部178m及び178sは、第1許容温度差ΔT1又は第2許容温度差ΔT2の2種類の値に許容温度差を切り替える場合について述べた。本発明はこれに限らず、温度判定切替部178m及び178sは、3種類以上の任意の個数の値に許容温度差を切り替えても良い。
【0187】
さらに上述した第2の実施の形態においては、第1許容温度差ΔT1を7[℃]に、第2許容温度差ΔT2を25[℃]に設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、第2許容温度差ΔT2を画像形成装置101において発生し得る温度差よりも大きい値にすることにより、制御部171mは、第1温度データが温度閾値T以下である場合実質的に相互監視をしないようにすると共に、制御部171sは、第2温度データが温度閾値T以下である場合実質的に相互監視をしないようにしても良い。
【0188】
さらに上述した第2の実施の形態においては、温度判定切替部178mは、第1温度データが温度閾値T以下であるか否かを監視し、温度判定切替部178sは、第2温度データが温度閾値T以下であるか否かを監視する場合について述べた。本発明はこれに限らず、温度判定切替部178mは、第1温度データと制御部171sから取得した第2温度データとが温度閾値T以下であるか否かを監視し、第1温度データ又は第2温度データの少なくとも何れか一方が温度閾値Tを上回った場合、許容温度差を第2許容温度差ΔT2から第1許容温度差ΔT1に切り替えても良い。同様に温度判定切替部178sは、第2温度データと制御部171mから取得した第1温度データとが温度閾値T以下であるか否かを監視し、第2温度データ又は第1温度データの少なくとも何れか一方が温度閾値Tを上回った場合、許容温度差を第2許容温度差ΔT2から第1許容温度差ΔT1に切り替えても良い。
【0189】
さらに上述した第3の実施の形態においては、制御部271sは、ADC266sがアナログデジタル変換を開始する際に、アナログデジタル変換開始通知をADC開始通知部280sから制御部271mへ送信し、制御部271mのADC266mは、アナログデジタル変換開始通知を制御部271sから受信した場合、第1温度データに対するアナログデジタル変換を停止時間Tsだけ中断する場合について述べた。本発明はこれに限らず、制御部271sは、ADC266sがアナログデジタル変換を開始する際にアナログデジタル変換開始通知をADC開始通知部280sから制御部271mへ送信すると共に、アナログデジタル変換が完了した際にアナログデジタル変換が完了したことを通知するアナログデジタル変換完了通知をアナログデジタル変換完了通知部としての所定のADC変換完了通知部から制御部271mへ送信し、制御部271mのADC266mは、アナログデジタル変換開始通知をサブCPU265sから受信した場合、その後にアナログデジタル変換完了通知をサブCPU265sから受信するまでアナログデジタル変換を中断しても良い。
【0190】
さらに上述した第1の実施の形態においては、中間転写ベルト32上に一次転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する中間転写方式の画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、記録媒体にトナー像を直接転写する直接転写方式等、種々の方式の画像形成装置に本発明を適用しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0191】
さらに上述した第1の実施の形態においては、電子写真式のカラープリンタである画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばいわゆる複合機であるMFP(Multi Function Peripheral)、コピー機、ファクシミリ機等の種々の装置に本発明を適用しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0192】
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像形成装置1における定着器6の温度を制御する定着制御部59に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、種々の装置における熱を制御する箇所に本発明を適用しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0193】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0194】
さらに上述した第1の実施の形態においては、センサとしてのセンサ42及び43と、第1制御部としての制御部71mと、第2制御部としての制御部71sとによって画像形成装置としての画像形成装置1を構成し、第1制御部は、第1センサ出力値取得部としてのセンサ出力値取得部73mと、第1出力値送信部としての出力値送信部74mと、第1ヒータ制御部としてのヒータ制御部76mとを有し、第2制御部は、第2センサ出力値取得部としてのセンサ出力値取得部73sと、第2出力値送信部としての出力値送信部74sと、第2ヒータ制御部としてのヒータ制御部76sとを有する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるセンサと、第1センサ出力値取得部と、第1出力値送信部と、第1ヒータ制御部とを有する第1制御部と、第2センサ出力値取得部と、第2出力値送信部と、第2ヒータ制御部とを有する第2制御部とによって、画像形成装置を構成しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明は、プリンタに画像を印刷させるコンピュータの他、イメージスキャナやファクシミリ機、或いは複写機等、画像に関する種々の処理を行う種々の電子機器でも利用できる。
【符号の説明】
【0196】
1、101、201……画像形成装置、2……筐体、3……媒体カセット、4……画像形成ユニット、5……中間転写ユニット、6……定着器、7……ピックアップローラ、8、9……レジストローラ、10、11、12、13、14、15……搬送ローラ、16、17……排出ローラ、18、19、20、21……媒体通過センサ、22……排出トレー、30……ベルト張架ローラ、31……ベルト駆動ローラ、32……中間転写ベルト、33……一次転写ローラ、34……二次転写ローラ、35……二次転写バックアップローラ、40……定着ベルト、41……加圧ローラ、42、43……センサ、44……ヒータ、42t、43t……サーミスタ、50……CPU、51……ROM、52……RAM、53……LANケーブル、54……EEPROM、55……ネットワークI/F、56……LEDヘッド制御部、57、157、257……画像形成部、58……LEDヘッド、59、159、259……定着制御部、61……バッファ群、61a、61b、61c、61d……バッファ、62……ヒータオンオフ回路、63……トライアック、64……リレー、65m、165m、265m……メインCPU、65s、165s、265s……サブCPU、66m、66s……ADC、67m、67s……RAM、68m、68s……タイマ、69m、69s……コマンド制御部、70m、70s……UART、Vdd……回路電源、71m、171m、271m……制御部、73m……センサ出力値取得部、74m……出力値送信部、76m、176m……ヒータ制御部、178m……温度判定切替部、71s、171s、271s……制御部、73s……センサ出力値取得部、74s……出力値送信部、76s、176s……ヒータ制御部、178s……温度判定切替部、280s……ADC開始通知部、P……記録媒体、TL……相互監視タイミングリスト、TB……検出温度表、GR、GR2……検出温度グラフ。